Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』(2019年秋配信)でメガホンをとった園子温監督が25日、都内で行われた「Netflix オリジナル作品祭」に登壇。今年2月に心筋梗塞で緊急搬送されたことをネタにジョークを飛ばした。園監督は冒頭のあいさつで「本当に長い時間編集して、ダビングして、その繰り返しをした結晶」と本作を表現。「すごく素晴らしいものができたと自負しております」と自信をのぞかせた。最後のあいさつでは「今年2月に心筋梗塞で倒れて、緊急搬送されて、1回死んでよみがえったんですけど、すべての原因はNetflixのこれのストレスのせいで倒れたと言っても過言ではない」と話して笑いを誘い、「ものすごい編集の量で、ものすごい長い時間をかけて作りましたので」と強調。「Netflixに慰謝料を払っていただきたいなと思いますけど…労災ですかね」とジョークを飛ばした。本作は、実際の猟奇的殺人事件にインスパイアされた実録シリーズ第三弾となるサスペンスドラマ。快活で好ましい人物のように見えるが、実際には他人を巧みな話術と暴力で支配し、金を搾り取り、出会った人々を残虐な犯行へと巻き込む冷酷な先天的犯罪者・村田丈(椎名桔平)を主人公に、人間社会の本質と人間の深溝を描き出す。同ステージには、キャストの椎名桔平、満島真之介、でんでん、武藤大司プロデューサーも登壇した。
2019年06月25日舞台『ここはグリーン・ウッド』のキャストが1日、明らかになった。小西成弥、大平峻也、影山達也、の長妻怜央が出演する。同作は、1986~1991年にかけて『花とゆめ』(白泉社)にて連載されていた、那州雪絵の代表作。主人公・蓮川一也は、初恋の女性が唯一の肉親である実兄と結婚してしまい、失恋のショックから全寮制の名門男子高校「緑都学園」に進学を決意するも、入学前日に胃潰瘍を患い、1か月遅れで入学・入寮することに。学園附属の寮・通称「グリーン・ウッド」は、寮長の池田光流・生徒会長の手塚忍・同室の如月瞬を始め、“変人の巣窟”と噂される程、一筋縄ではいかない個性派な面子が揃っていた。国内のみならず海外でも高い評価を得ている同作だが、舞台化は初めて。蓮川一也役には『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』シリーズの小西成弥、如月瞬役にはミュージカル『刀剣乱舞』で第69回NHK紅白歌合戦にも出場経験のある大平峻也、手塚忍役にはハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」でメインキャラクター・影山飛雄を演じ切った影山達也、作品の中でも人気の高い池田光流役には今、舞台「7ORDER」で話題の長妻怜央が決定した。○小西成弥 コメントはじめまして、蓮川一也を演じさせていただきます、小西成弥です。学園ものということで制服を着られるので凄くワクワクしています。演出のほさかようさんとは何度もご一緒させていただいているので楽しみですし、素敵な作品になること間違いなし!だと思います。稽古に入る前にしっかり準備をして作品に取り組みたいと思います。皆さん、是非劇場でお待ちしております!!○大平峻也 コメントこの作品は、昭和、平成、そして令和、沢山の方の心に青春をくれた作品です。そんな偉大な作品に如月瞬役として出演させていただける事とても光栄に思います。原作ファンの皆様に当時の気持ちや、青春の香りを感じていただけるよう、初めてこの作品を知る方にはこの作品の世界を存分に楽しんでもらえるよう精進していきますので、ぜひ会場に足を運んでくだされば嬉しいです。○影山達也 コメント皆さま初めまして!「手塚忍」を演じさせていただきます、影山達也です!忍は冷静沈着、ポーカーフェイスな生徒会長という事で、僕とは正反対な性格の役どころを演じる事が今から楽しみです!皆さんに楽しんで頂けるように精一杯頑張ります!!夏の劇場に、いや、緑都学園のグリーン・ウッドに遊びに来て下さいね!○長妻怜央 コメントはじめまして、池田光流役を演じさせていただきます長妻怜央です。長く皆さんに愛されているこの作品に出演できるということでとても光栄です。原作も読ませていただいて、個性的なキャラクターが沢山いる中で、光流は、とにかく、かっこいい !というのが素直な感想でした!!こんなにかっこいい役で、僕よりも年上の方々と共演、さらに、年下の僕が先輩役をやらせて頂くのは不安もありますが、スタッフの方々に諸々ご指導いただきながら、しっかり役作りをしていきます。池田光流は、長妻怜央で良かったと思ってもらえるように、精一杯頑張ります!!!公演は7月19日~7月28日、天王洲銀河劇場にて。脚本・演出は、ほさかようが務める。(C)那州雪絵/白泉社
2019年06月01日俳優の草なぎ剛(44)と女優の小西真奈美(40)が、京都劇場で上演される舞台『家族のはなし PART I』(5月4日~6月1日)で、つかこうへいさん演出の舞台『蒲田行進曲』以来19年ぶりの共演を果たす。長い年月を経て再会した2人に、お互いの印象や本作にかける思いを聞いた。『家族のはなし PARTⅠ』は2本の喜劇で構成。第1話「わからない言葉」では、草なぎが犬役に挑戦し、小西と池田成志が演じる佐藤夫婦に飼われている犬・ハッピーを演じる。第2話「笑って忘れて」では、草なぎと小西が夫婦役。草なぎは広告会社のプランナーの夫・兵頭弦太郎、小西は弦太郎の妻でフリーのイラストレーター・兵頭えみを演じる。○■お互いに抱き続けてきた“親近感”――3月に放送されたラジオ番組で再会されたそうですが、19年ぶりに対面していかがでしたか?草なぎ:真奈美ちゃんが可愛くてね! 19年前と変わってなくて。真奈美ちゃんすげーなと思って(笑)。マジで全然年を取ってないわけよ。恐ろしい人だなと。やばいですよね、この仕上がり!小西:とんでもない!草なぎ:僕は『蒲田行進曲』のつかこうへいさんが人生の大きな転機となる出会いだったんですけど、真奈美ちゃんもそうだったと伺っていて、すごく縁を感じている。なので、19年ぶりに会ったんですけど、つかさんがいてくれたおかげで僕の中で真奈美ちゃんはすごい密接につながっているんですよね。つかこうへいさんは、お芝居するとき以外もどんなときも心の中にいて、そのときいた真奈美ちゃんも勝手ながら親近感があって、当時の真奈美ちゃんの顔も覚えているんですけど、まったく変わってなくて。もちろん大人にはなっていますけど。小西:うれしいです!草なぎ:19年前、僕はつかさんと出会って、お芝居の扉が開いたんです。そこに真奈美ちゃんがいてのことだったので、真奈美ちゃんがいなかったら僕もヤスという役は演じられなかった。今回も、僕らがやるっていうことは絶対に何か起きるんじゃないかなとすごく楽しみにしています! すみません、熱くなってしまいまして(笑)小西:逆に光栄です。草なぎ:つかこうへいだけに“こーえい”だ!“こーへい”じゃないね(笑)小西:“こーえい”です(爆笑)――小西さんは19年ぶりの再会はいかがでしたか!?小西:「どうもー」みたいになったらどうしようかなと思いつつも、お会いした瞬間から「真奈美ちゃん!」っていうこの感じで、「あー草なぎさん変わってない!」と。あのときも優しくて毎日声をかけてくださって、「一緒に頑張ろうね」って言ってくださって。それを私もずっと覚えていたので、19年経ったと思えないくらいあっという間にそのときに戻りました。私も勝手にずっと親近感を持たせていただいていたし、草なぎさんがヤスさんだったから私も小夏という大きい役を乗り越えられたと思っているので、今回の夫婦役も、やっさんと小夏のときの愛情とはまた違うタイプのストーリーで、時を経て一緒にやらせていただいてどんな風になるのかすごく楽しみです。○■犬&飼い主役と夫婦役の役作り――台本を読んでどう感じましたか?草なぎ:19年ぶりに真奈美ちゃんとできるので、もうどんな本でもいいなと思って、すぐ『はい、やります』と(笑)。台本もとても家族愛があふれていたり、クスッと笑えるところもたくさんあるんだけど、ちょっと切なくじんわりとほろりとするところがあるので、これはもういい舞台になるんじゃないかとドキドキワクワクしています。小西:舞台が久しぶりで緊張しているんですけど、草なぎさんと19年ぶりなので率直にうれしい! またご一緒できるっていうのがうれしくて。台本を読ませていただいたら、草なぎさんと夫婦役をやらせていただく2話もすごく愛にあふれている話で、そして1話はわんちゃんをやられるので、どんなわんちゃんになるんだろうと(笑)、私自身も見る側の気持ちになって楽しく読ませていただきました。――1話と2話で役が違い、特に草なぎさんは犬役と夫役とまったく違いますが、それぞれ役作りをどう考えているか教えてください。草なぎ:犬っていう本当に初めての役。よく「今回は初めてのお医者さんの役なんですよ」とか言いますけど、マジで初めて。けっこういろんな役をやってきたけど『犬かよ!』って(笑)。考えもつかなかった役なので面白いなと思っています。僕自身も2年前からクルミという犬を飼っていて、役作りにもなるなと。クルミを飼っていてすごい疑問に思っているのは、一体クルミは何を考えているんだろうって常に思ってて、初めて犬を飼って毎日試行錯誤しながらの2年間。自分の愛犬を役作りに生かして頑張ろうと思っています。もう1つの真奈美ちゃんとの夫婦の役はすごくじんわりするというか、直感ですけど、これはすごくいいものになるんじゃないかなと。それこそ19年っていう月日があるからこそできるようなお芝居にもなるんじゃないかなと思って、これはじっくりと、じんわりとできたらと思いますね。2人の空気感とかで。小西:私はどっちも妻役で、1話は成志さんの妻で、2話は草なぎさんの妻。1話のほうが、台本のからくりが難しくて、成志さんと「どうしよう」って。とにかくやってみないと、という感じですけど、それを体に染み込ませたら2話の妻と1話の妻とまったく違う良さがそれぞれ出てきて、お客さんに違うことを感じてもらえるものになるんじゃないかなと。頑張ります! という感じです。2話は草なぎさんの妻の役で、日常レベルの話なので感情をどのくらいのレベルにするのかとか、演出がどうなるのか楽しみです。――草なぎさんは愛犬クルミちゃんを参考にされるとのことですが、草なぎさの表情や動きにどのように生かされそうですか?草なぎ:こっちの気配を感じて距離感を変える…落ち込んでいるときは少し寄って来てくれたり、朝起きたときから今日はお留守番なのか出かけられるのか何も言ってないのにわかるらしいんですよね。人間の気を感じるのかもしれない。すげーなって思う! だから、成志さんと真奈美ちゃんが言い合っているときは、どっちかに寄ったりするんだろうなって。小西:草なぎさんのわんちゃん役、楽しみです! 私はハッピーを愛している役ですけど、私自身はわんちゃんを飼っていないので、飼い主としていろいろ伝授いただきたいです。こう来たときはこう扱うよ、とか伺えたら。草なぎ:了解しました!■プロフィール草なぎ剛1974年7月9日生まれ。1991年にCDデビューして以来、数々の名曲を世に送り出し、『NHK紅白歌合戦』に23回出場。2017年9月には稲垣吾郎、香取慎吾とともに「新しい地図」を立ち上げ、「雨あがりのステップ」など配信リリース。俳優としても、ドラマ『いいひと。』(1997)、『僕の生きる道』(2003)、『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004)、『任侠ヘルパー』(2009)、『銭の戦争』(2015)、映画『黄泉がえり』(2003)、『BALLAD 名もなき恋のうた』(2009)、『クソ野郎と美しき世界』(2018)、『まく子』(2019)、舞台『蒲田行進曲』(1999・2000)、『バリーターク』(2018)、『道』(2018)など数々の作品で活躍。そのほか、AbemaTVのレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』や、“ユーチューバー草なぎ”としての活動も注目を集めている。小西真奈美1978年10月27日生まれ。『寝盗られ宗介’98』で女優デビューを果たし、舞台『蒲田行進曲』でヒロインに抜てき。映画『阿弥陀堂だより』(2002)で日本アカデミー賞新人俳優賞など数々の映画賞を受賞し、2007年にはTBS系『きらきら研修医』で連続ドラマ初主演を務めた。そのほかの主な出演作に、ドラマ『ちゅらさん』(2001)、『小児救命』(2008)、『喰う寝るふたり 住むふたり』(2014)、『半分、青い。』(2018)、映画『UDON』(2006)、『のんちゃんのり弁』(2009)、『振り子』(2015)、『トマトのしずく』(2017)、『ミッドナイト・バス』(2018)など。歌手としても活動しており、2018年10月24日に自身が全曲作詞作曲を手掛けたメジャー1stアルバム『Here We Go』をリリースした。
2019年04月11日映画監督の園子温(57)が2月7日、病院に救急搬送された。8日のサンケイスポーツによると園監督は心筋梗塞と診断され、そのまま入院し手術を受けた。命に別状はないが、「当面は療養を要する」と事務所はコメントしているという。独自の世界観により、出演俳優からの支持も厚い園監督。各メディアによると同日に開催されたエランドール賞授賞式後の会見で、09年の映画「愛のむきだし」に出演した松岡茉優(23)は「えっ!今、知りました」と園監督の一報に絶句。また同席していた02年の「自殺サークル」で映画デビューとなった田中圭(34)も「びっくりしました」と言葉少なだったという。11年の映画「冷たい熱帯魚」や12年の「ヒミズ」といった作品が海外でも人気の園監督は、日本映画を牽引する存在。現在は、あのニコラス・ケイジを主演に迎えたハリウッドデビュー作の準備をしている。「園監督は今後、ハリウッドを中心に制作をしていきたいと考えています。そしてハリウッドでうまくいったら日本で、新しい映画会社や映画館をつくりたいそうです。そうして古い体制やしがらみの多い日本の映画業界を変えたいという夢を持っているんです。園監督のそういった姿勢は業界でも支持されています。そのため、無事だったことにみんなが安堵しています」(映画関係者)Twitterでも園監督の復帰を望むエールが上がっている。《監督にはまだこれからハリウッド随一の怪優ニコラス・ケイジと映画を撮るという超ビッグプロジェクトがあるのです!早く元気になって欲しいです!》《完治してニコラスケイジ主演のハリウッド映画を完成させて世界をあっと言わせてくれ!!》《たのむで、ハリウッド》心筋梗塞は喫煙と関連が強いとされているが、園監督は大の愛煙家。8日のスポーツ報知によると、「150回以上も禁煙を試みたが、できなかったようだ」と関係者は明かしているという。映画ファンのためにも、身体には気をつけてほしい。
