大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。今回は、「石井ゆかりの幸福論」第5のテーマ、愛と創造について(前編)をお届けします。■5.愛と創造について。(前編)星占いの「ハウス」に沿ってお題を決めて書いている本稿ですが、今回は「愛と創造」がテーマです。星占いで「第5ハウス」と言えば恋愛のハウス、ということになっています。恋愛は占いの場で、もっともよく話題にのぼるテーマです。多くの人が恋に悩み、愛に傷ついて、占いに手を伸ばします。一般に、人が「占いをしたい」と思うのは、「自分の力ではどうにもならないと思えること」に直面したときだろうと思います。「自分の力ではどうにもならないこと」、その最たるものが恋愛です。意中の相手の心を自分の思い通りにできたら、どんなにいいでしょうか。でも、そうはなりません。そうはならないからこそ、恋愛が素晴らしい、と言うこともできるかもしれません。もし、自分の意思で他人の気持ちを自由自在に変えられるならば、「人から愛される」ことは、そんなに貴重なことだとは思えないはずです。自分の思い通りにはならないはずの「他者の心」が、自分という存在を強く求めてくれる、というところに、愛の神秘、愛の奇跡的な感動が生まれるのだと思います。恋の前では、人はどこまでも無防備です。とても傷つきやすくなりますし、感情は揺れ動き 、ほかのことが手につかないくらい、感情に支配されてしまうこともあります。こうしたとき、「占いをしたい!」という気持ちになるのは、当たり前です。星占いで「恋愛を見てください」と言われたら、まず第5ハウスの状態(とそのルーラー※)を見るはずです(人にもよりますが)。でも、実はほかにもいくつか、見るべきところがあります。まず第7ハウス、次に金星、火星、そして第8ハウスや第11ハウスも見たりします。さらに月と太陽、土星、などと、まあ複合的にどんどん見ていくわけですが、特にこの5・7・8・11の4つのハウスは、それぞれ担当が分かれています。第5ハウスは「与える愛」、第7ハウスは「パートナーシップ、結婚」、第8ハウスは「性愛」、第11ハウスは「受け取る愛」をそれぞれ、検討できる場所なのです。第5ハウスが「愛と創造の部屋」であることが、これで少し、ピンときます。愛は愛でも、第5ハウスの愛は「愛する」愛なのです。自ら生み出す愛、行動する愛、注ぐ愛が、第5ハウスの愛です。「愛するだけが愛でしょうか?愛されるのを望むのは、ワガママなのでしょうか?」と時々、質問されます。「愛されたい」という願いは、本当に多くの人が胸に抱いている、切実な願いです。ワガママ、ということではないと思います。でも、これだけ多くの人が「愛されたい」と思っているならば、裏を返せば「愛することのできる人」こそが求められている存在だとも言えます。愛情深い人、愛することのできる人を、みんなが待ち望んでいるのです。ならば、「愛することができる人」こそが、「必要とされる人」なのではないでしょうか。占いの場で問われるのは、「私はあの人に愛されますか?」「私を愛してくれる人が現れますか?」が圧倒的に多いように思います。とにかく「自分の思い通りにならない・コントロールできない」のは、自分の心ではなく、自分以外の他人の心のほうなので、そういう問いが前に来ます。でも、本当にそうでしょうか。誰かを好きになる、愛する、ということは、どんなに努力しても、なかなか、できることではありません。もとい「頑張って好きになる」「相手のいいところを見つけようとする」ことは、できます。でも、「辛抱してつきあってみたら、相手がいい人だということはわかったし、仲良くもなったけれど、でもどうしても、愛情を持つことができない」というのは、よくあることです。こう考えると、「頑張ってもできない」「コントロールできない」のは、本当は「自ら愛すること」のほうなのかもしれません。何かを好きになること、夢中になること、愛すること。これは、とても大変なことです。※ルーラー:占星術では、12星座それぞれが「王様」のような惑星を持っています。それを支配星という呼び方のほか、ルーラー、守護星とも呼びます。>>次回もお楽しみに(11月25日更新)プロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年10月25日シャネル(CHANEL)のスキンケアの最高峰「サブリマージュ」から、これまでのクレンジングの概念をはるかに超える「サブリマージュ クレンジング コレクション」全4アイテムが、11月1日より登場。これまで「面倒なもの」と思われがちだった洗顔やメークオフを、心穏やかなひとときにしてくれる「サブリマージュ クレンジング コレクション」。すべての女性が同じ顔ではないように、朝晩のスキンケアも人それぞれ。全4製品は、肌コンディションにあわせて選んだり組み合わせたりと、思いのままに使用可能。日々のお手入れをパーフェクトに導くために、4つのクレンジング アイテムが肌を心地よく清らかに洗い上げ、理想の肌へと導いてくれる。「サブリマージュ デマキヤン コンフォート N」(1万2,000円)メークアップ リムーバー「サブリマージュ デマキヤン コンフォート N」(1万2,000円)は、ジェルを顔全体に塗布してマッサージすると、テクスチャーがきめ細かくなめらかなオイル状へと変化。肌にやさしくとろけるようになじみ、メークアップや汚染物質の粒子を瞬く間に分解してくれる。肌に栄養を与える上質なオイルを組み合わせて配合しているので、メークオフ直後の肌もしっとりとうるおう。ツバキオイルの必須脂肪酸が肌をやわらかくなめらかなコンディションへと導き、ホホバオイルが肌をしっとりと整えてくれる。「サブリマージュ オー デマキヤント」(1万2,000円)「サブリマージュ オー デマキヤント」(1万2,000円)は、W洗顔不要の拭き取りタイプのクレンジング ウォーター。コットンに含ませて拭き取るだけで、クレンジングと同時にスキンケア効果をもたらし、まるでヴェルヴェットのような心地よい肌に仕上がる。高分子ヒアルロン酸が配合され、メークや不純物をすっきりと取り除くだけではなく、なめらかでふっくらとした肌に導いてくれる。さらに、天然由来の保水シュガーによって、肌の上に目に見えないヴェールを形成し、水分蒸散を防いでくれる。「サブリマージュ サヴォン ネトワイヤン」(1万1,000円)シャネル特有の丸みを帯びたスクエアのフォルムで、ヴァニラの香りが心地よい「サブリマージュ サヴォン ネトワイヤン」(1万1,000円)は、この上なくラグジュアリーな洗顔ソープ。手の平の上で繊細でクリーミーな泡をたっぷりとつくり洗い上げることで肌から不純物を穏やかに取り去る。ヴァニラ プラニフォリア 濃縮ウォーターとハルンガナ エキスに加え、シアバターと保湿剤を配合。洗顔後の肌は、まるで浄化されたように清らかさを取り戻し、柔らかくなめらかに、心地よく整う。「サブリマージュ ソワン エクスフォリアン」(1万8,000円)「サブリマージュ ソワン エクスフォリアン」(1万8,000円)は、天然の植物から得られた粒子を用いたスクラブ。黒いヴァニラビーンズが肌を優しくピーリングし、ホホバの粒子が肌の不純物や不要な角質を穏やかに取り除く。しっとりとみずみずしい、クリーミーなジェル テクスチャーがとろけるように肌になじみ、ダメージを与えることなく高い効果をもたらす。日焼け止めやUVカット効果のあるファンデーションを使った日など、しっかりメークオフしたい時は、ファーストステップに「サブリマージュ デマキヤン コンフォート N」、あるいは「サブリマージュ オー デマキヤント」をとり入れ、その後に「サブリマージュ サヴォン ネトワイヤン」を使用するのがおすすめ。さらに、フェイススクラブの「サブリマージュ ソワン エクスフォリアン」を週に2、3回プラスすれば、肌は不要な角質が取り除かれて美しく磨き上げられ、輝きが生まれる。
2019年10月16日ちょっと敷居が高いと思われがちな子連れ旅、思い切って行ってみると意外と平気なもの! 旅好きな横峰さん一家が実際に訪れた【子連れ旅エピソードとお役立ち情報】をイラストとともにお届けします。 最初から読む≫ Vol.2 海外子連れ旅に「セブ島」を選んだワケ のつづきです。小さな子どもと一緒の旅は、とりあえず暖かいところへ! これは子連れ旅ビギナーな私の持論です。その大きな理由の一つが「持っていく衣類がかさばらずに済む」ことただでさえ荷物が多くなりがちな子どもとのお出かけ、これでストレスがぐっと減るってものです。とはいえ初めて行く場所・・・それも海外では何かが足りなくなった時に現地調達できるかどうかがわからない不安があるためついあれもこれもと詰め込んでしまい、あっという間にスーツケースがパンパンに。入れたいものの半分も入れられていないというのに……スーツケースも私の心も崩壊寸前です。当然のことながら持って行くことのできる荷物の量は限られているため優先順位を決めて絞っていくしかない。■横峰家の荷造りルール:まず「絶対になければ困るもの」を決める子連れ旅行の場合は、やはり子どもの健康と安全が最優先事項なのでまずはオムツやミルクなど「絶対になければ困るもの」を決めましたあれ、意外とこんなものか。そうと決まればいくら荷物になっても躊躇なくカバンへ。足りなくなったらどうしようと現地でヒヤヒヤするよりはずっといいので多めに準備します。余談ですが子どもの必需品の多くは消耗品なので帰国時にはほとんどなくなってしまいます。買いすぎてしまったお土産のスペースが確保できたのはラッキーでした。■横峰家の荷造りルール:大人の洋服は少なめ、羽織りものは必須!あとは滞在日数や滞在先での過ごし方に合わせて必要なものを肉づけ。今回は最初から最後まで広大なラグーンプールのあるリゾートホテル内で過ごすので私たち大人のコーディネートのバラエティは少なめでもいいよね、と優先順位を下げていった結果、大人の服が異常に少ないという事態に。ただ実際、現地ではプールに入っているか部屋でくつろいでいるかだったので着る服の枚数はさほど必要ありませんでした。欲を言えば・・・ものすごく着心地のいいスペシャルな部屋着やアロマを持っていけばよかった!南の島でゴロゴロするのは思っていた以上に気持ちよく・・・ゴロゴロタイムを充実させるグッズはもっとあってもよかったなと。ちなみにこれは有名な海外あるあるですが異様に冷房がきつい場合が多いので体温調節用のはおりものだけは絶対削らない方がいいですね。■横峰家の荷造りルール:持っていく荷物は早めにまとめておく荷物を早めにまとめておく理由、それはスーツケースを先に空港へ送ってしまうため。当日ギリギリまで使うものや機内で必要になりそうなものは機内持ち込み用の「小さなスーツケース」に入れて当日はそれだけを持っていきます。現地に着くまではその「小さなスーツケース」がママバッグ代わりなのでオムツやミルクが取り出しやすいよう、開閉しすいものをチョイス。今回は、飛行機の搭乗時間が朝早いということもあって前日の夜から成田空港近くのビジネスホテルに宿泊することになりママバッグ代わりのスーツケースには一泊分のちょっとした着替えも入れていきます。■子連れ旅のポイント:「両手が使える状態にしておく」工夫を今回のセブ島への旅は1月でした。公共の交通機関を利用しての空港までの道のりは当然寒いため家族全員、前びらきの上着をたくさん重ねて出かけます。空港に到着し、重ね着した上着を脱いである程度の薄着になったときすでにパンパンの小さなスーツケースには真冬の分厚い上着をしまうスペースはないため現地で絶対着ることのない上着は、空港の荷物預かりカウンターに預けることに。帰国時に、到着ロビー近くの専用カウンターで上着を受け取り代わりにスーツケースを預けて自宅へ発送。今回の旅はそういった部分に、こまごまと費用がかかりましたが動きたい盛りの子どもと0歳児(旅行当時)をフォローしながらの移動ですから「両手が使える状態にしておく」ことはとても重要。おかげでスムーズに搭乗までをコンプリートすることができました。5時間弱のフライトをご機嫌でこなし、無事セブに到着することができたまめ、次回、初めてのビーチリゾートへ!つづく
2019年10月07日こんにちは横峰沙弥香です。「旅」をテーマに連載、出不精で生きてきた自分がこんな連載を始めるなんて正直なところ驚いています。夫婦でフリーランス。なかなか大変な毎日ではありますが、時間の都合だけはつけやすいため、我が家では国内外含め年に4~5回の旅行(日帰りや弾丸旅行も含めるともっと!)を楽しんでいます。とはいえ、そんなにしょっちゅう旅行に行っていると先立つモノ的な問題も出てくるので基本的にはリーズナブルに「困った時には自分たちで解決」スタイル。これがまあ……いろいろ鍛えられるわけです。旅好きな夫のフットワークの軽さに、引きずられるようにしてあちらこちらと飛び回るうちに、子ども達もすっかり旅好きに育ち、今では長い移動や新しい環境もへっちゃら。ちょっと敷居が高いんじゃないかと思っていた子連れ旅ですが、思い切って行ってみると意外と平気なもの。ここではそんな旅のエピソードを綴っていこうと思います。第一回は、「セブ(フィリピン)」。「セブ」ってどんなトコ?娘が生まれて家族全員揃って初めてのプライベートな海外旅行。寒い時期に小さな子どもふたりをつれてストレスなく過ごすには……?を考えた末のチョイスです。・温かい・直行便がある・移動時間が比較的短い・まめ(息子 当時3才)が大好きなプールや海あそびができる・リーズナブル「子どもが楽しい」ことが大前提なので観光ではなく、ひたすら遊べるビーチリゾートがいいのではないか、という結論となり、敷地内にたくさんのラグーンがあるリゾートホテルをポチッと予約!場所はセブ国際空港からタクシーで30~40分ほどのところにあるマクタン島です。そう、この旅はホテルから一歩も出ずに過ごします。私たちも思いっきりのんびりするんだ!さてこのチョイスが吉と出るか凶と出るか次回はその準備から到着までをお届けします。(つづく)
2019年09月04日大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。今回は、「石井ゆかりの幸福論」第4のテーマ「帰るべき場所」と幸福(前編)をお届けします。■4.「帰るべき場所」と幸福。(前編)「家」は、「帰るべき場所」です。私たちは自分の人生において、一体どこを目指しているのだろう、と考えると、この「家」という概念は、ひと味違ったイメージを帯びてきます。たとえば、人間が赤ん坊として生まれ、成長し、一人で世の中に出られるようになろうとし、世に出てなんとか社会的立場を獲得しようとし、多くの場合、自分なりの「成功」を目指して頑張ることになります。受験や就職、結婚や出産、昇進や独立など、人生の各段階において「目指すもの」はどんどん変わっていきます。5年前に目指したものと今目指しているもの、10年後に目指しているものは、たとえ同じ仕事をし、同じ立場にあったとしても、「完全に同じ」ではあり得ないでしょう。私たちは人生の中で、実に様々の細かいゴールを設定し続けます。そのゴールという点を、線で結ぶようにして生きている、と言えるかもしれません。では、そんな人生の物語は、最終的にどこにたどりつくのでしょうか。少なくとも星占いの世界では、それは「家」を扱う場所なのです。このコラムでは、星占いの「12ハウス」という技術を下敷きにして「幸福」について考えていますが、基本的に星占いの技術自体には触れないで稿を進めるつもりでした。「12ハウス」はあくまで、テーマ設定のためのヒントとして使うつもりだったのです。でも、この第4回、つまり「第4ハウス」を下敷きにする回について考えていたとき、どうしても他のハウスに触れたい気持ちになったので、少しその話をします(といっても、星占いの仕組みに全く興味がない・知識がない方でも、お楽しみいただける内容になっている、はずです!)。星占いの「第4ハウス」のテーマは、一般に「家」です。居場所、住処、家族、親、地元、などを司るのが第4ハウスとされています。ただ、第4ハウスにはこのほかに、ちょっと興味深い「担当分野」があるのです。それは、「死」「物事の最終的な結果」「本心」です。「死」は一般には第8ハウス、「結果」は第10ハウス、「本心」は(異論はありそうですが)第12ハウス的なテーマと言えそうです。「隠れた問題」というテーマも第4ハウスに関連づけられることがありますが、これも元々は第12ハウスマターです。つまり第4ハウスは、8、10、12ハウスという3つのハウスを分かち合っているようなところがあるわけです。特に第4ハウスが「死」と関連づけられたのはごく古い時代で、「第8ハウスが示すのは『周囲の人々の死』で、『自分自身の死』は第4ハウスで読む」という説もあります。成功を求め、愛を求め、仲間を求め、やりがいを求めて生きて生き続けた結果、最終的に到達する場所が、「死」です。死ぬ時にどんな気持ちでいるか、本当に欲しいものはなんだったのか、最後の瞬間、幸福でいられるか。第4ハウスが「家」であり「死」であり「最終的な結果」であり「本心」の場所である、ということが、こう考えると、とてもしっくりくるように感じられます。第4ハウスの「家」は、日々帰る場所であると同時に、人生という旅の最終的な「帰着点」でもあるわけです。以下は、以前noteに書いたコラムの一部を改稿したものです。