「二次障害の理解と対応」において大切なのは、子どもの“本当の声”に耳を傾けること発達障害のある子どもを育てる保護者の方は、二次障害に関心のある方も多いのではないでしょうか。二次障害とは、発達障害の特徴を理解されない環境にいることや、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどが重なり、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどの問題に至ってしまう症状が発生している状態を示します。その症状は人によりさまざまですが、二次障害が起こっている子どもとどのように関わっていったら良いのか?、将来のことが不安…など悩みはつきないと思います。2022年12月にオンラインで開催されたセミナー「二次障害の理解と対応」も大きな反響がありました。セミナー当日は、特別講演として、代官山やまびこクリニックの院長である児童精神科医の千村浩先生が二次障害発症のきっかけや治療、各家庭でできることなどを解説。質疑応答のコーナーでは、参加された保護者の方から具体的な質問がたくさん寄せられました。セミナー後には、「対応方法を知れたことで不安が減った」「またこのようなテーマの勉強会があるとうれしい」などの声をいただきました。今回の記事でも、二次障害について、またその対応方法などを千村先生に改めてお伺いしました。また、当日時間の都合で答えきれなかった保護者の方から寄せられた質問に対して千村先生からのご回答をいただいています。ぜひ参考にしてください。Upload By 専門家インタビュー・本来備わっている資質(発達障害)・子どもを取り巻くさまざまな環境(家庭環境・そのほかの社会、気候など)この2つの相互作用によって二次障害になり得ることがあります。発達障害の二次障害による症状を発達障害そのものの症状と区別すること、治療やそのほかの対処についても別々に考えることは困難な場合も多くあります。二次障害としてあらわれる症状そのものだけに焦点をあてるのではなく、その背景に子どもからのどんなメッセージがあるのかを探ることが重要です。児童精神医のKanner(1974)は子どもの症状からのメッセージとして5つの意味を述べています。1.入場券としての症状症状があることで医療機関を受診することになるなど。子どもがサポート機関へとつなぐ入場券の役目を持つ2. 危険信号としての症状問題の解決を急いでいたり、これ以上誤った対応が続けられたり、放置されることに対する警告3. 安全弁としての症状養育環境や生活状況がよくない場合、自分がつぶれてしまわないように自身をその危機から守る、最悪の事態を回避する4. 問題解決手段としての症状あえて乱暴な行動を取るなど、子どもの心理的葛藤の要因となっている問題5. 厄介者としての症状周囲の寛容さが乏しいために、怒りを買うように大げさに訴えられている参考文献:Kanner L.:Child Psychiatry,4th ed.(1972)-黒丸正四郎、牧田清志(訳):カナー児童精神医学、第2版 医学書院(1974)|CiNii(国立情報学研究所)ADHDの特徴である「不注意」「多動性・衝動性」が悪循環につながってしまうことがあります。◇不注意優勢タイプの例頻繁に遅刻するなどの失敗→叱られる→自信を失う→「自分はダメなやつ」だと思いこむ→不安やパニック、うつ状態に陥る→失敗し、また叱られる(悪循環に陥る)◇多動・衝動優勢タイプの例感情が爆発し、周囲とトラブルになる→周りから避けられる→疎外感を抱く→「自分はみんなから嫌われている」と思いこむ→大人への反抗、非行など→周囲とトラブルになる(悪循環に陥る)このような悪循環は実例でも多くありますが、起きている問題だけに目を向けるのではなく、どうして最初のその行動が起こってしまったのか、本人の気持ちによく耳を傾けることで悪化を防ぐことや、悪循環を止められる場合があります。【Q&A】子どもの症状の背景を理解することはどうして大切なの?子どもに本当の気持ちを話してもらうにはどうしたらいい?A:たとえば、「ときどき混乱して騒いでしまう」という言葉にすると同じ症状のある子どもでも、その原因は全く違うというケースはよくあることです。原因が違えば、するべき治療も対応も異なります。学校へ行き渋る、不登校になってしまったという場合も、なぜその子どもが学校に適応できなくなってしまったのか、その理由は一人ひとり異なるので、その背景を理解することが大切になるのです。Upload By 専門家インタビューA:基本は、子どもの声に耳を傾けることです。大人が気をきかせて「こうなんじゃない?」と言ったりすると、それに誘導される形で「うん」と言ってしまう子どもは少なくありません。大人が「こうだろう」と決めつけてしまうことで、子どもが余計に萎縮してしまうこともあるのです。まずは子どもの本当の声に耳を傾けてみてください。小学校1年生くらいになれば、こちらが聞けば子どもは自分の体験、思いや考えを語ってくれるものです。Upload By 専門家インタビューA:1つ例をあげます。小学校低学年の子どもがお友達を叩いてしまいました。その場面を見ていた先生からは叱られ、仕方なく謝ったようです。でも、理由もなく人を叩く子どもはほとんどいません。実はそのお友達からずっと嫌なことをされていて我慢できなくて叩いてしまったようなのです。そのようなときもまずは、「あなたに何があったの?」と聞いてあげると良いでしょう。大人の目で見ると、叩くということが発達障害が背景にある症状のように感じられることもありますが、理由があることがほとんどです。Upload By 専門家インタビューA:その1つは「こだわり」です。1つ前の質問で挙げた例でも、そもそも叩いてしまった友達からずっと嫌なことをされていたのに、「叩いた」という一場面だけしか見ずに叱る先生を信用できなくなってしまうことがあります。「でも、まぁしょうがないな」という切り替えが難しく、「もう絶対に嫌だ」というこだわりが行き渋りや不登校につながってしまうケースです。Upload By 専門家インタビューA:ADHDの特性で落ち着きがないということがありますが、そのことで先生に叱られることが多かったり、よく注意されるのを見ている周りの友達からも同様の指摘をされたりして学校に居づらくなるケースもあります。Upload By 専門家インタビュー【Q&A】「子どもの二次障害」それぞれの事例に千村先生が回答二次障害セミナー当日は参加者の方からチャットでたくさんの質問が寄せられ、千村先生にはそれらに真摯にご回答いただきました。しかし、時間の都合上すべての質問にご回答いただくことは難しい状況に…。今回チャットに寄せられた質問について新たにご回答いただきました。A:そのお子さんがどういう特性を持っているか、どういう特徴が強いかによって対応は変わります。落ち着いていられない、気が散ってしまうなどが原因で、もしかしたら学校に居づらい状況になってしまっているのかもしれません。関わり方でいうとやはりお子さんの話をしっかり聞くことが大切だと思います。小学校2年生ならしっかり聞けば話をしてくれる年齢です。関わり方というのはまず話を聞くことから始まるのだと思います。Upload By 専門家インタビューA:「対人恐怖症」と言っても、「学校の教室にいるのが怖い」というお子さんもいれば、「人混みのなかにいるのが苦手」というお子さんもいます。それによって環境の整え方は変わるものです。このお子さんは不登校ということなので、たとえば「まわりがうるさいから嫌」というケースや、「いろいろな物がある教室が落ち着かない」ということもあり得るかもしれません。具体的な本人の気持ちをしっかりと汲み取って、先生と連携することも大事です。でも、どうしても学校が難しい場合にはオンラインで勉強する場を探す…などの環境整備が必要になることもあるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:もしお子さんが前の晩は「明日は行く」と言っているのに、当日の朝になると頭痛や腹痛を訴えるような状態だとしたら、あまり無理はしない方が良いかもしれません。毎日この葛藤を続けていると疲れすぎて、学校に全く行けなくなってしまうケースもあるからです。私は子どもに「学校に行くときは、すごく頑張らなきゃいけない?それとも、まぁ大丈夫そう?」と聞くんです。前者なら無理して行かなくても良いのではないかと考えています。それに加えて毎日「今日はどうする?」を繰り返すと、親も子も毎日悩まないといけなくなるんです。「しばらく行かなくてもいいか」と思えたら親も子も楽になると思います。「そんなことをして全く行けなくなったらどうしよう」と考える方もいるでしょう。でも、学校に行くことはとても大事だけれど、行かないと絶対にだめなわけではありません。どんなときでもお子さんを信じることが大事です。Upload By 専門家インタビュー私が診療のなかで出会うお子さんとは「学校に行かなくても、規則正しい生活をしよう」と約束をします。睡眠障害がある場合はきちんと治療をして、睡眠覚醒リズムを整えるところからです。そして、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんの時間を決めて、そのあいだに勉強したり、外に遊びに行ったり…という時間を設定するイメージ。そのなかにスマホやテレビ、ゲームの時間があってもいいと思います。スケジュールは本人と相談して決めるのがベストです。スマホやテレビ、ゲームも禁止するのではなく、「これくらいの時間ならいいけど、一日中はダメだよ」などと約束するのが良いのではないでしょうか。Upload By 専門家インタビューA:ADHDが背景にあり統合失調症という診断というのは、実際診察をしていないので分からない点も多いのですが、「頑張りすぎ」ということをより具体的に考えていった方が良いでしょう。勉強を徹夜してやっているが、エネルギーが切れると突然寝てしまうのか、部活などで期待に応えるためにがむしゃらに練習をしているが自分のなかに葛藤があるなどが考えられます。ただ、中学2年生は思春期なので、なかなか親の言葉を素直に受け入れられない時期です。思春期の心の問題なども起こってくる時期なので、カウンセラーなどの専門家に介入してもらう必要があるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:本人が受診しないと診断や治療はできないので、とても難しい問題ですね。そこで大切なのは、やはり本人の気持ちです。病院に行きたがらないということの裏側には「今までうまくいかなかったからもうどうなってもいい」だとか「病院に行ってもどうせ話を聞いてもらえない」などの考えがあることもあります。でもさらにもっと深いところでは「今のままは嫌だ」「本当はなんとかしたいと考えていることも。思春期の子どもの『本当の気持ち』を家族が引き出すことは難しいので、第三者の介入が必要かもしれません。学校の先生やカウンセラー、もしくは信頼できる大人が導くのが良いでしょう。この場合の第三者は、専門家でなくても良いと思います。Upload By 専門家インタビュー大切なのは失敗しても「大丈夫だった」と思えることUpload By 専門家インタビュー千村先生のお話には一貫して「子どもの話を聞く」「子どもを信じる」ということがベースになっていました。加えて大切なのが、「今のままでいいよ」と子どもに伝え続けることだと言います。「よく”成功体験”という言葉を耳にします。成功体験も大切ですが、もっと大切なのは『失敗しても大丈夫だった』体験ではないでしょうか。成功体験を追求しても得られなかった体験より、失敗しても大丈夫だった体験から自己肯定感が得られると思います」。今回はセミナー当日に寄せられた質問の回答をメインにお届けしました。当日参加された方はもちろん、参加できなかった方にも子どもと向き合ううえでのヒントとなれば幸いです。発達ナビには「Q&Aコーナー」も発達ナビにはQ&Aコーナーもあります。気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。また、話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。ぜひ発達ナビのQ&Aコーナーも参考にしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月07日4年生のときの担任に、標的にされて私は身体が小さくひょろひょろで、運動も苦手。それでいて口が立つし座学の成績はいいし、コミュニケーション障害のせいで周囲から浮くしで、もともと幼稚園のころからいじめられがちな子でした。でもときどきいじめられるだけで、クラスの中に多少の居場所はあったと思います。私が完全に「いじめられっ子」になったのは4年生のとき。担任の教師が反抗的な(に見える)私を目の敵にするようになったのです。体育の集合のときに一瞬遅れただけで「何をもたもたしている! 馬鹿にしてるのか!」と叫んで髪をひっ掴み、引きずり回す。アゲハチョウの幼虫にそっと触っただけで、まるで私が悪意を持って乱暴に扱ったかのように、「そうするっていうことは、こうすることだ!」と叫んで、腕を痣ができるほどつねる。学級会の多数決で皆が伏せているときに私だけ覗き見をしていたという濡れ衣を着せ、冬の廊下に締め出して謝るまで入れないと言う…。エスカレートしていくいじめ濡れ衣事件が決定的となって、「宇樹は人をバカにしており、悪意があり、不正までもするような非常に悪い子で、先生も懲らしめているから何をしてもいい」という感覚が児童の間で共有されてしまったようです。この感覚はクラス内だけでなく学年全体に及び、やがて「いじめられっ子」の印象は下級生にまで共有されるようになりました。班や下校グループをつくるときにクラス中でたらい回しにされる。バイキン扱いをされる。遠足で一緒になったグループ全員から走って逃げられ続ける(私は身体が小さく足も遅いので、全速力でも皆に追いつけませんでした)。クスクスと噂話をされ、近くに行くとピタッと話をやめられる。私は社交不安症のような症状が出て、学校に行くのがとても憂鬱でした。一度両親に訴えましたが、父は「学校に行かなければ将来路頭に迷う」と脅し、母はショックで泣いて寝込んでしまったので、それ以降は観念して死ぬ気で学校に通い続けました。5,6年時の担任からも受けた不適切な対応5年に上がるクラス替えのとき、4年のときに私を積極的にいじめていた子とは同じクラスにならないよう、また4年のときの担任がまた担任にならないように配慮してもらいましたが、状況は変わらないばかりか悪化していきました。給食を私にだけ配ってもらえない。買ってもらったばかりの服を着ていったら、体育のときに体操服に着替えていた間に隠され、最終的に出てこなかった(たぶん校内の焼却炉に投げ込まれたんだと思います)。体育や休み時間のドッジボールでは、身体の大きな男子が明らかな悪意を持って力いっぱいの球をぶつけてくる。クラス対抗の球技や縄跳びなどでうまくできないと、お前のせいで負けたんだと男子から罵られ、突き倒される。部活で下級生にさえいじめられる。父に相談したところ、学級会で「憲法違反だ、加害者についてはいずれ実名で訴えてやる」などと訴え出ろとアドバイスされ、そのとおりにしたところ、クラス中から非難轟々でした。「ひどいじゃないか、宇樹にも悪いところがある、みんなが宇樹から嫌な思いをさせられてるんだからいろいろされても当然だ」といったことを口々に言うのです。担任はこうしたクラスの反応に対し、「けんか両成敗ってことだね」とまとめました。私はこの流れを見ていて、あまりのショックに脱力してしまいました。今となっては、父のアドバイスも、そのとおりにした私も方向がずれていた、もっとほかのやりかたがあったのでは、とは思います。ですが、だからといって壮絶ないじめの被害者がいじめをやめてくれと訴え出たことについて、クラスの担任が「けんか両成敗」はないだろうと思います。担任は、いじめられっ子の側に立たずクラスの空気に迎合するばかりか、いじめられるのをニヤニヤして見ていたり、いじめを肯定するような発言をしたり、ときには率先してからかったりする人でした。3つ年上で地元の公立中学に通っていた兄が「このまま(ほぼ持ち上がりで進学する)公立中に上がったら義子はいじめ殺されるか、いじめを苦に自殺する」と両親に進言してくれたこともあり、私は中学は受験をして私立に進学しました。教師の不適切な対応はなぜ起こったのか ―虐待事件から考えたことこうした教師からの不適切な対応は思い出すたび腹が立ちます。その一方で、なぜあの人たちが私を虐待するに至ったのか ―私のような扱いにくい子どもを前にしたときに加害に至ってしまうような加害者マインドに陥ったのかを考えてしまいます。先日、保育園において保育士が園児に対して凄惨な虐待を行っていたというニュースが複数流れました。そのときにはやはり、自分の小学生時代のことを思い出しました。私が小学生だった30年前当時、女性のフルタイムで働けるキャリアといえば看護師と小学校教師、保育士ぐらいしかなかったのではないかと思います。当時女性ながらキャリアを築きたいと考えている女性で、学業成績も優秀だった人は、職業に教師を選ぶことも多かったのかもしれません。小学4年から6年のころの担任は、女性でした。ここで私が邪推するのは、彼女らがそのキャリアを歩む中で、男性優位の社会で能力を低く見積もられたり、ハラスメントを受けたり、悔しい思いを抱えていたのではないかということです。※これは決して、女の敵は女だとか、女性は感情の制御において劣っているとか言う意図ではありません。必ず最後までよく読んでください。社会の歪みは常により弱いほうに受け継がれます。不適切な対応をした担任は、まず彼女ら自身に社会の中で悔しい場面がたくさんあり、その傷が私のような扱いにくい子どもを前に反応したのではないか。ほかの児童のように従順に振る舞わない私に「バカにしている!」と腹が立ったのではないか―間違っているかもしれませんが、私はそう考えます。今回の保育園での虐待事件でも同様の構造が見えるように思います。保育士の仕事は、子どもの命にもかかわるハードなものであるにもかかわらず低く見積もられがちです。その専門性の高さに対する給与の低さは常に指摘されていますし、1人の保育士に割り当てられる子どもの数があまりに多く、仕事が非常にきついことも、保育士たちを追い詰める大きな一因となったと報じられています。男性教師による虐待もあるでしょうが、かつて、あるいは生活のほかの場面で被害者である人がより弱い相手に加害する構造はよくあるものだと思います。彼らの加害は決して許すことができません。しかし私は、その加害の裏にある彼らの痛みや社会の歪みに目を向け、根治に向けて何かしらの動きをしていければなと願っています。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)もともと神経発達症(発達障がい)のあるお子さんは「不思議ちゃん」と言われることも多く、いじめのターゲットにされやすい傾向があります。私立を含めどこの学校であってもいじめはあり、例外ではありません。それは社会に出てからも継続することがよくあります。いじめる側は周りを見てやるので発覚することが少なく、いじめられる側は徐々にストレスが溜まっていきます。今日いじめていた子が明日はいじめられる子になることもしばしばあります。その逆も然り。いじめるグループに入ると周りが見えにくくなり、記憶に残っていないのです。一方、いじめられた側は一生記憶に残っています。神経発達症のあるお子さんは、もともと友達が少なくて頼れる人がいないということもあり、そのことがいじめを助長する一因にもなっています。唯一頼れる人が担任でなければならないのですが、その担任に暴力を振るわれ、いじめられていては元も子もありません。社会全体で神経発達症の理解&支援が必要なのです。