2019年02月08日園子温が監督を務める新たなNetflixオリジナルシリーズ「愛なき森で叫べ」が、来年「Netflix」にて配信されることが決定。椎名桔平を主演に迎え、新たな問題を全世界へ投げかける。市井の平凡な人々が、どのように犯罪に巻き込まれ被害者となり、時に犯罪に加担して加害者となってしまったのか?彼らはどのような経緯で「善人」であることを放棄してしまったのか?現在も常識を超越した事件は世界中で起きている――。Netflixと園監督がタッグを組み制作する本作では、ある猟奇的殺人事件にインスパイアを受け、人間社会へ深く切り込み、その本質と人間の深淵を描きだしていく。■監督・脚本の園子温も「非常に楽しみ」今回、監督・脚本を手掛ける園監督。監督の代表作、『冷たい熱帯魚』『恋の罪』も実際の猟奇殺人事件にインスパイアされた作品で、善悪の狭間でうごめき合う深い人間描写が、日本のみならず世界中に衝撃を与え熱狂の渦に巻き込んだ。海外にファンも多い園監督は、「世界中の人々、これまで私の作品を支持して下さった方はもとより、新たな観客に向けて、残酷でありながらもロマンティックな、全く新しい愛の物語をお届けします。普段からNetflixをよく視聴しており、この作品がどのように受け止められるのか、非常に楽しみです」とコメントしている。■椎名桔平が犯罪者役…「これまでに無いほど手強い役」本作の主演を務めるのは、『新宿スワンII』に続き2度目の園子温組参加となる椎名桔平。冷酷な先天的犯罪者・村田丈を演じる。村田は表面上は明るく快活だが、実際は他人を精神的に支配し、金を搾り取り、残虐な犯行を行わせる人物だ。園監督の脚本を読み、椎名さんは「あまりにも可笑しく、あまりにも凄惨で、あまりにも愛おしい物語だと。撮影に入るまで、どこまでこの脚本通りに撮影するのかと、期待と不安が入り混じっての日々でした」と受けた衝撃を語る。演じる役柄については、「村田丈は、詐欺師的な側面があってか、膨大なセリフ量が伴います。しかも村田は、その時々で別人格の様な人間になるので、本来の村田をしっかりと意識しながら多様な村田を演じなければならない。これまでに無いほど手強い役だと実感しています」と演じたことのない役柄だと言い、「現在の日本の文化や、日本人そのものをダイレクトに感じてもらえる機会になればと願ってます」と期待を寄せている。■満島真之介&でんでんも参加そして、『東京ヴァンパイアホテル』『ピアニストを撃つな!』に続き3度目のタッグとなる満島真之介が、「何かでかいことをしたい」と上京し、自主映画サークルの仲間たちと猟奇的な事件に巻き込まれる若者・シン役。『冷たい熱帯魚』以来、園作品の常連ともいえるでんでんが、村田に籠絡される娘を通じて事件に絡め捕られていく父役で参加。満島さんは「Netflixが日本に来る前から園監督と、動画配信で世界はどうなるんだろう、という映画の未来の話をしていたので、絶対に参加したかったんです。『ちゃんと伝える』(2009年)では助監督として現場にいたこともあり、作る側としても深い関わりのある園監督から、『一緒に世界でやろう』と言われて、覚悟を決めました」とコメント。でんでんさんは、「『冷たい熱帯魚』では、加害者初代・村田の鬼畜を演じ、今回は真逆の被害者。台本を読む前からこれは難しいぞと感じた。難しい程にやりがいも大きい。どのような被害者になるか自分自身に興味がある」と話し、「園子温監督筆頭にスタッフキャスト一団となって世界を震撼させるぞ!」と意気込みを語っている。Netflixオリジナルシリーズ「愛なき森で叫べ」は2019年、Netflixにて全世界配信予定。(cinemacafe.net)■関連作品:【Netflixオリジナル】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflixオリジナル】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2018年09月29日ハリウッドスターのニコラス・ケイジ(54)が園子温監督(56)の初英語作品「プリズナー・オブ・ザ・ゴーストランド」に主演すると、各スポーツ紙が報じている。 記事によると、文明崩壊後の世界を舞台にしたアクションスリラー作品。ケイジはヒーローの悪名高き犯罪者を演じ、闇の超常世界に拉致された少女を見つけるため送り込まれる役柄だという。 「園監督は『愛のむきだし』が独・ベルリン映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。『ヒミズ』が『第68回ヴェネチア国際映画祭』のコンペティションに出品。W主演の染谷将太と二階堂ふみが『最優秀新人俳優賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)』を日本人で初受賞するなど、名声が海外にもとどろいています。ケイジさんはもともと親日家で、ここ数年で何度か日本人女性とのデートを報じられています。園監督作品の出演も、あり得ない話ではありませんでした」(映画業界関係者) ケイジは1995年の「リービング・ラスベガス」でアカデミー主演男優賞を受賞。その後、「コン・エアー」「フェイス/オフ」「ナショナル・トレジャー」「ワールド・トレード・センター」など主演の大作が続々と日本でも公開。かなり巨万の富を築いたかに思われるが、実は金銭問題で苦境に立たされていたというのだ。 「エルヴィス・プレスリーの娘らとこれまで4度の離婚を経験し、巨額の慰謝料を支払うことになりました。さらにかなりの“浪費家”としても知られており、古城、高級車、恐竜の化石や骨、コミックコレクションなどを購入。結果として財政難になって債務不履行で銀行から訴えられたり、税金の滞納で差し押さえられた豪邸を売却されることに。そのため、ここ数年はかなりのハイペースで仕事をこなしています」(映画ライター) もともと一流のハリウッドスターだけに、園監督作品のギャラも気になるところだ。
2018年05月14日世界的に注目を集める鬼才・園子温の代表作にして、日本映画史に残る問題作『愛のむきだし』。その幻のファーストカット6時間バージョンをもとに、全編が脚本通りに再構成された完全版「愛のむきだし【最長版 ザ・テレビショー】」が9月27日(水)にリリースされる。このほど、Blu-ray映像特典の中から、誕生10周年を迎えて初めて語られる園監督の特別インタビューの一部が到着した。「愛のむきだし」は、敬虔なクリスチャン一家に育ったユウ(西島隆弘)が主人公。神父の父(渡部篤郎)に懺悔を強要されたユウは、父の期待に応えようと、懺悔のために毎日“罪作り”に励むうち、気づけば女性ばかりを狙う盗撮魔のプロとなっていた。そんなある日、運命の女子高生・ヨーコ(満島ひかり)と出会い、ユウは生まれて初めて恋に落ちる――。「AAA」のリードボーカルのみならず、俳優としても活躍する西島さん、いまや実力派女優としての地位を確立した満島さんや安藤サクラの躍動に加え、ベテランの渡部篤郎、渡辺真起子、板尾創路の力演、その後『新宿スワン』で園監督と運命の再会を果たす綾野剛や、若手女優の筆頭株・松岡茉優の初々しい姿も見どころとなる本作。今回は、全10話のTVシリーズ仕様となり、映像も“4K”完全リマスターを施し、高精細・高解像の映像美で生まれ変わった。劇場公開時の上映時間は約4時間、今回のリブートの【最長版】で5時間弱という超大作(最初の編集版は6時間)だが、その撮影スケジュールは実質6週間ほどと、タイトな撮影期間だったという本作。園監督は「相当きつかったと思います。あんなにハードな映画はその後もないです。1日の撮影スケジュールが書かれた香盤表っていうものがあって、普通は1日分の予定は用紙1枚で十分収まるんですが、『愛のむきだし』のときは1日3枚から4枚あってホッチキスでとめて配られていました。さらに最後のほうは、“その他”とまで書いてあるくらいの恐ろしい撮影日程でした」と、驚愕の撮影スケジュールをふり返る。さらに、「ユウ役の『AAA』の西島隆弘くんは、『撮影が終わって家に帰って、玄関で靴を脱ごうとした途端に睡魔に襲われて、ハッと目を覚ましたらもう出かける時間だった。靴を履いたままでよかった』なんてことを言っていました」と、衝撃のエピソードも激白!そんな過酷な現場で、見事主演を務めあげた西島さんは、初の映画出演・主演にして第83回キネマ旬報ベスト・テン「新人男優賞」と第64回毎日映画コンクール「スポニチグランプリ新人賞」を受賞、鮮烈な映画デビューを果たした。また、今回の特典映像には、撮影のクランクアップ直後の映像も収録されており、いまや伝説の作品となった本作が、園監督自身にとってどんな存在だったか伺い知ることができる。映像の中で作品の出来を聞かれた監督は、「うまくいったところもそうでないところもある。作らなければよかったとも言えるね」と複雑な心境を明かし、「作品をひとつ作ると自分の心が傷つく。『愛のむきだし』は相当心が傷ついた。毎日が苦痛ですごく自虐的で…何度もつくらなければよかったと思った。こんなに現場が楽しくない映画は初めてだった」と、心情を吐露。傑作誕生の裏側には、心身ともに想像を絶する過酷な状況にさらされた背景があったことが見てとれる。この園監督の特別インタビュー「誕生10周年の真実!?」はBlu-rayに特典映像として収録。当時のキャスティング状況や、困難を極める撮影、さらに個々のキャストに対する想いなど、各話ごとの裏話を、10年目にして余すところなく語ったファン必見の1本になっている。「愛のむきだし【最長版 THE TV-SHOW】」は9月27日(水)よりBlu-ray発売。(text:cinemacafe.net)■関連作品:愛のむきだし 2009年1月31日より渋谷ユーロスペースほかにて公開(C) 愛のむきだしフィルムパートナーズ
2017年09月24日小西博之(57・以下小西)「僕が自分のがんを受け入れることができたのは、大将の教えがあったからです。大将は常々、『小西、人生は50対50だよ。どんな人でも幸せと不幸せは同じようにくるんだよ』と、話してくれていましたよね」 萩本欽一(76・以下萩本)「人は悪いことがあれば、嘆き、悲しむ。落ち込んでもいい。けれどその不幸せは拒絶せずに、きちんと受け止めなければいけない。人生とはそういうものだってね」 小西「大将の人生訓が僕の血肉になったんです。それだけじゃない。視点を変えることで心も変わること、言葉の持つ力を信じること。だからがんになったときも発想を変えたんです。『腎臓にがんができてしまった』を、『2つある腎臓でよかった』。『日本では3人に1人ががんで死ぬ』から『がんになっても3人に2人は助かって生きている』って」 師匠・欽ちゃんの前に日焼けした顔で、はにかみ笑いを見せる小西。欽ちゃんもうれしそうにほほ笑む。末期がんから奇跡の回復を遂げ、がんに立ち向かう心構えと、あきらめない気持ちの実体験をつづった『生きてるだけで150点!』(毎日新聞出版)を7月に出版した小西。その生きざまを大絶賛した師匠の欽ちゃんと、今回本誌で師弟の初対談が実現した。小西ががん告知を受けたのは’04年12月。45歳だった。 年明けにはがんは左の腎臓に縦20センチ横13センチの大きさだと判明。主治医から「この腎臓に圧迫された脾臓が腫れて破裂寸前。椅子から転げ落ちたりしたら、衝撃で破裂し、即死するかもしれない。この瞬間に死んでもおかしくない」と、余命ゼロ宣告を受けた。 小西「僕ね、大将、手術室で麻酔が効き始めたとき、こう挨拶したんです。『先生方に今日この手術室でお会いすることができたのも何かのご縁だと思います。僕は意識がなくなりますが、自分のがんは絶対に治ると信じています。ですからどうか、僕の命を救ってください。お願いします』」 萩本「(小西の言葉を聞いて大きくうなづき)なるほどね〜たくましい!!小西はずっと勇気がある。僕、その先生と同じ気分だよ。『(小西を)ぜったい助けたい』って、思わせる力があるんだよ」 小西「この挨拶で、医師、看護師さん、全員が泣き出して、手術の開始時間が遅れて仕切り直しになったんです。改めて執刀医の先生の『行くぞ!小西博之を助けるぞ!』という掛け声とともに手術がはじまったそうです」 9時間半に及ぶ手術で、みぞおちの下から脇腹、胸腔まで大きなV字を描くように50センチにわたり切開。無事に手術を終えた執刀医は「勝利のVサインをつけた」と話した。 萩本「(その傷に触れて)いやぁ、先生にそのせりふを言わせるって。小西は、がんという病を受け入れて、“がんちゃん”と友達になり、“コンビ”を組んで。そして主治医と信頼関係を築いて、それが“トリオ”になった!素晴らしい“コント”をつくってくれたね」 小西「そして5年後。定期検診で先生から『診断書。自分で読んでみてください』と手渡されたんです。いぶかしむ僕に『涙で読めないから』って。おそるおそる見ると、『異常なし。完治』。僕以上に先生が喜んでくれました」 萩本「治した先生を感動させて泣かせる。コレ小西だけの話じゃなく、多くの人に知ってもらったほうがいいね。そして涙はうれしい涙のほうがいい。粒の大きさも、悲しみよりも喜びの涙のほうが大きいんだ」 73歳で大学に入学し仏教を学んでいる欽ちゃん。6月には新刊『ダメなときほど「言葉」を磨こう』(集英社新書)を出版。11月には初となるドキュメンタリー番組が公開になる。 萩本「大学3年で来年の卒論に向けて準備中なの。70代になって思うのは、人はのんびり余生を過ごす『老人』と、自分がじいさんだと思わない『年寄り』の2手に分かれるね。でも、70ってまだまだ人生のスタートラインなんだよ。小西は病いを乗り越えて、きっと神様から『やることがある』と、何かバトンを渡されたんじゃないかな」 小西「今は、生きているだけで150点です」