「人生の終わり」が私たちにとってどんな意味を持つのか、ということについての、ある調査のお話です。*******************次の2つのシナリオを比べてみて下さい。“シナリオ1:ジェンという女性がいる。ジェンには子どもがなく、独身で、30歳のある日、自動車事故で少しも苦しまずに即死する。彼女の人生はとても幸せなもので、仕事や旅行を楽しみ、趣味もあり、友人もたくさんいた。シナリオ2:ジェンという女性がいる。ジェンには子どもがなく、独身で、35歳のある日、自動車事故で少しも苦しまずに即死する。彼女の30歳までの人生はとても幸せなもので、仕事や旅行を楽しみ、趣味もあり、友人もたくさんいた。が、30歳から35歳までの最後の5年間は、そこそこ楽しいが、30歳までほどではなかった。”さて、どちらが「より幸せな人生」でしょうか。この2つのシナリオは、心理学者エド・ディーナーによる実験の素材です。実験の被験者は、上の2つのシナリオを読み、以下の質問に答えました。“「ジェンの人生を全体として見たとき、どのくらい好ましく感じますか?」「ジェンが人生で経験した幸せまたは不幸せの総量はどの程度だと思いますか?」”シナリオ2は、シナリオ1に、「そこそこ楽しい5年間」を足しただけのものです。ゆえに、幸せの「総量」は、2つのシナリオで一致するはずです。ですがなんと、被験者の回答では、シナリオ2のほうで「幸せの総量」が大幅に減らされていたのです(!)。“少しばかり幸せでない5年間を付け加えただけで、まともな人たちがジェンの人生の評価を大幅に下げるとは思っていなかった。だが私はまちがっていた。大半の人が、この5年間のせいでジェンの人生は台無しになった、という直感的な判断を下したのである。-ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』(ハヤカワノンフィクション文庫)より”*******************「最後の瞬間に、幸福でいられるかどうか」。このことは、多くの人にとって人生全体の価値を左右する、大問題であるらしいのです。多くのドラマや物語にも、そのことはよく表れています。たとえば前掲書では、オペラの『椿姫』が例に挙げられています。高級娼婦ヴィオレッタと青年貴族のアルフレードは恋に落ちますが、アルフレードの父はヴィオレッタに別れるよう要請し、ヴィオレッタは恋人を思って身を引きます。事情を知らないアルフレードは激怒しますが、最後には事情がわかり、彼女のもとに駆けつけます。ヴィオレッタは病で死の床にありましたが、死の直前に最愛の人に再会が叶ったのでした。この物語は「ハッピーエンド」であり、最後に恋人の腕の中で死んでいけたヴィオレッタの生涯は「幸福だった」と感じる人が多いのだと言います。ヴィオレッタの人生を冷静に客観的に考えると、全体としてはかなり辛いものだったろうと思われるのです。娼婦として不名誉を背負って生きざるを得ない苦労、最愛の人と引き裂かれる苦悩、若くして病に倒れた苦しみなど、あまりいいところがありません。ですが、この物語に触れた人の多くが、最後のただ一瞬の逢瀬によって、彼女の人生の全体が光に照らされ、「彼女は幸福だった」と感じるのです。このオペラの原作小説、小デュマの『椿姫』では、エンディングが大きく異なります。ヒロインの高級娼婦マルグリットと青年貴族アルマンがその仲を引き裂かれるまでは同じですが、アルマンはマルグリットの死に際に間に合わないのです。マルグリットの生きている間には誤解の解けぬまま、二人は死に別れてしまうのです。こちらはまったくの「バッド・エンド」です。死に際の一時間が幸福だったかどうか、それだけで物語全体の印象が大きく変わってしまうのです。これは「物語の印象」だけの問題ではないのかもしれません。私たちの多くが抱く「人生観」と直結しているのかもしれません。すなわち「死に際が幸福な人生こそが、真に幸福な人生と言える」という人生観です。※ヴィオレッタ(オペラ版)=マルグリット(原作小説版)アルフレード(オペラ版)=アルマン(原作小説版)>>次回:4. 「帰るべき場所」と幸福(後編)(9月25日更新)プロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年08月25日平成が終わり、令和時代が幕を開けた2019年。日本のどこかにあるベッドタウン「あさひが丘」を舞台にくり広げられる、3人のママたちの日常ストーリー。 前回 からのあらすじ学生時代から友達づくりが苦手だった峰ゆかりは、自分によく似た息子に不安をおぼえます。「あんな明るいお母さんだったら、そうちゃんの人生はもっと幸せだったのかな」スーパーですれ違った見知らぬママの笑顔すらまぶしくて…。■第12話 私はいつも、何か足りない“○○すれば幸せになれる”と信じて、そのつど手に入れてきたはずの人生。なのに私は、どうしてこんな気持ちのままなんだろう。(次回に続きます) >> 「峰ゆかり」のエピソード一覧
2019年07月30日平成が終わり、令和時代が幕を開けた2019年。日本のどこかにあるベッドタウン「あさひが丘」を舞台にくり広げられる、3人のママたちの日常ストーリー。 前回 からのあらすじフリーランスの在宅ワーカーとして、仕事をしながら1歳半の息子を育児する峰ゆかり(36歳)。おでかけ先ですぐに泣いて帰りたがる人見知りの息子の姿に、これまでの自分の姿が重なります。■第11話 きっとこの子もこの先苦労するんだろうなスーパーですれ違った見知らぬママの明るい笑顔すら、やけにまぶしく見えてしまいます…。(次回の更新は7月30日です)>> 「峰ゆかり」のエピソード一覧
2019年07月29日平成が終わり、令和時代が幕を開けた2019年。日本のどこかにあるベッドタウン「あさひが丘」を舞台にくり広げられる、3人のママたちの日常ストーリー。 前回 からのあらすじ「お願いだから話してよ」2歳になっても言葉を話さない息子に焦り、思わず涙する谷口ちさと。そのころ同じ町に暮らす別の家では…。■第10話 在宅ワーカーの私と、人見知りの息子おでかけしてもすぐに泣いてしまって帰りたがる内気なわが子の姿は、まるで自分を見ているよう…。(次回の更新は7月29日です)>> 「峰ゆかり」のエピソード一覧
2019年07月28日大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。前回に引き続き、「石井ゆかりの幸福論」第3のテーマ“「知る」という幸福”の後編をお届けします。~ 3. 「知る」という幸福・後編~■生きるための知、純粋な知的好奇心私たちは社会生活を送り、自分を守るために、多くの知識や情報を必要とします。生活の基本を学び、世の中の仕組みを学び、仕事のやり方を学び、人との関わり方を学んで、私たちはやっと、この世界でなんとか生きられるようになります。これらは、幸福に生きるための「土台」のような学びです。さらにこの競争社会では、多くを知り、人を出し抜くようなアイデアを持つ者が勝利する、ということになっています。なにかを知らなければバカにされ、バカにされないために学ぶ、といった小競り合いがあちこちで起こっています。こうした競争の中で多くの人が疲れ、傷つき、人を信じられなくなって、孤独に陥っているようにも見えます。「学ぶ」ことは、この辺りまで来ると、幸福への道から大きく逸れています。一方で、私たちには「閉じられた箱の中に入っているものを、どうしても見たい」と感じるような「好奇心」が備わっています。「古代文明の謎」「古城の開かずの部屋」「この村の秘密」「徳川埋蔵金」などという言葉に、私たちは敏感に反応します。このときの「知りたい」という思いは、「マウントをとりたい」「ビジネスに役立てたい」などという思いとは関係がありません。純粋な楽しみのための読書、お気に入りの散歩道を歩く時間。その中にあるとき、私たちの魂は誰にも傷つけることのできない状態になっている、と悪魔は言います。そのような状態の魂は、誘惑も脅迫も受け付けないからです。仲野先生(※)は、「世界を知りたいと思うのは、その世界に生まれた自分自身を知りたいということでもあるだろう」とも言われました。自分が生きているとはどういうことか、死んだらどうなるのか、この世界はそもそも、なんなのか。私たちは「自分」について、よく知っているようで、肝心なことを知りません。それはまさに、大いなる謎です。自分自身と直接関係のある謎です。それを「知りたい」という思いを、誰もが心の片隅に抱えているのではないでしょうか。※仲野徹先生(大阪大学)『3. 「知る」という幸福・前編』にも登場誰にも命令も強制もされないのに、ちいさな子供が言葉を覚えるのは、なぜなのでしょうか。2つか3つの子が「これなあに?」「なんで?」ばかり繰り返すのは、なぜなのでしょうか。「ほめられたいから」ではないだろうと思います。「知りたい」という欲求は、私たちの中にもともと、食欲のように強く備わったものであるようです。どんなに食欲旺盛な人でも、お腹がいっぱいのときには、なにも食べたくないのが当然です。情報の大洪水のようなこの世の中で、私たちの「知りたい」という欲求は、お腹いっぱいなのにもっともっと食べさせられようとしているような、危機的な状況にあるのではないか、という気もします。なんでも読まなくちゃ、知らなくちゃ、と焦っているうちに好奇心自体が鈍磨し、摩滅してしまうとしたら、それは怖ろしいことです。最近の私は、悪魔が警戒する「純粋に自分を楽しませるためだけの読書、楽しみのためだけの散歩」を、もっと増やしたい、と思っています。C.S.ルイスの考えた「悪魔の意見」は、この点では、正しいような気がするのです。>>次回もお楽しみに(8月25日更新)プロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年07月25日博多人形師・中村弘峰の展覧会「サマー スピリッツ(SUMMER SPIRITS)」が、2019年8月8日(木)から9月1日(日)までの期間、東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスにて開催される。中村弘峰は、104 年続く博多人形師の4代目。“江戸時代の人形師が、現代にタイムスリップしたらどうなるか”という視点から、従来の概念に留まらない斬新な創作人形を発表している。そんな中村の展覧会「サマー スピリッツ(SUMMER SPIRITS)」では、人気の高い“アスリートシリーズ”から“動物シリーズ”まで、新作を中心に約40点の作品を展示予定。日本の伝統技法による、緻密な文様や色彩で再現した“現代”をモチーフにした人形たちを観ることが出来る。是非この機会に“時間を忘れるような人形の世界を感じてほしい”と語る中村が贈る、美しい人形の元に足を運んでみてはいかがだろうか。【詳細】サマー スピリッツ会期:2019年8月8日(木)~9月1日(日)開館時間:11:00~20:00(最終入場19:30)会場:ポーラ ミュージアム アネックス住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階入場料:無料※会期中無休。※8月25日(日)のみ12:00開館予定。【問い合わせ先】ポーラ ミュージアム アネックスTEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2019年06月27日ハードで危険な大人のルパンを描く『LUPIN THE IIIRD』シリーズ。最新作は、アニメ史上最強のセクシー・ミューズ、峰不二子を主役にした『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』。峰不二子を執拗に追う殺し屋ビンカムの声を演じた宮野真守さんにお話をうかがいました。写真・大内香織 文・田嶋真理 スタイリスト・横田勝広(YKP) ヘアメイク・Chica(C+)【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 37変幻自在! マルチなエンターテイナー原作者であるモンキー・パンチ氏が、 1967年に連載を開始した『ルパン三世』。テレビアニメ化、映画化を経て、現在は世界中にファンを持つ、日本発の超人気漫画に成長しています。ハードでビターな原作のテイストを受け継いだ『LUPIN THE ⅢRD』シリーズ。待望の第3弾『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』では、峰不二子に絶体絶命の危機が迫ります。主演はルパン三世役はおなじみの栗田貫一さん、峰不二子役は2011年から彼女の声を担当している沢城みゆきさん。そして、本作で『ルパン三世』シリーズ初参加となるのが、オリジナルキャラクター、ビンカムを演じる宮野真守さん。宮野さんと言えば、声優・俳優・歌手と多彩に活躍する才能の持ち主。本作でもビンカムの心の奥底まで描き出す豊かな表現力が存分に発揮されています。ーーオファーをいただいたときのお気持ちは?宮野さん 『ルパン三世』は、名作アニメとして長年愛されている作品です。僕自身、小さい頃に再放送された『ルパン三世』を見て、ハードボイルドで粋な主人公・ルパンに魅了されました。ルパンを見ていると、軽妙な立ち振る舞いをするけれど、最後はビシッと決める男の美学のようなものを感じます。『LUPIN THE ⅢRD』シリーズは原作をリスペクトしながら新しい魅力を打ち出していて、よりハードボイルドで渋いルパンを描いています。もし、自分もシリーズに携われる機会があればとずっと思っていました。今回、その機会をいただき、光栄に思っています。ーー脚本を読んで、ビンカムをどう思いましたか?宮野さん ビンカムは、峰不二子に立ちはだかる最強の敵として登場します。愛情を知らずに、殺し屋として育ったビンカムが、次第に峰不二子に影響されていく。そこが物語の大事な流れになっています。ーー峰不二子の三代目声優の沢城みゆきさんとは旧知の間柄ですよね? ルパンの収録現場に参加した際の印象は?宮野さん シリーズに参加することが決まって、まっさきに沢城さんからお電話をいただき、“一緒に(声を)録れるの!?”と聞かれて。“一緒に録れます!”とお答えしたら、安心されていました(笑)。ルパンの収録現場は、すでに家族のような雰囲気ができあがっていました。とても居心地が良くて。新参者の僕を自然に受け入れてくださるふところの広さが、このシリーズにはあるんだなと思いました。ーービンカムは口、指の爪など全身が凶器で、普段は人を傷つけないように拘束具を装着しているという恐ろしいルックス。モンスターのようなビンカムと峰不二子との対決シーンは、見ごたえがありました。宮野さん 本作をご覧になった方は、“あれ、不二子強いじゃん!”と驚くと思います。ビンカムはほとんど不二子に触れずに彼女をふっとばすような得体の知れないキャラクター。ところがそんな相手に対しても、不二子はどんどん向かってくる。ふたりが展開する肉体派のアクションを楽しんでいただきたいです。ーーそんなビンカムに対しても峰不二子は魔性を発揮。自分の性的魅力でビンカムを惑わし、利用しようとします。もし、宮野さんが不二子に遭遇したら?宮野さん 子どもの頃、アニメの『ルパン三世』に登場する峰不二子を初めて観たとき、“エロいな~”と思いました(笑)。峰不二子という名前からしてどこかセクシーに感じますし。もし、僕が彼女を目の前にしたら、本作に登場するモーテルの主人のようにドキドキしてしまうかもしれません。僕でなくとも男性ならみんなそうなんじゃないかなぁ(笑)。ーー最後に、本作の見どころをお願いします。宮野さん 不二子と壮絶な対決を繰り広げた後、ビンカムの純粋な気持ちが表れるクライマックスは、個人的に気に入っているシーンです。かなり気合いを入れて演じました。普段はアニメを観ないような方にも楽しんでいただける内容に仕上がっていると思います。インタビューのこぼれ話偶然にも宮野さんのインタビュー取材は、新元号発表の日! 令和の抱負について聞くと、こんな楽しみな答えがかえってきました。「今年は令和元年で、さらに僕は年男です。新しいエネルギーに後押しされたかのように、これからいろいろと令和初のチャレンジをする予定があります。ますます頑張っていきますので、楽しみにしていてください」。Information『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』5月31日より新宿バルト9ほかにて限定劇場公開。監督・演出・キャラクターデザイン:小池健声の出演:栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、宮野真守ほか共同配給:ティ・ジョイ、トムス・エンタテインメント原作:モンキー・パンチ ©TMS衣裳クレジット:シャツ/¥15,000 ジャケット/¥68,000