2023年02月02日もしかして夫も発達グレーゾーン?娘と夫は感覚過敏?娘が初めて単語を言い始めたのは2歳3ヶ月。2語文を話し始めたのは3歳過ぎでした。言葉の発達がゆっくりだったり癇癪がひどかったので、この時期、本やネットで発達障害についてたくさん調べていました。その中で、発達障害の特性がある人は感覚が過敏、もしくは鈍感な場合がある、ということを知りました。娘は赤ちゃんのころから感覚に過敏なところがありました。入園するまでは帽子は絶対に被ってくれず。麦わら帽子はチクチクすると言って、5歳の今も嫌がります。幼稚園に通うまではマスクなんてもってのほか。コロナが流行り始めてすぐのころは世の中のマスクのルールが厳しく、遊び場によって2歳からマスクが必須のところもありました。2、3歳でマスクをつけることは娘には絶対に無理だったので、遊園地などの遊び場をあきらめることも度々ありました。Upload By とまぱんそんな娘ですが、実は夫も感覚過敏のようなところがあります。でも娘とはまたちょっと違い、夫は洋服のタグが苦手です。タグの中でも痛いものとそうでないものがあるらしく、痛いものは取るそう。私はタグを痛いと感じたことが今まで一度もないのですが、それを夫に言うと「信じられない」と言われます。また、夫はセーターや毛糸の帽子もチクチクしてて苦手だそう。以前、夫が自分用に毛糸の靴下を買ってきたのですがやっぱりチクチクして履けなかったらしく、私に流れてきました。Upload By とまぱん肌に触れるものに敏感な娘と夫ですが、娘は音にも敏感です。お店に流れるBGM、自転車のブレーキ音、赤ちゃんの泣き声などが苦手。よく「耳が痛い」と言って耳を塞いでいます。夫と娘は声が大きすぎる?状況を読むのが苦手?声が大きいお子さんはたくさんいるし、大きい声は元気な印象ですよね。しかし特性のあるお子さんの中には声のボリュームの調整が難しい場合がある、という記事を読み、娘と一緒だ!と思いました。静かな場所でも構わず大きな声で話してしまい、「もう少し小さい声でね」と伝えてもすぐ忘れてしまい大きい声に戻ってしまいます。周囲の人にチラチラ見られ、怖そうなおじさんに咳払いされてしまうことも。娘のお友達の話し声を聞いていると改めて娘の声って大きいなと実感します。ちなみに娘は産まれたときから声が大きく、看護師さんにも驚かれるほど。ほかの病室にも泣き声が響き渡っていたらしく、看護師さんに「ほかの部屋からクレームきちゃうわ~」と冗談っぽく言われてしまいました。確かにほかの赤ちゃんは「ホンニャア…」と可愛らしく泣いていて。赤ちゃんの泣き声って大きいイメージですが、産まれたての赤ちゃんは、本来まだこんなに弱々しい泣き声なんだ、と衝撃を受けた記憶があります。Upload By とまぱん夫も娘と同じように声が大きく、職場では「耳がよくないから声が大きいのでは」と噂されていたようです(笑)。もしかすると耳に何か詰まっているかも、ということで耳鼻科に行きゴミをとってもらったこともあるようですが、結局声量は変わりませんでした。まだ幼いうちは状況を読んで声量を調節するのは難しかったりしますが、夫は大人でありながらも状況を読むのが少し苦手だったりします。静かなところでも大きい声でしゃべってしまい、周囲の人が振り返ることも。しかし夫は自分の声が大きいせいで周囲が振り返っているのも気づいてない様子。その際は私が「もう少し小さい声で」と伝えています。Upload By とまぱん今まで夫もグレーゾーン?と思うことを伝えてきましたが、私自身ももしかして?と思うところはたくさんあります。特性なのかは分かりませんが、初対面の人と話すときに緊張してしまうとすぐに手が震えてしまったり顔が赤面してしまいます。たまに何度も会っている友人にもそうなることもあります。なので、話したあとは汗がすごく、ひどい疲労感を感じたりも。昔から緊張しやすいところがあり、そのせいか分かりませんが、母いわく私が幼少期のころはほかの子どもたちと遊んだりお話ししたりしなかったそうです。ずっと一人でいたので母はよく心配していたようでした。娘は人見知りは全然しないので母には「あなたと正反対ね〜」なんてよく言われます。そんな私も人生経験を積んで、今はそこそこ社交的になりました。誰しもが私も特性がある?と思うことはよくあると思いますが、今回は私たち家族の場合を紹介させていただきました。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)感覚過敏の困難さは目に見えないため、周囲の理解を得ることが難しい場合もあります。旦那さんも娘さんと同じような過敏なところがあるとのこと、その点つらい気持ちは理解してもらえるのではないでしょうか。親自身も子どものころを思い出すと、苦手だったことの共通点などもいくつか思い当たると思います。自分自身と全く同じ方法が子どもにも役立つとは限りませんが、親自身も苦手なことがあったことや、解決方法についていろいろ考えたことなどを話すことができると、お子さんとの関係も少し変わってくるかもしれませんね。
2023年01月31日子どもたちは日中の刺激、やりたいことが気になって寝ない…私は悪戦苦闘Upload By スガカズわが家の長男(ASD、ADHD)と次男(ADHD)は、小さいころからなかなか寝ない子どもでした。日中受けた刺激から夜遅くまで脳が覚醒していたり、過集中でやりたいことを見つけると、1〜2時間は要します。加えて長男と次男は仲が良いので、お互いが次の行動の妨げになることが多いです。ただでさえ日常生活(ごはん、お風呂、歯磨きなど)がスムーズにいかないなかで、やりたいことを始めて過集中に陥ってしまうと、満足するころには日をまたいでしまいがちに。かといって、時間を守らせて22時に布団に入れたとしても、その日やりたいことが積み残された状態だと子どもたちは眠りません。また、次男は情緒不安定になることが多く、次男が情緒不安定になると一緒にいる長男にも影響します。他者から感じた「見えない圧力」Upload By スガカズまた、学校や病院などからときどき子どもたちの睡眠時間を質問されることがあるのですが、質問に答えるたび、ストレスを感じていました。答えたあとは「睡眠時間が平均よりも少ないこと」や「睡眠時間が少ないことがもたらす影響」について指摘されるからです。児童精神科の先生からもよく指摘されていました。先生は、医師として子どもたちのことを考えて発言されていることは重々承知しています。ですが、当時の私は他者から子どもたちの睡眠時間をうまく確保できていないことを指摘されるたびに、自分が「母親失格」の烙印を押されたような気がしていました。次男がチック症になってから気づいたこと次男が小1のころ、私と次男の関係はよくありませんでした。当時次男は小1の壁にぶちあたっており、私はどうしても次男の悪目立ちするところばかり気になってしまい、次男に怒ってばかりでした。もちろん怒る原因の一つに、「夜寝ないこと」もありました。そんな日々を送っていたある日、次男はストレスから「チック症」を起こしました(こわばった表情でモゴモゴと口元を頻繁にゆがませていました)。そのときの周囲や本人の意見、家庭環境から、「子どもたちをコントロールすること」ではなく、「子どもたちと気持ちよい時間を過ごすこと」のほうが重要だと気づきました。Upload By スガカズ私が子どもの睡眠時間を確保したいと思うのはなぜか?私はなぜそこまで躍起になって子どもたちに眠ってほしいと思ったのでしょうか?それにはこのようなことが挙げられます。【子ども】・生活のリズムが安定しやすいから・就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから・成長の遅れ、集中力、疲労感などに影響があるとされているから【私】・子どもたちが早く寝ることで、親がほかの仕事(家事、育児、仕事)をこなせるから・親の自由時間、睡眠時間も確保できるから・他人から指摘されて自分が落ち込むことが減るからこうして振り返ってみると、眠ってほしい理由は、よくも悪くも自分本位であるということが分かりました。「どうやら世の中的にはそういうことが良いとされているから」「他者から指摘されるのがいやだから」「自分の体が楽になるから」という理由が大半になります(「自分の体が楽になるから」という理由は、自分のメンタルに影響するので大事だと思います)。当時の次男は学校生活を送ることがそもそも難しく、情緒不安定になっていました。そんな中で、「就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから」と思って無理に寝かせようとしても意味がありません。子どもたちが気持ちのよい日々を送れるようにすること。それが一番大事だと気づきました(当たり前のことなのかもしれませんが、当時の私は余裕がなく、目の前のことしか見えていませんでした…)。個々の入眠しやすいパターンは利用するとはいえ、「そろそろ寝たほうがいいよ」と子どもたちに伝える必要はあります。また、子どもたちそれぞれが入眠しやすいパターンを知り、最低限対応することだけはしようと思いました。Upload By スガカズいろいろと模索する中で、入眠しやすいパターンが分かってきました。長男はオルゴール、次男は家庭用プラネタリウムといったふうに、それぞれの特性で有効なものが違っていることが分かりました。そのほかに、「部屋を予め暖める」、「寝る前に手足をマッサージする」、「寝る1時間前は照明を暗くする」なども試しました。手足をマッサージするのは子どもたちも気持ちよさそうにしてはいましたが、子どもが4人いて、毎日することは難しかったので「お母さんが大変になってきたからやめるね」と伝えました。Upload By スガカズまた、子どもたちは寝室に行ってからも騒がしくしていることが多いのですが、「お布団の中では寝て」「しゃべらないで」など難しくて曖昧な指示ではなく、「お布団の中で話すときは”アリさんの声”にして」など、具体的で実行しやすい指示になるように気をつけました。私は2人に「おやすみ」と言ってしばらくしてから別室で寝ます。別室であれば子どもたちが起きていてもイライラせずに済みます。「他者の意見は気にしないでいい」と、今なら思える無理に寝かせようと躍起にならなくなってからは、私自身、育児が楽になったような気がします。そんな私の様子を見て、「遅くまで起きていても注意しない」「ルールに無頓着」だとパパは思うらしく「もっと厳しくしたほうがいい」と指摘することがありますが、私はこのままでいいと思います。昔から他者から「見えない圧」を感じていたけど、実際子どもたちと一緒にいるのは自分なのだから、自分たちが楽な方法がよいですし、他者の意見はあまり気にしないでいいと思っています。執筆/スガカズ(監修:藤井先生より)スガカズさんが長男さん、次男さんの睡眠がうまく進まないことで、睡眠時間を確保したい理由を書き出されたのはとても良いですね。そのことを通じて、お子さんが気持ちよく過ごせることが第一と思うに至ったのですね。発達障害であっても、なくても、子どもは親の思い通りにならないことが多々あります。発達障害の特性があればなおのことです。「子どものため…」と思う声かけや、良かれと思った行動も、実は親自身が周りからどう見られるかなど気にされての行動だったという場合もよくあります。もちろん、親御さんの気持ちが安定するのも大事ではありますが、お子さんが気持ちよく過ごせることを第一にという視点は、今後の子育てにおいても大切な指標になりますね。
2023年01月31日子どもの発達特性の告知についてこれはあくまで私の個人的な考えですが、周囲の人に必ずしも子どもの発達特性について告知しなければいけないとは思いません。言うのがつらいなら無理をすることはないし、言って気持ちが少しでも楽になる、あるいは周囲の理解を得たい場合には言ってもいいと思います。ただし、心から信頼する相手がいいのかなとは思います。Upload By 星河ばよ私は、長男に発達特性があるかもしれないと保育園から指摘されたとき、母や夫の母にその事実を伝えました。ただそれは長男のことを理解してほしい、というよりは、今は自分一人ではとても持てそうにないこの”現実”を、一緒に持ってほしい(分かち合ってほしい)という精一杯な気持ちからでした。長男の「発達障害かも」二人の祖母の反応母とは3ヶ月に1回ほど会っています。ある日、母が私の家に来たときに、以下のことを伝えました。・保育園の先生に療育センターをすすめられたこと・長男は周りの子どもたちとは様子が違うこと・長男に発達障害があるかもしれないということUpload By 星河ばよUpload By 星河ばよ言いながら私は母の顔色をうかがっていました。伝え終わると母は冷静にこう言いました。「それは療育センターに行った方がいいんじゃないの?」母は保育園に勤めています。そのため保育園での長男の様子がなんとなく想像できたのかも。母の表情からも長男を否定するような気持ちはなさそうで、ホッとしました。ただその後も続けて母は何か言っていたけど、私はもう耳が閉じてしまい何も聞こえてきませんでした…。Upload By 星河ばよ夫の母にも同じように長男のことを伝えたところ、私の母と全く同じ反応でした。「そうなの。それは療育センターに連れて行ってあげた方がいいんじゃないの?」と義母は言いました。アドバイスのような言葉はつらかった今思えば実母と義母の反応はありがたいものだったかもしれません。なかなか長男の発達障害を受け入れられない私に反して、否定せずスッと受け入れてくれた二人の祖母。けれどもそのときの私はいっぱいいっぱいで、「療育センターに連れて行った方がいい」というアドバイスのような言葉はただただつらいものでした。言われなくても十分に分かっていたから。できればただ「そうだったんだね」とだけ言ってもらえれば私は救われたと思います。実母と義母にはそれきり長男のことを相談しませんでした。二人からも特に長男のことをそれ以上聞かれることはなく、そっとしておいてくれたのは私にとってよかったです。もし会いに行くたびに「その後どうなの?」などと聞かれていたら足が遠のいたかもしれません。当時の私はそのくらいふさぎ込んでしまっていました。気にしていたのは私だけだった結局、長男の発達特性のことで右往左往していたのは私一人だけでした。受け入れるまで2年かかってしまいましたが、今ではなんであんなに気にしていたのだろうなーと思います。自分の中の固定観念や価値観が問われたのかなと、振り返って思います。長男にはごめんねとありがとう、両方伝えたいような気持ちです。今でこそ、実母と義母には感謝しています。でも、当時の経験から、もし何かつらいことで心を痛めている人がいたら、アドバイスではなくただ気持ちに寄り添ってあげられたら、と思うようになりました。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:鈴木先生より)周囲の人に告知してもその方がどのくらい知識をもって理解してくれるかによって対応は違ってきます。療育センター内の職員との相性やそこで何をやるかでも違います。自閉スペクトラム症に対して感覚統合訓練や音楽療法などをやっている所もあればやっていない所もあります。療育センターで働いている職員は、保育園や幼稚園の職員よりも病気などの領域に詳しいため、保育園の先生や、実母や義母も療育センターに行くことをすすめられたのではないでしょうか。一般的に「発達障がい」と周りの人に告知してもイコール「障がい児」と捉えられてしまい、周りの人の持つ偏見の中で見られてしまうこともあります。今は「発達障がい」とは言わず、「神経発達症」と言われることも増えてきました。「特性」と考えて周りが優しく、具体的に接してくれればいいのではないでしょうか。
2023年01月25日かかりつけの歯医者さんはありますか?きっかけは「親の会」でのお話Upload By べっこうあめアマミたとえ発達がゆっくりでも、甘いものは大好きな子どもたち。それなりの年齢になり、何でも食べるようになってくれば、虫歯などの口腔内トラブルに見舞われることもあるはずです。私もそんな不安はありましたが、何となくその不安には蓋をして、長らく息子を育ててきました。しかし、ある日参加した地域の「親の会」のお話し会で、考えを改めることになったのです。そのお話し会では、すでに成人した障害があるお子さんの親御さんたちが、ご自身の経験談などを話してくれていました。その中で、歯科治療の話題が出たのです。お話しくださった方のお子さんには知的障害があるということでしたが、あるとき、虫歯になってしまったそうです。しかし、街の歯医者さんでは暴れてしまって治療ができず、大きな専門の病院に通って治療をすることになり、とても大変だったそうです。知的障害に限らず、発達障害などさまざまな特性があるお子さんに言えることですが、虫歯になってもこのように暴れてしまい、治療にならないケースは少なくないのではないでしょうか。子どもたちにとっては口の中に不思議なものを入れられるだけでも不快なのに、変な味がしたり、痛かったり、その上長時間じっとしていなければならないのです。これは、受け入れがたい苦痛でしょう。でもだからこそ、子どもが小さいときから取り組んでほしいことがあるとも言われました。それは「虫歯になってから」ではなく、「虫歯になる前から」歯医者さんに通うことです。まずは診察台に座れるようになるところから始め、歯磨きだけだったり、フッ素を塗るだけだったり、子どもの様子を見ながらゆっくりと、「歯医者さんに慣れる」ことができるようにしていきます。かかりつけの歯医者さんを決めて定期的に通うことで、最初は入ることさえ抵抗があった子どもも、だんだん慣れていくのではないでしょうか。虫歯になってから初めて歯医者さんに行くと、どうしても痛い治療をせざるをえません。そうすると子どもの中に「歯医者さん=怖い」というイメージができてしまい、拒否感がより強くなってしまいます。でも、何も痛いことをされないときに、ただ楽しい気持ちで通う習慣をつけていけば、結果は変わっていくかもしれません。お子さんが、歯医者さんという場所やそこで会う人たちに心を開き、信頼関係ができていることは、スムーズな治療のために大切なことです。このお話を聞いて、私は大いに納得し、息子にもかかりつけの歯医者さんを探したいと思いました。障害があると診てもらえない?難航する歯医者さん探しUpload By べっこうあめアマミ「息子にかかりつけの歯医者さんを」と思いましたが、実際に探してみると、なかなか障害がある子どもを快く受け入れてくれる歯医者さんは見つかりませんでした。街の診療所ですと人手も限られますし、患者が暴れた場合にしっかり拘束することもできません。口腔内は繊細な治療が必要となりますから、やはり歯医者さん側も不安があるのでしょう。そんなある日、「小児歯科」と看板に掲げている歯医者さんに、当時1歳だった娘(息子の妹)の歯科健診に行きました。娘はおとなしく診察台に座って健診を受け、歯医者さんも褒めてくれました。そして、「今後も定期的にフッ素塗布などしにくるといいよ」とすすめてくれたのです。ちょうど家からも近くて良さそうな歯医者さんだと思った私は、息子のことが頭をよぎり、「今度、この子のお兄ちゃんも連れてきていいですか?」と聞いてみました。すると歯医者さんは何の迷いもなく「どうぞ連れてきてください」と言ってくれました。しかし、その後私が息子に障害があることを話し始めると、歯医者さんは急に別人のように歯切れが悪くなったのです。娘の通院はぜひにとすすめてくれるのに、息子の通院は、本人を見てもいないのに拒まれる。致し方ないかもしれませんが、親としてはわが子2人に明らかな差がある対応をされたようで、少し悲しくなりました。出会いは突然に!息子を受け入れてくれた歯医者さんUpload By べっこうあめアマミその後しばらくして、今度は娘が保育園で歯をぶつけてしまい、またどこかの歯医者さんで診てもらわなければならなくなったときのことです。前回の苦い思い出を踏まえ、今度は別の歯医者さんに行ってみました。そして娘の治療後、またしても私は、歯医者さんにおずおずと息子のことを切り出し、障害がある子どもでも通院は可能か聞いてみました。すると、歯医者さんはさらっと快諾してくれたのです。その歯医者さんも、自分は障害児「専門」ではないとおっしゃっていましたが、「とりあえず連れてきてください」と言ってくださり、後日息子を連れていきました。その歯医者さんは、私が親の会で言われたことと同じことをおっしゃっていました。「息子さんにとって歯医者さんが嫌な場所にならないように、まずは信頼関係をつくりたい、だから無理に何かをしようとせず、ゆっくり進めていきますね」と話してくれました。まずは診察室に入り、診察台に座るところからです。息子は最初は多少緊張があったと思いますが、歯医者さんの人柄もあって安心したのか、初日からおとなしく診察台に座ることができました。診察台が倒れることには少し抵抗があるようでしたが、歯磨きをしてもらい、口の中に異常などがないかも診てもらえました。最後、息子が少しだけ嫌なそぶりを見せたので、その日はそこで終わりました。息子はたくさん褒められて、ご機嫌で帰宅。私もホッとしたのを覚えています。歯医者さんの提案で、最初はお互いの信頼関係をつくることと慣れるために、1ヶ月に1回くらいのペースで通いました。そうして歯磨きや、適切なタイミングでフッ素塗布などをしてもらいつつ、息子がだいぶ慣れてきた今は2、3ヶ月に1回くらいのペースで通っています。鉄則!発達っ子の歯科治療は「治療」より「予防」Upload By べっこうあめアマミ息子は今、8歳の小学2年生ですが、これまで一度も虫歯になったことがありません。いろいろな要因はあると思いますが、良い歯医者さんに出会い、定期的に口の中を診てもらいながら、歯磨きやフッ素塗布などをしてもらっているおかげかもしれません。親の会だけでなく、私の周りの障害があるお子さんを育てる親御さんたちの間では、「かかりつけの歯医者さんを見つけて定期的に通う」ことをよくすすめられます。幼児期のうちから歯医者さんと信頼関係を築き、歯医者さんは怖くない、口の中を触られても大丈夫、と良いイメージをつくり上げていきたいものです。もし、それでも大きな虫歯になって、治療がかかりつけの歯医者さんでは無理ということになったら、そのときは最終手段として専門の口腔センターなどにお願いしましょう。そういう際にはかかりつけの歯医者さんが判断して、治療に適した病院に紹介状を書いてくれるのではないかと思います。発達に課題があったり、障害があったりするお子さんの歯科治療はどうしても大変です。そのため、「治療」より「予防」が何より大切です。虫歯になってから困るよりも、なるべく虫歯にならないように気を付けていきたいですね。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)良い歯科医院との出会いがあって良かったですね。信頼関係を築くために、1ヶ月おきにまめに通院されたのも良かったですね。治療となると、口腔内を安全にみるために身体を抑える必要が出てくることもあったり、場合によっては全身麻酔で入院されて治療する場合もあります。痛くない定期的なチェックを継続し、歯科医院の通院ができるようになっていることが、虫歯予防において大切です。今回のべっこうあめアマミさんのお話は、発達障害の特性があるお子さんの親御さんにはもちろんのこと、歯科検診を嫌がるお子さんをお持ちの親御さんにも知ってほしい内容です。
