日ごろからタクシーを使っている、という人はどのくらいいるでしょう。やむをえない状況や急を要するときに使うけれど、利用頻度はそれほど多くないという人のほうが多いのではないでしょうか。実は、タクシー会社には「子育て世代だからこそ役立つ」サービスを提供しているところがたくさんあります。今回は負担の多い子育てを楽に、そしてママも子どもも助かるタクシーサービスを3つ紹介しましょう!■365日24時間対応! いつ陣痛がきても怖くない「陣痛タクシー」タクシー会社が独自に展開しているサービスのなかに「陣痛タクシー」というものがあります。これは出産前に事前に自身の情報を登録しておくことで、陣痛時に病院まで迅速に送ってくれるサービスです。家族がいないときに陣痛がおきてしまった…。そんなとき、病院までの移動手段として有効なのがタクシーですよね。でも早く病院にいきたいのに配車の電話がつながらなかったり、出産予定の病院の場所をいちから教えなければならなかったりと手間どることもあります。陣痛タクシーでは、専用回線の先にオペレーターが365日24時間待機。あらかじめ、WEB上で予定日や出産予定の病院などを事前に登録しておくので、電話するだけで素早く病院に移動できます。料金も通常時のメーター料金(深夜・早朝は割増)にお迎え料金の410円を合わせたものとなっており良心的。定期健診や、先生にみてほしいときも利用できるので、妊娠中の心強い味方となってくれそうです。■年齢に合わせて使い分け可能! ストレスフリーな「子育てタクシー」一般社団法人全国子育てタクシー協会が主催する、子育てファミリーにやさしい「子育てタクシー」。地域の子育て応援団として協会指定の養成講座、および保育実習を修了したドライバーのみが、荷物の多い子連れ外出時の移動、子どもだけでの通園・通学・通塾の送迎などをサポートするサービスです。子どもの習いごとが夜遅くに終わるけれど、迎えにいけない…。そんなときでも保護者の代わりとなって子どもを迎え、指定の場所まで送り届けてくれるので働くママも大助かりです。利用の際は、自宅付近のタクシー会社をエリア検索し、該当するところに電話で問い合わせてみましょう(登録フォームが用意されている場合も)。子ども1人でタクシーにのる場合は、事前登録や打ち合わせが必要になることもあります。料金は基本的に通常のタクシー料金と迎車の料金を合わせたものですが、タクシー会社によっては乗務員指定の希望、チャイルドシートの有無などで料金が変動することも。問い合わせの際に、合わせて確認しましょう。■いつもは運転手のママやパパも楽ちん! 大人数の観光・レジャーに「ジャンボタクシー」「ジャンボタクシー」はワンボックス型やミニバン型など、6~9人乗りの車種を指定して利用できるタクシーのことです。たとえば、仲のいい家族同士のお出かけや、おじいちゃん・おばあちゃんなど親せきを連れた小旅行の足として便利です。旅行先でみんなの行きたい場所が違うときでも、ドライバーに場所さえ伝えれば効率よく回ってくれ、公共交通機関の時間を気にせず快適に過ごせます。運転のプロにお任せするので道に迷う不安もなく、普段は運転手役のママやパパも疲れることなく、一緒に旅行や観光を楽しめるのが大きな魅力です。運賃は通常のタクシーと同じ距離制になりますが、車種指定料金として500~2,000円が別途必要になる場合がありますので確認しましょう。ちょっとしたストレスを解消できる「進化タクシー」。知らないだけで、子育てに向いたサービスはまだまだあるのかもしれません。予定をたてるとき、緊急のとき、こうしたサービスをぜひ活用してみてくださいね。<参考サイト>・陣痛タクシー 日本交通 kmタクシー 東京無線タクシー 荏原交通 京王自動車 ・子育てタクシー 全国子育てタクシー協会 ・ジャンボタクシー 全国貸切バス予約センター 日の丸交通 ハロー・トーキョー
2017年07月22日こんにちは。コソダテフルな毎日のちゅいママです。長男ちゅんたん(小3)・次男ゆいたん(年長)・三男ほーちゃん(年少)の3兄弟の母です。私たち夫婦は18の時に出会ってからというもののそんなに喧嘩をしたことがなく、結婚してからもしばらくはいたって平和に暮らしていました。が、子どもが生まれたらその関係が激変! 不満・不満・不満のオンパレード!長男が1歳ぐらいまでは口を開けば言い合いになってしまうような時期がありました。もっと育児に協力してほしいと何度も訴えましたが夫には響かず、むしろ「俺は精一杯やってる」と堂々としているぐらいでした。そんな小さな歪みが大きな溝になりつつあった時期。本気で夫のことを嫌いになりました。(今は良好な関係を保っているので夫を嫌いになりかけたということになるんでしょうが。)あれは長男のおむつはずしに挑戦中の頃。私ははじめてのトイレトレーニングでしたので手探り状態で、毎日自分なりに研究しては試行錯誤して、あの手この手で頑張っている最中でした。また、同時期にとある資格の勉強中で育児の合間を縫っては勉強に励んでいました。■夫のあるひと言で、ついに爆発!そんなある休日の午後。部屋で遊んでいる長男に、私がトイレにいこうと誘いの声をかけたんです。長男は「やだ」と言いましたが、私はせっかくトイレでおしっこができるようになってきたこのタイミングを逃したくなくて必死に説得していました。そして、その様子をすぐ横で見ていた夫がこう言ったんです。はぁ? 今、なんと??何を手伝うわけでもなく、ただ横でゴロゴロしていただけの夫に「かわいそう」と言われたことに、私は悔しさで震えました。よっぽどのことがなければ泣かない私も、このときばかりは堪えきれず隠れてこっそり泣きました。こんなはずじゃなかったのに…!!私が選んだ人生の伴侶はなんて性格が悪いんだ! とさえ思いました。トイレトレーニングにせよ資格の勉強にせよ、どちらも「そんなに頑張らなくても」「いいじゃん、資格取ったって何になるんだよ」となにかにつけ、引きずりおろそうとする後ろむきな言動が多かったんです。どうしてこの人は頑張ってる人を素直に応援できないんだろうか。私があなたにトイレトレーニングを手伝ってほしいと頼みましたか?私が資格の勉強に没頭して、家事や育児をおそろかにしましたか?子どもの面倒も、家のことも一生懸命やってるのに、どうして何ひとつ協力もしていないあなたに、何も知らないあなたに「かわいそう」だなんて言われないといけないんだ!!あまりにも悔しかった私はしばらく口をきかなかった後、夫にこう言い放ちました。あなたは一切子育てに口出しするな。と。何もやってないくせに文句を言うぐらいなら、金輪際育児に関わらないでくれと啖呵(たんか)を切りました。この子は私が育てるから、あなたはお金だけ稼いできてくれ! というぐらいにまで。がしかし、現実にはやはり私が一人で育てられるわけがありません。夫に頼らざるをえない場面だって出てくるんです。■そんな夫が「1泊2日の子守り」で…資格の試験日が2日連続だったため、私は試験会場の近くに宿泊することにし、長男は夫にお願いすることになりました。それまでろくに子育てしたことのなかった夫がいきなりまる2日間の子守り。でしたが…、長男は慎重派で無口な1才でしたので夫もこの子ひとりぐらい余裕だと思っていたんでしょう。私が出かける頃には余裕しゃくしゃくな様子でした。1日目の夜に電話したときには夫も「大丈夫大丈夫~~」と楽勝な感じで、私自身も拍子抜けしていました。ところが2日目の夕方、家に戻ってみると、ヨレヨレになった夫が泣きつくように出迎えてきました。あの強気な夫はいったいどこへ(笑)そして、一言、絞り出すようにこう呟きました。「仕事のほうがよっぽど楽」よっしゃぁぁーーー!!私はもちろん、心の中でガッツポーーーズ!!ですよ(笑)そうだ!思い知ったか! がははは!!と言いたいところでしたが、理性を保って堪えました。ゼェハァ。どうやら1日目は長男もめったに接しないパパに猫をかぶっていたようですが、2日目からは化けの皮をはいだようで見事に夫を疲れさせたようです。美容院に行く間だけとか、1日だけではおりこうちゃんにできていたのですが、パパと2人きりの夜を共にしてようやく本領を発揮したらしい。この日が、夫がようやく長男の、いや、子育ての現実を知った日でした(デビュー)。それまで言葉の端々に「子育てのどこが大変なの?」「専業主婦って暇でしょ?」とどこか家事と育児を下に見ていた夫が、この日以来、ぐっと子育ての大変さに共感を示してくれるようになりました。共感しようにも子育ての大変さを、我が子の本性を知らないから分からなかっただけ、だったんですね。一度は本気で嫌いになりかけた夫でしたが、こうして少しずつ少しずつお互いの苦労を分かりあい、譲りあい、徐々に徐々に成長してきたと思います。そのきっかけとして、1泊2日で夫に子どもを預けたことが、私たち夫婦の関係にとってもいいカンフル剤となりました。
2017年06月29日子育ての情報はたくさんあふれていますが、限られた時間の中で、何から手をつけていいのかわからず悩むママは少なくありません。特に働くママは、なかなか子どもと向き合う時間が取れず、「子どもをしっかり育てたい。でも、時間がない!」という焦りを感じてしまうのではないでしょうか。任意団体「大切にしたいこと。」主宰であり、NPO法人「孫育てニッポン」の代表でもあるぼうだあきこさんは、産後ママの応援団長として、各地でママの気持ちをラクにする講演をされています。ご自身も働きながら2人の男の子を育てたぼうださんに、「子どもと向き合う時間がない」と焦るママたちの心がラクになる子育てのヒケツを聞きました。「大切なこと」3つで、自分だけの子育て軸を作る!子どものために、あれもこれも取り入れようとすると、どれも中途半端になってしまい、罪悪感がわいたり、疲れ果てたりしますよね。ぼうださんは、「自分が子育てで大事にしたい、小さな3つのことを『子育て軸』として続けるだけで十分です。軸が決まれば、情報に不必要に振り回されることもなくなります」。その軸は、どうすれば決めることができるのでしょうか。「まずは、子育てで大切にしたいことを、思いつく限りたくさん書き出してみてください。そして、その中から、絶対に大切にしたいことを3つだけ選んでください。大げさなことではなくて、毎日必ず行う行動でできることにしてください」。ちなみに、ぼうださんが子育てで大切にしていたことのトップ3は下記。1.朝ごはんには、あたたかい汁物を出して、家族で食べる2.家族が出かけるときは、必ず「行ってらっしゃい」と言いながら見送る3.手をつないで歩く確かに、どれも特別なことではなく、日常のとても小さなことですね。「食う、寝る、遊ぶ、を通じて体と心を整えることを大切にしたい」という、ぼうださんらしい選択です。子どもと一緒の朝を大切にできれば100点!?ぼうださんは、生活を朝型に整え、朝を大事にする子育てをおすすめしています。「夜は、みんな疲れていますから、ぐうたらでいいのです。朝、きちんと起きて、みんなそろって朝ごはんを食べることで、子どもの体調もわかりますし、毎日同じように1日がスタートすることで、子どもの気持ちも落ち着きます。また、塾などで子どもが忙しくなると夕食を一緒に食べることは難しくなりますから、幼少期から、”朝だけは必ず家族一緒”という生活習慣を作っておくことは大事です」。そして、ぼうださんは、「朝ごはんを一緒に食べて、『行ってらっしゃい』と見送ることができれば、それだけで母親としての1日は100点です」と言います。「それでも、まだ時間と気持ちの余裕があるようなら、絵本を読むなど、3分程度でできることを追加してもいいですね」。車と自転車を降りて、手をつなごう!ぼうださんが、3つ目に大切にしていたことは、手をつなぐこと。何でもないようなことですが、「手をつなげるのは、歩いているときだけなんですよ」という言葉にドキリ。ぼうださんは、保育園や幼稚園の送り迎えや、子どもと一緒の買い物などは、車や自転車ではなく、手をつないで歩くことをすすめているそうです。「歩いて15分のところを、車に乗ったら5分に短縮できますね。それによって、子どもとの時間が短縮され、家にいる時間が長くなります。でも、多くの母親は、家では『子どもと向き合う母親』としての役割ではなく、『家事をする家政婦』としての役割が増えてしまいます。忙しい日々の生活の中で、『母親である時間』をうまく作り出すためにも、移動時間を短縮するのではなく、子どもと手をつないで歩く時間にしてみては?」。手をつなぐことの利点は、親子の絆を深めるだけではないそうです。「車が近づいてきたり、横断歩道で立ち止まったりするとき、母親は子どもの手をギュッと握りますよね。その感覚によって、子どもは体で危険を感じることができるのです」。さらに、母子で歩きながら、近所の人にあいさつをしたり、商店街で買い物をしたりすることで、まわりの大人に覚えてもらえるので、災害時なども心強いそうです。自分の子育て軸は、心理的なお守りとなるぼうださんは、子育てで、自分が大切にしたいことが決まれば、夫婦で共有すること、書いて壁などに貼っておくことをすすめています。そうすると、例えば、「洗濯物も干したい、でも、ちょうど子どもが出かけようとしている」という状況のときに、迷わず洗濯物を置いて、子どもを見送ることができるとか。そして、「とにかく自分が決めたことを守っていれば、『これだけはやっているから大丈夫』という自信にも、心理的なお守りにもなります」。ぼうださんが子育てで大切にしていることは、「それだけでいいの?」と拍子抜けするほど当たりまえのことのようでもあり、意識しないと疎かになりがちなことでもありますね。自分なりの3つの子育て軸、改めて考えてみたくなりました。ぼうだあきこさんブログ法人 孫育て・ニッポン(理事長:ぼうだあきこさん)にっぽんネウボラネットワーク研究所(副代表:ぼうだあきこさん)<文:フリーランス記者鯰美紀>
2017年06月23日保育所不足、待機児童問題、少子化問題の解決をめざすために2015年4月からスタートしている『子ども・子育て支援新制度』ですが、この制度によって具体的には何がどう変わったのでしょうか? 保育料や認定区分、認定こども園などの施設、制度の問題点などについて、改めて詳しく解説します。そもそも『子ども・子育て支援新制度』って何? 『子ども・子育て支援新制度』とは、「『量』と『質』の両面から子育てを社会全体で支え」るためにつくられた制度です(内閣府『子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK』より引用)。2012年に成立した「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という子ども・子育て関連3法をベースとして、2015年4月から施行されました。基本的に、実施する主体は市町村です。国は財政面でそれをサポートしています。そのため、自治体によって支援や事業の内容はことなります。また、2016年度からは子育て支援をする企業へのサポート(企業内保育施設への補助金など)もプラスされました。2014年度から8%に引き上げられた消費税の増収分が、この制度の財源にあてられています。「社会全体で支える」というのはそういうわけです。新制度のポイント1:1号~3号認定とは? ここからは、より身近な視点から新制度のポイントを解説します。ママたちにとってどんな影響があり、何がどう変わったのでしょうか? まずは新制度でスタートした「認定区分」について。お子さんが通える施設や保育料・保育時間にも関わるので、しっかり理解しておきましょう。新制度では、幼稚園や保育所などを利用したい場合、お住まいの市町村から「利用認定」を受ける必要があります。認定は、お子さんの年齢と保護者の状況によって以下のように「1号・2号・3号」に分けられています。・1号(教育標準時間認定):保育を必要とする事由のない、3~5歳の子ども・2号(保育認定):保育を必要とする事由のある、3~5歳の子ども・3号(保育認定):保育を必要とする事由のある、0~2歳の子どもこのうち、「保育を必要とする事由」とは、保護者自身の就労・求職活動・就学・疾病、妊娠・出産(産前産後2ヶ月)、同居親族の介護などのことです。新制度のポイント2:保育時間について「保育認定」である2号と3号は、保護者の状況によって保育時間が2つに区分されます。基本的には、両親ともにフルタイム勤務の場合「保育標準時間」認定となり、1日最長11時間まで追加料金なしで利用できます。両親もしくはどちらかがパートタイム勤務の場合は「保育短時間」認定となり、1日最長8時間までの利用となります。ただし、たとえば11時間の範囲内であっても、利用する保育所が設定している「通常保育時間」(施設によりますが、7時30分~18時くらいが一般的)の範囲を超える場合は、別途「延長保育料」を支払う必要があるので注意してください。詳しくはそれぞれの施設や市町村に確認しましょう。新制度のポイント3:認定こども園と地域型保育お子さんを預ける施設については、新制度の目玉として「認定こども園制度の改善」と「地域型保育の新設」の2つが挙げられます。■認定こども園とは? 認定こども園とは、保育所と幼稚園を一体化した施設です。2006年からスタートしていましたが、幼稚園と保育所で管轄省庁や財源がバラバラであるなど制度面で問題が多く、当初期待されたほど普及しませんでした。そこで今回の新制度では、認可・指導を一本化するなど制度面を改善しました。保護者にとっても、たとえば「保育認定」を受けたお子さんについては園ごとの個別申し込みではなく、認可保育所と同じように市町村を通じ一括で申し込めるなど、仕組みがわかりやすくなっています。■地域型保育とは? 「地域型保育」とは、0~2歳のお子さんを対象とした、保育所よりも小規模(20人未満)の施設のことです。こうした施設はこれまで認可外扱いでしたが、新制度では認可施設となりました。具体的には、「保育ママ(家庭的保育)」「小規模保育」「事業所内保育」「居宅訪問型保育」の4タイプがあります。新制度のポイント4:認定区分と利用できる施設の関係は? 新制度では、ポイント1の認定区分によって、利用できる施設が決まっています。