井上靖の自伝的小説を原田眞人監督が映画化した『わが母の記』が28日(土)から全国公開されるのを前に、原田監督、石塚慶生プロデューサーが、14日に都内で、本作の試写会観賞者と懇親会を行った。その他の写真このほど行われた試写会&懇親会は、ぴあカードと“シネマズ by SHOCHIKU”がタッグを組み、「もっと映画を楽しみたい」という人のために贈る特別企画の第2弾で、当日は約50名が参加。試写会直後のQ&Aでは、まず原田監督と石塚プロデューサーが映画化までの道のりや、出演者について語り、その後に参加者からの質問に応じた。原作者と同郷(静岡県沼津出身) という原田監督は、井上文学の映画化について「10年来温めてきた企画。ずっと家族映画をやりたかった」と語り、石塚プロデューサーは洪作の母親・八重役を演じた樹木希林について「1回断られて…。再度口説こうと、監督と某ホテルまで樹木さんにお会いしに行ったら、樹木さんは八重さんの格好で来られたんです。そして八重役を演じるにあたり、色々な提案をしてくれました」と振り返った。また、先ごろ受賞したモントリオール世界映画祭の審査員特別グランプリのトロフィーを披露する場面も。原田監督は「受賞が発表されたとき、僕らは京都の国宝のお寺で撮影してたんです。慎重に撮影しているときだったから、知らせを聞いても盛り上がれなくて。そしたら現地に行っていた樹木さんから電話が来て『あなた、グランプリじゃないからって文句言っちゃいけないのよ』って叱られました」と笑顔を見せた。Q&A後の懇親会では、参加者の各席に原田監督らが座り、直接質問に答えたり談笑する場面が見られ、参加者からは「映画を観た直後というのもあって、すごい盛り上がった」「映画の裏側とか苦労話とか、私たちが普段観るのとは違う角度からの話がたくさん聞けて楽しかった」など喜びの声が多く寄せられ、イベントは大盛況に終わった。本作は文豪・井上靖が自身の人生や家族との実話を基に綴った『わが母の記~花の下・月の光・雪の面~』を原作に、普遍的な家族の愛を描いた物語。作家・伊上洪作を役所広司が、母親の八重を樹木が、三女の琴子を宮崎あおいが演じる。『わが母の記』4月28日(土)全国ロードショー
2012年04月25日第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリに輝いた『わが母の記』の外国特派員協会主催記者会見が18日に都内で行なわれ、役所広司、樹木希林、原田眞人監督が登壇した。その他の写真文豪・井上靖の自伝的小説を映画化し、昭和の家族の姿を描き出した原田監督は本作について「小津安二郎監督や黒澤明監督へのオマージュがある」と語り、役所は「監督には、ふんだんの予算と時間の中で映画を撮っていただきたい。でもハリウッドからオファーがきたとしても、監督は『この予算で4本撮らしてくれ』と言うと思う」と、監督の手腕をたたえた。記者から「認知症のリサーチはどのように行なったのか?」と質問された樹木は、「私は大ざっぱな役者なのでリサーチはないんです。日本映画は貧しいんです。『マーガレット・サッチャー』のように、メイクアップアーティストがついて時間をかけてはいただけない。なので、自分で状況に合わせて若返ったり、老けたりしました」と回答し、集まった外国人記者から大きな拍手が起こった。さらに樹木は「アカデミー賞外国語映画賞のノミネートはあると思いますか?」と質問されると、義理の息子である本木雅弘が主演した『おくりびと』が第81回の同賞を受賞していることに触れ、「婿が受賞していますので、頭にはありません」と回答。対して役所は「僕は英語でスピーチできるように準備しています」とユーモアを交えて答えた。『わが母の記』4月28日(土)全国ロードショー
2012年04月19日昭和の文豪・井上靖の自伝的小説を映画化した『わが母の記』が劇場公開を前に4月18日(水)、「日本外国特派員協会」で上映され、主演の役所広司、樹木希林、原田眞人監督が上映後の記者会見に出席した。複雑な思いを抱えつつも、老いた母を引き取った作家の伊上洪作。ずっと距離を置いてきた母と向き合うことでこれまで知ることのなかったある真実を知り、それまで伝えられなかった思いが時を経て母と子を結び付けていく。原田監督は本作を「イングマール・ベルイマン、小津安二郎といった監督たちへのオマージュ」と明かし、井上さんの数ある小説の中から「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」を選んだ点について「英語とフランス語に訳され、海外で最も読まれている井上さんの作品が『猟銃』と本作。日本のみならずワールドワイドな人々に観てほしい。原作では家族は娘2人と息子2人ですが、『リア王』を彷彿とさせたくて娘3人にしました。そこは上手くいったと自負しています」と流暢な英語で海外の記者たちに向け、自らの意図を説明した。役所さんは「原田監督と10年ぶりにご一緒できました。しかもこの映画をやることは、亡くなった母を思い出す時間でした」としみじみと語る。外国人記者からは認知症の老いた母親を演じた樹木さんを絶賛する声が相次いだが、樹木さんは「大ざっぱな役者なので(認知症について)リサーチはないんです。ただ(来年で)70歳になるんですが、認知症の役をみんなやりたがらないので私に回ってくる(笑)」とおどけながら明かした。製作費2億8千万円で本作を作り上げた監督は、井上さんの邸宅や別荘、原作にも登場する川奈ホテルで撮影が実現した点について「幸運だった」とふり返るが、樹木さんは与えられた条件を最大に生かそうとする監督の才能を絶賛。役所さんは「いつかふんだんな時間と予算を与えて監督に(大作を)撮らせて欲しい。でもハリウッドから予算をもらっても、監督は『この予算で4本撮らせて』と言いそう」と語り会場の笑いを誘った。外国人記者からは早くもアカデミー賞外国映画賞へのノミネートについての質問も飛んだが、監督は「願っていますが、僕はこの業界で決して好感は持たれていないので…」と言葉を濁す。樹木さんも「すでにムコ(本木雅弘)がもらっているので」と語ったが、役所さんは「僕はスピーチが英語でできるように練習中です!」とノリノリで意欲を明かした。『わが母の記』は4月28日(土)より全国にて公開。■関連作品:わが母の記 2012年4月28日より全国にて公開© 2012「わが母の記」製作委員会■関連記事:理想の“尽くす男”たちを発表!水嶋ヒロ、役所広司ら“侍”型の俳優たちが上位に役所広司、宮崎あおいからの「色気がある」という言葉に大テレシネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第24回)理想の“尽くす男”俳優は?豪華キャストで描く家族愛『わが母の記』完成披露試写会に50組100名様をご招待日本の家族の絆に、海外も涙『わが母の記』独占試写会に35組70名様をご招待
2012年04月18日『アントキノイノチ』、『今日、恋をはじめます』など話題作への出演が続く人気若手俳優・松坂桃李を主演に迎え、若手女流作家・辻村深月のベストセラー小説「ツナグ」(新潮社刊)が映画化されることが決定!日本を代表する名女優・樹木希林と初競演を果たすことが明らかとなった。思春期独特の揺れ動く心情を捉えた透明感のある作風で女性からの支持を集め、「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」が直木賞候補となった実力派作家、辻村深月の人気小説を原作とする本作。死者との再会を望む人のために仲介役を司る“ツナグ”。この“ツナグ”を通して、他人の人生に深く関っていくひとりの青年の葛藤と成長を描いた感動ファンタジー作品。“ツナグ”とは、生きている人が会いたいと望む、既に亡くなってしまった人との面会を仲介する使者のこと。主人公の高校生・歩美を演じる松坂さんは、この原作のもつ独特の世界観に惹かれたと言い、「台本を読んで面白い設定だと思いました。“ツナグ”の仕事はすごく特殊な仕事なので、観客が歩美を通して『ツナグ』の世界観に入っていけるよう、普通の青年としての演技を心がけています。こういったお話は初めてで、演じるのが楽しいです」。本作で初の単独主演を果たすが「変に気負わずに、自然体で現場に存在していようと思っています。『リアルに、そこにいる人を撮りたい』と、監督もおっしゃっているので、歩美のフィルターを通して感じたことを常に意識してやっていこうと思います」と、その意気込みを語っている。そして、歩美の人生の先輩として、“ツナグ”の師匠として、時に厳しくも温かく見守る祖母・アイ子役を演じるのが、『悪人』や『わが母の記』など、日本映画界に欠かせない大女優、樹木希林。松坂さんとは初共演となるが、「松坂くんは顔がいい、身長はある、でもお金はない!それがいいところね。ハンサムな青年と仕事ができて、乞うご期待です!」と、イケメン俳優との共演に意気揚々といった様子。このほかにも、佐藤隆太、桐谷美玲、別所哲也、本上まなみ、八千草薫ら豪華実力派俳優たちが顔を揃えている。メガホンを取るのは、『陰日向に咲く』、『ROOKIES−卒業−』、「JIN−仁−」など映画・ドラマと数々の大ヒット作を手がけてきた平川雄一朗。今月中旬にクランクインしており、5月上旬のクランクアップを予定している。『ツナグ』は10月6日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ツナグ 2012年10月6日より全国東宝系にて公開
2012年03月30日辻村深月の感動ベストセラー小説『ツナグ』が、松坂桃李主演、樹木希林共演で映画化され、今秋に公開されることが決定した。その他の写真本作は、生者と死者を1度だけ再会させる仲介人という特殊な仕事“ツナグ”の見習いをする高校生の歩美(松坂)が、数々の依頼人と出会ううちに自身の行為に疑念を抱き、心の葛藤と向き合う姿を描いた作品。共演の樹木は、歩美へ仕事を引き継ぐ祖母・アイ子を演じる。本作で初めて単独主演を果たした松坂は、「『リアルにそこにいる人を撮りたい』と監督もおっしゃっているので、変に気負わずに自然体で現場に存在していようと思っています」と意気込みを語り、初共演の樹木について「刺激だらけで、貴重でいい経験をさせていただいています。実際の現場はライブ感があり、毎日ワクワクしてます」と撮影を楽しんでいる様子。樹木も松坂との共演に「松坂くんは顔がいい、身長はある、でもお金はない! それがいいところね。ハンサムな青年と仕事が出来て、乞うご期待です!」と胸を弾ませているようで、ふたりのコンビネーションに期待が高まるところだ。また、本作を手がける『ROOKIES -卒業-』や『JIN―仁―』の平川雄一朗監督は、「企画中に東日本大震災が起こり、改めて本作のテーマについてより深く考えさせられました。作品を通して“人と人との絆の大切さ”を一人でも多くの方に共感してもらえるとうれしいです」とコメントを寄せている。撮影は5月上旬にクランクアップ予定で、松坂と樹木のほかに佐藤隆太、桐谷美玲、遠藤憲一、本上まなみ、八千草薫らが出演する。『ツナグ』10月6日(土)より全国東宝系にて公開
