女流作家・尼僧として活躍する瀬戸内寂聴が自身の不倫体験を元に描き、女流文学賞受賞作を受賞した代表作「夏の終り」(新潮文庫刊)が、『莫逆家族 バクギャクファミーリア』の熊切和嘉監督により同名映画化!満島ひかりが主演を務めることが発表された。1963年に発表されて以来、100万部を超えるロングセラーとなっている同作。妻子ある年上の男性・慎吾と同棲する主人公・知子と、ある日彼女の元を訪ねてきた年下の男・涼太との三角関係が描かれる。不倫相手の慎吾との平穏な生活に満足していると思っていた知子だが、かつて夫と子供を捨てて駆け落ちした男・涼太の出現により、微妙に狂い始める生活。知子は慎吾との生活を続けながら、涼太と再び関係をもってしまい…。妻子ある不遇な作家との長年にわたる愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされない。自身の女の業に苦悩しながらも、一途に独自の愛を生きようとするという難役に抜擢されたのが満島さん。6月5日にクランクインを迎えたが、「色っぽく、濃厚な脚本に出会いました。緊張しています。難しい、アァ、難しいと感じながらも、熊切監督の『良いっすねー』を聞いて終わる一つ一つのシーンが、どんどん愛しくなる毎日です。ほんと、映画っておもしろいです」とその言葉の端々に充足感があふれ出る。満島さん扮する知子を巡る2人の男性には、この2人。知子を愛し優しく見守りながらも、妻とも別れられない、年上の男の寛容さとずるさを併せ持つ男・慎吾を演じるのは小林薫。熊切監督からのオファーを二つ返事で引き受けたという小林さんだが、当時の心境については「また、金がないんだろうな~って」と余裕のジョーク。一方、知子を求め嫉妬と孤独に苦しむ年下の男・涼太を演じるのは、話題作への出演が続く若手俳優・綾野剛。「熊切和嘉監督との初組み、満島ひかりさん、小林薫さんとの共演に興奮を隠せません。また古き良き場所での撮影。鼠の心臓から象の心臓へと心のささくれが落ち着きます」と興奮の胸の内を明かす。今回の映画化について、瀬戸内寂聴さんご本人からは「映画やテレビにも度々なりました。今度はすべての配役が若返っています。どんなにフレッシュな夏を見せてくれるか楽しみです。この映画作りに関った方々、また観て下さる全ての方々に、心からありがとうと申しあげます」という期待と感謝の心こもるコメントが寄せられた。撮影は、兵庫県の古きよき建物が残る加古川などで撮影中で、今月25日(月)にクランクアップ予定。「花ざかりの女“知子”を、のびやかに生きていたい」という満島さんの新境地となる演技、2人の男と1人の女のコラージュに期待したい。『夏の終り』は2013年、全国にて公開。■関連作品:夏の終り 2013年、全国にて公開
2012年06月20日日本人ですもの…一生ものの和のお稽古をこの春からはじめてみない?「床代」「免状」「床お礼代」など、実際私たちにはよくわからない(!)料金体系を心配することなく、気軽にレッスンを受けられると話題の音楽教室、EYS MUSIC SCHOOLでは、この春受講者が急増している和楽器コースの無料体験レッスンを開催する。琉球畳を使用した、和室レッスンルーム今回無料体験できるのは、津軽三味線、尺八、箏、和太鼓、鼓、沖縄三線を含む32種類の楽器や、ヴォーカルコースといった、どれも普段からEYS MUSIC SCHOOLで人気のコースばかり。●EYS MUSIC SCHOOLのココがスゴイ!・無料楽器プレゼントEYSなら楽器を買うお金、手間が必要なし!ビギナーにとって悩ましいのが、「どんな楽器を買えばいいのか」という問題。「質を下げて安く購入して後から後悔するのも嫌だし、かといって最初から高い楽器を購入して途中で挫折するのももったいないし…」EYSでは、楽器のプロがオススメする楽器をプレゼント。安心して、気軽にレッスンを始められるよ。・人前で披露したくなる10数秒程度のメロディーを体得するEKG(宴会芸)メソッド時間の無い中で通う「大人のお稽古ごと」だからこそ、できるだけ楽しく効率的に「音」を「楽」しみたい!EYSでは基礎練習を繰り返すのではなく、誰もが聞いたことのある曲をまず習い、披露⇒嬉しい⇒練習、という好循環を生み出してくれる。例えば「ルパン三世のテーマ」や「火曜サスペンスのテーマ」など、聞き覚えのあるメロディーから習う宴会芸スタイルで、楽しみながら上達を目指そう!既存の音楽教室の常識を破壊した革新的な授業内容で、ケイコとマナブをはじめ様々なメディアで取り上げられている。宴会芸は新入社員のあなたも、即戦力として重宝されるポイントになるのでは?●EYS MUSIC SCHOOLの人気コースは?1位.サックス(受講者数700人)2位.ヴァイオリン(受講者数400人)3位.津軽三味線(受講者数250人)並み居る競合をおさえて、津軽三味線が3位にランクイン。和楽器の人気が実証されるという結果に。和楽器は和室でのお稽古ができたり、ゴスペルコースは本物のチャペルで受講できたりと、シチュエーションも斬新!今までにない画期的な音楽教室で、あなたもこの春新しいことを始めてみよう。お申し込み: HPより
2012年04月23日田中宏原作のコミック『莫逆家族』を、お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実主演で実写化した映画『莫逆家族〈バクギャクファミーリア〉』の予告編が公開され、本作の主題歌をロックバンドの10-FEETが担当することが分かった。予告編動画本作は、少年時代は暴走族のトップだったものの、現在は家族を養うために現場作業員として働く主人公・火野(徳井)が、かつての仲間・横田(阿部サダヲ)の娘が不良たちに暴行されたことをきっかけに再び立ち上がっていく姿を描いた物語。監督は『海炭市叙景』の熊切和嘉が務める。役作りのために、肉体を鍛え上げ、金髪に染めた徳井。今回公開された予告編には、リーゼント頭で特攻服の徳井が、“家族”と呼び合った不良仲間たちとバイクを乗り回すシーンをはじめ、その後更正して家族と仲睦まじく過ごす場面や、かつての因縁の敵と思われる存在と対峙し、再び暴力の世界に巻き込まれていく様子が映し出されている。「ストレートで解放感があるバンドの雰囲気がぴったり」という理由で起用された10-FEET。彼らが書き下ろした主題歌『コハクノソラ』についてプロデューサーの岡田真氏は、「歌詞にある“ああ間に合えば…”というフレーズを聴いて、来た! と思った。この曲を聴いて私たちは“間に合わなかった”男たちの物語を描いていたんだと再認識しました」と明かしている。物語のテーマとリンクする主題歌が流れる予告編を、いち早くチェックしてみてはいかがだろうか。『莫逆家族〈バクギャクファミーリア〉』9月8日(土)全国ロードショー