2019年06月05日大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。今回は、「石井ゆかりの幸福論」第2のテーマ「お金があれば、幸福になれるか?」についてお届けします。2.お金があれば、幸福になれるか?お金と幸福の関係は、もうあらゆるところで語り尽くされていて、今更私がここで何か付け加えることもないようにも思われます。ですが、「幸福」を語る上では、避けて通れないところでもあると思います。お金は、現代社会を生きていく上でどうしても必要なものです。お金がなければ生活できない、食べていけない、ということになります。キリストは「人は、パンのみにて生くるにあらず」と言ったそうです。そうなのです。「パンだけで生きていけるわけではない」のですから、「パンなし」では、やっぱり生きていけないのです。お金があれば幸福になれる、と考える人は少なくありません。お金がないときは特に「お金さえあれば!」と思えます。たくさんお金を持っている人でも「これでは足りない」と思い続けている、という話を聞きます。たとえば、20代の頃よりも30代のほうが給料は多くなったけれども、お金に対する心配はむしろ、強く大きくなった、という人がいます。持っているお金の多寡によらず、お金は「常に何となく足りない」ものなのかもしれません。「お金さえあれば幸せになれる」へのアンチテーゼも、古来、普遍的に語られ続けています。『ヴェニスの商人』や『クリスマス・キャロル』など、お金を持つ人々が決して幸福ではない、というハナシはずっと愛され続けています。サスペンスドラマなどでも、「根深い愛憎ゆえの凶行」と「金目当ての犯行」とは、おそらく同じくらいの割合なのではないでしょうか。他人に殺されるのはたいがい、お金持ちです。あまりハッピーではありません。最近では「ミニマリスト」「こんまりメソッド」など、物質的な条件に縛られないで生きることを模索する人々が増えてきているようにも思われます。生活の豊かさイコール、お金で買えるものをゆたかに持っていること、ではない、という考え方です。たくさんお金を稼いでも、時間が仕事で埋め尽くされて疲れ果て、日々に何の喜びも感じられないなら、それは幸福とは言えないでしょう。最低限の収入で営まれる真の幸福な生活とは何か、を考えるために、小屋に住んだり、できるだけお金を使わない生活を試みたりと、言わば「実験的生活」をしている人のルポルタージュをしばしば、みかけます。こう考えていくと、お金はとても妙なものです。なければ困るし、あっても困るのです。皆が欲しがるものなのに、悪いもののように言われるのです。お金持ちになりたい人がたくさんいる一方で、お金持ちは一般に悪党扱いされるのです。宗教的な考え方では、お金は大抵、悪とされます(で、寄付が求められます)。■お金と、危険と、死と。学校の授業で「お金とは社会を流れる血液のようなものである」と教わったことがあります。社会を生かし、財を動かし、新陳代謝を促すお金と血液の比喩は、さらりと納得できるものでした。しかし、最近別の意味で、この比喩に「なるほど」と思うこともあります。というのも、私たちは誰もが体の中に大量の血液を持っているのに、血液自体を目にすることは「非日常」なのです。いつでもここにあり、指先を温めているのに、それがちょっとでも表に出ると「さあ大変!手当てを!」となります。「血を見る」ことは、ゾッとするような怖いことなのです。昨年、海外でビルの上からお札を撒いた人がいて、ニュースになりました。お金を見ても「ゾッと怖くなる」ことは無いかもしれませんが、たとえば現金がその辺にポンと放り出されていたら、何となく落ち着かなくなります。「はやくしまったほうがいい」と感じるものではないでしょうか。この点でも、お金と血液は、ちょっと似ていると思うのです。私は、ディズニーランドのアトラクションの中で「カリブの海賊」がいちばん好きです。船に乗って眺めてゆく光景の中に、「洞窟の中で、金貨や財宝の山の上に座っているガイコツの海賊」というのがあります。おそらく飢えて死んでしまったのかなと思うのですが、それでも尚、彼は自分の戦利品である宝の山を守り続けています。あの光景は、滑稽でもあり、恐ろしくもあります。彼を見ると、悲しく切ない気持ちになることもあります。限りない満足と果てしない孤独、奪われることへの恐怖など、激しい感情が彼の中に渦巻いたことでしょう。その感情に窒息するかのようにして、彼は死んだのかもしれません。彼は幸福だったのでしょうか。もし「お金があれば幸福になれる」のであれば、彼ほど幸福な人間はいないでしょう。巨万の富の上に座って死んだのですから。そう思って見てみれば、確かに、幸福そうに見えないでもありません。でも、自分も彼のようになりたいかというと、そうは思えません。お金は、使えば消えてしまいます。でも、使わないでおいても、骸骨の守る金貨のように、意味をなさないのです。お金は、考えれば考えるほど、不思議なものです。■お金と、幸福と、「罪悪感」と。東日本大震災の時、普段とは違った光が、お金を照らし出しました。ひとつは「寄付」、もうひとつは「経済を回す」という言葉です。あの時は、多くの人が当たり前のように寄付をしました。海外からも寄付金が集まりました。被害を被った人々への共感、何とか助けたいという思いがそこに詰まっていたのは確かです。その一方で、「申し訳ない」という言葉を口にする人がいました。方や、全てを奪われて苦しんでいる人々がいる。その一方で、特に何も奪われなかった自分がいる。このことに「罪悪感を持った」人がいたのです。そこで、まるで負債を返済するかのような気持ちで、「寄付をした」という人がいました。寄付をすると、罪悪感が軽くなったのだそうです。勿論、被災地の人々は、被災しなかった人に罪悪感を持ってほしいなどと思わなかったはずです。でも、被災しなかった側では、自動的に罪悪感に苛まれた人がいたのです。そこでは、お金は確かに「正しいもの」として扱われていました。「経済を回す」という言葉もまた、多くの人が口にしたフレーズでした。これもまた、被災地ではない地域での言葉でした。大きな災害が起こったけれども、ほぼ普段通りの生活をし、普段通りに仕事をすることに、多くの人が違和感を持ったのです。「苦しんでいる人がたくさんいるのに、私たちは『普段通り』でいいのだろうか」。この問いの中で出てきた答えが、「普段通りに生活し、仕事をするということは、つまり世の中の経済活動をいつも通りに回していくことであり、間接的には被災地の人々の助けにもなるのだ」という考え方でした。「自分の生活・仕事」という狭い経済活動の範囲が、「世の中の経済」という視野へと、一気に拡大したのです。震災時、多くの人が「経済的な視野の広がり」を得たのではないかと私は想像します。お金はここでも「善」そのものでした。私たちは、幸福になろうとするとき、目に見えない他者への負債を抱えるものなのでしょうか。親が子どものためにお金を使うこと、介護のためにお金を使うことは、非難されることはほぼ、ありません。一方、自分のための贅沢は、人からもあれこれ言われますし、自分でも「これは贅沢かな」と罪悪感を抱かされたりします。他者のためにお金を使うことは善で、自分のためにお金を使うのは悪である、という考え方は、どうも「生きているということはそれ自体、なにかに・誰かに借りがある」というような考え方に繋がっているのかもしれません。「感謝」は、この世の中ではとても重要な思いとされています。「感謝を忘れないように生きています」「いちばん好きな言葉は『ありがとう』です」と言う人はたくさんいます。一方で、「ありがとう」が好きではない、という人もいます。お礼や感謝は「負債を精算したいという気持ち」に通じ、よそよそしく失礼な感じがする、というのです。昨年『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』という本が話題になりました。強く結びついた人間関係や共同体においては、「感謝の表現」は異質なものになることがあるようです。お金の問題が難しいのは、人が幸福になることや満たされることの土台に「善・悪」という概念が横たわっているからなのでしょうか。多くの人は満たされることを願っているわけですが、そのことが果たして「善いこと」なのかどうか、というところで、立ち止まらざるを得ないのかもしれません。「頑張った自分への御褒美」というフレーズがごく一般的に使われるわけですが、そもそも自分で自由にしてもいいお金であれば、好きに使っていいのです。「頑張った自分」というエクスキューズがどうして必要なのか。ここにもうっすらと、お金にまつわる倫理観のようなものの影が見えるのです。私たちが満たされることは、そんなに悪いことなのか。「過剰に満たされるのは善くない」という考え方もありますが、そこには自分の体や心を害する恐れがあるという意味の「良くない」に留まらないものが含まれています。私は個人的に、「そんなに申し訳ながる必要は、無いのではないか」と思っています。罪悪感というのは、確かに誠実で清らかな、人として正しい感情かもしれません。でも、本当に感じるべき罪悪感と、そうでもないものがあると思います。少なくとも「被災しなかったことへの罪悪感」は、私にはとてもよく理解できる感情なのですが、同時に、とても理不尽な感情でもある、と思えます。それは、被災した人々の苦悩への共感とは、別のものです。私たちはそんなにも、多くを「負って」しまうのか。満たされることに罪悪感を抱き、蕩尽する人々に嫌悪を感じる世の中は、なぜそうなっているのだろうか。幸福とお金の関係を考えると、どうしても私は、その疑問にたどりついてしまうのです。>>次回もお楽しみに(6月25日更新)プロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年05月25日大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。今回は、3月に行ったTwitterアンケートの結果について、石井さんのコメントをお届けします。■あなたにとって「幸福」とは?第1回目の公開後、ココロニプロロさん のtwitterアカウントで「幸福」についてのアンケートをお願いしました。ご回答くださった皆様、誠にありがとうございました!『#石井ゆかりの幸福論 』連載スタート!あなたは今、幸せですか?もし「いいえ」なら、何が足りないと思いますか?RTもしくはコメントをお寄せください!#ココロニプロロ— cocoloni_PROLO (@cocoloni_portal) 2019年3月25日4000以上のお応えを頂き、半数近くが「幸せです」を選ばれたのには少し驚きました。もっとも、「幸せ」の定義は人によって大きく異なります。また、このアンケートがタイムラインに流れた時間帯や、このアンケートが目に止まる方々が私かココロニプロロのフォロワーの方が大多数であること、また、そもそも「回答するかどうか」の判断がこの手前に含まれているなど、様々なバイアスがあります。『幸せじゃない人は心理的に「押したくもない」ってなりそう@TeteGift0727さん』(※Twitterの引用は全て原文ママ)というご意見もありましたが、たしかにそういう気持ちになる方もあるだろうと思います。ゆえに、これだけでわかることはそれほどないわけなのですが、それでも「幸せ」について様々な関心があり、ご意見がある、ということは、感じられる気がしました。■お金、健康、愛が足りない!コメントの中には「お金や愛などが足りない」との声が多く見られました。確かに、生活が安定していて孤独でない、ということは、幸福の最大の条件だと思います。『幸せではない方に入れました。他人の幸せを羨むのではなく喜ぶような心の余裕がないといくら周りがあの人は幸せそうだと思っても当人は幸せだとは思えなくて。そんな心の余裕は経済的余裕や健康な体があってこそ生まれると思っています。@bisco_mItSUyoさん』お金が欲しい、愛されたい、健康になりたいという望みは決して、利己的なだけのものではないと思います。自分以外の人も幸せになってほしい、でも、それを祈れるようになるには、自分自身の生活の余裕が必要だ、という意見は、納得できます。確かに、世の中には自分のことなど構わず、他人を気遣うことができる人もいます。私自身、そういう人に出会ったことがあります。その人は余命一週間ほどだった病床でも、世話をしに来た家族を気遣って、楽しませようと、冗談を言ったりしていました。ですがその人もまた、他者からの愛の記憶に守られていたのではないかと思います。受け取ったものの大きさ、与えるものの大きさは、客観的に量れるものではありません。人が別の人からどれだけの喜びや庇護を受け取ったのかは、当人にしかわかりません。与えた側さえ、それはわからないものだろうと思います。■自分のものの考え方・思い方『40過ぎてやっとこさ「幸せはなるものじゃなくて気づくもの」って意味が分かってきたような気がします……@Shuto_Kaito_Momさん』『10年ほど前「しあわせになれない理由は私にはなにひとつないのに、自分が自分をそうしたくないんだ」と気づき、長い旅をして、「しあわせ」の定義が変わりました。しあわせって調和なんだ。四方が合っている、wholeであるということ。実は常に成就していることで、ただ認識の問題なんだなって、今は。@atohchieさん』自分だけが幸せではいけないのでは、という思いを持たれる方もいらっしゃいました。『ただ、自分が幸せでもつらい人がいる状況が目に入った時、私だけが幸せではいけないのでは、と思っているフシがどこかあります。@havingfun724さん』「幸せである」と認めることを怖れるような思いを持つ方は、結構いらっしゃるのではないかと思います。「幸せだ」と認めてしまうことが悪いことのような気がしたり、「幸せだ」と認めてしまったらもうそれ以上のものは手に入らないように感じたりする、ということもあるのかもしれません。たとえば、「これでおなかいっぱいです、満腹です」と言ったら、もうおかわりはもらえません。神様のような存在がいるとしたら、「まだまだ、おなかに余裕があります」と言っておきたい気がするわけです。満足することが、向上心を失わせる、と考える人もいます。あくなき努力を続けていくためには「まだまだ足りない」というハングリー精神が必要だという考え方です。こうした考え方を採る人にとっては、「幸福だ」と感じることは害悪となることもあるようです。「自分以外の誰かが幸福だからといって、その人に怒りを感じるのはばかげている、その人が私から何か奪ったわけでもないのに!」。これは、ある小説の中の一節です。この言葉はまるで正しいのですが、これを口にした人物は確かに、身近にいる人の幸福を妬んで、その人を遠ざけようとしていたのでした。この言葉は、自戒、反省の言葉であり、自嘲の言葉でもあったのです。私たちは他者の幸福を羨まずにはいられませんし、特に、自分が傷ついて苦しみや悲しみを抱え、不安に苛まれているときは、そうした思いを抱きがちです。それを知っている人々は、幸福なときでも、「自分が幸福だ」とは言わないようにします。無用の悪意から身を守るためです。「あなたは幸福ですか?」という問いの前で立ち止まり、口を閉ざしたくなるとすれば、それは「他の人々は幸福だろうか?」という問いが心の中に渦巻くからなのかもしれません。■幸福かどうかわからない。幸せになるための条件がわからない、何かが必要な気がするが、それが何かわからない、といったご意見も多かったように思います。『「いいえ」にしました。このところ「幸せ」についてずっと考えていたので思わずリプライしてしまいました。私の場合は幸せになりたいとは思っているものの自分が「どうしたら」や「何があったら」幸せを感じるかがはっきり認識できてないのが原因かなと思ってます。@love_toucanさん』『私は幸せかどうか分からない。何の不自由もなく生活できているのだから幸せなのかもしれないけど、幸せを感じる実感はなくて。分からないのでその他で。@neeze37さん』『恵まれているとは思うけれど、それがイコール幸せではない気がして。@naokosunsky1973さん』『何をしたらいいのか、何をしたいのか、歳をとるだけで先に光が見えない。@kakailuさん』幸せ自体の感じ方が時間によって変わる、というご意見もありました。『幸せだと思っていても後になってみると幸せではなかったと思う事もあるし、幸せじゃないと思っていても後になってみると幸せだった事もあり、「幸せと感じる事」には時間が経てば訂正が入ります!今の感想はあてにならないです。@horeisyouさん』幸せには常に「比較」がつきまといます。他人と自分の比較、過去と現在の比較、過去の2点間での比較などを通して「あの時は今よりは幸せだったな」「今にして思えばアレが幸せだったのかも」などと考えることも確かに、あります。「幸福」ということを、リアルタイムの感情・感覚として捉える方がいる一方で、ある種の価値判断・評価のようなものとして捉える方もいらっしゃるのだと思いました。また「自分は多分、幸福なんだろうと思う」というようなご意見もたくさんありました。これは、「感情や感覚ではよくわからないが、客観的に自分の生活を眺めると、いろいろな条件が調っているなあ」ということなのでしょう。「あたりまえだと思っていた条件を失って初めて、幸福だったのだとわかる」という言説は、ごく一般的なものです。だとすれば、私たちは「幸福」に関して、感情や感覚の上では、かなり鈍感だということなのかもしれません。少なくとも、そう自覚している方が少なくないんだな、という印象を受けました。「幸福ではない」を選んだ方のコメントの中で「お金が足りない」「仕事がない」というご意見がたくさんありました。次回、「幸福論」第2のテーマは、その「お金」についてです。>>次回もお楽しみに(5月25日更新)プロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年04月25日宮野真守が、映画『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』に出演することが決定。併せて、本作のストーリーが明らかになり、キービジュアルと予告編、さらに新規カットも公開された。■ストーリー不二子は逃げていた。父親が横領した5億ドルのカギを握る少年ジーンと共に。2人はジーンの父・ランディを襲った殺し屋ビンカムに命を狙われていた。呪いの力によって人の心を操るビンカムから一度は逃げ延びるが、拘束されてしまい…。■描き下ろしキービジュアル到着『LUPIN THE IIIRD』シリーズ第3弾となる本作では、史上最もSEXYで最強のミューズ、峰不二子に絶体絶命の危機が迫るという!強くてキュートな不二子の声を担当するのは、もちろん本作でも沢城みゆき。到着した小池健監督による描きおろしキービジュアルには、バラを背負った不二子が魅力的に描かれている。■宮野真守、初参戦! 不気味なビジュアル解禁レギュラーメンバーに加え、本作のオリジナルキャラクター、不二子の敵で殺し屋のビンカム役には、「機動戦士ガンダム00」の刹那・F・セイエイ役、「DEATH NOTE」の夜神月役などでお馴染み、声優だけでなくアーティスト、俳優としても大活躍の宮野さんが決定。今回「ルパン」シリーズ初参加を果たす。■「ヤバいぜ、不二子」危機迫る予告映像!さらに到着した予告編では、美しくセクシーな不二子が消えた5億ドルを追って、小さな依頼人少年ジーンと共に逃げるシーンや、不気味な呪術を使う殺し屋の姿が映し出される。なお、キャストや監督が登場予定の完成披露上映会の実施も決定。チケットの発売は、4月13日(土)AM0時よりスタート。『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』は5月31日(金)より新宿バルト9ほかにて限定劇場公開。(cinemacafe.net)■関連作品:LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘 2019年5月31日より新宿バルト9ほかにて限定劇場公開原作:モンキー・パンチ ©TMS