2012年03月30日「ぴあ」調査による3月24日公開の映画・満足度ランキングは、俳人・井上井月(せいげつ)の生涯をドキュメントとフィクションによって綴った『ほかいびと~伊那の井月~』がトップに輝いた。2位に松山ケンイチと瑛太主演の『僕達急行 A列車で行こう』が、3位にマリリン・モンローの隠されたエピソードを描いたラブロマンス『マリリン 7日間の恋』が入った。1位の『ほかいびと…』は、舞踊家で俳優の田中泯が井月役を演じ、その知られざる生涯を明らかにしたドキュメント&フィクション。出口調査では「井月さんの魅力は自分たちにはない“無”の力、何も持たない欲。作品を通して彼の崇高さが伝わってきた」「樹木希林の語り口調がはまっていてより大きな感動を味わえた」「少ない台詞とユニークな歩き方で井月を演じた田中泯に圧倒された」「画面から香り出るような自然の美しさを堪能できた」「人間の孤独や生きる厳しさを感じ、生きることの大切さを改めて感じた」など、40代以上の観客を中心に支持を集めた。2位の『僕達急行…』は、鉄道を愛する若者ふたりが友情や恋愛、仕事に悪戦苦闘する姿を描いた人間ドラマで、昨年の12月に急逝した森田芳光監督の遺作となった。アンケート調査では「ストーリーもよかったけど、鉄道模型や電車がいっぱい観られてうれしかった」(8歳)、「電車が大好きなので観に来た。JRだけじゃなく私鉄も出てきてよかった」(11歳)、「スケールの大きな映画とは違ってリアルな日常が珍しい。細かいところに鉄道ファンの心をつかむ仕掛けがあって楽しめた」(40歳)、「松山ケンイチと瑛太が可愛くてほのぼのとした。所々で笑えてホロリとさせる人情がある」(65歳)など、家族連れからカップルまで幅広い世代から好評だった。(本ランキングは、2012年3月24日(土)に公開された新作映画9本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2012年03月26日井上靖の自伝的小説を原田眞人監督が映画化した『わが母の記』の完成披露試写会が19日に丸の内ピカデリーで行なわれ、主演の役所広司、宮崎あおい、樹木希林ら出演者と原田監督が登壇した。完成披露試写の模様本作は文豪・井上靖が自身の人生や家族との実話を基に綴った『わが母の記~花の下・月の光・雪の面~』を原作に、普遍的な家族の愛を描いた物語。役所は作家・伊上洪作を、樹木は母親の八重を、宮崎は三女の琴子を演じ、第35回モントリオール世界映画祭の審査員特別グランプリ受賞をはじめ、海外の映画祭でも注目を集めている。役所は「原田監督のもとに集まった、刺激的で可愛い母と本当に出来のいい娘たちに囲まれて幸せな撮影でした」とあいさつ。樹木は「可愛い母をやらせていただきました。どれだけ憎らしいかご覧になってください」と話し、場をなごませた。司会者から「原作からどのように役を捉えたか」と役作りについて聞かれると、役所は「役名を(モデルとなった“井上靖”ではなく)“伊上洪作”にしていただいたので、肩の荷が降りた感じがしました。ただ、映画に至るまでのバックグラウンドとして (原作小説は)大事な教科書だった」と語り、宮崎は「日によって身体のサイズもお顔も変わる樹木さんの演技をそばで見られていい経験になった。役所さんとは12年ぶりで、改めてご一緒して大人の色気をすごく感じた」と撮影を振り返った。原田監督は、昨年の2月から撮影に入った本作のクランクアップが3月10日だったと話し、「震災のニュースに涙し、家族の絆をもう一度考えさせてもらいながらの編集だった。天国の井上先生がアレンジしてくださった気がしています」と胸の内を明かし、役所は「この映画には日本の美しい風景が映っています。緑も水も森も本当にキレイです。美しい日本を楽しんでください」とPRした。『わが母の記』4月28日(土)全国ロードショー
2012年03月19日映画『わが母の記』の完成披露試写会が3月19日(月)に都内で開催され、主演の役所広司を始め、樹木希林、宮崎あおい、ミムラ、菊池亜希子、原田眞人監督が舞台挨拶に登壇した。井上靖の自伝的小説を実写化し、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリに輝いた本作。母に捨てられたという思いを抱きながら生きてきた小説家の伊上は、父が亡くなったことで残された母を引き取ることになる。妻や3人の娘に支えられながら母と向き合うことで50年の時を経て、母と息子の思いがつながっていく――。役所さんは「刺激的でかわいい母と出来のいい娘たちに囲まれて幸せな時間を過ごすことが出来ました」とニンマリ。とはいえ、家族で唯一の男性ということで「ポツンとしてました(笑)。娘たちの部屋に行くとどうも落ち着かなくて…」と年頃の娘を持つ世のお父さんたちと同じ気持ちを味わったよう?役所さんからの「かわいい母」という言葉に樹木さんは「どれくらい憎らしいか見てください」とおどける。司会者から樹木さんは若い頃から祖母役をこなしてきたことを指摘されると「同じ世代の女優がやりたがらないから回って来ちゃう」と苦笑いを浮かべつつ「(先日公開された)『サッチャー』に負けないように!」と意気込み。途中、樹木さんがしゃべっている最中にマイクの不具合のアクシデントもあったが「これ以上しゃべるなということかしら?」とユーモアたっぷりに語り、笑いを誘った。昨年末の俳優・高岡蒼佑との離婚以来、初めての公の場となった宮崎さんはチェックのワンピース姿で登場し、ファンからの「あおいちゃん!」という声援に微笑み元気な姿を見せた。樹木さんとの初共演については「(役の)年齢によって樹木さんのサイズが日々変わるんです。すごいことだなと思い、近くで見させていただけたのはいい経験でした」と述懐。役所さんとは『EUREKA』で共演経験があるが「(共演した)11、12年前は子供だったので分からなかったところがいっぱいあって、すごく色気を感じることが多かったです」と語り、これには隣りの役所さんも照れくさそうに笑みを浮かべていた。三姉妹の長女を演じたミムラさんは「ずっと3人でキャッキャと楽しく過ごしてました」と和気あいあいとした現場の様子を明かす。次女役の菊池さんは昨年、祖母を亡くしたそうで「自分の人生の中でもすごく大事に思いたい作品になりました」と強い思い入れを語った。10年ほど前から本作の製作を考えていたという原田監督は、映画の完成に感慨深げ。特にクランクインが去年の3月10日で東日本大震災の前日だったこともあり、「家族の絆について考えながら仕上げや編集の作業をしてました」と真摯に語るとともに、撮影場所として自宅や別荘を提供した井上靖さんの家族への感謝の思いを改めて口にした。『わが母の記』は4月28日(土)より全国にて公開。■関連作品:わが母の記 2012年4月28日より全国にて公開© 2012「わが母の記」製作委員会■関連記事:シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第24回)理想の“尽くす男”俳優は?豪華キャストで描く家族愛『わが母の記』完成披露試写会に50組100名様をご招待日本の家族の絆に、海外も涙『わが母の記』独占試写会に35組70名様をご招待『わが母の記』でミムラ、菊池亜希子が宮崎あおいと3姉妹に三國連太郎は役所の父役中越典子、役所広司との“年の差”ロマンスはあり?「そりゃ思いますよ」
2012年03月19日作家・井上靖の自伝的小説を、役所広司主演で映画化した『わが母の記』の予告編がこのほど公開され、関係者の間で“泣ける予告編”と称されている映像がお披露目された。『わが母の記』予告編『わが母の記』は、幼少期より実母と共に暮らしてこなかった小説家・伊上洪作を主人公に、年齢を重ねて少しずつ記憶を失いながらも息子への愛を確かめようとする母と、幼少期の記憶と向き合いながら母に寄り添う息子・洪作、そしてふたりを囲む家族の物語を10年に渡って綴る人間ドラマ。役所が井上の分身ともいうべき伊上洪作を演じるほか、樹木希林、宮崎あおいらが出演する。自伝的小説を原作としながら、普遍的な親子の問題や葛藤、そして誰にも分かつことのできない絆を描く本作は、日本での一般公開を前に、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞するなど、海外で高評価を獲得。すでに行われた関係者向け試写会でも上映後に涙を流して会場を出てくる観客が見られるなど、早くも好評を集めている。このほど公開された予告編は、日本の美しい四季折々の自然を背景に、主人公・洪作と母、そして伊上家の家族の姿が映し出され、洪作が長年に渡って抱き続けた「なぜ、母は幼少期に自分を捨てて別の家に預けたのか?」という疑問を口にする。時を重ねていく中で変化する母と息子の関係はどう変化するのか? 息子を捨てた母の真意はどこにあったのか? ラストに登場する“主人公・洪作が声をあげて涙を流すシーン”は何を意味するのかも気になる内容に仕上がっている。『わが母の記』4月28日(土)全国ロードショー(C)2012「わが母の記」製作委員会