2023年01月23日定型発達だと思っていた次女私には二人の娘がいます。長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついており、次女のあずさはいわゆるグレーゾーンの自閉傾向があると指摘されています。現在は4歳と2歳の娘たちですが、1歳半健診はそれぞれに思い出深いものがあります。まゆみのときは、誰が見ても「何か困りごとのある子だな」と分かるくらい意思疎通が難しい子どもで、騒ぎすぎて別室待機になったことや、相談ごとが多すぎて帰宅が夕方になったことを今でも覚えています。やがて次女のあずさも1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。結果として、その1歳半健診で初めてあずさの発達面の違和感に気づき、その半年後に改めて自閉傾向の指摘を受けたことから、療育を始めることになります。「この子は問題ないだろう」と思いながら向かった次女の1歳半健診次女のあずさと1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、あずさだけがウロウロと待合室を練り歩くのです。「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。仕方なく抱きかかえて席に戻ろうとすると、今度は大暴れ。どうにか席に座らせても、じっとできずにすぐウロウロ…。また捕まえても、私の手から逃れようとどんどん機嫌が悪くなってしまいます。探索に夢中になって指示が通らないその様子は、長女まゆみの小さいころを彷彿とさせました。Upload By にれ検査が終わるたびにあっちこっち行きながらも、検査自体は引っかかることなく進んでいきました。この点は予想通りだったものの、まさか待ち時間でこんなに苦労するとは想定外でした。『次の人』として待機している少しの間にも、あずさは床のシートを剥がして裏側を確かめています。そんなことをしているのは会場であずさだけでした。私はそんな娘の様子に不安を感じ、その場にいた保健師さんに聞いてみました。「この子、多動でしょうか。こんなに落ち着きがないなんて」保健師さんも観察してくれていたようで、「確かによく動く子ですね、いつもこうですか?」と聞かれました。確かにあずさは普段からよく歩き、よく遊ぶ子どもです。ただ、制止しているにも関わらずこんなに好奇心のまま動き回る様子は記憶にありません。考えてみると、あずさは病院にかかったことがほぼなく、予防接種も予約制で、移動もマイカーばかりのため、「じっとして待ってね」と声をかける機会があまりなかったように思います。1歳半健診はあずさにとって、初めての「じっと待つべき場」だったのです。不安が膨らみ、長女の療育先に相談「異常なし」として1歳半健診が済んだあずさ。けれど、一度抱いた不安は私の中で膨れ上がりました。ひと月ほど悩んだのち、私は長女の通う療育施設に「次女も多動傾向で困りごとが出てきた」と相談させてもらいました。幸いなことに、療育先は発達外来のある病院と提携しており、あまり待たずに心理士の方に診てもらうことができました。ただ、その時点では「異常とまではいえない」という結果で、「言葉もよく出ており、おもちゃを介して遊んだときに“ちょうだい”も“どうぞ”もできるので現時点では発達上問題ないといえます。よく動きたがるのはお姉ちゃんの行動を見て学んでいるとも考えられますし、性格的にも好奇心が強いようです。場所見知りと人見知りのなさは見られますが、そう心配はいらないでしょう」ということでした。「そうか、あずさの中ではまゆみの行動がスタンダードになってるんだ。もっと同年代の子の振る舞いを見る機会をつくらないと」と納得した私は、支援センターや児童館に行く回数を増やすことを安心材料にしていました。半年経って、強まってきた特性そうして1歳半健診から半年が過ぎました。その間、多動ぶりに困らされることが多くなってきて、「定型発達だろう」から「何らかの特性があるかもしれない」に私の意識も変わりつつありました。さらに、2歳を迎えてイヤイヤ期も最高潮。外へ行きたがるので1時間半から2時間ほど散歩に出る日が多いのですが、帰宅して私がクタクタになっていても、あずさは玄関でひっくり返って「おさんぽーーー!!もっかい!!いこうよーーーーー!!!!」と30分近く大泣きする日もしばしばでした。日ごろはいつもニコニコして、スーパーへ行くと周りのおじいさんおばあさんから「愛嬌のある子だねぇ~」と人気者になることも多いあずさですが、ひとたび癇癪が大爆発すると、親を叩いたりおもちゃを投げたりと手がつけられないようになってきたのです。Upload By にれそれでも私は「これがイヤイヤ期かぁ。大変だけど、まゆみはイヤイヤ期がまだ来ていないから新鮮だなぁ」とのんきに考えていました。転機になったのは、あずさを観客として連れて行ったまゆみの療育先の運動会でした。特性が大爆発!もう一度診察を受けることになって地域の体育館を借りて行われた運動会で、外に出たがったあずさが大癇癪を起こしたのです。あずさをなだめるのに抱っこして外へ出ようとすると、母親がいなくなるのを察知したまゆみが泣き出すというカオスな状況で、先生方も2人を泣き止ませようとあの手この手を尽くしてくれました。Upload By にれあとから聞いたのですが、差し出された風船を怒りのまま叩き落とすあずさを見て、先生方も「癇癪の様子がただごとではない」と感じたそうです。そこから「詳しく話を」ということになり、今度は心理士に加えて医師にも診ていただくことになりました。一番の困りごとというと多動だったので、私はてっきり「発達障害があるとしてもADHDの傾向だろう」とばかり思っていました。ところが、医師と心理士さんが問題視したのは多動や癇癪の強さよりも場所見知りと人見知りを全くしないことの方で、「現時点で診断をつけるとするなら自閉スペクトラム症」と告げられました。これには本当に驚きましたが、ADHDの診断は3歳ごろまでつけづらいという理由のほか、よくよく考えると、「周囲の様子を見ることなく自分の欲求を優先してしまう」という自閉的な傾向が場所見知りと人見知りのなさにつながっていたのか!とそこで初めて気づきました。いつもニコニコ人懐こい印象だったので、「あずさは物怖じしない性格なんだ」と思い込んでいたのです。そのまま療育をすすめられ、「療育に診断書の要る自治体だったら書いているところだけど、うちの市は診断書がなくても療育が受けられるので正式な診断はまだつけないでおきますね」と言われました。あずさはいわゆるグレーゾーンに当たる子どもなのだろうと思いました。ショックを受けつつも、心に芽生えた気持ち長女に続いて次女にも自閉傾向があるという事実はショックでしたが、2歳という早期から療育を受けられることになったのはあずさにとって良かったと思っています。指差しや受け答えができても自閉スペクトラム症とされる場合もあるのだと、私にとっても大きな学びになりました。あずさは今後、とりあえず1年間療育に通わせて様子を見るつもりでいます。Upload By にれ先生方にとって、保護者に子どもの発達の指摘をするのは勇気の要ることだと思います。元々相談実績があったとはいえ、運動会のあとに指摘してくださったことは本当に感謝しています。また、あずさの場合は気づきにくいタイプの自閉スペクトラム症だったこともあり、おそらく長女の存在なしには発達の違和感に気づけなかったんじゃないかとも思います。次女のあずさの特性の早期発見と、早期療育につながることができたのは、その前にお姉ちゃんのまゆみに発達障害があることが分かったことがきっかけで母親の私が徐々に理解を深めてこられたためでもあるので、まゆみにもありがとうと言いたいです。この先どうなっていくか未知な部分はたくさんありますが、姉妹の特性をよく理解して、親も子も笑顔を忘れないようにしていこうと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)次女あずさちゃんが療育につながったエピソードのシェアをありがとうございます。人の多い場面でじっと待てないことに違和感を感じたり、多動さや癇癪などに対応するのに苦労したり、そうしたことに瞬間瞬間でそう感じることはあっても、日々の子育てでそうしたことが流れていくなどして、なかなか相談する機会も持ちづらい面もあるかもしれません。にれさんが健診や長女まゆみちゃんの療育機関でそうした気配や不安をお話されたことがまずとても良かったと思います。にれさんも書かれているように、早期に療育につながったことは、あずさちゃんのより良い成長発達の面ではとても良いターニングポイントになったでしょう。相談して、何もないなら何もないで見守る。その後にまた違和感を感じたら、また改めて相談する。そうして複数の目で子どもの発達を見て、できることをする。そうした営みがとても良いなぁと感じました。
2023年01月19日本人への障害告知以前コラムでも書きましたが、娘は中学2年生のときに主治医から障害の本人告知を受けています。告知は・娘自身が「自分の障害について知りたい」と思った・本人に“居場所”があり、精神的に落ち着いている・告知後、支援者(学校関係者)のフォロー体制ができていることを医師が確認したうえで行われました。そのおかげで娘は障害告知をポジティブに受けとめることができました。障害告知から6年後に、再告知その後、娘は高等特別支援学校を卒業し、特例子会社(※)に就職しました。そして20才になったある日、娘は再び私に「自分の診断名を知りたい」と言いました。私は娘に、中2のときに告知を受けているのになぜまた聞きたいのか尋ねました。娘は「診断名は知ってるけど、自分の障害の詳しい種類と程度を知りたい」と言いました。SNS上でも発達障害に関する情報や当事者として発信する人も多くなってきていましたし、娘もそういったものを見て何かしら思うところがあったのかもしれないと、このとき私は思いました。(※)特例子会社は、「障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社」のことです。【参考】厚生労働省特例子会社制度の概要Upload By 荒木まち子娘は社会人になってからは一人で通院をしていました。何か親が医師に伝えたいことがあるときは、手紙を書き娘から医師に渡してもらっていました。私は医師に『娘が自分の障害名や障害の程度を知りたがっている』旨の手紙を書きました。医師は中学生のときから娘を診ているので娘のことはよく分かっています。二度目の告知は通常診療とは別枠で予約を取り、親同伴で行われることになりました。一度目の告知のときは前回の告知のときは、娘と親がそれぞれ感じている“本人の長所と短所”を事前に書き出しました。・真面目で一生懸命。我慢強い・常識を学び、言われたことは直したいと考え努力している・ルーチンに強く、さぼらない・興味や関心が深く狭い。技術や知識は多い・自分から気持ちを伝えることは、落ち着いてるとできる・会話は苦手で、相手の言葉に不安になることがある・新しいことや状況の変化・変更に対して臨機応変に対応することが苦手これらのことを一緒に振り返りながら医師が娘の『特性』を文字に起こして障害の説明をしました。本人の理解力に合った言葉選びと文字を書きながらの説明は、視覚優位の娘にはとても有効な方法です。医師からは『これからどのようにして周りの人たちに助けを求めていくのが良いか』のアドバイスもありました。2度目の障害告知では二度目の障害の説明でも、事前に本人と親で『娘の長所と短所と思われることの書き出し』をしました。その内容は6年前とほとんど違いはありませんでしたが、新たに“自分のことばで相談を持ち掛けるのは、ハードルが高い。相談してくれる人が向いてくれたら話せる。自分から働きかけることが苦手”が加わりました。娘は自らに主治医に「自閉症」「発達障害」「アスペルガー症候群」「ADHD」の違いや「自分は何に当てはまるのか」「障害の重さはどの程度なのか」などを質問しました。娘の質問に対し、主治医は図を書きながら娘に分かるように説明をしました。そして診断名は大事な個人情報だということも娘に伝えました。娘をとりまく環境の変化私は当初、再度自分の障害についての説明を望んだ娘の心境がよく分かりませんでした。でも娘と医師のやり取りを見ているうちに、娘が“学生”から“社会人”になったことが大きく影響しているのだと感じました。『学生』でなくなると、選択の自由度が増し、煩わしいもの、嫌なことを避けることもできます。学生時代は限られていた交友関係や活動範囲を広げることが可能です。一方で、自ら行動を起こさなければ人間関係は希薄になりがちです。周りの人は本人の意思を尊重します。そして自身の行動には責任が伴なってきます。そんな中で娘が自分の障害を再確認したいと思うのは自然なことだったのかもしれません。これからも親は子どもが何歳になっても親ということには変わりありません。そして子どもに障害があると、子どもを守りたいという気持ちはことさら大きくなります。でも自分の障害を理解しようとしている娘の姿を見て、私は彼女を一人の大人としてもっと尊重し、対等なスタンスで接していくべきなのだろうと感じました。これからも人生の節目やターニングポイントを迎えるたびに、娘は自身の障害についていろいろと考えることでしょう。そしてそのとき、私もまた新たな気付きを得るのだと思います。いつになるか分かりませんが、そのときまで体も心も頭も(笑)元気でいたいものです。執筆/荒木まち子(監修:鈴木先生より)そもそも自閉スペクトラム症を「障害」ととらえずに「特性」ととらえればいいのです。特性を知ることで今後の人生や生き方に役立てればいいと思います。重要なのは会社や周りの人たちがその特性を理解してくれるかどうかです。理解してくれることによって優しく丁寧に具体的に肯定文で話してくれれば、娘さんにとって生きやすい社会になります。最近はSNSなどでさまざまな情報が飛び交っております。重要なのは信頼のできる主治医と向き合って自分独自の特性を正確に知り、どういう対策を取ったらいいか知っておくことです。そしてそれを理解してくれる仲間を増やすことです。
2023年01月17日娘の障害が分かったとき、夫は単身赴任中だったわが家の長女ゆいの障害認定が下りたころ、夫は3年間の単身赴任中でした。しかも当時はコロナで移動制限もあったころで、夫が帰宅できる回数は少なく、ほぼ私と子どもたちだけで過ごしていました。夫とはいつでもオンラインで連絡が取れるとはいえ、役所の手続きや通院、学校との打ち合わせも全部私一人で対応し、心細く大変だったことを思い出します。障害の診断が下りた当時は「うちの子は普通だ」「障害者の手帳なんかいらないのでは」「気にしすぎだ」と言っていた夫ですが、少しずつ心境が変わってきているように感じます。実は夫からちゃんとゆいについての思いを聞いたことはありません。でも、中学校の特別支援学級の説明会に参加したり、勤め先にゆいが療育手帳を取得したことも話したりしています。口にはしないだけで現実を受け入れつつあるのかなと感じているのですが…。Upload By 吉田いらこわが家の子育てバランスは、私が子どもたちに甘く夫が厳しいパターンでした。夫は甘やかすばかりでは子育てに良くないと思っていたようで、よく「俺が厳しい部門の担当になる」と言っており、ゆいの障害が確定するまでは、夫は子どもたちには特に勉強面で厳しくしていました。しかし今年に入り、単身赴任を終えて帰宅した夫は…とにかくゆいに激甘になっていました。特別支援学級に移ってから本人に合う勉強法に変えていただいているとはいえ、全員共通で受ける算数のテストの点数は相変わらず高くはありません。○が少ない答案用紙を見て、以前の夫だったら「しっかり勉強しないからだ」と注意していたと思うのですが、今はもう答案用紙を見ても微笑むだけです。Upload By 吉田いらこ夫の娘たちに対する接し方の違いが気になって…勉強面以外でも、次女のあいに接するときの夫は今までと変わらないのですが、長女のゆいに関しては「まあ、仕方ないか」という感じで流してしまうのです。ゆいが元々大人しい性格で怒られるようなことはあまりしないという事情もありますが、あいが対応に差を感じてしまうかも、と少し心配しています。夫を見ていて感じたのですが、怒るということは相手に対して期待する気持ちがあるからなのではないかということです。今よりもっと成長してほしいから怒る、ということもあると思います。このことをゆいに対しては無意識に避けているのでは、と感じました。Upload By 吉田いらこでも姉妹で対応に差をつけてしまうと、されている側は敏感に感じ取ってしまうので、二人に対して同じように接するよう、夫には気をつけてもらうようにしています。私としては二人とも優しく甘やかしてもいいのでは、と思っているのですが…。もうすぐ、長女のゆいは中学生、次女のあいは小学校高学年になります。これから勉強面だけではなく、精神面でも成長してきたときに、娘たちにどう対応していこうか悩んでいるところです。執筆/吉田いらこ(監修:藤井先生より)コロナ禍の単身赴任中に、ゆいさんはゆいさんのペースがあると、受け止められたのだと思います。一方で、次女のあいさんへの接し方が気になっているのですね。きょうだいの対応に差をつけるのは、されている側は敏感に感じ取ってしまうかもしれない、と相談されることもあります。しかし、きょうだいとはいえ、個々に個性があります。個別に対応を変えるのはあっても良いかと思います。しかし、必要な注意はあっても良いかと思いますが、成績に対して怒るという対応は工夫しても良いかもしれませんね。
2023年01月13日臨月に行ったノンストレステストでひっかかった娘には重度の知的障害や身体障害があります。言葉はほとんど話すことはできません。発達の遅れは感じていたものの、2歳直前で障害があると診断されるまでは、そんなに重い障害があるとは思ってもいませんでした。妊娠中は、後期になるまではとても順調でした。ですが、臨月になり、ノンストレステストを行ったところ、いつまでたっても胎児が起きないのです。通常は、おなかの中の赤ちゃんは20分おきくらいで起きたり寝たりしているそうなのですが、ずっと寝ている状態とのこと。ほかの妊婦さんが30分ほどでテストを終えていくのに、私だけ3時間たっても終わりませんでした。産院の先生はなんども超音波で胎児の様子を見ては「脳もあるし、身体に異常は見当たらない。なんでだろう」と頭をひねらせていました。大学病院に紹介状を書くか迷っていた様子でしたが、予定より2週間ほど早く陣痛が来て、紹介する間もなくかかりつけの産院で出産することになりました。出生後すぐチアノーゼに出産時も、上の子の時とは違いました。生まれてすぐ一声泣いたものの、そのあとはぐったり…胸に抱かせてもらった娘の顔色がだんだん悪くなるのを見て、私は「先生、この子おかしいです!」と叫びました。スタッフが慌てて血中酸素濃度をチェックすると、とても低い数値。あわてて酸素ボックスの中に入れられました。ですが翌日になると落ち着いたので、予定通り3日ほどで退院となりました。Upload By ユーザー体験談泣かない、手がかからない、乳児時代その後は特に問題はないように見えた娘ですが、上の子と比較して違ったのは「泣かない」ということでした。上の子がとにかく泣いてずっと抱っこをしていて大変だったのに、娘は寝かせておいたらずっと寝ているし、泣いてアピールすることもほとんどありませんでした。出産祝いに来てくれたママ友に、「こんなに手がかからないなんて、なんか変じゃない?」と言って「楽なのに心配するなんて、心配しすぎだよ」と言われたのを覚えています。今思えば、自己主張するほど脳も発達してなければ、泣くために必要な身体の力も未熟だったのだろうと思います。Upload By ユーザー体験談4ヶ月を過ぎたころから発達の遅れが目立ち始めた首すわりまでは順調だったのですが、そこから先はつまづきました。寝返りしない、ハイハイしない、座れない、伝い歩きしない…7ヶ月健診で要観察、9ヶ月健診のときにもお座りが安定しない娘をみて、産院の先生に子ども病院を紹介されました。上の子のときを思い返せば、9ヶ月ではしっかり座り、座ったまま体をひねったり、両手でおもちゃで遊んだりしていたし、ずりばいやつかまり立ちもしていました。人見知りも始まっていました。娘は人見知りをすることもありませんでした。原因不明の発達遅延といわれて子ども病院にはかかったものの、原因不明の発達遅延と言われただけ。発達センターを紹介され、1歳になるころから、PT(理学療法)を受けることになりました。センターの先生は、おそらく一目見て娘の障害に気づいていたのでしょう。その後、同じ自治体に娘と同じ障害がある子が複数いると分かりましたし、そうした子どもたちはみんな、就学前はこのセンターに通っていたからです。ですが、立場もあるからでしょう、障害名について口にすることはなく、「ウォーカーをつくって歩行練習をしたほうがいいと思います。障害者手帳をつくれば、公費でつくれるので手帳をつくりませんか?」と提案されました。おそらく、歩行に困難がある障害だから、はやめにウォーカーをつくってリハビリを始めたほうがいいと考えてくださったのだろうと思います。1歳半健診で感じた周りの子どもとの違い1歳半健診にもいったものの、ハイハイもせず、模倣もせず、もちろん積み木もつめず。「おかあさんが髪をとかしていたら、それをまねしますか?」といわれ、1歳半の子どもってそんなことできるんだっけ、と思ったのを覚えています。そうした模倣をするようになったのは、娘の場合は小学校に入ってからでした。健診で、すでに発達センターに通っていることを伝えると、それならと特に要観察の指示もありませんでした。てんかん発作が診断のきっかけに結局、障害が分かったのは、1歳半を過ぎたころにてんかん発作を起こしたことがきっかけでした。地域の中堅病院にしばらく入院し、その後主治医になったのが、ある大学病院から月に何回か来ている脳神経の専門の先生で、その先生は脳波をみて娘の障害に気づき、大学病院への転院手続きをしてくださったのです。大学病院での遺伝子検査の結果、先天性の希少疾患があることが分かりました。Upload By ユーザー体験談3歳児健診はパス、大学病院での配慮がうれしくて3歳児健診には、娘を連れては行きませんでした。障害も分かっていたし、すでに毎月大学病院で見ていただいていたからです。役所に電話したら、「大学病院で毎月見ていただいているなら大丈夫ですよ」と言われました。定期通院のときに、看護師さんに「3歳児健診は行くのやめたんです」と伝えると、いつも計測している身長体重に加えて、詳しく計測をしてくれ、母子手帳に記載してくれたのがとてもうれしかったです。Upload By ユーザー体験談障害告知はつらかったけれど生後1ヶ月くらいから感じていた「何か気になる」というカンは、結局当たっていました。わが家の場合、てんかん発作で入院した病院に、娘の障害に詳しい先生がきていたことから、早めに障害を見つけてもらうことができました。障害が分かったときはその重度さに落ち込みもしましたが、今は早く見つけてくださった先生に感謝しています。あれから10年以上経ちましたが、私たち家族は娘を中心に幸せに暮らしています。イラスト/にれエピソード参考/あき(監修:鈴木先生より)1歳までは運動面での発達が主なので、遅れのあるお子さんはとりあえず「運動発達遅滞」という病名で定期的にフォローしながら病因検索をしていきます。この時点で一般の小児科医から神経専門の小児科医のいる病院へ紹介されるのが普通です。娘さんは運動発達を遅らせることで親にイエローカードを出していたのです。それをいち早く察知するために乳幼児健診(基本コラム「0歳児健診」参照)があります。早めに診断するメリットとしてさまざまな合併症に対する検査・診断・治療が早くできることが挙げられます。1%程度の病気の面は主治医が診るので家族のみなさんは残り99%の健康的な娘さんのできるところを見て伸ばしてあげてください。