・1号認定:幼稚園または認定こども園(1日4時間程度)・2号認定:保育所または認定こども園(夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も)・3号認定:保育所または認定こども園または地域型保育(夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も)ただし、共働き世帯でも幼稚園に通わせたい場合は1号認定を受けることができます。また、新制度に移行しない私立幼稚園やプレスクールなどは認定を受ける必要がありません。新制度のポイント5:保育料はどう変わった? 新制度導入後耳にしたのが「保育料が上がった」という不満の声です。実際のところ、保育料は上がったのでしょうか?結論からいうと、ほとんどの場合、大きな値上がりにはなっていません。それではなぜ「上がった感」があったのかというと、これには保育料の計算方法が変わったことが関係しています。新制度では、世帯の所得額に応じて国が定めた上限金額の範囲内で、市町村が保育料を定めています。2014年度までは世帯の「前年の所得税額」を基準に算定していましたが、2015年度からは「住民税の所得割課税額」が基準になりました。住民税は前年の所得をベースとしてその年の6月に確定するので、新制度が導入された2015年度は9月に保育料の切り替えがありました。4月~8月までは2013年の所得を基準とし、9月以降は2014年度の所得を基準にした保育料となったわけです。そのため、新制度開始から8月までの間は「保育料が高い!」と感じた方が多かったのかもしれません。新制度では低所得(年収360万円未満相当)の世帯やひとり親世帯、多子世帯への負担軽減もあります。たとえば2号・3号認定なら、第1子が未就学児の場合は所得額に関係なく第2子の保育料が半額、第3子以降は無料になります。低所得のひとり親世帯は、第1子の保育料が半額、第2子以降は無料です。また、幼稚園については、これまでは園ごとに一律の保育料を支払ったあとで「就園奨励費」という所得に応じた給付がおこなわれる仕組みでした。これが新制度に移行した園では、保育料そのものが市町村ごとに定める所得に応じた負担額に変更されています。子ども・子育て支援新制度の問題点とは? 施行から2年が経った『子ども・子育て支援新制度』ですが、いくつか問題点もあります。最大の問題点は、新制度下でも待機児童問題がいまだに深刻なことでしょう。2016年には『新語・流行語大賞』の候補に「保育園落ちた日本死ね」がノミネートされ話題になりました。待機児童問題の原因としては、慢性的な保育所不足にくわえて、新制度での解決策として期待されていた認定こども園や地域型保育が、当初の想定ほど増えていないことなどが挙げられます。さらに前提として、保育士不足という問題があります。施設を増やしたところで、保育士が足りないのです。新制度でも「職員の賃金改善」として3~4%の上乗せが実施されましたが、まだまだ十分とはいえません。2017年4月からは政府がさらに2%の賃金上乗せを実施するなど、ようやく「保育士の待遇改善」に本腰が入れられるようになってきたのが現状です。東京都では、2017年4月からさらに月額21,000円の賃金の上乗せを実施するなど、対策を進めています。まずは子育て世代が新制度をしっかり理解して『子ども・子育て支援新制度』にはこのように課題があるものの、行政が子育て支援政策に力を入れつつあることは事実です。新制度は市町村が主導するため、地域差が出やすいという問題点がありますが、市町村は私たちの声を反映しやすい身近な存在でもあります。まずは私たち子育て世代がこうした制度や取り組みをしっかり理解して、意思表示をしていくことが大切でしょう。【参照サイト】 制度の概要|内閣府 子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版)|内閣府 認定こども園に関するQ&A|内閣府
2017年04月14日こんにちは。子育て支援を専門にしている臨床心理士の今井千鶴子です。子育てをしていると、“子どもとTVの問題”について悩んでしまうママはたくさんいます。そこで今回は、子育てにおけるTVのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。●子育てにおけるTVのデメリット●(1)長時間のTV視聴による発達の遅れ乳幼児のころにTVを見せ続けることは、脳の発達を考えるとあまりオススメできません。乳幼児の能力開発をする人の中には、「たくさんの刺激にふれることで脳が発達するためTVを見せるのは良い」と言う人もいますが、十分な科学的根拠があるのか疑問を感じます。発達認知科学の観点から考えると、たくさんの刺激にふれることは悪くはないのかもしれませんが、「子どもの発達段階にあった刺激なのか」「脳の疲労について考えなくていいのか」という点は慎重に議論すべきです。たとえば、“子どもがゲームに夢中になりやめられない”という状態をイメージしてください。脳が疲労しているにも関わらず、時にイライラしながらゲームを続ける子もいます。これは刺激が強いために生じている現象 だといえます。また、子どもは自分で自分の行動をコントロールしにくいため、刺激に触れ続けていることで“心地よい集中力”とは別の状態に陥ってしまうことがあります。一般的に子どもの集中力はとても短いので、一定時間を超えると、何も考えずにボーっとTVを見てしまいがちです。したがって、TVを見せる際にはあらかじめ視聴時間を設定し、長時間見せないこと が大切です。『日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会』は、乳幼児期からのメディア(例:TV・ビデオ・TVゲームなど)漬けの生活によって、結果的に心身の発達の遅れや歪みが生じた事例があることを指摘しています。そして、“2歳までのテレビ・ビデオ視聴を控えること”をはじめとする5つの具体的提言を発表しています。●(2)ネガティブな「気持ち」「行動」「ことば」TVとひと口に言っても、さまざまなタイプの番組があります。TV番組の中には、暴力的な映像や残虐な映像も含まれています。これまでの心理学の研究では、暴力映像を見た後には、子どもたちに不快な気持ちが生じやすく、乱暴な行動をマネしやすいことが報告されています。また、最近よく言われているのは、テレビを通じた“言葉の獲得”です。子どもには「使わせたくない言葉」や「聞かせたくない言葉」がありますが、これらの言葉は、日常生活よりもTVの中で知ることが多い と言われています。子どもの健全な成長を考えると、“視聴時間”だけを気にするのでなく、お子さんに見せる“視聴内容”もしっかり選ぶことが大切です。●子育てにおけるTVのメリット●(1)ママの時間を確保できる一日中お子さんと過ごしていると「息がつまってしまう」と感じるママも少なくありません。子育て中はどうしても子ども中心の生活になります。期間限定のことだとわかっていても、つらく感じてしまうこともあるのではないでしょうか。そんなママにとっては、たとえ短い時間であっても“ホッとできる時間”があるだけで心が楽になることもあるでしょう。先ほども述べたように、TVを見せることにはデメリットが伴います。そのため、真面目なママほど、TVを見せること(見せてきたこと)に罪悪感を感じてしまうかもしれません。理想を言うならば、私もできる限り子どもにはTVを見せない方がいいと思っています。ただし、それはTVを見なくても親子が笑顔で過ごせる条件のある場合です。たとえTVを見せていなくても、ママが心の余裕をなくしイライラしているのなら、その方が子どもの心の発達に悪い影響を与える のではないかと私は思います。もちろん、連日長時間TVに子守りをさせておくのはNGですが、ママの心と体の状態に合わせて、TVの放映内容も考えながら“調整”していくことも大切なことだと感じます。●(2)TVの登場人物がモデルになるTVのデメリットのところで、“乱暴な行動をマネしやすい”と書きましたが、良い行動も映像を見てマネしやすいことが知られています。映像の中の同世代の子どもが、歯を磨く、トイレに行く、食事するということができていると、自分もやってみようかなとやる気が高まるお子さんも多い です。良いお手本が登場するTVは、言葉では説明しにくいときなどに強い味方になってくれるツールとなります。●(3)友達とTVを通じた会話ができるTVの内容を知ることで友だちとの会話がはずみます。特に、はやりのものに関しては、知らないと友だちとの会話に入れないこともあります。また、TVの世界には、「動き」と「音」が巧みに盛り込まれています。字が読めない時期の子どもたちにとっては、わかりやすく説明してくれるTVは貴重な情報源にもなり、お子さんの興味・関心が広がることもあります 。恐竜好きの息子たちも、図鑑だけでは理解できなかった知識をDVDから学び、さらに興味を広げています。ただし、好きなものを好きなだけ見せるというのはNGです。場面を区切って見せたり、話しかけながら視聴したりするなど工夫が必要です。大好きな映像であっても、ボーっとするまで見せないように、子どもの様子を見ながらTVをうまく使っていきましょう!----------いかがでしたか?今日はTVのメリット・デメリットについて紹介しました。TVには一長一短がありますが、上手に付き合い、楽しく育児ができるといいですね!【参考リンク】・「子どもとメディア」の問題に対する提言 | 日本小児科医会()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年04月04日こんにちは、保育士ライターのyossyです。書籍やドラマの『嫌われる勇気』で話題になった“アドラー心理学”。近年、「アドラー式子育て」という言葉もよく聞かれるようになりました。どのような子育て法なのでしょうか。メリットとともにご紹介します。●『嫌われる勇気』で注目されるようになったアドラー心理学アドラーというのは、オーストリア出身の心理学者・精神科医です。有名な『嫌われる勇気』の著者(古賀史健氏との共著)でもある岸見一郎氏は、『子どもをのばすアドラーの言葉子育ての勇気』のなかで、『子育ての目標は“自立”である』と述べています。そのためには下記の3つがポイントになるそうです。・子どもが自分で決められる・子どもが自分自身の価値を決められる・自己中心性から脱却するアドラー式子育てを実践すると、上記のようなメリットが得られるということですね。どれも、社会で人として強く生きていくために重要なことです。また、子どもとの関係性に悩んでいる場合は、関係性がよくなるケースも多い ようです。●叱る子育てとも、褒める子育てとも違う親は、ついつい「子どものため」という言葉を言い訳にして叱ってしまいがちですね。そんな子育て法はよくない、ということで、近年は褒める子育てがよく注目されています。アドラー式子育てにおいても、叱ることは即効性はあるが、結局親が怖いから行動をやめているだけ。長期的にみれば子どもの行動を変えられないことから、有意ではない、としています。しかし、褒めるのも違う のだそうです。褒めることで気分はよくなりますが、人間、いつも褒められるべき状況におかれるわけではありません。また、一生褒めてくれる人がそばにいるわけでもありませんね。●“子どものため”は本当に子どものため?あらかじめ子どもの行動を決めてしまったり、親の言うことを無理に聞かせようとしたりすることは、本当に子どものためでしょうか。また、褒めているとき、子どもに対して上から目線で接していないでしょうか。子どもと対等な目線で話をするように心がけることが、子育ての大事なポイントになるそうです。体罰など、もってのほかですね。子どもに介入せず、でも放任はせず、「いつでも援助する用意はあるよ」と寄り添う のがアドラー式です。普段の勉強や、進学、習い事、友人関係などで決断を迫られたとき、あるいは問題が起きたとき、決めるのは子ども自身。親は先回りして考えてしまうでしょうが、子どもの人生なので、“我が事”として考えすぎないことが大切です。例えば、子どもが勉強をしないときに、「勉強しなさい」と言うのは踏み込みすぎ。勉強についてどうしたほうがいいのか対等に話し合うことや、そもそも勉強が楽しいものであるということを子どもと共有することが大切だというわけです。そして、「勉強する」という意思表示を子どもがしたら、親は本当に信じてあげるのです。----------子どもはいずれ親から自立し、自分の力で生きて行かなくてはいけません。アドラー式子育ては、頭では理解できても実践が難しいと感じる部分も多いでしょう。まずは、頭ごなしに叱るのをやめることから始めてみてはいかがでしょうか。【参考文献】・『子どもをのばすアドラーの言葉子育ての勇気』岸見一郎・著●ライター/yossy(フリーライター)●モデル/赤松侑里(さゆりちゃん)
2017年03月09日自閉症とは出典 : 自閉症(Autism)は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴があると言われています。世界保健機関(WHO)の診断基準である『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)では広汎性発達障害というカテゴリーのもと、自閉症という障害名が使われています。一方、2013年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)において自閉症という障害名は廃止され、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という名称に統合されました。そのため、今後自閉症という名称での診断は少なくなることが予想されますが、自閉症という名称は現在も一般的であり、また発達障害者支援法などの法律や文部科学省・厚生労働省などの行政でも使用されています。以上をふまえ本記事では、下記の文部科学省の定義で示されるような概念における「自閉症」についてご紹介します。自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。自閉症の原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、生まれつきの先天的な脳機能の偏りであると考えられています。親の育て方や接し方、愛情不足によって自閉症になるのではないことが医学的にわかっています。自閉症の子どもはその特性に応じた工夫が必要であり、通常の子育てとは違う自閉症の子どもに合った方法にしたほうがうまくいくこともあります。つまり、自閉症の根本的な治療は現在のところできませんが、親が周りの環境を整えたり、接し方を変えたりすることで、症状や困りごとを緩和できる場合も多いのです。ここでは自閉症の子どもが生活する上で生じる困難と、親の接し方や対処法についてまとめました。自閉症の子どもに接するときの4つの基本出典 : 感覚や考え方は主観的なものなので、親といえども子どもの感じ方を完全に理解することは難しいのではないでしょうか?自閉症のある人の中には、定型発達の人と比べて特定の感覚に過敏性や鈍さ(鈍麻)がある方が多いと言われています。また、独特の理解の仕方や受け止め方がある場合もあります。そのため、子どもが「自分とは違う感じ取り方をしているかも」ということを意識し理解することが重要です。「このくらい言わなくてもわかるだろう」「この程度の音なら我慢できるはず」と思わずに、子どもがどう感じているか、何に困っているかを想像して接するようにしましょう。自閉症の特性のひとつに言葉でのコミュニケーションが苦手、ということがあります。言葉でくどくど説明しても、子どもは混乱してしまうだけです。子どもにとってわかりやすい指示や対話の方法は一人ひとりの特性によって違います。本人が理解しやすいやり方を考え、説明して納得させてあげてください。以下は代表的な方法です。◇短い言葉で具体的に指示する「椅子に座って」「靴を履いて」など、短い言葉で具体的に伝えます。状況や理由などの説明をしたり、一度にあれこれ指示をしたりするとわかりにくくなってしまいます。シンプルなステップに分け、一つが終わってから次の指示をします。◇視覚的な方法で説明する自閉症の子どもは、耳で伝えられる情報はなかなか理解することが苦手ですが、絵や写真といった視覚的な情報は理解できることが多いようです。言葉の指示や説明に加えて、絵や写真を補助的に使用すると、言葉だけでなく視覚でも理解ができるようになります。言葉でのコミュニケーションが苦手な自閉症の子どもにとって理解しやすい環境になり、何をして欲しいのか明確にわかるようになります。予定や約束ごとなども、絵にして知らせると、理解しやすく安心できます。自閉症の子どもに教える上では「ほめる」ことが大きなポイントになります。◇スモールステップで「できた」を増やす日常生活などのできないことは少しずつ、ステップごとに教えていく方法が効果的です。まずは手順を細かくわけ、分かりやすい方法で一つひとつ説明します。やってみて、一つできたら思いっきりほめたりごほうびをあげたりします。子どもに「できたら嬉しい」「自分にもできる」ことがある、という成功体験をたくさん味わわせることがとても重要なのです。◇のぞましい行動をほめる自閉症のある子どもは相手の言葉の意図をくみ取ることが難しい場合があります。そのため「してはダメ」なことを叱るよりも、「してはいけない」ことはできるだけスルーし、「してほしい」ことをしたときにストレートな表現でほめるほうが効果的です。うまくいったことや頑張ったことがあれば、どんな小さなことでも思い切りほめます。同じことでも何度もほめることで「よい行動」が印象づけられ、定着していきます。自閉症のある子どもは変化がとても苦手です。「いつもと違う」ことに強い不安と拒否感を感じます。例えば、時間割が違う、いつもと違う道を通った、部屋の家具の位置が違うといった、ほかの人には些細に思えることでも気持ちが動揺しパニックになってしまうことがあります。