2017年08月24日萩本欽一(76・以下萩本)「小西ががんになったという話は聞いていたんだよ。しかも完治が難しい腎臓だと……。もし見舞いに行って、それが最後みたいになるのも嫌だったもん。今日はこんなに元気な笑顔で会えてうれしいや」 小西博之(57・以下小西)「日本の腎臓がん史上5本の指に入るという大きさでしたが、大将に教わった心の持ち方で乗り越えられたんです」 師匠・欽ちゃんの前に日焼けした顔で、はにかみ笑いを見せる小西。欽ちゃんもうれしそうにほほ笑む。末期がんから奇跡の回復を遂げ、がんに立ち向かう心構えと、あきらめない気持ちの実体験をつづった『生きてるだけで150点!』(毎日新聞出版)を7月に出版した小西。その生きざまを大絶賛した師匠の欽ちゃんと、今回本誌で師弟の初対談が実現した。小西ががん告知を受けたのは’04年12月。45歳だった。 小西「先生が明らかにどう話そうか悩んでいて。僕から先生に『先生、僕は「がん」ですね?』と、尋ねたんです。帰りに事務所で仲間に伝えるとショックを受けて、みんな泣き出しました」 萩本「小西も泣いたの?」 小西「はい。その日から毎晩、風呂の中で顔がぐちゃぐちゃにして1時間ほど泣きました」 年明けにはがんは左の腎臓に縦20センチ横13センチの大きさだと判明。主治医から「この腎臓に圧迫された脾臓が腫れて破裂寸前。椅子から転げ落ちたりしたら、衝撃で破裂し、即死するかもしれない。この瞬間に死んでもおかしくない」と、余命ゼロ宣告を受けたのだ。 小西「そんな僕が自分のがんを受け入れることができたのは、大将の教えがあったからです。大将は常々、『小西、人生は50対50だよ。どんな人でも幸せと不幸せは同じようにくるんだよ』と、話してくれていましたよね」 萩本「人は悪いことがあれば、嘆き、悲しむ。落ち込んでもいい。けれどその不幸せは拒絶せずに、きちんと受け止めなければいけない。人生とはそういうものだってね。番組の収録の後、毎週のように、みんなに雑談として話していただけだよ〜」 2人の出会いは、’82年『欽ちゃんの週刊欽曜日』(TBS系)のオーディションだ。小西は3,000人のなかから合格。だがその直前、一度不合格になっていたという。 萩本「僕ね、『不合格』と言われてスタジオを去っていくときの小西の姿をずっと覚えてるの。てくてく歩いてスタジオを出た小西に、作家の大岩(賞介)が声をかけて。離れているから会話は聞こえないんだけど、落ちた小西が、デカい声で『大丈夫ですよ。ありがとうございます』って、笑顔で逆に大岩を励ましてるの。人はね、『不合格』など、ダメになったときに、その人の本性が現れる。小西は最後の最後に、自分じゃなく他人への思いやりがあったんだよ。あの笑顔が忘れられなくてね。名古屋に帰った小西を、すぐに呼び戻したの」 晴れて欽ちゃんファミリーの一員となった小西は、コニタンとして人気を博した。 小西「一事が万事、ものごとをいろいろな視点で見ることを、毎週収録後に3年間みんなに話をして教えてくれました。でも当時は、大将の教えを理解できていなかったんです。思い知ったのは、がん告知の3年前に、突発性難聴になり右耳の聴力を失ったとき。『悪いことも受け入れなければいけないと、大将も言ってた』と、思い出して」 萩本「小西、忘れてたの?(笑)」 小西「はい、それまで忘れてました(苦笑)。そのとき、大将の人生訓が僕の血肉になったんです。それだけじゃない。視点を変えることで心も変わること、言葉の持つ力を信じること。だからがんになったときも発想を変えたんです。『腎臓にがんができてしまった』を、『2つある腎臓でよかった』。『日本では3人に1人ががんで死ぬ』から『がんになっても3人に2人は助かって生きている』って」 萩本「僕の雑談を無駄にせずに、病いの治療という生きた体験に置き換えてくれたんだね。小西は主治医の先生に、『大丈夫ですか?』じゃなく『大丈夫ですかね?』って言ったんだよね。この『ね』がいいよ。その一語に先生への信頼がこめられている。『先生助けてください』じゃなく、先生に『助けよう!』と思わせたんだから」
2017年08月24日Amazon プライム・ビデオ配信のオリジナルドラマで、園子温監督によるヴァンパイア・アクション「東京ヴァンパイアホテル」の完成披露試写会が6月16日(金)に開催。園監督、主演の夏帆、満島真之介が登壇した。園監督にとって初のオリジナル脚本によるドラマシリーズで、ドラキュラ伝説で知られるルーマニアでの撮影も敢行した本作。人類滅亡を図る吸血族と人類の死闘を描き出す。ドラマ「みんな!エスパーだよ!」以来の園作品出演となった夏帆さんは「もう呼んでもらえないと思っていた」と再タッグを喜ぶが、撮影はかなり過酷だったよう。「撮影当初、台本が最後まで完成してなくて、撮影しながら監督が書き進めていき、現場で生まれたものを大事にやっていきました」とふり返る。自身初の本格的なアクションにも挑戦しているが「刀もろくに持ったことがないところからのスタートで大変でした…」と明かす。満島さんは、上京直後の10代の頃に園監督のスタッフをしていたことがあり、それから年月を経て、メインキャストでの出演に感慨深げ。「18歳で沖縄から出てきて、園さんの雑用、助監督をやってたんです。一緒に脚本作りをしたり、夜な夜なパンクを聴いてたり、まだ当時は役者になるなんて考えてなかったです」と懐かしそうに述懐。本作は園監督の地元の愛知県豊橋市でも撮影が行われたが、以前、園組スタッフとして映画撮影で豊橋を訪れており、今回は俳優として凱旋したが、奇抜な役柄だったのもあって「商工会議所のおばちゃんたちがきて、あの扮装を見て『満島くん、ホントに変わっちゃったね』『芸能人だからすれて、おかしくなっちゃって』と言われて『いやいや、こういう役だから!』って言いました…」と苦笑していた。園監督は夏帆さんについて「初めてのアクションを体当たりでやってくれました。ずっと1カットの長いのも自分でやっているので注目してください」と語る。ルーマニアでの撮影では、ルーマニア語でのセリフもあったが、夏帆さんは「聞いたこともないし難しかったです。しかも、(現地に)行く4日くらい前に台本が来て…(苦笑)」と語るが、園監督は「現場に入ったら全然、問題なくて、素晴らしかった」と絶賛!一方、満島さんについては「顔がドラキュラっぽいから」と起用の理由を説明。ちょっと風変わりなキャラクターと衣装となったが「衣装合わせでドラキュラっぽい格好をすると、ハロウィン(の扮装)みたいだったので、ひと癖ある感じにしました。すごくハッチャけてくれて、見たことない感じができたと思う」とこちらも称賛していた。満島さんは、監督の言葉を逆手に(?)「今年のハロウィンで『東京ヴァンパイアホテル』の格好の人が出てきたらいいなと思ってます!」とアピールしていた。「東京ヴァンパイアホテル」はAmazon プライム・ビデオにて全9話独占配信中。(text:cinemacafe.net)
2017年06月16日夏帆と満島真之介が共演する、園子温監督初の完全オリジナル脚本ドラマ「東京ヴァンパイアホテル」。この度、本作の新たなキャストとして中川翔子、斎藤工、松井玲奈の出演が決定。また主題歌にはMIYAVIの「Bumps in The Night」に決定し、この楽曲を使用した本予告編も到着した。22歳の誕生日を迎えるマナミ(冨手麻妙)。彼女を付けねらう謎の吸血鬼たちから、強大な力を持つK(夏帆)は彼女を怒涛の戦いの中で救おうとする。吸血族から狙われるマナミ、そして不思議な力を持つKはいったい何者なのか。物語は怒涛のアクションと銃撃戦で幕を開ける。その日、若い男女ばかりがホテル・レクイエムに招待される。山田(満島真之介)という謎の男と、奇怪な女帝(安達祐実)とエリザベート・バートリ(神楽坂恵)がこのどぎつく美しい宮殿のようなホテルに住み、ホテルを取り仕切っている。招待された人々は、ホテル内で山田が主催する全国合コン大会に参加する若い男女たちだ。突如山田が明日世界は滅び、このホテル内にいる人間だけが助かる道が残されていると宣言をする。どよめく人々。信じられない人々。「ここにいる者たちが生き残る!我々の餌となって!」ホテルの下には広大な地下空間が広がり、人間はそこで愛を営み、人類を繁栄させ、女帝と山田ら吸血鬼コルビン族から永遠に食らわれ続けるしか存続の道がないのだという。集められた若者一同は、完璧なシェルターであるホテルで地球と人類が滅亡するのを目の当たりにする。ホテルの外は死の灰で覆われた。絶望する者、ホテルの外へ出ようとする者、コルビン族の支配を覆そうとする者。そして、その支配に甘んじる者。そこへ、マナミを奪取しようとするKがコルビン族を滅亡させるべく乗り込んでくる。かくして、人類そして吸血鬼たちの存亡をかけた戦いが始まる。人類は生き残り続けることができるのか。マナミは何故コルビン族とドラキュラ族から狙われるのか?そしてKの運命は――。「東京ヴァンパイアホテル」は、地球と人類の滅亡を図る吸血族と、人類の戦いが描かれるドラマシリーズ。激しいアクションパートのほか、シリアスから洒脱な演出まで園監督の全てが込められている。主演は本作が初の本格アクションとなる夏帆さん、そして満島さん、冨手麻妙、安達祐実、神楽坂恵ら実力派キャスト陣が集結。また撮影は日本のほか、ヴァンパイアの故郷ルーマニア・トランシルヴァニア地方の古代の地下道や、ドラキュラ伝説にまつわる城、地下の広大な空間サリーナ・トゥルダなどでロケが敢行されており、壮大なスケール感が期待できそう。今回新たに出演が発表されたのは、冨手さん演じるマナミの彼氏役の斎藤さん、ギガ役の中川さん、怪しい女役の松井さん。さらに大方斐紗子、吹越満、筒井真理子、高月彩良、IVAN、渋川清彦がゲスト出演することが明かされた。斎藤さんは、「園さんには兼ねてからヴァンパイアの歴史だったり一般解釈とは違った根深い闇の世界の話しを伺っていた。そしてそれらは我々の住む現代と地続きでもあると言うことも誰もが超えられなかった“その垣根”を本作にて園さんはついには超えてしまうのだなとゾクゾクしながら参加させて頂いた」とコメント。『TOKYO TRIBE』『ラブ&ピース』に続く園監督作品となる中川さんは、「ずっとやってみたいと思っていた“殺人鬼”を演じることができて、最高に気持ち良かったです。いままで見たことない衝撃的な私の姿を、ぜひたくさんの方々に見て欲しいです」と出演した喜びを語り、松井さんは「作品の全体に怪しさや緊迫感が漂っていますが、そんな中私は撮影当日に手渡された謎の献立表のメニューを覚えることに必死でした。不気味な役どころに注目していただけたらと思います」とメッセージを寄せた。また主題歌「Bumps in The Night」が流れる予告編では、中川さん演じるギガが店内で銃を乱射する姿や、若者たちがホテルに集められる様子、激しいアクションが繰り広げられるシーンなどが映し出されている。「東京ヴァンパイアホテル」は6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて見放題独占配信(全9話)。(cinemacafe.net)
2017年05月23日『愛のむきだし』『ヒミズ』『新宿スワン』シリーズなどを手掛ける、園子温監督初の完全オリジナル脚本ドラマ「東京ヴァンパイアホテル」が、夏帆と満島真之介共演で6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて見放題独占配信されることが決定。本作は、地球と人類の滅亡を図る吸血族と人類の戦いが描かれ、激しいアクションパートのほか、シリアスから洒脱な演出まで園監督の全てが込められている。22歳の誕生日を迎えるマナミ(冨手麻妙)。彼女をつけ狙う謎の吸血鬼たちから、強力な力を持つK(夏帆)は彼女を怒涛の戦いの中で救おうとする。吸血族から狙われるマナミ、そして不思議な力を持つKは一体何者なのか?物語は怒涛のアクションと銃撃戦で幕を開ける…。その日、若い男女ばかりがホテル・レクイエムに招待される。山田(満島真之介)という謎の男と、奇怪な女帝(安達祐実)とエリザベス・バートリ(神楽坂恵)が、このどぎつく美しい宮殿のようなホテルに住み、ホテルを取り仕切っている。招待された人々は、ホテル内で山田が主宰する全国合コン大会に参加する若い男女たちだ。突如、山田が明日世界は滅び、このホテル内に居る人間だけが助かる道が残されていると宣言。「ここにいる者たちが生き残る!我々の餌となって!」ホテルの下には広大な地下空間が広がり、人間はそこで愛を営み、人類を繁栄させ、女帝と山田ら吸血鬼コルビン族から永遠に食らわれ続けるしか存続の道がないのだという。集められた若者一同は、完璧なシェルターであるホテルで地球と人類が滅亡するのを目の当たりにする。ホテルの外は死の灰で覆われた。絶望する者、ホテルの外へ出ようとする者、コルビン族の支配を覆そうとする者、そしてその支配に甘んじる者。そこへマナミを奪取しようとするKが、コルビン族を滅亡させるべく乗り込んでくる。かくして、人類そして吸血鬼たちの存在をかけた戦いが始まる。人類は生き残り続けることができるのか。マナミはなぜコルビン族とドラキュラ族から狙われるのか?そして、Kの運命は――。園監督が総監督・脚本を務める「東京ヴァンパイアホテル」は、Amazonプライム・ビデオの新たな日本オリジナル番組。主演を務めるのは、『砂時計』『海街diary』などに出演する演技派女優の夏帆さん。不思議な力を持つK役で、初の本格アクションに挑戦!そして、近年アニメーション作品で声の演技も高く評価され、各方面で活躍を見せる満島さんが“謎の男”山田役を演じる。夏帆さんは、「園さんのアイディアで変わっていく現場に食らいついていくのに必死で、毎日混乱状態。驚きの連続でした。こんな現場はいままで経験したことがありません」と撮影をふり返り、「ドラマ、映画の枠を超え、いまだかつて誰もみたことのない、衝撃的な作品が出来上がったと思います」とコメント。満島さんは、「“園子温×ヴァンパイア”このワードで興奮しないわけがありませんでした。いままでのヴァンパイア作品からは想像がつかないような園ワールドを、思う存分感じてほしいです」と期待を煽る。さらに、以前からオリジナルのヴァンパイア映画を作りたいと考えていたという園監督は、「念願が叶って今回アマゾンさんでオリジナルドラマが制作できることとなり、私としては映画を作るのだというマインドで挑みました。いままでのどんな長編映画にもテレビドラマにもなかったものが出来上がったと自負していますので、お楽しみいただければと思います」と自信を見せている。夏帆さんと満島さんのほかにも、新人発掘の名手、園監督が育て上げる注目女優・冨手麻妙、2役の怪役を演じきる安達祐実、園監督夫人であり常連の神楽坂恵ら実力派キャスト陣が脇を固める。本作の撮影は、日本では日活撮影所にて3ステージをベースとして撮影されたほか、ヴァンパイアの故郷ルーマニア・トランシルヴァニア地方の古代の地下道や、ドラキュラ伝説にまつわる城、地下の広大な空間サリーナ・トゥルダなどでロケが敢行された。「東京ヴァンパイアホテル」は6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて見放題独占配信(全9話)。(cinemacafe.net)
2017年04月23日ファッション評論家のドン小西が、23日(19:00~21:48)に放送されるテレビ朝日系バラエティ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』の3時間スペシャルに登場。資産60億から借金15億まで転落してしまったことを告白する。ワイドナショーなどでファッション評論家として活躍する小西だが、かつては日本を代表するファッションデザイナーとして世界に名を馳せ、独特の色使いから"色の魔術師"と呼ばれていたほど。しかし、"自分のセンスは絶対に正しい!"という過剰な思い込みが原因で、一時期60億円あった資産が消え、借金15億円を抱えることになってしまった。これにより小西は、自身のブランドだけでなく、実家も売却。精神的にうつ状態となった上、離婚して孤独な生活を送っていることを告白する。そこで今回、小西は、自らのすべてをさらけ出す覚悟で「自分のセンスが正しい!と勘違いしてドン底に落ちないための授業」を展開。自身の半生をひも解きながら、「自分は絶対に正しい」と思い込む人間ができ上がっていくメカニズムを紹介する。さらに、自分を過信するあまり周囲を虐げる人間がどんな末路をたどるのか、その悲劇の歩みも激白。最後は、"勘違い人生"を経験して得た人生の教訓を説く。同番組では、毎回先生が教科書をもとに授業を進行するが、今回はそれを小西がデザインしており、こちらにも注目だ。
