「厚労省によると、日本国内における認知症患者数は2020年の600万人から25年には730万人、高齢者の5人に1人が認知症になると推測され、深刻さを増しています。そうした背景もあり、認知症保険はいま注目の保険。それだけに大手を含め多くの保険会社の商品があり、それぞれに保障内容や保険料が異なるため、選び方がむずかしくなっているのが現実ですこう話すのは「NEWよい保険・悪い保険2023年版」(徳間書店)の共同監修などでおなじみの“保険のプロ”長尾義弘さん(ファイナンシャルプランナー)だ。この保険は、認知症に特化したもので、認知症と診断されると給付金が受け取れるもの。一部には、正常な状態と認知症の間にある軽度認知障害(MCI)を保障する商品もある。長尾さんが各社の商品を厳選比較。いま入るべき最新の認知症保険ベスト3は下記の通りだ。第1位朝日生命「人生100年時代の認知症保険」大きな特徴は、本人だけではなく、配偶者や親も加入することができるという保険。保障内容はシンプルで、認知症介護一時金と認知症診断一時金。認知症介護一時金は、認知症と診断されて、かつ要介護1になったとき。認知症診断一時金は認知症と診断されたときというのが要件だが、月々の保険料が割安なのもポイント。告知も3項目だけの緩和型で入りやすい。■保険料60歳男性:1120円60歳女性:1274円保険金額の例:認知症介護一時金=100万円、認知症診断一時金=10万円、保険期間・保険料払込期間=終身第2位太陽生命「ひまわり認知症予防保険」(スマ保険)特徴は、2年に1回、予防給付金が受け取れること。認知症では、早期発見がもっとも重要。この予防給付金は、認知症の検査を受診する動機付けにもなる保険。ちなみに契約者が「MCIスクリーニング検査プラス」を受診すると当検査を提供するMCBI社より2000円のQUOカードがもらえるサービスもある。認知症により所定の状態が180日継続した場合も受け取れる認知症治療給付金もプラスすることができる。告知は緩和型なので入りやすい。■保険料60歳男性:3394円60歳女性:4370円保険金額の例:認知症診断保険金=100万円、予防給付金=1万円、死亡保険金=25万円、保険期間・保険料払込期間=終身第3位SOMPOひまわり生命「笑顔をまもる認知症保険」特徴は、軽度認知症と診断確定をした場合に、5%の軽度認知症一時金を受け取ることができる。たとえば、認知症一時金100万円の契約は、軽度認知症一時金で5万円、認知症一時金で95万円になる。また、骨折した場合でも「骨折給付金」が出る。災害死亡給付金は、骨折給付金の10倍が出る。告知は緩和型なので入りやすい。■保険料60歳男性:3430円60歳女性:4335円保険金額の例:認知症一時金=100万円、軽度認知症=5万円、骨折=1回につき5万円、災害死亡=50万円、保険期間・保険料払込期間=終身「第1位の朝日生命『人生100年時代の認知症保険』は保険金の支払要件が認知症と診断されたときと少し厳しいですが、本人だけではなく、配偶者や親も保険に加入することができ、なにより月々の保険料の割安感が決め手でした。認知症の検査を受診する動機付けにもなる予防給付金がついている太陽生命『ひまわり認知症予防保険』、軽度認知症と診断確定をした場合に、5%の軽度認知症一時金を受け取ることができるSOMPOひまわり生命『笑顔をまもる認知症保険』もぜひ検討してみてください」なお、現在加入している医療保険やがん保険にも「指定代理請求特約」をつけておくことが大切と長尾さん。「この特約は家族などが本人に代わって保険金を請求できるようにした特約で、無料でつけることができるもの。認知症と診断され、給付金を受け取る際、すでに意思表示がむずかしくなっているケースが想定されますので、この特約で、あらかじめ指定代理請求人を指定しておくことで、スムーズに給付金などを請求することができます」
2023年09月29日認知症患者に便秘が多いという研究データから、便秘が認知症につながるという新たな知見が発表された。便秘により腸内が炎症を起こすと、脳の炎症、つまりは認知症のリスクが高まるという。“中年期以降の排便の回数と便の硬さが認知症リスクと関係する”国立がん研究センターを中心に行われている多目的コホート研究(あるグループを追跡して病気の発生などの健康状態を調べる研究)からの研究結果が6月29日、海外のジャーナル、『Public Health』誌オンライン版に掲載された。これは’00年と’03年に、秋田県、長野県、茨城県、沖縄県、高知県の5つの保健所管内の50~79歳の住民男女約4万2千人から得られたアンケートの追跡調査から、排便習慣と認知症の関連を調べた研究である。調査対象者のうち、1千889人の男性、2千685人の女性が要介護認定情報より認知症との診断を受けていることを確認し、今回の研究はそのデータを解析したものだ。それによると、男女ともに便の頻度が少ない人ほど、また、便が硬い人ほど認知症のリスクが高いことがわかった。令和元年の国民生活基礎調査によると、日本人女性の約44%が便秘に悩まされており、さらに65歳以上の場合、約72%の女性が便秘の悩みを抱えているという。この数字を見ると、今回の結果は衝撃的ともいえる。この研究の責任者で、国立がん研究センターがん対策研究所コホート研究部部長の澤田典絵さんは、今回の研究の背景について、次のように話す。「以前から認知症の患者さんに便秘症状が多いことは知られていましたが、排便習慣が将来の認知症(特にアルツハイマー型認知症)のリスクと関係しているのかといった研究はありませんでした。今回の研究は、その点に着目したものです」その結果がグラフである。「『排便の回数が1日に1回の人』を1(基準)とした場合、頻度が少なくなるほど認知症のリスクが高くなっており、女性の場合、週3回未満の人のリスクは1.29倍になります。便の硬さについても解析をしたところ、『便の硬さが普通』を1とすると、便が硬くなるほど認知症のリスクが上がり、『特に硬い』では1.84倍となることがわかりました」(澤田さん、以下同)日ごろのお通じの悩みが、まさか認知症のリスクと関係があるとは恐ろしい限りだ。では、どのように腸が脳に作用するのだろうか。 「腸と脳とは“脳腸相関”といって、腸内細菌叢が互いの機能に影響を及ぼすことが報告されています。特に便の腸管での通過時間の遅延が関係するようです。便が長時間、腸内にとどまっていると、腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸が減少し、腸壁が薄くなります。それが酸化ストレスを引き起こし、また、全身性の炎症を発生させます。これが、排便習慣が認知症のリスクと関係する一つの理由と考えられています」腸内細菌が脳の迷走神経(脳神経のなかで唯一、脳から腹部にまで達し、複雑で長い走行をする神経)に影響を及ぼし、さまざまなストレスを伝えることも報告されている。排便と認知症リスクに相関があることがわかると、やはり排便を習慣化させる重要性は無視できない。それには生活習慣の見直しが大切だ。特に前述のように、女性は若い世代から便秘に悩まされる傾向があり、さらに高齢になるほど便秘傾向の人が増える。腸の動きが不活発になったり、便を押し出す力が低下したりすることに加え、水分摂取量が減少したりと、体内機能の衰え以外にも生活習慣上のさまざまな理由がある。予防策としては、生活リズムを整えた規則正しい生活、ウオーキングなど日々の適度な運動、バランスのよい食事を取ることが重要だ。1日3食を規則正しく食べることにより、生活リズムが整い、自律神経も整う。特に朝食を取ることは胃腸を刺激し、排便を促すことにもつながるので、ぜひ習慣づけよう。また、日々の食事には、食物繊維をしっかり取り入れること。豆類、きのこ類、根菜類などの野菜に豊富に含まれる不溶性食物繊維、ワカメなどの海藻類に多く含まれる水溶性食物繊維の両方をしっかり取ることで、腸内細菌叢にもよい影響を及ぼし、便通が促進される。そして、つい忘れがちだが、水分をしっかり取ることも心がけよう。便がやわらかくなることに直結するからだ。それでも便秘が続いたり、不調を繰り返す場合は医療機関へ行って、適切な処置を受けよう。早めの受診で、腸から起こるさまざまな不調に対処し、長期的な健康も守ろう。
2023年08月10日40代、50代となると少しずつ親が要介護になる人も増えるのではないでしょうか。要介護になると急速に進行するのが「認知症」。国内認知症患者の数は2050年には1000万人以上にもなるという推計もあります※が、その中に自分が入らないためにできることはあるのでしょうか。介護付有料老人ホームの嘱託医である医師・駒形依子先生に聞きました。※「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)を元に推計(厚生労働省)。各年齢の認知症有病率が上昇する場合の将来推計。教えてくれたのは…監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。★関連記事:厳格だった父が認知症に。たったひとりで介護をしていた母が電話口で泣いていて…【1】腸内環境を整える認知症を予防する食品として、よくEPAやDHAなどの成分が挙げられますがいかがなのでしょうか。「サプリメントなどでどんなに体にとって良い成分をとっていても、腸内環境が乱れていると十分に栄養を吸収できません。まずは便秘や下痢などをなくし、腸内環境を整えることが大切です。40代、50代女性で腸内環境が整っている人はほとんどいないと言っても過言ではありません。乱れた食生活や添加物などの影響はもちろん、更年期に入ると女性ホルモンのエストロゲンが減って組織が硬くなり、腸も硬くなっていくためです。腸内環境を整えるためにヨーグルトや納豆などが推奨されますが、体質によっては合わないこともあります。便秘や下痢にならない食習慣は人によって違うため、自分の体に聞いてみる、つまりいろいろな食品を試してみて便通が整うかどうかを確認することが大切です」(駒形先生)。【2】グチを言い合える仲間を持つ認知症予防としてよく言われるのが人との交流です。「もちろん、認知症予防に人との交流は欠かせませんが、特に必要だなと最近感じるのが、グチを言える友人の存在です。クリニックでも、医師や看護師にグチをこぼす方が多くいらっしゃいます。グチを言うことは悪いことではなく、広い視野で見れば認知症予防にもつながると思います」(駒形先生)。グチと認知症予防……。どのようにつながるのでしょうか。「40代、50代の更年期はイライラしやすい時期です。