2012年04月20日熊切和嘉監督、徳井義実(チュートリアル)主演の映画『莫逆家族 バクギャクファミーリア』が、第4回沖縄国際映画祭の最終日3月31日にワールドプレミア上映され、主演の徳井、熊切監督、林遣都が上映前の舞台あいさつに登壇した。その他の写真阿部サダヲ、玉山鉄二、新井浩文、倍賞美津子、村上淳、大森南朋など演技派が揃うなかで主役をつとめた徳井は、「主演させてもらっていますが、共演者がすごい人たちばかりなので、これはやばいぞ!本気の映画なんだなと思いました。プレッシャーでしたね」と語り、撮影現場のエピソードについて「倍賞さんにびんたされるシーンはものすごい気迫でした。元アントニオ猪木さんの奥さんのびんたはすごいっ!」と芸人ならではのコメントで場を盛り上げた。伝説の暴走族のトップを演じるにあたっては、約1ヶ月半かけて加圧トレーニングに挑み肉体改造している。そんな徳井の起用理由を熊切監督は「華と影があって切なさを感じた。初めて会ったときも捨て犬のような感じでした(笑)」と明かした。徳井の演じる火野鉄の息子、周平を演じた林は、徳井の印象を「普段、テレビで見ている(芸人としての)徳井さんとは違って、想像以上に迫力がありました。下ネタを堂々と語るところとかは、男としてカッコいいです」と語り、また実際に鉄のような男性がいたら?という質問には「惹かれますね」と即答。この回答に徳井は、「全然、頼ってくれていいんですけどね。まあ、(林くんに携帯の)アドレスは聞かれなかったですけど(笑)」と、うれしそうだった。本作は、田中宏の同名漫画が原作。元暴走族の男たちが、ある事件をきっかけに再集結し、彼らのルールで仲間や家族を守ることを決意して戦う、家族の愛と絆を描いた感動ありバイオレンスありの人間ドラマだ。男性はもちろん女性にも観てほしいと言う願いを込めて徳井は、「草食系男子が増えている昨今、この映画には肉食系男子がたくさん出ています。“あたし、やっぱりこういう男が好きなんだわ!”と思うような、子宮に響く映画です!」と、徳井らしいアピールで舞台あいさつを締めた。取材・文・写真:新谷里映
2012年04月02日累計発行部数400万部を誇る田中宏の人気漫画を原作に、チュートリアル・徳井義実を主演に迎えて映画化された『莫逆家族バクギャクファミーリア』が完成し、3月31日(土)、第4回沖縄国際映画祭の長編プログラム「peace」部門に出品された。上映前には徳井さんと共演の林遣都、そして熊切和嘉監督が舞台挨拶を実施し、映画祭のフィナーレを飾るクロージングイベントにも参加した。一般の方への初披露は、映画祭最大の収容数を誇る800名キャパのシアターで行われた。同映画祭には毎年参加しているという徳井さんは、「僕は今回主演ですが、本当に周りの方々がすごい!特に、ドンばー役を演じる倍賞美津子さんにビンタされるシーンがあるのですが、そのビンタは正に大女優のビンタ!というくらい深いものでした」と主演作をアピール。伝説の元不良を演じるため金髪に染め上げ、筋力トレーニングを行ったそうだが、「加圧トレーニングジムに通って、プロテインを飲む生活を1か月半~2か月続けました。ホントに『なかやまきんに君』みたいな生活でしたが、いまはもう止めているので、オッパイが膨らんできています」とふり返り、会場の笑いを誘った。そんな徳井さんの現場での印象について、林さんは「徳井さんの演技は、普段テレビで見ている感じとは全然違いました。ゴツくて迫力があり、現場では無口で近寄りがたい感じ」と明かした。熊切監督も徳井さんを「華も陰りも切なさもある男」と称賛しつつ、「この映画のメッセージは…ただ体感してほしい!本当に良い役者が暴れまわる映画です!」と自信作を送り出した。『莫逆家族バクギャクファミーリア』は9月8日(土)より全国にて公開。■関連作品:莫逆家族バクギャクファミーリア 2012年9月、全国にて公開© 2011「莫逆家族」製作委員会第4回沖縄国際映画祭 [映画祭] 2012年3月24日から31日まで開催■関連記事:森田芳光の名作で芸能界デビューしていたエド・はるみ女優志望だった30年前を回想ともさかりえ、沖縄国際映画祭で夫・スネオヘアーをしっかりアピール「EXILE」AKIRAが父親役に初挑戦!沖縄国際映画祭プログラム発表30代限定!『莫逆家族バクギャクファミーリア』モニター試写会に10組20名様をご招待
2012年04月01日クールビューティ歌姫の熱愛発覚!アーティストとして幅広く活躍する中島美嘉が、バレーボール日本代表のスーパーエース、清水邦広と熱愛中であることが22日、報じられた。交際は約半年前にスタートしていたようだ。現在は中島が清水の住む大阪府内に通うかたちでデートを重ね、交際を続けているとか。クールビューティな歌姫の熱愛報道が注目を集めている。今後の2人の行方は?お相手とされた清水選手は2008年の北京オリンピックにもチーム最年少で出場。「ゴリ」の愛称でも親しまれ、ファンからも愛される存在で、いまやバレーボール界のトップエースとなっている。まさにビッグカップルの誕生だ。身長差は約32cmというが、2人のあいだに溝はなさそう。音楽関係者によると、中島はバレーボール好きで、これまでにもプレミアリーグの試合をたびたび観戦に訪れていたのだという。清水の所属するパナソニック-パンサーズの広報担当は、プライベートなことなので、と明確なコメントを避けたそうだが、否定することはなかった。今後、このカップルの行方が注目されそうだ。元の記事を読む
2012年03月23日その名の通り「熊の脂」韓国発の「オルベアオイル」が10月24日に日本上陸した。オルベアオイルの商品はハイドロリピッドベアオイル、オルベアオイル クレンジングバー、オルベアオイル モイスチャーライザー、スーシングクリームと、その4つがセットになったベーシックケアセットと、サンローションが販売される。株式会社オルカンパニーは世界で初めて熊の脂を「ベアオイル」としてアメリカ国際化粧品原材料(ICID)に登録した。熊脂は、韓国だけでなく、中国、北米インディアン、古代エジプトでも美容にいいと言い伝えられてきた。「オルベアオイル」は無着色料・無香料・無凝固剤の無添加で作られている。オープン記念に特別価格!通常価格が17,850円のベーシックケアセットが10月24日から11月30日までの期間は、特別価格の16,800円で販売される。シンプルな熊のロゴがとてもかわいらしい。使い方は、クレンジングバーでクレンジングをし、モイスチャーライザー、スーシングクリームの順につける。ハイドロリピットベアオイルは入浴の後などに、特に乾燥がひどい局所に使う。スーシングクリームはモイスチャーライザーの2倍、熊脂が配合されている。元の記事を読む
2011年10月25日江戸時代の機構で完全再現された「和時計」の復刻モデルをつくりあげる『週刊 和時計をつくる』が、2011年8月30日(火)に創刊する、デアゴスティーニ。本シリーズで完成する「和時計」は、現存する和時計(台時計)を調査研究し、新たに図面を描き起こして復元したモデルだ。江戸時代のからくり技術を西洋の時計機構に応用し作り上げた和時計を忠実に再現。マガジンでは、和時計にとどまらず、江戸時代の画期的な発明や、世界の機械式時計の歴史、「時」にまつわるエピソードを紹介。時計や歴史が生んだテクノロジーについて知ることで、より深く「和時計」を楽しんでいただける内容になっている。また、組み立て方や付属の工具の使い方も、初心者でもわかりやすいように写真付きで、全ての手順を徹底的にフォロー。和時計の組み立てを通して、時空の旅なんていかが?