2017年01月02日鬼才・園子温監督が完全オリジナル脚本で挑んだ最新作『ANTIPORNO(アンチポルノ)』。このほど、主演の新星女優・冨手麻妙が、物憂げに横たわるエロティックなポスタービジュアルが解禁。さらに、浅野忠信主演『淵に立つ』での演技が絶賛されている実力派女優・筒井真理子が、本作で初の本格ヌードを披露していることが分かった。小説家兼アーティストとして時代の寵児となった京子(冨手さん)。極彩色の部屋に籠もり、マネージャーの典子(筒井さん)が伝えるスケジュールを分刻みでこなす毎日。現実と虚構、サディズムとマゾヒズム、自由と不寛容、カリスマと奴隷…寝ても覚めても終わらない悪夢。私は京子なのか?京子を演じているのか?虚構と現実の狭間で、京子の過去の秘密が暴かれていく――。園監督が自身のオリジナル脚本で挑んだ最新作は、製作開始45周年を迎える“日活ロマンポルノ”リブートプロジェクトの一環。そのほか、塩田明彦監督、白石和彌監督、中田秀夫監督、行定勲監督ら第一線で活躍する監督陣が、完全オリジナル新作のロマンポルノを28年ぶりに撮りおろすことでも注目されている。これまで、『愛のむきだし』の満島ひかり、『ヒミズ』の二階堂ふみをはじめ、起用した若手女優や俳優が次々とブレイクしている園監督が、新たに見初めたのは、本作が長編映画の単独初主演となる女優・冨手さん。『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』などにも出演しており、「園監督の作品のためなら脱ぐ」と“裸上等”で難しい役どころに挑戦している。そして、冨手さんが演じる京子のサディスティックな振る舞いを受け止めるマネージャー・典子を演じているのが、本年度カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞を受賞した『淵に立つ』での熱演が絶賛されている、実力派・筒井さん。冨手さんと同様、本作で初めて本格ヌードを披露しており、美しく過激な問題作で真の女優魂を見せつける。もちろんカメレオン女優と評されるだけに、幅の広い演技力で本作に堂々たる存在感を残し、物語中盤の“ある仕掛け”にも最大限の効果を発揮。園監督からの信頼も厚く、これまでも多くの園作品に出演。海外資本で製作され日本での公開は未定のオムニバス映画『Madly』の中で、園監督が手がけた短編『Love of Love』では、主演を筒井さんが務め、冨手さんが共演を果たしている。今回、本作から解禁されたビジュルでは、劇中にも登場する絵画(画家・篠原愛による)が使用され、物憂げに横たわる少女・京子が夢みる虚構の世界を表現。新作ロマンポルノに適用されているルール「10分に1回の濡れ場」がしっかりと守られつつも、園流の映画表現が爆発した作品を匂わせている。さらに、本作は12月8日から開催される第1回マカオ国際映画祭へ招待され、冨手さんが参加することが決定。マカオ国際映画祭は、世界3大映画祭であるベネチア国際映画祭など数々の国際映画祭ディレクターをつとめたマルコ・ミュラーが作品を選定し、今年が立ち上げとなる世界の映画関係者が注目する映画祭。本作は“いま”を表現するアジア映画が対象となるガラ部門「Hidden Dragons」に出品される。『ANTIPORNO』は2017年1月28日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月15日園子温監督作・映画『新宿スワン』の続編『新宿スワンⅡ』が、2017年1月21日(土)に公開される。原作は、新宿歌舞伎町を舞台に主人公のスカウトマンの成長と、歌舞伎町の裏社会を描いた同盟の人気コミック。『新宿スワンⅡ』は、綾野剛を主演に、伊勢谷友介、山田孝之、沢尻エリカなどのキャストを迎え、園子温監督が実写化した前作『新宿スワン』の続編となる。綾野剛演じる主人公・龍彦と対峙する滝正樹を演じるのは、日本映画界のみならずハリウッドはじめ海外でも強烈な存在感を放つ浅野忠信。『新宿スワンⅡ』では、新たな舞台となる横浜に君臨し、龍彦らと壮絶なバトルを繰り広げる最恐の敵を怪演する。もちろん、新宿バーストのお馴染みのメンバーも続投。真虎役の伊勢谷友介、葉山豊役の金子ノブアキ、関玄介役の深水元基、時正役の村上淳、そして山城神役の豊原功補が引き続き出演する。さらに、自身のキャリアで初となるキャバクラ嬢・小沢マユミ役として広瀬アリスが新たに参戦するほか、映画オリジナルのキャラクターとして全日本酒販売連合会会長・住友役の椎名桔平、上地雄輔、高橋メアリージュン、要潤ら、アクの強い個性派俳優が名を連ねる。【作品情報】映画『新宿スワンⅡ』公開日:2017年1月21日(土)脚本:水島力也監督:園子温原作:和久井健『新宿スワン』(講談社「ヤンマガKCスペシャル」所載)キャスト:綾野剛、浅野忠信、伊勢谷友介、深水元基、金子ノブアキ、村上淳、久保田悠来、上地雄輔、広瀬アリス、高橋メアリージュン、桐山漣、中野裕太/中野英雄、笹野高史、要潤、神尾佑、山田優、豊原功補、吉田鋼太郎/椎名桔平主題歌:MAN WITH A MISSION「Dead End in Tokyo」挿入歌:UVERworld「エミュー」、MY FIRST STORY「Smash Out!!」【ストーリー】スカウト会社・新宿バーストのエース格となった白鳥龍彦は、勢力拡大を目論む社長・山城の命により、幹部の関玄介と共に横浜へと送り込まれる。しかしそこは、タキと呼ばれる男が支配する難攻不落の王国だった。早々に手荒い洗礼を受ける龍彦たち。警察やヤクザとも裏取引をするタキの謀略によって窮地に陥った新宿バーストは、龍彦を破門することで事態を回避しようとするが…。「オレは歌舞伎町の番犬だ。この街守るためだったら何でもすんだよ!」新宿と横浜は全面戦争へと突入。龍彦は逆襲の狼煙をあげる!■巨大龍彦像展示期間:1月11日(水)~17日(火)場所:大阪・道頓堀グリコサイン前■『新宿スワンⅡ』道頓堀イベント開催日時:1月15日(日)13:10~13:30終了予定場所:道頓堀とんぼりウォーク登壇者:綾野剛©2017「新宿スワンⅡ」製作委員会
2016年11月12日現在放送中の吉田羊主演火曜ドラマ「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」。この度、11月1日(火)放送の第4話に女優・小西真奈美が出演することが明らかになった。本ドラマは、“解析診断部”の女医7人によるメディカルチーム「レディ・ダ・ヴィンチ」が、原因不明の病に立ち向かう医療ミステリー。原因不明の病の謎、そしてそこに隠された“患者たちの悩み”。医師として、女として、人として、時にぶつかり合いながらも患者に真摯に向き合う彼女たちが、どう真相を掴み、どのように患者に寄り添い、ときに辛い現実と対峙する勇気をもたらすのか?観た人々も、人生の様々な局面において前向きに生きるヒントをもらえるドラマだ。そんな解析診断部の医師7人には、吉田さん演じる天才外科医・橘志帆を始め、相武紗季、吉岡里穂、「たんぽぽ」白鳥久美子、滝沢沙織、笛木優子、伊藤蘭が出演。そのほか、高橋克典、戸次重幸、庄野崎謙、小林且弥らも登場する。今回ゲストとして出演することが決定した小西さんが演じるのは、老舗料亭の女将・真田芽依役。艶やかな着物姿で登場する。そんな小西さん登場の第4話では、芽依と志帆が若年性認知症を患った大女将(黒田福美)の診察をめぐって、激しいバトルを繰り広げる!大女将の病の原因に気付いた志帆が、大女将を勝手に連れ出そうとするのだが、それを芽依に警察に通報され、志帆が警察に連行されることに…といった展開をみせる。撮影を終えた小西さんは「衣装や髪型にも助けてもらい、女将としての所作や立ち居振る舞いに気をつけながら、自分の内側から出てくる心情的な部分を大事に演じました。お話として大事な、嫁姑や家族の問題、反発と、すこしずつ打ち解けていく様子…。そんな部分が出るといいですね」とこれからの放送に期待し、「ドラマ上は“女の戦い”ですが、現場はすごく和やか。女性が先頭に立ってやる作品自体が画期的。女性ならではの言葉の駆け引きも、あるある、それ女子だ~、とクスッと面白くて。シリアスだけじゃない、ホッとする、コミカルな場面が見られるのもこのドラマならではですね」とコメントした。「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」は毎週火曜日21時~フジテレビ系にて放送。(cinemacafe.net)
2016年10月19日女優の小西真奈美が、11月1日に放送される関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』(毎週火曜21:00~21:54)の第4話にゲスト出演することが19日、明らかになった。このドラマは、主演の吉田羊演じる橘志帆ら、解明できなかった病の原因を特定・救命する「解析診断部」に選抜された女医たちが、知識と能力を生かして患者の命を救っていく姿を描くもの。小西は、老舗料亭の女将役を演じ、若年性認知症を患った大女将(黒田福美)の診察をめぐり、志帆と激しいバトルを繰り広げる。女将役ということで着物姿で登場する小西は「衣装や髪型にも助けてもらい、女将としての所作や立ち居振る舞いに気をつけながら、自分の内側から出てくる心情的な部分を大事に演じました」と役づくりを説明。吉田とはこれが初共演で、「ドラマ上は"女の戦い"ですが、現場はすごく和やか」と、様子を語っていた。
2016年10月19日「くじけそうな時もありましたけど、アニメーターにならないっていう選択肢はなかったので。なれるだろうと思ってたし、根拠のない自信みたいなものを持つのは大事だと思うんですよね」。ピクサー・アニメーション・スタジオで働く原島朋幸さんは、ピクサーに入社するまでに、サラリーマンやデジタルハリウッドやアメリカでの大学生活、そして「ドリームワークス・アニメーション」にて『ヒックとドラゴン』に関わるなど、様々な経歴を持つアニメーターだ。「自分が本当にやりたいのは、キャラクターアニメーションだ」という確信と共にアメリカに渡ったという原島さんは、まさに夢を叶えた日本人クリエイターである。シネマカフェが実施したピクサー現地取材レポート最終回の今回は、前回の小西園子さんに引き続き、『ファインディング・ドリー』で活躍している日本人スタッフの原島朋幸さんのインタビューをお届けする。1993年、『ジュラシック・パーク』を観たことをきっかけにハリウッド映画とVFXに興味をもち、エンジニアとして勤めていた会社を退職した原島さん。その後デジタルハリウッド東京本校に入学し、2001年にアメリカへ語学留学、2003年には「Academy of Art University」(サンフランシスコ)の大学院に進学し、通称“ピクサークラス”でピクサー・アニメーション・スタジオのアニメーターからキャラクターアニメーションを学ぶ。2006年より「DreamWorks Animation」にて『ヒックとドラゴン』などの制作に参加し、2015年3月に晴れてピクサー・アニメーション・スタジオへ移籍している。『ファインディング・ドリー』では、キャラクター・アニメーターとして様々なキャラクターの制作に関わったという原島さんは、ピクサーならではの入念なリサーチ活動を経て、ニモやマーリン、ドリーをはじめとする様々なキャラクターたちが水中で動き回る姿を、リアリティと共にキャラクターとして生き生きと表現する過程に大きく寄与している。「『ファインディング・ニモ』の時と同じく、今回も水槽で魚を飼って観察したり、実際に魚が泳いでいる映像を撮ってきて、海の中の物理や魚の動きをキャラクターの動きとして表現するためのアサインメントを実施しました。魚がヒレを動かしているタイミングをはじめ、魚は実は左右のヒレをバラバラに動かしているということや、前に進む時も後ろ向きにヒレを動かしていることなど、実際にちゃんと見てみないとわからないんです。ほかにも、ドリーとマーリンでは魚の動きの質が違うので、アニメーターたちはそういうことにも気をつけて作っています」。制作過程の話を伺う中で印象的だったのは、魚がターンする動きを制作する際に使われたという“ある言葉”に関するエピソードだ。「よく“it looks like fish on a stick(これは魚と棒の動きみたいだね)”という言い方をされることがあるんです。魚がターンする動きを表現するときに、魚がスティック(棒)の上に乗って動いているように見えてしまうことがある。実際の魚は、ヒレを動かして棒の周りを回るようにターンしてるんです。経験のあるアニメーターでも、気にしていないとそういう表現をしてしまいがちなんですよね。実際に魚の動きを見てからじゃないと、何か足りない、違う動きになってしまうんです」。ほかにも、ヒレを動かしていない時に魚たち自らの重みで沈む動きや、生き物たちの大きさや重さの違いを表現することが、全編に渡って海の中の世界が舞台である本作のリアリティへと大きく影響しているのだとういう。「重さっていうのはすごくキーになるので、アニメーターにとってはチャレンジですね。ウミガメのクラッシュとスクワートでも重さが違いますし、デスティニーや、ニモ、ドリーではスケールが全然違うんですね。例えば、デスティニーがヒレを動かすときに起こる対流を受けて、ドリーやニモが動く表現をしなくちゃいけない。だって、波が来たのに魚が流されたり横揺れする表現がないとおかしいじゃないですか。そういった微妙なこだわりが、すごくリアリティに貢献していると思います」。前作『ファインディング・ニモ』に引き続き、アンドリュー・スタントンが監督を務める本作。傑作として知られる『ウォーリー』なども手掛けるアンドリュー監督の仕事ぶりは、アニメーターとして参加した原島さんの目線からはどう映ったのだろうか。「アンドリューがよく言ってたのは、“ナショナルジオグラフィックのようにリアルに”ということでした。演技は当然大事なんですが、キャラクターが演技をした上で、動きはきちんとリアルな魚じゃないとダメだということです。キャラクターが演技しているのはほかのアニメーションでもあると思うんですけど、本作ではキャラクターたちが魚だっていうことが、観客が観ていて疑いのないレベルで説得力がないといけない。そこにすごくこだわりがありましたね」。さらに、『アーロと少年』にて監督を務めたピーター・ソーンとアンドリューの監督としての違いについて、興味深い比較を原島さんは語る。「アンドリューはあるシーケンスを制作する前に、監督の中でキーとなる部分だけ説明して、細かい説明はあんまりしないんですよ。すごく“loose(ゆるい)”な状態で、アニメーターはいろいろ考えながら、ラフなアニメーションを監督に見せるんですね。監督はそれを見てから個別に細かく作り込んでいく。ピーターの時は最初からすごく細かったですね。でも彼はオープンだったので、アニメーターの方から監督に意見を提案すると、受け入れてくれる部分もあるし、『そのアイデアはすごくいいけど採用できない』っていう時もある。