イライラをためこむと自律神経の交感神経が優位になり、血管がぎゅーっと収縮した状態になります。つまり、イライラした状態が続くと血流が滞り、脳への血流も悪くなります。血流バランスが悪いと、認知機能に関わる神経伝達物質も運ばれにくくなり、それが積み重なれば支障が出てくるのです。イライラを解消することで血管の弛緩が促されれば、血流バランスがよくなります。グチをこぼしてイライラを解消することが、認知機能の低下を抑えることにつながると言えます」(駒形先生)。【3】睡眠環境を整える睡眠環境と認知症も関係があるのでしょうか。「大いに関係があります。なぜなら、寝ないと人はリラックスできませんよね。脳の血流バランスを整え、神経伝達物質を運ぶためには、良質な睡眠をとってリラックスすることで副交感神経を優位にすることがとても大切です」(駒形先生)。良質な睡眠のために必要な要素をいくつか教えてください。「ここでは特に重要な5つを挙げましょう。①1人で寝るやはり同じ布団やベッドで寝ていると相手を意識してしまいます。深い睡眠には寝返りが必要ですが、相手に気をつかって寝返りができない方もいます。また、適温と感じる室温も違っていたりと、寝るときは1人の環境がベストと言えます。②スケジュールにこだわらないこの時間に寝ないとダメ、この時間に起きないとダメ、とルールが多すぎると、それができなかった場合ストレスになります。スケジュールはゆとりを持たせることが大切です。③食事は寝る3時間前までに済ませる寝ているときは、消化吸収機能が最低限の力で動いています。それが食べたものが胃腸に残っていると仕事が増えてしまいます。例えば疲れを取るという仕事を体がしようと思っていたのに、追加で消化吸収の仕事が来るとエネルギーが奪われれ、疲れを取るという仕事ができなくなってしまうのです。胃腸の疲れ=体の疲れなので、胃腸に追加の仕事を与えないことが大切です。④夕刻以降のアルコール・カフェイン・ニコチンは控えるアルコール・カフェイン・ニコチンは交感神経を優位にしてしまい、リラックスができません。寝るときはリラックスした環境が必要です。⑤夕刻以降の過剰な水分摂取は控える過剰な水分摂取は頻尿の原因になるので控えましょう」(駒形先生)。まとめ認知症を少しでも防げる方法として「腸内環境」「グチが言える仲間」「睡眠環境」の3つを駒形先生に挙げてもらいました。取り入れやすい方法をできる範囲で始めてみてはいかがでしょうか。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/mido(50歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画著者/監修/駒形 依子 先生2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
2023年07月09日現在、社会的にも大きな関心が寄せられている問題といえば、認知症や介護について。そんななか、まもなく公開を迎える注目作『オレンジ・ランプ』では、39歳で若年性認知症と診断された夫とその妻の9年にわたる道のりを実話に基づいて描いています。そこで、主演を務めたこちらの方に、お話をうかがってきました。貫地谷しほりさん【映画、ときどき私】 vol. 588映画『サバカン SABAKAN』やドラマ「大奥」など、幅広い作品で活躍を続けている貫地谷さん。劇中では、若くして認知症を発症してしまう夫を前向きに支え続ける妻の真央を演じています。そこで、本作を通じて感じたことや夫婦として大切にしたい思い、そして笑顔の秘訣について語っていただきました。―最初にオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?貫地谷さんいま、私の母が認知症の祖母を介護しているというのもきっかけの1つとしてありましたが、この作品はとても明るいお話だったので、それをみなさんにも伝えたいという思いで受けました。というのも、以前流行った韓国映画『私の頭の中の消しゴム』の影響もあり、若年性認知症には私自身も悲しいイメージがあったからです。―実際、台本を読まれてみてどういう印象を受けましたか?貫地谷さん正直に言うと、この作品ではあまりにみんながいい人すぎたので、「本当にこんなファンタジーみたいな世界があるのかな?」と疑うような気持ちがあったのも確かです。でも、作品が出来上がって試写をしたときに、主人公のモデルである丹野智文さんが号泣しながら「そのまんまです」とおっしゃっていたので、現実にこんな優しい世界があるんだなと驚きました。この話が奇跡ではなく、当たり前の世界になってほしい―確かに、まさに映画のようなお話ですよね。貫地谷さん家族も友達も会社の人たちみんながすごく理解のある方々なので、私も最初は奇跡だと思っていました。ただ、実際にあったことなので、奇跡ではなくてこれが当たり前になる世の中になってほしいなと。この話が本当だという事実が私にとっては励みになっています。―とはいえ、認知症に対する世間のイメージはまだまだ厳しいものが多いのが現実です。本作で描かれているような優しい世界が当たり前になるためには、どうすればいいと思われますか?貫地谷さんまずはこの映画を観ていただきたいですが、私が思ったのは、知っているのと知らないのとでは、大きな違いがあるということです。たとえば、認知症の方が食事のあとに「まだご飯を食べていない」と言ったとして、「さっき食べましたよ」と否定するのは自尊心が傷つけられてしまうので言ってはいけないとされています。でも、これも知らないと普通に言ってしまいますよね。それから、いまは行政の支援もいろいろと増えてきたそうなので、相談できる場所があるということを頭のなかに留めておくことも大事なこと。これは認知症に限ったことではないと思いますが、介護ではつい我慢したり、1人で抱え込んだりしがちなので、そういう仕組みを知っておくことの大切さを私も今回学びました。夫のように相性のいい人と出会えてラッキーだった―演じるうえで、「もし自分だったらどうするか?」というのが頭をよぎったこともあったのではないかなと。貫地谷さんそうですね。丹野さんのようにさまざまな機能をうまく活用していけばいいのかなとか、支えてくれる家族のことなど、いろいろと考えました。本当にいつ何が起こるかわからないですからね。以前なら「後でやればいいかな」と考えていたことも、「いますぐやったほうがいい」という意識に変わったのはこの作品の影響だと思います。―また、本作は夫婦の物語でもありますが、丹野さん夫妻の生き方に触れたことでご自身の夫婦観にも変化はありましたか?貫地谷さん「夫のことを大切にしよう」と改めて思いました。ときには自分の価値観やペースを押し付けそうになってしまうことがありますが、もっと夫の考えを尊重しなきゃいけないなと。私は本当に何でも夫に話してしまうので、秘密がなさすぎて逆に大丈夫かなと思うこともあるくらいです(笑)。一番の親友でもあります。―では、夫婦円満の秘訣として意識していることは?貫地谷さん付き合っているときも、結婚してからもまったく関係が変わらないので、単純に相性がいいんでしょうね。そういう人と出会えてラッキーですし、ありがたいことだなと感じています。お互いの両親も仲良くしていて、お正月には両家揃ってみんなで過ごすほど。何かあっても、家族の存在は心強いなと思えます。人と健康は財産だと感じている―素敵なご関係ですね。また、本作では、つらいときは大丈夫ではないと周りを頼ってもいいんだと教えてくれますが、ご自身は悩みがあるときはどのようにされているのでしょうか。貫地谷さん私は自分の悩みは自分で解決するほうであまり人に言わないタイプなので、周りが良かれと思ってかけてくれた言葉がまっすぐ届かないこともありました。でも、何気なく聞いた言葉からヒントを得られることもあるので、やっぱりいろんなことに耳を傾けるのは大事だなと。この作品で周りの人たちがこんなにも力になってくれることに気づかされたので、本当に人と健康は財産だなと思います。―ちなみに、これまで貫地谷さんがかけられた言葉によって救われた経験があればお聞かせください。貫地谷さんたくさんありますが、渡瀬恒彦さんと最後にご一緒させていただいたときのこと。渡瀬さんからお手紙をいただいたのですが、そこに「貫地谷がこれからすることは、愛に惑うことです」と書かれていました。迷っているときやつらいとき、答えが見つからないときがあっても、その言葉を思い出すと「この瞬間が大事なんだ」と思えるのですごく救われています。言葉の通じないところで、本当の冒険がしてみたい―30代前半でananwebにご登場いただいた際、「30代はきちんと生活をすることを意識している」「もっと冒険して好きなものを突き詰めたい」とお話されていましたが、30代も後半に差し掛かってきて心境に変化は?貫地谷さんいまも考えていることは同じですし、その通りにやってこれている気がしています。しかも、夫がすごく好奇心旺盛なタイプなので、おかげで私もいろいろと見ることができたり、知ることができたりしているので楽しいですね。食事のことをちゃんと考えるのも当たり前になってきたので、そういったこともうれしいです。―してみたい冒険については、「苦手意識があるが、色っぽいお芝居にも挑戦してみたい」ともおっしゃっていましたが…。貫地谷さんそこに関してはまだしてないですし、いまだに苦手ですね(笑)。それよりも本当の冒険がしたいですね。というのも、私は旅行をしたり、漫画を読んだりして異世界に思いをはせることが好きなので、言葉が通じないようなところでがんばってコミュニケーションを取るような経験ができたらいいなと。最近は、旅に出ることが私のモチベーションとなっています。―では、いま行きたいところといえば?貫地谷さん暖かくて、海がある場所でゆっくりできたらいいですね。ちなみに、つい最近もビーチがある海外に1週間くらい旅行したんですが、東京に帰ってきてしばらくしたらスマホに「先週より使用時間が38%増えています」という表示が出ました。そのときに気づいたのは、旅行をしたことでこんなにもデジタルデトックスもできていたんだということ。心が波立つこともなかったので、こういう時間は必要だと改めて感じました。自分の気持ちがどこにあるのかを知るのは大切なこと―貫地谷さんと言えば、いつも笑顔が素敵ですが、意識されていることがあれば教えてください。貫地谷さん以前、「自分に嘘をついていると、本当の気持ちがわからなくなっちゃうよ」と言われたことがありますが、まさにその通り。