2011年08月19日和央ようか主演のミュージカル『ドラキュラ』の製作発表が7月21日、都内で行われ、和央をはじめ花總まり、安倍なつみ、鈴木綜馬、小西遼生らが登壇した。和央がドラキュラ伯爵役を女性として世界で初めて演じ、また宝塚退団後初の男役に挑むとあって、注目を集めた。ミュージカル『ドラキュラ』他の写真本作はブラム・ストーカーによる怪奇小説を原作に、『ジキル&ハイド』で知られるフランク・ワイルドホーンが作曲を、ドン・ブラックとクリストファー・ハンプソンが作詞・脚本を手がけたミュージカル。2001年での米国カリフォルニア州で地方プレミアを皮切りに、2004年にはブロードウェイに進出、その後2007年に行われたオーストリアのグラーツで1か月上演されたものを、今回日本版として本邦初演する。ワイルドホーンが和央の宝塚退団演目『NEVER SAY GOODBYE』の作曲を手がけている縁もあり、和央版ドラキュラのために新曲「I HAVE ACHOICE(選ぶべきもの)」を新たに書き下ろしている。製作発表では和央が新曲「I HAVE A CHOICE(選ぶべきもの)」を、花總は「IF I HAD WINGS (翼があれば)」を歌唱披露した。いずれも切なくドラマチックなメロディラインで綴られており、和央は役作りに関して「今回はドラキュラのシンプルなストーリーですが、素敵なフランクさんの曲が乗っているので、その曲に自分の感情を上手く合わせていけばいい」とし、「『ドラキュラ』という作品は世界中にさまざまなバージョンがあるが、あまり何かの作品のドラキュラを真似しようとは思っていない」と語った。また今回、和央はミーナ役の花總、ルーシー役の安倍、ジョナサン役の小西の血を吸い、ヴァン・ヘルシング役の鈴木と対峙するが、そんな和央に花總は「稽古場でルーシーを襲っていく姿が第三者として見ていてドキドキする」とコメント。一方、和央は「毎日いろんな方の血を吸わせていただいて、とても楽しくクセになりそう」とおどけて見せた。「人の血を吸って生きることは、愛する人を食べちゃいたいくらい愛おしく思ったり、もしかすると愛を与えたりすることかもしれない。世界初、女性が演じるドラキュラだからこそ、その内面に迫ってみたい」と語るのは演出の吉川徹。中性的でミステリアスな和央版ドラキュラは、8月20日(土)から9月11日(日)まで東京国際フォーラム ホールCにて。その後、9月15日(木)から18日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演する。チケットはいずれも発売中。なお東京公演は7月30日(土)まで、特製クリアファイル付チケットの発売キャンペーン(S席)を実施中。
2011年07月25日角田光代のベストセラー小説を映画化した『八日目の蝉』の完成披露試写会が4月18日(月)、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで行われ、歌手の中島美嘉が主題歌「Dear」を熱唱した。耳管開放症を患い、昨年10月から活動休止に入った中島さんが、公の場で歌声を披露するのは今回が初めてとなる。中島さんは昨年10月下旬、6作目のアルバム「STAR」のリリース間近に耳管開放症の症状悪化に伴い、制作、プロモーションを含めて全てのアーティスト活動を休止。デビュー10周年を記念して、自身初となる日本武道館、そして大阪城ホールで行われる予定だったライヴも中止が発表された。その後、治療に専念した中島さんは、順調に快方に向かい、新曲「Dear」で活動を再開することに。“これぞ中島美嘉”といえる仕上がりのバラードで、中島さんの復活を鮮明に印象付けている。そんな中島さんが昨年10月に行ったという番組収録以来、約半年ぶりに歌声を披露。復帰を待ち焦がれていたファンから「おめでとう」の声も聞こえる中、中島さんはステージ上で素足になって準備万端。そして休養前と変わらぬ圧倒的な歌声で、会場を温かく包み込んでいった。これには舞台挨拶に登壇した主演の井上真央も「いろんな感情を思い出してしまって…」と感激の涙。その後は言葉にならなかったのか、多くは語らずに感動に浸っていた。中島さんは「映画を観てから作った楽曲なので、映画と一緒に楽しんでもらうのが一番合うはず。恋人や家族愛も含めた、大きな愛を歌っている」と楽曲への思いを明かした。『八日目の蝉』は不実な男とその妻の子供を誘拐した女・希和子、その誘拐犯に愛情いっぱいに4年間育てられた娘・恵理菜(井上さん)の数奇な運命を通して、女として生まれたことの痛ましいまでの悲しみ、そして生き抜く強さを描く。「撮影中は『こんなに壁にぶつかるなんて』と思うほど、悩みに悩んだ役柄で、思い入れも強い」と井上さん。「観終わった後に、一筋の光や希望、生命力を感じてほしい」とアピールしていた。舞台挨拶には井上さんをはじめ、永作博美、森口瑤子、そして成島出監督も出席した。『八日目の蝉』は4月29日(金・祝)より全国にて公開。■関連作品:八日目の蟬 2011年4月29日より全国にて公開© 2011「八日目の蟬」製作委員会■関連記事:三池崇史監督、永作博美の授乳シーンに思わず興奮!?「オレが演出したかった」井上真央×永作博美 実力派女優が共演『八日目の蟬』試写会に25組50名様ご招待難題や事情を抱えた世の女性たちへ『八日目の蝉』成島出監督が花束のエール!井上真央が新境地に挑む『八日目の蟬』完成披露試写会に10組20名様ご招待永作博美『八日目の蟬』で自ら髪を切る!「サッパリして良かった」とあっけらかん
2011年04月18日耳管開放症を患い、昨年10月より活動を休止していた歌手の中島美嘉が、4月公開の映画『八日目の蝉』の主題歌となる新曲「Dear」で活動を再開することが発表された。中島さんは昨年10月下旬、6作目のアルバム「STAR」のリリース間近に耳管開放症の症状悪化に伴い、制作、プロモーションを含めて全てのアーティスト活動を休止。デビュー10周年を記念して、自身初となる日本武道館、そして大阪城ホールで行われる予定だったライヴも中止が発表された。その際、「ライヴを楽しみにしてくれたファンに対してお詫びしたい」という本人の希望で、武道館、大阪城ホールでは全公演分、中島さん自身が姿を現し、中止の発表にもかかわらずつめかけたファンに向けて、異例のお詫びを行った。その後、治療に専念し順調に快方に向かっていき、このたび、新曲「Dear」で活動を再開することに!今回のリリースは先述の6作目アルバム「STAR」以来、半年ぶり。表題曲「Dear」は、昨年USEN総合チャートで年間1位に輝いた名曲「一番綺麗な私を」と同じく、杉山勝彦の手による“これぞ中島美嘉”といえるバラード曲に仕上がっている。カップリングは先の中止になったライヴの際に、武道館と大阪城ホールで中島さんの挨拶が終わった後に、ファンから合唱が起こった「A MIRACLE FOR YOU」をリアレンジ&再レコーディングして収録している。4月27日(水)のリリースを前に、22日(金)からは、こちらもファン待望の全国ツアー「MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2011 【THE ONLY STAR】」がスタートする。初日のサンシティ越谷から7月まで、全国33本に及ぶ大きなツアーとなっており、ここで中島さんの元気な姿を生で見られそうだ。映画は直木賞作家・角田光代の初の長編同名サスペンスが原作。永作博美演じる希和子は、不倫相手の赤ん坊を誘拐し逃亡生活を続け、血の繋がりのない娘に愛情を注ぐが、4年の逃亡の末に逮捕される。このときの赤ん坊・恵理菜は、本当の家庭に戻るも、そこに彼女の居場所はなく、やがて大人になった彼女は皮肉にも不倫相手の子供を身籠ってしまう――。この恵理菜を、これまでのイメージを覆し井上真央が熱演。