2019年04月12日ココロニプロロでも、12星座別今週の占いや毎月の占いが大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場!占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。プロローグこんにちは、石井ゆかりです。このたび、ココロニプロロさんから「石井ゆかりの『幸福論』というテーマで、コラムをお願いできませんか」というご依頼を頂きました。何とも大それたテーマで少々気が引けたのですが、私なりに「幸福」というものについて、じっくり考えてみるのもおもしろいかもしれない、と思い、お受けすることにしました。「幸せ」は人によって千差万別で、「これが幸せだ!」などという決定版の幸せの形など、この世には存在しないだろうと思います。ゆえに、この稿はあくまで、私の個人的な経験に基づく「幸福観」でしかないのだろうと思います。多分見苦しい「自分語り」にしかならないかもしれませんが(!)、もし、おつきあい頂ければ嬉しいです。ちなみに、このコラムのスタートにあたり、「キーワードごとに語ってほしい」というご注文がありました。こんな内容です。「植物が成長する過程を、女性の人生が変化するサイクルになぞらえて、それぞれの場面で幸せを求める女性へのメッセージを執筆いただきたいと考えています。具体的には、以下のようなキーワードをイメージしています。・土を耕す ⇒新たなスタート地点に立ったとき、準備期間、自分が何者かわからないとき・種をまく ⇒自分の可能性や希望を見つけたとき・水やり ⇒慈しむ、大事に想う、なにかを育てる状況etc,.」このキーワードを眺めていて、あることを思いつきました。それは、星占いで用いる12の枠組みも、ひとめぐりのサイクルを刻んだものだ、ということです。私は普段、主に星占いの記事を書いていますので、植物の成長よりは、星占いの仕組みに詳しいように思います。そこで、星占いの12ステップの考え方になぞらえて、以下の稿を進めていきたいと思います。この「12の枠組み」「12のステップ」と書きましたのは、星占いに詳しい方はご承知の通り、「ハウス」のシステムです。ハウスは空を区分する12の部屋のことですが、1ハウスから12ハウスまでがひとつのシーケンスとなっています。ひとつながりなのです。以下の稿は、星占いとは直接には関係がありませんが、「幸福」を12ハウスの観点からひとつひとつ、考えてみたいと思います。▼第1回はこちらからお読みいただけますプロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年03月25日ココロニプロロでも、12星座別今週の占いや毎月の占いが大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場!占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。第1回目は、「自分」というものについて掘り下げていきます。1.「自分が自分である」ということ「自分」。これは、本当に難しいテーマです。でも、星占いはとにもかくにも「自分」から始めようとするのです。当たり前のようで、ものすごく難しいことだな、と思います。私たちは生まれた時から「自分」というものを引き受けて生きています。そして、自分と人とを比べたり、戦って勝利したがったり、注目してもらいたがったり、愛されたがったりします。たとえば、友だちが誰かに褒められても、自分が褒められたときほどには嬉しくありません。ごく幼いうちから、自分と他人の区別がついているのです。私自身の話をしますと、私は幼い頃、まわりの子と比べて、かなり肥っていました。そして、髪の毛は天然パーマで、転校生だったため、言葉遣いも周囲と違っていました。これらの属性は私にとって、非常に悲しいものでした。「自分は醜い」という劣等感の塊でしたし、キャラクターも多分、浮いていましたし、先生も私のことは、良く思っていなかったようです。ただ「周囲と違う自分」が当たり前だったおかげで、よくも悪くも「人と違うことをする」のが、あまり怖くありませんでした。でも、世の中には「人と違っていること」を怖れる人がたくさんいます。「幸福は十人十色、10人いれば10種類の幸福がある」と考えると、これは結構辛いことです。「自分の幸福は、人のそれとは違うのだ」ということをまず、前提としなければ、自分の幸福を探し始めることができないからです。とはいえ、単に「自分の幸福と人の幸福は違う」とわかっていても、「自分の幸福」にたどり着くのは大変です。というのも「自分の幸福ではないもの」にぶつかっては試し、試しては振り捨てていく、という作業を重ねていかなければ、「自分の幸福」にたどり着かないからです。私自身、若い頃は本当に、夢をとっかえひっかえしながら七転八倒していました。今にして思えば「なぜ、あんなに向いていないことばかりに憧れて必死に取り組んだのだろう?」と不思議な気持ちにしかならないのですが、なにかが「自分には向いていない」とわかるには、まずそれを試してみて、何度も失敗して、いやーな思いをしたあげく、挫折しなければならないのです(!)。いえ、普通はそこまで行かなくても「これは、ダメだな」とわかるのかもしれませんが、私は往生際の悪いタチで、なかなか、わかりませんでした。転職を繰り返した20代に、それが表れています。自分がどんな人間なのか、自分とは誰なのか。もうすぐ45歳になろうとする私ですが、まだよくわかりません。先日も「アイデンティティ」をテーマに、noteで1万字近くも書いたくらいです。しかし1万字書いても、よくわかりませんでした(!)。ただ、私は上記の通り「人と違ったことをする」のは怖くありませんでしたが、若いときに「他人に好かれたいため」「人に怒られないようにするため」「人の機嫌を取るため」に、色々な行動をするクセがありました。たとえば、プレゼントを贈ったり、人の世話を焼いたりするようなことです。今にして思えば誰にも必要とされていない無駄な努力だったのですが、当時は人の気持ちを引こうとして、必死に健気っぽい努力をしていたのです。アラサーの頃に、そのムダなクセを自覚し、全てやめました。この「実は誰にも喜ばれていない、ムダなクセ」をやめるとき、私は「自分は、もっと自分になろう」と強く思った記憶があります。多分、それまでは「人の好意」というもので「自分を作ろう」としていたのかもしれません。実は、「それ以前」の気持ちをよく覚えていないのです。ただ痛烈に「私は、私自身のために生きたことがないかもしれない」と感じたことを記憶しています。「私は私自身として生きたことがなかったかもしれない」「私は私に『なった』ことがなかったかもしれない」という疑いが黒雲のようにわき起こりました。「ひとのため」にしていたことをやめたとき、長いこと自分を縛っていたものを断ち切るような、強烈な衝撃を内側から感じた記憶があります。喜びとも悲しみとも言えないような、色々な思いが入り交じった衝撃でした。今の私は、他人から見れば「幸福」とは言い難い状況かもしれませんが、かなりワガママに生きている自覚があります。そして、それが一番いい、と思っています。このことは、幸福なんだろうな、と思います。これまでいろんな所に頭をぶつけるような生き方をしてきましたが、頭をぶつけたおかげで、できることやできないこと、痛いところや弱いところなど、「自分」のアウトラインがぼんやりとわかった部分もあったのかな、と思います。>>次回もお楽しみに(4月25日更新)プロフィール石井ゆかりライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部のベストセラーに。Twitterのフォロワー数は30万を越える。著書多数。
2019年03月25日アニメーション映画『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』が、2019年5月31日(金)より新宿バルト9などで公開される。“大人のルパン”第3弾は、最強ミューズの峰不二子に焦点『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』『LUPIN THE III RD 血煙の石川五ェ門』に続く“大人のルパン”シリーズ第3弾となる本作では、抜群の美貌とプロポーションを武器にし、男を惑わし、己の欲望にのみ従って生きる峰不二子にフィーチャー。最強ミューズ・峰不二子に迫る絶体絶命の危機が描かれるという。峰不二子役を演じるのは、2011年より同役を担当している沢城みゆき。ルパン三世役はもちろん、栗田貫一が務める。ストーリー『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』は、“消えた5億ドル"を巡る、不二子の奮闘を描いたストーリー。ある日不二子のもとにやって来たのは、“小さな依頼人”少年・ジーン。父親が横領した5億ドルのカギを握るその少年は、父・ランディを襲った殺し屋ビンカムに命を狙われており、少年に関与した不二子もその標的となってしまう。呪いの力によって人の心を操るビンカムから一度は逃げ延びる2人だったが、再び魔の手に捕まってしまう。ビンカムの持つ鋭利で不気味な爪が、不二子に襲い掛かるーー!峰不二子を表す名言たち峰不二子の魅力は、類まれな外面だけでなく、何事にも揺るがないハートの強さ。男を利用するために嘘はついても、自分には決して嘘はつかず、「出来もしない嘘だけはつきたくない。それだけよ」というセリフを作中で残している。作品では、そんな彼女の魅力が溢れる名言が数多く登場するので、ぜひその目で確かめてほしい。監督は前2作に引き続き小池健監督はスタイリッシュかつハードな演出に定評のある小池健が務めるほか、脚本に「ルパン三世 PART4」でシリーズ構成・脚本を務めた高橋悠也、音楽にCM・映画音楽で活躍するジェイムス下地、アニメーション制作にテレコム・アニメーションフィルムと、前2作のクリエイターたちが再集結する。劇場購入特典付きのムビチケ3月29日(金)からは、公開劇場にて劇場購入特典付きのムビチケ(1,300円)が発売。小池健監督が書き下ろした峰不二子の原画をデザインしたA5クリアファイルがプレゼントされる。作品情報『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』公開日:2019年5月31日(金) 新宿バルト9ほか限定劇場公開原作:モンキー・パンチ監督・演出・キャラクターデザイン:小池健脚本:高橋悠也音楽:ジェイムス下地クリエイティブ・アドバイザー:石井克人声の出演:栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、宮野真守ほか製作・著作:トムス・エンタテインメントアニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム共同配給:ティ・ジョイ、トムス・エンタテインメント
2019年03月11日昨年11月に40周年を迎えたこのモンスター漫画『パタリロ!』を生み出したのが、魔夜峰央さん(65)だ。だが、そんな大御所にもピンチの時代が……。そこから救ってくれたのは、自分自身が若き日に描いた『翔んで埼玉』だった――。「主演がGACKTさんに決まったと聞いたときはのけぞりました。実際、お会いしたGACKTさんはオーラがすごかった。漫画好きだとは聞いていたんですが、私の作品の大ファンだと言ってくれて、とてもうれしかったですね。もう1人の主役で、少年役に挑戦してくれた二階堂ふみさんも、コスチュームを含め、原作の世界観を忠実に再現してくれました」そう語るのは2月22日に公開される『翔んで埼玉』(東映系)の原作者で、『パタリロ!』(白泉社)でも知られる漫画家の魔夜峰央さん。『翔んで埼玉』の世界では埼玉は東京から徹底的に差別されている。二階堂ふみ(24)が演じるのは、東京都でも屈指の名門高校・白鵬堂学院の生徒会長を務める壇ノ浦百美。埼玉から東京に引っ越してきたZ組の生徒が病気を訴えても「そこらへんの草でも食わせておけ!」と埼玉県人に対して横暴な態度をとっている。そんななか、謎の帰国子女・麻実麗(GACKT・45)が転校してくるところから、物語は動きだす……。魔夜さんが『パタリロ!』、そして『翔んで埼玉』について語ってくれた。■全部出さないと新しいものは入らない新潟県で生まれた魔夜さん。高校を卒業後、大阪芸術大学に進学したが、2年生の冬休みに退学を決意。その後、新潟の実家に戻り、漫画を描いては東京に送った。20歳のとき、漫画誌『デラックスマーガレット』(集英社)に投稿した『見知らぬ訪問者』でデビューを果たす。魔夜さんの転機となったのが、’78年に発表された『ラシャーヌ!』という作品だ。それまでシリアスな作品が多かったなかで、初めてコメディ要素の入った作品だった。「“この路線ならいけるんじゃないか”、“ギャグも描けるんだ”と自信を得ました。自分にはそんな才能がないと思っていたのに」(魔夜さん・以下同)そんな矢先、60ページの執筆依頼が舞い込む。そのとき描いたのが『パタリロ!』(’78年)。人気に火がつき、魔夜さんが描く原稿も、月に100ページを軽く超えるようになった。こうなると、アシスタントがいない新潟で、1人で描き続けるのは困難だ。「『花とゆめ』の編集長に『東京に出たい』と相談したところ、“同業者が多く住んでいて、交通の便がいい西武線沿線がいいんじゃないか”と紹介されたのが、埼玉県の所沢でした」住まいは、憧れた東京のような都会ではなく、のどかなねぎ畑に囲まれた一軒家。東京とは異なる時間の流れと、風景。そこで思いついたのが、『翔んで埼玉』だった。「でも、作品は3話で終了しました。所沢から横浜に引っ越したためです。住んでいない土地のことをちゃかすことはできませんから」プライベートでは、ファンイベントに参加していた、当時高3だった芳実さんに“一目ぼれ”し、’84年に結婚。2児にも恵まれ、パタリロもわが子のように育てたが……’11年ごろから苦境に追い込まれる。「単行本が以前ほどは売れなくなって、経済的に苦しくなった。“この先どうなるんだろう”という不安な時期が、数年間も続きました」最終的に税金を滞納せざるをえなかったこともあった。「印税が入ったそばから徴収されてしまいました。『パタリロ!』全盛期のときに買っていた宝石や貴金属も、売り払った。バレエダンサーだった妻が自宅の地下に作ったスタジオで、バレエ教室をやっているのですが、その収入にも助けられました」しかし、ついに「妻と『このままでは自宅も手放さなければならないかもしれない』と話していた」ころ、30年以上前に発表した『翔んで埼玉』がSNSなどでおもしろすぎると話題になっていた。’15年に宝島社が単行本化を決定する。発売の1カ月前、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で大きく取り上げられるなどの追い風もあり、現在まで合計66万部という大ベストセラーになった。税金の滞納分も、借金も全額返済できたのだ。「本当にすべてを失ったときに、埼玉が救ってくれました。全部を出し切らないと、新しいものは入ってこないのかもしれませんね」劇場版『翔んで埼玉』では苦楽をともにした家族と共演もした。「映画は私が登場するシーンで始まります。じつは、最初にバレエダンサーが出てくるのですが、それが長男。漫画を描く私の両側で踊っているのが、妻と長女です。試写会では、埼玉に遠慮して、笑うのを我慢したという他県出身者もいたそうですが、遠慮することはありません。『翔んで埼玉』は埼玉でいちばん売れているんですから(笑)」