私の場合は夫に愚痴ったり、友達に話をしたりしますが、自分にとって何がつらいのか、何が悲しいのか、何が楽しいのか、というのを明確にするのは大事なことではないでしょうか。自分や人に嘘をつくというのはすごく体力を使いますし、つじつまを合わせるのも面倒くさいので、正直に生きることがストレスを溜めない秘訣であり心が一番健やかになる方法だと思います。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。貫地谷さんまずは、自分の気持ちがどこにあるのかというのを知るのはすごく大切なことだと思います。私は20代前半に悲しかったり、つらかったり、悔しかったりすることが多かったですが、30歳頃に同じような波が来たときにちゃんと向き合ってみたら前よりも少し自分に優しくなれました。周りに流されないことも大事ですが、そんなふうに受け入れてみる瞬間も必要だと考えています。ぜひ、無理せずに自分が心地いいと感じるペースでやってみてください。インタビューを終えてみて…。ananwebの連載にご登場いただくのは、3回目となった貫地谷さん。お会いするたびに魅力が増しているように感じていましたが、ご夫婦の素敵なエピソードを聞いて思わず納得してしまいました。明るさと芯の強さを兼ね備えた真央は、貫地谷さんのハマり役でもあるので、ぜひそのあたりも注目してご覧ください。諦めなければ、希望の灯りは見つけられる!家族だけでなく、周囲の人たちにどれだけ支えられて生きているのかを改めて感じさせられる本作。人生は思いがけないことの連続ではあるものの、向き合い方によっては新たな発見や可能性に出会うこともできるのだと気づかせてくれるはずです。写真・安田光優(貫地谷しほり)取材、文・志村昌美ヘアメイク・ICHIKI KITA(Permanent)ジャケット¥69,300、ベスト¥42,900(ともにsuzuki takayuki/03-6821-6701) 、パンツ¥25,300(MEYAME/ソークロニクル 03-5486-8009)、ピアス¥6,600(AMOR/ )、シューズ(スタイリスト私物)ストーリー妻の真央と2人の娘と暮らしていた39歳の只野晃一。カーディーラーのトップ営業マンとしても、充実した日々を送っていた。ところが、顧客の名前を忘れるなど、晃一に異変が出始める。そんななか、下された診断は「若年性アルツハイマー型認知症」だった。驚き、戸惑い、不安に押しつぶされていく晃一は、退社を決意する。心配のあまり何でもしてあげようとする真央だったが、ある出会いがきっかけで2人の意識が変わる。そして、「人生を諦めなくていい」と気づいた彼らを取り巻く世界が変わっていくことに…優しさに満ちた予告編はこちら!作品情報『オレンジ・ランプ』6月30日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー配給:ギャガ(C)2022「オレンジ・ランプ」製作委員会写真・安田光優(貫地谷しほり)
2023年06月24日人生100年時代におけるリスクのひとつが“認知症”だ。高齢化に伴い患者数は増え続けており、2025年には65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になると推計されている。「認知症の一歩手前とされる、リスクありの状態をMCI(軽度認知障害)といい、記憶力や注意力など認知機能に低下が見られるものの、日常生活に支障をきたすほどではない状態を指します。私はこれを『グレーゾーン』と呼んでいます」そう語るのは、日本老年精神医学会の理事でメモリークリニックお茶の水の朝田隆院長。MCIの時期に何もせずに放置していると1年で10%、4年で40%が認知症に移行するという報告がある。「進行には個人差がありますが、MCIの段階で適切な対策を講じることで正常な状態に戻る可能性もあります。認知症を防ぐには、早期発見をして治療に結びつけることが何より大切なのです」(朝田院長、以下同)認知症が社会問題として広く認識されているにもかかわらず、私たちが早期発見の機会を逸してしまう背景について、朝田院長は次のように話す。「もの忘れが出てきたなどの段階では、家族が検査を勧めても本人が『自分は認知症ではない』と言って専門医にかかるのを拒むケースが多くあるのです。また、認知機能の診断テストを受けた場合でも、回答時に自分の症状を軽く評価してしまう傾向も見受けられます」この課題をクリアするため、日本老年精神医学会では5年ほど前からリスクを早い段階で発見するシステムの開発に着手してきた。そして完成したのが「J-MCI」という評価方法。今年5月から一部の健康診断会場などで導入が始まっている。受検者は、パソコンの画面で13項目について「はい」「いいえ」と答えるだけでリスクの程度がわかる。回答内容からコンピューターによって「認知症の傾向あり」「グレーゾーン(軽度認知障害)」「所見なし」の3つの判定が出され、本人の今の状態を確認できる。「傾向あり」「グレーゾーン」の状態と判定されたら、日本老年精神医学会に所属する認知症の専門医を探せるような仕組みもある。「医療機関に行かなくても自宅でテストができ、年齢や抱えている疾患に左右されず、できるだけ正確に認知症リスクを判定できるものを作りたいと考えていました。また、これまでの専門医による認知機能検査は、時間がかかり回答者の負担が大きい点も問題になっていましたが、13項目に絞ったため、それも軽減されています」設問は先行文献から認知症の初期症状63項目を抽出し、次に専門医らで議論を重ね49項目に絞った。そこからさらに、認知症患者の協力を得て、13項目に絞り込んだという。49項目の段階では、「以前より怒りっぽく、頑固になった」という項目があったが、高齢者や更年期症状を訴える女性は、認知症でなくてもそう答える人が多い、との判断で項目から除外した。ほかに「書類の記載を間違える」という項目は、視力低下など別の要因も考えられる。「足のむくみを訴えるようになった」も、やはりほかの病気が原因であるケースを考慮し除外となったそうだ。もう一つの大きな特徴は、家族や主治医など、本人以外の人の視点でもテストができること。13項目に回答する前に「本人」「家族(本人以外)」「医師」にチェックをつけ、性別、年齢を入力して設問に答えると判定が導き出される。「認知症リスクがある人の自覚症状と、他者から見える異変との間には差があります。認知機能のテストにおいては、自己申告では他者による評価と比べて症状を3分の1程度軽く見られることがわかっています。これを踏まえ、本人、家族、主治医の誰が答えたのかで判定が異なる仕組みにしました」認知症患者や高齢者などの協力を得て検証した結果、認知症のリスクがある人の9割以上を見分けることができたというから驚きだ。今後、より手軽にアクセスできる環境を整え、活用の場を広げていく考えだという。「親御さんの異変に気づいた娘さん、息子さんが代わりにチェックをすることも可能なので、認知症リスクを見つけ出すスクリーニングに役立ててもらい、早期受診を促したいです」あらゆる人に忍び寄る認知症という病い。そのリスクにできるだけ早く対処することが、健康寿命を延ばす大きなカギになるーー。
2023年06月09日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(75)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「中学時代からの40年来の友達のA子に、認知症の親を施設に入れようかと悩みを打ち明けたら『親の面倒は娘が見るのが当然でしょ』と。そのひと言以来、ギクシャクしてしまい、友達関係も解消しようと思っています……」(シャニースイスイさん・55歳・山形県・パート)【A】認知症になった蛭子さんの結論「ひとりぼっちは寂しいから嫌」オレは病気(認知症のこと)になってから、いろんな人に助けてもらっています。今、通っているところ(ショートステイ)でもカラオケをしたりお茶を飲んだりしているんですが、友達はいたほうがいいと思いますけどね。(マネージャー「えっ、蛭子さんが前に出した本『ひとりぼっちを笑うな』では“友達なんかいらない”と書いていましたよ」)えっ?友達は大切だし、ひとりぼっちは寂しいから嫌ですね。(マネージャー「蛭子さんは認知症になってから変わりましたね。この人生相談の1回目は姑との関係に悩むお嫁さんからの相談でしたが、蛭子さんは『早く死んでくれ、と祈ればいい』と答えていました」)あ〜そうですか、覚えていませんね。だからA子さんも相談されたことを覚えていないと思いますよ。長い付き合いならいろいろあったはず。いいところだけ見て付き合っていけばいいですよ。(マネージャー「まともに答えるなんて蛭子さんらしくないですよ!」)
2023年05月29日本田式認知特性研究所LLP(有限責任事業組合)(所在地:東京都世田谷区、代表:本田 真美)は、大学受験生を対象とした認知特性アセスメント「コグテン bravo(ブラーヴォ)」を2023年2月14日からサービス提供を開始します。大学受験生のみならず資格試験を目指す社会人や高校等の受験生にも活用していただけるテストとなっています。Webサービスtop学校の教師や塾講師、先輩や友人などに勧められた学習法を実践しても、なかなか成果が上がらないことがあります。それはその人の能力が劣っているのではなく、その人に合った学習法でないことが原因である可能性が高いです。「聞いて分かる」、「見て分かる」など、学びに使う手段が、人それぞれで異なるからです。そこで当研究所では、認知特性と認知機能の側面から適性を分析し、その人に最適な学習法を提案するアセスメント・サービスを開発・提供することにしました。自分の特性を知り、情報のインプットとアウトプットの方法を工夫することで、学習の成果を数段階上のレベルに引き上げることが期待できます。■認知特性とは認知特性とは、見る・聞く・読むといった情報獲得と、それを理解・記憶・整理する処理、そしてそれらをもとに書いたり話したり表現したりするまでの一連の方法と、人によって異なるその偏りのことを言います。例えば、ラジオ講座やCD教材で英語を浴びるように聴くことで飛躍的に英語力が上がる人がいる一方、多くの長文を読んで力を伸ばす人や、文の構造や単語を整理し理解することで高得点を取れる人がいます。その違いこそが、各々の認知特性の違いです。■実績のある認知特性テストがベース「コグテン bravo」のベースである「本田40式認知特性テスト」は、当研究所の本田 真美(小児科医、みくりキッズくりにっく院長)がその複数の著書で提案してきた認知特性テストです。