2012年01月26日先に開催された第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『わが母の記』主演の役所広司と原田眞人監督が9月1日(木)、京都の大江能楽堂にて受賞報告会見を行った。役所さんをはじめ、樹木希林、宮崎あおいら実力派キャストが顔を揃えた本作。井上靖の自伝的小説「わが母の記〜花の下・月の光・雪の面〜」(講談社文芸文庫所蔵)を原作に、年老いた母親の面倒をみることになった男が、家族や周囲に支えられながら互いの想いに向き合っていくさまを描く。現在、原田監督と役所さんは、この映画と連動したドラマを京都で撮影中。映画祭には樹木さんと原田監督の息子の遊人(ゆうじん)さんが参加しており、監督は息子さんからのメールで受賞を知ったという。「息子の遊人からメールが入りまして『審査員特別賞ゲット』と書いてあるのですが、ピンとこなかったんです。賞を獲れたとしたら主演女優賞だったんじゃないかなと。そうしたら、電話が入ったんです。樹木さんからで『喜びなさいよ!大きい賞ですよ。(紹介されたのが)最後から2番目ですよ』と。一番気になっていたのが観客の反応だったのですが、素晴らしかったという話を聞いた時点で、涙が出てきました」と喜びを語る。役所さんは「実は初めて僕が海外の映画祭に参加したのも『KAMIKAZETAXI』で原田監督とだったんです(※1995年公開/フランスのバレンシエンヌ映画祭で、審査員特別賞と監督賞を受賞)。今回も一緒に映画祭に参加したかったですね。日本映画を世界中の人たちが観てくれる光景を見て、また海外映画祭に参加したいなと思った、初めての経験でした。(受賞発表後に)希林さんと電話でお話したんです。クールな方なんですけれども、このときかなりテンションが高くて、希林さんの声から現地の興奮が伝わってくるような感じがしました」とふり返った。本作のどういった部分が評価されたのか?役所さんは「世界中どこの国に行っても、母親に対する思いというのは、きっと同じだろうと思います。言葉は通じなくても母親を思う気持ちと、母親と心が通じ合う喜びというのは、きっと世界的に共感していただけるところだと思っていました」と推測する。本作は東日本大震災の前日の3月10日にクランクアップを迎えた。その後、監督は編集作業に入ったが、日本を襲った未曾有の大災害はこの作品にどんな影響を与えたのか?「撮り終えたその日(3月10日)は、気分が高揚していました。関わったスタッフ・キャストみんながハッピーな1日だったと思います。いつまでもこの時間が続けばいいな、と思っていました。きっとたくさんの人がこの日で、時間が止まってくれたらよかったのにと思っていることだろうと思います。私はクランクアップの翌日(3月11日)から都内のスタジオで編集作業に入ったのですが、そのときに地震に遭いました。それから日々TVで流されるニュースを見ながら、涙を流していました。その想いが、この映画にもこもっていると思います。この映画がどれだけ悲しみにあった人に癒しをもたらすことができるかはわかりませんが、未曽有の大災害から立ち上がる中で必要なのは、家族の絆だと思います」と想いを語る。役所さんも「『わが母の記』は心のケアになるような映画だと思います。映画を作っている人間として、この映画を通して震災に遭われた方にも元気を届けられたら。そして、これからもそんな想いを意識して作っていきたいと思います」と胸の内を明かしてくれた。役所さんはさらに本作が伝えるメッセージに触れ「最近、大人も楽しめる映画が少なくなっていると思います。映画はビジネスですから、たくさんの人に来てもらって、ヒットして、ビジネスとして成功しなければならないのですが、やはりインスタントものですぐおいしいものといったものではなくて、しっかり噛みしめてじんわり深いもの、50年後に観ても楽しめる映画も作り続けなくては、と思います。この映画は、監督が5年前から企画をされていて、ご自身の出身地・沼津を舞台にしているので、さらに思い入れも深いと思います。こんな作品を作っていかなくてはならないと思います」と言葉に力を込めた。引き続き、海外の映画祭からのオファーが届いているという本作。一方で「公開時には日本の観客の声もたくさん聞きたい。観客の声こそが私にとっての本当の“賞”だと思っています」と原田監督。10年におよぶ家族の愛の物語は、人々の胸にどのように届くのか――?『わが母の記』は2012年公開。■関連作品:わが母の記 2012年、全国にて公開© 2012「わが母」製作委員会■関連記事:ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!
2011年09月02日作家・井上靖の自伝的小説を、役所広司主演で映画化した『わが母の記』が、現地時間18日に開幕する第35回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に出品されることが決定した。『わが母の記』の写真『わが母の記』は井上靖の小説『わが母の記~花の下・月の光・雪の面~』を基に、実父の死に伴い、幼少期よりともに暮らしてこなかった実母を引き取り、同居することになった小説家・伊上洪作を主人公に、薄れゆく記憶のなかで息子への愛を確かめようとする母、そして幼少期の記憶と向き合いながら母に寄り添う息子、そしてふたりを囲む家族の物語を10年に渡って綴る人間ドラマ。役所が井上の分身ともいうべき作家・伊上洪作を演じるほか、樹木希林、宮崎あおいらが出演する。本作を手がける原田眞人監督は最新作のモントリオール出品について「16年前、カナダとの合作映画『栄光と狂気』の撮影で半年過ごしたモントリオールには格別の愛着があります。思い出深いモントリオールの、世界映画祭コンペ出品に興奮しています。そこでの観客との出会いが、僕の監督人生のひとつのピークになることを期待しています」とコメント。役所は「世界的な文豪井上靖さんの家族の物語を、井上さんと同郷の原田監督が思いを込めて作った『わが母の記』はきっと映画祭の観客に楽しんでいただけると信じています」と観客の反応に期待を寄せている。ちなみに同映画祭には本作と同じ松竹配給の映画『アントキノイノチ』(瀬々敬久監督)も出品されるが、松竹株式会社・映像ライツ部長の古賀正喜氏は「モントリオール世界映画祭は、『おくりびと』がグランプリを受賞したように、良質なドラマが出品されることが多く、また観客の年齢層が比較的高く、中高年の年齢層の方が、きちんと映画を観る姿勢が出来ているようなので、”老い”や”死”を扱った『わが母の記』は映画祭のテイストと非常にあっていたため、選ばれたのだと思います」と分析している。映画『わが母の記』は2012年に全国公開される予定。『わが母の記』2012年公開
2011年08月03日先週の日曜日、6月19日は父の日。「ありがとう」と言葉で伝えた人、プレゼントを贈った人、一緒にお酒を酌み交わした人などなど、父親への感謝の思いの伝え方は人それぞれ。小学校の中には、父の日を“父親参観日”として普段は見られない子供たちの学校での姿を見てもらう日にしているところもあるとか。そういえば、子供の頃の参観日に父親が来るのは嬉しかったり恥ずかしかったりしたもの。よそのお父さんと心の中で比べ「○○ちゃんのお父さん、かっこいい!」、「うちのお父さんはちょっとダサいなぁ…」なんて思ってた人もいたのでは?読者のみなさんの心の内を投票&ランキング形式で解き明かす「シネマカフェゴコロ ランキング5」では父の日にちなんで、俳優、タレント、著名人の中から「あなたが憧れる理想の父親像」の投票を実施!その結果を大発表。これぞオヤジ!というベテランから意外と若いパパまで多くの票が集まったが…。栄えある“理想の父親”No.1に選ばれたのは、明るいキャラクターで幅広い活躍を見せる所ジョージ!肩の力の抜けたゆる〜い感じで人生を楽しみつつ、時折、ユーモアと毒の効いた鋭い発言もあり、厳し過ぎず、甘すぎない父親と言えそう。お子さんとのCMでの共演経験もあり、父と子の関係性も理想的。「すごく自由な感じだけど、人生を楽しんでいてしっかりアドバイスをくれそうだから」(30代・女性)、「遊びは得意ですし、話も聞いてくれそう。一緒にいて楽しくて安心感もある人」(30代・女性)など、多くの女性の票を集めた。一見、お気楽そうだけど、この人に付いていけば大丈夫という気にさせてくれそう。2位以下は混戦を極めたが、アタマ一つ抜け出したのは新米パパ、オダギリジョーが見事ランクイン。この春に、妻で女優の香椎由宇との間に第一子(男児)が誕生したばかりのオダギリさん。このほど公開された映画『奇跡』でも主人公の「まえだまえだ」の2人の父を演じているが、こちらでは音楽の夢を捨てきれずに離婚してしまい、その後も息子から少し呆れられつつも愛されている、というタイプの父親。「しょうがないなぁ…」と思いつつも、一緒にいると楽しそう。実際のオダギリさんがどんな父親なのかは謎に包まれているが…。3位にはこちらも既婚で実際に父親である藤木直人が入った。俳優としてはパパというより恋人としてのイメージの方が強そうだが、トーク番組などで垣間見える素顔から、“良いパパ”っぷりを読み取ったファンも多いよう。「小さい子の手を引くパパという感じがリアルに似合いそう!」(20代・女性)と“パパ俳優”としての需要も高そうだ。若めのパパが2位、3位と続いたが4位は王道の厳しくダンディなオヤジ!高倉健がランクインした。「貫禄があり言われたことに納得すると思う」(30代・女性)、「男らしさと懐の深さを感じる」(40代・女性)などといった声が多数。昔ながらの…というか、いまでは絶滅危惧種となってしまった、黙して語らずの頑固オヤジは男性、女性にとっても理想と言えるのかも?娘が嫁いでゆく日にも何も語らず、こっそりと涙をぬぐう…そんな父親はいかが?第5位は渋さと若々しさを兼ね備えた渡辺謙。ハリウッド挑戦など「自分をしっかり持っていて、スキルアップを常にしてる」(50代・男性)と、常に向上心を持って進んでいく姿に理想の父親像を見出した人が多かったよう。背中を見て、付いて行こう!と思わせる引力を持っていそう。ほかにはドラマでタイプの異なるいくつもの“パパ”を演じてきた田村正和や佐藤浩市らが上位に。上位は日本人の独占状態だが、ハリウッドスターではブラッド・ピットが最も多くの票を集めた。さて、あなたの理想のパパは誰?これから結婚する人は、いずれ子供が生まれ、結婚相手がいずれ父親になったときにどんなタイプの父親であってほしいか、という視点から考えてみても楽しいかも。「あなたが憧れる理想の父親像」ランキング1位:所ジョージ2位:オダギリジョー3位:藤木直人4位:高倉健5位:渡辺謙ちなみに、7月のテーマは「あなたが“胸キュン”したジブリキャラクターは?」。こちらもぜひご投票ください。「シネマカフェゴコロランキング5」■関連作品:トイ・ストーリー/トイ・ストーリー2 3D 2010年2月6日より2本立てにて全国公開© DISNEY / PIXARシャンハイ 2011年8月20日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2009 TWC Asian Film Fund, LLC. All rights reserved.奇跡 2011年6月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011『奇跡』製作委員会劇場版TRICK(トリック) 霊能力者バトルロイヤル 2010年5月8日より全国東宝系にて公開© 2010「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」製作委員会■関連記事:まえだまえだ、大先輩・樹木希林のアドバイスも知らんぷり「だって子供やもん!」【シネマモード】あなたはどこに注目する?是枝監督最新作『奇跡』まえだまえだインタビュー素で魅せる!是枝監督を唸らせた奇跡の主演デビューシネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第15回)憧れるリアル父親俳優は?本木雅弘&内田也哉子の娘が祖母・樹木希林と共演親は渋ってた…?