2023年01月07日PTSDと発達障害の関連性とは?PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、つらい出来事がトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。ADHDの症状の中にはPTSDの症状と似ている点があったり、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの中にはPTSDだと診断されなくとも、こころの傷によって苦しんでいる場合もあります。※この文章を読んで、自分のトラウマがよみがえってきたり、気持ちがつらくなった場合には、一旦画面を閉じましょう。可能であればゆっくりと深呼吸をして、今が安全であることを確認しましょう。気持ちが落ち着いたら、また再開してくださいね。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンADHDとPTSDの類似性ADHD(注意欠如・多動性障害)とPTSDの症状には、実は似ている点が多くあると言われています。ADHDのある子どもは、不注意、多動性、衝動性の特性があります。ADHDのある子どもに見られる行動として、・大人しく座っていられない・すぐにかんしゃくを起こす・診察中に突然、病室から飛び出すといったことがあります。ですが、PTSDの症状としても、これらと似たような症状が見られることがあります。そのため、子どもの行動から、その原因がADHDの特性によるものなのかPTSDの症状として出ているものなのかを区別することは、専門家であっても難しい場合があります。ADHDとPTSDを正しく見分けるためには、子どもの過去にどのようなことがあったのかや生育歴・発達歴の情報が大切になってきます。子どもと一番長い時間を過ごしてきたのは、医師や専門家、学校の先生ではなく家族です。少しでも気になる出来事があったり、ある日を境に急にADHDと思われるような症状・傾向が見られるようになったと感じたときは、医師に伝えるといいでしょう。自閉スペクトラム症とトラウマ自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもは、その特性から、苦しんでいることがあります。「タイムスリップ現象」と呼ばれる症状が自閉スペクトラム症のある子どもに多くみられます。タイムスリップ現象とは過去の楽しかったことやつらかった出来事を突然思い出す症状です。この現象が起こりやすいという面から、ASDのある子どもは、(楽しい記憶のみでなく)過去にいじめや暴力を受けたときのつらい記憶について急に思い出し、まるで今その経験をしているかのように振る舞ってしまうことがあります。自閉スペクトラム症のある子どもが、フラッシュバックまたはネガティブな記憶のタイムスリップ現象に関して抱えている問題には、・トラウマになるような経験をしやすい・自分の身体に起こっていることを説明することが難しい・気持ちの切り替えやコントロールが難しいといったことが要因として挙げられます。自閉スペクトラム症のある子どもは、定型発達の子どもに比べるとストレスを感じやすい環境で生活していることが多くあります。感覚過敏のある子どもにとっては、普段の教室にいるだけでもストレスがたまっていくことが珍しくありません。また、うまく友人との関係性が構築できないという苦痛や、安心できるルーティンが崩される苦痛を受けやすいことなども挙げられます。自閉スペクトラム症のある子どもにとって、自分の身体で起きていることを正確に周囲に伝えることは困難を伴うことが多いです。子どもからのSOSがなく、親や学校の先生であっても、子どもがタイムスリップ現象で困っていることに気づけないことがあります。過去にいじめられたり、人間関係でうまくいかなかったりしたことを克服したように見えても、子どもが未だにその経験によって苦しんでいることもあります。自閉スペクトラム症のある子どもはパニックや癇癪、フリーズ(どうすればいいのか混乱してしまい、体と思考が凍りつく)を起こしやすかったり、気持ちの切り替えがうまくいかない傾向にあります。自閉スペクトラム症のある子どもが次のような行動をとったときには、トラウマが関連している可能性があるので、子どもに最近なにかあったか聞いてみるといいでしょう。・新たに、攻撃的・破壊的な行動をするようになったとき・夜、寝られなくなるなどの身体に変化が起きたとき・社会性、コミュニケーションにおいて、症状が悪化したとき・常同行動が増えたとき常同行動とは、手をひらひらしたり、体を揺らしたり、奇声を上げるなど、一見無目的に同じ行動を繰り返すことです。参考:友田 明美、杉山 登志郎、谷池 雅子/編集『子どものPTSD-診断と治療-』(診断と治療社、2014年)自閉スペクトラム症のある子どものPTSD予防のために自閉スペクトラム症のある子どもは、トラウマになるような経験をすることが多いと言われています。PTSDを予防するためには、大人子どもを問わず「安全な環境をつくること」「安全な人間関係をつくること」「自分に対するコントロール能力を回復すること」などが大事だと言われています。保護者が傍にいて安心できる環境を作ったり、家族や周りの人が心配し守っているということをきちんと伝えてあげることが、子どもが相談しやすい環境や安心へとつながります。また、なるべくそれまでの生活のパターンを変えずに、規則正しい生活を心がけて、自分に対するコントロール能力を回復するのを助けてあげることも重要です。イラスト/カタバミ参考:心の外傷とその対応|厚生労働省
2022年12月28日発達障害のある子ども2人との生活はへこたれそうになることの連続で…わが家の長男と次男には発達障害があります。私は、2人の特性である多動、衝動性、過集中、注意散漫に幾度となくへこたれそうになった経験があります。長男と次男は、特性によりそれぞれ話しかけてもなかなか反応がないことが多く、年齢も3歳差で比較的歳が近かったためか、仮に長男が反応したとしても次男が次の行動の妨げになってしまうことがよくありました。声色を変えたり伝え方を簡潔にしても、なかなか思うようにいきません。たとえば「お風呂に入るよ」と伝えてようやく行動にうつるまで20回(約1時間…)は声かけをしていたと記憶しています。気持ちが落ち込んでいたある日、私の我慢に限界が来て…忘れられない経験があります。当時長男は小4で、次男は小1で、2人とも通常学級に在籍していました。次男はまさに小1の壁にぶち当たっていたころです。次男は当時学校生活になじめず毎日学校と連絡を取り合う日々でした。ある日いつものように私は、放課後担任の先生から「次男が癇癪(かんしゃく)を起こした背景」を聞かされ、落ち込んだ状態で学校から帰宅しました。Upload By スガカズUpload By スガカズ私は2人の心を傷つけたくはありませんでしたし、自分自身を嫌いになってほしくはありませんでした。ですが、学校生活を送る上でどうしても「普通」と比べざるをえない状況に陥ることが頻繁にあり、そのたびに「私がやっていることは無意味なのではないか?」「(何を言っても聞く耳を持たないのなら)2人は別に私がいてもいなくても変わらないのではないか?」と感じながら子育てをしていました。そんな毎日が続き、私自身なんとかギリギリの状態を保ったまま日々過ごしていましたが、ある日ついに我慢ができず、2人を感情的に(泣きながら)怒鳴りつけてしまいました。すると、それまでこちらを向くことはなかった2人が、申し訳なさそうな顔をして、「ごめんなさい」と言いました。次男も、いつもなら癇癪(かんしゃく)を起こすことが多いのですが、この日は謝ってきました。しばらく時間が経つと、私はだんだんと子どもたちに申し訳なくなってきました。「親が感情的に『あなたは、こんなことができない』『私はあなたに傷つけられた』と言ってはいけないはずなのに、つい言ってしまった」「親は子どもの前で泣いてはいけないのではないか?」と後悔しました。どうすればいいのか自分自身悩みましたが、時間をおいてから2人に「ごめんね。お母さん実は我慢しすぎちゃったみたい」と謝りハグしました。気持ちを数値化、予告、話し方を変えるUpload By スガカズUpload By スガカズその後、「感情任せで怒鳴る」結果にならないように試行錯誤することにしました。誰だって怒りたくはありませんが、その日の状況によって怒ってしまうことがあります。私は当時、「怒ってはいけない」と自分に強く言い聞かせていたのですが、この一件から強く怒ってしまったあとは素直に謝って、こちら側の気持ちを伝えたり、「そろそろ怒りそうだぞ」とあらかじめ子どもたちに予告しておくようになりました。もし怒ってしまったときは、怒ったあとにハグして仲直り。それから子どもたちに「親でも怒ることがあるし、泣くこともある。なにをしてもいいわけではない」ことを伝えるようしました。執筆/スガカズ(監修:初川先生より)感情的に怒ってしまったこと、そのことへの逡巡する思いのシェアをありがとうございます。同じようなことになって悩んでいらっしゃる保護者の方は多いのではないでしょうか。子育てというものは、理屈や理論、理想通りにはなかなかならないですね(私も子育て中ですが、心の底からそう思います)。私の尊敬する先生は「子育てはあきらめのプロセス」と語ってらしたし、心理士の仲間内では「まさか自分が子どもにこんなに怒る日が来るとは思わなかった(こんなに怒ったり悲しんだりする自分が、自分という人間の中にいるとは思ってもみなかった)」という話が出たり、みなさん多かれ少なかれこうした葛藤に見舞われるように感じます。頭では分かっているのに、できない。子どもとはいえ、自分とは違う人間なのだから期待しすぎてはいけない。分かってはいるけれど、なかなか難しいのですよね。まずお伝えしたいのは、今回のように怒って泣いてしまうほどになるということは、スガカズさんがとてもとても頑張っていらしたからだということです。学校からの連絡(これ、なかなかつらいですよね)を受け、頑張っているのにどうにもうまくいかない、自分だけが一人で頑張っているような気がする。そうした思いが生まれる際は、おそらく、頑張りすぎて無理が生じており、ゆとりがなくなっている・視野が狭くなっているサインです。もしそういう心境になられたら、カウンセラーや信頼できるお友達など、話を聞いてもらいたいと思う人に胸の内を聞いてもらうことをおすすめします。具体的に何も解決しなかったとしても、心の空き容量は増えます。ゆとりが生まれたら、また頑張ろうと思えます。そして、今回のように、お子さんにわーっと怒ってしまった場合。私はスガカズさんの取られた対応で良いと思います。落ち着いてから謝る。怒りすぎたことを謝る。スガカズさんのされたように「お母さん、我慢しすぎちゃったみたい」など、理由を説明して謝る。そこに尽きます。もちろん、そこまで感情的に怒らずに済むならそれにこしたことはありません。そして、いくら感情的になったとはいえ、超えてはいけない線(暴力をふるってしまう、食事を与えないなど)もあります。そこには気を付けていただきたいですが、しかし、感情的にわーっと怒ってしまう、泣いてしまうことも時にはあると思います。それは、子育てという営み、家族としてともに生活をするという営みが、決してきれいなだけのものではないからです。親密な関係性の中では、常に理知的に過ごすというのは困難です。それは若いころの友達関係や恋人関係を振り返っていただければ思い当たることがあるかと思いますが、つい感情的になる、言いすぎてしまう、へそを曲げてしまう。そういうことが親密な関係性ではどうしても出てきがちです。大事なのは、そのあとで、そうして時々感情的になったとしても、その関係性を修復し、共に過ごす生活を営み続けるということです。怒りすぎてしまったと思ったら謝る、そしてまたそこからやり直す。そのこと自体も、大事なことだと私は感じています。きれいなドライな子育てなんて、ないのではないでしょうか。ただ、繰り返しますが、むやみに感情を爆発させてもお子さんに負荷がかかり、場合によっては情緒不安定になる可能性もあります。そこで出てくるのが工夫です。スガカズさんのされた、怒り度合いを点数化して伝わりやすいようにする、口調を変えてみる。とても良い工夫だと思います。そうして、保護者の方ご自身の感情の手綱を取りつつ、なくてもよい“爆発”を抑えつつ、そしてなにより、共に生活をする間柄として気持ちの良い関係性を一緒に作ってゆく。そうした営み自体が、悲喜こもごもになるとは思いますが、充実した試行錯誤、子育ての醍醐味となられることを願います。
2022年12月27日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!発達が気になるお子さんを育てる日々の中、子どもに接したときに言われたひと言にドキリ…!そんな経験はないでしょうか?子どもの鋭いひと言、本質をついた言葉、意外だった言葉など、発達ナビ会員のみなさんをはじめ多くの方からお寄せいただいた言葉の中から、印象的だった5つの言葉を発達ナビ編集部が選びました。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます「自閉症を治したい?」という残酷な質問に、高校生息子の答えは…わが家の大学生息子(自閉症)は小2で本人告知をしています。1歳代から療育に通い、二人羽織状態での加配付で年少で保育園入園&小学校入学まで療育並行通園、義務教育の小中9年間はガッツリ情緒支援学級在籍。「自閉症の程度」としては重度です。高校生になったころ、とあるテレビ番組で「自閉症を治療する」というようなものがありました。息子に直球で「この治験に参加してみる?自閉症治るかもよ?」と聞いてみました…非常に残酷な質問です。息子の答えがコレ。「俺は、これまで自閉症として生きてきた。確かに、不便はめっちゃくちゃあるけれど、『自閉症ではない俺』は、俺ではないと思う。俺は、『自閉症の俺』として生きていきたい」彼が「自閉症の俺」というアイデンティティをしっかりと構築していたということに、とても驚きました。(あまだれさん)自閉症(現在は自閉スペクトラム症)は、療育や服薬、環境調整などの工夫で生きづらさを軽減することはできても、根本から治すことは難しいとされています。高校生にして、自閉スペクトラム症がある部分も含めて「自分」なのだという自己認識をされていた息子さん。しっかりした考えを持っていらっしゃることに「ドキッ」としました!分かり合えず苦しかったとき、ADHDのある息子に言われた言葉夫と3人の息子たちと暮らす中で、一般常識だと思ってきた私の感覚が彼らに通じないことも多くて悩んだり苦しくなることがたくさんありました。ある日『あなたたちに私のことは分からない。孤立して苦しい。』と吐き出したとき『それが僕らが普段外で味わっている感覚』と言われました。(まつぼっくりさん)わが子や身近な人に発達障害があり、まつぼっくりさんのように、思うようにコミュニケーションが取れず悩んでいる方も多いと思います。しかし『それが僕らが普段外で味わっている感覚』、この言葉に「ドキッ」とさせられました…。まずは相手を知ろうとすることが大切なのかもしれませんね。忘れられない定型発達のきょうだい児の言葉うちは自閉症の息子と、3歳下の定型発達の妹がいます。息子のことで心身共に疲弊したときも、妹の明るい性格に何度も助けられてきました。そんな妹が小学校1年生のころ「ママは私よりもお兄ちゃんのほうが好きなんだよね」ってポソッと言われてドキッとしました。なんで?と聞くと「だってママはいつもお兄ちゃんのほうに行っちゃう」と、、。そんなつもりは全くありませんでしたが、何をやるにも手のかかる兄に比べ、なんでもそつなくこなす妹は、つい後回ししてしまっていたことがあったかもしれないと反省しました。幼い妹なりに、自分よりも兄を構う私の姿を何度も見て感じてきたのかと思い、そんな気持ちにさせてしまっていたことにショックを受けました。今でもその言葉を言われた時のことは忘れません。(ゆーたんさん)きょうだいがいる場合、定型発達の子どもより手がかかる場面はどうしても多くなってしまいがちです。娘さんが感じていたさみしさに気づき、反省させられたというゆーたんさん。ゆーたんさんの愛情は、きっと娘さんに伝わっていると思います!知的障害のある弟へ、姉のやさしい願い知的障害のある3歳の弟の代理で、七夕の短冊に願い事を書く7歳の姉。何て書くのか、覗いてみたら、「○○(弟)が毎日ニコニコしていますように」ですって。ひらがなが書けるように、とか、スイミング19級に合格しますように、とか、そんな目先のことではない姉の願いを見て、母は恥ずかしくなりました。(こむらいのりさん)子どもが成長し、できることが増えてくるのは喜ばしいことですが、ついあれもこれも…と欲が出てしまうのが親というもの。「弟がいつも幸せであってほしい」という娘さんの言葉に「ドキッ」としつつも、息子さんに対する思いやりに心が温まりました。いつまでも仲良しなきょうだいでいてほしいですね!知的障害のある娘、高等部になってから喋り出した言葉に『ドキッ!』単語などでの会話があったものの、自分の思いなどを伝えるのが下手だった娘。喋らないと思っていたら高等部で、いきなり喋りだした。「お母さん、ピーマン嫌い、と言って残したら怒って叩きました。納豆を食べました」確かに10年ほど前にそんな出来事あったな。とドキッ。その後は「これをして 怒られました」「行きたくないのに学校に連れていかれました」と 出る出る、嫌だった私の行動。喋りだしたら怖いから気をつけて、と昔医師に言われたことを思い出しました。「○○先生は、私をつねりました」えっ?今更、確認できないわー(汗)。しばらくは、ドキドキしてました。(こっこちゃんさん)これは「ドキッ」としますね…!言葉は話さなくても、これまでも娘さんはいろいろなことを理解し、感じていたのですね。記憶力の良さにも「ドキッ」としましたが、いやな記憶ほど忘れられないものなのかもしれませんね。おわりに子どもたちの心からの言葉に耳も心も傾けることの大切さを教えてくれるエピソードばかりでした!ご紹介したお子さんたちの言葉に、みなさんも、ハッとさせられることがあったのではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもみなさんに楽しんでいただけるような企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!