これまでにTV番組や雑誌記事等で数多く取り上げられ、大きな反響を生んできました。「コグテン bravo」は、この実績ある「本田40式認知特性テスト」を基に、設問や選択肢を精査、精緻化し、さらにインタラクティブコンテンツを組み合わせて、より精度の高いアセスメントを行うことができます。■6タイプの認知特性と7種の認知機能のバランスを測定「コグテン bravo」では、認知特性を「視覚優位」「言語優位」「聴覚優位」の大きく3つに分類。さらにそれぞれを2つずつに分け合計6タイプに分類し、それぞれのタイプごとの親和性を示します。さらに受験に必要な「空間能力」「注意集中力」「記憶力」といった認知機能7種も同時に分析し、本人の適性を深く理解できるアセスメント・データを提供します。■専門家のノウハウを活かした学習方法アドバイス「コグテン bravo」では、認知特性や認知機能の偏りを解説するメッセージや、本人の適正にあった学習の方法と参考書の選択についてのアドバイスを出力します。これらのアドバイスは、オンライン個別指導で実績のある「完全個別オンライン指導塾『となりにコーチ』」の指導ノウハウに基づいて生成されます。また認知機能の分析は、認知機能コンテンツを多数手がける「レデックス株式会社」が全面協力しています。■サービス概要名称 : コグテン bravo ~大学受験向け認知特性テスト~利用環境: Windows、MacOS等の搭載されたパソコンやiOSまたはAndroidの搭載されたタブレット、スマートフォンブラウザ: Google Chrome、Microsoft Edge、Safari、Firefox※それぞれ最新版を推奨利用料金: 1,300円(税込1,430円)/1チケット※利用者登録は無料です※1チケットで1回のアセスメントを行っていただけます利用方法: 下記Webページからご確認の上ご登録ください ■本田式認知特性研究所の主なメンバー【本田 真美】医学博士、小児科専門医、小児神経専門医。国立小児病院にて研修後、国立成育医療研究センター神経科、都立多摩療育園、都立東部療育センターで勤務、現在、みくりキッズくりにっく院長。【粂原 圭太郎】完全個別オンライン指導塾「となりにコーチ」代表、ソーシャルデータバンク株式会社社長室顧問。京大経済学部に首席合格後、オンラインで受験指導を開始。著書7冊。『やる気と集中力が出る勉強法』(二見書房)『偏差値95の勉強法』(ダイヤモンド社)は、中国、台湾、韓国でも出版されている。小学生から小倉百人一首競技かるたを始め、現在八段、レーティング日本一位。【馬場 悠輔】公認心理師、臨床心理士、UCLA PEERS Clinic Adolescents Provider、William Glasser International Practicum Supervisor、スクールカウンセラー。世田谷区総合福祉センター児童係スーパーバイザー、みくりキッズくりにっく、Benesse 進研ゼミ監修などを経て現在、こどもとかぞくのサポートルーム KNOT(ノット)代表。【五藤 博義】学習方法研究者。学習環境について長年、研究開発を続ける。複数の自治体で特別支援教育担当教員研修の講師や都立特別支援学校の外部専門員(アセスメント)を務める。ベネッセコーポレーション研究所長などを経て現在、レデックス株式会社代表取締役、主幹研究員。■本田式認知特性研究所LLP(有限責任事業組合)所在地 : 東京都世田谷区上野毛2-22-14 A-3F設立 : 2022年6月事業内容: 認知特性や認知機能のアセスメントコンテンツの企画・開発組合員 : 株式会社琉球マインド(東京都世田谷区)レデックス株式会社(東京都町田市)株式会社iMotivations(滋賀県大津市)URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年02月14日認知症を発症した家族との生活は一筋縄ではいきませんが、家族のサポートがあれば大きなトラブルもなく、うまく回っていくことも多いものです。しかし世の中には、認知機能の低下を利用しようとする者もおり、悪意を持って近づいてくることも…!?今回は、義母との同居生活とそれを取り巻くトラブルを描いた漫画「義母の認知症に付け込んだ義姉の末路」を紹介します。『義母の認知症に付け込んだ義姉の末路』主人公のソラは、夫と息子、そして1年前に引き取った義母と暮らす主婦。認知症が始まった義母との同居生活は、家族のサポートもあり、そこそこ順調でした。しかし最近、義兄嫁のクロハが「介護の手伝い」を名目に、たびたび家に来るようになったのです。しかも、彼女はソラの介護にアレコレといちゃもんをつけ、挙句にソラの悪口を義母に吹き込む始末。遺産目当ての良い嫁キャンペーン出典:Youtube1年前、義母の介護をソラたちに丸投げしたクロハ。また、仕送りを毎月送る約束が減額を毎度要求。そんな彼女が認知症を発症した義母に会いに来る理由は、財産目当てであることは誰の目にもあきらかでした。後日、またしても「良い嫁」アピールをしに来たクロハでしたが、なんと義母はクロハのことを忘れており…。さらには家族の前で口臭を指摘されて激怒し、「遺産を私に残してくたばれ!」と本性を露わにします。結局クロハは、遺産どころか義兄から離婚を言い渡される羽目になったのです。身勝手なふるまいには相応の報いが…クロハが義母の介護の手伝いを少しでもしていたら、結果はもう少し違ったのかもしれません。とはいえ、打算で良い嫁を演じたクロハが得する結果にならかったことは幸いと言えそうです。モナ・リザの戯言さんのYouTube(Grapps編集部)(チャンネル/モナ・リザの戯言)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年01月20日「最近料理の味や香りが薄くなった気がする」。もしかしたら、それは認知症の予兆かもしれない。米国の最新研究で明らかになったにおいと認知機能の関係。鼻を鍛えて認知症と闘おう!■追跡調査でわかった嗅覚と認知機能の関係においがわからなくなると認知症になる――。今年7月、米国シカゴ大学の研究チームが、高齢者515人を追跡調査し、嗅覚の低下が早い人ほど軽度認知障害やアルツハイマー型認知症の発症リスクが高くなることを報告した。日本における嗅覚障害の診察・治療の第一人者である、金沢医科大学耳鼻咽喉科学の三輪高喜教授が解説する。「アルツハイマー型やレビー小体型の認知症では、もの忘れなどの症状が出る前に嗅覚機能が衰えることが指摘されています。嗅覚が低下した人は、認知症の一歩手前といわれる軽度認知障害の発症率が50%も高くなることも明らかになっています。老化に伴うものと違って認知症の前段階の嗅覚低下は『においがしなくなる』ではなく『何のにおいなのかわからない』という症状が最初にあらわれ、のちににおい自体を感じにくくなるのです」そこには嗅覚が、五感のなかでも脳とのつながりがもっとも密接なことが関係している。「視覚や聴覚などが受けた情報は脳の複数の部位を経て中枢に伝わりますが、嗅覚は、においを感じた嗅覚神経から記憶をつかさどる海馬にダイレクトに伝わります。それだけ近い関係にあることから、認知症で起こり始めた脳の病変が、嗅覚に及ぶと考えられています。また何かのにおいを嗅いだ瞬間に、過去の記憶が鮮明によみがえってきたという経験は誰にでもあります。このとき古い記憶を貯蔵する脳の大脳皮質から引き出されます。嗅ぐ力が低下することで、記憶を呼び起こす働きも低下してしまうのです」(三輪先生、以下同)■においの変化で“認知症の芽”を早期発見嗅覚低下は脳の異常を知らせるサインだが、それに気づかないケースが多いという。「視力や聴力が低下した場合、新聞の字がかすんだりテレビの音が聞こえづらくなったりと日常生活が不便になり、すぐに自覚することができます。しかし、においはふだんから意識することが少ないため、嗅覚が鈍くなっても気づきにくいのです。同じにおいを嗅ぎ続けていると慣れてしまい、そのにおいを感じなくなったり、非常に弱く感じたりするように、においに対して順応性があることも嗅覚の衰えを自覚しにくい要因です」嗅覚が低下したことがわからないまま認知症に……。それを防ぐためには、まずは次のチェックシートで、嗅ぐ力が保たれているかどうかを確認しよう。□ カレーのにおいが今までと違うように感じる□ いつものコーヒーを薄く感じる□ 食事をまずいと思うことが増えた□「料理の味つけを変えた?」と言われた□ 腐っている食べ物に気がつかないことがある□ 鍋を焦がしても気がつかないことがある□ トイレのにおいが気にならなくなった□ 香水が強くなったと言われる□ 鼻が詰まり気味だ※1つでもあてはまれば、嗅覚低下が疑われる■嗅覚神経細胞の刺激が脳を活性化「自分では気づかないにおいの変化を他人から指摘されても『気のせい』と軽く考えないようにしましょう。いつも食べている食材や飲み物の香りや味がわかりづらくなったときに『思い過ごし』と片付けないようにすることが大切。とくに小さいころから誰もが食べてきたカレーのにおいはいろんな記憶を呼び起こします。これまでと違うと感じるようになったら嗅覚の低下を疑ってください」認知症の予防には、嗅覚の状況をいち早く把握することが大切だ。「治療薬が開発されていない認知症を根本的に治すことはできません。しかし、嗅覚低下が同じように起こる軽度認知障害の段階ならば、運動や社会活動などで症状を止めて回復することも可能です。認知症の芽である軽度認知障害の早期発見が重要なのです」たとえ嗅覚が低下していたとしても、回復することは可能。「嗅覚にかかわる嗅神経細胞は死滅と再生を繰り返しますが、においの刺激を与えなければ、死滅が加速して細胞が減少し、においを嗅ぐ力も失ってしまいます。しかし、においを嗅ぐ機会を増やすことで、嗅神経細胞の再生が活性化します。嗅覚に刺激を与えることで、脳の神経細胞の血流を増やし、脳が活性化することも期待できます」そこで認知症を防ぐ効果的な「鼻トレ習慣」を三輪先生に教えてもらった。「漂うにおいを“楽しむ”よりも積極的に“嗅ぎ取る”姿勢が大切です。食事のときや散歩で花を見つけたときも『これは○○のにおいだ』と認識しながらにおいを嗅ぐことで嗅覚だけでなく脳も刺激されます。また同じにおいを嗅ぎ続けていると鼻が慣れます。台所にあるハーブやスパイスなどの調味料3種類のにおいを10秒ずつ嗅ぐのは手軽で安価に嗅覚低下をおさえる効果があります」“嗅力”を高める習慣で、認知症をしっかり予防しよう!