希和子と恵理菜の“母娘”の姿を通じて女の性(さが)を残酷に、そして力強く描き出す。中島さんは活動再開に際し「昨年、休養発表をした際にファンの方や関係者の方からたくさんの温かい励ましを頂きました。この場を借りて感謝申し上げたいと思います。休養中でも、みなさんのお陰で必ずあの舞台に戻る!という決意が揺らぐことはありませんでした。本当にありがとうございました。4月からの全国ツアーではいつものように毎回激しく緊張するかと思いますが、私にとってライブは感謝を直接伝えられる場所。恩返しのつもりで私のベストを出したいと思います。特に気持ちは100%出し切るつもりで頑張ります。一緒に幸せになれたら最高です!」と力強いコメントを寄せてくれた。映画については「登場する方たちがそれぞれ長い間、秘密を抱えてその痛みが愛に変わってゆく心の深いところでの人と人の繋がりというものを感じられました。そんな素晴らしい映画のお手伝いをさせて頂けることをとても光栄に思い、精一杯がんばらせていただきます」と意気込みを語る。井上さんは「ファンのみなさんと同じく、中島美嘉さんの復帰はとても嬉しいですし、この映画のために素敵な曲を書き下ろして下さったことをとても光栄に思っています。中島さんは以前から好きでよく聴いていましたが、今回のバラード曲も何度もリピートして聞いてしまうほど、とってもいい曲で大好きです。映画と共にみなさんのもとへお届けできる日を私も楽しみにしています」と喜びのコメントを発表。恵理菜の感情がスクリーン一杯に溢れ出すシーンで終わるという本作。「恵理菜の思いをこれ以上ないほどに表現してくれるに違いない、と確信しオファーした」と本作の石田雄治プロデューサーは語る。なお、本作の前売鑑賞券発売が2月11日(金・祝)より全国の劇場窓口にて開始。特典として作品のタイトルにちなんで「セミクリップ」がついてくることに。限られた命しか生きることのできない蝉の鳴き声よりも、強く、切なく――。中島さんの歌声は、映画を観終わった女性たちの心にどのように響きわたるのか?「Dear」は4月27日(水)リリース。『八日目の蝉』は4月29日(金・祝)より全国にて公開。■関連作品:八日目の蟬 2011年4月29日より全国にて公開© 2011「八日目の蟬」製作委員会■関連記事:井上真央の切ない笑顔に引き込まれる!『八日目の蟬』特報が解禁井上真央が不倫相手の子を身籠る妊婦役で新境地!共演に永作博美
2011年02月10日お笑いコンビ、チュートリアルの徳井義実が1月21日(金)、都内の美容室で単独初主演映画『莫逆家族―バクギャクファミーリア―』(熊切和嘉監督)の役作りのため人生初の髪染めに挑み、金髪に変身した。同作は田中宏さんの同名コミック(講談社刊)の実写化で、30代を迎えた元・伝説の不良少年たちがある事件をきっかけに愛する者を守るための闘いに臨む物語。徳井さんは、かつて17歳で関東トップの暴走族の総会長を襲名した男・火野鉄役。この日の午後6時過ぎ、上京以来の行きつけという美容室で髪染めスタート。椅子に座り、美容師の手が髪に入ると「めっちゃ緊張するわ〜。35になって急に染めるとは…。一生ないことだと思っていたんで不思議な気持ちや」と目をパチパチさせつつ「サッカーの本田(圭祐)選手みたいになったらええな」と調子のいい言葉も。これまで髪を染めた経験がなかったことには「男は黒髪!という思いがあったんで。やっぱり日本人、アジア人のアイデンティティのひとつですから。染めようと考えたこともなかった」と骨太なポリシーがあった。だが、今回単独初主演の大役ということもあり「芝居で大したことはできないですが、できるだけのことはやらせていただこうと思いまして」と謙虚な姿勢で臨んでいる。まず前半のブリーチが終わり、茶色がかった金髪になった姿を鏡でしげしげと見つめ、「思ってたよりチャラチャラした感じになった!」と驚きの表情。スタッフからは「似合うね〜」と声が上がった。自身の携帯電話で写真を撮り、急性すい炎を患い療養のため都内の病院に入院中の相方、福田充徳にメール送信すると、すぐに返信があり、「そんなことより、俺のひげ、かっこいいやろ、だって」と読み上げて楽しげな表情を浮かべた。金髪にしている期間中、やってみたいことは?と尋ねると、「ビジュアルバンドやホストの格好をしてみたい」。ちなみに「金髪美女?興味ないですね。黒髪の方がいい」ともコメント。「似合わへん、言われたらショックですね」とちょっぴり心配する姿も見えた。美容師に「いつシャンプーしたらええ?」と尋ねると、「明日、我慢できるなら明後日」と言われ、つらそうな顔を浮かべた。ブリーチ後、立ち会った熊切監督と美容師のチェック。熊切監督は「金髪にしてから伸びて、黒い部分が出てきてプリンみたいになっている感じ、がいい。きれい、じゃなく、モサモサしてワイルドで」とオーダーしており、「もう少し黄味を消したいね」と再オーダー。その後は2度の色入れを経て、約4時間かけて完成した。徳井さんは「うわぁ!」と驚きの声をあげつつ「ありやな〜」とニンマリ。美容師から「男前は何をやっても男前ですね、似合いますよ」と褒められると「そうですね」とすまし顔。だが「監督さえ喜んでくれれば」と言って振り向くと、熊切監督は店の外でタバコを吸っていて不在というオチがつき「この大事なときに…」とボヤいていた。元・不良の金髪に変身した。同作は22日(日)にクランクイン。約1か月半の予定で撮影予定。映画『莫逆家族―バクギャクファミーリア―』は11月、全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:莫逆家族―バクギャクファミーリア― 2011年11月、全国にて公開
2011年01月21日第23回東京国際映画祭のクロ―ジングセレモニーが10月31日(日)、東京・六本木ヒルズ内で行われ、最高賞の東京サクラグランプリにイスラエルのニル・ベルグマン監督作『僕の心の奥の文法』、審査員特別賞に新藤兼人監督の『一枚のハガキ』を選出し、閉幕した。ベルグマン監督は、2002年の第15回に続く2度目のグランプリ獲得で「8年前にサクラグランプリをもらい、その映画(『ブロークン・ウィング』)は成功した。いつも映画作りで大切なのはプロセスだと言ってきて、いまもそう思っていますが、賞も大事」と話し、一緒に登壇した出演女優のオルリ・ジルベルシャッツをかたく抱擁。映画祭大使の木村佳乃からトロフィーを手渡され、またオルリと手を握り合って喜んだ。審査員特別賞は、日本の現役最高齢映画監督、新藤兼人の『一枚のハガキ』。車イスで登壇すると「スタッフ、キャスト、観てくださった方々に感謝したい、選んでくださった審査員の方々に厚く御礼申し上げます。長く映画をやってきましたけれど、これが私の最後の作品でございます。98歳になりました。これ以上は無理だと思います。この辺でお別れをすることになります。みなさんもどうか元気でいい映画を作ってください」とゆっくりだが、しっかりした口調で映画ファン、そして“後輩たち”へメッセージを送った。コンペティション部門の審査委員長ニール・ジョーダン監督は「日本の巨匠、新藤監督の作品を含む審査をできたことは光栄」、審査員特別賞のプレゼンターを務めた同部門審査員のひとり、根岸吉太郎監督も「この方の反戦に対する強い執念に、我々は心を打たれました」とそれぞれ敬意、称賛の意を表した。最優秀男優賞は『鋼のピアノ』のワン・チエンユエンが受賞。「初めて参加した映画祭で初めての賞。十数年来、俳優の仕事をしてきた中で大きな励み。幸せな午後です」と大柄な体を揺らして喜んだ。最優秀監督賞は『サラの鍵』のジル・パケ=ブレネール監督で、観客賞受賞に続いて登壇し「コンニチワ、アゲイン。自分はベストディレクターだとは思っていない。ここに来て素晴らしい監督たちとご一緒できました」と謙虚な姿勢で語った。