◇見通しを持たせて安心させる先の見通しを立てられるように予告しましょう。これから何をするか理解し、予測できると安心して行動できます。そのためには絵などを使って子どもが分かりやすい方法で、かつその子が安心できるタイミングで伝えるようにしましょう。伝えるタイミングは直前だとパニックの原因になりますし、早すぎると意味がなくなったり、他のことが手に付かなくなったりすることもあります。◇不安からくる行動を理解する臭いを嗅いだり、くるくるまわったり、ジャンプを続けたり…。変わった行動やくせがあると、親としてはやめさせたくなりますが、その行動は不安や緊張をやわらげるためにしている場合が多いのです。無理に止めるといっそう落ち着けなくなります。危険な行動や人に大きな迷惑がかかることでなければ、落ち着くために必要であることも理解し、ある程度は容認してあげることも大切です。また、年齢とともに不安に対する適切な対処法、例えば深呼吸、散歩、音楽を聴く、ヨガをするなど、それらの行動に代わる行動として教えていくとよいでしょう。自閉症のある子どもは、何もすることがないと時間をもてあまして不安になる傾向もあります。病院の待合室や電車の中などで手持ち無沙汰を解消できるよう、絵の描けるホワイトボードやパズルなど、好きな遊びを準備しておくと落ち着いて過ごせます。自閉症の子どもの生活における7つの特性による困難と対処法出典 : 障害の無い人が日常的につかう抽象的な表現や、発言の意図を理解しにくい傾向があります。たとえば「ちょっと」や「きちんと」などがなにを指すのか、「少し」と言われてもどれくらいの程度なのかを理解することを難しく感じます。電話口で「お母さんはいますか?」と言われて「います」とだけ答えて電話を切ってしまうこともあります。電話がかかってきた意図を理解できなかったりします。また言葉をそのままうのみにしてしまうこともあります。例えばクラスメートにふざけて言われたひとことを真に受けて落ち込んでしまうこともあります。周りの人が理解している「当たり前」や「常識」を理解するのを困難に感じる人がいます。例えば、人と人との対人的距離に関して、人の領域と自分の領域の境界線を理解することを苦手とするので、過度に接近してしまったり、距離をとり過ぎたりしてしまうことがあります。また、自閉症のある子どもは、親や先生などの微妙な表情や態度から他者の気持ちを察知することが難しい傾向にあります。そのため、「周りの空気を読んで言動を調整する」ことが難しく、例えば周りが静かにしていても喋り続けてしまったり、怒られている最中でも面白いことがあれば笑ってしまうことも少なくありません。【対処法】なによりも大切なのが、指示を分かりやすく伝えることです。慣用句や代名詞、冗談などを理解するのが困難に感じる子が多いです。例えば静かにしなければいけない公共のシーンで自閉症の子は大きな声で喋り続けてしまうことがありますが、「図書館では静かに本を読みます」と具体的に言われた場合は指示に従うことができる子が多いです。何をしてほしいか、どのように行動すべきかを明確に伝えてあげましょう。また、命令形で指示を出されると、そういうトーンで言われてなかったとしても、怒られているのではないかと感じ、不安に思う子もいます。たとえば「はやくお風呂に入りなさい」という言葉を提案的な意味合いで言ったとしても、本人は怒られているのだと感じてしまうこともあります。「5分後にはお風呂に入リましょう」などと、できるだけ本人に誤解を与えない言葉を使って会話をするように心がけましょう。自閉症の子は、自分の中で決めたルールを守ろうとしたり、物事に強いこだわりを持っていることが多いです。自閉症の子どもの中には、急な変化を苦手とする子が多く、日々同じルーティンで物事を行ったり、自分のこだわりで物事をやり遂げることに安心感を感じます。「決まったルールは必ず守らなくてはいけない」という思いがある子が多く、柔軟に状況に合わせて行動することが難しい場合があります。【対処法】自閉症のない人たちのなかでは、ルールは例外的には破られることもある、という認識が共有されやすいですが、自閉症の子の場合、そのような意識ができていないことが多いです。この「例外がある」ということを理解してもらうためには、関わる人のことを安心して信頼できる状況が必要です。この関係性を大切にしながら「例外」の変化に対して安心感が持てるようにしていきましょう。全ての自閉症の子に共通して言えるわけではないですが、感覚過敏のある子どもが多いといわれています。感覚過敏には様々な種類があり、五感以外にも重力や回転を感じ取る「前庭感覚」や、筋肉や関節に関係する「固有感覚」などが敏感な場合もあります。感覚過敏の症状はさまざまですが、よく見られる症状として、特定の音を嫌がったり、触られるのを嫌がったり、特定のにおいを過度に嫌がったり、逆に好んだりするなどが挙げられます。赤ちゃんの頃に抱っこを嫌がったり、手をつなぐと拒否したりする行動も見られたりします。このような症状は、感覚過敏の1つの触覚過敏の可能性があります。また、感覚過敏は1つの感覚だけでなく、複数の感覚に生じることもあります。【対処法】上記のような行動がみられた時には、感覚過敏である可能性があることをまず知りましょう。その場合、環境調整を行ったり、個人的に防ぐ手立てを用いたりします。例えば聴覚過敏であればイヤーマフなどで音を遮断できるようにして、嫌な刺激を減らしましょう。人とコミュニケーションを取るのを苦手と感じる子がいます。上で述べたように人の表情から感情を理解することが難しいということにも関わってくるのですが、表情やジェスチャーを使ったコミュニケーションや、会話がうまくできない子もいます。また言葉をなかなか話さなかったり、同じことを何度も発言したり、会話が一方通行になりがちな傾向があります。これに付随して、あまり他の人に興味を示さないというのも自閉症の子の特徴です。そのため交友関係を広げにくいことがあります。【対処法】音声のコミュニケーションを苦手としても、とても素敵な文章を書いてくれたり、論理的であったりすることが多いです。言葉にすることを苦手にする子が多いので、言葉の代替となるものをみつけてあげるのもよいと思います。例えば、絵カードや、ICT機器などです。また、言葉をあまり発さないからと言って伝えたいことがないわけではありません。親が子どもの感情によくアンテナを張り、気持ちの変化などに気付いてあげるようにしましょう。出典 : 自閉症のある子どもは、いきなり大声をあげたり感情が爆発してコントロールができなくなることがあります。周囲からは急にパニックを起こしたようにみえますが、原因の多くは強い不安や緊張、興奮といったストレスです。パニックが強くなると頭を打ち付けたりたたいたり、腕をかむなどの自傷行為に至ることもあります。【対処法】パニックが起きたらおさまるまでしばらく見守ってあげましょう。頭を壁に激しくぶつけるなどして危険な場合は壁にクッションを当てるなどしてけがをしないようにします。自閉症の子は強いこだわりを持っている子が多いので、自分の落ち着けるスペースを決めている場合は、そこに連れて行きます。しばらくして落ち着いたらおもちゃなど子どもの好きな物を出して、気分が切り替えられるようにします。パニックを起こす要因として、なにか原因が背景にあるはずです。落ち着いたら「なぜパニックになってしまったんだろう」と本人の気持ちを探り、日頃から本人をよく観察し、パニックを起こさなくても済むように環境調整をするなど、対応するように心がけましょう。そもそも自閉症のある子どもは自分が「困っている状況」だということが理解できず、パニックになったり固まってしまう場合もあります。自閉症のある子どもは自分ではうまくできず、困る場面が多くあります。ですが、コミュニケーションをとるのが苦手です。そこで、困ったことや、できないことがあったときに、子ども自身が自分でサインを出して助けを求められるようになることがとても大切です。【対処法】まずは子どもに「いらいらする」「どうしたらいいのかわからない」「涙が出る」など、自分の感覚や感情がどんなときに「困っている状況」なのかを教えます。そして困った状況になったら誰に助けを求めればいいかを教えます。「どうしたらいいのですか?」「わからないので教えてください」など、具体的になんと言えばよいかも説明するとよいでしょう。自閉症の子どもは時間的な見通しを持つことがとても苦手です。一方で予測できない変化を嫌うため、わかりやすい見通しがないととても不安になります。わかりやすいスケジュールなどがあるとスムーズに動けることが多いです。【対処法】◇時間を把握するためには?自閉症の子どもの中には時間の感覚を理解することに困難さを持っている場合があります。ですから1日のスケジュールを見やすいところに貼り、何時に何をするのかを目で見て確認できるようにします。慣れるまでは大変かもしれませんが、慣れてしまえば自分から行動することができるようになります。時計が読める子どもには、時計を使い説明すると、本人も理解しやすくなります。個人差があるので本人に合った方法を探る必要がありますが、本人がわかりやすい方法を選んでください。◇夢中になるとやめることができない夢中になっている時に何かをやめさせるのは難しいですが、何かを始める前に「始める時間」と「終わる時間」を決めておきましょう。そうすると終わりの時間がはっきりしていますので、やめさせる時にパニックになりづらくなります。視覚的に残り時間が表示されるタイマーなどを使うとよいでしょう。◇睡眠障害を軽減させるには?自閉症の子どもの中には睡眠障害に陥ってしまう子もいます。生活リズムが崩れている場合、急に戻すことは家族や本人にも負担がかかってしまいますので、焦らずにゆっくり正常に戻していくことが大切です。昼間に沢山遊ばせる、体を使った遊びをするなどし、夜になったら眠たくなるように生活のリズムを整えていきましょう。自閉症の子どもに接する際に注意するべきこと出典 : ◇感情的に怒らないこちらが感情的になると、いつもと違うできごとに不安を感じ、混乱させてしまい逆効果になってしまいます。何かを伝えたい時は、冷静に短い言葉で簡潔に伝えることを心がけてください。できるだけ否定的な言葉は使わず、「○○してほしい」「○○しましょう」と言い換えるようにしましょう。感情的に怒りたくなる気持ちもわかりますが、自閉症の子どもにとっては、どうして怒られているのか理解することが難しく、パニックになってしまう場合もあります。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますし、その間は周囲の大人が何を言っても聞く耳を持つことができません。しかし、ゆっくり感情的にならず説明すると、理解しやすくなります。◇好きな行動を始めたら途中で邪魔しない自閉症の子どもは1つのことに夢中になると、周りが見えず没頭する傾向があります。夢中になっている時に邪魔されることは、子どもにとっては急に予定変更をされることと同じです。自閉症の子どもが何か行動を始めた時に邪魔をしてしまうと、何が起こったか理解ができずにパニックになってしまいます。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますので、本人も周りの大人も体力を消耗してしまいます。その行動をやめてほしい時は、やめる時間をあらかじめ子どもと決めておくか、終わったタイミングで注意するようにしましょう。自閉症の子どもと接するときは、上記のようなことを少し気をつけるだけでお互いに生活を送るのが楽になります。自閉症のある子どもの子育てに悩んだら出典 : 子どもの接し方を変えるだけで改善できることはたくさんあります。ですが、子育てをしていると、悩むことやつらいことがあるのは当然です。最初からうまくいくことばかりではありませんし、周囲に気を使ったり、子どもの様子に気を配ったり、体力的にも精神的にも毎日へとへとになるパパママも少なくないでしょう。これでいいのか、子育てに自信がなくなることもあるでしょう。そんな時は、誰かに相談したり頼ったりしましょう。公的支援をはじめ、さまざまなサポートがあります。◇専門機関に相談する地域の子育て支援センターや児童発達支援センター、児童相談所などでは、子どものことや子育てについて、気軽に相談ができます。必要があれば医療機関や療育施設などの専門家を紹介してくれます。また児童精神科や小児神経科に相談したり、療育を受けることで、子どもの特性がわかり、対処法を教えてもらえます。◇親の会に参加する自閉症の家族を対象とした家族会やサポートグループが全国にあります。親の会は障害のある子どもを持つ親同士がつながり、障害について学んだり情報交換をしていく活動です。また、発達ナビのQ&Aコーナーやコミュニティでも、子育ての悩みを相談することができます。同じ経験をした人の話を聞いたり、具体的なアドバイスを聞いたりすれば、見通しがもてるでしょう。誰かにつらい気持ちを話すだけでも、気持ちが楽になり、一人で悩みを抱え込まずにすみます。◇ペアレントトレーニングを受けるペアレントトレーニングとは、親が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する、パパ・ママ向けのプログラムです。子どもをのばすほめ方、環境調整の仕方、指示の出し方、行動の教え方などを具体的に学べます。◇意識的に休息をとるがんばりすぎて、余裕がなくなっているときは、リフレッシュが必要です。育児を軽減するサポートを利用するなどして、自分の時間をつくりましょう。児童発達支援、放課後等デイサービスの中には預かり型の支援サービスもあります。また、障害児を受け入れているファミリーサポートもあります。一時的預かりのサービスを行っている地域もあります。地域の福祉相談窓口などで相談してみてください。あなたの子育てに関する疑問や悩みを質問してみましょう!|発達ナビQ&A地域の児童発達支援・放課後デイサービスを検索|発達ナビ地域情報まとめUpload By 発達障害のキホン自閉症がどのような障害で、どのようなことに気をつけるべきかを理解するまでは大変かもしれません。しかし一緒に過ごしていくうちに、その子の癖や特徴をつかむことができ、子育てにおいて気をつけた方がいいことがより見えてくるはずです。あまり難しく考えずに、その子に合った接し方をするように心がけましょう。どんな時にパニックになるのか、こういう時に友達に手を出していたなど、きっとパターンがあり、理由があります。本人も、周囲に迷惑をかけるぐらいの大きな問題行動を起こしている時は、精神的に不安定になっていることが多く、ストレスを抱えています。その理由とパターンをしっかり把握し、対処が解れば問題行動はなくなります。子育てをしていく中で、目指したいのはその子に合った方法を見つけ、その子が自立した生活ができるようにサポートをすることです。スモールステップで成功体験を積みながら、親子で向き合っていきましょう。
2016年12月11日祖父母は子育ての強い味方、強力なサポーターとしてありがたい存在ですよね。核家族化が進んでいるとはいっても、子育て世代と祖父母のつながりは失いたくない大切なもの。そんな3世代の関係性についてある調査が行われました。祖父母の呼び名から、子どもを預ける頻度まで、その実態が明らかになっているようです。■いまどきの呼び名は「じいじ&ばあば」ママ向けコミュニティサイト・ママスタジアムが行った「じいじばあばとのお付き合い調査」(※)によると、おじいちゃんとおばあちゃんの呼び名について、その実態が明らかになりました。最も多かった呼び名は「じいじ」と「ばあば」。母方の方が「じいじばあば」の比率が高めとなっているようです。私の母は「おばあちゃん」でも「ばあば」でも名前でもなく、「ねね」と孫に呼ばせています。特に理由はないようですが、一般的な呼び名ではなく、特別な名前で呼んでもらうことに喜びを感じているようです。「その他」に分類される人は、こんなケースも多いかもしれませんね。 ■孫と祖父母が会うのは「年末年始・お盆・お祝い事」の3強「あなたのお子さんがおじいちゃんおばあちゃんと会うきっかけは?」という質問では「年末年始」が72.6%、「お盆」が56.7%、「お子さんのお祝い行事」が45.8%と続いています。帰省時期=再会時期となる家族はやっぱり多いようですね。また「おじいちゃん・おばあちゃんが孫に会いたいと言いだして」「おじいちゃん、おばあちゃんの誕生日」など、おじいちゃんおばあちゃん発信で孫と会う機会も少なくありませんでした。12.3%と意外に低めだったのが「敬老の日」。これは孫ができたといっても気持ち的に若々しい人が多く、まだ自分たちを老人とする意識が少ないからでしょうか。■預けやすいのはやっぱり「自分の母親」「あなたの用事や仕事などのために、おじいちゃんおばあちゃんにお子さんを預けている? その頻度は?」という質問では「母方のおばあちゃん」に「月に1~2回」以上預けている人が全体の1/4程度いました。子どもが小さいとき(上の子どもの年齢が0~2歳)に「母方のおばあちゃん」に預けたことのある人は約7割にのぼるのに対し、「父方のおばあちゃん」に預けたことがある人は約4割。やはり、手間のかかる乳幼児期のお世話を「頼みやすい」と感じるのは自分の母親のようです。また、40代以上のママは「父方のおばあちゃん」だけでなく「母方のおばあちゃん」にも「預けたことがない」人が他年代層よりも高いことが分かりました。これはもしかしたら、高齢を心配しての気遣いがあるのかもしれませんね。祖父母が元気でいてくれること、会いにいける家族がいることは、とてもありがたいことですね。自分の親だけじゃなく、父方のおじいちゃん・おばあちゃんにもちょっとしたサポートを上手に頼み、家族のつながりを深めていけるといいですね。※「じいじばあばとのお付き合い調査