2022年12月25日卑劣なやり口でワガママを押し通そうとする人っていますよね…。そこで今回は、そんな最低な義母を描いた漫画、「認知症を偽装した義母」を紹介します。『認知症を偽装した義母』主人公のクロハは義両親と同居中。ぐうたらな義母・ワサビは認知症を偽装し、すべての家事をクロハに押しつけたり、近所で無銭飲食をしたりと、好き放題していました。どんどんエスカレートする義母のウソに痺れを切らしたクロハは、とある作戦を思いつきます。それは、ワサビの好きなお菓子を置いておき、「明日食べよう」と思わせたところでそのお菓子を隠すというもの。本当に認知症ならお菓子の存在など忘れていそうですが、認知症を偽装しているワサビは「あのお菓子はどこだ!」と騒ぎまくります。作戦は大成功♪出典:Youtube激怒するワサビは、「クロハが食べたのではないか」と疑います。その様子を見ていたクロハの夫は、ワサビの認知症の進行度を心配し、「施設に入ってもらう」と言い出します。これにはたまらず、ワサビも真実をカミングアウト…。夫と息子にたんまり怒られ、反省することなるのでした。タチの悪いやり口にドン引き…!人を心配させたり、困らせるような嘘をつくワサビ。自業自得な結末にスカッとしましたね。(lamire編集部)(イラスト/モナ・リザの戯言)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。"
2022年12月16日同じ敷地内に住む義父が大けがを負って入院。ひと悶着はあったもの、無事に病院へ舞い戻った義父。しかし、義父の様子から認知症の疑いを抱いたときのお話。 入院中にこっそり自宅に帰ってきたり、義姉を警戒して通帳などの財産を預けてきたりと、相変わらずな義父。入院してから1カ月以上が経ったある日、たまに記憶が抜け落ちる義父の異変に気づいて……!? まさか義父まで認知症に…? 1カ月半の入院生活後、自力での生活が難しいという判断から義父の転院が決まりました。しかし、伝えていたはずなのに忘れてしまったかのように怒り出す義父。それだけでなく、以前までは使えたはずの携帯電話も放置されるように……。しまいには、ベッドで持ち出してきた包丁を持っていたことで再び大騒ぎに発展してしまいます。 自分で包丁を持ち出してきたことすら忘れてしまった様子の義父を見て、「もしかして義父まで認知症になってしまった……?」という不安に駆られるチャト子さん。 医師に相談したところ、一時的な症状かもしれないと言われ、すっかり安心しきっていましたが……。結果的に、残念ながら義父の症状が回復することはなかったそうです。 義父の病状が心配ですが、認知症を患う義母だけでなく、義父までそんな状態になってしまっては、チャト子さん夫婦の生活にもより大きな影響が出てきそうですね……。 著者:マンガ家・イラストレーター チャト子2人の子どもを育てるアラフォー主婦。元フリーデザイナー・飲食店経営(火災に遭い休業)。リアルでは人に話せないような実体験などを漫画のネタにして昇華しています。
2022年12月12日脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、記憶や判断力などをつかさどる認知機能が低下していく『認知症』。その症状はさまざまですが、身近な家族や親しかった友人でも認識できなくなってしまうことがあるそうです。「写真の女性はだれ?」認知症の父親に尋ねると月岡祐介(@TsukiokaYusuke)さんの父親も、認知症を抱えています。しかし、当人は「まだ自分はしっかりしている」と思いたい気持ちがあるのか、忘れてしまった人に対しても「この人は知っている」と覚えているふりをするのだとか。ある日のこと、写真を整理していた月岡さんは、1枚の古い写真を見つけました。そこには、父親と見知らぬきれいな女性が、親密そうな様子で写っていたそうです。月岡さんが写真を父親に見せ、隣にいる女性について尋ねると…予想外な答えが返ってきました。「この人は知らん。記憶にございません」※写真はイメージ父は認知症ですが、何を質問しても必ず「この人は知っとる」と覚えてるフリをしてきます。先ほど写真整理をしてたら、父と綺麗な女性が妙に親密な様子で写っているのを見つけました。父に「これ誰?」と聞いたら「この人は知らん。記憶にございません」と言っていました。— 月岡祐介(心臓外科専門医) (@TsukiokaYusuke) December 5, 2022 あ、怪しすぎる…!いつもは覚えているふりをする父親が、この時ばかりは「知らない」と即答。急に認知症を思わせる反応をするなんて、かえって怪しいですね!投稿にはツッコミの声などが、続々と寄せられています。・しっかりしとるがな!絶対に知っている。・笑った。これは完全に覚えていらっしゃる。・朝から吹き出しました。お父さん、かわいいです。いろいろな記憶や判断力が低下しても、危機を察知する力はまったく衰えていないようですね。ある意味で正直なリアクションに、多くの人がクスッとさせられました。[文・構成/grape編集部]
2022年12月07日今回は渋谷にある「おしゃれ空間カフェ」をご紹介します。店内が可愛くて、写真を撮りたくなること間違いなし!「休日にゆっくりと至福の時間を味わいたい♡」2022年春にオープンしたてのカフェもあるので、ぜひチェックしてみて♡【渋谷】おしゃれ空間カフェ特集lamire Instagram photo by @87.rna今回は、休日に至福の時間を過ごしたい人にオススメの、渋谷のおしゃれ空間カフェをご紹介します。多くの路線が乗り入れる渋谷には、おしゃれなカフェもたくさん♡ぜひ参考にしてください!all day place Shibuyalamire Instagram photo by @asukaohno_,@_maru__gohan緑色のタイルが可愛いこちらのお店は、2022年の4月にオープンしたばかりのホテルに併設されています。シンプルな食器とタイルが洗練されて見え、思わず写真を撮りたくなりそう!店名:all day place Shibuya住所:東京都渋谷区渋谷1丁目17-1THE LOCAL TOKYOlamire Instagram photo by @ariiii_6u6 ,@iknn_03落ち着いた雰囲気でコーヒーを楽しめそうなこちらのお店。スコーンを使用したあんバターサンドも美味しそうですね。店名:THE LOCAL TOKYO住所:東京都渋谷区神宮前5丁目30-3ニューアートビル2階WHITE GLASS COFFEElamire Instagram photo by @konana1115 ,@_m_o_e_k_o_緑に囲まれたテラス席がオシャレなこちらのカフェ。ティラミスやマフィンなど、食べ応えのありそうなスイーツもあって、美味しそう♡店名:WHITE GLASS COFFEE住所:東京都渋谷区桜丘町23-18ビジョナリーアーツ1FVALLEY PARK STANDlamire Instagram photo by @yummy___ni黄色いネオンランプがオシャレな雰囲気を感じさせるこちらの一件。ドリンクのグラスにもプリントが施されていて、オシャレですね♡店名:VALLEY PARK STAND住所:東京都渋谷区神宮前6丁目20-10MIYASHITA PARK North sequence MIYASHITA PARK 4Fæ(ash)lamire Instagram photo by @87.rna,@u__ink2022年5月にオープンしたばかりのこちらのお店。渋谷というよりは神宮に近い場所にあります。カヌレがとっても美味しそう♡店名:æ(ash)住所:東京都渋谷区神南1丁目5-2川村ビル1F いかがでしたか?今回は、渋谷のおしゃれ空間カフェご紹介しました。ぜひ、至福のひとときをおしゃれなカフェで過ごしてみてください。 記事内の情報は執筆時のものになります。詳細は公式サイトをご確認ください。"
2022年10月02日家族の「好き」を集めたら居心地の良い空間に家族が好きなテイストはそれぞれ異なります。私は北欧系、夫は南アジアや中東系、4歳の子供は好き!という直感を信じるタイプとさまざま。ですがそれぞれの好きなもので溢れた空間は唯一無二な空間を作り出していき、自然と家族みんなが居心地の良い空間になっていきました。これからも各々の「好き」を追求して、家族と共有していけたら嬉しいです。どこかインダストリアルな雰囲気感じる空間全体的に「木目調×グレー」の壁に統一して、好きな雑貨や旅行した際に見つけたものなど家族の好きなものを配置していきました。全体的に色味を統一して家具などでアクセントをつけていくと、落ち着いた雰囲気の中にどこかインダストリアルな雰囲気漂う空間へとなってきたかなと思います。まだまだ目指すところはありますが、ゆっくり焦らず家族がリラックスできる空間を作り上げていきたいです。子供のおもちゃやぬいぐるみも程よいアクセントに。今しか楽しめない空間を満喫したいと思ってます。ソファ&サイドテーブルソファとサイドテーブルはヴィンテージのような雰囲気と色味を合わせました。ブラインドも木製でテイストを合わせ、全体的に山小屋のような少し重厚感ある空間に。(なってしまいました。笑)子供がいるので、ぬいぐるみやラグなどもその時の気分に合わせて配置して楽しんでます。「コンクリート調×木目調」の壁紙デザイナーズ物件で見かけるコンクリートの壁に憧れています。実際に調べてみると…夏は暑く冬は寒いという特性があるようで、快適さが失われてしまうかなと懸念を感じて諦めました。色味や雰囲気は諦め切れず、コンクリート調×木目調の壁紙で代用することに。そうすることで快適さを保つことができ、さらにコストも浮いて嬉しいことづくしではないですか。そして最新の壁紙は耐久性があったり、抗ウイルス加工や吸放湿機能があるなど、商品によって様々な機能があり優秀なんですよ。お部屋は天井を木目調にしたことで温かみが増して、自然と家族が集まるリラックス空間になりました。トグルスイッチで壁にアクセントスイッチも雰囲気作りに重要なアイテムのため、家のほとんどのスイッチはトグルスイッチで統一しました。コンクリート調の壁紙にメタリックな素材がミックスされ、メリハリが生まれてより工業的な雰囲気に。オンオフの際の「カチッ」と鳴る音も心地よく、これから家族で過ごしていく時間とともに経年感を楽しんでいきたいと思います。流木ペンダントライトカウンター上には流木を使用したペンダントランプを取り入れました。夫がインド旅行でシャンデリアの素材として販売していたガラスのアイテムをライトに麻紐で吊るしています。既製品をアレンジするのも、より自分好みになって楽しいですね。ソケット部分がなんだか勿体無い雰囲気になってしまっているので、これからカバーを設置しようと思っています。自然と家族が集まる空間に部屋には今まで旅行した際に購入したものや子供のおもちゃ、植物など家族各々の好きなものが溢れています。それぞれ異なる雰囲気のものが集まると自然と唯一無二な「我が家の顔」となり、今後の家族時間がどのようになっていくのかワクワクが止まりません。好きなものがありすぎて、定期的に整理しないと大変なことになりますが、お片付けもみんなで楽しみながら行っています。今後はもっと植物を増やして、よりリラックスできる空間を演出していきたいと計画中です。