2011年06月27日是枝裕和監督の最新作『奇跡』が6月11日(土)に全国で公開され、東京・新宿バルト9では是枝監督をはじめ、主演を務めた小学生漫才コンビ「まえだまえだ」の前田航基と旺志郎、大塚寧々、樹木希林が登壇する初日舞台挨拶が行われた。緊張しているのか、はたまた余裕なのか…マイペースに舞台挨拶をこなす前田兄弟に対し、樹木さんは「普段からうるさかった。大人として『漫才だって“間”が大切でしょ』って真剣にアドバイスしたんだけど、全然聞いていない」とお説教。しかし航基くんと旺志郎くんは「だって、僕ら子供やもん」と日本映画界が誇る名女優を手玉に取っていた。2人が演じるのは、両親(大塚さん&オダギリジョー)の離婚によって離れて暮らす兄弟という役どころ。「博多と鹿児島をそれぞれ出発する、九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間を目撃すると、奇跡が起こる」。そんなうわさを聞きつけた兄弟が、もう一度家族の絆を取り戻そうと大冒険に出かける。是枝監督は「まさに奇跡的な出会いに支えられた、素敵な映画に仕上がった。僕らの体験をスクリーンを通して感じてもらえれば」。前田兄弟には台本を見せずに、「周りの大人の役者さんに付き合ってもらいながら、その時間を楽しむ子供たちの自然な表情を引き出すことができた」と独特な演出方法を語った。また、撮影前に樹木さんから「大人は“背景”なんだから、サラッと描いてくれればいい」とアドバイスがあったといい、「おかげで子供たちの目線やバランスが、自分の中でハッキリした」とベテラン女優に最敬礼だ。「子供たちが本当にキラキラして、暖かな眼差しにあふれた作品だと思う」と語るのは、母親役の大塚さん。そんな美しい“お母さん”に航基くんは「(本番前)やらなきゃいけないことがたくさんあるはずなのに、僕らとトランプやUNOで遊んでくださった」とデレデレ…と思いきや、「家族でケンカするシーンは、すごく怒っていて怖かった。1分前まであんなに穏やかだったのに、人ってこんなに変われるのかってビックリしました」とその豹変ぶりに驚きを隠せない様子。旺志郎も「さっきまでの優しさはどこいってん!」とツッコミを忘れなかった。そんな大人の怖さ(?)を学ぶ機会にもなった本作が、なんと韓国、台湾、スペインなど世界13か国で公開されることが決定。これには航基くんも旺志郎くんも童心に返って大喜び。是枝監督も「待っていてくれる人が世界中にいるのは、大きな励み」と笑顔を見せた。最後は特製の巨大クラッカーでヒットを祈願し、全国公開が始まった本作の門出を祝った。『奇跡』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。■関連作品:奇跡 2011年6月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011『奇跡』製作委員会■関連記事:【シネマモード】あなたはどこに注目する?是枝監督最新作『奇跡』まえだまえだインタビュー素で魅せる!是枝監督を唸らせた奇跡の主演デビューシネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第15回)憧れるリアル父親俳優は?本木雅弘&内田也哉子の娘が祖母・樹木希林と共演親は渋ってた…?是枝裕和監督の最新作!!『奇跡』完成披露試写会に50組100名様ご招待
2011年06月13日「最近のお勧めは?」と尋ねられると、きまって私は『奇跡』と答えています。ここまで勧める相手を選ばなくて良い作品も珍しい。映画好きでいろいろ深読みするのが好きな人にも、わかりやすさを求める人にも、悪い人が登場する作品が嫌いな人にも、淡々としすぎている作品は眠くなってしまうから苦手という人にも、男性にも、女性にも、子供にも、大人にも、きっと気に入っていただける作品なのですから。主人公は、両親の離婚により、母の実家のある鹿児島と父の故郷である福岡へと、離れ離れになった兄弟。九州新幹線が全線開通するその日にだけ出会えるという奇跡を探しに、友達を引き連れて、兄弟は再会&奇跡探しの小冒険へと旅立つのです。主人公の兄弟を演じるのは、小学生兄弟漫才コンビ・まえだまえだ。面白トークと、自然な演技が素晴らしいことといったら。もともと、“わざとらしさ”“あざとさ”という手垢のついていない、近年まれに見る子供らしさと芸達者ぶりには感心していましたが、さすが、世界の是枝監督が注目するだけのことはあります。オーディション中に出会った彼らのために、プロットを大きく書き換えたとのエピソードも。おかげで、何度彼らのやりとりに大笑いしたことか。とにかく楽しく、さらには心動かされるシーンも数多く、とことん良質な作品ですから、きっと誰にでも満足していただけるはずです。本作は決して子供映画ではないのですが、子供の輝きが肝になっていることは間違いありません。それを実現させたのは、芸達者なベテランたち。オールスターキャストとも言える、贅沢な配役にも注目ですが、個性豊かな俳優陣がオーラを放ち過ぎてしまうと、主役の子供たちにも影響が出る可能性が。ところが、そんな心配を払拭するかのような一言を、監督に対して放った人がいたそうです。「今回は子供たちが主役の映画なんだから、アップなんていらないからね」。これを言ったのは、祖母役の樹木希林さん。『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』、是枝監督の『歩いても 歩いても』での母親ぶりも素晴らしく、いずれの演技でも女優賞を受賞しています。彼女はいま、私にとって最も気になる女性のひとり。夫(内田裕也)の逮捕騒動の際に行われた、あの堂々とした会見に、シビれた人も多いはず。「本当の謝罪は本人から頭を下げてもらいたい。籍を入れた責任上、どうするかを考えながら生きたい。夫ひとりだけ、奈落の底に落として、自分だけ保身ということはしません」と語ったのを耳にしたとき、夫よりも、彼女の方がよほどかっこ良く“ロック”している人だったんだと気づきました。夫が勝手なことをやっていられたのも、彼女がいたからだったはず。そんな彼女のかっこいい精神が言わせたのが、「アップなんていらないからね」という言葉だったのでしょう。是枝監督だって、誰かに言われなくては、大物ばかりを前に悩んでしまったかもしれません。女優なら、どんな状況でも自分が引き立てられたいと思うものだとばかり思っていましたが、作品のために自分を抑えてベストを目指すというのもなるほど、女優魂。子供たちの奇跡のような演技だけでなく、かっこいい樹木さんの姿も、ぜひ『奇跡』で堪能してみてくださいませ。『奇跡』は6月11日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:June Makiguchi)■関連作品:奇跡 2011年6月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011『奇跡』製作委員会■関連記事:まえだまえだインタビュー素で魅せる!是枝監督を唸らせた奇跡の主演デビューシネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第15回)憧れるリアル父親俳優は?本木雅弘&内田也哉子の娘が祖母・樹木希林と共演親は渋ってた…?是枝裕和監督の最新作!!『奇跡』完成披露試写会に50組100名様ご招待まえだまえだが是枝裕和最新作に主演!大塚寧々&オダギリジョーが両親役
2011年06月08日子供たちはいま、自分たちがこれ以上ない絶景を望む場所に立っていることを気づいているだろうか?いや、気づく必要なんてないのかもしれない。そんなことは気に留めず、彼らは隣の友達と些細なことで泣いたり笑ったりしながら、必ず起こるに違いない“奇跡”を信じて歩き続ける――。ドキュメンタリーを思わせる瑞々しさで、現代版『スタンド・バイ・ミー』とでも言うべき子供たちの旅を切り取った、是枝裕和監督最新作『奇跡』。主人公の兄弟を演じるのは、小学生の兄弟漫才コンビとして活躍する「まえだまえだ」の前田航基と旺志郎の2人。ひと夏の冒険を経て、彼らが得たものは――?航基「是枝監督の説明って、ホンマだいたいなんです(笑)」両親の離婚により離れて暮らす航一(航基くん)と龍之介(旺志郎くん)。もう一度、家族4人で元通りに暮らしたいと願う航一は学校で、まもなく開通する九州新幹線のあるうわさを耳にする。博多と鹿児島をそれぞれ出発する一番列車がすれ違う瞬間を目撃すると、どんな願いも叶うというのだ。奇跡に立ち会うべく航一と龍之介は旅の計画を立てるが…。何より、子供たちの自然な演技が素晴らしい本作。2人揃って映画に出演するのは初めてだったが、役柄や演技について航基くんが「普段の自分そのまんまの感じの役だったので、本当にそのまんまいつもの感じでいました」と言えば、映画出演自体初めての旺志郎くんも「演技しているというよりも普通の生活をしているみたいやった。