2019年01月26日漫画好きなら、誰もが知っている『パタリロ!』。昨年11月に40周年を迎えたこのモンスター漫画を生み出したのが、魔夜峰央さん(65)だ。そんな魔夜さんが若い日に描いた快作『翔んで埼玉』(白泉社)を原作とした、劇場版『翔んで埼玉』(東映系)が2月22日に公開される。「主演がGACKTさんに決まったと聞いたときはのけぞりました。実際、お会いしたGACKTさんはオーラがすごかった。漫画好きだとは聞いていたんですが、私の作品の大ファンだと言ってくれて、とてもうれしかったですね。もう1人の主役で、少年役に挑戦してくれた二階堂ふみさんも、コスチュームを含め、原作の世界観を忠実に再現してくれました」『翔んで埼玉』の世界では埼玉は東京から徹底的に差別されている。二階堂ふみ(24)が演じるのは、東京都でも屈指の名門高校・白鵬堂学院の生徒会長を務める壇ノ浦百美。埼玉から東京に引っ越してきたZ組の生徒が病気を訴えても「そこらへんの草でも食わせておけ!」と埼玉県人に対して横暴な態度をとっている。そんななか、謎の帰国子女・麻実麗(GACKT・45)が転校してくるところから、物語は動きだすのだが……。じつは魔夜さんも埼玉と深い因縁がある。■パタリロを殺そうとした過去新潟県で生まれた魔夜さん。高校を卒業後、大阪芸術大学に進学したが、2年生の冬休みに退学を決意。その後、新潟の実家に戻り、漫画を描いては東京に送った。20歳のとき、漫画誌『デラックスマーガレット』(集英社)に投稿した『見知らぬ訪問者』でデビューを果たす。魔夜さんの転機となったのが、’78年に発表された『ラシャーヌ!』という作品だ。それまでシリアスな作品が多かったなかで、初めてコメディ要素の入った作品だった。「“この路線ならいけるんじゃないか”、“ギャグも描けるんだ”と自信を得ました。自分にはそんな才能がないと思っていたのに」(魔夜さん・以下同)そんな矢先、60ページの執筆依頼が舞い込む。そのとき描いたのが『パタリロ!』(’78年)だ。人気に火がつき、魔夜さんが描く原稿も、月に100ページを軽く超えるようになった。こうなると、アシスタントがいない新潟で、1人で描き続けるのは困難だ。「『花とゆめ』の編集長に『東京に出たい』と相談したところ、“同業者が多く住んでいて、交通の便がいい西武線沿線がいいんじゃないか”と紹介されたのが、埼玉県の所沢でした」住まいは、憧れた東京のような都会ではなく、のどかなねぎ畑に囲まれた一軒家だった。「じつは編集長も、それよりも怖かった編集部長も家がすぐ近所でした。完全にだまされたんです!」かくして“軟禁状態”を強いられながら、ただひたすら原稿に向き合う日々が始まった。「1日12時間漫画を描いて、12時間寝て、12時間雑用をする。36時間だから計算が合わない。やっぱり埼玉は魔境なんでしょう。朝、味噌汁の具がないときは、近くの畑からねぎを引っこ抜いたりしましたね」東京とは異なる時間の流れと、風景。そこで思いついたのが、『翔んで埼玉』だったのだ。「でも、作品は3話で終了しました。所沢から横浜に引っ越したためです。住んでいない土地のことをちゃかすことはできませんから」プライベートでは、ファンイベントに参加していた、当時高3だった芳実さんに“一目ぼれ”し、’84年に結婚。2児にも恵まれ、パタリロもわが子のように育てたが……。「じつはパタリロを“殺そう”としたことがあります。’90年に連載が『花とゆめ』の本誌から別冊に移ったんですが、“左遷された”というような気持ちになって、やめようと思ったんです。『鉄腕アトム』最終回で、アトムは地球を救うために太陽に突っ込むんですが、パタリロも同じように太陽に突っ込ませて終わらせようかと。でも、やっぱり気が変わって、宇宙人に地球に連れ戻されるというオチを加えました」昨年11月、『パタリロ!』は連載開始40周年を迎え、単行本も100巻を達成した。「次は200巻ですね。もう40年待ってください」
2019年01月26日『パタリロ!』が単行本100巻目に到達。作者・魔夜峰央さんにお話を伺いました。祝・連載40周年、画業45周年!101巻に向けて、魅力をおさらい。単行本は100巻目に到達。魔夜峰央さんの『パタリロ!』は、少女マンガ界に金字塔を打ち立てた名作中の名作だ。下ぶくれで天才、私利私欲に走りがちなくせに人情に弱い、国王パタリロに加え、脇を固めるキャラクターたちも個性派揃い。「私が人と同じことをやるのが嫌いな性格なので、従来のマンガの主人公にはいないタイプにしようと腐心した結果だと思います。なお、パタリロは“ドラえもん”に似ているという方もいらっしゃるくらい赤ちゃん体型。人に警戒心を与えないのも美点かもしれません」マライヒやバンコランといった超美形の人物を軸としたロマンスにもうっとりするが、パタリロ殿下に振り回されつつも寄り添うタマネギ部隊に萌えるファンも。「キャラとして登場する以上、いずれなんらかの役割を果たすのはタマネギたちの宿命で、アイデアを拡げるためには格好の集団だったといえます。なかでもいちばんまともなのは、霊感青年44号だと思います」また、ストーリーには、ギリシャ神話やクトゥルー神話、耽美趣味、悪魔崇拝、オカルト、SF、性愛と、刺激が強めなモチーフを多用。ギャグは必ずあるのに、人の優しさや愛情、あるいは残酷さや身勝手さなどを描き、さまざまな感情を喚起させる物語の完成度にも脱帽する。「描けるものを描きたいように描いた結果としか言えないのですが、パタリロたちの活躍に任せていれば展開に悩むことはほぼないし、ギャグに至っては反射神経のみですね(笑)。ちなみに100巻では、98巻から始まった長編〈イカロスの羽〉が完結。101巻ではミーちゃんが走り回った舞台をパタリロが破壊的に駆け抜けます。どうぞお楽しみに」現在『パタリロ!』100巻発売、連載開始40周年を記念して、「パタリロ! 100Project」が進行中。まだまだ間に合う原画展、実写版映画が今年公開予定など、味わい尽くそう!明治大学米沢嘉博記念図書館では「魔夜峰央原画展」第4期:ミーちゃん特集を開催。1/18(金)~2/11(月)まで。入場無料。初のオフィシャルファンブック『パタリロ![トリビュート・ファンブック]』99.9も発売中。880円『パタリロ!』100巻ではミーちゃんが大活躍、懐かしキャラも多数登場。春に101巻が刊行予定。現在はエンタメアプリ「マンガPark」で連載中。白泉社429円©魔夜峰央/白泉社まや・みねおマンガ家。新潟県出身。〈永遠の28歳〉を自称、ミーちゃんの愛称で、しばしば作中にも登場する。他の代表作に「ラシャーヌ」や「アスタロト」が活躍するシリーズがある。※『anan』2019年1月23日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年01月18日英国俳優コリン・ファースが『博士と彼女のセオリー』のジェームズ・マーシュ監督とともに贈る最新作『喜望峰の風に乗せて』が、2019年1月11日(金)より公開。日本でも絶大な人気を誇るコリンが、本作にかけた思いを語った。■ストーリー1968年、アメリカとロシアが宇宙を目指していたころ、イギリスは海洋冒険ブームに沸いていた。そんな中、単独で海に出て一度も港に寄らず、世界一周を果たすという過酷なヨットレースが開催される。華々しい経歴のセーラーたちが参加する中、ビジネスマンのドナルド・クローハースト(コリン・ファース)が名乗りを上げた。アマチュアの果敢な挑戦にスポンサーも現れ、ドナルドは家族の愛を胸に出発。だが、彼を待っていたのは、厳しい自然と耐え難い孤独、そして予想もしなかった自身の行動だったーー。ヒーローを待望するメディアの狂騒、町の人々の期待、彼らに翻弄されながら夢にかける男の葛藤、夫を信じて待ち続ける妻ーー。それぞれの真実に心を震わされる実話がこの冬、日本に上陸する。■英国男優総選挙、驚異の3連覇達成!その人気の秘密とは?映画雑誌「SCREEN」の人気企画“英国男優総選挙”で本年度も第1位に輝き、見事3連覇を成し遂げたコリン。いまや最も英国を代表する俳優といっても過言ではない圧倒的な知名度と人気は底知れず。女性のみならず男性からも熱い支持を受けている。そんなコリンが映画デビュー作『アナザー・カントリー』(94)を経て、一般的に知られるようになったのはBBCのTVシリーズ「高慢と偏見」(95)のダーシー役。上流階級の高慢でハンサムな“ツンデレ”青年を魅力たっぷりに演じて世の女性を虜にしたが、当時35歳。意外にも“遅咲き”のブレイク俳優だった。以降、現代版ダーシーの『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズや、『ラブ・アクチュアリー』(03)、『マンマ・ミーア !』など2000年代に立て続けにヒット作に出演し、日本でも広く人気を獲得。そして、世界的ファッションデザイナーであるトム・フォードの初監督作『シングルマン』(09)では恋人を失ったゲイの大学教授を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネート、翌年の『英国王のスピーチ』(10)では吃音に悩むジョージ6世を演じ同賞をついに獲得、名実ともにその評価を確固たるものに。その後、新星タロン・エガートン扮する若くてやんちゃな青年エグジーに英国紳士のたしなみ&一流のスパイの技術を徹底的に教育する、気品溢れる英国紳士ハリー役を演じた『キングスマン』(14)、続く『キングスマン:ゴールデン・サークル』(17)は世界中で大ヒットを記録。かつてないほどの若い世代からも支持を集め、英国俳優のトップをひた走る存在としてその名をほしいままにしている。『キングスマン』シリーズはつい先日、最新作である前日譚の続報が出され、世界中から期待が寄せられている。■『喜望峰の風に乗せて』は新たな挑戦「彼の中に自分自身を見た」数々のブレイクの波を起こしてきたコリンが、新たな挑戦として選んだのは、『喜望峰の風に乗せて』で世界一周単独ヨットレースに参加したアマチュアセーラーで実在の人物ドナルド・クロ―ハースト役だった。「彼の中に自分自身を見た」と映画化を熱望し、製作段階の初期から参加。人間の心の弱さや深淵を見つめた新境地に挑んでいる。コリンは本作への出演について「海に出たことがなくても、船乗りでなくても、探検家でなくても、人は皆、自分の能力以上のところに到達したいと思ったことがあるはず。危険と分かっていても大きな望みを持ち、何かとりとめのないことを計画したいという気持ちに強く共感したんだ。誰もがクロ―ハーストの挑戦する気持ちに共感できるはずなのに、こういった物語を映画化しようとする人は少ない。この物語を読んだとき、多くの人々の心に響くものがあると感じたから僕も挑戦してみることにしたんだよ」と、本作に惹かれた理由を語っている。周りから無謀だと言われながらも海へと飛び出すクローハースト。それはコリンの上品でスマートな英国紳士イメージを根底から覆すことにもなる。ひとり海に出て現実を目の当たりにし、無精ひげにヨレヨレのシャツ姿になってからがクローハーストの真の旅の始まり。魅力的な男が一転、海の上で命をかけて格闘し、迫真の演技をみせるコリンから目が離せない。『喜望峰の風に乗せて』は2019年1月11日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:喜望峰の風に乗せて 2019年1月11日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© STUDIOCANAL S.A.S 2017
2018年12月14日「2019ミス・インターナショナル日本代表選出大会」が23日、都内で行われ、故・岡田真澄さんの一人娘で青山学院大学2年生の岡田朋峰(ともみ)さん(20歳)が日本代表に選ばれた。ミス・インターナショナルは、ミス・ワールド、ミス・ユニバースと並び世界3大ミス・コンテストの一つとされており、この日は、来年に行われる世界大会への出場権を賭けた日本代表選出大会が行われた。書類審査および予選会を勝ち抜いた32人の候補者たちが華やかにステージに登場。着物・水着・スピーチ・ウォーキング審査に臨み、2006年に死去した俳優・岡田真澄さんの一人娘である岡田朋峰さんがグランプリを獲得した。名前を呼ばれて喜びの表情は見せたものの、涙は見せなかった岡田さん。開口一番「このような素敵な場所で日本代表に選んでいただき、光栄に思っています」とあいさつし、「今日まで一緒に頑張ってきたファイナリストのみんな、この大会を支えてくださった国際文化協会の皆さま、セミナーで私たちを温かく教え導いてくださったOGの方々、私の周りで応援してくれた皆さまに感謝しています。ありがとうございました」と感謝の言葉。亡き父・真澄さんのことにも触れて「私には会いたかった人がいます。その人は言葉をかけても会うことはできません。私が7歳の時に亡くなった父です。父はどんな時もエレガントで気品を忘れない女性でいなさいと教えてくれました。私は今日このステージで父と会うことができたと思います」と話すと、会場から溢れんばかりの拍手が巻き起こった。また、今後の目標について聞かれると「日本代表としてこれから1年間活動をしていき、その活動を通過点に女性キャスターになりたいと思っています」と抱負を。亡父と同じ職業でもある役者には「舞台や映画を見ることがすごい好きなので、キャスターや日本代表として同じ表現するというところですごく憧れはありますが、今はありません」と否定的で、「私が通う青山学院大学はたくさんの女性キャスターの出身校でもあります。そんな大学の先輩の皆さんに憧れています」とキャスター志望であることを強調していた。なお、2019準ミス・インターナショナル日本代表には、第2位に東京都出身の文元麻由奈さん(20歳)、第3位に大阪府出身の寺西麻帆さん(22歳)、第4位に埼玉県出身の藤本美咲さん(25歳)、第5位に愛媛県出身の田中蓉さん(22歳)、特別賞のパーフェクトボディ賞に埼玉県出身の大嶋夏実さん(25歳)、ビューティースキン賞に北海道出身の荒木美南さん(20歳)、ハッピースマイル賞に栃木県出身の山田真夕さん(20歳)、WEBジェニック賞に北海道出身の野嶽沙世さん(20歳)がそれぞれ選出された。
2018年10月24日WEBデザイナーでグラビアアイドルの高坂ゆかりがこのほど、東京・秋葉原のソフマップで最新イメージDVD『縁-ゆかり-』(発売中 4,104円税込 発売元:イーネット・フロンティア)の発売記念イベントを行った。かつてはレースクイーンとして全国のサーキット場を沸かせ、現在はWEBデザイナーとして都内の会社に勤務しながらグラドルとしても活躍している高坂ゆかり。同DVDは、今年5月に静岡の下田で撮影された。家庭教師に扮した高坂が教え子の男の子を誘惑するというシチュエーションもので、上からB90・W61・H88というボディにGカップのバストをたっぷりと見せつけている。セクシーな水着姿で登場した高坂は「自分の作品を出していただいてうれしい反面、実際に見たら恥ずかしくて目を反らせてしまいました。まだ自分を映像として見られないですね(笑)」と照れ笑いを浮かべ、「家庭教師の設定で、生徒を誘惑しちゃうお話です。実際に私は大学生だった時にアルバイトをしたこともありますから、そのリアルさを見ていただけたらと思います」と初めての作品を紹介した。セクシーなシーンについては「最後のベッドのシーンでは赤いランジェリーにストッキングをはきました。お尻や腰をくねくねしながら誘惑しています。下着が好きで集めているんですが、着ていた赤いランジェリーは実際に持っているものと近いので、リアルな私を見ていただけると思います」とアピールし、「浴衣のシーンでは浴衣を脱がされてエッチな下着になりました。脱がされて萌え萌えしちゃいましたね」と撮影を振り返った。初めてのグラビア作品ということで、今後の目標についても言及。「今はWEBデザイナーもやっているのでグラドルと二刀流です。池澤あやかさんは美人すぎるプログラマーで話題になりましたが、私も二刀流グラドルとして知っていただけたらと思っています」と語ったように、当面はWEBデザイナーとグラドルの両立に意欲を見せていた。