アンドリューもそうですね。彼は彼のアイデアがあるので、曲げないときは曲げない」。「諦めたら終わりじゃないですか。壁に当たっても、とにかく好きなことがあるんだったら、それに向かって続けることですね」。そう語る原島さんは、昨年の入社に至る前にも、一度ピクサーの面接を受けたことがあるそう。その時は採用に至らなかったが、「ドリームワークス・アニメーション」のサンフランシスコ郊外のオフィスで7年半の間働いた後、『アーロと少年』の制作スタッフとしてピクサーへの入社が実現。晴れて念願のスタジオでのキャリアをスタートさせた。「“努力すればば報われる”っていう言葉と同じくらい、“努力しても全てが報われるわけではない”っていう言葉を聞くんですけど、どっちも正しいと思うんですよね。でも努力は裏切らない。もし目標にたどり着けなくても、努力したことは自分の血と肉になるし、何をやっても人生損はないんですよね」。脱サラを経て、世界一のアニメーション・スタジオで働く原島さんの言葉には、ずしんとくるものを感じた。観客である私たちにとって、『ファインディング・ドリー』のキャラクターたちの生き生きとした姿の裏に、原島さんをはじめとする夢を叶えたクリエイターたちの表現する喜びがあると思うと、鑑賞後にはまた異なる感動が生まれてくる。これまでも、シネマカフェが実施した現地取材レポートを通して、本作に関わった様々なクリエイターたちの思いを紹介してきたが、本特集を通して、『ファインディング・ドリー』があなたにとって忘れられない作品になってくれることを切に願う。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月21日夏休み映画の大本命として大ヒットを記録している『ファインディング・ドリー』。これまで、シネマカフェが実施したピクサー・アニメーション・スタジオの現地取材レポートを通して、本作で活躍している数々のクリエイターのインタビューを紹介してきたが、実は本作には、ピクサーで働く日本人のスタッフも制作に関わっている。現地取材レポート第7弾の今回は、本作でキャラクター・テクニカル・ディレクターを務めた小西園子さんのインタビューをお届けする。「ニモにもう一度会いたい!」――前作『ファインディング・ニモ』への参加後も、長らくニモたちとの再会を待ち望んでいたという小西さん。本作で小西さんは、水中に漂うプランクトンや塵を表現するシミュレーションを担当しており、『ファインディング』シリーズの大部分を占める、水の中の世界のリアルな表現に一役買っている。小西さんがテクニカル・ディレクターのアシスタントとしてピクサー・アニメーション・スタジオで働き始めたのは、世界初の長編CGアニメーションとして公開された『トイ・ストーリー』の、まさに制作真っ只中だったという1994年8月のこと。「その時は、ピクサーがソフトウェアの会社だっていうのはわかってたんですけど、アニメーション作品としては短編『ルクソー Jr.』を作っていたのを知っていたぐらいで、『CGで長編作品?』っていう感じでしたよ」と当時を述懐する。その後、セット美術や照明、コマーシャル制作、キャラクター・モデリング、モデリングの関節制御など、様々な仕事を通して『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『Mr. インクレディブル』『メリダとおそろしの森』『インサイド・ヘッド』といった、ほぼすべてのピクサーの長編作品に関わっている。本作の制作にあたって、13年前となる前作の制作時との技術的な変化について尋ねると、「使っている技術はかなり進歩して変わっているんですけど、続編としての世界観を壊さないようしています。前作よりもキャラクターたちの泳ぎは綺麗になったし、表情も豊かになって、水中や水面の表現も、かなり本物のように見えると思いますよ」と、表現力の向上と複雑さを増したという制作過程について語る。これまでの様々なクリエイターのインタビューにおいても、本作で登場する新キャラクター、ハンクのチャレンジングな制作過程について語られてきたが、小西さんも同じくハンクの制作について、「ぬるぬるとしたタコの皮膚感や、吸盤が吸い付いて離れる様子を表現しています。それぞれが早いショットであまり見えないかもしれないですけど、ちゃんとやってるんですよ」と、その大変さとやりがいについて語った。「私たちシミュレーションの仕事は、『気づかなかった』と言われるのが一番いいんです」と話す小西さん。「パイプの中などの狭いシーンでも、きちんと水が流れていることがわかるような表現や、キャラクターの動きに合わせた水の流れを加えたりしながらも、決して画面上がうるさくならないようにしています」。観客である私たちが、キャラクターやストーリーに夢中になることができるのは、あまりに自然すぎて意識することがないほど繊細な表現を担っているシミュレーションという影の立役者のおかげなのだ。年々フォトリアルと呼ばれる本物と見紛うほどアニメーション表現すらも実現しているピクサーだが、『ファインディング・ドリー』の同時上映作品である『ひな鳥の冒険』でも、実写と勘違いしてしまうほどのリアリティが多くの観客を驚かせている。今後のピクサー作品における表現と技術の関係について小西さんは、「デザインやお話によって世界観が変わっていくので、全部がフォトリアルにはならないです」と語る。「『アーロと少年』の時に本当にリアルな世界を作ったんですけど、それがずっと継続するかというと、そうじゃないんですね、全てストーリー次第なので」。これまでのインタビューでも何度か同様の質問を投げかけてきたが、全てのクリエイターがキャラクターとストーリーの重要性についてまず指摘し、あくまで技術はそれを表現するためにあることを共通して語っており、改めてピクサーで働くスタッフが同じ価値観のもとでチームワークを発揮しているのだという事実に驚かされる。世界初の長編CGアニメーション作品である『トイ・ストーリー』に関われたことを、「おそらく人生で一番の経験です」と語る小西さん。ピクサーで働く上での心意気について尋ねると、「仕事のほかにも、自分の趣味とか興味を必ず持っていないと、燃え尽きちゃう人も多いと思います。自分らしさを持っていないと新しいことにも興味が湧かなかったり、与えられた仕事で満足して、そこから先に進めなくなってしまうと思うので」と話す。そんな小西さんは、もともと裁縫やコスチューム作りが趣味のようで、それがそのまま服の質感などを表現するシミュレーションへの興味へとつながっているようだ。ちなみに最近は3Dプリンターに夢中なのだそう。ピクサーがその歴史的な歩みを刻み始めた『トイ・ストーリー』から、20年以上に渡ってクリエイティブに関わり続けている小西さん。同じ日本人であることにどこか誇らしい思いも感じながら、ぜひ劇場で『ファインディング・ドリー』の美しい世界を体感してみて欲しい。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。次回で最後となる現地取材レポートでは、ピクサーで働くもうひとりの日本人クリエイター・原島朋幸さんのインタビューをお届けする。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月20日園子温監督が設立したシオンプロダクションの第1作目『ひそひそ星』と、大島新監督が園監督を追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』が現在公開中で、トークイベントがシネマカリテで連日開催されている。そこで園監督を直撃し、20代の時に手掛けたオリジナル脚本を映画化した『ひそひそ星』について、あふれる思いを聞いた。その他の画像『ひそひそ星』は、静謐なモノクロームの映像で綴ったSF作品。宇宙宅配便の配達員をするアンドロイド(神楽坂恵)が、宇宙船で、人間たちの思い出の品を配送していく。福島県の富岡町・南相馬市・浪江町でロケを敢行した。本作を自主制作の映画として撮った理由について園監督は「商業映画として撮るには、特に困難な映画だったから。『地獄でなぜ悪い』(13)や『ラブ&ピース』(15)は、いつか映画化できるかなと思っていたけど、『ひそひそ星』は、無理かなと思っていた」と述懐する。実際に制作が決まった時も、園監督自身、半信半疑だったようだ。「それは初恋の人の思い出みたいなもの。もう1回会いたいかと言えばどうなのかと。僕にとって『ひそひそ星』はジョーカーというか、最後の切り札みたいなもので。作らないことでモチベーションを保っていた。でも作っちゃったから、今は憑きものが落ちたみたいになってしまった。またゼロから映画を作っていきたい」。さらに「これで、ネクストステージに入った。日本で撮るものについては、慎重に撮っていきたい。そして、次は海外で撮りたい。その理由は、制作費が違うから」と今後の展望を述べる。その一方で、自主映画については「他ではひっかからない映画を撮っていきたい」と宣言。また、今後オリジナルのものしか撮らないと宣言した園監督だが「原作ものは、どうしてもやりたいと思えるものがあれば、やりたくなるかもしれない」と語った。この日のトークショーに登壇した水道橋博士は、『ひそひそ星』について「園子温監督のキャリアの中で、1000年という時を超えた時、この1本となっているかも。園監督は元々詩人で、その適性が生きている」と絶賛。また、『園子温という生きもの』の回では、大島新監督も交え、園監督のプライベートな素顔についてのクロストークで会場を沸かせた。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』公開中取材・文・写真:山崎伸子
2016年05月25日2015年には『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『映画 みんな!エスパーだよ!』と4本の新作が公開された、日本でいま最も多忙な園子温監督の最新作『ひそひそ星』、そして、376日に渡って彼を追い続けたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が、先週末5月14日より公開となり、それぞれの初日舞台挨拶が新宿シネマカリテにて開催された。『ひそひそ星』は、映画監督・園子温が、本当に撮りたかった“むきだしの作家性”をぶつけた全編モノクロームの野心作。この日、園監督と本作の主演とプロデューサーを務めた神楽坂恵が揃って登場。「今日はこんなに沢山の方に観に来ていただけてすごく嬉しいです」と園監督は喜びをあらわにし、神楽坂さんは「あっという間に公開を迎えた気分です。今日はどうもありがとうございます」とそれぞれ挨拶して、始まった。園監督が本作の絵コンテを作ったのは、いまから25年も前。それを実際に映画化しようとした理由について、監督は「当時、もともとこの映画で商業映画デビューをしようと考えていました。でも、地味でちょっと変わった内容で、自主映画として自分でお金を集めて作ろうと思ったけど、うまくいきませんでした」とふり返る。「ずっと家の机の奥にしまっている状態になってしまっていたんだけど、全ページ全カット、そのとき書き上げていたものをもとに作ったから、製作に25年かかったということではないんです。それが、自分の制作会社として立ちあげたシオンプロダクションの第1作として何を作ろうかと考えたときに、『これにしよう!』と」と、その経緯を語った。実生活でも監督のパートナーである神楽坂さんは、「『ひそひそ星』の絵コンテのことはずっと知っていて、家を引っ越すたび、スゴい量の絵コンテが入った段ボールを大切に持っていたんです」とコメント。「いつ、この映画を撮れるんだろう…と思っていたから、今回、主人公の鈴木洋子役をやれるのはすごく光栄でした」と、伴侶だからこそ知り得るエピソードと自身の想いを明かしてくれた。また、ロケ地が福島であることについて、「『希望の国』でも福島で撮りましたが、今回は風景論として、風景に物語を語らせたいと思っていました。そのことに風景をずっと撮っていて、“こういうものはどうすれば映画になるんだろう?”とずっと思ってたんです。そのきっかけがなかなかなかったけれど、『ひそひそ星』の台本を読み返してみたら、“これは僕のやりたかった福島にぴったり当てはまるじゃないか”と気付いたんです。福島の風景に語らせるということがこの台本ならできるな、と」と、そのきっかけを明かす。本作では、日本家屋スタイルの宇宙船も非常に印象的だが、「スタジオにセットを作ったんですが、100年の映画の歴史の中で、いままでに絶対にない宇宙船を作りたかったんです。25年前の当時はお金もなかったから絵コンテに外観までは書かれていないんですが、今回は日本家屋の宇宙船として徹底してやりました」とこだわりに触れた。さらに、「当時はすごく野心的で、とにかくそれまでに映画でやられていないことを探しまくって、それを中に入れたいと思っていました。観たこともない映画を作りたいという当時の“彼”(25年前の園監督自身のこと)の熱い想いで、なるべく彼の意向に基づいて、絵コンテもほぼ忠実にやっていこうという想いで再現しています」と、当時の自身に寄り添った映画づくりであったことを語る園監督。続けて、登場人物の声が“ひそひそ声”であることについては、「意味というよりも、音楽的な映画にしたかったという想いもあるんです。それから、大きな声で物事を言えなくなるんじゃないかと当時感じていたこと、“ひそひそ”としか話すことができなくなった世相という意味合いもあります」と、この世界観の裏側にあるテーマにも言及した。最後に、園監督は「こんな地味な映画にでも人は沢山来てくれるんだぞと証明したい気持ちもあります」と挨拶。神楽坂さんも「思い入れがあって、撮影後の編集も含めてすごく時間を使ってきた作品なので、公開を迎えた実感がないんですが、本当にありがとうございます」と感激の面持ちで締めくくった。一方、そんな園監督の姿を追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』初日舞台挨拶には、大島新監督が晴れやかな表情で登場、「1年以上にわたって変な珍種の生きものを追い続けました。ほとほと疲れましたが、ここまでたどり着くことができました。本日はありがとうございます」と挨拶をして観客を迎えた。本作はTBS「情熱大陸 園子温」を手掛けた後、改めてドキュメンタリー映画として園子温監督を取り上げたもので、「この“おっさん”はもうちょっと面白いんじゃないかと思ったんです。番組ではスポンサーの兼ね合いでお酒をたしなむぐらいであればよくても、泥酔しているシーンまでは出すことができません。もっとはっちゃけたシーンが撮れるはずだと思ったんです。実際始まってみるとたしなむどころか大暴れで“しめしめ”と思いました(笑)」と、手応えをふり返って語った。この日は、映画を鑑賞した観客から質問も次々と寄せられたが、「TVでも映画でも出せなかったものはあるのか」という問いには、「自主規制したり、何かに遠慮して出さなかったものはありません」と胸を張って応じた大島監督。