こういう場面になったら、旺志郎たちも同じことするだろうな…って思いました」と何ら気負いなく演技に臨んだようだ。是枝監督は『誰も知らない』などで子供たちを演出したときと同じように、台本を渡さずに、撮影の直前に口頭で状況の説明とセリフを伝えるという手法を用いた。加えて、本作に関してはキャスティングが決まってから、役柄や脚本を2人に合わせて変更していったという。例えば劇中、航一も龍之介も自分のことを“僕”でも“おれ”でもなく名前で呼ぶが、これはまえだまえだの2人が普段からそうしているから。そうやって俳優に合わせつつ、カメラの前でその魅力を最大限に引き出し、断片をつないで物語にしていく監督に、航基くんはすっかり心酔した様子。「監督の事前の説明って細かくなくて、ホンマにだいたいなんです(笑)。それでこっちもやってみるんですが、完成した映画を観たら『なるほど、そういうことか!』って何度も思いました。やっぱり映画監督、というか是枝監督ってすごいんだなと思いました」。いやいや、“だいたい”の説明だけで監督の要求に応えてしまう2人こそ、すごいと思うが…。食は渋好み?九州の名産品を堪能!2人の年の差は2つ。小学校高学年から中学にかけてという、たった1年で心身ともに急激な変化を迎えるこの時期。普通、たった1年の差でも大きな開きのように思えてしまうものだが、2人の間には年齢差やいわゆる“兄”と“弟”といった関係性があまり見えてこない。航基くんは「兄弟というよりは友達。親友よりももう一歩深く奥に入った関係」と表現する。先述のように、映画の中からも普段の2人の素顔が垣間見えるが、改めて“相方”について語ってもらおう。航基くんは旺志郎くんについてこう語る。「旺志郎は、何でも気楽にサーッと受け流す、あっさりしたヤツですね。こだわり過ぎずにいい意味で適当な半面、それが雑という悪い部分で出てくることもあるんですが(笑)」。まさに、劇中の龍之介といったところ。では、旺志郎くんから見た兄、そして相方の航基くんはというと…。「いろんなこと考え込みますね。ひとつのことに興味持つと、そればっかりになって、ほかのことしなくなる。1回ハマると抜け出せない(笑)」。サラリと核心を衝く弟の指摘に航基くんは「あかんと思いつつ…人間、なかなか直らんもんですね…」。少し渋い顔をしていたが、九州のおいしいものは食べた?と尋ねると、たちまち笑顔に。「シシャモがおいしかったです。シシャモって卵を持っていない方が実は脂が乗っていておいしいと聞いたんですが、めっちゃおいしかったです!」と本当に12歳?と思える渋好みだ。一方の旺志郎くんは「明太子でご飯を食べるシーンがあるんですが、すごくおいしかったです。馬肉?監督に食べに連れて行ってもらいました!お土産に馬肉せんべいまで買って(笑)、新幹線で食べて帰りました」。ご当地のおいしいものと言えば、橋爪功が演じる祖父が作る鹿児島の伝統的な銘菓“かるかん”は?劇中では、2人は微妙な反応を見せるが…?「おいしいですよ。あんことは違ってほんのりとした甘さで。あっさりしてるけどお腹にたまるから朝ごはんにもいけるし」(航基くん)、「生地はもっちりしてて蒸しパンみたいです」(旺志郎くん)と、グルメレポーター顔負けのコメントでアピールしてくれた。“奇跡”の瞬間の葛藤――2人が得たものは?学校へ、駅へと全力で駆ける航一の姿や博多と鹿児島でそれぞれ離れて暮らす2人の電話でのコミカルなやり取り。オダギリジョー扮する飄々とした父親や、離れて暮らしても息子を思う大塚寧々演じる母親と、彼ら以上に大人びた子供たちの言動など、思わずクスリと笑ってしまう見どころが満載だが、何と言ってもクライマックスは、一番列車が行き交う轟音の中で、思い思いの“奇跡”を願い、叫ぶシーンだ。どんな気持ちであのシーンに臨み、その結果をどう受け止めたのか?航基くんはこう説明する。「最初、航一は何が何でも家族4人が元通りになることを望んでいたけど、旅をするうちに微妙な気持ちの移り変わりがあったんでしょうね。ギリギリまで葛藤があって、一度、口に出したら取り返しがつかなくなる、という思いもあって…。そう考えているうちに新幹線がすごいスピードで通り過ぎて行って、むなしさとか悔しさとかいろんなことを感じたと思う。あれだけ苦労して、みんなで協力して努力して辿りついて、きっと人生の厳しさを学んだのかな」。願えば全てが叶うほど人生は甘くないし、二度と取り戻すことのできない“何か”を失いながら人間は大人になっていく――この物語が少年たちに示すのは、そんな人生のしょっぱさかもしれない。それでもこの映画は断じて悲しい映画ではない。是枝監督は、2人にオーディションに接して「生きていくことに対してポジティブな力をもらった」と明かしたが、おそらく監督が感じたものと同じものをこの映画は与えてくれる。少しだけヒリヒリした心を抱えて映画館を出つつ、こう思えるはずだ。「大人になることはそう悪くもない」と。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:奇跡 2011年6月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011『奇跡』製作委員会■関連記事:シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第15回)憧れるリアル父親俳優は?本木雅弘&内田也哉子の娘が祖母・樹木希林と共演親は渋ってた…?是枝裕和監督の最新作!!『奇跡』完成披露試写会に50組100名様ご招待まえだまえだが是枝裕和最新作に主演!大塚寧々&オダギリジョーが両親役
2011年06月07日気鋭の劇作家・前田司郎の小説を映画化した『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』が5月14日(土)に公開を迎え、竹野内豊、水川あさみ、本田隆一監督が舞台挨拶に登壇した。新婚にして早くも倦怠期を迎えたカップルが、ひょんなことから“地獄”へと迷い込み、奇妙な人々との出会いや恐るべき体験を経て、夫婦の情熱を取り戻していく姿をコミカルに描く。公開を待ちわびた観客で埋め尽くされた客席を見渡し、満面の笑みを浮かべる竹野内さん。コメディ映画初挑戦となったが「ずっとやりたいと思っていたので、お話をいただいたときは素直に嬉しかったです。初めて台本を読んだときは『自分でいいのか?』と思いましたが踏み込んでしまえ!とやらせていただきました。これまでご一緒するチャンスのなかった俳優さんとお仕事ができて、刺激的であり、勉強にもなりました」とふり返った。これまでにも水川さんは、竹野内さんが役柄の信義にそっくりだと主張してきたが、この日も「クールで硬派で、あんまりしゃべらない方かと勝手に思っていましたが…お会いしてノブに似ていると思いました。優しくてどこかゆっくりしている感じが」と“信義=素の竹野内”説を展開。これに竹野内さんは「それは役作りしていたから!」と抗議すると、「じゃあ、さっき舞台に出てこようとしたのは?」と反論されてタジタジ。客席の様子をこっそり舞台袖から覗こうとした竹野内さんを、水川さんが「まだだよ!」と止めるというやり取りが裏であったそうで、“リアル大木家”のような2人の掛け合いに会場は温かい笑いに包まれた。2人と個性豊かな共演陣とのコミカルなやり取りも本作の大きな見どころだが、演じた2人は笑いをこらえるのが大変だったそう。特に、荒川良々は笑い上戸の水川さんを笑わせようと、様々な“仕掛け”を施してきたそうで、水川さんは「後ろから撮られているシーンでは、笑わないように目をつぶってました」と告白。また、樹木希林と片桐はいりが揃って登場するシーンは「勝手に3Dみたいな迫力!」(水川さん)と形容するほどで、この2人による“攻撃”も相当だったようだ。竹野内さんも思わず「テーブルの下でひざをつねって笑いを我慢していた」とのこと。だが、竹野内さんと水川さんがせっかく我慢しても、監督やスタッフが思わず笑い声をあげてしまいNGとなることもあったそうで、文字通り笑いの絶えない現場となったようだ。『大木家のたのしい旅行新婚地獄篇』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。■関連作品:大木家のたのしい旅行新婚地獄篇 2011年5月14日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 映画「大木家のたのしい旅行新婚地獄篇」製作委員会■関連記事:竹野内豊×水川あさみインタビュー大木夫婦の意識を変えた“倦怠期”の奥深さ水川あさみ、安定した夫婦がうらやましい?竹野内豊、水川あさみ登壇『大木家のたのしい旅行』完成披露試写会に15組30名様ご招待シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第13回)逆境に強そうな戦う俳優は?竹野内豊、初コメディで“新妻”水川あさみと地獄旅行へ出発!?