2018年10月11日魔夜峰央の漫画『翔んで埼玉』の実写映画化が決定。2019年2月22日(金)より全国ロードショー。魔夜峰央の伝説的“埼玉ディス”漫画が実写化原作の『翔んで埼玉』は、『パタリロ』(1978)などで一世を風靡した漫画家・魔夜峰央が1982年に発表したコメディ漫画。2015年には『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』(宝島社)として30年ぶりに単行本として復刊され、それをきっかけにテレビ番組、SNS、インターネットなどメディアで多数取り上げられ、再び反響を呼んだ。話題を呼んだ理由の1つは、作品発表当時に住んでいた埼玉を題材にした「埼玉から東京に行くには通行手形がいる!」「埼玉県民はそこらへんの草でも食わせておけ!」「埼玉狩りだー!」などの徹底的な“埼玉ディス”。後に続く“地方ディスマンガ”ブームのきっかけでもある。ただし、当の上田清司埼玉県知事からは、「悪名は無名に勝る」と県公認?のお墨付きコメントを得ている。原作あらすじかつて埼玉県民は東京都民からひどい迫害を受け、身を潜めて暮らしていた。ある日、東京でトップの高校・白鵬堂学院の生徒会長で東京都知事の息子・壇ノ浦百美(だんのうらももみ)は、アメリカ帰りの謎の転校生・麻実麗(あさみれい)と出会う。互いに惹かれ合うも、実は麗が埼玉県出身だったと知る百美。そして、東京と埼玉の県境で引き裂かれる2人。まさに埼玉版「ロミオとジュリエット」とも呼べる愛の逃避行と、その中で埼玉県解放を成し遂げるべく戦いを挑んだ者たちの革命の物語である。2部構成の映画オリジナルストーリー原作が未完の物語であることから、制作陣は映画化にあたり、「伝説パート」と「現代パート」の2部からなるオリジナルストーリーを構想した。「伝説パート」埼玉県人が東京へ入るための必須アイテム“通行手形”の撤廃と、自由を求めて戦う百美・麗の前に、埼玉同様、自県の通行手形の撤廃をもくろむ対抗勢力として、千葉県が立ちはだかる。一方、東京都と密な関係を築き、埼玉と千葉の東京進出を快く思わない神奈川県という勢力も登場し、東京、埼玉、千葉、神奈川をはじめ、群馬、栃木、茨城をも巻き込んだ関東一帯の各勢力が複雑に絡み合う、壮大な物語が展開される。「現代パート」埼玉県在住の菅原家を中心に物語が展開。娘の結納の為一路東京へ向かう道中、車内のラジオから流れてきたのは、百美と麗らが埼玉県人の自由と誇りをかけた戦いの日々を綴った物語。果たしてこの物語は、菅原一家や婚約者たちを、どんな結末に導いてしまうのか…。埼玉県在住のある家族を通して、百美・麗の伝説を振り返り、埼玉への郷土愛を再認識するパート。二階堂ふみ&GACKTのW主演東京都知事の息子であり、白鵬堂学院の生徒会長=エリートとして華々しく学生生活を送る主人公の壇ノ浦百美(だんのうらももみ)役を演じるのは、若手演技派女優NO.1の呼び声も高い二階堂ふみ。当初は原作の性別を変更しようという案もあったが、二階堂本人による「これ、私が男性の役をそのまま演じたほうが面白くないですか?」という提案から、原作の通り、名前も外見も女性っぽいのに実は男性、というキャラクターのまま進められることとなった。そして、二階堂演じる百美が淡い恋心を抱く、容姿端麗でアメリカ帰り、でも実は埼玉県出身の転校生・麻実麗(あさみれい)役にGACKT。原作者も交えたキャスティング会議では、満場一致で「なるほど!」となったという、原作者お墨付きの配役だ。とはいえ、いくらミステリアスな設定といえど、麻実麗は18歳の高校生。「原作の魔夜さんのご指名なら...」と引き受けたGACKTが麻実役をどう料理するのかも、本作の見所の1つとなりそうだ。伊勢谷友介、京本政樹らも出演「伝説パート」では、百美の父親である東京都知事・壇ノ浦建造の執事・阿久津翔役に伊勢谷友介、伝説の埼玉県人・埼玉デューク役に京本政樹が抜擢。その他、現東京都知事で百美の父・壇ノ浦建造に中尾彬、百美の母・壇ノ浦恵子に武田久美子、麗の父親・西園寺宗十郎に麿赤兒、神奈川県知事に竹中直人、麗のお手伝いさん・おかよに益若つばさ、埼玉県人の青年に間宮祥太朗、白鵬堂学院の学生・下川信男に加藤諒と、実力派&個性派俳優陣らが集結する。「現代パート」では、菅原家の父・菅原好海をブラザートム、母・菅原真紀を麻生久美子、娘・菅原愛海を島崎遥香、愛海の婚約者・五十嵐春翔を成田凌が演じる。役柄は、それぞれの出身県に合わせた設定となっており、出演者が故郷への愛をどのような形で表現するのかも注目だ。作品情報映画『翔んで埼玉』公開日:2019年2月22日(金)キャスト:二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香、成田凌(友情出演)、間宮祥太朗、加藤諒、益若つばさ、中尾彬、武田久美子、麿赤兒、竹中直人、京本政樹ほか原作:『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』魔夜峰央(宝島社)監督:武内英樹(「のだめカンタービレ」シリーズ「テルマエ・ロマエ」シリーズ「今夜、ロマンス劇場で」他)脚本:徳永友一(ドラマ「海の上の診療所」「水球ヤンキース」「探偵の探偵」「HOPE〜期待ゼロの新入社員」「僕たちがやりました」他)音楽:Face 2 fAKE
2018年04月12日ふりかけやおにぎりとして定番の「ゆかり」。絶妙な塩気と香ばしさで、大人から子どもまでご飯をおいしく食べさせてくれるアイテムですが、なんとご飯に混ぜたりかける意外にも、ゆかりを有効活用したレシピがあるので紹介します。大根のゆかり漬けゆかりを使って大根を漬け物に!見た目もピンクできれいです!【材料】・大根…3〜4cm・塩…ひとつまみ・酢…大さじ2・砂糖…大さじ2・ゆかり…小さじ1/2【作り方】1)大根の皮をむいて拍子木切りにする2)塩をひとつまみまぶして10分おく3)耐熱容器に酢と砂糖を入れ、レンジで砂糖が溶けるまで加熱する4)冷めたらゆかりを入れる5)大根の水気をしぼり、全部を混ぜる6)半日から1日おいたらできあがり!ゆかりの量で色の濃さが決まるので、お好みの色を作ってください。ゆかりたまごゆで卵をゆかりでつけてピンク色に!お弁当の彩りにもぴったりです。【材料】・卵…3個・ゆかり…小さじ1・穀物酢…50cc【作り方】1)ゆで卵を作る2)ビニール袋に殻をむいたゆで卵、ゆかり、酢を入れる3)空気をできるだけ抜いて袋の口を結び、ゆかりが全体に広がるようにもんで混ぜる4)時々袋をもんで、冷蔵庫で2時間以上おいたらできあがり卵の色むらが気になる場合は、途中で揉む回数を増やしてください。キャベツとゆかりのナムルキャベツとゆかりの意外な組み合わせは、びっくりするほど相性抜群!【材料】・キャベツ…4~5枚・ごま油…小さじ1・ゆかり…小さじ1/2【作り方】1)キャベツは芯を取り除き、手で一口サイズにちぎり耐熱ボウルに入れる2)芯を薄くそぎ切りにし、ほかの部分と一緒にする3)軽く水洗いし、しっかり水を切る4)ふんわりラップをして、600Wのレンジで2分半加熱する5)あら熱がとれたらしっかり水気をしぼってボウルに移す6)ごま油を加えて全体を混ぜる7)ゆかりを加えてざっと混ぜて和えたら完成レンジで加熱した後のキャベツは、しっかり水気を切るのがポイント。ご飯以外にも、いろいろな場面で使える万能調味料「ゆかり」。数回使ったきりで使っていないゆかりがある人は、ぜひこの機会に料理にも使って、そのおいしさを再確認してください!(文・姉崎マリオ)
2018年04月10日二階堂ふみとGACKTという異色のW主演により、「パタリロ」などで知られる漫画家・魔夜峰央による「このマンガがすごい!comics翔んで埼玉」が実写映画化、2019年に公開されることが分かった。■原作は“地方ディス”マンガの火付け役!魔夜峰央が1982年に発表した原作マンガは、2015年に「このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉」(宝島社)として30年ぶりに単行本として復刊されたことをきっかけに、テレビ番組、SNS、インターネットなどメディアで多数取り上げられ、累計発行部数は62万部を突破。魔夜氏が作品発表当時に埼玉県所沢市に住んでいたことから、「埼玉から東京に行くには通行手形がいる!」「埼玉県民はそこらへんの草でも食わせておけ!」「埼玉狩りだー!」など“埼玉県”を徹底的にディスるセリフなどが大きな話題を呼び、後に続く“地方ディス”マンガの火付け役に。上田清司・埼玉県知事からも、「悪名は無名に勝る」と県公認(!?)のお墨付きコメントをもらうまでになっている。■まさかの映画化決定!ディスっているけど地方にエールを送る作品!本作のプロデューサーを務める若松央樹氏は、2015年、書店に平積みされていた原作を見て、強烈なインパクトを感じたという。なぜいま、この作品が世に受けているのかと興味を持ち、「おそらく、ディスられても笑いに変えられるほど、地方が成長しているからではないか…」との仮説から、地方出身者である同氏は地方をもっと応援できるような、それでいて、都会に住んでいる人も楽しめる、そんな作品を作りたいと映画化に向けて動き始めた。そこで、「のだめカンタービレ」など何度かタッグを組んでいる監督の武内英樹(『今夜、ロマンス劇場で』)と、「久しぶりにバカなことをやりたい!」と意気投合。だが、『翔んで埼玉』は未完の作品であり、その続きを考えるために脚本家も交えてオリジナルの展開を模索。大都会・東京から虐げられた埼玉が、自由を求めて徒党を組み戦うという原作の設定に、新たに“千葉”という対抗組織も用意。同じく東京から迫害を受けている埼玉と千葉の攻防、そして、東京と埼玉という相容れない土地に生まれた2人の間に芽生えた“愛”という2つのテーマを携えたストーリーを構成した。■二階堂ふみ&GACKTが異色のW主演!その理由は…?“原作の設定の素晴らしさ”が魅力の本作にとって、最重要なのは主役2人のキャスティング。東京都知事の息子であり、白鵬堂学院の生徒会長=エリートとして華々しく学生生活を送る、壇ノ浦百美役は当初、原作の設定を変更し、女性にしてもよいかという意見も出ていた。そして、若松氏や武内監督、脚本の徳永友一(「僕たちがやりました」)を中心に会議を重ねる中で浮かび上がってきたのが、若手演技派女優NO.1の呼び声も高い二階堂ふみの存在。最近ではバラエティ番組でも活躍し、ラブコメ作品でも随一の演技を見せる実力派の彼女であれば、原作のキャラクター造形の面白さを最大限に表現してくれるのではないかと考えた。最初は「女性に変えようかと思っている」と説明していた中、脚本を読んだ二階堂さん本人から、「これ、私が男性の役をそのまま演じたほうが面白くないですか?」と提案があったことで、原作の通り、名前も外見も女性っぽいのに、実は男性というキャラクターのままでキャスティングが決定。そして、二階堂さん演じる百美が淡い恋心を抱く、容姿端麗でアメリカ帰り、でも実は埼玉県出身の転校生・麻実麗に、原作者も交えたキャスティング会議で満場一致で「なるほど!」となったのが、GACKT。本業の歌手活動はもちろんのこと、大河ドラマ「風林火山」(07)での上杉謙信役など俳優業としての活躍も目覚ましいGACKTさんに、原作の魔夜氏も大絶賛&太鼓判!まさかのミステリアスな18歳の高校生役を演じる。■撮影現場はまるで宝塚歌劇団のような空気感!?二階堂さんとGACKTさんは、それまでバラエティなどでの共演はあったものの、本格的な演技での共演は本作が初!すでに3月21日よりクランクインしており、ご当地・埼玉を始め、関東各地で撮影が進められている。どこか浮世離れしていて、宝塚歌劇団のような空気感すら感じる現場の美術や衣装に囲まれ、主演の2人もすぐに世界観に溶け込み、笑いの絶えない現場で気持ち良く、この強烈すぎるキャラクターを演じているとのこと。劇中には、埼玉ゆかりの企業や、名産品、登場人物も出演するなど、誰が見ても笑えるだけでなく、高級感とスケール感も出したコメディ大作として完成させるべく、現在鋭意撮影中という。■二階堂さん&GACKTさんから“純愛ボーイズラブ”にコメント到着二階堂ふみ壇ノ浦百美 役埼玉のプライドをかけた戦い、そしてそこから生まれる純愛ボーイズラブ。どのような作品になるのかは全く想像できませんが、精一杯真面目にふざけられたらと思います。GACKT麻実麗 役オファーがあったときは、「設定に無理があるんじゃないかな?」とは思ったんですけれども、ずっと以前から魔夜先生の作品のファンだったっていうことから、先生からの指名ということであればやるしかない…という想いで、今回の作品は受けてしまいました(笑)。正直なところ、「ボクの歳で高校生ってどうなのか?」という気持ちは未だに払拭できてはいないんですが、この漫画自体がかなり無理のある設定の漫画ですので、無理がもう1つぐらい増えても問題ないかなとは思っています。(二階堂)ふみちゃんとは、こういう形で一緒に共演できるのは嬉しいと思ってます。番組以来の久しぶりの再会なので楽しみです。ふみちゃんにとって最高の相手役、最高のキャラクターで撮影に入れるように作り込んでいきたいと思います。■原作者・魔夜峰央は「本当にいいんですか?」30年前の作品です。当時、私は埼玉県所沢市に在住しておりまして、抜けるような青い空と一面緑のネギ畑に囲まれて、牧歌的ながら、本当は東京へ行くはずだったのになぁ…と思いながらなんとなく悶々としていました。良いところなんです所沢は。しかし、これから一旗揚げようかと野心満々の当時の私にとっては、のんびりしすぎていて、なんとなく物足りなかったのは事実です。とくに誰と話したわけではありませんが、周りで暮らしている所沢、埼玉の人たちも同じような気持ちでいるのではないかなぁと肌で感じることがよくありました。いまの生活に不満は無い、でももうひとつグレードアップしたい、というような、かすかな心の通奏低音が皆さんからも感じられたような気がしたのです。その頃、自虐的にそういった埼玉県民の心の声をある意味痛切に描いたのが、この「翔んで埼玉」です。おもしろいとかおもしろくないとかではなく、日々の鬱憤が爆発した心の声とでも言いましょうか。いま見るととんでもない作品ですが、当時は素直な気持ちをそのままぶつけたのだと思います。それが、いまになって、なぜ?まったくもって私自身が一番驚いているような状況なのです。今回はそれが、さらに映画化されるということで、ありがたいやら恐ろしいやら。「本当にいいんですか?」と、最後に言わせていただきます。二階堂さんへ最近テレビでお顔は拝見しておりました。なんだか面白いキャラの人だなぁと、いい意味で、思っておりましたので今回の役はぴったりかもしれません。映画の中で思い切り遊んでいただけたらと思います。GACKTさんへまさかオファーを受けていただけるとは思いませんでした。最初GACKTさんのお名前が上がったとき、そこにいた一同全員がのけぞり、次の瞬間、ありか、と頷いたものです。願ってもないキャスティングですが、この役がGACKTさんの人生の汚点にならないことを祈っております。『翔んで埼玉』は2019年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年04月09日淡麗辛口のお酒を追求してきた新潟・越後にある峰乃白梅酒造が、現代の幅広い食文化に合う新しいお酒「キングオブモダンライト(KING OF MODERN LIGHT)」を発表した。老舗酒造のイメージを一新するような新作は、飲みやすさを求めたジューシーかつリッチな酸味と柔らかい甘みが特徴で、常温あるいは冷やして味わうお酒となっている。高い酸度が味を引き締め、リンゴ酸がフレッシュなキレを生み出すことで、飲み飽きなく、様々な料理に溶け込みやすい。第1弾として登場したのは、山田錦を100%使用し50パーセント精米された「KING OF MODERN LIGHT 純米大吟醸」(1,650円)と、五百万石を100%使用し60%精米された「KING OF MODERN LIGHT 純米吟醸」(1,350円)の2種。また、ネーミングから“キングオブロック”、“キングオブジャズ”、“キングオブヒップホップ”といった音楽的な雰囲気を与えられないかと、ラベルデザインは“お酒の酵母をミックスしたレコード”をイメージしており、それぞれのラベルの色を変えることで味の違いを表している。秋の味覚と「KING OF MODERN LIGHT」で、夜長を楽しんでみてはいかがだろうか。なお、第2弾は来春、第3弾は来秋に2種ずつの発売を予定している。