2022年12月26日障害のある学生の修学や大学生活の困りごとに寄り添い、教職員への支援も行う東北大学では、2014年4月に「学生相談・特別支援センター 特別支援室」を設置。2016年3月に「国立大学法人東北大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程」を、同年4月「障害のある学生への配慮に関するガイドライン」、同年10月「修学上の合理的配慮の提供に関する対応について」を定め、障害のある学生への支援体制の整備を図ってきました。今回は、現在の支援内容や新しい取り組みなどについて、学生相談・特別支援センター副センター長の池田忠義先生に教えていただきました。発達ナビ編集部(以下、ーー)特別支援室の位置づけや支援体制から教えてください。池田先生:特別支援室は、障害学生に関する全学的な相談部署であり、学生相談・特別支援センターの中に位置づけられています。同センターには、特別支援室と全学の学生相談を担う部門である学生相談所とがあります。特別支援室には、相談員3名(専任教員)、コーディネーター2名、受付1名が配置されています。相談員やコーディネーターは、公認心理師や特別支援学校教諭などの資格を有し、発達障害や聴覚障害のある学生への支援等に関する専門性を持っていますが、現在はどの担当者もさまざまな障害に対応できるように努めています。――特別支援室ではどのようなことに注力しているのでしょうか。池田先生:障害のある学生への合理的配慮に関する支援だけではなく、修学上や大学生活上のさまざまな悩みや困りごとへの支援を行うこと、大学の構成員全体を対象とした働きかけを行うことです。したがって、障害のある学生だけではなく、その疑いのある学生も含めて、継続的な面接により支援を行い、また、障害のある学生の支援に関する教職員や学生全体の理解促進のための活動を積極的に行っています。Upload By 発達ナビ編集部発達障害がある学生の相談は増加傾向に――どのようなことでお困りの学生が多いのでしょうか。池田先生:自発的に来談する学生については、修学上のつまずき(授業についていけない、単位履修が進んでいないなど)を契機に相談につながることが多く、入学直後を含め、低年次からそうした問題に直面する場合や、学年が上がり、専門科目が増えた状況でそれらの問題に直面する場合もあります。最終学年などで、研究に取り組む中で初めてつまずきを感じて来談する学生もいます。また、卒業が近づいて進路選択をしなければならない段階で、進路選択に迷う、就職活動で思うような結果が出ないといったことで来談する学生も少なくありません。――来談する時期や内容はさまざまなのですね。相談に来る学生は増えているのでしょうか。池田先生:特別支援室の来談者は基本的に増加傾向にあり、発達障害のある学生も同様の傾向にあります。来談者を障害種別に見ると、発達障害が一番多く、未診断であるがその傾向があると思われる学生も毎年一定数います。また、発達障害に次いで精神障害が多く、2021年度の来談者は発達障害(疑いを含む)と精神障害の二つで来談者全体の6割を超えていました。こうした傾向は、今後も続くのではないかと思われます。特別支援室に来談している学生については把握できますが、学内全体で発達障害のある学生がどれくらい在籍しているかは明確ではありません。ただ、発達障害の有病率という点から考えると、特別支援室への来談や学内での支援につながっていない学生が一定数いると思われます。そのことを踏まえると、学生が相談・支援につながるための広報活動や学生と接している教職員の理解啓発をより一層強化する必要があると考えています。――支援が届いていない学生もいるかもしれないということですね。発達障害がある学生の相談内容としては合理的配慮に関するものが中心ですか。池田先生:当室を利用している発達障害のある学生の多くは、合理的配慮を申し出るための申出書作成支援や自分自身の特性理解、困難さの対処方法の相談のため来談している学生です。一方、「発達障害かもしれない」と思い相談に来る学生もおり、その学生については希望に応じてアセスメントを行うなどし、医療機関の受診などについて一緒に検討しています。合理的配慮の具体的な例としては、注意事項等の文書による伝達、レポート提出期限への配慮、別室受験等などがあります。合理的配慮を受けた学生からは、「配慮を認めてもらってとても助かった」など、修学機会の確保につながったという声を多くもらっています。ただ、配慮提供が認められたものの修学に結びつかないこともあるため、学生と振り返りながら次学期に向けての相談を行っています。――先ほど学生だけでなく教職員の方への支援にも力を入れていると伺いましたが、具体的に教えてください。池田先生:障害のある学生の支援に際しては、教職員の理解・協力が必須であることから、個別支援における教職員との連携、障害学生支援に関する理解促進のための啓発活動を特に重視しています。前者については、特別支援室へ相談に訪れた学生の支援に際して特別支援室から授業担当者や指導教員に連絡する場合と、学生対応に関する教職員からの相談を受け、連携する場合があります。後者については、学生支援に関する全学FD(FD:大学の教育の内容及び方法の改善を図るための教員の組織的な研修など) を定期的に実施するとともに、部局の依頼に応じて特別支援室スタッフが部局FDの講師を務めています。また、学生支援に関する全学的会議である学生生活支援審議会の下に学生相談・特別支援連絡会議を設置し、そこで各部局の学生相談や障害学生支援に関する状況を共有しています。――教職員の方からはどのような相談があるのでしょうか。池田先生:発達障害のある学生やその傾向があると思われる学生に対して、「どのように対応したらよいか分からない」「どこまで支援をしなければいけないのかが分からない」「配慮はほかの学生の不公平感につながるのでは」など、学生の困難さの理解のしづらさから来る対応の難しさ、合理的配慮に関する質問・意見があります。さらに、具体的な支援方法や支援事例、発達障害のある学生の就職支援についてなど知りたいといった声もあります。こうしたことから、発達障害のある学生についての教職員の理解啓発などを目的として、2021年度、「発達障害のある学生への対応について-教職員向けヒントブック-」を刊行し、全教職員に配布しました。学内講演やFDなども行い、学内の理解や啓発などを積極的に進めています。Upload By 発達ナビ編集部――特別支援室では、学生サポーターによる支援も行っているのですよね。池田先生:「学生相談・特別支援センター学生サポーター」は、誰もが共に学べる大学環境をつくるために組織された有償ボランティアであり、現在は学部生、大学院生あわせて計60名登録しています。応募動機としては、人と関わるような活動をしてみたい、障害のある学生と関わってみたいなど多岐にわたります。主な活動は、聴覚障害のある学生のための情報保障、移動が困難な人のためのバリアフリーマップの作成や改訂のほか、障害のある学生への学習支援、ガイドヘルプ、移動介助、授業中のノート作成、学内ボランティア団体でのイベント参加などです。バリアフリーマップについては全キャンパス分を学生サポーターが中心になって作成しており、現在は毎年1キャンパスずつ改訂し、各学部や入試説明会など人が集まるような行事で参加者に配布しています。コロナ禍前は大学祭やオープンキャンパスでのイベントへの参加なども行っておりましたが、本学でも対面の活動の再開に伴い今後ますます活動が広がっていくと思います。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部発達障害のある高校生などを対象とした大学準備講座を開催――発達障害のある高校生や既卒者向けの講座を実施されていますね。開催のきっかけから教えてください。池田先生:当室に来談する発達障害のある学生と話していると、入学後に高校と大学との違いに戸惑いを感じたり、困ったときにどこにどのように相談したらよいか分からなかったりと、大学生活などで大きくつまずいていることが少なくありません。そのため、発達障害のある本学への進学を希望する方や大学で学ぶことに興味がある方を対象に、大学のイメージを膨らませ、進学準備や進路選択に役立てられることを目的として「発達障害のある高校生・既卒者向け大学準備講座1DAYトライアル!」を開催しようと考えました。2022年3月に初めて開催し、同年8月に2回目を開催しました。――反響や参加状況はいかがでしたか。池田先生:初回は3月実施ということもあり、高校1・2年生の学生4名が参加してくれました。参加者から次回以降は夏開催を希望する声が多かったため、2回目は今年8月に開催し、高校生6名、既卒者1名の計7名の方の参加がありました。1DAYトライアルは発達障害の診断がある方向けのイベントですが、グレーゾーンの方からの問合せもあり、反響の大きさを感じました。当初対面開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、急遽オンラインでの開催に変更したところ、東北以外からの参加もありました。イベント終了後にアンケートの記入をお願いしたところ、うれしいことに全般に高い評価を得ることができました。模擬授業は、大学と高校との違いや大学での支援体制などの座学に加えて学生サポーターも加わり参加者の疑問に答えたほか、時間割作成や自分自身の特性理解につながるワークなども行いました。障害のある当事者学生が参加した「先輩の体験談を聞く(座談会)」の時間では、障害の困難さを抱えながらもどのように大学生活を送っているのか座談会形式で行いました。参加者からは次々と質問があがり時間が足りないほどでした。参加者からは、「大学と高校の違いや本学の支援体制などを具体的に学べた」「自分自身の障害特性についても考えながら大学を知る機会になった」「先輩の話から大学について不安に感じていたことが安心感に変わった」などの感想が寄せられ、自分自身の障害特性を理解しながら大学生活を送ることについて知るとても貴重な時間になったことが伺えました。――参加者のみなさんにとって良い機会となったのですね。池田先生:そうですね。我々としても、参加者にとって大学や自分自身を知る有意義な時間になっていたと感じています。模擬授業の中の時間割をつくるワークでは、「自分は朝が弱いから2限からの授業を取ろう」「続けて授業を取りすぎると集中力が続かないから間をあけて授業を取ろう」などの感想があり、参加者が自己理解を深めながら大学での修学を考えることの大切さを実感したのではと思います。また、本学の学生サポーターや当事者学生も参加しましたが、質疑を通して発達障害のある学生への理解や自身の自己理解につながった貴重な時間になったように思います。さらに、県内の高校に今回のイベントの開催通知送付のほかに電話での案内も行い、その際に「大学の障害学生支援について知りたい」とのご相談が高校の教職員の方からあり、職員研修会での講演依頼を受けました。発達障害のある学生だけではなく、高校の教職員のみなさまにも大学の障害学生支援を知っていただく機会につながる講座であると感じています。昨年度、今年度ともに感染状況などを考慮し、対面開催からオンラインでの開催に変更しました。来年度は、食堂や図書館など学内施設の体験利用などの企画も考えながら、ご希望の多かった対面開催を目指していきたいと考えています。個別支援と学内全体の支援体制の充実を目指す――これからの特別支援室の取り組みについて教えてください。池田先生:今後については、来談者への個別支援と学内全体の支援体制の充実をさらに進めていきたいと思っています。個別支援については、修学上や生活上の支援はもちろんですが、入学や卒業の時期における支援が特に重要・必要だと思っています。現在も、大学生活に円滑に入れるための高大接続、大学卒業後の生活に向けて就労移行支援に取り組んでいるものの、まだ十分とは言えないため、これらの活動をさらに積極的に行っていきたいと考えています。また、学内全体の支援体制の充実のためには、大学構成員全体を対象とした情報発信や研修会の実施等を進めていくことが大切だと考えています。――ありがとうございました。
2022年12月19日2歳ごろから突然の発作?不安になった私は…2歳ごろ、Pには体を硬直させながら震えるという症状がありました。その震えは主に食事中や、楽しいとき、興奮しているときに現れ、最初の方は1日に数回だったのに、1日に数十回も震えが見られるようになったので、Pにはてんかんなどの基礎疾患があるのかもしれないと不安に思うようになりました。そして基礎疾患の何かが発達障害の原因にもつながっているのかもしれないと考えるようになりました。私は、Pの発達について相談していた保健センターで医師に紹介状を書いてもらい、大きな病院の「小児神経科」を予約し、受診することにしました。予約の際に、「発作が起こっているときの動画が撮れたらできれば撮っておいたほうが分かりやすいし伝わりやすい」と聞いていたので、Pが震えているときの動画も撮って持って行きました。Upload By みん初診で先生は、私たち親子の様子を見ただけで「これはこれはお母さん大変そうですね」と声をかけてくださいました。何故ならこのころのPは本当に手のかかる時期だったので、長い待ち時間の間にPから受けた引っ掻き傷と噛まれた痣とで私の顔、首、腕はボロボロでしたし、P自身も初めての病院、診察室、先生を見て泣き喚き暴れていたからです。そんな中で先生は、私の話を一つひとつ丁寧に時間をかけて聞いてくれました。そしてPの震えているときの様子の動画を先生に見せると、先生はすぐ「これはてんかんの発作ではないですね…どちらかというと癖のようなもの(身震い発作)だと思います」と言ってくれたのですが、まだ未診断だったPの様子を少し見ただけでも、自閉スペクトラム症だけではなく知的障害の可能性があること、そして今までできていたはずのことができなくなるということは、ほかにも何か病気が隠れている可能性があるということを先生に指摘され、これらの理由から一応検査入院をするようにすすめられました。てんかんなどの発作の可能性は低いとしても、知的障害の可能性やほかにも病気が隠れている可能性があると聞き、私は頭が真っ白になりました。そして入院スケジュールを聞くと、早くて3日間、長引くと5日間も入院しないといけないと説明され、Pは家で過ごすのも大変な状態なのに入院生活なんて耐えられるのか?ととても不安になりました。でも大きくなればなるほど入院や検査は大変になるので、まだ小さい2歳のうちに一気に検査しておいたほうが良いと言われたので、覚悟を決めて検査入院をすることにしました。Upload By みん知的障害やほかの病気の可能性も指摘され、検査入院をすることになる検査内容は、「脳波検査」「MRI」「髄液検査」「染色体(遺伝子)検査」の4つでした。Pはまだ幼く、親の介助が必要なので私も24時間一緒に付き添う形になりました。Pが受ける検査は動いてはいけない検査ばかりだったので、入院中はたくさんの薬や麻酔で何度も眠らされることになり、小さな身体へのストレスや負担がとても心配でしたが、Pの身体の中に隠れているかもしれない病気や原因を探すために必死でした。障害の原因が遺伝子レベルで見つかる可能性があるので、染色体(遺伝子)検査も念のために受けましたが、これはかなりデリケートな検査になるので、検査前に夫と電話で話し合いました。夫婦ともに何か1つでも分かることがあるのなら…という気持ちで受けました。Upload By みん検査入院中は母子ともに本当に大変だった入院中私は、自分の好きなタイミングで食事をとることも、トイレへ行くこともできず、狭い小児用ベッドでは添い寝もできないので、ゆっくり眠ることもできず、緊張から肩にずっと力が入っていました。でも、検査のために頑張っているPや、ほかにもさまざまな病気や障害と闘いながら入院生活をしている子どもたち、それを支えている先生や看護師さんたちを見ていると、泣きごとなんて言ってられない…という気持ちになり、一緒に入院生活を頑張ることができました。幸いにも個室で過ごせていたので、その環境はかなり救いになりました。そして検査もスムーズに済み、3泊で帰れることになりました。全ての検査が終了したあと、一つずつ検査結果を聞きましたが、大きな病気や原因は今回の検査からは何も見つからず「基礎疾患はないでしょう」と先生に言っていただき、心からホッとしました。何か基礎疾患が隠れているかもしれないとずっと思っていたので、その不安から解放されたような気持ちでした。Upload By みん子どもの健康に心配や不安があるのなら…子どもの健康で何か心配や不安なことがある場合は、必ず病院へ行って医師に相談した方が良いと思います。似たような症状をインターネット等で調べて自己診断で済ませたり、気にはなっているのに分からないままでいたりして、「もっと早く病院へ行っておけば良かった」と後悔することになってしまうと大変です。検査入院の結果、何かが見つかればそれに対して行動ができるし、何も見つからなければそれはそれで安心できるので、私は検査入院をしておいて良かったなと今も思っています。執筆/みん(監修:新美先生より)2歳のころの検査入院のお話を聞かせてくださりありがとうございます。みんさんのお子さんの場合、体を硬直させながら震えるという症状があって、検査を受けることになったのですね。繰り返す特徴的な動きは、てんかんのような病気の症状である場合と、癖のような意識的な動きである場合とあり、見た目だけで区別がつく場合とつかない場合があります。専門の医師が必要と判断する場合は、ちょっと大変でも検査を受けてはっきりさせたほうが、みんさんもおっしゃっているように先に進めて安心ですね。小さいころの検査は、安全に検査を受けるために薬を飲んで眠らせたり、針を刺すような痛い検査もあるので大変です。病院といういつもと違う環境のため、警戒しているとなかなか眠れなかったり、ふだんより不機嫌になったりして、付き添いの親御さんもへとへとになることでしょう。お子さんの苦手なことなどは積極的に担当医師と相談し、検査が少しでもスムーズに受けられるよう作戦を立てられるとよいと思います。また、もう少し年齢が大きい場合は、検査の予定やどんなことをするのかなど、スケジュールや手順書などをしっかり示すことでお子さん自身が頑張れる場面も増えるかもしれません。検査入院はどうしても大変ですが、必要があるときは担当医と相談しながら頑張れるといいですね。
2022年12月15日なぜか診察では無口になるコウですUpload By 丸山さとこコウは小学4年生から中学1年生の今までADHD治療薬を服用しています。そのため定期的に発達外来のある病院へ通っているのですが、診察中はほぼ口を開きません。先生から質問されても、「ハイ」とうなずくか「う~ん…」と首を傾げるかで反応が薄いコウです。私が「最近〇〇って言ってたね」と話題を振ってもコクコクとうなずくばかりで、先生が促しても詳細を話すことはありません。それなのに、毎回診察室を出た途端に「今日さ~」「僕は…」とペラペラ話し出すのだから不思議です。なぜ診察室では話さないのかコウに聞くと、本人にもよく分からないとのこと。緊張しているわけでもないらしく、確かに私から見ても特に緊張したり固まったりしている様子はありません。発達外来の医師は威圧感もなく話しやすい相手のように思いますし、コウも先生への印象は良いようです。全く話さないというわけではなく、時折うなずいたりして相づちを打つ姿は見られます。また、コウは「家庭以外の場や家族以外の相手に緊張する」ということは特にないと言います。Upload By 丸山さとこ実際に公開授業や運動会などの学校行事でコウの様子を見ると、クラスメイトと話したり授業中に発言したりしていることも多く、多少は気を張っているものの彼なりに楽しんで過ごしているようです。このように『診察室で医師と会話できない状態』の理由は今一つ分かりませんが、コウも5年後には成人して1人で診察を受けるようになるだろうと考えると少し気になります。いずれはコウも1人で診察を受けるのだな、と考えると…今は私が診察に同伴していますが、将来を考えたとき1人で医師の問診に答えられないのは困りそうです。先日スクールカウンセリングにて相談する機会があったため、「今すぐ困ることではないのですが…」と伺ってみました。先生は「もしかしたら、診察では『最近どうですか?』などのオープンクエスチョンが多くてコウ君にとっては難しいのかもしれませんね」と推察してくださり、私は「それは確かにあるかもしれない」と納得しました。Upload By 丸山さとこまた、コウは『頭の中にあることをサッと言葉にすること』や『自分の内面を説明すること』が苦手な傾向もあります。知識を述べることや、既にストーリーとして自分の中でまとまっている文章を話すときはスムーズな彼ですが、「どうしてですか?」「どう思いましたか?」などの質問も多い診察中の会話は、彼にとっては難易度が高い会話なのかもしれません。最近コウの生活は比較的落ち着いており、本人の自覚としては大きな問題はありません。そのため、「調子はどう?」と聞かれて「いいです」と答える大雑把な応答でも困ることはありませんが、今後再びトラブルや不調などの困りごとが起きるときもあるかもしれません。『病院の問診で聞かれやすいこと』をあらかじめ紙に書き出しておいたり、その場で答えられなくても次回までに考えておいたりするなど、彼なりの方法で診察を受けられるように練習していきたいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)ASDの患者さんは抽象的な表現の理解が苦手なため具体的に聞く必要があります。「最近どう?」よりも「学校はどう?」、それよりも「学校の授業はどう?」、それよりも「学校の英語の授業はどう?」とより具体的に尋ねた方が分かりやすいのです。主治医も行間が読めるかどうかを確認するためわざと省略して尋ねることもあります。親御さんと一緒だと話しづらいという場合もあるので、私の外来では親子別々に入れて診察するようにしています。そうすることで親に気遣うことなく話せることがあります。そういう患者さんは、親と一緒のときに親の顔を確認したり気遣ったりして話しています。また、ASDの並存疾患の一つに場面緘黙があります。家では普通にしゃべっているのに、玄関を出た瞬間あるいは目的地に到着した瞬間にしゃべらなくなることがあります。相手と話す不安が多い場合にはSSRIなどの抗不安薬で対処する方法もあります。