2016年10月08日【ママからのご相談】子育て評論家の方々が「子どもはほめて伸ばしましょう」と言っていますが、うちの子どもは、ほめると調子に乗ってしまうところがあります。親族に小さい子どもがいないため、周りから甘やかされており、みんなからほめられて育ったせいなのか、ほめられないと拗ねてやる気をなくしてしまうことも……。子どもをやる気にさせて自信をつけるためにほめているわけですが、なんだか逆効果に思います。ほめる以外に、いい方法はありませんか?目次1 ほめるよりも勇気付けが大事2 人をほめるのも叱るのもいけない理由2つ3 ほめるのではなく、感謝する●A. ほめるよりも勇気付けが大事ご質問ありがとうございます。学習アドバイザーの佐々木です。ほめることは確かに効果がある方法ですが、それだけではいけないと感じたのですね。ベストセラー本『嫌われる勇気』でその名を知らしめたアドラー心理学では、人をほめるのも叱るのもいけない と言われています。その理由は大きく2つあります。●人をほめるのも叱るのもいけない理由2つ●(1)上下関係ができてしまうたとえば、こんな場面を想像してみてください。部下が、あなたにこう言います。「よく頑張りましたね」と。ほめ言葉を部下から言われたら、どうでしょう?正直、ちょっとイヤではないですか?あるいは、尊敬できない上司からほめられて、何ともいや~な気持ちになったことがありませんか?ほめるという行為の裏には、上下関係があります。ほめた時点で相手との上下関係を無意識のうちに作り上げてしまうことになるのです。すべての人間は対等であるという考えのもと、上下関係をつくる“ほめ”ではなく、対等であることを前提とした“勇気づけ ”をすべきだとアドラーは主張しています。●(2)承認欲求を刺激してしまう人間には、人から認められたい欲求『承認欲求』があります。たとえば、子どもが勉強しているときにほめてしまうと、子どもの承認欲求が満たされます。これを続けていくと、子どもは“ほめられるために勉強する”ようになってしまうのです。承認を与えることによって、相手は承認なしでは動けなくなってしまう危険性がある とアドラーは警鐘を鳴らしているのです。質問者さんのお子さんは、この状態かもしれませんね。●ほめるのではなく、感謝する相手をほめる目的は何でしょうか?きっと、相手にやる気になってもらうためですよね。それでは、相手をやる気にするために、何を言うべきなのでしょうか。上下関係を作らず、承認欲求を過度に刺激しない言い方。私を主語にする、『Iメッセージ(アイ・メッセージ) 』が有効です。たとえば、「えらい!」というほめ言葉。「えらい」の主語は「あなた」です。「あなたはえらいね」と伝えると、評価する言い方になります。主語を「わたし」に変える言い方だと、「私は、うれしい」ですね。「宿題やったんだ、えらい!」ではなく、「宿題やったんだ、うれしい! 」と言ってみましょう。こうすることで、お子さんの貢献感を育てることができます。ほめられるために動くのではなく、相手を喜ばせるために何かをすることを教えるのです。お子さんも、感謝されることを喜ぶでしょう。ほめて評価したり承認したりするのではなく、感謝して貢献感を育てる 。これがお子さんに自信を与える言葉がけです。ぜひやってみてくださいね。【参考文献】・『嫌われる勇気自己啓発の源流「アドラー」の教え』岸見一郎・古賀史健(著)・『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』小倉広(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年09月17日子どもを伸び伸び育てたい。家族の時間を増やしたい。そんな思いから、子育て世代にも地方移住が注目されています。移住を考える上で大切なことや、基本的な支援策をJOIN(一般社団法人移住・交流推進機構)に聞きました。お話を聞いたのは:成清雅人さん・坂東彩加さんJOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)では地方自治体と連携して、移住を考えている人に向け、インターネットで情報提供を行っています。移住に役立つ情報やイベント、移住相談会の情報などがチェックできます。ここ数年で移住者数がぐっと増加しています「これまではシニア世代のイメージが強かった『移住』ですが、最近では子育て世代にも関心が持たれるようになりました」と、JOINの成清さんと坂東さんは言います。「地方は人口減少が進んでおり、各自治体は人口流出対策の他、移住者を呼び込む施策に積極的に取り組んでいます。そのため、ここ数年で移住者数はぐっと増加しています。特に、住まい・子育て・仕事に対する支援は、自治体ごとに創意工夫がなされています」しかし、いざ「移住」を考えるとなると、住む所や仕事はどうするの?という疑問が…。そうしたことに答えられるよう、各自治体では相談窓口を設けたり、移住支援サイトを開設しています。自然の中で子育てができること、また、働き方を変えることにより、家族と過ごす時間が増やせることなどが、子育て世代が感じている移住の魅力だそうです。「住まい」「子育て」「仕事」それぞれに充実した移住者支援があります住まいの家賃補助、出産祝い金や保育料無償化、起業者への助成金など、移住者には自治体が手厚い支援を行っています。ただ「移住したら◯◯が無料になる」という理由だけで移住先を決めるのはおすすめしていないそうです。「住む以上はお金以外の魅力がないと長続きしないし、支援制度は変わる場合もあります。あくまで参考にとどめた方がいいでしょう」「何だかいいな」と思えた場所が肌の合う地域です移住先を選ぶ上で一番大事なのは「実際に訪れて、いい雰囲気を感じられること」と坂東さん。その上で、「実際に住む」視点を持つのがポイントだそうです。「車ではなく公共交通機関で行くと、電車が1時間に3本しかないなどの不便に気付けます。雪国なら、雪かきを体験したり、冬のドライバー研修ができることもあります。また、例えば長野県は、北部は豪雪地帯なのに対して、南部はほとんど雪が降らないなど、地域によって、気候の差が大きい県もあります。〝この県は◯◯なはず〞という思い込みだけでなく、まずは実際に足を運んでみてくださいね。数日間、その地域で暮らせる『お試し住宅』を実施している地域もありますよ」移住に関してよくある質問Q.移住先としてどんな地域が人気ですか?A.移住者への支援を積極的に行っている自治体は、サポートも手厚いことが多いです。また、都会から離れ過ぎない千葉県や長野県などの地域も人気です。Q.どこで移住の相談ができますか?A.各自治体が相談窓口を持っているので、行政に問い合わせを。東京の「移住・交流情報ガーデン」では、専門の相談員が対応している他、各県による移住者向けパンフレットも充実。JOINでも毎年1月に、全国各地の移住相談窓口が集結する、移住・交流フェアを行っています。Q.家賃や土地代は必ず安くなりますか?A.自治体あたりの人口が少なくなるほど、家賃・土地代は安くなる傾向にあります。ただ、近くに大学や自衛隊があるなど、住居のニーズが高い土地の場合は、都会とそこまで変わらない場合があるので注意が必要です。Q.仕事はどうやって探せばいいですか?A.自治体の窓口やハローワークで相談できます。また、「日本仕事百貨」(運営:株式会社シゴトヒト)というWebサイトでは、求人情報だけでなく、実際に移住をしてその仕事に就いた人のインタビュー記事や写真を見ることができます。自治体の魅力と支援策を紹介全国の自治体の中から、移住者支援に力を入れている自治体をピックアップ。ここで挙げた以外にも各自治体はさまざまな取り組みを行っています。気になる人は検索してみてね。●用語解説空き家バンク…各自治体が空き家の管理、土地活用、査定についての情報を集め、移住希望者に紹介している。お試し住宅…自治体が整備した空き家を、数日~数カ月単位で希望者に貸し出している。同じ自治体の中でも中心部と農村部、一戸建てとマンションなど、移住する前に住み比べることができる。栃木県那須塩原市東京都内から1時間のリゾート地。市内には高速道路のインターや複数の駅があり、アクセスも至便。特に那須塩原駅は、新幹線なすの号の始発着駅で東京へ通勤するサラリーマンが大勢います。【子育て】市営の乗馬施設で情操教育を実施。市内全小中学校に外国人の英語教育指導助手を常駐させ、交換留学等も実施。言語の異なる相手との関わりを通じ、心を育てる教育を展開。【仕事】新幹線通勤する転入者に年間12万円を補助。移住促進センターで相談を受けています。チャレンジingライフ茨城県つくばみらい市つくばエクスプレス秋葉原駅から40分。高速道路のインターチェンジもあり、各地へのアクセスがとても便利。保育所や小学校が新規に整備されるなど、都市環境や子育て環境も充実している一方で、豊かな自然にも恵まれています。【住まい】「三世代同居・近居住宅支援事業助成金」… 親、子および孫が三世代で同居・近居するために住宅を取得する人などに対し、予算の範囲内で助成金(最大100万円)を交付。【子育て】「ママフレ」… 妊娠・出産・子育てに関する行政サービス情報を掲載したサイト。つくばみらい市シティプロモーション福井県保育園の待機児童数ゼロ、学力体力全国トップレベル(学力小学校全国2位、中学校全国1位、体力は小中学校とも全国1位)など、子育て・教育環境が整っています。【子育て】「すみずみ子育てサポート」として一時預かりや保育園への送迎、家事援助を実施。【仕事】求人倍率も高く、正社員の割合も全国トップと恵まれた雇用環境。福井Uターンセンターを設置し、移住希望者に合った仕事探し、住まい探しをトータルにサポート。福井、東京、大阪、名古屋の各オフィスで相談できます。ふくい移住ナビ奈良県奈良市豊かな自然と歴史が1300年にわたり共生してきた、世界に誇る歴史と文化の町です。また、質の高い公教育による教育制度の充実や、大阪・京都等近隣府県へのアクセスの良さ、ゆったりとした環境から、育児のしやすさと暮らしやすさを感じることができます。【住まい】「三世代同居・近居住宅支援事業」…住宅改修または購入にかかる費用のうち、最大20万円を助成。「空き家・町家バンク活用住宅支援事業」… 荷物撤去費として最大20万円、住宅改修または購入費は最大50万円まで助成。なら、らぶ、りぶ大阪府千早赤阪村「金剛山」や「下赤阪の棚田」など、自然豊かな地域にありながら、大阪市内へは約1時間の距離。村在住のネイティブの先生による幼稚園児から中学生までの英語指導や、中・高校生を対象とした海外留学の実施など、英語教育にも力を入れています。【子育て】「妊婦健康診査助成」… 最大14回11万6840円まで助成。【仕事】「小売店舗等開業支援事業」… 村内に小売店や飲食店などを開業するにあたり、開業資金の一部を助成。ちはやあかさかむら定住兵庫県川西市大阪まで約20分の好立地。新名神高速道路の(仮称)川西I Cが2017年3月末に完成予定で、神戸や大津にも行きやすくなります。また、キセラ川西せせらぎ公園や複合公共施設などを備えた「キセラ川西」が順次完成予定。【子育て】「保育施設の新設」… 待機児童の解消を図り、乳幼児期の教育と保育を充実させています。子育てと就労の両立をサポート。【仕事】「女性の起業支援」… 2016年7月開始予定。女性の起業に際し、起業前から起業後のフォローまで、包括的な支援を実施。幸福沿線川西市鳥取県待機児童数がゼロの鳥取県(年度当初)。人口あたりの小児科専門医数は全国第1位、産科・婦人科専門医数は全国第2位。海や山との距離が近く、海水浴や雪遊びができる点も魅力。【住まい】「お試し住宅」… 一定期間お試しで居住可能。実際に移住の際には空き家の紹介から改修費の支援など、市町村による支援策も充実。【子育て】第3子以降の保育料は、所得・年齢制限なしで完全無償化。第2子の保育料も一部無償化。子どもの医療費は、18歳まで自己負担上限額が530円/日(通院の場合)。とっとりこらぼ広島県東広島市広島県の真ん中に位置する東広島市は、交通網や商業施設が充実した快適な街である一方、内陸部の山々や瀬戸内海の自然にも恵まれています。さらに育児や教育などの支援環境も充実。子育て家族が住みたくなる街です。【子育て】「出産・育児サポートセンター」… 妊娠期から子育て期にわたるさまざまな相談に応じ、切れ目のない細やかな支援を行っています。【生活】「東広島定住サポートセンター」… 移住希望者の“くらし・住まい・仕事”相談窓口を設けています。子育てするなら東広島秋田県全国トップレベルの学力と高い志を育てる教育環境、地域が支える子育てなど、充実した教育・子育て環境があります。【住まい】移住に伴う引っ越し費用や、冬季生活用品の購入に対する助成制度があります。※制度の詳細は、現在調整中【生活】東京交通会館(有楽町)ふるさと回帰支援センター内に秋田への移住について相談できる窓口があります。秋田での暮らしの疑問・相談に応じる相談員や、秋田での暮らしを紹介する冊子なども用意してあります。秋田暮らし愛媛県松山市いろいろな要素が程よく混ざり合う「いい、加減」な暮らしができるのが松山です。通勤通学時間の短さ、余暇時間の長さ、家賃の安さ、地域食材の手に入りやすさ、病院や診療所までの近さなどが日本一。【住まい】「移住相談窓口」… 市職員が移住コンシェルジュとして、希望者の相談にワンストップで対応。地理感がない人のために制作した45地区別のマップ、若者世代向け、シニア世代向けの2種類の移住ガイドブックを用いて、一人一人のスタイルに応じた提案をします。いい、暮らし。まつやま福岡県「子育て応援宣言企業」が5500社を超え、「子育て応援の店」も約2万店。安心して子どもを育てることができ、次代を担う子どもたちが健やかに育つよう、地域全体で支え、応援する社会づくりを進めています。また、小児専門の医療病院やドクターヘリが配置された高度救急救命センターなど、医療体制も整っています。【生活】「ふくおかよかとこ移住相談センター」… 2016年7月、東京と福岡に開設予定。就職、就農、子育て支援、住宅、市町村の支援制度など、移住の相談にワンストップで対応します。福がお~かくらしillustrationKOIZUMI Naoko※2016年5月25日時点の情報です
2016年06月30日子育てをする親にとって、子どもの将来は楽しみでもあり、不安でもありますよね。いい大学に入学し、希望の職業に就けるよう、幼いころから習い事や受験に力を入れている人も多いでしょう。しかし、いい大学を出たからといって自分にぴったりの仕事ができるかというと、そうとも限らないもの。「30オトコの本音に向き合う」ビジネスマン向けサイト『R25』のアンケート調査で、「現在の仕事が自分の“天職”だと思うか?」という問いに対し、30~40代男性ビジネスマンの60.8%が「いいえ」と回答しています。「仕事が楽しくない」「自分の力を発揮できない」「他にできる仕事、やりたい仕事がある」というのがその理由。つまり、今の仕事が天職だと思っている人は39.2%しかいないのです。では、天職につくことができた人と、そうではない人はなにが違うのでしょうか?『一流の育て方』(ムーギー・キム&ミセス・パンプキン著、ダイヤモンド社)では、単に勉強ができるだけではない、ビジネスの世界でリーダーシップを持って活躍できる人を育てるための習慣や環境のつくり方について述べられています。特徴は、一流大学のなかでも特に優れたリーダーシップを発揮する200人以上に、幼少期の過ごし方についてアンケートをとっているところ。そのコメントも掲載されているので、リアルな声として参考になるはずです。今回は、本書に掲載されている「7大方針55か条」のうち、「視野を広げ、天職に導く」という方針の内容についてご紹介します。■子どもの視野を広げるのは親の努力次第著者のムーギー・キム氏は、フランスやシンガポール、中国で留学したことで人脈が広がり、視野が広がったといいます。世界中から集まる人たちの多様な価値観に触れ、また彼らが世界各地で活躍する姿を見ることで、自分も幅広い機会から天職を探そうという気持ちが強まったというのです。幼少期からさまざまな経験を通して視野を広げることは、親が子どもにできる最も重要な教育のひとつといえます。視野が広がり、自分の好き嫌いや強み、弱み、価値観を理解できると将来天職に近づきやすくなるのです。受験勉強だけをしてきた人は視野が狭くなりがちで、自分への理解も浅いことがあります。そのため自分の適性とは違う分野に進んでしまい、迷走することも少なくありません。子どものころ、自分で視野を広げるのは難しいもの。親の努力が子どもの可能性を大きくするといっても過言ではありません。■「知的充足感」は学習のエンジンになる「私の親は、生物や化学、歴史、文学など様々な分野の話をそのときどきの年齢に合った言葉で話してくれた。その中で興味を持ったことを語り合う相手になってくれた」。アンケートのコメントにあるように、自分で学ぶことの楽しさや知的充足感を覚えると、子どもは自分から学び、自律的に成長していくようになります。これは学習を続けていく上でのエンジンとなるので、できるだけ早期から身につける必要があります。■読書の習慣で自分から勉強する子になる「親に本の読み聞かせをしてもらっていた」「本はたくさん買ってもらえた」「いつも家に本があふれていた」。一流大学に進学した学生の多くは、このように幼少期から読書の習慣があったといいます。読書で視野が広がると、好奇心や読解力、集中力が養われ、自主的に勉強するようになるのです。子どもに読書の習慣をつけるのにもっとも効果的なのは、親が読ませたい本ではなく、子どもが関心を示す本を選ぶこと。車やアニメのキャラクターの本でも、虫の図鑑でもかまいません。とにかく、子どもの興味の延長線上で活字に親しむきっかけをつくってあげることが大切なのです。■親からの応援が「継続する力」を育む!「小さなころから、興味を持った習いごとはなんでもさせてもらえた」「理科に興味がある私に、市のイベントなどの情報を欠かさず教えてくれた」。そんなふうに、子どもが興味を持ったことをサポートするのが親の大切な役目です。たとえ学校の教科や習いごととは関係のないことであっても、親はそれを応援してあげましょう。親からの応援は子どもにとって大きなモチベーションとなり、継続する力を育みます。それに、好きなものに夢中になる過程で、子どもには「積極性」が芽生えます。自分からやりたがるようなことは、どんどん体験させてあげることが大切なのです。たとえば著者の息子は幼児期から生き物に興味を持ち、文字も読めないうちから図鑑を夢中でん読んでいたそう。やがて小動物を飼うようになり、それを通じて生き物に対する思いやりや、自分で世話をする自主性、責任感を学んでいたといいます。そして、好きなことに打ち込むことで自然と自分に自信がつき、将来の天職へのヒントも得られるのです。*本書には他にも「主体性」「やりぬく力」「コミュニケーション能力」など、自分の道を切り拓いていくために重要なスキルを身につけさせる方法が掲載されています。子どもの努力だけでなく、親もそれ以上の努力が必要。本書は「親の教科書」として、長く活用できるはずです。(文/平野鞠) 【参考】※ムーギー・キム&ミセス・パンプキン(2016)『一流の育て方』ダイヤモンド社※中堅ビジネスマン222人に聞いた!会社員が「天職」に出合う確率は?-R25