2011年05月16日映画『奇跡』の完成披露試写会が、5月5日(木)のこどもの日に行われ、主演のお笑いコンビ「まえだまえだ」(前田航基&前田旺志郎)、オダギリジョー、樹木希林、阿部寛に子役の林凌雅、内田伽羅、監督の是枝裕和が舞台挨拶を行った。両親の離婚で離ればなれで暮らす兄弟が、九州新幹線開業の日に起こる“奇跡”を信じて旅をする姿と、子供たちを見守り、翻弄されつつも癒される大人たちの様子が描かれる。兄の航基くんは「まさか主演をやらせてもらえるとは思っていなかったので、ちょっとクサくなっちゃいますが、ここに立っていること自体が奇跡」と初主演映画のお披露目の喜びを語る。さらに「監督は世界の是枝監督。自信を持って面白いと言えます」と胸を張った。すると弟の旺志郎くんも「初の映画で初主演で大丈夫かな、と思いましたがみなさん優しくて、監督(の指導)も演技というよりは自然な感じで」と兄弟そろって監督を絶賛した。自身も昨年、父親になったオダギリさんにとっては初の父親役だったが「役者として初めての経験で、私生活と比べるなんてとてもできませんでしたが、2人(航基&旺志郎)ともしっかりしていて、親というより友達の目線だった」と述懐。教師を演じた阿部さんは、九州での子供たちとの撮影をふり返り「子供たちが純粋な目でこちらを見てくるんですが、すごく強くて、怖くて…。ほかにはないパワーをもらえました」と語った。その阿部さんと『歩いても 歩いても』に続いて共演となった林くんは将来の夢を聞かれ「阿部寛さんのような俳優になりたい!」。これに横から樹木さんが「オダギリジョーさんじゃダメなの?」と割り込むと、オダギリさんが「方向性が違うよね?」と返し、会場は笑いに包まれた。樹木さんは、子供たちとの現場について「“互角”にやりました。(劇中の設定の)祖母と孫というよりも、俳優同士という関係」とふり返る。すると航基くんは「上下の差がない関係に緊張しましたし、恐れ多い気持ちでした」と大先輩との共演を思い出し、いまにも汗が吹き出しそうな表情。また、樹木さんは孫の伽羅さんとの初共演も果たしているが「是枝監督の作品に入ることは、良い思い出、経験になると思った」と自らオーディションへの参加を勧めたそう。「親(本木雅弘&内田也哉子夫妻)は渋ってましたが…」と説明。伽羅さんは「『(是枝監督は)素敵な監督』と勧められてオーディションを受けました。(両親からは)『自然に緊張しないでやりなさい』と言われました」と明かしてくれた。監督はまえだまえだの起用について「いま、おそらくみなさんが受けているのと同じ印象で、オーディションの部屋を出た後に私も元気になっていました。生きていくことに対してのポジティブさをもらったと思います。この子たちならきっと、映画の中心に置いても引っ張っていってくれると思った」と説明。「自分で映画を観て元気になれました」とこれから映画を鑑賞する観客を前に力強く語った。『奇跡』は6月11日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:奇跡 2011年6月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011『奇跡』製作委員会■関連記事:是枝裕和監督の最新作!!『奇跡』完成披露試写会に50組100名様ご招待まえだまえだが是枝裕和最新作に主演!大塚寧々&オダギリジョーが両親役
2011年05月05日人気俳優の竹野内豊が、来年5月に公開される主演映画『大木家のたのしい旅行新婚地獄篇』でコメディに初挑戦することが分かった。本作は、野間文芸新人賞、三島由紀夫賞、ギャラクシー賞に、演劇界の芥川賞とも言われる岸田國士戯曲賞など文学および演劇界で次々栄誉を獲得し、三谷幸喜や宮藤官九郎に続く新しい才能との呼び声が高い人気劇作家・前田司郎の同名小説が原作。いま、映像化を熱望する声が最も多い、前田作品初の映画化となる。“新婚なのに倦怠期”の大木夫妻がひょんなことから1泊2日の“地獄旅行”に出かけることに…。旅先で出会う奇妙な人々や、2人の間に起こる不可思議な出来事を通じ、2人が“愛”と“情熱”を取り戻していくというストーリー。現在放送中の“月9”枠のドラマ「流れ星」(フジテレビ)に主演し、映画『太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−』が来年2月に公開を控えるなど、多忙を極める竹野内さんだが、本作では、これまで演じてきた役柄とは全くタイプの異なる、夫の大木信義を演じる。そして、新妻・咲役を演じるのは、コミカルからクールまで、幅広いジャンルをこなす女優、水川あさみ。2人の脇を固めるのは、樹木希林に片桐はいり、荒川良々、そして柄本明といった豪華な面々。樹木さんの見せるお芝居に「芝居と言えどついつい本気で笑ってしまった」という竹野内さん。大木夫妻の地獄旅行がいかに楽しいかがうかがえる!?硬派な役柄を演じることが多かった竹野内さんだが撮影をふり返り「樹木希林さんや柄本明さん、荒川良々さんなど、個性が強めな方とご一緒だったので、自分自身も楽しんで演じることができた」とコメント。また「色々な表現方法を学ばせていただいた」とコメディ初挑戦となった本作で俳優人生の新たな境地を開いたようだ。水川さんは、竹野内さんとの共演について、「いままでの竹野内さんの“クールでかっこいい”というイメージとは真逆の、“ノブ”という役をどう演じるのかなと、とても楽しみでした。どちらかというと、普段の竹野内さんは、実は“ノブ”に近いんじゃないでしょうか(笑)。どんな風に打っても予想外に楽しく打ち返してくれました」と語っており、撮影を楽しんだ様子。果たしてどんな旅が2人を待ち構えているのか?『大木家のたのしい旅行新婚地獄篇』は2011年5月、新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:大木家のたのしい旅行新婚地獄篇 2011年5月、新宿バルト9ほか全国にて公開© 映画「大木家のたのしい旅行新婚地獄篇」製作委員会
2010年12月14日松嶋菜々子と韓国俳優ソン・スンホンがW主演する映画『ゴースト もういちどだきしめたい』がアジア計5か国で公開されることが11月13日(土)、東京・有楽町の丸の内ピカデリー1で行われた初日舞台挨拶で発表された。パトリック・スウェイジとデミ・ムーア出演で世界的ヒットを飛ばしたラブ・ファンタジー『ゴースト/ニューヨークの幻』の舞台を日本に置き換えたアジア版。韓国では今月25日から公開されるが、新たに台湾、タイ、シンガポール、香港での公開が決定した(時期は未定)。韓国では大手配給が会社CJエンタテインメントの配給で、邦画としては最大規模の約100スクリーンで公開され、初日はスンホンが舞台挨拶に立ち、松嶋さんは訪韓しない予定。これまで100スクリーン規模で公開された邦画は『デス・ノート』、『日本沈没』などがある。初監督を務めた大谷太郎監督は「松嶋さん、ソンさん2人のラブストーリーがアジアに広がることになり、すごく嬉しい、ありがとうございます」と素直に喜び、「あと運天さん(※劇中で樹木希林さんが演じる霊媒師)が広がるのも嬉しい」とキャスト陣と会場の笑いを誘った。挨拶では、松嶋さんが「(劇中で)ムーミンの絵を描いたら、いろんな人に『菜々ちゃんヘタ?』と言われるんですけど、あれは設定なので」と苦笑いで弁解。共演の鈴木砂羽は「松嶋さんのムーミンは結構うまいです」とかばっていた。一方、スンホンは、日本映画初出演の経緯を改めてふり返り「最初は言葉の壁がかなり心配でしたが、人が人と出会い、愛の体験を交わすのは言葉ではないと思いました。とてもいい経験ができていま、とても幸せ」とはにかんだ。満場の女性ファンの大声援に終始、笑顔で応え、退場時には突然、熱狂的な女性ファンから舞台上にプレゼントがポーンと投げ込まれて足元に落ちたが動じることなく拾い上げ、朗らかな笑みを浮かべていた。ほかに樹木希林、子役の芦田愛菜が出席した。映画『ゴーストもういちど抱きしめたい』は全国にて公開中。シネマカフェSweet「『ゴースト もういちど抱きしめたい』特集 時を超えて愛されるストーリー」■関連作品:ゴースト もういちど抱きしめたい 2010年11月13日より全国にて公開© 2010「ゴ−スト」製作委員会■関連記事:アジア版『ゴースト』に7割以上の観客「泣けた」アジア版ならではの場面がツボ?松嶋菜々子、ミッドタウンのクリスマスイルミネーションに「ストーリー性あって素敵」日本でリメイクしてほしい作品を投票!『ゴースト』パンフレット&雪肌精を2名様にプレゼント松嶋菜々子インタビュー「しばらくラブストーリーをやっていなかったので…」森三中・黒沢と“夫婦”役の松山ケンイチ小雪との結婚の質問には…
2010年11月13日小学生の兄弟お笑いコンビ「まえだまえだ」(前田航基&旺志郎)の2人が是枝裕和監督の最新作『奇跡』に主演することが決定!大塚寧々、オダギリジョー、夏川結衣、阿部寛、長澤まさみ、原田芳雄、樹木希林、橋爪功らが共演することもあわせて発表された。来年3月に九州新幹線が開業するのを機に九州を身近に感じてもらうべく、本作の企画は始動。鉄道好きであり、かつて柳楽優弥にカンヌ国際映画祭の最優秀男優賞をもたらした『誰も知らない』とは違った形の子供を描いた作品を撮りたいと考えていた是枝監督の元にプロデューサーを通して相談が持ちかけられ、完全オリジナル脚本であることを条件に是枝監督はメガホンを取ることを承諾したという。通常、撮影許諾を取得することが非常に難しいとされる新幹線を撮影できるという点も、監督が魅力に感じた一因であるとか。まえだまえだの2人が演じるのは、両親の離婚により、離れて暮らす兄弟。兄の航一(航基くん)は母と祖父母と鹿児島で暮らし、弟の龍之介(旺志郎くん)は父親と福岡で暮らしているが、2人は何とか昔のように、家族4人で仲良く暮らせないかと頭を悩ませている。まもなく開業する九州新幹線について、開業の日に博多から南下する「つばめ」と鹿児島から北上する「さくら」の一番列車が行き交う瞬間に奇跡が起こる、といううわさを聞きつけた2人は、ある壮大で無謀な計画を立て、周囲の人間をも巻き込んでいく――。是枝監督は、まもなく始まる撮影を前に「オーディションで出会った子供たちから得たインスピレーションで物語を作り、彼らと会って話したことで登場人物のキャラクターと台詞が生まれました。子供と一緒に映画を作るのはとても刺激的でワクワクの連続です(スタッフはハラハラしていると思いますが)。まえだまえだ兄弟をはじめ、この時期の子供たちが持っている“奇跡”のような輝きをフィルムに焼きつけるべく頑張りたいと思っています。お楽しみに」と意気込みを語る。また、「鉄道好き」といううわさについては「出演していただく原田芳雄さんなどを前にして、とても“鉄道マニア”などと僕は言えません。撮り鉄でも乗り鉄でもありませんが、電車が通過するときの…すれ違うときのワクワク感というかゾワゾワ感を何とか映画の中で描きたい。そう思っています」とコメント。劇中でも兄を演じるまえだまえだの航基くんは「とても嬉しいですが、とても緊張しています。自分も役と一緒の小6なので、中学生になる前に、旺志郎と一緒に映画に出演できるのも嬉しいです。監督はその日まで内緒と言って、僕たちは台本をもらってません。その場その場で撮影するみたいなんで、どんな映画になるか、とてもとても楽しみにしてます。どうやら桜島が噴火する話やないかと旺志郎としゃべってます。水着の衣裳があったので水泳選手の話かな?一生懸命頑張ります!」と期待に胸を膨らます。弟の旺志郎くんも「代表作になるとマネージャーさんに言われました。初めて映画に出るのでめちゃめちゃ嬉しいです!九州はゆっくり行ったことがないので楽しみです。ご飯も美味しいと聞いたのでいっぱい食べたいです!」と撮影を待ち焦がれている様子。2人以外の配役は、大塚さんが2人の母親で、父親で売れないミュージシャンをオダギリさん。是枝作品の常連、夏川さんは大塚さん演じるのぞみの友人でスナックのママを演じ、『歩いても 歩いても』に続いての是枝組参加となる阿部さんは航一の担任の先生役。長澤さんはその学校の図書室の先生。橋爪さんと樹木さんは2人の母方の祖父母で、原田さんは祖父の親友という役どころとなっている。この共演陣がどのように2人が画策する“奇跡”に巻き込まれていくかも見どころと言えそうだ。航基くんのコメントにもあるように、脚本を俳優に渡さない、もしくは口頭でセリフを伝えるなどといったやり方は是枝監督がこれまでにも用いてきた手法。今回はどのように作品を作り上げていくのか?また、完成後の国際映画祭への出品も気になるところ!『奇跡』は2011年初夏、全国にて公開。■関連作品:奇跡 2011年初夏、全国にて公開