2022年12月12日私の息子は3歳半健診で、「発達障害の疑いがある」と診断されました。結果的に、その1年後の健診で「発達障害ではない」と診断されましたが、息子の幼過ぎる行動を見るたびに、発達障害と親のしつけについて考えさせられた私の体験談をお伝えします。3歳半健診で色が答えられない私の夫は外国人で、私たち家族は長い期間を国外で過ごしています。息子の周りで日本語を話すのは私だけでした。 あれは日本に帰国し、3歳半健診を受けたときのことです。「この色は何?」という質問に、息子は答えられませんでした。私は相談室に入り、医師に「息子は日本語が苦手なだけです」と話をしました。その後もさまざまなテストを受け、できることもあればできないこともありましたが、最終的には「発達障害の疑いがある。様子を見ましょう」と医師に言われてしまいました。 発達障害? 親のしつけのせい?息子はレゴブロックを組み立てたり、本の内容を覚えたりする点ではほかの子よりも優れているところもありました。そのため、息子が店で走り出したり、大声で怒り出して止まらなくなったりしても、手のかかる子だと思う程度でした。 ところが周りからは、私の息子への対応が甘過ぎる、しつけが悪いと言われることもありました。そう指摘され、息子に厳しく接することも。そのため、3歳半健診で「発達障害の疑いがある」と言われたとき、「本当に発達障害かもしれない」という思いと、「いや違う、私のしつけのせいだ」という思いから毎日悩みました。 息子の個性と親のしつけを考える 1年後の健診で、息子は「発達障害ではない」との診断を受けました。テスト結果は、同年代より優れている部分と劣っている部分の両方がありましたが、普段の生活でも、ほかの子より優れている部分と劣っている部分の差が大きい息子。以前はその劣っている部分を直そうと、厳しくしつけをしていました。 私はその視点を変えることにしました。周りからのプレッシャーもありましたが、今は息子の個性を大事にして優れている部分を伸ばそうと考えています。 息子は、いまだに幼い子のように自分の感情を強く出します。それは、のちに発達障害と診断されることになるかもしれません。でも、私には息子の優れた部分もきちんと見えています。今はその個性を大切にしたいと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/imasaku監修/助産師REIKO著者:シュストルじゅんこ二児の母。海外で結婚し、2人の男の子を妊娠・出産。異文化を楽しみながら子育てをしている。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2022年12月06日今回は娘さんの発達に関して無関心だった夫の行動に変化が見られたときのお話です。娘さんが発達障害であるという診断を受けてから、しばらく経ったある日のこと―。夫がある物を買っていて、さやこさんにそれを見せてきました。今までの夫からは考えられない行動にさやこさんは少し驚いてしまって……!?夫の行動に少しずつ変化が見られるようになって… そして後日……。 夫が買ったのは発達障害の電子書籍。 普段は育児本なんてせいぜい買ってもエッセイ漫画だった夫が、初めて専門職を買って読んでいたのです! その姿に思わず驚いてしまいます。 (子どもの成長にやっと向き合う気になったのかな……?) そんな風に心の中で思っていました。 そして、また後日には夫が娘さんの対応をどうしたらいいのか質問してきたのです。 以前は考えられなかった育児に向き合おうとする夫の姿勢に少し戸惑いを感じるさやこさん。 (娘の様子を見て違和感に気付いて質問できるようになったのか……) 思わず目を丸くしてしまうのでした。 予想外な夫の行動に一瞬戸惑ってしまったさやこさんですが、育児書を買ったり、娘さんの対応に関する質問をしてきたりと、今回の夫の行動はすごく娘さんの育児に対して前向きな印書を受けました。ママにばかり育児を任せるのではなく、一緒に取り組もうとする姿勢はうれしいですよね。皆さんはどう思いましたか?著者:マンガ家・イラストレーター さやこ娘と夫の3人暮らし。自閉症スペクトラムの娘との日常を中心にいろいろと過去の出来事などエッセイマンガを描いてます。
2022年12月03日昭和5年創業、年間2千万冊以上のノートを製造する大栗紙工株式会社(所在地:大阪市生野区/代表取締役社長:大栗 康英)は、発達障害当事者の声をもとに開発した「mahora(まほら)ノート」の限定デザインを1冊購入すると、発達障害の方を中心にmahoraノートが2人に寄付される「ペイフォワードまほらノートプロジェクト」を2021年11月に開始しました。1年間で、20の支援施設などを通じて1,700冊を寄付しました。引き続き寄付先を募集し、より多くの当事者に知ってもらう機会を増やしたいと考えています。光の反射を抑えた目に優しいノート【「ノートが眩しい、使いにくい」という困りごとを抱える多くの方に届けたい】「mahoraノート」は、発達障害者を支援するOffice UnBalance(所在地:大阪府茨木市/代表:元村 祐子)と共に、当事者約100人の声を集めて開発したものです。「光の反射を抑えた目にやさしい中紙」「識別しやすい罫線」「シンプルなデザイン」が特徴です。2020年2月の発売以来、シリーズ累計販売数は10万冊を超え、グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」や、日本文具大賞デザイン部門優秀賞などを受賞しています。しかし、まだまだ必要とされている方に届けることができていないという思いから、当プロジェクトを企画しました。【1人の優しさが2人の学びを支援する循環を】これまでの利用者からは、「mahoraの存在を知り、『ノートの白も眩しいのか!』と娘の苦痛に気づくキッカケになった」、「勉強することへの苦手意識が減り、普通のノートではできなかった事ができるようになった。本当に不思議なノート」などの声が届いています。より多くの当事者の方にまほらノートを知ってもらうため3,000冊を販売予定で、デイサービスや支援学級など、発達障害の方が通っている施設や学校を通じて6,000冊の寄付を目指しています。ペイフォワードまほらノート 全3種【ペイフォワードまほらノートプロジェクト】イラストレーターで絵本作家YOSSANによる心温まるイラストが箔押しされた当プロジェクト限定デザインの「ペイフォワードまほらノート」(990円/税込)を1冊お買い上げごとに、発達障害のある方を中心に、まほらノート(B5サイズ・280円/税込)が2人に寄付されます。1人の親切で、2人を支援、応援。社会をポジティブな循環に。ノート1冊で参加できるプロジェクトです。「ペイフォワードまほらノート」は当社オンラインストア( )のほか一部文具店でも販売中です。引き続き寄付先も募集しています。うちゅうからのおくりもの まほらのもり まほらのよる<ペイフォワードまほらノート 全3種(990円/税込)>■ペイフォワード まほら ラベンダー/セミB5/あみかけ横罫タイトル「うちゅうからのおくりもの」よぞらに、ぽかんとあらわれたUFOから「おもいもよらないたのしいこと」がやってきてまほらの世界がはじまりました。■ペイフォワード まほら ミント/セミB5/太・細交互横罫タイトル「まほらのもり」もりには多様ないきものがすんでいて陽の光をあび、風をうけて、みんなここちよさそうです。■ペイフォワード まほら レモン/セミB5/あみかけ横罫タイトル「まほらのよる」しずかなよる、2冊のまほらどりは「星の数ほどみんなに幸せがやってきますように」とまだみぬ世界へ旅立ちます。【mahoraノートの特徴】■光の反射を抑えた、中紙を採用mahoraの中紙は、白い紙に比べ光の反射を抑えられる、13色の国産色上質紙の中から、発達障害当事者の皆さまに選んでいただき、その中でもまぶしさがもっとも気にならなかった「レモン」「ラベンダー」「ミント」の3色を採用。また、今回採用した国産色上質紙は、通常のノートの中紙に比べ約10%程度厚くなっているので、強い筆圧でも紙がへこみにくく次のページへの影響が軽減されます。さらに紙肌がなめらかなので、消しゴムで消す際も紙がクシャクシャにならず綺麗に消すことができます。■行の識別がしやすい、mahora独自の罫線発達障害当事者の皆さまの中には「中紙に印刷された罫線が見分けにくく、書いているうちに行が変わってしまったり歪んでしまったりする」との声がありました。それらの悩みを解消させたのが、アンケートやヒアリングによってうまれた、mahora独自の2種類の罫線です。ペイフォワード まほら ミント 太・細交互横罫ペイフォワード まほら レモン あみかけ横罫■ノートの開きが良く、耐久性も優れた無線とじ製本長年ノート製造に携わってきた製本技術による業界トップクラスの高品質な無線とじ。ノートの開きが良いのでページの端まで文字が書きやすく、また耐久性にも優れているので長期間の使用でもノートがばらける心配はありません。■無駄な要素をなくしたシンプル設計「中紙に印刷された日付などの余計な情報が気になり集中できない」との声にも耳を傾け、中紙の印刷からは日付欄などの罫線以外の情報は全てなくしました。またそのことによって、横書き・縦書きも気にすることなく使える自由なノートになりました。【mahora受賞歴】文房具屋さん大賞2022 デザイン賞第30回日本文具大賞2021 デザイン部門優秀賞グッドデザイン賞2021 グッドデザイン・ベスト100大阪製ブランド ベストプロダクト2021【mahoraノートの寄付先 障害者就労支援センターからの声】当事業所にも発達障害の利用者の方は増えており、ノートに文字を書く際に不便さを感じている方々の様子を見ておりました。mahoraノートの紙の厚さは、筆圧が強く後のページまで筆跡が残ってしまったりする方、力の加減がうまくできずに消しゴムを使用した際にノートの紙がくしゃくしゃになってしまう方にとってはストレスが軽減されるため、とても使いやすいようです。また、太・細交互横罫のノートも、あみかけ横罫のノートも行の識別がしやすく、「情報を整理しながら書き写すことができるようになった」とのお声もいただいております。そして、カラーやサイズなど種類が豊富なこと、無線とじの製本であることなども含めると、「みんなに使いごこちのいいノートです」という言葉の通り、どのような方にも使いやすいノートだと感じています。当事業所が運営する店舗でもmahoraノートの販売を行っております。発達障害の方はもちろん、たくさんの方にとって使い心地の良いノート、いつもの一冊になるよう多くの方に手に取っていただければと思います。【mahoraノート 利用者の声】■利用者の声(1)私はノートを取ったりまとめたりするのが凄く難しかったのですが、mahoraノートを使用し始めてから文字を書く楽しみや勉強することへの苦手意識が減り、じぶんで少しずつ習った事をまとめたり書いたり普通のノートではできなかった事ができるようになったりしました。本当に不思議なノートです!!!!!これからも購入したいと思っています!■利用者の声(2)娘の『眩しい』は感覚過敏だと思っていましたが、発達障がいの診断はおりておらず、グレーゾーンだと感じながら娘をそだててきました。診断がないが故に自治体の補助も学校や周りの理解も得られないまま手探りの状況の中、御社のノートの存在を知りました。「そうか!ノートの白も眩しいのか!」そう思った瞬間は盲点と申しますか、御社の存在無くしては気づけなかった、気づくのが遅れた、そう思います。娘はノートが届いてから目が楽だと申しております。娘の苦痛に気づくキッカケをくださったこと、心から感謝いたします。■利用者の声(3)お絵描きが大好きな娘は、目の感覚過敏の為、黒板の様なボードに絵を描いていました。太い線も細い線も、色も、技術がなければ楽しみにくいボードでは思うようには描けず、幼稚園の時に絵を描かなくなりました。小学校最後の年にmahoraに出会いノートに向き合うことが苦痛じゃなくなり、また絵を描くようになりました。今では薄いサングラスをしてスケッチブックに絵を描いています。もちろん学校と自主学、家庭学習はmahoraです。皆様の企業努力が「ノートが眩しい」という理解されにくい悩みを抱える娘を救って下さり、問い合わせに対する丁寧な対応が人間不信で勇気を振り絞って訊ねた母の心を救ってくださいました。自宅で過ごすことが多い娘は朝はmahoraで勉強、昼はサングラスでお絵描き、夕方はmahoraで文章を書いたり、いろんなペンでmahoraに線を引き鮮やかに発色する色を見て「明日の社会はこのマーカーを…」そう笑顔で話します。先日は国語の先生に字を誉められました。書きやすいノートのおかげだそうです。■利用者の声(4)家族からのプレゼントで毎日使わせていただいてます。目が楽で書きやすい!光の反射で書くことが苦手だったとわかりました。書くことが楽しくなり積極的にノートやメモにと活用し、大変喜んでいます。感謝申し上げます。■利用者の声(5)mahoraレモン太細ノートは国語、理科、数学に使っています。細い中心線があることでバランスよく書け、上下と真ん中に1cmごとのメモリがあることで均等な間隔で書くことができ、あとで見返しやすいです。(今までは自分で書いた字なのに読めないこともありました)mahoraラベンダーあみかけノートは英語に使っていますが、一般的な英語のノートは4本線が書いてあって、線がわずらわしく赤いベースラインが書いてあるのもいやでした。mahoraはとても書きやすいです。【発達障害とは】発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、子どもが生きづらさを感じたりすることもあります。発達障害があっても、本人や家族・周囲の人が特性に応じた日常生活や学校・職場での過ごし方を工夫することで、持っている力を活かしやすくなったり、日常生活の困難を軽減させたりすることができます。(出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」から )そうした発達障害と診断された人は48万1000人と推計されます(H28年「生活のしづらさなどに関する調査/厚生労働省」 )が、実態は全人口の6%~7%は存在するとも言われます。その中には「視覚過敏」と呼ばれる特性を持つ人もいて、特定の光や色によって受ける視覚のストレスが大きく、日常生活に支障をきたしてしまうこともあり、例えばノートを開くだけでも辛いと言う人もいて、決して知的能力に問題があるわけではないにもかかわらず、学習に支障が出るケースと言うのも起こりうるのです。【『mahora(まほら)』という名前について】『まほら』は「住みやすい場所」や「素晴らしい場所」、「すぐれたよい所・国」を意味する日本の古語で、『まほろば』の元となった言葉です。私たちが作るノートがみなさまにとって「使いやすいノート」「心地よく使っていただけるノート」であってほしいという願いから、『mahora』と名付けました。そして日本だけでなく、多くの国の人々に使っていただけるノートになってほしいという願いも込めて、アルファベット表記の『mahora』としました。【会社概要】社名 :大栗紙工株式会社代表者 :代表取締役社長 大栗 康英所在地 :〒544-0004 大阪市生野区巽北3-15-7創業 :昭和5年設立 :昭和40年資本金 :1,000万円社員数 :32人事業内容 :・無線とじノートの製造 2,200万冊(年間)・電解水生成装置の販売受賞・認定:・健康経営優良法人2022・大阪ものづくり優良企業賞2021 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月30日長男と次男はADHD。外出先で迷子になることが多くて…わが家には4人の子どもがいますが、そのうち上2人(長男、次男)には発達障害があります。小学校低学年くらいまでは、長男次男2人とも外出先で迷子になることが珍しくありませんでした。迷子になる子どもが1人なら多少は探しやすいのかもしれませんが、2人が同時に別々の場所で迷子になってしまうなんてこともありました。Upload By スガカズ特にショッピングモールなどの大型施設で迷子になることが多かったです。だいたいは、親(私)が買い物をしているとき。長男も次男も、コミュニケーション自体はできますし、口頭指示も伝わるので、私は「お母さんは今買い物しているから、お母さんの近くに絶対にいてね」と伝えます。そのときは「わかった」と、子どもたちも答えます。しばらく無事に行動しているのですが、不思議と、私自身が一瞬気をぬいたとき(買うものを選んでいる)にいなくなります。長男はお目当てのものを見つけると急にいなくなるため、次男より先にいなくなることが多いです。そのとき次男には、「ここ(見通しのよい場所などを選んで)で待っていてね」と伝えてその場に残し、私は下の子たち(当時2歳と1歳)と一緒に長男を探します(次男を連れていくと、次男が歩き疲れて機嫌が悪くなり、長男を探すどころではなくなります)。しばらくして次男の様子を見に行くと…。次男もいなくなっており、思わず私はその場に立ちすくんでしまうのでした…。迷子になったとわかったときの長男と次男、それぞれの反応はUpload By スガカズ迷子になりやすい長男と次男でしたが、迷子になったときのそれぞれの行動は違っていました。長男は、他人に対して好意的なので、施設の従業員に声をかけることもあります。次男はふらりとその場から離れ、結果迷子になることが多かったのですが、本人は迷子になったことが不本意のようで「家族が自分をおいてどこかに行ってしまったのでは」といった感覚になるようで、見つかったときに怒っていることが多かったです。また、知らない大人が苦手なので、人通りのある場所を離れ、死角に潜んでいるので、見つけることが難しいということもありました。迷子にならないための対策Upload By スガカズ大きな施設に行くときは、「迷子になった場合の集合場所」を決めておくことにしました。よく行く施設なら、お気に入りのコーナーで集合すれば、比較的早く見つかりやすいです。また、トイレはほとんどの施設で迷わずたどり着けるよう工夫がされていることに気づいたため、慣れない施設にいく場合は、迷子になったらトイレで集合するように話しました。それでも入れ違いになったり、集合場所への行き方がわからない、本人が聞いていなかったなど、別の問題で集合場所で再会することは難しかったです。長男中3、次男小6になった現在は…Upload By スガカズそんな2人も現在は長男は中3、次男は小6になり、多動や衝動性は目立たなくなりましたし、仮に家族とはぐれたとしても「この辺で出会えそうだな」と、家族の行動パターンを理解できるようになったため、すぐに見つけることができます。また、自宅からそう遠くない場所であれば、自力で帰宅することもできます。頻繁に迷子になった当時の話をすると、2人とも首をかしげています。そんな反応をされると、「あのときの大変だった記憶は気のせいだったのではないか?」と感じてしまいます。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)キャラクターによる迷子パターンの違いが特徴的ですね。また、年齢が上がったあとの「家族がお互いの行動パターンを想像できるようになる」ことはとても大事ですね。それだけでもすごい能力だと思います。当の本人たちが昔のことをあまり覚えていないのはご愛敬ですが、でも覚えていて傷になっているよりは健全に育ってくれていると言えるのかもしれません。
2022年11月29日無料の参加登録受付中!お子さんやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが12/10(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお友達や家族とコミュニケーションを取りづらい…勉強についていけなくなった…家の中にずっと引きこもってしまう…特性ゆえに、周囲の環境による影響からストレスを抱え、二次障害に発展してしまうこともあります。どうコミュニケーション取ったらいいんだろう。周りにサポートを求めるにはどうしたらいいんだろう。これからの勉強や学校のことはどうなるんだろう。そもそもこの子が楽しめることって何だろう。など、保護者のみなさまにとっては、たくさんの不安もあることと思います。発達ナビでは、すべてのお子さんとそのご家族が、ご自宅で情報を得られる機会をお届けしようと、「二次障害の理解と対応セミナー」を開催します。・日時:12/10(土)9:30~13:15(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください・内容:専門家講演、お子さんを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達障害の二次障害について関心のあるご家庭も多いのではないでしょうか。今回は、児童精神科医の千村浩先生にご登壇いただき、発症のきっかけや治療、ご家庭でできることなどについて、事例とともに分かりやすく解説します。さらに、セミナー後半では発達ナビ編集長も登壇し、講演中チャットに寄せられた保護者のみなさんの不安やお悩みについて先生にお答えいただきます。講師:千村 浩先生児童精神科医/代官山やまびこクリニック医院長医学部を卒業後、国や地方、国際機関など幅広い分野の保健医療行政に携わった後、精神科医療、児童精神科医療に携わる。現在は、子どもの成長する力を信じて子どもたちの主体性を大切にすること、母と子、家族の幸せを大切にすることを目標に代官山やまびこクリニックで診療に当たるとともに、クリニックの隣のやまびこ村では、クリニックと連携して、子育てに悩むお母さんやお子さんを医療の枠を超えて応援するさまざまなプログラムを行っています。 私たちが大切にしていることは、お子さんやお母さん、ご家族をサポートすることです。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム二次障害の症状の一つとして 不登校や行き渋りが多くなっています。お子さんが学校に行きたくないと言ったとき、その背景には何があるのでしょうか?ここ数年、不登校状態にある小中学生のお子さんは年々増え続けており、今年はとうとう20万人を超えました。不登校児が増え続けている背景は何なのか。お子さんは何を感じ、考えているのか。そして、不登校児が増えている裏で、学校に通っていないのに出席扱いになっている児童生徒数も過去最高を更新し、どこで学ぶかでなく何を学ぶかが大切な時代に変化しつつあります。学校が合わないお子さんにどんな選択肢があるのか、出席扱いにする方法は?そのほか保護者の方がすべきことについて、利用者の36%が不登校児の学習教材『すらら』の発達支援室長佐々木様に、詳しくお話しいただきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「コミュニケーションに不安がある」「自信がもてない」などがきっかけで 頭痛、腹痛、不眠などの身体的、精神的な症状がでていたり、不登校や行き渋りがあるお子さんにとっては、その子の「好き」を伸ばすことが前向きな将来への大きな一歩につながります。