2017年09月24日「モノづくり大国」と言われる日本。その中でも「エロ」は世界でも有名。そんなアダルト業界で、自らを「えろ屋」と称しAV女優として活躍する一方、小説家としても活動する紗倉まなをホストに、文化やエンタメを支える様々な「クリエイター」をゲストにお届けする、『紗倉まな対談企画モノづくり大国♡ニッポン』。第1回目は、『アラサーちゃん』の作者・峰なゆかさんをゲストにお届けします。■◆村上春樹を「性的」に見る!?紗倉まな(以下、紗倉):実は私、峰さんのTwitterとかブログとか、自分が書き物する前からめっちゃ見てたんです。峰なゆか(以下、峰):え、そうなんですか!?紗倉:峰さんへの憧れと嫉妬があって結構読んでいたんです。「村上春樹を性的に見ている」みたいなのを読んで、私も春樹好きなんですけど、そんな見方で見てる人がいるんだ!って衝撃的で。峰:あはは!(笑)逆になんで性的に見ないんですか?紗倉:えっ、春樹を性的に見るのって、わりとスタンダードなんですかね?峰:わかんない、どうなんだろう。でも、最初に村上春樹の著者近影を見たときって、イメージしてた、いかにもな村上作品の主人公のと違って結構オジサンで、ショックじゃなかったですか?紗倉:どうだろう・・・でもなんか、春樹さんって、同じ表現を結構乱用するじゃないですか。峰:うんうん。紗倉:だから、意外と言ってるだけで実践してるタイプじゃないんじゃないか、実際はそんなエロくないんじゃないかって思ってて。峰:あ~、そうなんだ。私はホント、春樹をずっと性的に見ていて・・・(笑)だから著者近影を見て勝手にショック受けちゃって。紗倉:前に、オトコとしての村上春樹みたいなの、イベントでも話されてたの見たんですけど、それもやっぱり、そういう視点で?峰:そうですね。何かの特集とかで、村上春樹の書いたこれまでの濡れ場を解説するみたいなのがあって、ぜんぶ読み返して。ぜんぶの濡れ場に付箋貼ってめちゃくちゃ大変で・・・。さすがにまとめてそればっかり読むと、こいつ、フェラチオばっかさせて全然クンニとかしねーな!みたいな、マグロ感が伝わってきて。紗倉:村上春樹もそこをツッコまれるとは思ってないでしょうね、絶対(笑)■◆田舎に夢は眩しすぎた紗倉:昔から読まれてたんですか?春樹は。峰:う~んでも、18歳を過ぎてからですかね。昔は日本人作家のものを全然読まなかったので。19歳以降ですね。紗倉:そうなんですね。漫画は昔から描いてたんですか?峰:小学生の頃から漫画家にはなりたくて、よく絵は書いていたんですけど諦めて。紗倉:それは、何か別のことがやりたくなったとかで?峰:私、すごく田舎出身で、農家とかも多いんですよ。親のあとを継ぐのが当たり前みたいな地域で、そんな華々しい職業になんて就けないでしょ、って思って。どうせ親の跡をついで、田舎で死ぬんだ・・・みたいな。紗倉:私は千葉出身なんですけど、なんかその感覚はわかります。田舎特有のムラ文化というか、みんな同じような職業について、早く結婚して、みたいな。自分の仕事や夢が派手に見えてしまう感じはありますよね。峰:そうそう。紗倉:じゃあ、AV女優さん時代から書き始めたんですか?それともやめてから。峰:AV女優をやめてからですね。現役の頃は、全然そういうのやってなくて。紗倉:きっかけがあったんですか?そういうオファーとか。峰:いや、やめてから私、しばらくライターをしていたんですよ。でも、ライターだけで食べていくのはすごく大変だなと思って。「文章と一緒にちょこっとイラストもできますよ」だと仕事も増えるかも、と思って、「ちょっと絵もかけるライター」として、営業用にブログで『アラサーちゃん』を書き始めたんです。■◆「リアル」の発信でAV時代のファンは解散!?紗倉:いまって、取材とかのお仕事も結構あると思うんですけど、描く仕事と割合はどれぐらいですか?峰:描くほうが多いですかね。週3ぐらいは描いてます。紗倉:ネタって尽きないんですか?峰:いや、尽きますよ~!ぶっちゃけ『アラサーちゃん』1話目からもうネタがない(笑)紗倉:そうなんですか?読んでて、よくネタ尽きないなって思ってたんです。『週刊SPA!』とかもページ数多いじゃないですか。しかも4コマだと、いくつもストーリーが必要だし。どこでネタ収集をされてるんだろうって、気になっていて。峰:実際に自分の経験したことが多いんで、ネタがなくなると「新しい彼氏作らなきゃ」という気持ちになるというか。紗倉:あ、じゃああれってほんとにぜんぶリアルですか?『女くどき飯』とかも。峰:そうですね。あれは、お相手は一般応募からプロフィールを見て選んでやってました。紗倉:会ってみて、コレは漫画になるなって言う人と、これはつまんないな・・・って人とかありました?峰:ありましたよ!『女くどき飯』はほんとに、会ってみるまでわからないので。それはしょうがないなって。一般の方にそこまで求めるのもなって。なので、そういうときは漫画にしないときもありましたね。紗倉:もともとAV女優の頃の峰さんのファンが来たりとかはありました?峰:それが無いんですよね~!(笑)AV女優時代のファンの人は、私がAVをやめて、いろいろ自分の思ってること発信し始めてからスグに解散してしまって。紗倉:解散って!(笑)峰:いや本当に、解散としか言えないレベルで。「あれ?みんなどこに行っちゃったの!?」って感じで。「イベントとかやったら、AV女優時代のキモオタとかがたくさん来るんじゃないですか~?(笑)」とか言われるけど、全然来ないんですよね~。紗倉:え~!そうなんですか!峰:来るのは女の人と、サブカル女子好きのサブカルおじさんみたいな。なので、AV女優時代のことはあまり知らない人ばっかりですね。■◆はあちゅう的「私は仕事ができない」!?紗倉:ネタはリアルってことは、日頃から外に出て、食事会とか行ってネタを作っている感じですか?峰:う~ん、どうだろう。なるべくデートとかするようにはしてますね。紗倉:じゃあもう、ネタ探すぞっていう目的意識でデートをするっていう。峰:いや、普通にデートして、「あ~、なんかこのセリフ、前も言われたな~」とか思うとネタにするっていう。紗倉:もう、その日にすぐ描く感じですか?峰:いや、〆切が差し迫ってから描きますね。紗倉:ちなみに、〆切って結構守ります?峰:全然守れない・・・本当に・・・(笑)え、守れます?紗倉:全然守れなくって・・・(笑)峰:最初、AV女優からライターになったとき、私が〆切を守らないと、「AV女優はやっぱりいい加減な人間だ」と思われるから、ちゃんと守ろう!と思ってたんですけど、全然ダメでしたね・・・。紗倉:わかります・・・!(笑)峰:申し訳ない、本当に!紗倉:でもそうですよね。始めたときは結構守れてても、だんだんと守れなくなっていってしまって・・・。今、抱えている連載もそうです。峰:私も本当のデッドは水曜13時みたいな感じで。で、15時に送るっていう。紗倉:えええ!(笑)毎週描くときに打ち合わせとかはするんですか?峰:いや、しないです。紗倉:じゃあ、ぜんぶネタ出しから何から自分で!大変じゃないですか?峰:う~ん、昔からしないスタイルでやってたので。私が苦手なんですよね、人と共同作業でネタを決めるのが。ネームも出さないですし、NGもでたこともないし・・・。紗倉:え~、すごい。私は結構打ち合わせしないとダメなタイプで。ネタが尽きてくるから、「何にします?」というの決めて。それでも書いてるうちに苦しくなってくるぐらいで・・・。すごいですね。峰:いやいや。人によってやり方いろいろですもんね。私は、打ち合わせしたところで描けるようにならないから。紗倉:峰さんは個人戦タイプですね峰:そうですね。紗倉:前にはあちゅうさんが「〆切を守る人は信頼できる」ってTwitterで言ってて。だいたい私は守れないんで、スゴイ胸が痛くなるんですけど(笑)峰:ま~でも、はあちゅうの言う「仕事できる人」には当てはまらないですよね(笑)私、仕事できねんだな~って思って(笑)紗倉:わかりますわかります!峰:あれですよね、連絡はすぐ返すとか、電話をしないとかですよね。電話かかってくるのは嫌だけど自分はかけちゃうんですよね~。最悪のパターンなんですけど。仕事できないと思われてる~!って思いつつも。(笑)紗倉:電話かかってくるのっていやですよね、なんか、追われてる感じで。担当の人とケンカになったりします?峰:えっ!ならないですよ!?なるんですか?紗倉:軽い嫌味を言われるぐらいは・・・。峰:そうなんですね。私はむしろ、担当さんが優しすぎて、「私がもっと早く〆切を言っておけばよかったのにごめんなさい」とか言われて、私が原稿落としたのに、逆に申し訳なくて・・・。本当に腰を低くされるので申し訳なさで「はああ・・・!」みたいな。嫌味言われるよりツラい・・・って感じで。■◆作家と担当者の恋=女優と男優の恋?紗倉:担当さんって、同性の方が合うとか異性の方が合うとかってありますか?峰:うーん、どうだろう。私はそもそも、仕事を依頼してきてくれるのが女性なので、担当さんも女性の方が多くて。だからたまに異性の担当さんだとドキドキしますね。これが恋愛に発展するかも!とか思って。紗倉:やり取りが密ですもんね、担当さんって。担当者との恋ってあります?峰:うーん、どうなんだろう。でも良いですよね、出版社の人って安定してるし、お給料もいいし。紗倉:確かに(笑)峰:でも、出版社の中には、作家に手を出す編集者は2流っていう暗黙のルールのようなものがあるっぽいですね。紗倉:あ~、なんか、AV男優がAV女優を喰うみたいな・・・それも2流というか、タブー化されてるところはありますよね。でも担当者さんとくっつく作家さんは多いって聞きますよね。峰:多い多い!なんか、「結婚まで行けばいい」みたいなのはあるよね?AV女優とAV男優みたいな。紗倉:ありますよね(笑)責任取ればいいみたいな。峰:でも別れたあとは面倒だよね。担当編集さんと付き合って、別れたあとも連載は続くとか最悪じゃないですか?紗倉:結構地獄ですよね(笑)後々のこと考えたらそういう空気にならないほうがベストですね。峰:うんうんうん。だから、同じ業界内はなるべくやめるようにしてますね。紗倉:そうなると、外交というか、外に出て出会う人って一般企業の人ですか?峰:そうですね。友達の友達の友達、みたいな。紗倉:わたし、恋愛する場所とかが全然ないんですけど、女優時代ってどうしてました?峰:あ~。私、彼氏いましたね、ずっと。逆にああいう仕事って彼氏いないと辛くないですか?紗倉:(間髪入れず)辛いです。峰:でしょー?(笑)なんか花魁漫画とか読むと、みんなすごく禁じられてるのに間男とか作ってややこしいことになってるけど、ああいう仕事してると男いないとツラいだろうなって。そりゃ間男作るわ~って思って。紗倉:彼氏さんは仕事への理解とかはあったんですか?仕事のことでモメたりとか。峰:基本的にネトラレ好きの人で、俺の彼女がAV男優にヤラれて、それで日本中の男がシコっている!めっちゃ興奮する!みたいな人で。■◆狭くて特殊。AV業界はある意味「ムラ」紗倉:良いめぐり合わせ!それはすごく理想的な人ですね(笑)私の周りの女優さんとかの彼氏は結構激しい人が多くて。身バレして壮絶な戦いを経て・・・みたいな。峰:よくあるよね!急にボコボコにされて現場に来るみたいな。紗倉:ありますあります!(笑)あと、監禁されたりする人がいるとか、聞いたことありますね。峰:あ~!あるあるある!!!マネージャーが助けにいったりとか。なつかし~!!紗倉:確か、彼氏がソクバッキーで、AVに出させたくない、外に出したくないみたいな感じで家から出してくれなくて、事務所に女優さんから「助けてください」って連絡が来たとか・・・。ちょくちょく聞きますよね。激しいんだなって。峰:今思うと大変な業界だったなって思います。なんか、本人は可愛がってるつもりなんだろうけど、ペットの飼い方がちょっとおかしい人が結構いたりとか。紗倉:え!なんですかそれ!?峰:なんていうか、本人は大事にしてるつもりみたいなんだけど、傍から見たらかわいそうじゃないの?おかしいんじゃないのって思う人がいて。私ほんと、これは怖い、ダメだ・・・と思って。紗倉:それは結構キますね・・・。峰:やめることになったきっかけはそれも大きくて・・・!ここにいたらダメになるなと思って。紗倉:確かにそれはキツイですね。そういうのは初めて聞きましたけど、やたら犬を連れてくる女優さんはいるらしいですね。思うんですけど、犬飼ってるのが多いのは寂しさなのかなって。もともと犬が嫌いな人ですら飼い始めますもん。それぐらい、孤独な職業なのかなって思うところはあります。峰:うん。男を作る感覚で犬飼ってる人が多い気がする。紗倉:ホストか、彼氏か、犬かみたいな。AV業界にヤベーなって思う人いました?今思うと。私は今どっぷりなのでわかんなくなっちゃってるんですけど。峰:なんかいたかなあ。でも、女優さんが頭が悪い子扱いされているのがすごく気になってて。例えば、アナルセックスの解禁を迫られるときとかに、女優としては条件とかギャラの話をしたいのに、監督は「でも気持ちいいよ?」みたいな。紗倉:そこじゃない!(笑)峰:そういうことじゃねえよ!そんなの求めてねえわ!っていう。でもあっちはその一点張りで、しかもすごくピュアな目で。(笑)紗倉:監督さんとかディレクターさんとかは麻痺してるんですかね?たしかにそういうとこはあるかも。気にしてるとこそこじゃねーよ感というか。峰:私がいたときそういう感じで、今はどうかわかんないんですけど。紗倉:でも、あるかもしれないです。私もカッパの撮影をされそうな時があって。峰:カッパ・・・?なにそれ・・・?(笑)紗倉:なんか、3%カッパで97%人間みたいなのをやりたいっていう。3%のカッパの部分が、髪の毛を探ったら皿が出てくるとか、全身緑じゃないけど、ちらっとスカートを上げたらきゅうりがぶらさがってるとか。峰:きゅうり(笑)紗倉:そういう意味不明な企画をやらされそうになって。しかも、山に行って撮るみたいなことを言ってて、山荘で、普通の人間とかっぱが暮らしている設定で。やりたくないなって思ったんですけど、監督が「でもカッパは性交しないし、フェラとかで終わるから楽だよ」とか。そういうことじゃねえよ!カッパが嫌なんだよ!って話で。峰:「フェラだけなんだ!やったーじゃあやります!」って言うと思われてるのがね!IQいくつだと思ってんの!?って感じだよね(笑)紗倉:たしかに(笑)そういうことを気にしてるわけじゃないんだよなっていう。女優さんって、おバカっぽく振る舞ってるけど意外とそうじゃない人は多いじゃないですか。でも、監督とかからそう扱われてると、ああ、そんな程度に思われてるんだな~って思いますね。峰:ファンの人とかがそう思うのは別にいいけど、業界内のプロデューサーとかまでそういう目で見てくるのは頭悪すぎるよね(笑)後編はこちら〜紗倉まな×峰なゆか:非モテに悩んだから『アラサーちゃん』が生まれた【後編】〜(ハウコレ編集部)
2017年08月12日今年の『第67回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 12月31日19:15~23:45)では、白組司会が相葉雅紀ということもあり、嵐のメンバーが、それぞれにゆかりのある出場歌手の歌唱時に登場する予定だ。30日に東京・渋谷のNHKホールで行われたリハーサルでは、大竹しのぶの元に、プライベートでも親交がある松本潤が登場。初出場の大竹が、普段の静かなしゃべり方からは想像できない迫力で「愛の讃歌」を披露し終えると、松本が駆けつけ、「本当に初めて(の紅白)ですか!? すごい貫禄ですよ」と驚く。それを受けて、大竹は照れながら、思わず松本の肩をたたき、仲の良さを見せていた。THE YELLOW MONKEYの出番では、昔から曲をよく聞いているという櫻井翔が。相葉から「どうですか? THE YELLOW MONKEYの魅力は」と質問されると、櫻井は「いや、ちょっと(回答は)本番に回します。恥ずかしいから」と、本人たちを目の前にして謙そんしたが、その後の「JAM」の演奏中、ドラムのリズムをとってノリノリだった。
2016年12月30日●虫関連の仕事はノーギャラも覚悟カブトムシゆかり(27)の過去を知り、胸が締めつけられる思いだった。不動産会社に勤務する傍ら、"カブトムシゆかり"のハンドルネームでブログ「虫とYシャツと私」を更新。その内容が業界関係者の目にとまり、フリーの活動を経て2012年、上戸彩、武井咲ら人気女優を多数かかえるオスカープロモーションに所属した。現在は、タレント活動のほか、虫の魅力を伝えるために子ども向けの「昆虫教室」なども開いている。昆虫を愛する父と園芸が趣味の母。自宅の庭に集まる虫たちと触れ合う中、虫への興味は愛情へと変わり、同時に命の尊さも知る。3歳のころ、父に連れて行ってもらった那須高原で何事にも動じないカブトムシに一目惚れ。19歳の時、メールアドレスに"kabutomushi"と入っていたことに気づいた友人から48匹ものカブトムシを譲り受け、本格的に飼育方法を研究しはじめた。これまで数百匹を羽化させてきたという。5月16日に発売された初の著書『カブトムシゆかりの虫活! -虫と私の◯◯な生活-』(文一総合出版)には、飼育方法の解説、ランキング形式での虫紹介、散歩日記など"虫愛"がほとばしっている。しかし、128ページのうち約60ページにわたってつづられているのが「自己紹介」だった。芸能界では「本当に虫好きなの?」「ビジネス?」のように辛辣な言葉を浴び、飼っていた虫を番組収録でぞんざいに扱われて死んでしまったこともあったらしい。個性的な"キャラクター"が華々しくデビューを飾っては、ひっそりと消えていく芸能界。この業界に多少なりとも関わる仕事に就くと、夢と現実のシビアなサイクルを知りつつ、エンターテイメントの渦の中で知らず知らずのうちに麻痺してしまっている自分にふと気づく。無類の虫好きを公言するカブトムシゆかりをテレビ番組で見た時、「また変わった人が出てきた」「こういう路線で売っていくのか」というのが正直な印象だった。本人のことを知ろうとしないままの思い込み。恥ずかしい限りである。謝罪の思いがあることを伝え、今回のインタビューはスタートした。○大人になると虫が苦手になる原因とは?―――はじめまして。興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。本のお話を頂いたのは2年前。私の中では勝負の時期というか、虫だけではなくて野球中継レポーターをやったり、いろいろな活動をしながら「スタートダッシュ」していた頃でした。この世界に入ったのは2012年。その前からやっていたブログのハンドルネームが「カブトムシゆかり」だったので、私にとって「芸名」という感覚はないんです。ブログのハンドルネームを「カブトムシゆかり」としたのは2011年ごろ、それまでは本名でやっていました。―――「カブトムシと結婚する」という思いが込められたお名前だと聞いています。ブログをさかのぼって拝見したところ、2011年ごろにはすでに今の衣装が完成していて驚きました。これはハロウィーン用のコスプレ衣装(笑)。海外の通販で買っています。2011年だと、OLをやっていた頃ですね。