そして、一番外せなかった場面を聞かれると、園監督の妻でもある神楽坂さんが、本作にも証言者として登場する場面を挙げ、「こういう瞬間ってあるんだなと。普通のインタビューとして始めたつもりのものが…。あの場面はすごく大事にしているし、あえて長く使っています」と見どころを紹介した。最後に、本作と『ひそひそ星』を「どちらを先に観るべきか?」という究極の質問が投げかけられると、「僕はこの映画(『ひそひそ星』)の方が先の方がいいと思ってるんですが、すでにフィルメックスで『ひそひそ星』を観ていた学生がこの映画を観て、『ひそひそ星』の方が先の方がいいのではないかと言われたんです」と反響を紹介。舞台挨拶にかけつけた回の観客は、本作を先に観てしまったことになるが、「『ひそひそ星』の後にもう1回この映画をご覧いただくといいんじゃないかと思います」と、茶目っ気を見せつつアピールしていた。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は新宿シネマカリテほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月16日国内外で絶大な支持を集め続ける園子温監督が、自身の独立プロダクション=シオンプロダクションの第一作目として撮り上げた野心作『ひそひそ星』が、晴れて公開になる。妻・神楽坂恵を主演に迎えた同作は、自身が20代のときに書き留めたオリジナルの物語の映像化で、人間たちに届け物をするために宇宙を旅するアンドロイドの女性が主人公だ。「奥さんを使う作品は、今回で最後(笑)」と照れる園監督、そして神楽坂恵、いまの想いを尋ねた。園監督が“むきだし”の作家性をぶつけた本作は、構想25年を経て完成したモノクロームのSF作品。「第40回トロント国際映画祭」でワールドプレミアが行なわれ、過去の監督作とは異なる趣のミニマルSFの誕生と歓待を受け、「NETPAC賞」を受賞。シネフィルとしても知られる俳優の斎藤工、岩井俊二など各界の著名人が絶賛を惜しまない注目の一作だ。シオンプロダクションの第一作目という記念作だけに、伴侶である神楽坂さんが主演を務め、その門出を祝い、決意を表明することはごく自然なことだと素人は思うが、「神楽坂を出すと、少しは照れるんですよ(笑)。普通の女優さんにお願いした方がいい」と園監督。しかし、ある想いがあって神楽坂さんに決めたそうだ。「そういう個人的な感情みたいなことを越えて、神楽坂じゃないとダメでした。毎回毎回、最後と言っていますが、今回こそ本当に最後かなという感じです」。一方の神楽坂さんは、「最初は事務作業などの裏方で携わっていたんです。途中から出ることになって驚いて(笑)」と経緯を明かす。「シオンプロは少人数なので、運営もしながら撮影に入りました。撮影の準備をしながら、クラインクインの前日は振込をしていましたね(笑)」と自主映画ならではの苦労エピソードも。神楽坂さん演じる主人公・鈴木洋子“マシンナンバー722”は、アンドロイドの女性だ。昭和風のレトロフューチャーな宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、広大な宇宙空間を果てしなく旅する。それは、彼女がいくつもの寂しい星に降り立っては、人間たち一人一人にかけがいのないものを届けるため。すでに滅びゆく絶滅種と認定されている、人間たちのために届けるのだ。なるほど確かに、神楽坂さんが演じる姿を観ていてしっくりくる。なぜなら園監督の身内が演じることで、観客へ映画そのものを届けていることになるから。「実際、何人かの女優さんが手をあげていたけれど、自主映画でセールスポイントを求めてもおかしな話なんです。どこかの映画会社の仕事なら、ともかくですが、この映画の芸術性としては好きなものを撮ることなわけだから、ドライな関係の人が一人でもいると嫌じゃないですか。簡単に言っちゃうと、好きな人で撮るということなんです(笑)。それは恥ずかしいことでもあるので、それを乗り越えていく必要もあったわけです」と園監督。こうしてお金目的でなく始まった映画『ひそひそ星』の撮影は、東日本大震災の傷跡が残る福島県の富岡町・南相馬・浪江町などでロケを敢行。記憶と時間、距離への焦燥などを“ひそひそ”と声のトーンを落とした特異なセリフ回しで描く撮影は、未だ仮設住宅で生活する地元の人々たちなどの協力を得て完遂した。園監督にとって、『希望の国』に続くモチーフではあるものの、「そこに政治的なメッセージは一切ないですよ」と想いを明かす。「福島の風景の映画にしたかったんです。けれども『希望の国』の後、どうしていいかわからなかった。やがて自分のプロダクションの第一作目というときに、これがあるぞと。でも、第一作目にしては実験的すぎるけれども、逆にいろいろと今しかないんですよね。色気を出したエンタメ映画を撮る案などもあったけれど(笑)、これで良かったです。本当に。ロケ地など次に行ったときに、なかったりしますよ。きれいな更地になっていて、何もないの。そういう意味でもメモリアル、記録のためにも撮っておいて良かったと思います」。こうして完成した『ひそひそ星』は、園監督の新たな一面を観ることになるという絶賛意見が飛び交うが、大型の商業映画から先鋭的なインディペンデント作品まで縦横無尽にスクリーンを駆け回る園監督が<本当に描きたかったテーマの作品>となった様相を呈していて、興行収入を第一に考えない作家性と実験性が炸裂した内容は、必見と言えそうだ。ちなみに神楽坂さんの起用は、どうして今回で最後なのか?ご本人も、「最後にしようと何度も思っているみたいですが、私は何度も登場していますよね(笑)」と不思議がる。この点について園監督は「ただ、恥ずかしいということですね(笑)」とうつむくばかりだが、これが本当に最後の作品となると、それはそれで大変なことに!シオンプロダクションの第一作目の『ひそひそ星』は、園子温監督ファンにとって見逃し厳禁の一本だ。(text/photo:Takashi Tokita)
2016年05月11日ワタリウム美術館(渋谷区神宮前)で7月10日まで開催中の「園子温展 ひそひそ星」では、映画本編では描ききれなかった思いを、異なる角度から空間作品へと発展させている。『ひそひそ星』の555枚にも及ぶ絵コンテのみならず、影絵によるプロジェクション作品、渋谷の忠犬ハチ公のオブジェを福島の被災地に置いたインスタレーションなど、その手法は多彩だ。映像、詩、小説、アート、音楽、パフォーマンスなど、ジャンルの垣根なく表現活動を行う園の目に、現代という時代、そこで暮らす人間像は、どのように映っているのだろう。■生の世界と死の世界は変わらないーー「園子温展 ひそひそ星」の影絵によるプロジェクション作品は、映画の最終シーンとも重なるのですが、映画とは違ったメタファーが含まれているのでしょうか?映画の方はセットですが、美術館で作品化する時に、障子紙というもののあり方を強調したいと思いました。あの世とこの世の橋渡し。そのふたつの世界が生命の糸でつながれている。しかし、どちらがこの世で、どちらがあの世なのかというのではなく、どっちも死後の世界であるという発想です。『ひそひそ星』のシナリオを書いた当時は、25年後に福島を舞台に、廃墟の町を撮影するなんて、想像もしなかった。映画に出てくれた福島の人たちだって、25年前は、無人化する前の町で、生き生きと暮らしていたはず。でもそうした福島の町は、いつか失われゆく町なんです。それは、福島だけに限らず、どの町でもそうで、今ここに存在しているこの瞬間だって、100年後には痕跡さえ残らず、われわれも全員死んで、この町も完全に変わっている。あらかじめ、なくなることが運命づけられている。つまり人間は、ある種の幻影の中で生きている。この瞬間もまた幻想、まぼろしであると。そうやって突き詰めると、今ここに存在する町、生きている僕たちと、死後の世界というのは、そんなに変わりないのではないのか。別に悲観的な考え方ではなくて、それが生命の灯火、命のつながりであり、ただ「命」というもののありようを表現してみたかった。ーー映画でも、生の世界なのか死の世界なのか、どちらかわからなくなる時があります。映画のエンディングセットも、影しかないですし、読みようによっては、黄泉の国と思えなくもない。人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの。そういう表現として影絵を選んだ。アンドロイドは何百年も生きるけど、人間は100年くらい生きて滅んでいく。そういう刹那を生きている存在なんです。■地球だって宇宙である!ーーこれまでのSF映画では、見たことのない宇宙船が登場しましたね。長いSF映画の歴史があるけど、今までにない宇宙船にしたかった。畳敷きにして、古くさい家具を揃えて、外観もフツーの平屋の日本家屋(笑)。実は地球に暮らしていても、それは宇宙に暮らしていることだって、なかなか気づかないでしょう。月に移住したら、さすがに宇宙で暮らしていることになるけれど、「地球は、地球じゃん」って、大抵の人は思っている。でも、地球だって宇宙なんです。宇宙船の中を極めて日常化することで、地球も宇宙であることを実感できるようにしたかった。宇宙船というと、だいたいハイテクの装備で敵と戦ったりするけど、『ひそひそ星』の宇宙船はいたって平凡。中で爪を切ったり、歯を磨いたり……。■異なる震災・原発の描き方ーー『ヒミズ』(2011年)、『希望の国』に続き、『ひそひそ星』でも震災後の福島を取り上げていますが、前2作とは、また違った描き方をされていましたね。切り口を変えることが大事で、『ヒミズ』は震災・原発の物語の背景に埋め込み、『希望の国』ではジャーナリスティックな視点で取り組んだ。さらに震災直後と今後では風景も変わっていくから、次の機会があれば、違う角度から映画をつくると思います。もちろん、問題は終わらせたいし、続けたいという気持ちもないし、使命も義務もないけれど、今の日本の抱えている問題の大きな比喩になっていることは確かで、やっぱりそこに辿り着いてしまう。ーーありえない風景がこの地上に現れてしまったことへの衝撃はありましたか?ふとどきな考え方かもしれないけど、あの風景が美しいと思うところもあり、同時に陰惨な気持ちにもなる。その両方が福島には存在していて、切ないですね。例えば、無人の町では、最初の1時間くらいは、意外といいな、って思うくらい快適なんです。タバコ吸って、あー、すげー静かだな、いいなーと思って、しばらくすると、だんだんおかしくなって、気が変になってくる。でもまさか、ハリウッド映画に出てくるような風景が、この世に存在してしまう時が来るなんて思ってもみなかった。映画的には既視感のある風景で、世界の終末を描いた『ウォーキング・デッド』のままだし、いろんな意味で不思議な場所だと感じます。ーージャンルの垣根なく、さまざまな表現活動を行われていますが、今後、どのような展開を考えていらっしゃいますか。このところ、たまたま個展を何度もやる機会に恵まれたけれども、アートをずっとやっていこうとは思っていない。しばらくはガッツリ映画をやりたい!という欲求を、最近ひしひしと感じています。【映画情報】園子温監督作品『ひそひそ星』2016年5月14日新宿シネマカリテほかにてロードショー(大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー)【展覧会情報】「園子温 展 ひそひそ星」会場:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6会期:4月3日~7月10日時間:11:00~19:00(毎週水曜日は21時まで延長)休館日:月曜日料金:大人1,000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円前編へ戻る
2016年05月07日世界を挑発し、世の常識に疑問符を投げかけてきた、日本映画界の鬼才・園子温が、25年前に書いたオリジナルの物語『ひそひそ星』を映画化、5月14日に公開する。同作の主人公はアンドロイド。昭和風のレトロな宇宙船に乗り、絶滅種と認定された人間たちに思い出の品々を届けるために、宇宙空間を旅するストーリーである。自主映画として公開されるこのモノクロのSF映画は、最近の園子温の動的なイメージを裏切るかのように、限りなく静かな映像と、独特のポエジーが特徴的だ。元来の詩人としての園子温が『ひそひそ星』に込めた思いとは?■最初は上映する気もなかったーー『ひそひそ星』を自主映画として公開された経緯とは?25年前にシナリオを書いた時は、すぐにでも映画化したいと思っていたのですが、なにぶん資金がなくて。同じく25年くらい前に書いたシナリオですが、『地獄でなぜ悪い』(2013年)や『ラブ&ピース』(2015年)でさえも、映画会社になかなか企画が通らなくて苦戦したのに、ましてや『ひそひそ星』はとてつもなく地味な映画ですから、通るわけがないと思って、あてもなくぼんやりとしていました。そんな中、2013年に自分で独立プロダクションを設立し、自主映画を一本撮ろうと決めました。だったらどの作品を選ぼうかという時に、他にもいくつか候補はあったのですが、やっぱり最初は『ひそひそ星』以外にないんじゃないかと。ーー独立プロダクションの設立は、商業映画界にある窮屈さゆえのことでしょうか?独立プロダクションの設立は、人生の中でやってみたかったことの一つでした。もちろん、映画を撮る体制としてベストですし、自分の会社で、もっとお金をかける映画が制作できるようになれば、それこそ最高ですよね。ーー主役に私生活のパートナーでもある女優の神楽坂恵さんを起用されたのは?『ひそひそ星』は、映画として売る気が全くなかったので、有名な俳優を起用する意味を感じなかった。最初は上映する気すらなかったので、「つくって、はい終わり」という気分で、エンドロールもつけなかった。セールスポイントをつくる必要もないし、関係者やスタッフはみんな知り合いでいい。つまりファミリー感、満載なんです。『希望の国』(2012年)で取材に応じてくれた福島の人たちに出演してもらったのも、個人的な思い入れがあったからです。明らかに一般の人で、台詞も淡々としていて(笑)。でも全然それでよかった。■実は静かな映画が出発点ーー『ひそひそ星』では、「距離と時間に対する憧れは、人間にとって心臓のときめきのようなものだろう」という言葉が、映画自体のキャッチフレーズにもなっていますが、この思いは、ずっと抱き続けてきたものですか?『ひそひそ星』は、25年前に書いたシナリオに、ほとんど変更を加えていません。いろいろなものがどんどん便利になることで、ときめきが消えてなくなる。遠いからこそ、憧れているけれども、それがメッチャ近くなったら、想像力が働かなくなり、どうでもよくなる。フランスが隣町にあったら、その途端、お洒落でも何でもなくなる。よく僕のアトリエにフランス人が1ヶ月くらい泊まるのですが、「下北沢はパリよりカッコイイ!」って(笑)。お互いにそういうものなんですかね。