2016年06月24日子どもはかわいいはずなのに、子育てをしているとイライラして、つい大声を出してしまったり、手を上げてしまったり。そんな自分に自己嫌悪におちいっているママも多いのではないでしょうか。さら助産院(埼玉県)のベビーマッサージクラスで開催されたミニ講座「たたかない・どならない子育て」にて、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事などを務める高祖常子さんに話を聞きました。子育て中はイライラするのが当たり前講座に集まったのは0歳児の赤ちゃんとママ12組。講座は、ママたちに、「たたかない、どならない育児」と聞いて思うことを、一言ずつ話してもらうところからスタート。「しつけに厳しい父にたたかれて育った。子どもとどう向き合ってよいのかわからない」、「よその親が怒鳴っているのを見ると、将来ああなるのはイヤだなと思ってしまう」、「上の子がイヤイヤ期。毎朝、『今日は怒らない』と決意するのに、夕方には怒ってしまい、自己嫌悪になる」などの意見が出ました。うなずきながら聞いていた高祖さんは、「これから子どもが成長する過程で、イライラする瞬間は絶対にあります。そのときの対処方法を知っておくと、どなったり、たたいたりすることを避けられます」。赤ちゃんが泣き止まないときは?~これだけはやらないで!「0歳時の赤ちゃんに対しても、『泣き止まない』などの理由でイライラすることはありますよね。未熟な状態で生まれてくる人間の赤ちゃんにとって、泣くことは生きるための手段なのです。お腹がすいた、眠いといった理由だけでなく、なんとく気分がすっきりしない、という理由で泣くこともあるでしょう。何をしても泣きやまないときは、『泣きたい気分なのね』と泣かせてあげればいいのです」。高祖さんが挙げた、赤ちゃんが泣き止まないときでも、やってはいけないこと。・強く揺さぶる・投げる・口をふさぐ・たたく以上は、赤ちゃんの命を守るためにも、絶対にやめてくださいとのこと。イヤイヤ期はどうする?~「たたかない」と決める「自我が出る2~3歳は、『イヤイヤ期』と言われますが、これは成長のステップ。自分の気持ちを表現できるようになったということです。ただ、相手のことを考えたり、場の雰囲気を察したりすることはできない、気持ちを切り替えることも難しいので、大人にとって大変な時期であることは確かです。でも、子どもの主張を『ダメ!』と押さえつけてしまうと、自己表現の機会を奪ってしまいますし、たたいて言うことを聞かせる方法を取ると、親の顔色を見て行動する子になってしまうかもしれません。『軽くたたく』のつもりが、エスカレートする危険性もあります。とにかく、『たたかない』と決めてください」。子どもの困った行動には?~まずは子どもの気持ちを受け止めるでは、子どもが自分勝手なことを言ったり、迷惑な行動を取ったりした場合、どうすればいいのでしょうか。「怒る前に子どもの感情を受け止めることが大事です。たとえば、靴を履かない子に、頭ごなしに『履きなさい!』とどなるのではなく、『そうなんだね。履きたくないんだね』と気持ちを代弁してあげる。『じゃあ、これとこれ、どっちを履きたい?』と本人に選択肢を与えてあげるのもいいですね。部屋で棒を振り回そうとする子に、『ここでは危ないからやめてね』と制止するのはもちろん。でも、何度もやるのなら、それはやっぱりやってみたいから。『ここは危ないけど、人がいない公園ならいいよ』、『風船で作った棒ならいいよ』など、代替案や条件を示してあげたり、『どこならいいかな?』と一緒に考えたりするのもいいですね。威圧するのではなく、自分で考えて行動するように導いてあげることができれば、社会に出てからも、自分で判断・行動できる子になります」。上の子に厳しく当たってしまう場合は?~上の子に向き合う時間を作る「ママが赤ちゃんのお世話で大変なときに、上の子にわがままを言われて、イライラして当たってしまうことも多いですよね。そういう場合は、たとえば、『おっぱいが終わったら、二人で絵本を読もうね』のように、具体的な約束をしてみましょう。月一回でもいいので、下の子をパパに任せて上の子に向き合う時間を作ってあげるのもいいですね。おいしいおやつを食べて『ママと○○ちゃんとの秘密だね』と伝えたら、上の子はきっとうれしいはず。頭をなでたり、下の子に優しくしてくれたら『ありがとう。うれしそうだよ!』とほめて、下の子の気持ちを伝えましょう。心を満たされると、下の子にも優しくできるようになります」。ママのイライラを逃す方法を知っておこう「イライラしてたたいたり怒鳴ったりしそうになったときに、クールダウンする方法を知っておくといい」ということで、高祖さんのおすすめは、たとえばこんなこと。・子どもから離れる・深呼吸する・数を数える・お皿洗いなどで心を浄化する「触ってはいけないものは高い場所に片づけておく、お菓子売り場を通らない工夫をするなど、イライラする要因を排除することも大切ですね。また、日頃から少しでもリラックスする時間を作って、ガス抜きすることも必要です。一時託児サービス利用したり、パパに預けたりして、1時間でも2時間でも、一人になる時間を作ってください。家事もがんばりすぎないで、疲れた日はお惣菜を買うなど、手抜きをしてもいいのです」。相談できる人を見つけよう「日中一人でがんばっているママには、大人の会話をしたり、小さなことを相談したりできる人が必要」と高祖さん。「まずは、パパと向き合うことをあきらめないで。二人で、『子どもにはどんな大人になって欲しいか』を話し合ってみることも必要です。一時的な感情を子どもにぶつける対応が、思い描く将来のわが子の姿につながるのか、ということも見えてきます。でも、パパは帰りが遅かったり、話を聞いてもらえなかったりすることがあるかも。そういう場合は、両親でも、ママ友でも、行政の担当者でもいいので、とにかく相談できる人を見つけて欲しいですね」。私も7歳と3歳の育児中。毎日、仕事も家事もするべきことは山ほどあって、そのうえ子どもたちが思い通りにいかないと、ついつい大きな声に。子どものためにはならないと、わかってはいるのですが。早速、「どなりそうになったら深呼吸」を実践してみようと思います。取材協力:さら助産院特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワーク<文:フリーランス記者鯰美紀>
2016年06月20日全国には児童館や子育て支援センターといった、「地域子育て支援拠点」があります。保育士などの専門家に育児にまつわる相談や、ママ友づくりができるのはもちろん、子どもを遊ばせることもできるのも魅力です。子どもが生まれてから初めて施設を利用するママは多いかもしれませんね。おもに、保育園や幼稚園に入る前の子どもとともに利用するママが多いようですが、施設内でのトラブルもよく聞きます。■子どもから目を離さないで!子育て支援センターや児童館では、子どもを遊ばせることができる場所を設けているところが多いです。庭に遊具を置いて公園のような環境を作っているところもあれば、和室やマットを敷いた室内にスペースを設けているところも。子ども同士で遊んでいる間、ママたちが育児トークに花を咲かせていることは珍しくありません。しかし、話が盛り上がりすぎて子どもから目を離すのは危険です。職員が様子を見てくれてはいますが、利用者が多いとすべての子どもを見続けることは難しいでしょう。危険な行動を取ろうとしていても、離れた場所にいてすぐには止められないこともあります。子どもは予期せぬ行動を取るものです。ママ友とおしゃべりしつつも、わが子から目を離さないようにしましょう。■子ども同士のケンカに注意センターには、さまざまな年齢の子どもが集まります。年の違う子と遊ぶことはいい刺激になり、教育面でもいい影響があるようです。しかし、体力差のある年上の子とのトラブルから、ケガをしてしまうこともあるので注意しましょう。とくにオモチャの取り合いからケンカに発展することが多いのだとか。赤ちゃんはまだ「譲り合い」を知らないので、年上の子が使っているオモチャで遊びたいときには横取りしようとすることもあります。幼稚園生くらいになると譲ってくれることもあるのですが、2~3歳ではまだそれができないことも。すると、力ずくで奪い返そうとするのですが、まだ力加減ができないので、オモチャを思い切り引っ張ってしまいがち。感情をコントロールできずに全力で叩いたりすることもあるのです。こうした子ども同士のトラブルは、相手のママと揉める原因になりやすいですし、何よりも子どもに怖い思いをさせてしまいます。年の離れた子と遊び出したら、近くで様子を見ていたほうがいいですね。■プレママ期に見学へ行こう子どもだけでなく、ママたちのトラブルも多いようです。トラブルメーカーがいることもあれば、ママ友同士の派閥ができていて、利用しにくいムードができている場合もあります。たとえ子どもが楽しんでいるとしても、ママが気疲れするようでは考えものです。どのような環境か知るためにも、妊娠中に複数の施設を見学しておくといいかもしれませんね。近所に先輩ママがいれば、話を聞いてみるのもいいでしょう。人が多く集まるところでは何かとトラブルが起きやすくなりますが、そのことを覚えておけば予防することは可能です。絵本の読み聞かせやベビーマッサージなどの講座を行っているところもあるので、まずはそうしたサービスを利用して、徐々に慣れていくのがいいかもしれませんね。
2016年06月15日こんにちは、ママライターの木村華子です。“キレる子ども”が問題視されて久しいですが、実際に子育てをしてみると、なるほど確かに、子どもたちによる感情のコントロールがまだまだ幼いものだということを実感させられます。大の大人であっても日々感情を揺さぶられながら暮らしてるわけですので、ネガティブな感情が生まれること自体に問題はないのですが……、「私が子どものころって、こんなにキレてたっけ?」「反抗期って年でもないと思うのに、子どもがやたらとキレる……」と、わが子のブチ切れ問題にお手上げ状態のママも少なくはないはず。成長の過程として必要なキレ方(反抗期) なのであれば、こちらとしても納得がいくもの。しかし、なんらかの原因からわが子の性格が“キレやすい”というものに変化しているのであれば、親としてなんとか食い止めてあげたいですね。人がキレるとき、その原因はさまざまです。トラブルに巻き込まれたときや、そういうお年頃であるケースなどなど……。実はその原因のひとつとして、どのご家庭にも存在しているアノ調味料が関わっていることをご存知でしょうか?今回は、全国民が持っているであろう“白い麻薬” についてお話しします。●近年、キレる小学生が急増中!平成26年に文部科学省が公開した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」では、近年の子どもたちによる暴力行為の増加が浮き彫りになりました。このデータの中でも特に注目したいのは、まだ反抗期に入っていない年頃の小学生による暴力行為 です。なんと、ここ7年間のあいだに約3倍まで増えているのだとか。「私が子どものころって、こんなにキレてたっけ?」というママの不安は、記憶違いではなさそうです。キレる小学生について、2〜3歳ごろに表れる第一反抗期(イヤイヤ期)と中学生から高校生ごろにかけての第二次反抗期の間に存在すると言われる“中間反抗期”なのでは? という声もあります。しかしそれならば、もっと以前からキレる小学生たちが存在したはず。近年の増加を裏付ける理由にはならないのではないでしょうか。なぜ子どもたちはこんなにもキレるようになってしまったのか……その理由は子どもたちを取り巻く環境の変化にあるはずなのです。●白い麻薬=お砂糖!? 砂糖中毒の悪影響とは冒頭でお話しした“白い麻薬”。その正体は、お砂糖です。消化吸収の早いお砂糖を過剰に摂取すると、血糖値が急激に上昇します。この変化を埋め合わせるため、血糖値をコントロールする“インスリン”というホルモンが大量に分泌され、このインスリンによって、今度は血糖値が一気に下がります。血糖値の低下による影響を受けるのは、ブドウ糖をエネルギー源に機能している脳 です。脳がエネルギー不足に陥ると、“集中できない”“ボーッとする”などの症状が現れます。このような低血糖の状態を改善させるために、脳は“アドレナリン”というホルモンを分泌させるのです。アドレナリンといえば、気分の高まりや攻撃性を司る、別名“攻撃ホルモン” 。お砂糖と“キレる子ども”がつながってきましたね。低血糖症が起こると、以下のような症状が現れます。・キレる・疲れやすくなる・物忘れが多くなる・無気力になる・眠たい・不安になる・頭痛・筋肉がこわばる・手や足が痺れるなどなど。暴力的になったり、反社会的になったりするとも言われています。子育て中のママにとって、回避するべき症状ばかり!実際にアメリカ・バージニア州の少年院で行われた調査では、お砂糖の摂取量を少なくコントロールされた少年たちに、以下のような変化があったのだそうです。・反社会的行動……46%減少・暴行……82%減少・盗み……77%減少・命令への服従拒否……55%減少さらにその後、カリフォルニアやワシントンなどの少年院に収容される少年たち(8,000人)に対して同じ調査が行われ、反社会的行動が47%も減少した という結果が得られたのだとか。お砂糖の悪影響といえば、メタボリックなど体への作用がメジャーどころですが、実は心や性格にまで影響を及ぼしているのです。また、脳に直接影響を及ぼすお砂糖は依存性が大変高く、口にしたときに得る快感までの仕組みは、ドラッグを服用したときと同じものなのだとか……。「やめたくてもやめられない!」とお悩みのダイエッターが大勢いらっしゃることもうなずけます。●砂糖も含めた、すべての食べ物・調味料との付き合い方を見直してみませんか現代を生きている子どもたちに“お砂糖を全く摂取しない生活”を強いることは不可能だともいえます。いくら家庭で徹底していても、お友達のお宅でオヤツをご馳走になるシーンだってあるでしょう。あまりにも極端な食生活を送らせることで、わが子が偏った常識を持ってしまうことも避けたいところ です。身に付けたいのは、砂糖にだけ固執した考え方ではなく、やはり“食生活全体”のバランス。日本人の食生活が以前よりも粗悪なものに変化していることは、砂糖に限ったことではありません。イライラの原因として有名なものに、“カルシウム不足”“ビタミン・ミネラル不足”なども挙げられますね。ジャンクフードやインスタント食品、菓子パン、スナック、チョコレートなどでお腹を満たすのではなく、健康的な献立を考えてみてください。また、飲み物が毎回ジュース!というご家庭は、そこをお水やお茶にするだけでも違ってくるのではないでしょうか。子どもたちを取り巻く環境は、時代によって目まぐるしく変化します。体や心に悪影響を及ぼすものもあるでしょう。しかしその変化の中には、大人たちのさじ加減でコントロールしてあげられるものもあるはずです。「時代が違うんだから……」と諦めず、ぜひ正しい食事の楽しみ方を示してあげてください。【参考リンク】・児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 | 文部科学省(PDF)()●ライター/木村華子(ママライター)
2016年03月30日カゴメは3月17日、モデルの長谷川潤さんを招き、生鮮飲料「GREENS」の新アンバサダー就任式を開催。2児の母親でもある長谷川さんが、ハワイでの子育てについて語った。○子どもがうまれて「食生活」が変わった2011年に結婚し、現在はハワイ在住の長谷川さん。子どもがうまれてからは、特に食生活に気を配るようになったという。「もともと野菜が好きではなかったのですが、子どもができて、どんどん野菜が好きになってきました。というより、好きになるように努力をしています。子どもたちは私をまねするし、子どもは親の鏡だと思うので」とコメント。子どもには食べ物の好き嫌いもあるとのことだが、「食材の切り方を変えたりとか、好みそうな味つけにしたりとか、いろいろ挑戦しています。全然うまくいかないときもあるんですけどね」と笑顔で語ってくれた。ハワイにいるときは完全な"主婦の生活"を楽しんでいるという長谷川さんは、料理上手になるために日々努力を重ねているという。子どもたちが好きなメニューは意外にも「おにぎり」。日本の食材を販売しているスーパーに通い、日本食も楽しんでいるようだ。○家の中でも英才教育!?また子どもたちの教育についても、エピソードを披露してくれた。ハワイでのコミュニケーションは英語が主流だが、長谷川さんが子どもと話すときは「日本語」だけ。「家の中では英語禁止にしています。学校では英語を学ぶので、日本語が教えられるのは私だけだから」とのことで、「夫は中国語が話せるので、目指せ3カ国語ですね! 」と意気込んだ。ハワイで生活しながらも日本に対する思いは強く、「いつか子どもたちと日本で暮らす機会も作りたい」と話した長谷川さん。以前日本を訪れた時は、いちご狩りを楽しみ、旬のフルーツを家族で味わったそうだ。「ハワイは季節感があまりありません。今しか収穫できないいちごを食べるのは、いい経験になるかなと思いました。バクバクと食べていましたよ」と子どもたちの様子をうれしそうに語った。野菜中心の生活を送ることが美の秘訣(ひけつ)にもつながっていると話した長谷川さんは、子育てをしながらも週に2回はヨガに通っているという。2児の母とは思えないプロポーションと、周りを一瞬で明るくしてしまう笑顔が印象的な彼女のライフスタイルに今後も目が離せない。