第23回東京国際映画祭受賞一覧<コンペティション部門>東京 サクラ グランプリ:『僕の心の奥の文法』審査員特別賞:『一枚のハガキ』最優秀監督賞:ジル・パケ=ブレネール(『サラの鍵』)最優秀女優賞:ファン・ビンビン(『ブッダ・マウンテン』)最優秀男優賞:ワン・チエンユエン(『鋼のピアノ』)最優秀芸術貢献賞:『ブッダ・マウンテン』観客賞:『サラの鍵』<アジアの風(出品23本)>最優秀アジア映画賞:『虹』シン・スウォン監督コメント「低予算で作り、小さな映画館でしか上映されていない作品が、このような大きな場で上映されて光栄という思いで、この間の木曜日に一度韓国に帰りました。そうしたら一昨日の夜、もう一度日本に来てほしいと連絡をいただき、とても驚きました。もっともっと頑張れという意味でいただいた賞だと思っています」アジア映画賞 スペシャル・メンション:『タイガー・ファクトリー』<日本映画・ある視点部門(出品8本)>作品賞:『歓待』深田晃司監督コメント「規模の小さい作品で今年撮りました。暑い中、倒れるスタッフが出るようなこともありましたが、それがこのような賞をいただけてとても嬉しいです」。<TOYOTA Earth Grand Prix>グランプリ:『水の惑星ウォーターライフ』審査員特別賞:『断崖のふたり』(photo/text:Yoko Saito)特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF■関連記事:【TIFFレポート】新藤兼人映画製作打ち止めを撤回?「また作ってもいいかな」【TIFFレポート】新妻・木村佳乃笑顔と華やかドレスでTIFF閉幕に華TIFFインタビュー『海炭市叙景』南果歩×谷村美月×竹原ピストル×熊切和嘉【TIFFレポート】加瀬亮映画初主演作と同じ脚本家作品に「光栄でプレッシャー」TIFFクロージングにハズレなし?『ザ・タウン』“監督”ベン・アフレックに称賛の声
2010年10月31日女優の木村佳乃が10月31日(日)、東京・六本木ヒルズ内で行われた、第23回東京国際映画祭(TIFF)のクロージングセレモニーに出席。23日(土)のTIFF開幕の当日、少年隊の東山紀之との入籍を発表してから初めての公の場で、取材陣、観客から祝福の声を浴びた。就任3年目の映画祭大使として出席したもので、セレモニー冒頭のグリーンカーペットで最初に姿を見せると、カメラマンのフラッシュ放射を浴び、取材陣から「幸せ?」などの声が飛んだが笑顔を見せるだけでコメントはなし。結婚指輪の代わりに右手中指にリングなどハリー・ウィンストンのアクセサリー、アルベルタ・フェレッティのピンクのドレス、セルジオ・ロッシの靴という艶やかなファッションで、新妻フェロモンを全開にしていた。TOHOシネマズ六本木ヒルズ内で行われた授賞式セレモニーでは、コンペティション部門の最高賞、東京サクラグランプリの発表時にプレゼンターとして登場。受賞したイスラエルのニル・ベルグマン監督に恭しくトロフィーを手渡し、拍手を送った。退場時には数回、足を止め、客席へ向かって手を振って晴れやかな笑顔を振りまいていた。(text:Yoko Saito)特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF■関連記事:【TIFFレポート】新藤兼人映画製作打ち止めを撤回?「また作ってもいいかな」【TIFFレポート】新藤兼人監督ラスト作品に審査員特別賞最高賞はイスラエル作品TIFFインタビュー『海炭市叙景』南果歩×谷村美月×竹原ピストル×熊切和嘉【TIFFレポート】加瀬亮映画初主演作と同じ脚本家作品に「光栄でプレッシャー」TIFFクロージングにハズレなし?『ザ・タウン』“監督”ベン・アフレックに称賛の声
2010年10月31日日本映画界現役最高齢監督の新藤兼人が10月31日(日)、東京・六本木ヒルズ内で行われた、第23回東京国際映画祭の受賞者会見に出席し、監督引退発言を“撤回”し、次回作に意欲を見せた。コンペティション部門に出品した最新作『一枚のハガキ』で、審査員特別賞を受賞。これまで「映画作りはこれが最後」と語ってきたが、この日の会見では「世界には102歳の監督がいるらしい。103歳までやってギネスに載ってほしい」と熱い質問を受け、「死が直前に迫っていますから、98歳で後が短いですから固い約束はできません。これが最後と思ったけれど、誰か応援して下さる方がいれば、またやってもいいかなと思います」と次回作へ意気込み。また映画作りの信条について、「1950年に独立プロをたてて60年ほど経ちました。はじめからお金がなくて金策に奔走する毎日で、とにかく泣かないで、転んでも泣かないで、泣いても映画は作れないから、前を向いて映画を作ってきました」。続けて「いよいよ98になり後がなくなりました。これで終わりだと思って『一枚のハガキ』を、最後だから言いたいことを全部言う気持ちで作りました。この映画がツイていて賞をもらったら、『またやったら』と言う人がいるけど、もうダメ」と再び最後を匂わせる言葉。先に質問した男性から「もう1本撮ろう!」と声がかかると、「そう?励ましてくれる人がいなきゃやれない。非常に面白い仕事だけどキツイ仕事。で、いつも金がない。金をどう作るか、金を拾い集めなきゃいけない大変な仕事。魅力的だから映画を作る仕事をやってきたんです」と映画人生をふり返りつつ心境を吐露した。一緒に会見したコンペ部門の観客賞、最優秀監督賞W受賞のフランス人監督ジル・パケ=ブレネール氏も「新藤さんのおっしゃる通り、監督とは常にお金を乞わなければいけない」と険しい顔つき。一方で、「新藤さんの年齢まで映画を撮り続けたい」と明るい笑顔で敬意を口に。退場時には、固い握手を交わしていた。(photo/text:Yoko Saito)特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF■関連記事:【TIFFレポート】新妻・木村佳乃笑顔と華やかドレスでTIFF閉幕に華【TIFFレポート】新藤兼人監督ラスト作品に審査員特別賞最高賞はイスラエル作品TIFFインタビュー『海炭市叙景』南果歩×谷村美月×竹原ピストル×熊切和嘉【TIFFレポート】加瀬亮映画初主演作と同じ脚本家作品に「光栄でプレッシャー」TIFFクロージングにハズレなし?『ザ・タウン』“監督”ベン・アフレックに称賛の声
2010年10月31日第23回東京国際映画祭(TIFF)でコンペティション部門に出品された日本映画2作のうちのひとつ『海炭市叙景』。その才能を高く評価されつつも生前、不遇を囲った作家・佐藤泰志の遺作となった小説を映画化した本作。自身も北海道の出身である熊切和嘉監督は、佐藤さんが実際に作品のモチーフとした北海道の函館市でロケを行い、静かな、そして確かな“生”の物語を積み上げていった。TIFFでの上映を記念して、熊切監督と谷村美月、南果歩、そして熊切作品の常連、竹原ピストルに話を聞いた。決して大きな事件が起こるわけでもドラマチックな何かがあるわけでもない。海炭市で暮らす市井の人々の暮らしが綴られる。――まずはキャストのみなさんに。最初に脚本を読み、物語に触れたときの印象は?そしてこの作品に「出たい」と思ったポイントは?南:私が出ているエピソードは、連れ添ったある夫婦が少しずつ噛み合わなくなっていき、でも一つ屋根の下に暮らしている、という物語。読みながら、シナリオに書いてある以前の2人の心の遍歴、ここには書いていない時間を感じることができたんです。原作も読んでいたんですが「あぁ、いい本だな」と素直に思いました。それはほかのエピソードも同じで、出てくる人々の人生が感じられるんですね。熊切監督がこのお話をどう撮るのか?そこも興味津々でした(笑)」。谷村:私は、まず脚本を読む以前から、熊切監督と一緒にお仕事をさせていただきたいという気持ちがすごくあったんです。