2010年09月16日第34回モントリオール世界映画祭で深津絵里が最優秀女優賞を受賞した映画『悪人』の初日舞台挨拶が9月11日(土)、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。深津さんがトロフィーを手に凱旋の挨拶。主演の妻夫木聡は感激の涙をこぼした。同作は、北九州の地方都市を舞台に、携帯電話の出会い系サイトで知り合った女性を殺してしまった孤独な若者(妻夫木さん)が、その後に同じサイトで知り合った女性(深津さん)と愛し合い、罪の意識に苛まれながら逃避行する姿を描く物語。原作は同作は芥川賞作家、吉田修一の同名小説。同映画祭に参加していた深津さん、妻夫木さん、李相日監督は、8日(水)の帰国後、ファンの前に初登場。先にマイクを持った妻夫木さんは「ハァーッ」と5、6回大きなため息をついてから、「この日のために全てを捧げてきた。自分にとって転機になった作品。いろんなことに新しく挑戦し、ありのままの自分でやった」と話し、途中、何度も涙を拭った。トロフィーを握りしめつつ深津さんは「みんなで戦った証で、思いがけないご褒美をいただいたような感じです。出来過ぎたすごい初日で、これ以上何かあったらバチが当たっちゃうんじゃないかと思います」とはにかみ、「妻夫木さんと2人でひとつになり、深く繋がっていた。妻夫木さんが見せる芝居が私に伝わっていたので、妻夫木さんの賞でもあります」と強調。妻夫木さんの涙には「同じ気持ちでしたが、年上なのでグッとこらえないと、と思って我慢しました」と温かい笑顔を向けた。一方、演出について李監督は、「ただひとつ、生身であるということでした。演技のひとつ先、役になってしまっているところまで行ってもらった。役者さんひとりひとりが役を演じるというより、人間としてそこにいるように」と言い、「それが海外の人の胸を突き刺した結果が賞につながった」としみじみ語っていた。挨拶には、ほかに満島ひかり、柄本明、樹木希林ら出席した。『悪人』は全国東宝系にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会■関連記事:深津絵里、モントリオール映画祭で最優秀女優賞!「全てのスタッフにいただいた賞」『悪人』にモントリオール喝采!妻夫木聡&深津絵里も現地の反応に感激『悪人』の李相日監督がハンディカムCMを演出!真夏の大騎馬戦を珠玉のドラマに妻夫木聡は自称“仕事人”「仕事ください」妻夫木聡らが日本代表に声援!…も、樹木希林は「サッカーは頭の細胞に悪そう!」
2010年09月11日モントリオール世界映画祭で『悪人』(李相日監督)に出演している深津絵里が最優秀女優賞を受賞した。本作は吉田修一の同名小説の映画化作品で、ある殺人事件を巡る被疑者、被害者、その遺族、被疑者の家族などの姿を通して、真の“悪人”とは何者かを問いかけるドラマ。深津さんは、妻夫木聡演じる殺人犯・祐一に付き添い、逃避行を繰り広げる女性・光代を演じており、全編にわたって九州の方言での演技で、官能シーンにも果敢に挑戦している。妹と二人暮らしで紳士服量販店に勤め、ほとんど地元の街から出たことのない、どこか垢抜けない女。そんな彼女が出会い系サイトを通じて祐一と出会い胸を躍らせるも、突如、彼から殺人を犯したという告白を受け、彼の逃避行に付き従う。登場からラストまで、揺れ動く心情を繊細に表現。北米の地でも高い評価を受け、見事、最優秀女優賞に輝いた。日本映画の同映画祭における受賞は2008年の『おくりびと』の最優秀作品賞と『誰も守ってくれない』の脚本賞(君塚良一)、2009年の『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』の監督賞(根岸吉太郎監督)に続き3年連続。また同最優秀女優賞の日本人受賞は1983年の『天城越え』における田中裕子の受賞以来の快挙となる。授賞式で壇上に上がった深津さんは「ありがとう、メルシーボク。私がここで手にしている賞は『悪人』という作品を作った全てのスタッフにいただいた賞だと思っています。本当に嬉しいです。日本にいるキャスト、スタッフのみんなにこの喜びを伝えたいです。ありがとうございました」と挨拶。授賞式後にコメントを求められた際も「監督の演出がなければあの演技はできなかったと思うし、(相手が)妻夫木さんでなかったら獲れなかった賞だと思います」と謙虚に監督と共演の妻夫木さんへの感謝を口にした。李相日監督は「役者の力を見せつけられた。全員で勝ちとったと思います」と語り、妻夫木さんも「夢のような感じがします。僕らの熱が伝わったと思います。深津さんがいたからこそ、高め合って、支え合って撮影できた。なにか家族が賞を獲ったような気がします」と喜びを語った。『悪人』は9月11日(土)より全国東宝系にて公開。今後、国内の賞レースでも注目を集めそうだ。■関連作品:悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会■関連記事:『悪人』にモントリオール喝采!妻夫木聡&深津絵里も現地の反応に感激『悪人』の李相日監督がハンディカムCMを演出!真夏の大騎馬戦を珠玉のドラマに妻夫木聡は自称“仕事人”「仕事ください」妻夫木聡らが日本代表に声援!…も、樹木希林は「サッカーは頭の細胞に悪そう!」
2010年09月07日8月下旬より開催中のモントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に出品されている映画『悪人』の公式記者会見ならびにプレミア上映が9月5日(現地時間)に開催され、妻夫木聡、深津絵里、李相日監督が出席した。トロント国際映画祭と並び、北米最大規模を誇る同映画祭。近年、ここで最高賞を獲得した『おくりびと』がアカデミー賞外国語映画賞を獲得したこともあり、高い注目を集めている。昨年は『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』で根岸吉太郎監督が監督賞を受賞しており、日本映画への期待度も高い。本作は吉田修一の同名長編小説を原作に、ある殺人事件とそこに関わる人々を通じて“悪”という存在の本質をあぶりだしていく。朝9時から行われたプレス用の試写会は800を超える席全てが埋まる盛況ぶりで、会見でも脚本や演出面にまつわる質問が次々と飛び出した。また、同日の夜のプレミア上映では、上映後にスタンディング・オベーションがわき起こり、ロビーに残った観客が監督に質問をぶつけるなど大盛況だった。監督は「モントリオールの人々は映画を愛し、映画がないと生きていけない人たちと聞いています。『悪人』が素晴らしい薬になることを祈っています」とコメント。妻夫木さんはモントリオールに来るのは初めてです。こういった機会に恵まれて感謝しています。この『悪人』というのは僕自身、原作を読んで自らやりたいなと思って志願してきた作品で、僕の役者人生の中では特別な作品だと思っています。僕自身、俳優をやり始めて13年目ですが、いま自分にできる全てを出し尽くしたと思います。その想いというのが、日本の方だけでなく、こうやってモントリオールの方々にも触れていただけるということがまたさらに嬉しいことです。この作品は、人としてどうあるべきかということを問いただしている作品だと思います。日本の人たちだけでなく世界の人に対しても同じことだと思うし、僕らが普遍的に考えていかなければいけないことだと思っています。少しでもそういったことを感じてもらい、自分自身自問自答していただければ嬉しいなと思います」と現地の人々の反応に触れた喜び、そして作品への思いを語ってくれた。深津さんも「まさか去年の冬に撮影しているときに、この作品が海を越えると思っていなかったので、いまここでご挨拶していることが夢のような瞬間です。このお話は九州に住む、ごくごく普通の人間たちに起こる物語です。それが、ここ海を渡ったみなさまの胸にどのように届くのか、いまとても不安ですが、少しでも多くの方に観ていただきたいと思える、そんな作品に私自身出会えたので、世界の方々に観ていただける機会ができてとても嬉しいです」と胸の内を明かした。なお、授賞式はまもなく、日本時間7日(火)午前10時から開催される。『悪人』は9月11日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会■関連記事:深津絵里、モントリオール映画祭で最優秀女優賞!「全てのスタッフにいただいた賞」『悪人』の李相日監督がハンディカムCMを演出!真夏の大騎馬戦を珠玉のドラマに妻夫木聡は自称“仕事人”「仕事ください」妻夫木聡らが日本代表に声援!…も、樹木希林は「サッカーは頭の細胞に悪そう!」