そのためには、お子さんの「好き」を大切にし、「好き」を通じて信頼できる大人や友達を増やし、お子さん自身が安心して過ごせる環境を整えることが重要です。今後ますます多様化が進む社会で、必要となる考え方や今後の教育の見方など、お子さんの「好き」を大切にした新しいオルタナティブ教育を提供する オンラインフリースクール『SOZOWスクール』の活動事例も含めながらお話していきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校や行き渋りなど、発達障害のあるお子さんが抱えやすい二次障害に対して、お子さん自身の個性や特性にあった進路・環境選びのポイントを解説します。【このセミナーで分かること】1.お子さんの個性・特性にあった環境選びのポイント発達障害のあるお子さんの特性や個性を活かした進路選びの考え方について解説。今の状態や困っていること、どんな環境があればよいのかなど、整理する方法を学びます。2.地域ごとの中学・高校の選択肢や特長私立・公立、特別支援教育、通信制・サポート校、高等専修学校など、中学・高校の進路の選択肢の特長や、地域ごとに異なる学校情報などを紹介します。3.教育にまつわる準備教育資金やお子さんの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備についても解説します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「どうしてそんな行動をするの?」「こんなときどうすればいいの?」二次障害に限らず、発達が気になるお子さんの子育ての中で出てくるたくさんの疑問。そんな保護者さまの疑問をいち早く「分かった!」に変えるために、オンラインサービス『発達ナビPLUS』では、発達障害の子育てに役立つ解説動画やダウンロードし放題の特別支援ツール、OT/ST/心理士などの専門家への相談などを通じたサポートを行っています。今回は、そんな『発達ナビPLUS』のサービス内容や実際の活用方法などについてご紹介します。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2022年11月25日息子が幼稚園に通うためには加配の先生が必須だと思ったが…Upload By べっこうあめアマミ私は、息子の幼稚園入園を見据えて、1歳のころからいくつかのプレ幼稚園に通っていました。しかし、息子は年少での入園を控えた年の秋になっても発達の遅れが大きく、プレや見学に行ったいくつもの私立幼稚園から、入園に難色を示されてしまいました。私としても、息子が幼稚園で何の支援もなくやっていけるかと言われたら難しく感じていたので、加配の先生をつけてくれる幼稚園を探しました。しかし、当時住んでいた地域では「加配の先生」という言葉に前向きな返答をくれる幼稚園に、一つも出会えなかったのです。ある幼稚園からは、「加配の先生をつけたり特別な配慮をしたりすることは一切できないが、それでも入園したいのなら受け入れる」という趣旨のことを言われました。しかし、私は息子の発達段階を考えると、それでは幼稚園に行く意味がないように思えてきたのです。息子に対して一切特別な配慮をされない園生活を、想像してみました。おそらく息子は、大勢の子どもの中で先生の目が届かず、何もせずにぼーっと日々を過ごすだけになってしまうでしょう。人知れず困り感を抱えながら、何も学べずに過ごす日々が、息子にとって意味があるのか分からなくなりました。ですから私は、息子を幼稚園に通わせるなら、加配の先生をつけてもらえることが必須だと思いました。それが難しいのなら、しばらく幼稚園ではなく療育に通い、息子の発達が周りの子どもたちに追いついてから幼稚園に入園する方向も検討し始めたのです。息子の居場所はどこにある?幼稚園も難しく、療育にも通えない?Upload By べっこうあめアマミ当時、私と息子は月に1回程度、地域の発達支援センターの親子療育に通っていました。本当はもっと高頻度で通いたかったのですが、高頻度のクラスは定員いっぱいで入れません。そのため、いつ空きが出るかは分かりませんが、1年以上前から待機中としてエントリーしていたのです。高頻度のクラスは、幼稚園のように親子分離で通えるクラスもあると聞いていたので、次年度は幼稚園ではなくそちらに通えることを願い、連絡を待つことにしました。そんな中、待ち望んだ電話がきました。発達支援センターからの、「週3日通う療育のクラスに次年度から入れます」という連絡でした。しかし、息子が入れると言われたのは、親子通園のクラスだったのです。その発達支援センターには、「療育にきょうだいを連れてきてはいけない」というルールがありました。当時、下の子を妊娠していた私にとって事実上それは、「通えない」話でした。結局、息子はどうにか別の、民間の小規模な療育に、親子分離で通える目途がつきました。しかし、こんなにも私たち家族に選択肢は与えられないものなのかと、障害がある子どもを育てる上での社会的な障壁に愕然とし、悶々とした日々が続きました。幼稚園について発達支援センターに相談…「引っ越そう」と心が決まるUpload By べっこうあめアマミ「息子が安心して通えるような幼稚園は、本当にどこにもないのか?」幼稚園にも発達支援センターにも通えず、地域に居場所がないように感じた私は、夫と共に発達支援センターに相談に行きました。正直なところ、療育クラスに通える条件や年齢などの事前説明に行き違いがあったことを含め、私は発達支援センターの対応に不安を感じていました。しかし、当時住んでいた地域では、保健センターや児童相談所など、どこに聞いても「子どもの発達のことは発達支援センターに」と言われました。だから、何か良いアドバイスをもらえるのではないかと、一縷の望みをかけて行ったのです。すると、対応した発達支援センターの方は、「公立幼稚園なら加配の先生がつくと思いますよ」というアドバイスをくれました。しかし、「では、公立幼稚園はどこにあるんですか?」と私が聞くと、その方は答えました。「この地域に公立幼稚園はありません」それが、初めて私の頭に「引っ越し」の文字がよぎったときかもしれません。当時住んでいた自治体には、公立幼稚園が一つもなかったのです。息子が入れる幼稚園がないことも、わが家が望むような形の療育を受けられないことも、地域としてはどうしようもないことなのだと思います。しかし、子どもの発達に悩む親の頼みの綱とも言える発達支援センターで、この地域で実現可能な選択肢が示されなかったことに、私は衝撃を受け、大きく落胆しました。それから私と夫は話し合い、息子が暮らしやすい環境を整えるため、思い切って家族で引っ越すことを決意しました。地域のせいであきらめたくない!「通える範囲」で選ぶのではなく、理想の環境は自分で掴むUpload By べっこうあめアマミ引っ越しを決めた私は、息子を育てる上で理想的な環境を求め、綿密なリサーチを始めました。当初、幼稚園は「家から通える範囲」で探していましたが、引っ越しを前提に考えると、今度は候補が多すぎて絞り切れません。そこで、引っ越しを決める理由となった現実を踏まえ、「公立幼稚園があること」「発達支援センターの対応が親切であること」を基準に引っ越し先の自治体を絞っていきました。息子の発達の遅れに配慮してくれる幼稚園なら、必ずしも公立ではなくてもよかったのですが、ホームページを見ただけでは、加配の先生をつけてくれるかどうか分かりません。1園ずつ電話で問い合わせていくしか確認する術がありませんでした。しかし、全ての私立幼稚園に確認することなど到底できません。いくつか電話した中では手ごたえがなく、これ以上はどうしようもないと思った私は、私立幼稚園は選択肢から外すことにしました。公立幼稚園であれば数は絞られますし、同じ自治体の公立幼稚園なら運営方針はだいたい同じです。そして実際に問い合わせてみると、公立幼稚園からは障害や発達の遅れを理由に難色を示されることはなく、加配の話も具体的に出てきました。連日、さまざまな地域の公立幼稚園や発達支援センターへの電話を繰り返し、引っ越し先を検討するのは大変な作業でした。しかし、これまでのような暗闇を当てもなく模索するような気持ちとは違い、自分で息子の居場所を探して選んでいくという気持ちは前向きで、希望に満ち溢れていました。運命の出会いからの引っ越し!潮目が変わった私の障害児育児Upload By べっこうあめアマミある日、家族で外出した先で、夫がふと「この辺りは引っ越し先の候補として考えている地域の一つだね」と話し出しました。そして、「今、気になって調べていたら、公立幼稚園からも歩ける範囲にちょうど良さそうな物件が出ているのを見つけた」と言うのです。それは本当に偶然でした。すぐにその物件を担当している不動産会社に連絡をとり、そのままその日のうちに見学に行くことになりました。そして、見学に行くと大満足な物件。なんと私たちは、そのままそこで契約したのです。良い縁はトントン拍子に進むもので、その後、入園を希望した公立幼稚園への入園手続きも順調に進み、息子には専属の加配の先生がつきました。その地域の発達支援センターも、私たち家族のためにとても親身になってくれました。引っ越し前から何度もやりとりに応じてくれて、幼稚園と並行して通える療育の候補をいくつも提案してくれたのです。発達支援センターは、私にとって心のよりどころになりました。思い切って引っ越してから、幼稚園や発達支援センターの先生方、そこで出会ったたくさんの方たちに支えられ、私の生活は一変しました。息子には自閉スペクトラム症と知的障害という診断がつきましたが、地域に確かな居場所を見つけ、安心して息子を育てられると思えたことで、私はかなり前向きになれたのです。障害や発達の遅れがある子どもをめぐる支援の環境は、非常に地域差が大きいものだと思います。しかし、このような経験をした私は今も、障害がある子どもとその家族が、どの地域で暮らしていても等しく十分な支援が得られるようになることを、願ってやみません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)息子さんの過ごしやすい環境を探すために、何ヶ所も相談し、転居された行動力に頭が下がります。現在、残念ながら支援の地域差があることは、私自身も感じております。私も、全てのお子さんが必要な支援をどこでも受けられて、健やかに過ごせる事を願っております。
2022年11月24日発達障害と場面緘黙の関連性は?二次障害、治療についても解説Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン場面緘黙(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。子どもだけではなく大人も場面緘黙の症状があらわれることもあります。このコラムでは・発達障害と場面緘黙の関連性・発達障害の二次障害としての場面緘黙について・場面緘黙の治療法、早期発見・早期治療の重要性などについて解説します。※医学的な診断基準とされるDSM‐5では「選択性緘黙」と表記されていますが、日本では一般的に「場面緘黙」という名称が用いられています。このコラムにおいては、「場面緘黙」という名称を用いて、説明していきます。場面緘黙は発達障害なの?場面緘黙は医学上の定義では不安症(不安障害)の一種と考えられており、発達障害には含まれていません。しかし、教育分野や行政政策の上では「場面緘黙」は発達障害者支援法の対象になっています。実際のところ、発達障害のある子どもの中には場面緘黙を併存しているケースもあります。2000年にアメリカの学会でクリステンセンが発表した説によると、発達障害や不安症(不安障害)は場面緘黙と併存しやすく、コミュニケーション障害、発達性協調運動症、軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)などとの併存が見られる場合もあるそうです。参考:Kristensen, H.Selective mutism and comorbidity with developmental disorder/delay, anxiety disorder, and elimination disorder, The American Academy of Child and Adolescent Psychiatry. 39. 249-256. 2000.(「場面緘黙症と発達障害/遅れ、不安障害、排泄障害の併存」)参考:場面緘黙(選択性緘黙)の多様性―その臨床と教育―参考:発達障害者支援法|文部科学省発達障害の二次障害としての場面緘黙発達障害がある(もしくはその可能性がある)子どもに対して、環境調整など適切な対応がなされなかった場合、さまざまな場面で困難が生じ、場面緘黙の症状があらわれる場合があります。このような場合、場面緘黙の症状に限って対処を行っても、改善が見られないことがあります。大人の場面緘黙の原因場面緘黙の状態が中学、高校と青年期以降も続くケースがあります。大人の場合も、子どもの場合と同様に「話さない」のではなく「話せない」状態のことをいいます。大人の場面緘黙は、小児期に発症し、それが継続ないし再発する場合がほとんどですが、小児期の場面緘黙について自覚症状がない場合や、見過ごされている場合もあります。場面緘黙は治る?早期発見・早期治療の重要性今まで、場面緘黙は「時間がたてば治る」「自然と話せるようになる」と誤解されていました。しかし、アメリカの場面緘黙症不安研究治療センター(スマート・センター)の臨床研究などをふまえ、現在、日本では「自然に治る」という見方は適切でなく、早期発見・早期治療が重要であるとされています。参考:アメリカの場面緘黙症不安研究治療センター(SMart Center)大人の場面緘黙についての認知度が高まっていること、子どものころの場面緘黙に適切な対応がなされず大人になってからうつなどの二次障害に苦しんでいる当事者が声をあげていることからも、早期発見・早期治療の重要性が明らかになっています。場面緘黙のある人が抱えている問題や困っていることは人それぞれですが、ほとんどの場面緘黙のケースで共通して「安心できる環境」「力が発揮できる環境」を整えることが重要だと言われています。場面緘黙のある人は家や、安心できる環境では話せることも多いです。トレーニングをして話せるようになる訳ではなく、まずは「もともとできていることをほかの環境でも安心してできるようになること」を目指すことが大切だと言われています。そのためにも、症状に気がついたら保育園や幼稚園、学校と連携をして、その子どもに合った環境をつくっていくことが早期治療につながっていきます。場面緘黙のある子どもは、「おとなしい子ども」などと捉えられたり、本人が困りごとを訴えることが難しかったりするために、症状が見落とされたり放置されたりすることもあります。早期発見には友達や友達の保護者とのコミュニケーション、授業参観などの機会も大切です。困っている様子が見られるときは、早めに保健センターや児童相談所、学校のスクールカウンセラーなどに相談してみましょう。場面緘黙は育て方が原因ではありません子どもの場面緘黙は2~4歳で発症することが多いと言われていますが、小学校入学まで症状が見落とされてしまうこともあります。集団活動が始まってはじめて、その不安から症状があらわれ始めると考えられています。さまざまな要因が考えられますが、育て方が原因ではありません。まずは子どもの緘黙にはどのような要因が関係しているのかを探ることが重要です。保護者の方は子どもの様子をしっかり受け止め、学校などとも協力しながら、場面緘黙を長期化させない工夫をすすめていけるとよいですね。
2022年11月23日ASD・知的障害のある息子のご近所トラブルわが家の息子は中学2年生。3歳のときに、ASDと知的障害の診断がおりました。発達検査をすると、いつも社会性の部分がとくに低い息子。4歳くらいのころは家族以外の人と関わろうとする様子がまったくなく「他人は空気」のような感じだったと思います。そのため、人から話しかけられても気づかなかったり、興味を示さないことが多くありました。息子に知的障害とASDがあることをご近所にまだ話していなかったときのことです。近所のおじさんは職人気質で声も大きく威勢のいい方でした。ただ、普段はなかなかおじさんから挨拶をしてくれることはありません。私が挨拶しても機嫌次第でスルーされることもしばしば…。しかしこの日はおじさんのほうから息子へ挨拶をしてくれました。しかし、息子はその挨拶をスルー…。そのときの息子は4歳でしたが、発語がほとんどありませんでした。また社会性の発達面がもともと低く、挨拶をされていることに気づかなかったのかもしれません。そんな息子の様子を見たおじさんは「挨拶くらいせんか!」と怒ってしまい…。Upload By ユーザー体験談障害について話していなかったので仕方がないのもあるかもしれませんが、「まったくどんな育て方をしているんだ」とも言われ私は挨拶をしないんじゃなくてできないんだよ…ととても悲しい気持ちになりました。「息子の障害をカミングアウトしよう!」と決めて私はこの経験をきっかけに「もうご近所さんに障害をカミングアウトしよう」と決めました。その日早速おじさんのお宅に伺いました。おじさんのお宅にはおばさん(おじさんの奥さん)がいたので、代わりにおばさんに「息子にはASDと知的障害があり、まだ話せないんです」とお話をしました。Upload By ユーザー体験談おばさんは落ち着いた様子で「この年になってもしゃべらないから、何かあるのかな?と思ってた」と教えてくれました。おじさん、おばさんがほかのご近所さんにも伝えてくれたようで、それ以降私から近所の方に息子の障害について話す必要がなくなり一安心しました。近所の人との関わりにも変化が私の住んでいる自治体では定期的に環境美化があったり、ごみステーションの立ち当番でご近所さんと顔を合わせることがありますが、息子が大きな声をあげたり、外で癇癪を起こしていても、近所の人たちは(何も言いませんが)「障害があるから仕方ないね。大変そうだ」と思ってくれているのか、暗黙の了解といった感じになりました。集合住宅なので、息子の泣き声や、壁を叩いたり床を蹴って怒ったりする音もご近所さんに聞こえることもあっただろうと思いますが、みなさんそっと見守ってくれていました。Upload By ユーザー体験談中学生になった今は現在中学生になった息子。最近はご近所さんのことをよく認識していて、おじさんやおばさん、ご近所さんとバッタリ会うとピョンピョン飛んで喜ぶので、みなさん「お帰り」「おはよう」などと声をかけてくれます。息子はそれに「おはよう」と答えられることもありますし(お帰り→ただいまのやりとりはまだ理解できていないので、私がフォローをしています)、挨拶をスルーして先を急いでしまうこともありますが、みなさん怒ったりせず笑顔で接してくれてとてもありがたく思っています。みなさん、息子に障害があるということを理解しながらも、普通に声をかけてくれます。先日は息子がおばさんに「こんにちは!」と返事ができたときに、おばさんが「おぉーっ!(こんにちは!って言えてる!)」と感動してくれました。私もそれを見てとてもうれしく思いました。Upload By ユーザー体験談息子もご近所さんと会うとうれしいようで、自主的に挨拶をすることも増えました。人を意識できるようになったところ、自分から挨拶をしようとするところが小さいころと大きく変わってきたと感じます。これからも息子がこの地域に住む一人としてご近所さんとあいさつを交わしたり、ほんのちょっとした会話ができる関係でいられたらうれしく思います。また、息子はお手伝いや与えられた仕事を最後までやり遂げることが得意なので、地域でも学校でも福祉サービスでも、何か人のために役割をできるようになったらいいな(掃除を手伝うとか、大変そうな人の荷物を持ってあげるとか、みんなに何かを配るときに手伝うなど)と思っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/あかし(監修:三木先生より)勇気をもって告白して良かったですね。人は自分の主観的な理解でものごとを考えてしまうので、こちらの状況や考えていることを伝えるのは大事なことですね。また、ご近所さんの立場から言うと「分からなければ聞いてみる」のも一つの方法です。お互いにモヤモヤしているより、気持ちのいいコミュニケーションが取れると良いですね。
2022年11月21日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気づいたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2022年11月20日家族へのカミングアウトは相談と共にしのくんは現在4歳7ヶ月。診断名はついていない、いわゆる発達障害グレーゾーンの男の子です。そんなしのくんの状況を、両親や周りの人へカミングアウトしたのは2歳4ヶ月のころでした。その当時、保育園の面談で、「言葉がでてない」「集中力がない」などいろいろ指摘を受けて、「もしかしたらほかの子と違う!?」「発達障害かもしれない!?」と思った私は、まず夫の母に相談しました。Upload By keiko保育園の面談の帰りに、そのまま義実家へ行って、しのくんの状況を打ち明けて、話を聞いてもらいました(保育園のすぐ近くに義実家がある)。義母の反応は、驚きと共に「やっぱり…」といった感じだったので、すぐに相談してよかったと思いました。そのほかの家族にも同じように、会ったときにすぐに相談と共にカミングアウトをしました。みんなしのくんがしゃべらないことを気にしていたので、すんなり理解して受け入れてくれました。友人、会社へのカミングアウト「もしかして発達障害かも!?」と分かったばかりのころは、とにかくいろいろ不安になって情緒不安定になっていたと思います。これから先どうなるのか分からない不安もあって、通院や付き添いでお休みをすることも増えるかもしれない…と思った私は、すぐに上司や一緒に働くスタッフに状況を伝えました。友人には、SNSを使って育児漫画を描くことで、カミングアウトしました。そして、実際に会ったときに詳細を伝えるといった感じでした。カミングアウトへの抵抗Upload By keiko「息子がもしかしたら発達障害かも!?」「うちの子療育行ってるんです」と、人に伝えることに抵抗がなかったわけではありません。でも、黙っているのは違うなぁ…とぼんやり思ったのを覚えています。上手く言えませんが、私の中では「黙っている」ということは「周囲にどう思われるだろう?」と気にしているということで、それはつまり、自分は、しのくんのことを心のどこかで『恥ずかしい』と感じているってことじゃないか…?そう自問自答したときに、「しのくんのことを『恥ずかしい』と感じるのは違うなぁ」と思ったのです。周りから色眼鏡で見られたくはないという思いはありましたが、私が黙っていても、しゃべらないしのくんに対して「あれ?この子おかしいぞ?」と思われるくらいだったら、自分から言ってしまおう!!と決心しました。Upload By keikoカミングアウトしたあとカミングアウトしたことで、相手にどう思われているのか、あまり考えることがなくなりました。別に色眼鏡で見られたっていいじゃない!しのくんはしのくんのままでいい!と思えるようになりました。世界は思っていたよりずっと優しくて、しのくんは幸せ者だと思えるようになりました。Upload By keiko現在しのくんは現在、療育や言葉の教室に通っています。保育園の年中なので、そろそろ卒園後の進路を考える時期が近づいてきています。また迷うところが出てくると思いますが、これからも、しのくんの現状をいろんな人に聞いてもらいたいし、アドバイスもほしいし、理解してもらいたいので、開示し続けようと思います。執筆/keiko(監修:井上先生より)診断のない段階での共有と、診断後の共有は状況も違ってきますね。診断のない段階で共有しておくことで、診断後の受け入れや理解も得やすくなるように思います。また、カミングアウトはその方と周囲の状況によって、ベストなタイミングは変わります。keikoさんのようなカミングアウトについての体験談は、そういった意味で参考になると思います。