それでお話を読んでみて、こういう“雰囲気”、“空気”を持った作品にずっと出たかったけど、これまで縁がなくて…どちらかというと役柄に対して分かりやすい作品が多かったというか。だから素直に自分で出たいと思える作品で熊切監督に声を掛けていただけてすごく嬉しかったです。竹原:僕もまず「やった!また熊切さんの作品に出させてもらえるぞー!やるやる!」って感じでして(笑)。そこから読んでみて、こういう話か。「自分なら、最後にこういう決断はしないだろうな」という違和感を持ったんです。じゃあ実際、やってみたらどうなるか?という好奇心があってやってみました。――“違和感”を抱えつつ、実際に演じてみての感想は?竹原:絶対的に自分とは違う、そういう思いを持ちつつ演じてみて…やはりというべきか…やってみて切なくなりましたね。――監督はこの物語とどのように向き合い、どういう作品にしたいと考えていたのでしょうか?熊切監督:原作も映像的な部分が強いので、読んでいく内にイメージがわいてきましたね。そして何より原作に“嘘”がないんです。人間の綺麗なところも、汚いところも全てを肯定して描いていて、だからこそ存在感がある。僕も北海道出身で、以前から例えば家族や友人だったりという、地元の生活者の目線の物語を撮りたいと思っていたんです。そう思っていたところで、ちょうどこのお話をいただけました。――製作の過程や予算、公開の規模なども大手の大作とは全く異なる道のりを歩み、ここまでこぎつけた本作。作品が辿ってきたプロセスそのものが、どこか映画の内容とも重なるように感じられますが…。熊切監督:あまり確信を持って、狙ってそういう方向に持っていこうという意識はなかったです。ただ、状況でそうなっていったという感じで。でも、地元の方の佐藤さんへの思いは本当に熱い。その意思はしっかりと受け継ぎたいとは思ってました。だから、地元の方にも多く参加してほしいと思ったし…そういうひとつひとつの思いを積み重ねて作り上げていきましたね。――谷村さんは、印象深いシーンとして、兄(竹原さん)と2人で朝日を見るシーンを挙げています。また、監督の演出の印象を「ただ、そこにいるだけでいい」という言葉で表現されていましたね。谷村:説明するのが難しいんですが…(苦笑)。これまで私が参加してきた作品では、相手の役者さんがいようが映っていまいが、目線だけで芝居をする――つまり、お芝居の中でお芝居をしているような、そこに“ある”と見せかけるようなことが多かったんです。そういう中で熊切監督は、どれだけ時間がかかっても、そこに必要なもの、あるべきものを実際に用意する。逆に“素直にリアクションする”ということを難しく感じる現場でした(笑)。でも、そこで実際に朝日を見て「あぁ、人は実際に朝日を見たら、こういう反応をするんだな」というのを知ることができた。それは役者としてだけではなく、谷村美月としても。そういう状況にならないと自分は分からない、そういう発見がたくさんありました。――南さん、竹原さんにも改めて作品中、もしくは撮影で印象に残っている部分や全てを終えての思いなどを教えていただけますか?南:映画の中の何てことない電車の乗客の表情や、坂道を上がっていくうしろ姿…そういう日常のひとコマが随所にあるんですが、それがすごく好きです。同じ街に住んでいて、顔見知りだったりそうでなかったり、道ですれ違ったり。人生は交差しているようで、実は人とはなかなか交じり合えない、そんな真理が何気ないショットに出てくるんです。竹原:さっきも言いましたが、“違和感”をずっと持ちながらやっていて(笑)。全てが終わったとき「そうするしかなかったんだな、お前は」とは思わなかった。でも「それでしょうがなかったのかな」と思えるくらいには肯定できるようになってました。うまく言葉にできないけど、それがこの映画の優しさであり、魅力なのかな、と。出てくる人たちに「そうだ!それでいい!」とは言ってやれないけど「そうだよなぁ…生きるって、そうだよなぁ…」って共感してしまい「頼むから幸せになれよ、お前!」とそういう気持ちの入り方をしてしまう不思議な映画なんです。それが“何”なのか、言葉にはできない。だからこそ、見て感じてほしい。海炭市の街並み、人々の息づかいから――。特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF海炭市叙景 2010年11月27日より函館先行公開、12月上旬、渋谷ユーロスペースにて公開© 2010佐藤泰志/『海炭市叙景』製作委員会■関連記事:【TIFFレポート】加瀬亮映画初主演作と同じ脚本家作品に「光栄でプレッシャー」TIFFクロージングにハズレなし?『ザ・タウン』“監督”ベン・アフレックに称賛の声【TIFFレポート】『チェブラーシカ』原作者ビックリ?日本の観客は「大人ばかり」【シネマモード】今年はドレスも省エネ気味?第23回東京国際映画祭【TIFFレポート】堀北真希初の究極悪女役「すごく悩みました」
2010年10月28日第23回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品中の映画『海炭市叙景』が10月28日(木)、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、主要キャストの加瀬亮、谷村美月、熊切和嘉監督らが舞台挨拶に立った。小説家の故・佐藤泰志が、故郷・函館をモデルにした架空の寂れた地方都市で様々な事柄を背負いながら生きる人々の姿を描いた同名小説の実写化。劇中、5つのストーリーが描かれ「裂けた爪」で自身は不倫をし、再婚した妻による連れ子への虐待に悩む男を演じた加瀬さんは「日の当らない人たちばかりが出てきます。日陰で生きている人たちの息づかいを感じていただきたい」と呼びかけ。一方で「初めて映画で主演させてもらった『アンテナ』と今回の映画が同じ脚本家さん(宇治田隆史)で、あれから7年経ってやらせていただけたことを、プレッシャーもありましたが光栄に思いました」としみじみ。谷村さんは「まだ若い廃墟」でリストラされた兄と寂しい正月を迎える妹役。函館ロケについて「最初はザコ寝と聞いていたんですけど、向こうの方がビジネスホテルを用意してくれたり、主婦の方たちがご飯を用意してくれたりして、芝居に集中させていただきました。演じることがこんなに楽しかったのは初めてでした」と笑顔でふり返った。また「熊切監督とは、京王線でばったり会ったことがあって、いつか仕事をご一緒したいと思っていたのが叶いました」と意外な出会いを明かしていた。ほかに、南果歩、小林薫、三浦誠己が出席。同日、六本木ヒルズ内で記者会見、ティーチインも行われた。『海炭市叙景』は11月27日(土)より函館先行公開、12月18日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開。(photo/text:Yoko Saito)特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF海炭市叙景 2010年11月27日より函館先行公開、12月上旬、渋谷ユーロスペースにて公開© 2010佐藤泰志/『海炭市叙景』製作委員会■関連記事:TIFFインタビュー『海炭市叙景』南果歩×谷村美月×竹原ピストル×熊切和嘉TIFFクロージングにハズレなし?『ザ・タウン』“監督”ベン・アフレックに称賛の声【TIFFレポート】『チェブラーシカ』原作者ビックリ?日本の観客は「大人ばかり」【シネマモード】今年はドレスも省エネ気味?第23回東京国際映画祭【TIFFレポート】堀北真希初の究極悪女役「すごく悩みました」