2022年09月24日認知症を予防するためには、食生活などのほか、適度な運動や、人とのコミュニケーションが大切です。近年、あるスポーツが認知症予防や、健康の維持に効果的だとして注目を集めています。そのスポーツとは…ビリヤード。※写真はイメージプロスポーツとして競技化されている一方、バーやアミューズメント施設などでレジャーとして楽しむ人も多いビリヤードですが、認知症予防とどのようにつながるのでしょうか。ビリヤードを2時間遊ぶだけで…?一般社団法人日本コーチングプロビリヤード協会によると、同協会が開発した『ウォーキングビリヤード』は認知症予防と健康維持を同時に行うことが可能とのことです。人が1日に歩いている歩数の平均は、約6千歩といわれています。ビリヤードを2時間遊ぶと、その半分である3千歩相当の運動量を得ることができるとのこと。これだけでも、高齢化に伴うさまざまな症状の予防や改善につながる可能性があります。さらに、チームに分かれて対戦をすることで、チームメイトや対戦相手とのコミュニケーションが自然に発生。また、ボールを落とすための角度など緻密な計算をする必要があり、『手を動かしキューを振りながら、目でボールを狙う』という動作も併せて、脳のトレーニングにもよいとされています。そしてボールを落とした時に生まれる達成感は、体験してみるとすぐに実感できることでしょう。年齢や性別などに関わらず、気軽に参加ができることから『生涯スポーツ』ともいわれているビリヤード。ウォーキングと同等の運動をしながら、人とのつながりや、達成感も味わえることが分かりました。何より『楽しみながら健康になれる』という点が、素晴らしいですね。高齢者施設などにビリヤード台が常設される日も、近いかもしれません![文・構成/grape編集部]
2022年08月01日株式会社ダイナブライト(本社:東京都港区、代表取締役:廣瀬 豪輝)は認知症アドバイザー協会(JNDA)を2022年5月からリニューアルスタートしました。代表取締役:廣瀬 豪輝●認知症アドバイザーとは認知症アドバイザーは認知症及び認知症予防の正しい知識を普及し、認知症の発症を抑制、また進行を遅らせることを目的にアドバイスを行う方のための資格です。認知症アドバイザーは医療や介護に携わる人はもちろんのこと、日頃から人にアドバイスをすることが多い保険担当者や士業、トレーナーが資格取得をすることで、包括的に将来の認知症不安を払拭できると考えております。認知症アドバイザー協会HP ●開発及びリニューアルの背景認知症アドバイザーは日本の生理学者で医学博士、京都大学名誉教授の久保田 競氏により監修され誕生しました。日本における脳科学の第一人者であり瑞宝中綬章を受章した久保田教授の協力のもと誕生しました大変権威のある資格になります。2015年に誕生後、2021年に株式会社ダイナブライトが事業譲渡により取得し、全面リニューアルしました。学習テキストを改訂、またDVDの動画学習教材もオンライン化しストリーミングでいつでもどこでも学習できるよう利便性を向上させました。京都大学名誉教授:久保田 競氏●認知症社会の到来日本は現在、高齢化社会に突入し65歳以上人口は3,619万人となり総人口に占める割合は28.8%になりました。公的介護保険制度の要支援要介護の認定者はこの10年で175万人増加し、介護が必要になった主な原因の第一位が認知症です。現在、認知症患者は約602万人、すなわち65歳以上の6人に1人が認知症を発症しており、2025年には約700万人となり5人に1人になると見込まれています。なにも対策せず認知症になるとご本人の銀行預金をはじめ資産が凍結されます。その資産の合計は2030年には200兆円を超えると推計されています。国内総生産(GDP)の4割に相当する金融資産が凍結状態になれば、日本経済の重荷になると指摘されています。認知症アドバイザー協会はこの社会問題を解決する一助になることを目的としております。認知症の予防を推進することで、ご本人やご家族を経済的にも精神的にも手助けをするアドバイザーを養成していきます。テキスト(抜粋)【会社概要】会社名 : 株式会社ダイナブライト代表取締役 : 廣瀬 豪輝資本金 : 600万円所在地 : 東京都港区浜松町2-2-15 浜松町ダイヤビル2Fメールアドレス: info@jndad.jp 株式会社ダイナブライトHP 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月22日はみがき(@___1_9_9_0)さんがTwitterに投稿した、祖母とのエピソードをご紹介します。はみがきさんの祖母は、認知症を患っているそうです。そんな祖母が、白米をあまり食べなくなったと聞いた、はみがきさん。はみがきさんは祖母を想って、おいしいふりかけを持って会いに行きました。ふりかけを受け取った祖母は、とても喜んでくれたといいます。※写真はイメージその後、祖母と楽しいひと時を過ごしたはみがきさんは、帰宅するため、帰り支度を始めました。祖母は、孫に何か、お土産を持たせたかったのでしょう。「これ持って帰りんさい」と祖母が渡したのは、はみがきさんがプレゼントしたふりかけだったのです。認知症のばあちゃんが最近白米を食べないとのことでおいしいふりかけ持って行ったらめちゃくちゃ喜んでくれて帰りに「これ持って帰りんさい」ってふりかけ渡された ありがとね〜— はみがき (@___1_9_9_0) June 2, 2022 自分がプレゼントしたふりかけを渡されたはみがきさんは「ありがとね~」とひと言。祖母の優しい気持ちとして、そのまま受け取ったようです。切なくも愛のある祖母の行動に、さまざまな声が上がっています。・嬉しかったことを共有したいという気持ちがあったんだね。・スピーディな展開で笑ってしまった!・認知症になっても、孫への愛は忘れていないことにグッときた。この投稿には6万件以上の『いいね』が寄せられています。祖母と孫のやりとりに、多くの人が温かい気持ちになったようです。[文・構成/grape編集部]
2022年06月04日イギリスに住むチャーリー・ムースさんは、大好きな祖父にサプライズをすることにしました。84歳の祖父は6歳の頃から、イングランドのプレミアリーグのサッカーチーム『マンチェスター・シティ』の大ファン。その祖父と一緒に、プレミアリーグのシーズン最後の試合を見に行くことにしたのです。大好きなサッカーの試合を見た祖父は…チャーリーさんには1つ、気がかりなことがありました。祖父は認知症を患っており、病状がだんだん悪くなっていたのです。最近の祖父は、孫であるチャーリーさんの名前も忘れ始めているのだそう。彼は、車の中で自分の手を握る祖父を見て、「試合に連れて行くのは、やりすぎかもしれない」とも思い始めました。しかし、スタジアムに到着すると、祖父の表情がパッと明るくなったのです。それを見て安心したチャーリーさんは予定どおり、一緒に試合を見に行くことにしました。『マンチェスター・シティ』のユニフォームを着て、スタジアムに入った祖父。そして試合が始まると…。@charliemoose_ A memory will cherish forever #mcfc #dementia #dementiaawareness #feelgood #foryoupage #viral ♬ Chill out lofi hip hop(912904) - osuga satoshi観客の盛り上がりとともに、みるみるうちに笑顔になっていく祖父。試合の途中でファンが大合唱する歌も、しっかりと覚えていました。そして試合は、『マンチェスター・シティ』がリバプールに勝利。祖父も試合後にピッチに乗り込んで、ガッツポーズを見せました!まるで、少年のようにはしゃぐ祖父の姿は、多くの人の心を揺さぶったようです。・涙が出た。おじいさんはきみのような孫がいて幸せだね。・俺はリバプールのファンだけど、この動画を見て、初めて負けて嬉しいと思ったよ。・おじいさんはこの試合のことを、絶対に忘れないと思う。チャーリーさんが『永遠に大切な思い出』と題したこの動画には、82万件近くの『いいね』が集まっています。祖父がこの先、チャーリーさんの名前を思い出せなくなったとしても、この日の思い出は、それぞれの心に永遠に残ることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年05月30日脳にたまった“ゴミ”が引き起こすとされている認知症。ゴミの排出に欠かせないのが、脳内の液体の流れだ。じつは睡眠時に流れが強くなるという。認知症を防ぐための習慣とはーー。今もって根本的な治療薬がない認知症は、’25年には65歳以上の5人に1人がなるといわれている。とりわけ認知症の6割以上を占める「アルツハイマー型」は、異常タンパク質「アミロイドβ」の脳内への蓄積が引き金となって、神経細胞の中に「タウタンパク質」(以下、タウ)がたまり、神経細胞が死んでしまい発症することが知られている。「睡眠中は脳が少し縮むことで、脳脊髄液の流れが強くなり、タウやアミロイドβなどの脳のゴミを排出する力が高まります。睡眠時の脳のゴミの排出速度は、起きているときの2倍以上ともいわれています」こう語るのは睡眠専門医で、雨晴クリニックの坪田聡院長。脳のゴミを洗い流すためには良質な睡眠が欠かせないという。そこで、睡眠の質を高める“夜の習慣”を坪田先生に教えてもらった。■認知症予防のために夜にやるべき習慣7【1】ホットミルクを飲む「脳や臓器などの深部体温が下がっていく過程で、人は眠くなります。そのために、睡眠前に深部体温を、いったん上げる必要がある。温かい飲み物などを飲むのが効果的です。神経の興奮を抑えるカルシウムが含まれているホットミルクは特におすすめ」(坪田先生・以下同)【2】就寝前に、ぬるめ(38度)の風呂に、20分間入る「就寝1〜2時間前に、38度のぬるま湯に20分間ゆっくり入るのもいいでしょう」血流がよいと、手足などの末端の冷たい血液が全身を巡り、深部体温がスムーズに下がっていく。「血管は温めることで拡張し、血流がよくなる。ぬるま湯の入浴は血流をよくする効果も期待できます」【3】首、頭を温める「首は冷えやすく、大きな血管も通っているので、タオルを巻くなどして温めましょう。脳のゴミを排出するために、脳の血流を増やすことも忘れてはいけません。入浴後に髪はしっかり乾かすこと。ナイトキャップをかぶって寝るのも効果的です」【4】就寝前にブルーライトを浴びない入眠を助けるホルモン「メラトニン」は、スマホやタブレットなどが発するブルーライトで分泌が妨げられる。寝る1時間前にはスマホを使うのを止めよう。それでも寝つけないときはどうすればいいのだろうか。【5】百会、安眠、失眠のツボを刺激する「快眠のツボである『百会』『安眠』『失眠』を心地よい程度に押すことで、入眠効果が期待できます」【6】ラベンダー、セドロールなどの香りとともに眠る「睡眠にいざなうことが科学的に実証されているラベンダーやセドロール(シダーウッド)の香りの助けを借りてみてもいいでしょう」【7】「4・7・8呼吸法」をする「それでも眠れない人にすすめているのが、『4・7・8呼吸法』です。体がリラックスモードになり眠りにつきやすくなります」〈1〉息を完全に吐き切る。〈2〉鼻から息を吸いながら、4つ数える。〈3〉息を止めて7つ数える。〈4〉8つ数えながら息をゆっくり吐き出す。良質な睡眠が、脳の“ゴミ掃除”を促進し、認知症を防ぐ。そのための夜習慣を実践しよう。