2016年03月17日気軽に読めて、しかも笑える子育てマンガは、子どもの成長に合わせて読むと楽しさ倍増!そこで今回は妊娠・出産期、乳児期、幼児期に分けて、おすすめの子育てマンガをご紹介します。妊娠・出産期におすすめ! 『トリペと』リラックマの作者・コンドウアキさんが描いた「トリペと」シリーズ(主婦と生活社)は全5巻。クスッと笑えて、ためになる作品です。中でもおすすめは第一子の妊娠と出産を描いた『 トリペと–妊婦始めました 』。妊娠中に起きる心の変化や出産前に準備しておくべきこと、出産前の慌ただしい様子などが本人の体験と共にわかりやすく描かれていて、妊娠中に読むととても参考になります。(恥ずかしながら、出産は産む時よりも陣痛のほうがつらいのだということを、このマンガで知りました…)また、里帰り出産を描いた数少ないマンガでもあるので、里帰り出産を考えている人にもお薦め。ちなみに5巻の『 トリペと5 モッチンも 』では、第二子の妊娠・出産の様子が描かれており、第一子の時との違いも楽しめます。乳児期におすすめ! 『育児なし日記vs育児され日記』逢坂みえこさんの『 育児なし日記vs育児され日記 』(ベネッセコーポレーション)は、乳児期の育児の様子を母親の目線、子どもの目線からそれぞれ描いた作品。子どもが言葉を話さない乳児期は、子どもがなぜ泣いているのかがわからないのがとにかくつらかったので、たとえ推測であるにせよ、子どもがどんなことを考えて泣き、怒り、いたずらするのかということを子どもの目線から描いたこのマンガは、とても救いになりました。俺様キャラの赤ちゃんと「乳母」と呼ばれるお母さんの攻防がとっても楽しい作品です。幼児期におすすめ! 『ママはテンパリスト』「育児マンガと言えばこれ!」というくらい有名な、東村アキコさんの作品、『 ママはテンパリスト 』(集英社)。イタズラ盛りの男の子・ごっちゃんが繰り出すとんでもない行動やおもしろ発言は、子育てに関係なくどんな世代の人が読んでも楽しめるものですが、ごっちゃんと同じ3~5歳ぐらいの男の子がいるママが読むと「あるある感」がプラスされ、さらに楽しめます。断乳の際、胸にリアルなゴルゴを描いたり、青山にお出かけした際、ごっちゃんを静かにさせるため、「青山の青い鬼」というキャラを作り上げたり、大変な育児をちょっぴり楽しくするコツを教えてくれる作品でもあります。数々の苦労や失敗を笑いに変え、ホッと一息つかせてくれる子育てマンガ。この機会にぜひ読んでみてはいかがでしょうか?(岡本まめ)
2015年12月10日キヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)は、テクノクラフトのクラウドサービス「コミュニケーション&なび」の新サービスとして、子ども・子育て支援新制度に対応した「あずかり精算なび」を2016年4月1日より販売開始することを発表した。近年の共働き世帯の増加や就労形態の多様化、保育士不足を背景とした待機児童問題の解消をはじめ、子育てを社会全体で支えることを目的に、本年4月より「子ども・子育て支援新制度」が施行された。本制度により、保護者は子どもを預けられる選択肢が増え、子育てと仕事を両立しやすくなる一方、新たに設定される認定区分に応じて利用できる施設や料金が変わるため、認定区分によりどの施設・サービスを利用できるのかを正しく認識する必要があるという。また、施設側では、市町村への申請や保護者への利用料請求のため、一時預かり・延長保育の利用状況の把握や、手記入・手計算の処理の増加により、日々の業務負担の増加が懸念されている。それに加え、慢性的な職員不足、業務過多などを解決するためにはIT活用が課題となっているとキヤノンS&Sは指摘する。こうした課題を解消すべく、新システムは、預かり時間の管理に着目した新制度対応システムとなっている。登降園時または一時預かりや延長保育開始のタイミングに時間を記録することで、預かり時間数と料金が自動で算出される。時間の記録は、園児のバッグなどに着けたRFタグ(電波を利用して、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体)をRFID(電波を利用してRFタグに埋め込んだID情報を非接触で読み取る仕組み)対応のハンディリーダーで読み取ることで、スムーズな登降園と正確な記録時間の把握が可能。また、ハンディリーダーがなくても、タブレットで直接時間を入力して、運用することも可能となっている。記録したデータは、保護者への利用明細や、市町村への提出書類作成の負荷を軽減する。テクノクラフトは、幼稚園、保育園を運営しており、2011年に「コミュニケーション&なび」を提供開始した。実際の現場の先生や保護者の意見を反映し、「連絡なび」「バスなび」「出欠預かりなび」「写真コレなび」「絵本ドコなび」「名簿センター」といったラインアップをそろえ、同社によると現在約150の施設に導入されているという。幼稚園、保育園では、インフルエンザのシーズンだと、朝から園児の欠席連絡の電話が鳴り続け、ほかの業務を行えないような状況になるという。「コミュニケーション&なび」はパソコンやスマートフォンから連絡してもらうため、施設側の負担を軽減することができる。実際に、3回線必要だった電話回線を、同システムの導入によって1回線に減らした施設もあるという。「あずかり精算なび」の費用は、初期費用が1万円、年間利用料金は園児100名分までが6万9,600円、園児10名を追加するごとに、6,960円となっている。いずれも税別価格。この費用にはハンディリーダー、タグの代金は含まれおらず、また別途、導入後の設定費用、操作説明費用が発生する。なお、先行予約特典として、2016年3月末日までに「あずかり精算なび」を契約すると、初年度の年間利用料金が半額となるキャンペーンが実施される。
2015年11月27日子どもの妊娠を機に、育児休暇の体制が気になったり、あるいは転職を考えたりしたことのある人もいるかもしれません。産後も今と同じように「働きたい」と思っている人はどのくらいいるのでしょうか。これから子どもを産み、子育てをしたいと考える女性に聞いたアンケートの結果から、出産を終えて復職する理想的なタイミングや、仕事と子育てを両立させるために「大切なこと」など、さまざまな実態が明らかになったようです。産後も、今の仕事を続けたい?オウチーノ総研は、首都圏に住む20~35歳の子どもがいない女性511名を対象に アンケート を実施しました。「今後出産をしたら、出産後も働きたいと思いますか?」という質問について43.1%の人が「今の仕事を続けたい」と答える一方で「今とは違う仕事をしたい」という人が13.9%、続いて「パート・アルバイトをしたい」という人が9.2%、「在宅ワークをしたい」という人が6.3%と続きました。専業主婦ではなく、「仕事を続けたい」という人の割合が多いようですが、妊娠とともに子どもの預け先の問題などが生じることも。子育て中も仕事を続けるためには、そうした問題点を早めに見つけておくことも大切といえるでしょう。職場復帰、理想のタイミングは?「出産後も働きたい」と答えた人に「復職するタイミングはいつ頃が理想ですか?」と質問すると、15.0%が「出産後すぐ」、35.2%が「出産後1年以内」と答えました。1年以内に職場復帰したいと考える人が半数を占める中、「子どもが小学校・中学校に入学してから」「義務教育が終了してから」など、子どもの就学を機にする人もいます。出産前は「産んだらすぐにでも働きたい」と思っていたものの、実際子どもの顔を目にしたら「もっと一緒にいたい」という思いが込み上げ、復帰の時期を考え直したという人も。育児休暇の申請上、復帰時期があらかじめ決められている場合もありますが、職場復帰のタイミングは焦らず考えてもいいのかもしれませんね。仕事と子育て、両立に必要なものは?「『仕事と子育ての両立』をさせるためには、何が大切だと思いますか?」という質問には51.3%の人が「夫の子育て・家事への参加」と回答。「会社の制度の充実・活用」が31.9%、「保育園の施設・サービスの充実・活用(待機児童問題の解決を含む)」が18.2%、「妻の仕事に対する夫の理解」が11.7%と続いています。調査では2人に1人が「夫に育休を取得してほしい」と思っており、「共通の体験をしたいから」など、夫婦で子育てを楽しみたいという思いが伺えます。けれど、子育て制度の整った職場はまだまだ少ないのが現実のようです。夫本人が、そうした制度を利用することにためらってしまう…というケースもあるかもしれませんね。わが家の場合、「うまくできない」「(子どもが)ママのほうが安心する」という理由から子育てにやる気を見せない夫に対して「しょうがないか」という気持ちでいました。でも、今思えば妊娠中から子育てをやる気にさせるような声がけや、家事の訓練(笑)をすれば良かったなと後悔しています。お互い仕事を持っているなら、なおさら負担は分担したいもの。仕事と子育ての両立には「夫がどう取り組むか」にかかっているのかもしれませんね。(すだあゆみ)
2015年11月08日「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(1)「身支度をグズグズする子」への処方せん どならない子育ての練習(2)「ごはんを集中して食べられない子」への処方せん どならない子育ての練習(3)「出かける前なのに遊び続ける子」への処方せん の続きです「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だってよくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育て練習法」について、5回に渡ってお届けしたこの特集も、今回が最終回。伊藤さんのお話の中から、私が印象に残った部分をまとめてみた。「褒められて育っていない」のに「褒める子育て」をするのは難しい「私も含めて、今の子育て世代は、『(子どもを)褒めましょう』と言われても、自分たちは褒められて育っていないし、あいまいな表現で指示を出されてきたし、重たい罰をもらって育ってきました。だから、なかなか子どもを褒められないし、『褒めて育てるのなんて理想論だ』とも思えてしまいます。今はそれだけ混沌としているのです。」(伊藤さん)なるほど!と、思った。自分がされていないことを、子どもにやれと言われても…。自分たちはそう育てられていないのに、子育ての専門家は口を揃えて「子どもは、褒めましょう」と言う。混乱が起こるのは、ごく当然のことなのかもしれない。そこで役に立つのが、具体的な方法論。「母性が」とか「努力が」という観念論ではなく、今まで紹介してきた「具体的な方法論」があると、目の前の霧がパーッと晴れたような気分になった。みんな、実生活ではどなっている「ここは、とっても大事だし、強調しておいて欲しいのですが」と念押しされたのが、「伊藤さんも、実生活では完全にどならなくなったわけではない」という事実。伊藤さんは市役所の職員なので、講座の受講者が生活圏内に住んでいるということもありえる。だから最初に、「近所のスーパーなどで私を見かけても、子どもをめちゃくちゃ叱っている場面だったりしたら、見て見ぬふりをしてくださいね」と必ず伝えているとか。また、家庭内では妻に「どならない子育て」をレクチャーしないことも心がけている。「そんなことを上から目線で行ったら、『じゃあ、アナタやってよ!』とキレられるだけですから。僕以外の講師陣の男性たちはみんな、そこはとても気をつけている点です。」(伊藤さん)頭でわかっていても、できないことなんて山ほどある。ましてや夫に上から目線で言われたら、そりゃ、キレて当然だ。では、どうするのか? 「実際に自分がやってみせるという積み重ねです」と伊藤さん。なるべく気楽に!伊藤さんにマンツーマンでお話を伺い、原稿を書いた私。けれども、「明日から立派な母になれるか?」というと、まったくもって自信がない。というか、「無理だ!」と、この場で断言できる。では、伊藤さんのお話がムダだったのか?というと、それもまったく違う。今回教えてもらったことは、必ず頭の片隅に残っているからだ。それを少しだけ実践してみるだけでも、きっと何かが違ってくることだろう。なるべく気楽に! ボチボチとがんばってみたいと思う。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年11月01日「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だって、よくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育て練習法」。今回は、「出かける前なのに遊び続ける子」に対して、使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう!「どならない子育て練習法」の基本的な考え方は、コチラをどうぞ! 「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(3)出かける前だというのに、つみ木遊びを切り上げられない三郎くん朝の身支度がやっと終わり、保育園に行くまでには少し時間があります。三郎くんは、お気に入りのつみ木遊びを始めました。ママと三郎くんは「15分後に出かけるから、積木を片付けようね」と約束していました。15分経って、出かける時間になったので、ママは三郎くんに「出かけるから、つみ木を片付けて」と言いました。すると、三郎くんは、「まだ遊ぶ! 片付けるの嫌だ!」と大声で叫んで、持っていた積木を投げました。 不穏な空気が漂いまくり! ここは難しいが、あえてノーヒントで、肯定的な表現を使って、簡潔に何をすべきかを三郎くんに伝えてみよう。「優先順位が一番高い」と親が思うことだけを叱る今回の場合、三郎くんは3つの問題行動を起こしている。1.約束を守らず、片付けをしなかった2.イヤだと大声で叫んだ3.つみ木を投げた 子どもが一度に複数の問題行動をした、もしくは子どもを注意したら反抗して新たに悪さをした、というのはよくあること。「この時どう対応するかというと、1つに絞って話すのです。親としては、どれもつぶしておきたいところですが、ぐっとこらえて、優先順位の一番高いことだけについて叱るのです。」(伊藤さん)3つとも一気に指摘しようとすると、お説教が長くなる。そうなると、親が一生懸命叱った努力は報われず、子どもには話が多すぎて内容がぼやけてしまう。それよりも、ここは気持ちを切り替えて、1つに絞るほうが効果的。なぜなら、その方が伝わりやすいから。「あと、ここでも共感的な表現が欲しいところです。これがあるだけで、話が通りやすくなります。」(伊藤さん)答えとしては、「片付けるのがイヤなのはわかったけど、大声で叫ぶのはよくないよ。ママと同じ声の大きさで、もう一度『イヤだ』っていってみて」または「積木を投げるのはよくないよ。拾って」などだ。口答えにはどう対応するのか?しぶしぶ片づけをはじめた三郎くん。しかし、納得できなかったらしく、片付けを途中でやめてしまった。ママが再度、「片付けて」と言うと、三郎くんは「あとでまた遊ぶから片付けない。テレビだってしまったりしないでしょ」と屁理屈をママに言う。 ここでは、「積木を片付けること」だけに絞って三郎くんに話をしてみる。三郎くんに何をすべきかシンプルに伝えてみよう。答え:「まず片付けよう」三郎くんは、口答えを続けた。「なんでいつも片付けないといけないの! また遊ぶのに! ママのいじわる!」 三郎くんに何をすべきか伝えてください。答え:「三郎くん、片づけよう」三郎くんは口からつばを出して、「ぶーっ」と吹いて抵抗しました。でも、まだ話は通じそうで、かんしゃくは起こしていない。 三郎くんに何と伝えるべきか? 「共感的表現」を入れつつ、三郎くんに何をすべきか伝えてみよう。答え:「はいはい。片付けよう。片付けしたくないのはわかったよ。それに、まだ遊びたかったんだよね。それはわかった。でもね、もう出かける時間だから片付けよう」「子どもがかんしゃくを起こすわけではなく、抵抗はしていても話が通じる状態であれば、このようなやりとりで結構丸くおさまったりしますよ」と、伊藤さん。しかし、それにしても根気強すぎやしないか? 私には無理だ!!心と時間に余裕がある時にトライしてみる「もちろん、いつもこんな対応ができる親なんていません。さきほどのやり取りは、心と時間に余裕のある時だけ、トライしてみてください。もしかしたら、それでうまくいって、成功体験ができたらラッキーくらいの気持ちで。イライラしている時、気持ちに余裕がない時は、このような対応ができなくて当然です。できなくても気にしないでください。」(伊藤さん)ホッ。それなら、良かった。「心と時間に余裕がある時だけで良いのなら、トライできるかも」と、なぜか安堵する。子どもの口答えにつられて、話の焦点がぼけないように気をつける「それと、子どもが口答えをすると黙っていられず、会話上でも1つ残らずつぶそうとする親御さんの姿をよく見かけます(会話が好きな方に多いような気がします)。子どもの口ごたえにつられて、話の焦点がぼやけないように気をつけましょう」それも、私やっていますけど!? 子どもとの接し方の根本を、見直したくなってきた。次回はいよいよ「どならない子育て」の最終回。伊藤さんへの取材で印象に残った発言をまとめました。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月31日「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だってよくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育て練習法」。