ーー編集とダビングに1年という長い歳月をかけたそうですね?思い残すことがないようにしたかったんです。このところ、ものすごいスピードで映画をつくってきて、それはそれでよいところもあるのだけれども、いろいろと目をつむるところも多かった。自主映画はそういうものがないようにしたいと思いました。ーーこれまで「動」的な映画を数多く撮られていますが、『ひそひそ星』で限りなく「静」の世界を描いた理由とは?そもそも僕は「静」的な映画を撮りたくて、映画の世界に入りました。25年前、デビューをした頃は、静かな映画でいこうと思っていたけれども、なかなか上手くいかない。それからはからずも動的な映画主体になったけど、実は静かな映画が出発点なんです。■いつも心の中に詩を忘れたことは一度もないーー園さんは高校生の頃から詩を書かれていて、『ひそひそ星』はとりわけ詩的な作品ですね?もし詩を書いてなかったら、いまの僕はないと思うくらい、詩は欠かせないものだし、これまでの映画の中にも詩がいっぱい散りばめられている。台詞一つとっても、あの頃、詩で勉強したことが、全部役に立っているな、と思う時がありますね。10代の頃、詩を読み漁っていましたからね。日本の現代詩はもちろんですが、世界中の詩人の作品を読んで、本当に勉強になった。それが根底にあり、いつ何をやっても心の中に詩があり、詩を忘れたことは一度もありません。ーー映画の世界観にも、詩の影響は大きいですか?25年前、僕にとってよい映画とは、オリジナリティー溢れるもので、オリジナルの刻印がない映画はダメだと思っていた。すごくよくできているけど、誰の作品だかよくわからない映画よりは、駄作でもいいから、パッと見ただけで、誰の映画かわかるような作品をつくるべきで、自分もそうありたいと願っていた。その時、僕に何ができるかといえば、映画に詩を取り込むことだった。それが一番、自分のオリジナリティーが出るのではないか。「映画詩」、つまり映画で詩をやりたい。そういう思いで『ひそひそ星』のシナリオを書きました。ーー25年の時空を超えて『ひそひそ星』と対峙する時、制作に対する思いや人生観など、変わった部分、変わらない部分はありますか?全く変わってないところもあるけれど、25年前、このシナリオを書いた本人からすれば、想像もつかないほど、変わったところもある。当時、女の裸が出てくるような映画を撮るなんて、思いもよらなかっただろうし、血が噴き出たり、ゲリラ的な映画をつくる発想はこれっぽっちもなかった。当時の彼からすれば、意表をついた展開になったでしょうね。フォークシンガーでデビューしようとしていたのに、キッスみたいなメイクしてロック歌っているみたいな(笑)。そのくらいの大変化があったと思いますね。後編へ続く
2016年05月06日5月14日公開の園子温による新作映画『ひそひそ星』をもとにした、映画監督・園子温による美術館初個展「ひそひそ星」が、4月3日から7月10日まで東京・神宮前のワタリウム美術館にて開催される。映画『ひそひそ星』は、2013年に設立したシオンプロダクションの第1回制作作品で、25年前に園子温がアパートの一室で描いた555枚の絵コンテを忠実に再現し、撮影された映画である。物語の主人公は、園子温の妻である女優・神楽坂恵が演じるアンドロイド。昭和レトロな宇宙船に乗って、絶滅種と認定された人間たちのために思い出の品を配達しながら広大な宇宙を旅する、静寂なモノクロームのSF作品だ。今回開催される個展では、映画では描ききれなかったイメージをインスタレーション作品として展示する。また、同映画のベースとなった全555枚の絵コンテや映画に使用された小道具の他、90年代に園が行ったストリートパフォーマンス「東京ガガガ」、そこから誕生した「忠犬ハチ公プロジェクト」の新作なども登場する。会期前日の2日には、園子温、同館のキュレーター・和多利浩一、Chim↑Pomのエリイ、卯城竜太によるトークイベントが行われた。実は今回の展示に先駆けて昨年、Chim↑Pomが運営する高円寺のギャラリー「ガーター」にて同展は開催されていたという。和多利氏はその際に「何の策略もなく自由に表現する園さんのアートに感銘を受け、声をかけたことから実現に至った」と、同展の経緯を話す。園監督は自身の作品について「4階に展示した絵コンテ555枚には、僕が未来に描く映画の全てが詰まっている。今回の新作『ひそひそ星』に使ったのは6割くらい」とコメント。「『ひそひそ星』は、(昔と比べて)商業に塗れた僕が、初心に立ち返ろうと決めて自主映画化したもの。25年前に描いたシナリオだから本当は誰にも観せたくなかった(笑)」と明かした。また、映画と個展の独創的な世界を濃縮し、園子温の規格外の魅力を収めた作品集・展覧会カタログ『ひそひそ星』も4月下旬に発売。2万字を超える本人書きおろしの文章と詩の他、映画の芸術的なスチール写真と絵コンテ、「ハチ公プロジェクト」の新作、エキストラとして参加した福島県の富岡町、南相馬市、浪江町の仮設住宅に住む地元の人々の声などが収録されている。なお、映画は5月14日より新宿シネマカリテ他にて上映開始。また、「情熱大陸」で園子温を追った大島新が監督を務め、1年間長期取材を行ったドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』も同時期に公開予定。【イベント情報】「園子温 展 ひそひそ星」会場:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6会期:4月3日~7月10日時間:11:00~19:00(毎週水曜日は21時まで延長)休館日:月曜日料金:大人1,000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円
2016年04月06日常に時代の先端から挑発を投げかける映画監督・園子温。このほど、構想25年を経てようやく結実したモノクロームのSF作品『ひそひそ星』と、“園子温”という人物の生態に迫るべく376日に渡って彼を追い続けたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』の待望の予告編が、2作同時に解禁となった。映画『ひそひそ星』は、鬼才自ら2013年に設立したシオンプロダクションの第1回制作作品で、『地獄でなぜ悪い』『ラブ&ピース』と同じく、園監督が20代のときに書き留めていたオリジナルの物語を、“いま”を映す映画としてようやく昇華させた。主人公は、アンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー722”(神楽坂恵)。昭和風のレトロな内装の宇宙船に乗り、滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに、大切な思い出の品を届けるために、宇宙を何年も旅をしている。解禁となった予告編で描かれるのは、星から星へと移動する宇宙船の中の、蛇口の水滴やマッチの点火といったさまざまな“音”や、お茶をすすり、丁寧に掃除をし、ぼんやり外を見て過ごす鈴木洋子の宇宙空間での暮らし。彼女が人間たちに届けるのは、1枚の写真やフィルムの切れ端といったささやかなものばかりだ。いくつもの星に降り立っては、かつて人々でにぎわった街や海辺に荷物を届けていく。そして、次の星は、“30デシベル以上の音を立てると人間は死ぬおそれがあります”というナレーションで紹介される“ひそひそ星”だった…。昨年のトロント映画祭で「ミニマリスト・サイファイ(Minimalist Sci-Fi)が現れた」と絶賛された本作は、“ひそひそ”声の静けさの中にどこか終末的な深い哀切を映し出し、独特の詩的表現に満ちた映像となっている。また、映像中に斎藤工、岩井俊二監督らの絶賛コメントも盛り込まれていることにも注目だ。一方、『園子温という生きもの』は、2014年にMBS「情熱大陸」で園監督を追ったドキュメンタリー監督・大島新が、テレビには収まりきらない“規格外”のその人物に魅了され、放送後から1年にわたって撮影を敢行。これまでの園監督の密着ドキュメンタリーとは期間の長さ、濃密さも一線を画すものだ。解禁となった予告編でまず映されるのは、自身のアトリエで自由奔放な絵を手に「人間っていうものは “いい”とか“悪い”じゃないんです」と熱弁をふるう姿。そのほか、目を閉じ考え込む姿、ライブハウスでのパフォーマンス、渋谷駅のハチ公像前で警官に事情聴取される姿など、映画監督にとどまらない園の活動をつぶさにとらえていく。『ひそひそ星』の撮影の舞台裏にも迫り、「いい映画になるかな…」とスタッフに不安げにつぶやく様子も確認できる。また、「若いころの園子温役とか絶対やりたい」と熱く語る『ヒミズ』に主演した染谷将太、「自分のことをよくやったなと思う」と涙ながらに語る『ひそひそ星』の主演女優で妻の神楽坂恵といった貴重な証言も収められている。まさに、描かれるのは普段は見ることのできない、“園子温という生きもの”の記録。さらに、本作のポスタービジュアルも完成し、上方を強くにらみ付ける園監督本人を大きく捉えた、情熱たぎる力強いデザインとなっている。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は5月14日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月25日2014年サン・セバスチャン国際映画祭にて「グランプリ」と「監督賞」をダブル受賞し、スペインの名匠ペドロ・アルモドバルや園子温監督などが絶賛の声を贈る映画『マジカル・ガール』。日本のアニメやサブカルに大きな影響を受けたという新鋭監督カルロス・ベルムトが手がけた本作には、文字どおり2人の“マジカル・ガール”が登場し、男たちの運命を狂わせていく。まさに“魔性の女”ともいうべき女たちが登場する映画に注目した。本作は、独創的なストーリー、全編を貫くブラックユーモア、先読みできない巧みな構成、そして想像を絶するラストが絶賛され、サン・セバスチャン国際映画祭で17年ぶりとなる「グランプリ(作品賞)」「監督賞」W受賞の快挙を成し遂げたスペインの新鋭ベルムト監督のデビュー作。白血病で余命わずかな少女・アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。失業中の父・ルイスは、アリシアの願いをかなえるため、「魔法少女ユキコ」の高額なコスチュームを手に入れることを決意する。だが、この行動が、心に闇を抱える女性バルバラと、訳ありの元教師ダミアンをも巻き込み、悲劇的な結末へと向かうことに――。本作について、ベルムト監督は「脅迫をモチーフにしたフィルム・ノワールを作りたかった」と語る。フィルム・ノワールとは、虚無的・退廃的な志向性を持つ犯罪映画を指した総称で、主に1940年代から50年代にかけてアメリカで作られた犯罪映画のこと。“ノワール”とはフランス語で黒や闇などを意味し、人間心理の暗黒の部分や犯罪の闇をあぶり出していく。そして、多くのフィルム・ノワールには、必ずといってよいほど、男を破滅させる“ファム・ファタール”(運命の女・魔性の女)が登場する。本作におけるファム・ファタールの役割を果たすのは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」ファンの余命わずかな少女・アリシア。そして、謎の過去を持つ妖艶な女性・バルバラだ。ベルムト監督が「『マジカル・ガール』とは、物語を牽引する2人の女性の存在の象徴である」と語っているように、性質の全く違う2人の「マジカル・ガール」たちは、自らの望みを叶えるため、図らずとも男たちの運命を狂わせ、想像を超える衝撃的なエンディングへと導いていく。特に興味深いのは、本作は単なる金銭目当ての“脅迫”をモチーフにしたフィルム・ノワールではなく、「余命少ない娘が欲するアニメのコスチュームを手に入れる」という、ある父親の純粋かつ奇想天外な願いに端を発しているところだ。天真爛漫な12歳の少女アリシアはもちろん、娘の夢を叶えようとするルイスと関係を持ち、元教師ダミアンに人知れない過去を負わせるほどの“魔性っぷり”を発揮しているバルバラ。設定と構成の面白さ、何と言っても近年稀にみる(?)彼女たちのファム・ファタールっぷりは、新たなるフィルム・ノワールの金字塔が誕生したと言っても過言ではないだろう。◆ファム・ファタールたちが生き生き!見逃せない映画の数々ファム・ファタール(魔性の女)の代表的存在といえば、古くは新約聖書に登場する「サロメ」。舞踏の報償として、「何が欲しい?」と聞かれて「洗礼者ヨハネの斬首!」と答える悪女っぷり。また、文学の世界でも、男を振り回して死にまで導く情熱なジプシー女「カルメン」、“ナオミズム”という言葉も生まれるほど人気を博し、美少女ナオミに溺れる男を描いた谷崎潤一郎の「痴人の愛」など、いつの時代も“魔性の女”は人々を虜にする。映画にも、そんな女性たちが生き生きと存在する作品は数多い。●『エヴァの匂い』(’62/ジョゼフ・ロージー監督)『マジカル・ガール』のバルバラも舌を巻く、魔性の女・エヴァ。寒々としたヴェネチアを舞台に、幾人もの男の身を破滅させてきたジャンヌ・モロー演じるローマの高級娼婦エヴァの姿を描く。原作は、ハドリー・チェイスの「悪女イヴ」。フィルム・ノワールの傑作として知られている。●ロリータ(’62/スタンリー・キューブリック監督)『マジカル・ガール』アリシアといい勝負!?最年少のファム・ファタールといえば、彼女だろう。未亡人シャーロットの娘・ロリータは、夏を過ごそうと田舎町で下宿していた。そこで出会った大学教授ハンバートとシャーロットはしばらくして結婚するが、ハンバートは次第に娘のロリータに心奪われていく。母シャーロットは逆上のあまり事故死。ハンバートはロリータを連れて車で旅に出るが…。衝撃のラストが待つ問題作!●『誘う女』(’96/ガス・ヴァン・サント監督)ニコール・キッドマン主演。女の武器は最大限に使い、どんなことをしてでも夢を叶える、実在したコワい女がモデルの本作。天気番組のキャスターであるスザーンは、“テレビに出て有名になる”ことが人生で最も大切であると信じている。そのためにニュース・キャスターを目指していたが、夫は全く理解を示さない。そんな夫が邪魔になってきたスザーンは、ある高校生を色仕掛けでそそのかし夫を殺害させるが…。●『ゴーン・ガール』(’14/デヴィッド・フィンチャー監督)「こんな魔性の女は嫌だ!」ともいえる、『マジカル・ガール』の女性たちとは違った計算しまくりの本作の悪女は、記憶に新しいところ。幸福だと思われていた、とある夫婦。しかし、妻・エイミーが突然失踪。警察と過激化する報道によって、世間は夫・ニックに疑いの目を向け始める。しかし、実際は、全てエイミーの狂気に満ちた用意周到な計画によるものだった…。ちょっぴりコワいけれど、男たちを虜にしながら、自らの欲望を叶えてきたファム・ファタールたち。スペイン発の本作からも、そんなファム・ファタールの魅力に溺れてみるのもいいかもしれない…。