2022年11月16日「発達障害とは何か」を改めて考えるーー『ヒトはそれを「発達障害」と名づけました』人の気持ちを考えるのが苦手、忘れ物が多い、本の文字を読むのが苦手…この本に登場する、ダックスさん、ネコくん、トリさん、サカナちゃんたちは、それぞれ苦手なこと、得意なことがあります。これらの特性をヒトは「発達障害」と名づけました。ダックスさんたちは、自分の特性とうまく付き合いながら生活しつつも、気づかないうちに人を傷つけてしまったり、人間関係をうまく築けないことに悩み苦しんでもいます。この本には、発達障害の診断はないけれど、日常生活でさまざまな困難に直面し悩んでいるグレーさんというキャラクターも登場します。グレーさんは、ダックスさんたちのアドバイスのもと、過ごしやすい環境を作っていくための方法を考えます。「発達障害」があるダックスさんたちと、診断がないグレーさんの対比を通じて、「発達障害」と名づけられたことで変わること、変わらないことをそれぞれ考えられる一冊となっています。この本は、筑波大学DACセンターで働く発達障害当事者のダックスさんから見た「発達障害」について、筑波大学准教授の佐々木銀河先生の解説やDACセンターの監修のもと、分かりやすくマンガでまとめられています。発達障害という言葉は近年急速に認知されるようになってきましたが、言葉だけが独り歩きしてしまい正しい理解がされていない場面もまだまだ多いように感じます。そんなときだからこそ、この本に登場するキャラクターとともに、「発達障害とはなにか」について改めて考え直してみてはいかがでしょうか。多様な子どもを大切にする「インクルーシブな教室」をつくるためにーー「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育誰のことばにも同じだけ価値がある」「インクルーシブ教育」とはなにか、多様な子どもたちが安心して生活できる学級づくりのために何が必要か、考えたことがありますか。この本は、野口晃菜さんを筆頭に、マイノリティ当事者、研究者、教員、専門職、会社員などさまざまな立場の人が集まるインクルージョン研究会「あぜみ」のメンバーが中心となり執筆されました。障害、貧困、ジェンダー、セクシュアリティなど子どもたちが抱えるさまざまな背景について学んだ上で、「インクルーシブな教室」を作るためにはどうしたらいいのかを考えられる一冊となっています。各章の最初と最後に、おすすめの関連書籍リストとリフレクションワークシートが添えられているため、必要な知識をインプットし、それを受けて自分の意見や考えをアウトプットできるような構成になっています。また、「教師の負担を減らすにはどうしたらいいか」など、インクルーシブ教育を行う上で、考えなくてはならないさまざまな課題をテーマとした座談会、インクルーシブな社会づくりに関心のある学生の声なども掲載されています。冒頭で野口さんが述べられているように、インクルーシブ教育の「正解」を誰かが持っているわけではありません。葛藤やモヤモヤを共有しながら、今できることを考えていくことが重要です。この本は、インクルーシブな社会づくりを考えるための一つの材料になるのではないでしょうか。「親なきあと」を考える上で知っておきたいことーー『障がいのある子とその親のための「親亡きあと」対策』子どもの老後をどう考えたらいいのか、今から準備できることはあるのか、「親なきあと」について悩みは尽きないのではないでしょうか。お金のこと、住居のこと、就労のこと、葬儀や相続のこと、これらはわが子の将来を考える上で避けては通れない課題でもあります。この本では、障害者の支援や相談に30年以上携わり、現在は「親なきあと」問題について情報発信を行っている鹿野佐代子さんが、法律や制度、福祉サービスに加え、意思決定、金銭管理を行うためのトレーニングなど、幅広い話題について、詳しく説明しています。法律のことや制度のことは、なんとなく堅苦しく、理解しがたい印象を抱いている方も多いかもしれません。この本では「親なきあと」を考える上で必要な情報がわかりやすく整理されているため、導入としても分かりやすい一冊となっています。まだまだ先のことだと思っていても、いつ何がおこるか分かりません。子どもを守るため、家族を守るため、まずは必要な情報、制度を知っておくことが大事なのではないでしょうか。聞き取りづらさへの対処法を知るーー「マンガAPD/LiDって何!?」APD/LiDについて知っていますか?APD/LiDは医学的な診断名ではありませんが、APDは聴覚情報処理障害、LiDは聞き取り困難を意味し、聴力には問題がないにも関わらず、音の聞き取りづらさなどの症状がある状態を指しています。雑音がある場所などで必要な情報を聞き取ることが難しかったり、日常会話の中で聞き間違いや聞き洩らしが多かったりと、さまざまな困難がありますが、「ちゃんと聞いてた!?」「もういいよ」などと怒られることも多く、周囲には理解されづらい症状でもあります。本書では、まだまだ認知度が低いAPD/LiDに焦点を当て、第1章ではAPD/LiDの症状について、第2章では、APD/LiDのある当事者が感じている日常生活での困りごと、場面ごとの対処法について、マンガで分かりやすく紹介されています。当事者ができる工夫もあれば、周囲の協力や工夫が必要になる場面もあります。どうすればストレスのないコミュニケーションがとれるか、どのように症状や必要な配慮を説明すればいいか、お互いに安心してコミュニケーションが取れる環境を作っていくためのヒントが得られるのではないでしょうか。APD/LiDの症状がある人は、日常会話だけでなく、面接や仕事などでも困難に直面することがあります。対処法を知らないと、気づかないうちに実力を発揮できない環境に置かれていたり、自己肯定感が低下したり、二次障害を引き起こしたりする可能性もあります。音の聞き取りづらさに悩んでいる方は、この本とともに、自分の症状や困りごとに向き合ってみてはいかがでしょうか。子どもたちが安心して過ごせる学校環境について考えるーー『教室マルトリートメント』近年では、教師による体罰、ハラスメントなどは違法行為とみなされるようになり、連帯責任や厳しい校則など、学校での行き過ぎた指導は良くないという認識も広まってきています。しかし、違法行為とまではいかなくても、子どもたちが委縮してしまったり、教師への不信感を募らせてしまうような「不適切な指導」はまだまだ当たり前のように行われているのではないでしょうか?そのような教室での「不適切なかかわり」を本書では「教室マルトリートメント」として取り上げています。マルトリートメントとは「不適切な養育、避けたい関わり方」を意味する言葉であり、WHOでは、日本における児童虐待よりも広い概念として定義されています。本書では家庭内だけでなく教室でも、ほめるべきときにほめない、いじめや差別的発言を放置する、子どもが自信をなくすほど強く叱責する、子どもの人格を否定するような発言をするなど、ネグレクトや心理的虐待に類似するような不適切な関わりが行われており、それらは実際に子どもにトラウマを植えつけているケースもあるにもかかわらず、体罰などに比べて見過ごされやすいことを指摘しています。教師は、厳しく子どもをしつけなければならない、そんな威圧的な指導が、今もまだまだ根強く残っています。学校はたくさんの子どもが集団生活を送る場所であり、さまざまな出来事を経験し成長するための重要な場でもあります。子どもたちにとって学校が安全基地となるためには、どのような対応が必要なのでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年11月10日発達障害グレーゾーンの長男は特別支援学級に通っています初めまして、星河ばよです。特別支援学級在籍の長男タロと、定型発達の次男ジロの母です。長男は診断名がついていない、いわゆる発達障害グレーゾーンです。Upload By 星河ばよUpload By 星河ばよ長男が3歳のとき保育園から療育センターをすすめられて長男の発達については、「育てにくいな」とはさほど感じませんでした。初めての子育てでしたし、こんなものなんだろうとそこまで深刻に感じることもなかったです。夫、私の両親、義母も同様でした。次男が生まれても、特に長男との違いを感じることなく毎日は忙しく過ぎていきました。そんな日々が突然変わったのは、長男が3歳の終わりごろ。何の前触れもなく保育園の主任の先生から面談に呼ばれたのです。そこで言われたのはまったく予想もしなかった保育園での長男の様子でした。・集中力が続かない・おゆうぎの途中でも自分の世界に入ってしまいがち・興味があるものとないものの振り幅が大きい主任と担任の先生の3人から、これでもかとほかの子どもとの発達の違いを伝えられて、私はショックで暗闇のどん底に突き落とされたような気持ちになりました。面談の席には夫も同席していましたが、夫も押し黙ったまま。それでもたった一人でこの場に来なくてよかったと心底思いました。もし私一人だったら、とても受け止められなかったから。わが子が周りの子と比べて発達が遅いという現実は、当時の私には本当につらいものでした。Upload By 星河ばよ全然受け入れられなかった長男の発達の遅れ保育園の面談で主任の先生が提示してきたことは以下の2択でした。・療育センターに長男を連れて行く・療育センターの人を保育園に呼び、長男の様子を見てもらうこのどちらかを選択をする前に、私にはまず現状を受け止めるための時間が必要でした。保育園の面談によればおそらく長男は発達障害があるのかもしれない。長男の発達のために療育センターへ行ったほうがいいならそうしたい。だけど、心がそこまで追いつかなくて…。結局、療育センターへ電話をかけるまで1ヶ月ほどかかってしまいました。療育センターに行きたくない、という気持ちよりはむしろ「発達障害」という言葉を必要以上に重く感じてしまい、いつまでも心が起き上がれない感じでした。やっとのことで重い腰を上げ、療育センターへ行くことを決意しました。発達検査の結果、長男は「発達障害の傾向がある」と言われ、あらためて漠然とした不安が襲いかかってきました。心と体が分裂しそうになりながらも、発達検査の結果を保育園に報告すると、すぐに加配の先生をつけてくれました。わが子のために申し訳ないような、だけどすごくありがたい気持ちに包まれたのを覚えています。保育園は療育センターと連携をとって長男をサポートしてくれる。長男にはどんな声かけが有効なのかと気を配ってくれる。それなのに私はいつまでたってもどこか現実を受け入れることができなくて、心が置いてきぼりでした。「朝起きたら全部夢だったらいいのに」「成長がゆっくりなだけ。そのうちみんなに追いつく」と何度思ったか分かりません。泣かない日はありませんでした。周りの人に打ち明けることで少しずつ楽になれた長男の発達の遅れを受け入れようともがいていたとき、夫のほかは保育園のママ友が心の支えでした。彼女もまた私と同じように、保育園の面談で子どもの発達について指摘されていたのです。同じ境遇の彼女と情報交換したり、愚痴を言い合ったり、わが子の将来の不安を吐露したり。どんなに救われたか分かりません。また、近所でお付き合いのあるママ友や私の弟夫婦に、長男の発達障害について思い切って打ち明けたのですが、どちらも親身になって話を聞いてくれました。もしかしたらすでに察していたのかもしれないし、そうでないかもしれない。だけどいたって明るくふつうに受け止めてくれて。ただそれだけのことが本当にありがたく、うれしかった。信頼する人に打ち明けて、それを受け止めてくれる。おかげで私の気持ちが少しずつ軽くなって行くのを感じました。そして、いつまでもどんよりとした気分を引きずっていた私を、責めることなく優しく見守ってくれた療育センターの臨床心理士さんやソーシャルワーカーさんにも感謝しています。Upload By 星河ばよSNSがくれた出会いに感謝私は、もともと漫画を描くことが好きで、最初は軽い気持ちで長男と次男の日常をSNSに投稿していました。ある日、何の気なしに長男の発達の遅れについてのエピソードを投稿すると、いつもより少しだけ反響がありました。そのおかげで、SNSで発達障害のある子どもの子育てについて発信している方とも知り合うこともできました。同じように悩みながら子育てをしている方々の漫画には深く共感し、胸を打たれました。長男の発達の遅れについて発信しても需要がないだろうと思っていたけれど、もしかしたらそうでもないかもしれない。そこで思い切って漫画を描いてみることにしました。長男の発達に遅れがあることをあんなに受け入れられなかった私ですが、おかげさまで今では素直に受け入れることができるようになってオープンマインドになりました。全てをひっくるめて可愛いわが子、これからも一番近くでサポートしていきたい。そんなことを感じてもらえる記事をお届けできたらと思っています。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:鈴木先生より)「発達障害の傾向がある」とありますが、医師の診察を受ければ自閉スペクトラム症とか発達性協調運動症など具体的な診断を受けることができます。具体的な診断がつけばそれに対してどういう療育がいいか、多動を抑えるのに投薬が必要なのかなど細かい指示を医師から出すことが可能になります。リハビリなら感覚統合訓練・音楽療法・乗馬療法などがあり、投薬は漢方薬から抗精神病薬までさまざまな手段があります。療育や治療など早期の介入が小学校入学後により良い効果として影響してくるのです。神経発達症(発達障害)のあるお子さんが小中高でその子らしく生活するために今、何ができるのかを真剣に模索することが大切だと思います。
2022年11月09日発達障害のある人への対応で重視したい2つのことこれまで私は児童精神科医として少年院に勤めながら、自治体の教育相談、学校コンサルテーションなども行ってきました。最近では「発達障害」への認知度が高まり、発達障害があることの生きづらさについても理解が深まりつつあります。今回は保護者や支援者の方が発達障害のある人に対応するときに、見逃さないでほしい2つのポイントについて、お話ししていきます。それは、「知的障害の有無」と「認知機能の弱さ」です。1つ目は、知的障害の有無です。社会生活を送る上での困りごとは、実は、知的な障害から生じるケースがほとんどです。逆にいえば、発達障害のある人でもIQ(知能指数)が高ければ、今の社会を生き抜いていく方法はあるでしょう。例えば、自閉傾向が強くても勉強ができたら、好きな分野での研究職に就くといった選択肢が考えられます。知的障害の認定基準は「IQ70未満」知的障害の認定基準は、都道府県によって多少の違いはありますが、おおむね「IQ70未満」です(一部では「IQ75未満」のところもあります)。さらに日常生活での援助が必要だと認められると「知的障害」と判断されます。そのうち、「IQ50~70」が「軽度知的障害」です。ただし、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあります。みなさん、「境界知能」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。IQ70と85の境となる「IQ70~84」が境界知能です。意外に思うかもしれませんが、境界知能は日本人の7人に1人が該当(IQ100を平均とした場合、境界知能には約14%が該当)します。勉強が苦手な子どもの中には、知的障害には該当しないものの、この境界知能に当たる子どもたちがいます。また、はっきりと発達障害と診断はされないものの、何かしらの課題を抱える「グレーゾーン」の子どもたちもいます。こうした子どもたちにも、本当はなんらかの支援があってしかるべきだと思うのですが、家庭や学校で見過ごされてしまうことが多々あります。むしろ、「軽度知的障害」と診断を受けていたほうが特別支援学級に在籍するなど、支援の手が届きやすくなります。でも、障害の診断はされていないのに、「授業についていけない」「周囲の子となじめない」という子どもの場合は、「本人のがんばりが足りない」「努力不足」「やる気がない」などととらえられてしまいがちです。先にお伝えしたように、境界知能とはIQ70~84です。IQ80あればIQ100の8割なので、同じ年齢の子と比べて8割程度の知能ということです。平均の8割あれば、そんなに心配する必要はないように思いますか?でも、考えてみてください。8割の知能ということは、10歳の子どもたちの中に8歳の子どもが混ざっているイメージです。小2の子どもが小4のクラスの授業についていくのは、しんどいことだと想像できるのではないでしょうか。認知機能の弱さが学習のつまずきにさらに、境界知能の子どもたちがしんどいのには、もう1つ理由があります。「認知機能」の弱さです。発達障害に対応するときに、重視してほしい2つ目のポイントです。認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といった「知的機能」を指します。見る、覚える、写すといった社会生活を営むのに必要な能力で、「学習の土台」でもあります。境界知能の子どもたちの多くは、この認知機能に弱さを抱えていることが多いといわれています(知的障害や発達障害のある子どもにも、その弱さは見られます)。例えば、「見る力」が弱いと文章を目で追いづらかったり読み飛ばしてしまったり、「覚える力」が弱いと九九や漢字を覚えられなかったり、「写す力」が弱いと板書が書き写せなかったり…学習面でのつまずきにつながります。このような認知機能の弱さを抱えながら、教科学習の知識を積み上げていくのは大変なことです。学年が上がるにつれて、学習内容は複雑になり、抽象度も増していきます。学習の土台がしっかりしていないところに、知識を積み上げても、子どもたちのつまずきが増すばかりです。子どものつまずきに気づき、手を貸してあげられる大人といえば、親御さんや学校の先生方です。とくに親御さんは、子どもが「自立」するまで、共に寄り添っていく存在です。いわば、子どもの「伴走者」です。子どもが自発的に何かをやり始めて、つまずきながらも、目的に近づいていく。それでもくじけそうになったときに、「大丈夫だよ。いつでも手伝うよ」と安心させるのが、伴走者の役割です。ポイントは、つかず離れずの距離感です。子どもにくっつきすぎて、やることを先回りして手伝ってばかりいると、自立を妨げかねません。一方で、親の子どもへの関心が薄かったり、困っているときに手伝えなかったりすると、子どもは不安になってしまいます。最後に、学習面でのつまずきを解消するには、学習の土台である認知機能をトレーニングすることが大切です。『コグトレ・パズル』は、親御さんに専門的な知識がなくても、パズルやゲーム感覚で楽しみながら、お子さんの認知機能の向上が期待できるトレーニングです。子どもの学習の「伴走者」として、保護者の方も一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
2022年10月26日LITALICO発達ナビを「ホーム画面に追加」すると便利!LITALICO発達ナビは、発達障害の基礎知識に関する情報や体験コラムを発信しています。会員向けのダイアリー(ブログ)機能やQ&Aコーナーもあり、毎日チェックしたいコンテンツが充実しています。お手持ちのモバイル端末で発達ナビを「ホーム画面に追加」するとアクセスが簡単!このコラムでは「ホーム画面に追加」の方法をご紹介いたします。iOSで「ホーム画面に追加」する手順お手持ちの端末がiPhoneの場合はこちらの手順に沿って「ホーム画面に追加」してみてください。1. ブラウザ(Safari)で発達ナビを開いた状態で下部のマークをタップUpload By 発達ナビニュース2.上にスクロールUpload By 発達ナビニュース3.「ホーム画面に追加」をタップUpload By 発達ナビニュース4.右上の「追加」をタップUpload By 発達ナビニュース5.ホーム画面に発達ナビのアイコンが追加されますUpload By 発達ナビニュースAndroid™で「ホーム画面に追加」する手順お手持ちの端末がAndroid搭載機種の場合はこちらの手順に沿って「ホーム画面に追加」してみてください。※機種やAndroidのバージョンが異なると、画面や操作手順が多少異なる場合があります。1.ブラウザ(Google Chrome™)で発達ナビを開き右上の「三点リーダー(︙)」ボタンをタップUpload By 発達ナビニュース2.メニュー画面の「ホーム画面に追加」をタップUpload By 発達ナビニュース3.「追加」をタップUpload By 発達ナビニュース4.「作成する」をタップUpload By 発達ナビニュース5.ホーム画面に発達ナビのアイコンが追加されますUpload By 発達ナビニュース「ホーム画面に追加」して最新の情報にすぐアクセスしてみよう!発達ナビでは、今後も発達障害に関する情報の発信だけでなく、会員のみなさまの毎日を応援するコンテンツを制作していきます。発達ナビをお手持ちの端末のホーム画面に追加してぜひチェックしてください!※ iPhone、Safariは、米国およびそのほかの国で登録されたApple Inc.の商標です。※ iOS は、Apple Inc.のOS名称です。※ Android、Google Chromeは、Google Inc.の登録商標です。
2022年10月25日