今回は、「ごはんを集中して食べられない子」に対して使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう!「どならない子育て練習法」の基本的な考え方は、コチラをどうぞ! 「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(2) 朝ごはん中に牛乳の入ったコップを揺らしたり、窓の外が気になる次郎くん身支度が終わった後は、朝ごはんです。次郎くんは、目の前の食事にちっとも集中せず、ごはんを食べながら牛乳の入ったコップを揺らして遊んだり、窓の外を見たりしています。「もう、早く食べてよ。保育園に行く時間でしょ!」という言葉が喉から出かかりましたが、ぐっと飲み込んで。さて、まず何をしましょうか? 今回は「 子どもへの伝え方 ポイント4つ 」のうち、「環境を整える」と「肯定的な表現」の2点の練習をしてみよう!環境を整え、シンプルに伝えるまず、環境面を整える。答えは、「子どものそばに行き、目線を合わせる。コップから手を離させる」だ。子どもに声をかけて、子どもがママの目を見る。これでやっと、「伝える環境が整った」と考える。次は、行動を具体的に表現するのをパワーアップさせて「肯定的な表現」を使う。「コップを持つなら牛乳を飲んでね」とか、「遊ぶのはよくないよ。ごはんを食べてね」となる。ちなみに否定的な表現であれば、「コップで遊ばないで」となる。窓の外が気になることについては、「次郎、前を向いて食べてね」とシンプルに伝える。ママが使いがちな疑問形3パターンここで、伊藤さんからのワンポイントアドバイス。「講座の中で、ママ達の答えに疑問形がよく登場します。この疑問形の使い方、ちょっと注意が必要です」<パターン1> 伝いたいことを明確にしてフラットに聞く疑問形ママ「今さぁ、横向いて食べているけど、それはよいこと? 悪いこと?」次郎「悪いこと」ママ「そうだよね、じゃあ前を向いて食べよう。これは子どもに考えさせたり、子どもの理解を確認できていて良い。<パターン2> 優しすぎる疑問形ママ「次郎くん、何をしているのかな?」次郎「ごはん食べているの」ママ「そうかぁ。今、横向いて食べてるけど、それはいいことかな?」次郎「いいことだよ」ママ「うーん、ママは横を向くのはいけないことだと思うけど、どうかな?」講座内でトレーナーは子ども役をするので、伊藤さんは子ども役で何度もこのパターンに出くわしているそう。そして実感を込めて、「これは本当にわかりにくいです」と言う。その場の雰囲気を理解すれば、言われているニュアンスが「横を向くな、前を向け」なのはわかるはずだが、言われている側からすると、ただ質問されているだけで、親の意図がわからなかったりする。<パターン3> 親の怒りやイヤミが込められた疑問形ママ「ねぇ! ママなんて言いたいかわかる?」「これもわかりにくいです。私自身も、妻から唐突に『ねぇ! 何か言うことないの? なんで怒ってるかわかる?』と言われると困ります(汗)。」(伊藤さん)サーッと血の気が引いた気分になった。たしかに、夫に同じことをされたら、気分が悪くなりこそすれ、「〇〇しよう」という前向きな気持ちにはまったくなれない。当然、子どもだって同じだろう。大好きなママにケンカ腰の声かけをされたら、それだけで心臓バクバク。ちょっとだけ想像力を働かせて子どもの立場になってみると、普段、子どもの置かれている状況が、かなり厳しいことが理解できた。伝わらないと親がしんどくなるだけ「あと、『なんで〇〇するの!』」というのもわかりにくいです。『なんで着替えないの!』『なんでお茶をこぼすの!』というやつですね。」(伊藤さん)一応、質問というかたちはとっているが、皮肉や責めることが目的であって、理由を聞く気がない。子どもが理由を答えようと「だって」と言うと、即座に「だってじゃないでしょ!」とカウンターが飛ぶ。嗚呼、ありがちすぎる!!!「パターン2とパターン3は、直接はっきりと言わず、言外の意図を察しなさいというわかりにくい表現です。そんな質問をするのなら、率直に『横は向かずに前を向いて食べてね』とシンプルに言ったほうがよっぽど伝わりやすくて楽です。伝わらないと親がしんどくなるだけです。」(伊藤さん)はぁ……。今まで私は何をやっていたのだろう? という気になってくる。気を取り直して、次回は、「出がけ前なのに遊び続ける子」に対して、「どならない子育て練習法」を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしていきます。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月31日「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だって、よくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。そんな伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試し、その効果を実感した「どならない子育てプログラム」。今回は、「身支度をグズグズする子」に対して、「どならない子育て練習法」を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう!「どならない子育て練習法」の基本的な考え方は、コチラをどうぞ!・ 「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす ・ 叱る=しつけにはならない!? どならない子育ての練習(1) パジャマ姿でボーっとしている太郎くん太郎くんは、朝、なかなか短時間で着替えることができません。今日も服が入っている引き出しの前で、パジャマ姿でボーっとしています。ママは、台所のカウンター越しにその姿を見つけました。ママと太郎くんの間には5mほどの距離があります。 今回は前回紹介した「 子どもへの伝え方 ポイント4つ 」のうち、「行動を具体的に表現する」と「環境を整える」の2点の練習だ。環境面を整えるまず、環境の面では、ママと子どもの間には5mほどの距離がある。親の気持ちとしては、その場で太郎くんにガツンと言いたいところだが、離れたまま大声で話しても負け戦になるだけ。ママは、話をする前にどうすればよいだろうか?答えは、「まず、子どものそばに行って、しゃがんで目線を合わせる」だ。子どもに声をかけて、子どもがママの目を見る。これでやっと、「伝える環境が整った」と考える。環境が整ったので、ママは行動を具体的に表現して、太郎くんに何をすべきかをシンプルに伝えてあげる。どんな声かけがあるだろう?「いいかげんにしなさい!」「いつまで◯◯しているの?」はNG答えは、いくつもある。「着替えてね」「まずパジャマを脱いで」「早く着替えてね」など。ちなみに、NGな言い回しは、「いいかげんにしなさい! いつまでボーっとしているの?」この原稿を書いている私は、「私、そのまんまのセリフ言っているわ!」と、唖然とした。けれども、この言い回しだと、あいまいな表現なので伝わらないそう。思わず言ってしまうが。子どもは気持ちを切り替えるのに時間がかかるもちろん、1回言っただけでは、子どもは動かないことのほうが多い。子どもは、わかってはいても、気持ちを切り替えるのに時間がかかることがあるからだ。「そういう時は、怒らずに5~10秒くらい間隔を置いて落ち着いたトーンで『着替えてね』とだけ繰り返すとうまくいくことがあります。ガミガミ言わずに、子どもが自発的に動くまで待つのです。」(伊藤さん)うわっ! もう、この時点で相当に難易度が高いんですけど!「そんなもんだ」と思う「1回の指示で従わなくても『そんなもんだ』と思って、何回かチャンスをあげてください。そうすると、意外に子どもはすんなり行動できたりします。もちろん、これも可能性の話なので、何回言ってもできないこともありますが、やってみると、『あっ、3回言っただけでできた』なんて場面に出くわしたりします。」(伊藤さん)これで着替えができたのであれば、褒めてあげる。「親に言われたからであっても、子どもの意志でできたことは良いことですから」と、伊藤さん。しかし伊藤さん、立派すぎやしないか!? いやいや、私がダメなだけなのか…。でも、ひとつわかったことがある。それは、今までの私のやり方では、子どもには伝わりづらかったということだ。目から鱗がポロリと落ちた気がした。次回は、「ごはんを集中して食べられない子」に対して、「どならない子育て練習法』を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしていきます。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月30日「どならない」のではなく、「どなる頻度」を減らす の続きです。「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だってよくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。伊藤さんが実際にご自分の娘さんに試して、その効果を実感した「どならない子育て練習法」。今回は、その基本的な考え方を紹介しよう。しつけとは教育、そしてトレーニング最初に最も根本的な問いが伊藤さんから、問いかけられる。「しつけとは何でしょうか? そもそも、私たちは何のためにしつけをするのでしょうか?」たいていの人は「子どもがうまく生きられるため」「幸せに生きられるように」「まずまずの生き方ができるように」といった回答となるのでは? つまり、私達がしつけで実現したいのは、特別なことではなくて、普通のこと。「こうしたら、お前もうまくやっていけるよ」ということを子どもに伝えるようとしているのだ。「どならない子育て練習法」風に少し堅い表現で言うと、「しつけとは教育、そして、トレーニング」ということになる。「しつけ」=「叱る」となってしまう理由教えるためには、まず伝わらないと始まらない。ところが、子どもにはなかなか伝わらない。何回言っても直らない。注意をすれば、聞こえないふりをしたり(そもそも聞こえていない)、言い訳を始めたりして、伝わらないことの方が多かったりする。そうなると、いつの間にか叱る頻度が増え、子どもを強く叱る↓子どもが泣く↓子どもが反省して「ママごめんなさい」と言う↓「まぁ伝わったのかな」と、親の気が済んで終了というように、叱ることで成立するしつけが多くなり、「叱る」=「しつけ」となっていきがちだ。子どもに話を伝えるためのポイントけれども、「叱る」ことは、しつけの手段であって、目的ではない。繰り返すが、「しつけとは、教育、そして、トレーニング」なのだ。では、なかなか話が伝わりにくい子ども相手に、どのようにすれば伝えられるようになるのだろうか? それには、以下の4点がポイントとなる。<子どもへの伝え方 ポイント4つ>1.行動を具体的に説明する子どもには、あいまいな表現では伝わらない。具体的な「動詞」で、シンプルに伝える。また「〇〇するのはよくないよ。△△してね」というふうに人格ではなく、行動を指摘する。2.肯定的表現をする「〇〇しないで!」はよく使う言い方だが、わかりにくい。「〇〇してね」の方が伝わりやすく、指示にも従いやすくなる3.共感的表現を使う「〇〇したい気持ちはわかるよ。でもね……」。たったこれだけのフレーズをつけるだけで、親が一方的に叱る形を避けられる4.環境を整える子どものそばまで行って、目線を揃える。周りに子どもの注意をそらすものがない環境で伝えるなど、一工夫をする(「どならない子育て」より一部抜粋)上記を読んだだけでは、「それが良いのはわかるけれど…」という感じかもしれない。次回は、いよいよ実践だ。「身支度をグズグズする子」に対して、「どならない子育て練習法」を使うとどんなアプローチになるのか? 具体的な実例で検証をしてみよう。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月29日育児に悩んだり、子育てに疲れたりした時は、子育て講座に参加してみるのがおすすめです。主催は自治体だったり民間団体だったり、さまざまですが、講座に参加して話を聞くことで新しい気づきが得られ、子どもと向き合える力も戻ってきます。今回はそんな子育て講座で聞いた話から、子どもの心の育て方をまとめてみました。子育てで最も大切なことは「自信を育てる」こと!子育て講座では、「子どもの自信」や「自己肯定感」「自尊感情」を育てることが、子育てで最も大切だ、と教えられます。「自分には価値がある」「自分ならできる」「自分が好き」という心を育てる、ということです。中には「自信は生きる力の土台」だと言う先生も。自信がないと、「何をしてもうまくいかない ⇒ チャレンジできない」というサイクルになってしまうのに対し、自信が育つと、「きっとうまくいく ⇒ チャレンジできる」と、人生がどんどん良い方向に動き出します。では、子どもの自信を育てるにはどうすればいいのでしょう? ポイントは以下の3つだそうです。<子どもの自信を育てる3つのポイント>ほめるスキンシップ関心をもって話を聞く 加えて、栄養学の先生によると、食事の記憶も「自尊感情」を育てるのに一役を担うのだとか。毎回栄養バランスの整った、手間ひまかけた食事でなくても、「仕事が忙しいのに、おにぎりは必ず作ってくれた」といった、心のこもった食事の記憶は「愛された記憶」として定着し、子どもは生きている価値を感じるというのです。なお、自尊感情が順調に育っているかどうかの指針として参考になるのが、「イヤイヤ期」。「イヤ、イヤ!」と自我を通そうとするのは、自分に自信がついてきた証です。「こんなにすごい自分が、なんで欲しいものを買ってもらえないの?」という気持ちの表れだそうです。つまり、「イヤイヤ期」は、親が子どもを上手に育ててこられた証拠と言えそうです。 穏やかな心を育み、社会に適応できる子どもを育てるために自分に自信があっても、「攻撃性」の高い子どもに育ってしまうと、社会で上手に生きていくことができません。そんな時に参考にしたいのが、子育て講座でよく話題にあがる「セロトニン」の話。「セロトニン神経」は穏やかな心を育むのに大切な神経で、これが不足していると、姿勢や寝起きが悪かったり、ストレスが我慢できなかったり、コミュニケーションを苦手に感じるようになるそうです。セロトニン神経の発達には、見つめるほほ笑む話しかけるほめる触れる、なでてあげる「歩行・呼吸・咀嚼」などのリズム運動太陽の光を浴びる が、効果的。こう見ると、「子どもの自信を育てる」のも、「セロトニン神経の発達を促す」のも、「ほめる」「なでる」など、当たり前のことのように思える愛情表現の積み重ねなのだとわかります。教育よりも「ヒマが大切!?」心と同様に、子どもの脳もどんどん鍛えてあげたいもの。「子どもの教育のため」と、おもちゃを次々に買い与えているご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、先生たちの講義を聴いていると、与えることが決して良い結果を導くとは限らないようです。ある先生は、「英才教育より、ヒマが大切」「意欲はヒマと退屈から生まれる」と言います。与えられ過ぎると、子どもは使いこなすことに忙しくなり、自ら学ぶ力や工夫が減るからだそうです。また、「求めているのに与えない」ことも、「求めてもいないのに与えすぎる」ことも良くないそう。与えすぎると、「何事にも受け身」の子どもに育つ危険性が。かわいいわが子に、いろいろと買ってあげたい気持ちを、時にはぐっとこらえて、子どもの様子を観察しながら、本当に必要なものを適切なタイミングで与えるよう、工夫してみては?無関心より、怒ったほうが何倍もいい!子どもは大人の真似をして育ちます。親が幸せでポジティブでないと、子どもだけが前向きに育つことは難しいでしょう。子育て講座の先生たちも、最後にはたいてい「親がまず幸せに!」と発破をかけてくれます。自尊感情の豊かな子どもを育てるために、「私の子どもだから大丈夫」というぐらい自分に自信を持って、と諭してくれた先生もいます。また、子どもが思いやりのある子どもになるには、親が、「怒り」も含めて、さまざまな感情を子どもに見せてあげることも必要だと説く先生も。子どもに「怒ってしまった」と、落ち込むこともあるかと思いますが、「無関心」より何倍もいい!というぐらい、おおらかに考えたほうがよさそうです。まずは自分が、失敗も落ち込みも笑い飛ばして、子どもとたくさん触れ合ってはいかがでしょうか。(滝 亜紀)