2022年05月13日丘の上の家黒田邸が位置するのは鎌倉でも山と谷間の連なる起伏の激しい地域で、西側には谷をはさんだ向かい側の山に素晴らしい景色が広がる。滅多にお目にかかれないだろうこの景観を見渡せる敷地は丸2年、200件以上の土地を実見したうえで購入を決めたという。「平坦な住宅地はいっさい探さずに、傾斜があってダイナミックな景観が広がるような土地をずっと探しました。それと住宅地から少し離れた奥まったところで静かな場所ということにもこだわりました」(貴彦さん)。東側の少し離れた場所にまた別の山々を望み南側には小さな崖が迫るという変化のあるロケーションもポイントだったそうだ。家の裏(西)側は谷になっている。鎌倉は岩盤が1m程度下にあるため岩盤まで掘って基礎をつくろうと計画したが岩盤までの深さが想定していたほどはなかったため家全体が想定よりも高いレベルにつくられている。ギャラリーのような非日常的な空間設計を依頼したMDSの森さんと川村さんには家づくりのコンセプトをまとめた文章とともにインテリア雑誌の切り抜きからつくったスクラップブックを渡したという。このスクラップブックはよく整理されている上にそれぞれの写真にコメントが付けられていてお2人の目指す世界観がすごく伝わるものだったと森さんはいう。2階リビング側の開口は北側に隣家があるため空に向けて開けられている。床はネコがいるため掃除のしやすいタイルに。幸代さんが選んだものという。方形屋根の下の2階は無柱空間になっている。窓台をつくったのはネコのため。右の収納から移動できる。2階の隅部は吹き抜けになっているが人が立てない高さのため近寄れないうえ、家具が手すりの役目を果たしているので転落の危険はない。2階東側のキッチンを見る。幸代さんは開放感のある明るいキッチンをリクエストしたという。「大きなコンセプトとしては、ホテルかギャラリーのような非日常的な空間をつくってくださいと。とにかく家に帰って気分が上がるような空間をつくってくださいともお伝えしました。居心地が良くて、かつ、生活感の感じられない空間ですね。なので、水回りも全部1階中央の箱の中におさめてもらってベランダもつくりませんでした」(幸代さん)視線が空へと向かうように角度のつけられた開口。ソファの前に置かれたテーブルはアフリカのもの。現地の人がベッドとして使っていたものという。テーブルの下部に見える模様のようなものは人の顔の形に彫られたもの。実はこのお宅、竣工時に一度拝見しているのだが、その際に感じたのはまさしく「居心地が良くて、かつ、生活感の希薄な非日常的な空間」ということだった。そしてこの非日常感は、お2人が集めた骨とう品や美術品が置かれることでさらに増すことになった。建築家には、以前住んでいたマンションでは蒐集したものをディスプレイする空間がなかったためそれらが映えるような空間設計をお願いしたという。階段部分を見下ろす。ソファ側から見る。右の小上がりは今はベッドが置かれているが当初は貴彦さんが使うスペースとして想定されていた。階段途中から見る。蔵書が多いため本は階段部分と1階のライブラリースペースにわけて収めた。北西コーナーにつくられたライブラリー。幅が絞られたこの場所は読書に適した落ち着きのあるスペースになっている。発想を転換してそしてこの「骨とう品などが映えるギャラリー的空間」は2カ月前に本物のギャラリー空間へと模様替えされた。「2人とも美術品が好きで少しずつ古いものを集めていて、この家はそれらを自分たちで楽しもうということで建てた家でもあるんですが、一方で、わたしはギャラリーを経営したいとも思っていて店舗物件を探していたんです。でもタイミング的な問題もあって2年くらい過ぎてしまいどうしようかと思っていた時に、遊びに来る知人が皆さんこの家が“まるで美術館みたいだね”とおっしゃってくださるので“それなら下を開放してギャラリーにすればいい“と発想の転換をして、思い切って1階を予約制のギャラリーにしてみたんです」(幸代さん)。玄関を入ると風除室があるが、これは飼いネコの逃走防止のためのもの。メインのギャラリー側から見る。右が玄関。店名はラテン語で「Quadrivium Ostium」。「十字路の入り口」という意味という。「さまざまな時代のさまざまな場所から縁があって集まってきたものを、また次へと引き継いでいく場所」という思いを込めて名付けたもので、それぞれがもつ「ストーリー性を大切にしていきたい」という。古代のギリシャの壺や後漢の時代の犬を象った像から鎌倉時代の阿弥陀像など幅広い古美術品がしっくりと空間に収まっている。いわゆるギャラリー空間の敷居の高さを感じられないのは「非日常的」とはいえ元々が住空間としてつくられたからだろう。奥の左手の木床の部分がメインのギャラリースペース。このスペースを以前は寝室として使っていた。メインのギャラリースペースの壁にはジョルジュ・ルオーのリトグラフがかけられている。古代ギリシアで紀元前7世紀頃につくられた壺。寝室として使われていたようにはまったく見えない。メインのギャラリースペースに置かれた銅鏡や鎌倉彫の香合など。ユーモラスにも感じられるこの「加彩犬俑」は後漢時代のものという。2階からギャラリースペースを見下ろす。玄関正面のキャビネットには室町時代の獅子・狛犬が置かれ来客を迎える。奥のスペースは南西のコーナーにつくられたアトリエ。幸代さんの希望でつくられたこのスペースも適度な狭さでしっとりと落ち着く。ネコと共生できる家「ギャラリーのような非日常的な空間」とともに大きかったのが、「ネコと共生できる家」というテーマで、黒田邸では実は2匹いるネコのために考えられた仕掛けが随所につくられている。とはいえ、見てそれとすぐわかるネコ用につくられたステップや棚の類はいっさいない。しいていえば1階のトイレの壁に開けられたネコ用の出入り口くらい。幸代さんは「いかにもネコのためにつくりましたとわかるようなものはやめてほしい」と森さんと川村さんに伝えたという。しかしネコも住みやすい空間にしてほしいという、高度なリクエストだ。森さんたちによると家具の間の隙間はネコ用に開けたものだし、家具間の段差もネコのために考えたものという。言われてみてはじめてああそうなのかと気づくようなものばかりだが、これらがネコたちにとってはとっても快適につくられているようで、以前の家よりは明らかにのびのびと暮らしているし、「運動会タイム」になるとぴょんぴょんと家じゅうを走り回って遊び出すという。2階からアトリエ部分を見下ろす。1階は2.1mと天井高が押さえられているが吹き抜けがあるため圧迫感はない。2階からライブラリースペースを見下ろす。説明を受けないとわからないが家具のレベル差はネコのためのもの。右の収納の上にも左の棚からジャンプして移動できる。アトリエから見上げる。2階右隅にネコのために開けた隙間がある。2階の壁・天井も色を付ける希望があったが、白ならきれいに影が映るとの森さんの意見から白にすることに。浴室の壁は細かいタイルが幸代さんの希望で張られている。床は滑って危険なため現状のもので代替した。洗面所の奥にウォークインクローゼットがある。住み始めて2年半が過ぎて・・・「ネコのために家具の高さを変えて段状にしたほかにも、開口や吹き抜けの形の違いとかの2重3重にさまざまな要素が絡み合ったつくりこみ方がすごいなとじわじわと来ています。しかもそれがナチュラルに感じられているので違和感がない」と貴彦さん。「1階をギャラリーにして“自分たちが楽しむ”空間から“人様に楽しんでいただく”空間に切り替わったんですが、その変化にちゃんと耐えられるものだったというところも素晴らしいと感じています」メインのギャラリースペースから見る。左の箱にトイレが、右の箱に浴室・洗面所などが入っている。ともに入口上部がアーチ状になっている。美術展でのカラーリングを参考にして色を付けた壁は黒田夫妻がすべて自分たちで塗ったという。「最初はわからなかったんですが、わたしもこの2年半住んでようやくじわじわと感じはじめてきました」と幸代さん。「主人と同じような話になりますが、ディテールの細やかさ、繊細さをすごく感じるようになりました。2階の天井も光が入るとちょっとした角度の違いによってとてもきれいに見えるんです。そのあたりの美意識のようなものが森さんたちとわたしたちとちょうどマッチして実現できた家なんじゃないかなとも思っています。あと、ギャラリーに変えたように、いかようにも自由に変化できる可能性を秘めた空間、“じゃあ今回はこの部分を引き出そう”とか引き出しがたくさんある空間だなとも感じています」お2人が惚れ込んでいる内部から外へと目を転じると素晴らしい景色を見ることができるが、こちらでも貴彦さんは感嘆する。「家のなかにいても景色がピクチュアウインドウ的に切り取られていて、素敵な景色が家の随所で見られる。切り取り方の巧みさをとても感じています」1階のアトリエからも緑がよく見える。開口の格子はネコの網戸引っ掻き防止のためにつくられている。小上がり部分の開口からはダイナミックな景観が望める。この付近を撮ったカットが先月発売のMDS著『Life &Architecture』の表紙に使われている。黒田邸設計森清敏+川村奈津子/MDS所在地神奈川県鎌倉市構造木造規模地上2階延床面積86.31㎡