2010年10月28日開催中の第23回東京国際映画祭(TIFF)でクロージング作品として上映される『ザ・タウン』の撮影現場の様子を捉えた画像が到着した。ベン・アフレックが監督、脚本、主演の3役をこなしている本作。TIFFのオープニングを飾った『ソーシャル・ネットワーク』や、同じくTIFFの初日に本編映像の一部を世界初上映した『トロン:レガシー』などと比べ、会期中のキャスト陣の来日などがないだけに、やや地味な印象を受けてしまいがちだが、作品およびベンの監督としての手腕にかなりの高評価が寄せられているという。本作はボストン近郊を舞台にしたクライム・ムービー。全く証拠を残さない完全犯罪に命を張ってきた強盗一味のリーダー・ダグ(ベン)は、ある偶然から人質にとった女性と恋に落ちてしまう。彼女との新しい人生を願う一方で、古くからの仲間たちは彼が一味を抜けることを決して許しはしない。FBIの執拗な捜査も迫り来る中、メジャーリーグのスタジアム襲撃という最後の大仕事に向かうのだが…。日本では『アルマゲドン』の印象が強いベンだが、“映画製作者”としての評価も高く、幼い頃からの盟友マット・デイモンと共に書き上げた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の脚本がオスカーとゴールデン・グローブ賞を受賞。日本では未公開ながら初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』はナショナル・ボード・オブ・レビューやボストン映画批評家協会賞などの新人監督賞を受賞している。『ザ・タウン』は全米初登場1位を獲得し、公開6週を過ぎても依然としてTOP10圏内に残っており(10月25日現在)、累計8,400万ドル以上を稼ぎ出し、『ソーシャル・ネットワーク』と共にアカデミー賞有力候補とも言われている。今回到着した写真に写っているジョン・ハムは、本作への出演の経緯について「ベンが監督と聞いて俄然、興味がわいたよ。彼の作品の大ファンだったし、今回の作品にも夢中になったね」と語っている。また、ベンが演じるダグと恋に落ちるクレアを演じたレベッカ・ホールは、現場でのベンの様子について「ベンが監督業と役者業を完全に区別している姿を見て興味深いと思ったわ。でもその2つを分けることはすごく大事なことだと思うの。何しろ監督業と役者業っていろんな意味で全く違うものだからよ。でもベンはこのバランスが見事にとれていたと思うわ」と称賛を送る。ちなみに近年、TIFFのオープニングおよびクロージングで上映された作品は、その後の日本での劇場公開でヒットを記録するという法則が確立しつつあると言われている。一昨年の第21回のオープニングは『レッドクリフ PartI』で、クロージングはアニメーション映画『ウォーリー』。前回第22回はオープニングが海洋ドキュメンタリー『オーシャンズ』でクロージングは2年連続のピクサー作品『カールじいさんの空飛ぶ家』。いずれもヒットを飛ばしており、今年の『ソーシャル・ネットワーク』と本作『ザ・タウン』にも期待がかかる。この点について、TIFFの特別招待作品の選定に携わっている映画祭事務局長の都島信成氏は「もちろん、そのような可能性のある作品を各社から出していただいているということはあると思いますが、同時に、映画祭で選定されたことが広く映画ファンに対し、ある種の『格』づけを行えていることもあると思います」と解説。この『ザ・タウン』については「大変クオリティの高い犯罪ドラマ。ハリウッドと言うと、アイディア不足でシリーズものやリメイクばかりと言われる中、このような質の高い作品が作られつつあるという現状を知らしめたく選定しました」とその選定理由を明かし「『ソーシャル・ネットワーク』をはじめ、ライバルは多数いると思いますが、(アカデミー賞で)作品、監督、脚色、主演男優賞部門でのノミネートが期待できると思います」と太鼓判を押す。俳優として活躍しつつ、監督としても質の高い作品を作り出すということで、ベンを“次世代のクリント・イーストウッド”と称する声もあるとか。『ザ・タウン』は日本では2011年、全国にて公開。どの作品を観るべきか迷うほど、世界各国から話題作が集まるTIFFだが、“ハズレなし”を信じてこのクロージング作品を劇場公開に先駆けて観ておくのもアリかも?特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFFザ・タウン 2011年、全国にて公開© 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURESソーシャル・ネットワーク 2011年1月15日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.■関連記事:TIFFインタビュー『海炭市叙景』南果歩×谷村美月×竹原ピストル×熊切和嘉【TIFFレポート】加瀬亮映画初主演作と同じ脚本家作品に「光栄でプレッシャー」【TIFFレポート】『チェブラーシカ』原作者ビックリ?日本の観客は「大人ばかり」【シネマモード】今年はドレスも省エネ気味?第23回東京国際映画祭第14回ハリウッド・アワード授賞式に新旧ハリウッド・スターが勢ぞろい!
2010年10月28日第23回東京国際映画祭のコンペティション部門出品が決定している映画『海炭市叙景』に出演する谷村美月、南果歩、熊切和嘉監督らが9月30日(木)、東京・港区の六本木ヒルズ内で行われた同映画祭の公式会見に出席した。北海道・函館市出身の小説家・佐藤泰志氏の遺作となった同名作の映画化で、函館市をモデルにした架空の都市・海炭市とそこで人生を送る人々の姿を6編の物語で描いている。熊切監督と初タッグとなった谷村さんは「その場に立っていればいい、そこに存在していれば『演じよう、演じよう』としなくていい、不思議な現場でした。とても居心地が良かったです」と撮影をふり返ってニッコリ。南さんも「函館で1か月半、撮影をしてきましたが、このような形で世界に向けて発信できることになり、函館の方々と喜びを分かち合いたいです」と晴れやかな笑顔を見せた。北海道帯広市出身の熊切監督は「小さな出会いから始まった映画が大きな映画祭で上映されるのは嬉しい」と喜びの言葉。「とある地方都市の現実とそこに暮らす人々の姿を描いた作品です。多くの人々に何かを感じ取ってもらいたい」と話した。ほかに出演の竹原ピストルが出席。この日の会見には映画祭チェアマンの依田巽氏らが出席。本作を含むコンペ作品15本などの概要発表、審査員紹介などを行った。コンペ15本中、1本は未発表。第23回東京国際映画祭は10月23日(土)から31日(日)まで、東京・六本木ヒルズほかで開催。映画『海炭市叙景』は11月27日(土)より函館先行公開、12月上旬、渋谷ユーロスペースにて公開。(photo/text:Yoko Saito)「第23回東京国際映画祭」公式サイト■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF
2010年09月30日ときに柔和で無防備な男性から、ときに狂気を内に秘めた役まで、日本映画界を牽引する数々の監督から引く手あまたの存在として、“色”を変え応えていく、加瀬亮。そんな彼が次の出演作として選んだのは、日本を代表する巨匠、山田洋次監督の10年ぶりの現代ドラマ『おとうと』。どこかノスタルジックで温かい空気に満たされた本作で、彼は主人公の娘・小春(蒼井優)を優しく見守る青年をまっすぐに演じた。「上の世代の方たちとすすんで仕事をしたい」。そう語る彼が、巨匠の現場を経て見据えるものとは――。初めて足を踏み入れた、巨匠の世界縁側から日が差し、引き戸の音とともに近所の住人が現れる。昔ながらの平屋の家を軸に描かれるのは、切っても切れない家族の絆。まさに『男はつらいよ』シリーズを彷彿とさせる本作だが、加瀬さんはそんな「山田監督の世界に自分がいるのは想像できなかった」と話す。「祖父が『寅さん』のビデオを全巻持っていて、祖父の家に行くと必ず観ていたので、山田監督と言うとまず出てくるイメージは『寅さん』ですね。今回お話をいただいたときは、びっくりしました。いままで本当に色々な人に怒られてやってきて、先輩方の演技を見せてもらってきましたが、技術もないですし、同じようにできない。自分はきちんとお芝居ができるタイプではないので、山田監督の作品に入れるのかどうかという思いはすごくありました」。そんな不安を抱えた状態で臨んだ、山田組の世界。撮影の様子を尋ねると、とある玄関でのワンカットを思い出して語った。「最初にドアから入ってくるシーンを何度もテストしたのですが、ドアを閉めるのは左の手がいいとか、カットごとに本当に細かいところまで指示がありました。最初は何がダメなのかが分からなかったのですが、よく見たら、外を歩いているとき寒そうじゃなかったとか、左手で閉めれば蒼井さんと喋るときに自然に行けるとか、一個一個の小さなことがどういうふうに生きてくるのかがだんだん分かってきて、自分に足りないところがたくさん分かってすごく面白かったです」。幼なじみの淡い恋愛にほのかな共感今回、加瀬さんが演じる亨は、山田監督ならではのどこか昔気質な雰囲気をまとっている。彼が想いを寄せる小春に向ける言葉も、少し照れてしまうほど至ってストレートだ。そんな恋愛シーンについて尋ねると、困ったような笑みを浮かべた。「蒼井さんとはお互いによく知っていて、普段のキャラクターから遠い役だったので(笑)、正直に言えば、照れるというかやりづらい面はありました。でも照れていたらお芝居ができないので、途中から協力しようという暗黙の了解があったと思います。(小春に気持ちを伝え)『やったぜ!』と喜ぶ場面でも、なかなか自分にはない感覚だったのですが、蒼井さんもきっと、そこが一番照れくさいというのを分かっていたので、カメラの後ろですごく真剣にお芝居をしてくれていて、すごく助かりました」。監督の創りあげた亨という役に、世代間のギャップを感じながらもそこに「男らしさや丈夫さ」を感じたという加瀬さん。一方で、亨と小春の、幼なじみならではの淡い恋愛についても「感覚が分かる」とも。「小さい頃からの幼なじみにどこかで想いを寄せているんだけど、言うタイミングを逃して別の人と付き合ったり、距離が近いと逆にそういう想いがずれていくと思うんですよね。僕も小さい頃に、近所の子と遊んだりしていて、やっぱりどこか好きだったと思うんですが、結婚したと聞いて『おめでとう』と言えますし、でも、『あの頃いいな』と思っていた気持ちもまだありますし、そういうのはいつでも、『状況によって開くんじゃないかな』と思います。特に男の人はそうだと思いますね」。「ちゃんと年をとっていきたい」2000年に『五条霊戦記』で俳優デビューし現在、35歳。改めてデビューからふり返ってみて感じる、内なる変化とは?「余計なものがいっぱいくっついているとは何となく思いますけど、それはそれで汚れがついたらしょうがないかなと。でも、いまちょうど中途半端な年齢になったなという感じはします(笑)。まだ若い役もよくいただくのですが、年齢的にちょっと無理かなと。ちょうど『ハチミツとクローバー』のときが31歳でしたが、海に向かって叫ぶのは限界だと思いましたね(笑)。20代から30代になって、ちょっと先が見えなくてどうしようかなと思ったのですが、『それは自分で決められることじゃないな』と思って、そこからは役をいただくままにやってきました」。そして、今回共演した吉永小百合や笑福亭鶴瓶然り、山田監督然り、先輩の積み重ねてきたものを見て「ちゃんと年をとっていきたい」という言葉に力を入れる加瀬さん。「僕は最後のお姉さん(吉永さん)の背中を見てすごく感動したのですが、ああやってちゃんと続けて重ねてきたものが出ているのを見ると励まされます。今回もそうですが、自分のこれからの指針となる役者さんや監督など、ずっと続けられている方々と出会って、感じたいという気持ちはあるんだと思います。ちゃんと年をとるということの答えは全然出てないことですが、年をとると自分の感覚が変わってくるんですよね。それを、毎回変わるごとに素直に受け入れていきたいんです」。本作に続き、北野武の最新作『アウトレイジ』ではヤクザ役に、さらに『海炭市叙景』では熊切和嘉監督と再タッグを組むなど、今後の活躍からも目が離せない、加瀬亮。まずは、巨匠・山田洋次が引き出した、新たな彼の表情を本作で確かめてほしい。(photo:Yoshio Kumagai/Hairmake:KATSUHIKO YUHMI<THYMON>/stylist:Sonya S.Park)衣裳・シャツ:ドリス ヴァン ノッテン/TFC・パンツ:LOSTHILLS■関連作品:おとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会■関連記事:山田洋次監督『おとうと』がベルリン国際映画祭クロージング・フィルムに決定!五・七・五から見える“家族”の形思わず唸る『おとうと』川柳コンテスト大賞発表!笑いと感動を贈る“家族”の姿『おとうと』オリジナル一筆箋を5名様にプレゼント現在とこれからの日本の家族の姿を描く『おとうと』試写会に合計65組130名様ご招待温泉宿泊券&山田洋次監督サイン入りプレスをプレゼント!『おとうと』“かぞく”川柳コンテスト開催
2010年01月22日辻仁成の同名小説を中山美穂主演で映画化した『サヨナライツカ』の主題歌を中島美嘉が担当することが決まり、中山さん、中島さんからそれぞれコメントが発表された。中山さんにとって12年ぶりの映画復帰作であり、『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン監督の手による本作。タイのバンコクでの出会いを皮切りに25年の時を超え、東京、ニューヨークと舞台を移しながら、燃えるような一瞬の恋が切なくも美しい永遠の愛へと昇華していくさまが描かれる。中山さんの相手役を務めるのは西島秀俊。大人のラブストーリーにふさわしい2人がどのようなやり取りを繰り広げるのか?楽しみなところ。中島さんが映画の主題歌を歌うのは『永遠の詩』以来2年ぶりのこと。今回の「ALWAYS」では、昨年TVドラマ「流星の絆」の挿入歌として話題を呼んだ「ORION」でも中島さんとタッグを組んだ百田留衣が作詞・作曲を担当。「キミが笑うだけで、明日が見える。例え過ちだとしてもかまわない。今はただ…」と、この映画の情景にぴったりの切ない愛が紡ぎ出される。中山さんは「忘れたことにしない、なかったことにしない、愛すること、愛したことに一生懸命向き合う沓子の切なさや、想いの深さが存分に込められていて『一瞬の恋が、一生の愛へと続いていく』という映画の世界観を、音楽という別の側面で表現していると思いました」と中島さんが歌い上げる世界観を絶賛。「この作品のテーマとも言える『愛されること、愛すること』の愛することは永遠でありつつも、いつまでも感じることだと思います」とこの主題歌と合わせて、映画に込められたメッセージを改めて強く感じた様子。中島さんも「切ないシーンにも合う楽曲に仕上がっていますので、ぜひ映画と共に音楽も楽しんでいただけたら嬉しいです」と喜びのコメントを寄せてくれた。『サヨナライツカ』は2010年1月23日(土)より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほか全国にて公開。「ALWAYS」も来春リリースを予定。■関連作品:サヨナライツカ 2010年1月23日より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほか全国にて公開© 2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved.■関連記事:中山美穂、12年ぶりの銀幕に出会いと別れ語る「壊れてしまうのではないかと思った」
2009年10月07日