2015年10月11日イギリスで、子育て世代の親たちに向けた興味深いアンケート調査が行われました。「もっとも子育てを楽しめたのは、子どもが何歳のときか」というもの。子どもを持つママにとっては気になる調査です。はたして結果は?今回はイギリスのニュースサイト『Mirror』を参考に、子どもと過ごす時間について考えてみます。■子育てがもっとも「楽しい」のは5歳?アンケートは、異なる年齢の子どもがいる合計2,000家族を対象に行われました。それぞれの年齢ごとに、子どもと過ごす時間が楽しいか(楽しかったか)どうかを数値化してもらい、比較したのです。その結果、もっとも数値が高かった、つまり楽しい時間が過ごせたと親たちが回答したのは子どもが5歳のとき。反対にもっとも数値が低く、楽しい時間が過ごせたとはいえないのは、子どもが10~12歳のころでした。10歳ごろから、子どもの自立心が強くなりはじめ、親よりも友だちと過ごしたがったり、親をわざと「嫌い」といったり、親と一緒に歩くのを嫌がったりするようになります。思春期特有のそうした行動が、調査結果にも影響しているのかもしれません。■コミュニケーションが取れる年齢に5歳までに、子どものコミュニケーションスキルはかなり発達します。自分のしてほしいことや気持ちをきちんと伝えることができ、両親のことばもしっかりと理解します。子どもがことばをおぼえはじめる2~3歳ごろには、なんでも自分でやってみたいとがんばる「イヤイヤ期」と呼ばれる発達段階があります。その「イヤイヤ期」も卒業し、会話も楽しめるようになる5歳が、多くの親にとって子育てのゴールデンタイムとなっているようです。実際、38%が、「5歳ごろから、子どもときちんとしたコミュニケーションが取れるようになった」、3分の1は「5歳までに子どもがユーモアのセンスを見せはじめた」と回答しています。子どものコミュニケーション能力の発達は、会話に限ったものではないようです。全体のほぼ4分の1にあたる23%が「5歳までに子どもとスポーツや戸外での活動を楽しめるようになってきた」と回答し、5歳ごろからスポーツも含めた家族団らんが楽しめるようになってくると示しているのです。■家族でスポーツは「平均週3.5時間」この調査を行ったのは、スポーツを通して若者の育成や生活の質向上をめざすイギリスの独立慈善団体「ユース・スポーツ・トラスト」。同団体が展開する、家族のきずなを考えるキャンペーンの一環で行われました。アンケートでは、スポーツと家族団らんの関わりについて興味深いことも判明しました。全体の86%が「スポーツなどの活動を通して家族はより仲よくなれる」と答えていますが、実際に家族でスポーツなどアクティブな活動をして過ごす時間は、週当たりたったの平均3.5時間だったのです。週3.5時間ということは、平日も含めた7日間で考えると一日30分。乳幼児も含めた子どもを持つ親へのアンケート結果としては、やや物足りない数字です。毎日子どもと屋外でスポーツをするのは、たしかにハードルが高いこと。ですが、たとえば一日30分一緒に家の近所で散歩やサイクリングを楽しむのはどうでしょう。休日には家族でお弁当を持って広めの公園やアスレチックに出かけるのも楽しそうです。「ユース・スポーツ・トラスト」を主宰するフィル・チェンバレン氏は、家族で戸外活動を楽しむことが、子どもの成長によい影響を与えると話します。「活動的な子どもたちには、物事をよりよく、早く学ぶ力と、環境にすばやく溶け込む力があります。スポーツを通して子どもたちの活動的な面を育てることは、心身を健康に保ち、勉強もよくでき、自信にあふれ、社会でりっぱに生きていくことのできる子どもの育成につながるのです」■子育てのゴールデンタイムは伸ばせる子育ては楽しいことばかりではありません。ときにはうまくいかなくて悩んだり、思い通りにならなくてイライラしたり。でも、わが子とのちょっとした関わりで悩みやイライラが一気に吹き飛び、幸せを実感する――そんな瞬間もたびたび訪れます。そんな、ポジティブな面とネガティブな面のダイナミズムこそが子育てのだいご味ともいえます。子どもが成長し、独り立ちするまでと考えると、子育ての時間は決して短くはありません。子どもが5歳を過ぎたら子育ての楽しみが減ってしまう、なんて残念すぎます。おしゃべりはもちろんスポーツ、戸外活動もどんどん取り入れて、子どもとのコミュニケーションをしっかり取って、子育てゴールデンタイムをどんどん伸ばしていきたいものです。(文/よりみちこ)【参考】※What age are kids the best – Parents say 5-year-olds are most fun but 10 to 12 worst ages-Mirror
2015年09月26日子育てをしていると「0ヵ月~6ヵ月まで」「1歳~2歳まで」など、時期によってそれぞれ使うものが大きく様変わりしますよね。「1ヵ月前までは頻繁に使用していたのに、今はもうまったく使わない!」なんてことも珍しくありません。このように、使用期間の短い子育てグッズが大半の中、1年以上長く使える子育てグッズもあります。そこで、6歳の子どもをもつ私が「これは使用頻度が高かった」と思う上位3つのアイテムをご紹介します!使用頻度が高かった子育てアイテム(1)食事時に大活躍のハイチェアこれまでにもっとも活躍し、現在も使用しているのがハイチェアです。いとこからのお下がりという歴史あるハイチェアですが、木でできているために丈夫で安定感があり、子どもがよじのぼっても重みで倒れたことがありません。子どもが赤ちゃんの時にはローテーブルで食事をとっていましたが、歩き回るようになり、ものを触るようになったのでダイニングテーブルを購入。それに合わせてハイチェアを利用し始めました。ハイチェアなら、座高の低い子どもでも親と同じ目線で一緒に食事ができるので、とても便利でした。ツヤ加工してあると食べこぼしも拭きやすいのでおすすめです。使用頻度が高かった子育てアイテム(2)トイトレスタート時に必要な補助便座補助便座は、子どもがトイレトレーニングを始めた時期にお下がりをもらいました。以来、トイレ内に補助便座を置き、使用の際に子どもが1人で取り付け、使用しています。補助便座は「補助」と名がつくようにサポートアイテムです。私は、子どもが1人でトイレができるようになった時に一度取り外しましたが、子どもから「落ちそうで不安」と言われたので、いまだに置いています。プラスチック製の補助便座ですが、割れてしまうこともなかったので、意外と丈夫なことにも驚きました。使用頻度が高かった子育てアイテム(3)頭が大きくなっても対応可能なキャップわが子は帽子をひどく嫌がる子でしたが、3歳を過ぎてから被ってくれるようになったので、夏仕様のものを購入しました。こちらはメッシュ部分が多いので蒸れにくく、洗濯機でガシガシ洗えて扱いやすいのが特徴。そのため、毎年買い替えることもありません。頭の大きさに応じて調整出来るアジャスターの調整幅が広いので、小学生になって頭が大きくなっても、まだまだ被れそうです。「このキャップ、デザインが赤ちゃんぽいからもう被りたくない!」と本人が嫌がるまでは、使い続けたいです。今でも使用中のこの3つのアイテムは、子育てグッズの中では使用期間が長いものと言えるでしょう。使う期間の長さを考えると、特にハイチェアは、値段ではなく丈夫さを重視したほうがいいかもしれませんね!
2015年08月21日はたらこねっとは21日、「出産後の就業と子ども・子育て支援新制度に関する調査」を実施した。対象は小学校3年生以下の子どもがいる専業主婦100名、調査期間は6月5日~8日。○8割が仕事復帰に関心「子ども・子育て支援新制度」とは、子育てをめぐる課題解決を目的とし、内閣府が2015年4月よりスタートした制度。「子育て中の家庭の支援」「認定こども園の普及」「待機児童の解消」「地域の子育て支援の充実」などを実施している。「今後、就業・復職したいという意思や予定はありますか」という問いに対し、「ある」と回答した専業主婦は82%。「復職することを考えた時に、不安なことや心配なこと」については、「職場の理解を得られるか」(80%)、「子供の急病や行事による休みは取得できるか」(71%)、「仕事と家庭を両立できるか」(15%)が上位となった。具体的には「1歳を迎える頃には預けられる施設の空きがなくなってくるので、預けたい時期や自分が働く余裕ができた時に預けられない」「小さい子供がいると、子供の体調不良などで欠勤や早退があるため企業からは敬遠される」「自分の子供にさみしい思いをさせないよう働くにはどのようにすればいいのかわからない」という声が上がった。○新制度の認知度は低い「2015年4月からスタートした子ども・子育て支援新制度について、どのような制度か理解されていましたか」という問いに対し、「理解していた」という回答は38%。「理解していなかった」は55%で、「その制度自体を知らなかった」は7%であった。「子ども・子育て支援新制度による自治体の取り組みを受け、就業への意欲や働くことへの興味・関心は増しましたか」という問いに対しては、83%が「増した」と回答。「やや減った」は17%であった。「増した」という人からは、「働くために自治体が前向きになってくれているのは心強い」「両立できるように、希望する働き方ができるのであれば、仕事復帰を早くしたい」という声が寄せられた。一方「やや減った」という人からは、「実際は周りに待機児童がたくさんいる」「幼稚園の保育料の兄弟割引は殆どないに等しい」「母親はできる限り子どものそばにいるべき」という意見が集まった。
2015年07月23日「子どものことを『イヤ!』」と思うことがあってもOK! ママは、無理をしないで!」と言うのは、NPO法人 えじそんくらぶ代表の高山恵子さん。NPO法人 えじそんくらぶは、ADHDをはじめとした発達障害を豊かな個性の一つと捉え、長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体だ。高山さんは、「発達障害のある子の子育て法は、障害の有無に関係なく、すべての子どもに有効」と話す。今回はそんな高山さんに、子育てのヒントを伺った。ママの役割を休憩しよう子育て本を読めば読むほど、その通りにできない自分がイヤになる、ほかの子どもの比べてしまう、結果が出ないわが子にイライラする…そんな経験はないだろうか?でも、そう考えるのはあなたが無能なわけでも、子どもが悪いわけでもない。「この記事をクリックしている時点で、あなたは充分すてきなママです。だって、『子どもをイヤ!』と思う自分を何とかしたいと心の中で感じているのですから!」と、高山さん。ママが頑張りすぎていると、子どもが思い通りに動いてくれない時、怒りが爆発しがち。「もう、知らない!」と限界になる前に、時々ママの役割を休もう! リラックスすれば自然に笑顔も出てくる。「子ども」がイヤなのではなく、その「行動」がイヤママがリラックスするためのヒントのひとつに、「あなた(子ども)自身」と「行動」を分けることがある。これは、これからお話しするすべてのことに通じる大切なヒントなので、少し丁寧に説明しよう。まず、こんな場面を想像して欲しい。スーパーで我が子が走り回って大騒ぎ。毎度のことで、堪忍袋の緒がプッチン!と切れたママは、「どうしてちゃんと静かにできないの! 走り回ってダメな子ね!」「ママ、そんな悪い子は嫌いよ!」と子どもに向かって口走る。ここで意識したいのが「あなた(子ども)自身」と「行動」とを分ける視点。下記のように、行動と存在を引き離して考えてみる必要があるのだ。【OK例】「走り回る」のはNG。「あなた」はOK。→存在を切り離して、行動を否定。【NG例】走り回るあなたはNG。→行動と存在を一緒に否定。「我が子の『存在』がイヤ」なのではなく、「その時の我が子の『行動』がイヤなだけ」。だから、その『行動だけを変えていけばいい』と考えてみよう。「あなたはOK!」が心を育てる栄養に小学生になる頃から、子どもは「自分のイメージ」が明確になってくる。「自分はOK!」というプラスのイメージを持てるようになるには、まず「大好きなママから自分はいつも守られ、認められている」という安心感が必要だ。「少し意識するだけで、言葉がけがプラスに変わります。『子どもの存在は○。行動がときどき×または△』と考えてみてください。さっそく今日から、将来の子どもの自己イメージづくりを意識して、試してみましょう!」と、高山さん。次回からは、無意識にやっている自分のパターンを理解するために、事例を設定して、「あなたならどうする?」という三択式のQ&Aで、子育てのヒントを紹介します。「こんな発想があったのか。もっと、この話を詳しく知りたい!」と思った人は◇ママもこどもも悪くない!「 しからずにすむ 子育てのヒント 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,200円(税別)
2015年07月16日子どもたちの成長や変化に、喜びながら戸惑いながらも一生懸命頑張っている親も多いはず。子育ての悩みは尽きないものですが、ふと振り返った時、子育てをする上で本当に大切なことというのは、実はそれほど多くない。そんなことに気づかせてくれた本を、ご紹介します。『 佐藤初女さんの心をかける子育て 子どもと心を通わせるための7つの質問 』(佐藤初女・著/小学館)の著者、佐藤初女(さとう・はつめ)さんは、青森県で、助けを求めて訪れるすべての人を無条件に受け入れ、食事と生活を共にして、再出発させる『森のイスキア』を主宰している94歳の女性です。育児に悩む母親たちの心が軽くなるヒントが散りばめられた本初女さんは、自分自身の子育てを「反省ばかり」と振り返りながらも、あえて失敗談を話すことで、現代の母親たちが同じ轍を踏まないように伝えてきたいと考えているそう。そんな初女さんの言葉には、経験という重みがあり、心に響きます。この本には、子育てを頑張りすぎている母親たちへのエールと共に、育児に悩む母親の心が軽くなるようなヒントがたくさん散りばめられています。親が子どもに対してできる、たったひとつのこと「先回りしないで子どもを受け入れること。これ以上に親のできることはありません。」(質問(1) わが子を幸せにするために、親ができることは何ですか? より)頭でわかってはいても、親だって人間です。つい子どもに、自分たちの欲求や願望を求めてしまうこともあるでしょう。しかし、それを押し付けることは、決して子どもにためになることとは言えません。親である私たちは、「子どもを受け入れる」だけでいいのです。ほかに何もせず、たったひとつ「受け入れる」ことだけをすればよい。この言葉を頭の片隅に置いておくだけで、育児に対する心持ちが変わってくるのではないでしょうか。子育てに行き詰まった時には、自分の子ども時代を思い出してそれでも、時には「子育てがうまくいかない」と悩むこともあるでしょう。そんな時の対処法を著者は、以下のように述べています。「思うように育たないときは、親が自身の子ども時代を振り返るのがいちばん」(質問(1) わが子を幸せにするために、親ができることは何ですか? P.10より)たしかに、自分の子ども時代を振り返り、親に対してどのような思いを抱いていたかを思い出すことで、自然と子どもの気持ちが見えてくるように思えます。育児とは、子どもの持っているものを伸ばすこと著者はこうも言っています。「その子の持っているものを伸ばしてあげる、という心で育てることが大切です」(質問(1) わが子を幸せにするために、親ができることは何ですか? P.14より)「見守って信じる」ことは、簡単に見えてとても難しいことです。わが子をかわいく思うあまり、つい手や口が出てしまうのが、親である私たちの心情です。しかし、子育てにおける親の役割は、あくまでも子どものサポート。子ども自身の力を信じ、見守るのが大切ということなのですね。「親は子どもを受け入れ、見守ること」という考え方を基本軸に置いておけば、子育てでどんな悩みにぶつかっても、子どもに対する態度や接し方に迷いがなくなっていくのではないでしょうか。著者の優しい言葉の言い回しと、子育てへのアドバイスが多数紹介されているので、読んだ後にはスッキリとして、育児疲れが癒された印象を持つ人が多いはず。育児の悩みは「悩んでいるのは自分だけじゃない」と知るだけでも、楽になれるものですよね。ぜひ、手に取ってみてはいかがでしょう。
2015年06月27日子育てはコーチング技術を使えばもっとうまくいく! 親が子育てで「野望」や「不安」以外に持てるものって何!? 子どもの気持ちを受けとめるって? ママが身につけたい、子どもの話を聞くためのスキル の続きです。コーチングという視点で子育てを眺めてみると、親といえども、子どもにお説教するには10年早い! くらいのことが判明。子どもにお説教する(働きかける)までに、親としてすべきことがありすぎて、目まいがしました。 しかし、やっと本特集4本目にして、子育てコーチングの実践編「子ども働きかけるスキル」に到着。引き続きお話を、国際コーチ連盟マスター認定コーチの、あべまさいさんに伺いました。コーチングのポイントは質問の仕方にありコーチは質問のプロ。なぜなら、質問をすること自体が、そのまま相手への働きかけに繋がるからだ。コーチが考える質問には、大きく分けて次の2種類がある。・オープンクエスチョン(直訳すれば、「開かれた質問」)5W1H(いつ、どこ、誰、何、なぜ、どのように)でたずねる質問。相手が自由に話すことができる形式・クローズドクエスチョン(直訳すれば、「閉じられた質問」)「はい」か「いいえ」で答えられる質問。質問者のために作成されたもので、答える相手にプレッシャーをかけてしまう可能性もある。子どもには、オープンクエスチョンで自由に答えさせるこの技術を子育てに応用するには、子どもにもオープンクエスチョンで質問をする必要がある。ただ、日々の子育ての中で「今のは、オープンクエスチョンになっていたかしら?」などと考えられる余裕は、残念ながらない。だが、そんな人でも、次のエピソードは、ポンっと頭に入るのでは? あべさんの友人コーチが、夜、自宅で仕事をしていた時のこと。クライアントにオープンクエスチョンを投げかけ、コーチングが終わって、和室のふすまを開けると、当時9歳の息子のげんちゃんが、そこに正座していた。コーチングをずっと聞いていた様子。『お母さんズルイ。僕には<ああしろ、こうしろ>しか言わないのに、ほかの人には<何がしたいんですか?>なんてきいてあげているじゃない。ぼくにも、そういうふうにきいてよー!』と言った。子どもにオープンクエスチョンを実践してみたら…思わずシーンが目に浮かぶようなエピソードだったので、早速、我が家でも実践してみた。小学校5年生の双子の息子たちに、「本日の塾の勉強は、どんなふうにする予定ですか?」と聞いてみたのだ。紙と鉛筆を用意し、「ママはお話を伺う気は満々です!」的な気配を漂わせる。すると、どうだろう。息子たちは鼻を膨らませながら、「国語はちょっと時間がかかるから、最初は理科をやる」「社会は工業地帯を暗記しないとなんないんだよ」などと言い始めた。そんな話を紙に書き取り、項目を整理してやると「本日のTO DOリスト」が出来上がった。いつもはああしろこうしろと口うるさく言わなければ決まらないことがすぐまとまるなんて、素敵!! 子どもにとっては、珍しさも手伝ってのことなのだろうが、それでも嬉しかった。ぜひ、皆さまも試してみてほしい。今回の「質問をするスキル」は、コーチングで相手に働きかけるスキルの、ほんの出だし。次回は、承認することで、子どもに働きかけることを学びます。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年06月27日