2010年09月07日『フラガール』で日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめとする数多くの映画賞を受賞し、芥川賞作家・吉田修一の長編小説を実写化した『悪人』がまもなく公開となる李相日監督が、このほどソニーのデジタルビデオカメラ「ハンディカム」のCMの演出を手がけ、先日よりオンエアされている。李監督といえば、深みのある映像と人間に寄り添い、内面を掘り下げる描写が高い評価を得ており、独特の美を感じさせる映像世界を支持するファンも多い。ぴあフィルムフェスティバルでグランプリをはじめ4部門を受賞し、その後も原作・村上龍×脚本・宮藤官九郎の『69 sixty nine』に『スクラップヘブン』などを経て2006年、『フラガール』でその才能が一般の人々にも知られるところに。まもなく公開となる『悪人』では妻夫木聡、深津絵里ら実力派俳優をキャストに迎え、吉田修一の最高傑作との呼び声の高い長編小説の映像化に挑んでいる。そんな李監督が今回、「一生忘れられない運動会」をテーマに山口県の宇部市とソニーが協力する形で開催された、地元の小学生たちによる「大騎馬戦」の模様をCMに収めた。CMの撮影は8月上旬、2日間にわたって行われ、宇部市内の全21区の小学生たちとその父兄が集結。連日の猛暑というかなり過酷な状況の中でも子供たちは元気いっぱいで、拡声器を使って説明するスタッフを圧倒するほど!李監督は子供たちに優しく語りかけ、じっくりとコミュニケーションをとりながら撮影を進めていく。騎馬戦は各校区対抗で行われ、カメラが回っていようとひとたび“戦い”が始まれば子供たちの表情は真剣そのもの。周囲の応援の声にも思わず力がこもる。そして、2日間にわたる撮影、および大騎馬戦が終わった頃には、校区の違う子供たちもすっかり打ち解けた様子を見せ、子供たちにとってまさに「一生忘れられない」経験になったよう。今回のCMでは、一組の女の子たちの騎馬に焦点を当て、彼女たちが男の子を相手にしてもひるむことなく奮闘する様子、ハンディカムを手に、女の子を懸命に応援する家族の姿が映し出される。残念ながら女の子は、相手の大将騎馬に帽子を取られてしまうが、最後には必死に戦った達成感を伴った爽やかな笑顔を見せる。さらに、この30秒のTVCMに加え、李監督は7分に及ぶ“ディレクターズカット版”を制作。CMにも登場する女の子が弟と交わしたある約束を軸にストーリーは展開。騎馬戦での女の子の躍動、その裏にある、大将の兜をプレゼントするという弟との約束、姉の活躍に心躍らせる弟、そして戦いを終え、喧騒が去ったグラウンドに残された女の子たちの心温まるある“仕掛け”――。セリフらしいセリフを用いることなく、かけがえのない夏の思い出、そして過ぎ行く季節の寂しさを描き出し、これぞ李相日!という珠玉のドラマに仕上げている。子供たちの躍動をつぶさに捉え、その興奮を描き出した美しき映像――『悪人』とはまた違ったテイストの李作品を堪能してみては?TVCMは全国(一部のぞく)にてオンエア中。ディレクターズカット版はWEB限定でソニー“ハンディカム”公式サイトにて公開中。ソニー“ハンディカム”「一生忘れられない運動会」大騎馬戦篇公式サイト■関連作品:悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会■関連記事:妻夫木聡は自称“仕事人”「仕事ください」妻夫木聡らが日本代表に声援!…も、樹木希林は「サッカーは頭の細胞に悪そう!」
2010年09月01日世界的ヒットを飛ばしたハリウッドのラブファンタジーのアジア版『ゴースト もういちど抱きしめたい』の製作報告会見が8月3日(火)、東京・六本木のグランドハイアット東京で行われ、W主演の韓国人俳優、ソン・スンホンと女優、松嶋菜々子らが出席した。デミ・ムーアと故パトリック・スウェイジが出演したオリジナル版『ゴースト〜ニューヨークの幻』は、1990年に公開。死んでゴーストとなった男が愛する女性を守ろうとする純愛ストーリーがウケて、日本では観客動員400万人、興収58億円の大ヒットを記録。世界興収は5億ドル超と一大ブームを巻き起こした。リメイク版製作の経緯について、一瀬隆重プロデューサーは「4年前、ロスのパラマウント社に呼ばれて日本映画の面白い企画について聞かれ、とっさにアジア版『ゴースト』を思いついた」と説明した。日本版では、ニューヨークから東京に舞台を移し、松嶋さん演じるやり手の女社長・七海が命を落としてゴーストとなり、スンホンさん演じる最愛の恋人で、陶芸家を目指す韓国人青年・ジュノのそばにとどまるという、男女逆転の設定とされた。2人以外の主要キャストは、ウーピー・ゴールドバーグが演じた2人の間を取り持つ霊媒師を樹木希林、ほかに鈴木砂羽、宮川大輔、黒沢かずこ(森三中)ら。監督は日本テレビで数々のドラマを手掛けてきた大谷太郎氏が初メガホンを取った。松嶋さんとスンホンさんの2ショットはこの日が初お披露目。スンホンさんは「米国版を観て育った世代なので、このお話をいただいて本当に嬉しかった。出演を決めたのは松嶋さんの存在が大きく、ぜひ共演してみたいと思った」と日本映画初出演を即決。松嶋さんとの初共演について「優しく美しく、弱音を吐かずに一生懸命仕事をする方。本当に家族のように親切にしていただいた。最初に初めて出会うシーンを撮影したとき、本当に美しいと思ったので、美しいと感じる“演技”をしないでそのまま感じた通りにやった」と絶賛。「キスシーンに食事をしないで臨んだら、お腹が鳴ってしまい、申し訳なかったです」とイケメンらしからぬエピソードを明かし笑いを誘った。一方の松嶋さんも、「私も同じようにキスシーンのときにお腹が鳴ってしまって、聞こえたかな?って」と同じ“失敗談”を告白。「ひとつひとつ、大事なシーンが続くので、食事をしたいと思わなくて、休憩を取らず、このまま撮ってほしい、と思った1か月半でした」と充実した笑顔を見せた。スンホンさんについては「紳士で礼儀正しく品があって女性に優しい。芸術家の繊細な部分を体で表現できる方だと思った」。撮影中のエピソードを聞かれると、「1日1回はスンホンさんに韓国語で挨拶をするコミュニケーションをとってみた。またね、とか簡単なものですが。スンホンさんはいつも優しい笑顔を返して下さいました。でもちょっと苦笑いでした」と明かし、会場の笑いを誘っていた。『ゴースト もういちど抱きしめたい』は11月13日(土)より公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:ゴースト もういちど抱きしめたい 2010年11月13日より公開
2010年08月03日映画『悪人』のジャパン・プレミアが8月2日(月)、東京国際フォーラムで行われ、主演の妻夫木聡、共演の深津絵里、李相日監督らが出席した。芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラー小説を原作に、殺人を犯した土木作業員の男・祐一(妻夫木さん)と、何も知らずに祐一と知り合い、愛し合ってしまった光代(深津さん)の、刹那的な愛と逃避行を通じ、真の悪人とは何者かを問題提起する物語。吉田さんが李監督と共同脚本を務めた。数日前に、8月26日(木)から9月6日(月)までカナダで開催される第34回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門への出品決定が発表されたばかりで、妻夫木さんは「結果がどうであれ、世界の人に観てもらえることが単純に嬉しい」。深津さんも「一人でも多くの人に観てもらいたい作品だと思っていたので、海外の人に観ていただける機会をいただけて、おっきな喜びを感じます」と改めてコメント。映画『フラガール』が第79回アカデミー賞外国語映画賞の日本作品代表に選出された経験のある李監督は「賞はみずもの。欲張るとよくないと『フラガール』のときに思った」とシニカルな調子で話した。一方で、タイトルにちなみ、それぞれが自身を「○人」と評するお題が出され、妻夫木さんは「仕事人」と書いたボードを掲げ、「本当は(主演した大河ドラマ)『天地人』と書きたかったんですが、李監督にブッ飛ばされそうなので」とトボケつつ「仕事人だと思っているので、仕事ください。結構、休みが多いんです」と無邪気に“就活”。深津さんは「凡人」と書いて「演じてなければ凡人、役に満たされているようなもの。趣味のないつまらない人間なんです」と照れ笑い。祐一の祖母役の樹木希林は「生辛人(いきづらいひと)」と読み上げ、「見たままです」と自嘲気味。李監督は「極悪人」と書きこみ「この作品でいろんな人にいろんな辛い思いをさせたので」と苦笑いだった。ほかに、祐一に殺されるOL・佳乃役の満島ひかり、佳乃の父親役の柄本明が出席した。『悪人』は9月11日(土)より全国東宝系にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会■関連記事:妻夫木聡らが日本代表に声援!…も、樹木希林は「サッカーは頭の細胞に悪そう!」
2010年08月02日映画『悪人』の完成報告会見が6月24日(木)、都内ホテルで行われ、主演の妻夫木聡をはじめ、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、原作者の吉田修一らが出席。李相日監督に対し登壇陣から次々に「しつこい!」とのコメントが浴びせられるひと幕があった。吉田さん自らが「代表作」と語るベストセラー小説の映画化作品で、ある殺人事件を軸に、その犯人と彼を愛した女、被害者、被害者の父に犯人の祖母、事件の鍵を握る大学生など複数の人間のドラマが入り乱れ、人々の内にある“悪意”、真の“悪人”の姿があぶり出される。妻夫木さんは本作への参加について「原作を読んでこの役を『やりたい』と純粋に思えて、映画化の権利がどうなってるか確認してもらった」と明かし、その思い入れの強さをうかがわせた。祐一は土木作業員ということで「実際に作業員のバイトしてみたり、ひとりで(物語の舞台の)長崎に行ったりもした。“良いこと”や“悪いこと”って自分でそう思っていても、実はそうじゃないこともあるし、理屈じゃない。その狭間にいるヤツが(自らが演じた)祐一。役を通じて自分と向き合い、自分を知りたかった」と熱い思いを吐露した。深津さんは「過酷な撮影で、あまり記憶がない(苦笑)」と撮影の凄まじさを感じさせるコメント。3度目の共演となる妻夫木さんについては「演じることにマジメで素直で温かい」と好印象のようで、これには妻夫木さんも「感無量」と笑顔を見せた。岡田さんはこれまでとは毛色の違う、“悪”を感じさせる役柄に「まさかこういう役が来るとは思ってませんでしたが、どこかで待っている自分がいた」と語り、監督の演出について「確かにしつこかった」と明かした。「原作をすんなり読めずに気持ち悪くなって吐いたりした。“素敵な意味で”吐き気がし、心がえぐられるような作品」と語った満島さんも「監督のしつこい演出に悩まされました。毎日、実家に帰りたくなった」と監督への苦情(?)を告白した。音楽を担当した久石譲も「(監督は)そこまでやるか?というほどしつこく粘る」と苦笑交じりに明かし、すっかり“しつこい男”のレッテルを貼られた李監督も「何と言ってよいのか…」と苦笑を浮かべていた。ユーモラスなコメントで会見を盛り上げたのは樹木希林。“日本を代表するキャスト、スタッフ”という宣伝文句に「触れ込みばかりで、どうかな?ということも多いんですが…今回は実際にその通りです」と語ったかと思えば、タイトルと監督名だけを聞いて本作への出演を決めたというエピソードについて尋ねられ「留守電とFAX。いつも、それだけで決めてます」とサラリ。さらに「プロデューサーから『群像劇なので予算がない』って散々言われて、群像劇だから予算がないってどういうこと?と思ってたんですが、(完成した作品の)出来が良かったみたいで、こんな立派なホテルで会見開けて。ギャラも、消費税分もついてきて」と内幕を暴露し会場の笑いを誘った。さらに、本日の深夜にサッカー日本代表がグループリーグ突破を懸けてデンマークと戦うことについて、妻夫木さんらほかのキャスト陣からは激励のメッセージが語られる中、樹木さんだけは「あんな固そうなボールがぶつかって、頭の細胞に悪いんじゃないかと。孫には(サッカーを)させたくない、と思ってます」ととぼけた口調で語り、再び会見場は笑いに包まれた。『悪人』は9月11日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会
2010年06月24日