この衣装で今の事務所のオーディションを受けて、スタッフさんにきょとんとされました(笑)。モデル部門に行ったら「いらない」と言われて、女優部門に行っても「いらない」。バラエティ部門で受け入れてくれたんですが、「いるだけだよ」と言われたのを覚えています(笑)。――ブログをきっかけに声が掛かったんですよね?最初に声をかけていただいたのは女性イベンターの方で、「虫のお姉さん」としての出演オファーでした。それ以来、土日に開催されているイベントのみですが、「カブトムシゆかり」としての活動がはじまって、ブログ読者の方も増えていきます。オスカープロモーションにたどりつくまでには、そんな経緯がありました。――本を読んでまず思ったのが、家庭環境がすばらしいなと。ご自宅のお庭にはたくさんの植物と虫。そして何よりも、ご家族も生き物を愛していらっしゃる。実家住まいだからこそできたことがたくさんあります。お母さんは生き物好きで、お父さんは虫好き。それでもリビングで放し飼いをすることは反対されましたが(笑)。幼い頃、よくセミとかを捕ってきてくれました。東京生まれ東京育ちですが、いつも近くに虫がいるような家庭でした。――そういった環境があったからこそ、虫への愛に目覚めたわけですね。お姉さんもいらっしゃいましたよね。お姉ちゃんは虫がすごく嫌いだったんですけど、今飼っている海外のカブトムシは唯一「かわいい」と言ってくれています(笑)。ほかの虫は全くダメなんですが、私が地方の仕事で東京を離れる時は、カブトムシのお世話をお願いしています。お小遣いというか、ペットホテルのような感じでお金を渡して(笑)。――同じ環境で育ったのに好みは真逆。不思議ですよね。お姉ちゃんは小さい頃は大丈夫だったんですけど、大人になってダメに。そういう方、多いですよね。――まさに私です……。なぜ変わってしまうんですかね。子どもたちと昆虫採集をしている時に感じたんですが、子どもは虫に対して「これだけの力を入れると死んでしまう」という恐れがないんです。「殺してしまう」という限度が分からない。大人はその「怖さ」を知っています。そういう命の尊さを知っているから触れることも徐々に減って……。そもそも「6本足が苦手」みたいにビジュアル面で悪い印象を抱いている人もいますよね(笑)。カブトムシが服にしがみついたとき、大人は「足が取れるかも」と気をつけますが、子どもは勢いよく引っ張っちゃう。成長していく上で、たぶん最初に軽はずみに扱う命が「虫」だと思います。逆にそこを経験していないまま大人になると、残酷な事件とかにつながってしまうのかなとか……。ゲームにはゲームの魅力や長所がありますけど、外に出て自然と触れ合うことも大切だと思います。――「カブトムシ教室」などで子どもと接しているからこその正直な意見ですね。地方の子は虫の知識にも詳しい印象です。蝉の鳴き声もミンミンゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミ、それぞれ違いを分かっている子が多い。でも、都会に住んでいるとそこまで敏感になれませんよね。日常に自然があるような環境だと、蝉の鳴き声も「BGM」になるんじゃないかと思います。――カブトムシゆかりさんは、そのような「地方と都会の差」を埋めるような存在なのでは?そうなりたいと思って活動しています(笑)。都内でも昆虫採集ツアーをやったりしているんですけど、『ムシキング』が流行っていた頃は、ライト層の子がたくさん来てくれていました。でも、今来てくれるのはガッツリ虫にハマっている子。私なんかより種類を知っている子もいます。ライト層を取り込むためには、『ムシキング』のような存在も必要なんだと思います。フリーの時代は、この格好のままで現地解散になることもあって、イベント会場に着替える場所がない時はトイレで着替えたこともありました。おかげさまで最近は虫関連のお仕事をいただくようになったんですが、夏場に集中し、冬場は少なくなります。そんな時、8割はギャンブルのお仕事(笑)。パチンコ、パチスロの番組を4~5本やらせていただいています。――だから第2検索ワードで「パチンコ」と出るわけですね(笑)。はい(笑)。「虫とパチンコの二毛作」と開き直っています。「タレントとしてどうなりたいか」ではなくて、夏の「虫」に向けて、パチンコ番組を一生懸命やるスタイル。虫業界は本当に儲からないんです。「夏は稼ぎ時」と受け取る方もいるんですが、夏こそ大赤字。業界自体に予算が少なく、中にはノーギャラで参加させていただいているお仕事もあります。ギャラが少なくても虫のお仕事だったら行く。そう心に決めているんです。昆虫教室の時は虫のフィギュアを配ることもありますし、衣装も含めて自腹でやっています。お金が目的じゃないのに、忙しくしていると「たくさん稼いでいる」と思われてしまうのでちょっと複雑です。だからこそ、私の中では大切な「二毛作」(笑)。――すべては虫のために。はい。虫市場の底上げにつながればいいなと思って、日々活動しています。昆虫に興味を持つ人が増えれば、虫カゴなどの道具が売れて、養殖場も潤う。さらに人気が高まって、高額で入手困難な海外の虫も流通がさかんになればいいな……と。そこが盛り上がると私自身も楽しいので頑張っているんですけど、私一人だと力不足で……結果的にヌルヌル活動になってしまった4年間だったと思います。でも、ライバルがいないという強みはあります(笑)。●「虫好きもキャラでしょ」と突っ込ませる演出――虫は「男の子」のイメージが強いので、女の子向けに虫カゴなどのプロデュースもしたいそうですね。虫カゴのプロデュースはお話もいただくんですが、ピンクのような女の子向けのカラーリングは、需要が多い緑よりもお金が掛かってしまいます。しかも作ったとしてもどれだけ売れるかの予測がまだできない。「虫活女子」みたいな盛り上がりがあればいいんですけどね。――すでにプロデュースもしている哀川翔さんはやはり別格ですか(笑)。人としてのブランド力も重要ですよね(笑)。カブトムシといえば、哀川翔さん。芸能界に入る前、翔さんが海外にカブトムシを捕りに行っている番組があって、それが本当に本当に大好きで。芸能界入りには迷いがあったんですけど、その番組のようなことができるかもしれないということを周囲の人から言われて、決心がつきました。――2014年8月に放送されたNHK『ダーウィンが来た! ~生きもの新伝説~』ではコスタリカに。念願が叶いましたね。本の中でも、写真付きでロケ時のエピソードなどが書かれていました。そうなんです!――しかし、大きな問題が。飛行機が大の苦手らしいですね。私と同じです(笑)。本当にダメなんです。初めての海外がコスタリカってすごいですよね(笑)。23時間乗ってトイレで吐き続け、到着した朝の6時からそのままロケスタート(笑)。4泊分の撮影だったんですが、初日だけ顔色が違うので映像のつながりが変なんです(笑)。「虫好きならボリビアとかニューギニアとか行かないと」と言われるんですけど飛行機が苦手なので……。だいぶ平気にはなりましたが、極力陸路で! 北海道新幹線も開通しました(笑)。他の国にも行ってみたいですけど、日本も虫の宝庫なんですよ! 北から南まで縦長の国なので、気温差があるからさまざまな種類の虫が生息しやすい。日本で新種を発見したいと思っていたんですけど、やっぱりかわいそうで標本はできなくて……。虫の足を広げてお腹にピンを刺す「展足(てんそく)」をしないと、虫の体の微妙な違いに気づかない。そもそも私みたいな人が新種を発見するのは、すごく難しいんです。チョウチョは羽ばたかせれば羽ばたかせるほど、鱗粉(りんぷん)が落ちてしまう。本当にきれいな標本を作りたいのなら、蛹(さなぎ)から出たところを使わないといけない。それはちょっと私にはできません。コスタリカですごくかわいい羽虫の新種を発見したんですけど、申請するとその後はノータッチ。私は自然の中での元気な姿しか見ていません。申請すると標本になるので……私に見つからなければ幸せに暮らしていたんじゃないかと思うと、踏み込めなくなってしまいます。○"虫好き女子"に対する周囲の反応――本の前半部分で書かれていた「虫か女子か」がすごくリアルでした。虫への愛情はあるものの、周囲には理解されないため異性に距離をとられてしまう。その揺れ動く乙女心がすごく伝わりました。今でも悩んでいます(笑)。――そういう葛藤が原因で中学時代は「ギャル」の道に。その当時、虫好きのご両親はどのような反応だったんですか?家では変わらず、虫と触れ合って楽しんでいました。ただ、プライベートと分けていて、なかなか理解されないので、友達の前では出さないようにしていました。小学校の頃に好きな男の子にダンゴムシをプレゼントしたら、「いじめ」として受け取られて先生から怒られたこともありました。――そういう過去もあって、虫を好きになる人を一人でも増やしていきたいわけですね。虫を好きになることによって、男の人に嫌われるかもしれないという不安は常にあります。今もこうして背中に羽生えていますから(笑)、大丈夫かなって。23歳でデビューして2年ぐらいでこのスタイルをやめようと思っていたんですが、気づけば27歳。昆虫教室とかをやると私と同い年のお母さんもいらっしゃるので……なんというか……変な感じというか。そういう変なモードになってしまう時があります(笑)。――一度は一般企業に入って、その後、芸能界入り。周囲の反応は?親には「芸能関係のマネジメント」としか伝えていなかったので、テレビで私を見た時は引いてました(笑)。お父さんは反対していましたし、OLの友だちは23歳で芸能界入りすることを心配してくれました。――お父さんに理解されるようになったのは、いつごろから?どうなんでしょうか。あまり、理解されていないように思います。やっぱり、テレビでネタにされる私を見るのが嫌みたいで(笑)。――芸能界デビュー時は、どうしても外見上のことや、売り方などの戦略性に目がいきがち。最近は虫好きが「キャラ」ではないことがようやく浸透してきたのでは?そうですね、最近は本当にやりたいことしかやってないのでありがたいです。2014年はテレビには出られていましたが、女優やMCのレッスンもあって、私のやりたいこととずれていました。野球のお仕事は好きだったんですけど……そこまで虫への愛情がないのに「虫好きのふり」をされるのが嫌なのと同じなように、野球好きの方からそう思われているんじゃないのかなとか、そういうプレッシャーみたいなものは常にありました。好きなことだけをやりたいという思いはありましたが、事務所に所属させてもらう以上、しょうがないことなんだと言い聞かせていました。テレビ番組に出演させていただく時にもおバカキャラを求められることが多かったので頑張ってはみるんですけど、それは周囲から「虫好きもキャラでしょ」と突っ込ませるための計算された展開だったり……。とても悩んだ時期もありましたけど、今はもう、一周まわったような気がします(笑)。私のように"色物"とされる方々と番組でご一緒させていただく機会も増えるんですが、時が経つにつれて一人また一人といなくなっていくのも現実でした。本当に好きだという情熱みたいなものがないかぎり生き残れないし、必要とされなくなる世界なんだなと思います。――厳しい世界でここまでたどりつけたのは忍耐力?どうなんでしょう。やりたくないことを断りすぎて、マネージャーに「せっかく取ってきた仕事をやりたくないの?」と怒られたことも(笑)。「タレントとして売れたい」という願望がないままこの世界に入ったので、会社もどう扱っていいのか分からなかったと思います。みんなが喜ぶ仕事を取ってきても私は喜ばない(笑)。――やりたくないことをやったことで、今まで以上に虫への愛情に気づくことができたとは言えませんか?そうですね。やってよかったと思います。私が好きなことは、いろいろなことをやればやるほどブレてしまう。仕事の幅を広げて頑張って、「虫」に戻ってきたときに「迷走している」と思われそうで。だから、私は「虫」と「パチンコ」をひたすら頑張っています。――二毛作ですね(笑)。何かをステップにして、目指すべき方向を歩んでいる芸能人もいる中、すでに名前が「カブトムシゆかり」ですからね。背負っているものが違う(笑)。そうですね(笑)。名前を変えるつもりはありません。時々、この衣装をやめようかなと思うこともありますが、イベントで羽が生えていないと気合が入らない(笑)。このスタイルは私にとっての正装なんですが、パチンコ番組では絶対に羽を生やさないという変なプライドがあります(笑)。子どもの前でも使う衣装だから、大人の娯楽の場では控えようと思って。お店によっては「なんで羽生えてないの?」「何しに来たの?」と言われることもあります。――そんな二毛作が実り、憧れの哀川翔さんとも番組共演が実現しましたね(2015年BSフジ『哀川翔のオトナ倶楽部』)。テレビで見ていた憧れの方と一緒にお仕事ができるのは本当に幸せなことだなと思いました。お会いすると、ひたすら虫の話。養殖場の方が解説してくださるところを、哀川さんがかぶせて全部言っちゃうとか(笑)。●ジュニアアイドル時代のトラウマ――さすが哀川さんですね(笑)。根気強く続けてきたことが、こうして人とのつながりにも生きてくるんですね。そうですね。『情熱大陸』に出るような先生方とか、『ファーブル昆虫記』の翻訳をされている先生とかも仲良くさせていただいています。一緒に虫を捕りに行ったり、お酒を飲みに連れて行ってくださったり。「この虫がなぜこの形なのか分かる?」みたいに哲学的なことについてマンツーマンでご指導いただくこともあって、とても幸せな時間を過ごさせていただいています。最近すごく思うのは、夢が叶いすぎちゃって……。――哀川さんに会い、そして本も発売(笑)。そうなんですよ(笑)! ここまで叶ってしまったらこの先何をしたら良いのか分からなくて。だから、パチンコ打ちながら「これからどうしようかな……」みたいなことをいつも考えています(笑)。ライバルがいなくて寂しいですし、競う相手もいなければ。羽が生えてる私が結婚できるのかなとか。そういう不安はあります(笑)。○「虫のお姉さん」のこれから――本が出るまで2年かかりましたが、一番何に時間をかけたんですか。写真です。あとは本に書いた虫の生態が本当に合っているのかを先生に確かめに行ったり。でも、編集の方が「時間がかかってもいいので、良い物を作りましょう」と言ってくださって。当時、3社ほどお話をいただいていたのですが、1社はブログ本として「早く出しましょう」と。もう1社は「どんなものを作りたいですか?」という丸投げな感じ。お話していると「虫、ダメなんですよね」と言う方もいました(笑)。今回出していただいた文一総合出版さんは、虫関連の本をたくさん買わせていただいた出版社さんでもあったので。――「虫のアイドル」から「虫のお姉さん」へ。そして、本の中では「ハンミョウの成虫」が将来の夢と書いてありました。進化の過程ともとれますね。もはやカブトムシじゃない(笑)。最初、"虫ドル"のように「アイドル」と呼ばれることには、劣等感というか、申し訳ない気持ちがあって。「アイドル」と呼ばれるからには、歌で人を喜ばせたり、ファン対応をしっかりしたりした上で呼ばれる資格があると思います。――でも、ジュニアアイドルを経験していたんですよね?小6から中1くらいまで、虫捕りに夢中であまり学校に行ってない時期がありました。お母さんはそのことを知らなくて、私が学校に行くふりをして行かないから悩んだ末、自己啓発を目的に私を児童劇団に入れました。ジュニアアイドルとしてテレビ出演が決まったりしましたが、私はどうしてもスクール水着が着たくなくて中1の時に現場に行かなかったことがありました。――それがギャル時代につながる?ギャル時代はそういうことよりも、人間関係の問題だったというか。――ギャル時代を経て気づいた「虫によって人間が形成されていた」。説得力がある文章でした。そうですね。だから、中学の自分は優しくなかったんだと思います。――いまは虫のお姉さん。夢が達成されたとおっしゃっていましたけど、さてこれからはどうしましょう。『ガルパン』みたいに、虫アニメのブームがくればいいな! 「美少女×虫」のアニメ。これは呼びかけ続けています! あとは「CR虫物語」。――可能性が広がり続ける二毛作(笑)。はい(笑)。カブトムシの背中がパカっと開いてパールフラッシュ! みたいな(笑)。あとは魚群ならぬ虫群演出も! 7図柄はヘラクレスです。そういう妄想はしてるんですけど、なかなか(笑)。パチンコ台はホールに出るまでに2年くらいかかるそうですし……。――なんというか、こうしてお話をしていると何とかなるような気がします。よかったです(笑)。――さて、愛情たっぷりの本に仕上がりました。最後の1つだけ。「はじめに」と「おわりに」にお姉さんのイラストが挿絵として使われています。ここにはどういう思いが?小さい頃から一緒に虫を捕っていました。私の一番の理解者ですし、虫の世話もしてもらっているので。それから、本にはお母さんお手製の"虫"バースデーケーキを載せているので、お姉ちゃんも入れたかったんです。一家の思い出として(笑)。――あれ? お父さんは……?あっ(笑)!■プロフィールカブトムシゆかり1989年1月26日生まれ。東京都出身。不動産会社に勤務後、フリーのタレント活動を経て2011年に芸能界入り。フジテレビ系バラエティ番組『アウト×デラックス』にレギュラー出演中。「虫のお姉さん」として子供向けの虫教室などを開き、精力的に虫の普及活動を行っている。
2016年06月10日