『マジカル・ガール』はヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年03月15日『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』などの名作を世に送り出してきたピクサー・アニメーション・スタジオでは、日本人クリエイターも活躍している。このたび、アメリカ・サンフランシスコの同スタジオで、最新作『アーロと少年』(3月12日公開)に参加している原島朋幸氏と小西園子氏にインタビュー。本記事では、シミュレーション・デパートメント(キャラクターをリアルに見せるための技術)を担当した小西氏について紹介する。小西氏は、シカゴの美術大学で学んだ後、1994年にピクサーに入社。世界初の長編フルCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』にも関わったというピクサー一筋のクリエイターだ。本作『アーロと少年』では、恐竜の皮膚の動きや少年スポットの髪の毛や服の動きなどを担当した。――小西さんはもともとは『スター・ウォーズ』が好きで映画に興味を持ったそうですが、そこからアニメーションの世界に入った理由を教えてください。ビジュアルエフェクト(視覚効果)をやりたいなと思ったんです。映画の世界に行こうと思ったのは、『スター・ウォーズ』をリアルタイムで渋谷で見た時に、ハリソン・フォード演じるハン・ソロに首ったけになって、その時に「映画を勉強して、絶対アメリカに行くぞ!」って決意したんです(笑)。そして、アート学校に入った時に、CG(コンピュータグラフィックス)が波に乗り始めて、ビジュアルエフェクトに興味を持ちました。――『アーロと少年』でのシミュレーション・デパートメントは、具体的にどのような作業でしたか?恐竜たちの皮膚や筋肉の感触を出したり、スポットの髪の毛をほわほわっとさせたり、スポットが腰に巻いているスカートに動きをつけたり、恐竜が踏んだ時の草木や芝の動きなどです。草の場合は、恐竜に踏まれると沈み、足が離れるとゆっくり元に戻るようにするんです。――特に難しかったシーンを教えてください。草木は、量が多かったので大変でした。場面によって、激しく揺らしたり静かに揺らしたり。木の1本に対して、もう少し揺らしてみようということになるんです。でも、後ろを揺らしすぎるとうるさくなってしまうので、絶妙なバランスが求められます。――思い入れのあるシーンはありますか?スポットがクシュクシュッてお尻を振るシーンですね。かわいさを強調するために、動きを大げさにしたんです。最初にスカートを思いっきり揺らして、髪の毛の方にだんだん動きが伝わっていくというようにしました。――シミュレーション・デパートメントの面白さを教えてください。アニメーションの方から、シミュレーションをした後の映像は「ものすごくいい」と言われます。あるのとないのとではまったく違うんです。恐竜たちの筋肉の動きなどがあると自然に見えますし、スポットがアーロの背中からポンポンポンッて降りるシーンも、スポットがアーロの皮膚を押すとプニュッてなるようにしています。そういう反動があるのとないのとでは、まったく違います。――最後に、これからピクサーに入りたいと思っている日本人にアドバイスをお願いします。最近は、テクノロジーも簡単になってきていますし、ハウツーものも充実していて自分で学べるようになっていて、向上心のある人は自分でどんどん勉強しています。また、コンピュータはあくまでもツールのひとつで、逆に重視されてきているのは、ストーリーや絵コンテが書ける人、アニメーションできる人だと思います。(C) 2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2016年03月15日『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』などの名作を世に送り出してきたピクサー・アニメーション・スタジオでは、日本人クリエイターも活躍している。このたび、アメリカ・サンフランシスコの同スタジオで、最新作『アーロと少年』(3月12日公開)に参加している原島朋幸氏と小西園子氏にインタビュー。本記事では、キャラクターアニメーターの原島氏について紹介する。原島氏は、ドリームワークスで『ヒックとドラゴン』シリーズや『マダガスカル』シリーズなどに参加した後、2015年の頭にピクサーに入社。『アーロと少年』では、キャラクターアニメーターとしてTレックス(ティラノサウルス)のシーンなどを担当したが、Tレックスをアニメーションすることは原島氏の昔からの願いだったという。――Tレックスのアニメーションをやってみたいと昔から思われていたそうですね!もともと私は、日本で理系の大学に通っていました。映画業界に入るには美大に行くというのが普通でしたが、『ジュラシック・パーク』が公開されて、理系の人間でも映画に関わっていけるのかなと感じたんです。それがCGをはじめるきっかけになりました。Tレックスに関してはその時の思い入れがあり、今回Tレックスのアニメーションに携わる機会に巡り合えてラッキーだと思っています。――キャラクターアニメーターとして"キャラクターに命を吹き込む"というのは、具体的にどのような作業なのでしょうか。3Dのモデルを起こし、キャラクターが実際に動いてしゃべっているように見せるという作業です。キャラクターに演技をさせて、自分で動いているように見せるのが役目です。――今回のTレックスのシーンでは、ピーター・ソーン監督からどのような指示がありましたか?よく知られている通常のTレックスの動きではなく、カウボーイをイメージして作ってくれと言われました。馬の上にカウボーイが乗ってコントロールしているような雰囲気、そして、戦う場面は西部劇の中のバーでのけんかをイメージしてほしいと言われました。とはいえ、人間ではなく恐竜であることは崩さずにということでした。――Tレックスの大ファンであることが生かされたのではないかと思いますが、いかがですか?大ファンっていうわけではないんですけど(笑)、小さい頃は恐竜の絵を描いたりしていたので、アニメーションを手掛けるのはうれしかったです。でも、通常のTレックスとは違う走りなので、みんなが思い浮かべるイメージを壊していかないといけないという難しさもありました。『ジュラシック・パーク』のような一般的な走りではなく、カウボーイと西部劇というアイデアを恐竜とミックスさせないといけなかったので。――何か参考にしたものはありますか?カウボーイのイメージに寄せるために、馬の動きを研究しました。また、大きさと重さを表現するために、象も参考にしましたね。すぐ加速すると軽く見えてしまうので、ゆっくり加速させるなどして重さを表現しました。――今回、興味のあったTレックスを担当されましたが、今後のピクサーでの夢を教えてください。いろんな作品に関わっていきたいです。あえて挙げると、ピクサーで働きたいと思うきっかけにもなった『トイ・ストーリー』のキャラクターに関わってみたいですね。――ほかのスタジオも経験された原島さんから見たピクサーの魅力とは?ピクサーはトップの人間が、ジョン・ラセターをはじめクリエイティブの人間なので、ストリーやキャラクターをとても大切にします。お金や時間という制限がある中で、クリエイティブの部分を大切にする会社だと思います。――ピクサーに入りたいという日本人に向けてアドバイスをお願いします。目標を持って、あきらめずに好きなことを続けていれば、いつか実現すると思います!(C) 2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2016年03月12日『愛のむきだし』『ヒミズ』『新宿スワン』などを手掛ける鬼才・園子温監督が、構想25年を経て結実させたモノクロームのSF作品『ひそひそ星』。このほど、本作をいち早く鑑賞した映画監督の岩井俊二や俳優・斎藤工、作家・羽田圭介など、各界のトップランナーたちによる賞賛コメントが到着した。主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー 722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた宇宙を何年も旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに日用品などの荷物を届けるために…。2013年に園監督自らが設立したシオンプロダクションの第一回制作作品として公開される本作。『地獄でなぜ悪い』『ラブ&ピース』と同じく、監督が20代の時に書き留めていたオリジナルの物語をもとに、“いま”を映す映画として満を持して映画化された。主人公のアンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー 722”を、監督の伴侶である女優・神楽坂恵が好演。既に「第40回トロント国際映画祭」で最優秀アジア映画賞受賞し、「第16回東京フィルメックス」ではオープニング作品として日本初上映されるなど、本作への注目度の高さが伺える。このほど、いち早く本作を鑑賞した各界著名人から絶賛コメントが到着。本来ならアンドロイドがすべきでない人間的所作をするアンドロイド・鈴木洋子が劇中何度もする“くしゃみ”に着目するスタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫や詩人・谷川俊太郎をはじめ、福島県の富岡町・南相馬・浪江町にてロケが敢行された本作に、『ヒミズ』や『希望の国』と同様、監督の作品作りと切ってもきれない“被災地・福島”を見て取る美術家・会田誠や、『花とアリス』や近日公開される『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井監督、アーティスト集団「Chim↑Pom」のリーダー卯城竜太、モデル・栗原類、画家・篠原愛がコメントを寄せている。さらに、感覚的な言葉で本作への賛辞を送る「Chim↑Pom」のエリィや俳優の斎藤さんのほか、写真家の齋藤陽道、「映画秘宝」(洋泉社)の田野邉尚人、「マジンガーZ」「キューティーハニー」を代表作に持つ漫画家・永井豪、作家・羽田圭介、ワタリウム美術館代表の和多利浩一が、それぞれの言葉で本作を絶賛している。また、あわせて本作のポスタービジュアルも解禁。アーティスティックな仕上がりのビジュアルからも、園監督渾身の本作への期待感が大いに高まる。<コメント一覧(五十音順)>■会田誠(美術家)美しい、というのは普通には憚られる、福島の無人になった被災地を、馬鹿っぽいくらい大袈裟なSF的設定によるロケ地にした、この捩れを、重く受け止めました。■岩井俊二(映画監督)アンドロイドも宇宙船もサイエンスフィクションだが、そこに映っている福島の風景だけはノンフィクションである。五感に染み渡る美しく残酷な映画だ。■「Chim↑Pom」卯城竜太初めて観たとき鳥肌が立った。何気ない時間がゆっくりと進むのに、ひと時も目が離せなかった。もしかして全ての日本映画を代表するような作品を目の当たりにしてしまっているのではと興奮したが、今になってその推測は自分の中では確信になっている。本当に凄い。園さんの底なしの表現への誠意と欲望に感動したし、何よりも「SF」であるにも関わらず、些細な生活音から荒れた福島の風景、登場する人々の仕草にいたるまで、そのあまりの「リアル」に驚いたのだ。人間が生活を営むささやかさと、現実が孕んでしまったスペクタクルの恐るべき共存。それはこの世界ではごく当たり前のことだけど、人類はいつもそれを切り離して政治的な物語を歩もうとする。とにかく僕にとって今後この作品は、ポスト3.11、近年の自粛・検閲・監視社会、そして戦後日本の社会と美術を考える上での大きなひとつの指針になるだろう。今でもトラウマのように全編を思い出す。顔が見える人間たちの静けさに対し、機械と影絵だけが笑うことを覚えていた、あのモノトーンの未来を。■「Chim↑Pom」エリィ語るものではない。観て、感じるものだ!一コマ一コマにそれぞれの「感覚」が付随していて、私たちが死んでからもずっと遠くの宇宙空間に共に漂うだろう。私は夫婦という単位を感じなかったが、フィルム全てに含有されていた。この映画の神楽坂恵さんは日本女性全ての象徴・憧れをもたらす。■栗原類(モデル)今作の最大のテーマ“福島”についての園さんの思いが伝わりました。物語は宇宙船に乗って様々な星に郵便物を届けると言う設定で全編モノクロと言うかなりSFっぽい部分があるのですが、福島で撮影したシーンになったら急にカラーに変わり、その瞬間に“これは映画ではなく現実だ”と感じさせられます。劇中に出てくる廃墟の中にいる人達は実際の福島の方々なので彼らが言う言葉の説得力はプロの人達の芝居では出せない力があります。深くは語らず、“どう感じる”かを自問自答させる、今までに無い園子温映画です。■斎藤工(俳優・監督)ひそひそ声は耳を傾けなくては聴こえないひそひそ星は心を傾けなくては観えてこない五感を捧げる事で他のどの園作品よりも園子温と言う作家の核に触れた気がした同じ宇宙を描いた大作映画もいいがこれも劇場で体感すべき凄まじい作品■齋藤陽道(写真家)「おはよう」と声をかけて「さよなら」と別れる。そのあいだで煌めくものは何もおこらない、劇的な日常だった。ぼくらには記憶がある。記憶は宇宙を越える。そのことを教えてくれる。■篠原愛(画家)「忘れないで。」「覚えているよ。」福島を撮り続ける監督の思いは時空をこえて、ひそひそと語り綴られる。■鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)クシャミをするのは男ではなくて女。この映画をみながらふと谷川俊太郎のことを思い出した。傑作です。■谷川俊太郎(詩人)二十億光年の孤独にアンドロイドもくしゃみをする■田野邉尚人(映画秘宝)『ひそひそ星』は科学ですらも永遠ではないという究極のSF映画だ。園子温は詩的創造力でこの映画の原型をイメージした。それから30年近い時間が経ち、文明が寂しく終わるビジョンがリアルになった。大声で世の終わりを叫ぶのではなく、ささやくようにアンドロイドがノーフューチャーの宇宙を旅する。とても静かなパンク。■永井豪(漫画家)人類の終焉に思い出の品を届けるアンドロイド。美しいモノクロ映像が描く、時が止まったような世界。心に染み入る“名作”の誕生!!■羽田圭介(作家)10年前、『紀子の食卓』『気球クラブ、その後』を観た時の衝撃が蘇った。あの頃よりもっと自由に作られているというエネルギー感と、そして洗練された技巧。タルコフスキーっぽさは表層的なもので、本作は近年公開された中で最も進化し洗練された園子温作品だ。■和多利浩一(ワタリウム美術館代表)正反対の要素が混在する映像未来と懐かしい過去身近と遥か彼方の星での出来事そして娯楽とアートの共鳴驚きの園子温映像でした。『ひそひそ星』は5月14日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年03月11日