2022年01月10日「脳と足の関係は深く“足は脳を映し出す鏡”といわれるほどです。脳の衰えには気づきにくくても、足腰の衰えには気づくことができます。足腰の衰えは認知症のサインだと考えています」長年、歩幅と認知機能との関係を研究している東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員で国立環境研究所主任研究員の谷口優先生はこう話す。谷口先生の研究から、65センチを境に、歩幅の広さによって認知機能低下や認知症のリスクに大きな差が出ることが明らかになったという。歩幅とは、後ろ足のつま先から前に出した足のつま先までの距離を指す。一般的な目安として、横断歩道の白線の幅を踏まずにまたげるくらいの距離が65センチだ。「脳が健康な状態だと、問題なくこの歩幅で歩くことができるのですが、脳内に異変が生じると、この歩幅を保つことが難しくなります」(谷口先生・以下同)実際、歩幅が狭くなると、認知機能の低下リスクが、3倍以上になることがわかっている。「脳内の変性が進行し、脳の働きが障害されると、広い歩幅を維持することが困難になります。しかし、歩幅の変化に早く気づき、脳が障害される前に歩幅を改善し、生活習慣を見直すことができれば、認知機能の維持・改善が可能です」■コロナ禍が高齢者の健康に及ぼす影響は楽観できない’12年時点で、日本における認知症患者は約462万人いるとされている(内閣府報告)。なかでも約半数を占めるアルツハイマー型認知症は、加齢とともに脳にゴミがたまり、脳の神経回路が死滅して脳が萎縮する病気だ。しかし、現在のところ、治療法は確立されていない。一方、認知症の前段階にある軽度認知障害(MCI)の人は、約400万人いると推定されている。MCIは、必ず認知症に移行するわけではなく、脳の働きを正常な状態に回復させることが可能だ。ところが、コロナ禍でその状況が一変してしまったと谷口先生は危惧する。「近年、先進国における認知症有病率は減少傾向にありました。教育の充実に加えて、積極的な運動や良好な食習慣といった生活習慣の改善により、認知症の発症を抑制できていたと考えています。しかし、この約1年半、コロナによる自粛期間が続いた結果、外出の機会が極端に減ってしまいました。これが高齢者の健康状態にどのように影響しているのかは、まだ明らかになっていません。ただ、運動や食事の習慣が変化したことを考えると、楽観視はできないと感じています」
2021年10月08日このたび認知症研究の有識者らを世話人とし、認知症の早期発見や予防とその対策を啓発する『40代からの認知症リスク低減機構(代表世話人:新井 平伊 アルツクリニック東京院長・順天堂大学医学部名誉教授)』の「協賛・賛同企業」として、新たに株式会社東急不動産R&Dセンターが参画しましたので、お知らせいたします。賛同企業4社■新規賛同企業のご紹介株式会社東急不動産R&Dセンター東急不動産R&Dセンター ロゴ株式会社東急不動産R&Dセンターは、東急不動産HDグループの研究開発機関として、先端技能の研究開発や産学連携を推進。その成果をグループの企業活動等へ還元し、事業を通した社会課題の解決に取り組んでいます。2016年より、順天堂大学において寄付講座「ジェロントロジー医学健康学応用講座」を開設。以後6年間にわたって、医学・健康学の両面から高齢化社会の進展に伴うさまざまな課題に対する対応策を産学連携で検討しています。2021年度からは寄付講座の枠組みを更に拡大し、一般社団法人生涯健康社会推進機構の設立に参画。アルツハイマー病予防、ロコモティブシンドローム予防、地域支援を三つの柱にして機構活動を展開しています。アルツ予防委員会では、アルツクリニック東京や上智大学と連携し、認知機能改善・認知予防につながる活動やプログラムを検証。学会発表や論文提出などの学術的成果と併せて新規のプログラム、商品開発の検証を行っています。エクササイズ写真≪「40代からの認知症リスク低減機構」 概要≫■設立趣旨人生100年時代と言われる今、日本人にとって「いかに健康に長生きするか」は大きな課題となっています。その中で、多くの人が不安に感じている要因の1つが、認知症です。現在、認知症に関する研究は世界中で進められ、危険因子や対策法について、分かってきたことも増えてきています。アルツハイマー病は、発症の20年ほど前からアミロイド沈着が始まるため早期の診断や対策が重要であり、とくに若年性アルツハイマー病の発症リスクも考えると40代からの対策が重要です。こうした認知症についての正しい知識を得ることは、不安をやわらげ、さらに発症リスクを低減させることにもつながると考えられます。そこで私たちはこの度、「40代からの認知症リスク低減機構」という啓発団体を立ち上げ、認知症に関する正しい情報発信と、認知症リスクの低減に早期から取り組んでいただくための活動を行うことにいたしました。40代は、人生100年の折り返し地点に差しかかる頃合いであり、健康寿命を延ばしていく上で、体や心のメンテナンスを意識するのに、よいタイミングです。40代以上の方々に、認知機能の状態把握(測定チェック)と、科学的に検証されている「運動」「食」「認知的介入」などの対策を習慣化していただくことで、日本人のQOL向上や医療費負担の削減に貢献してまいります。そして今後、賛同企業・団体および賛同医療機関を募集し、取り組みの輪を広げていきます。■既存の協賛・賛同企業・森永乳業株式会社 / ビフィズス菌MCC1274森永乳業株式会社は早くからビフィズス菌に着目し、その健康効果やメカニズムについて研究を進め、商品等に応用して生活者に届けています。2017年にビフィズス菌MCC1274を見出し、2020年に軽度認知障害の疑いがある方を対象とした臨床試験において認知機能を維持するエビデンスを得ています。・株式会社ミレニア / あたまの健康チェック(R)介護事業のセントケア・グループに属する株式会社ミレニアは2006年から認知機能スケール「あたまの健康チェック(R)」を提供しています。中年期からの予防的認知機能チェックツールとして認知症予防活動に貢献しています。・株式会社ルネサンス / シナプソロジー研究所全国でスポーツクラブを運営している株式会社ルネサンスは、2011年に脳の活性化メソッド「シナプソロジー(R)」を開発しました。特に中高年から高齢者の皆さまに実践していただくことで、認知症リスクの低減につなげ、健康長寿社会の実現を目指しています。■WEBサイト: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月06日羊の目。(@odorukodomo8910)さんがTwitterに投稿した漫画に、多くの人が感動しました。病院帰りと思われる、1組の老夫婦。おばあさんは、初期の認知症と診断されたようです。認知症と診断されたら多くの人が悲しむでしょう。しかし、おばあさんは、あえて笑って明るくやり過ごそうとします。おじいさんはというと…。『老夫婦と夏の夜。』老夫婦と夏の夜。 pic.twitter.com/6HlWcWrTJt — 羊の目。@新刊発売中! (@odorukodomo8910) August 10, 2021 おばあさんの話をそらそうとするおじいさん。明るく振舞うおばあさんですが、内心は大切な人を忘れてしまうことへの不安とさびしさがあったのでしょう。たとえ忘れてしまったとしても、またおじいさんに恋をするだろうと考えるおばあさん。おじいさんも、同じくおばあさんが忘れてしまってもまたプロポーズをして一緒にいたいと考えているのでした。漫画を読んだ人たちからは「感動した」「涙が出た」と反響が上がっています。・感動しました。お互い何度でも恋をするなんて素敵。・認知症の祖父と、支える祖母の姿が重なって涙が出てきました。・涙腺崩壊。こんな夫婦になりたいです。・涙腺をぶん殴ってきた。夢があるなあ。たとえ忘れてしまうことが増えても、この老夫婦はいつまでも仲よく愛し合うのでしょうね。[文・構成/grape編集部]
2021年08月12日“人生100年時代”を迎え、多くの人が長生きできるようになったのはありがたいが、“長生きリスク”が伴うことになる。特に気をつけたいのは認知症だ。’25年には、高齢者のじつに5人に1人にあたる約700万人が認知症を発症するともいわれ、年々増える傾向にあるという。介護が必要になり、長生きするほど老後のお金はかかってくる。家族や本人が認知症を発症するとその費用はさらに大きくなり、同時に認知症にかかった人の資産が凍結するといった事態も生じることになる。こうした“認知症になったときに直面するお金のリスク”について、一度きちんと考えて、いざというときに慌てることのないようにしておきたい。■役立つ「制度」を活用する認知症になる前に親の資産を管理する方法には、成年後見制度の「任意後見」と「家族信託」、「日常生活自立支援事業」などがある。任意後見は、子どもなど信頼できる相手を元気なうちに後見人として選んでおき、認知機能が低下したときからさまざまな手続きを任せる制度。後見人の不正をチェックするため、弁護士などが監督人になる。預金の引き出し時の証明は不要になるが、後見人から監督人に定期的な報告が必要となる。さらに、監督人には月1万〜2万円程度の報酬を、親が亡くなるまで支払い続けなければならない。「ランニングコストがかかるうえ、監督人への報告する手間や、一度始めたら途中でやめられない、といった点から、任意後見はあまり普及していません。その代わり、認知症の人の財産への備えとして『家族信託』を利用する人が増えています。家族信託は、元気なうちに財産などの管理を家族に託しておく制度。利用するときには、財産の管理を託す親が『委託者』になり、家や預金の一部など信託財産を決めます。財産を預かり管理をする子どもが『受託者』、信託財産から生活費などを受け取る親が『受益者』となり、委託者と受託者の間で信託契約を交わします」そう話すのは、認知症高齢者などの問題に詳しい、司法書士・行政書士の元木翼さん。成年後見制度と違い、家庭裁判所に提出する書類はなく、相続に詳しい司法書士などが書類を作成し、公証役場で信託契約を公正証書によって交わし開始するのが一般的。毎月の費用は不要だが、契約書を作成する際に司法書士などに払う初期費用(相場は信託財産の1%ほど)が必要。このほか公正証書を作成する手数料も必要だ。「たとえば、夫に先立たれて、将来自分が認知症になるかもしれないという一人暮らしの高齢女性のケースでは、女性が委託者で受益者、子どもを受託者として設定します。認知症になってからは、生活費や医療や介護費の支払いは、子どもに信託財産から払ってもらいたいと思っています。また、ある程度認知症が進んだら、自宅を売却したお金で施設に入りたいという希望を持っていました。手続きの順序としては、(1)親が持っている資産のすべてを洗い出したうえで、使う目的を明らかにします。(2)司法書士などの専門家が、家族と話し合いながら契約書を作成します。(3)その後、金融機関で『信託口口座』を開設して、信託財産を移します。また、不動産の登記も変更します。(4)委託者と受託者が公証役場に行き、公正証書を作成、そこで家族信託が成立します」受託者である子どもが不正を行っていないかチェックするための監督人を置くケースもあるが、その場合は毎月の報酬を設定する場合が多い。「本人が亡くなったら信託財産はあらかじめ信託契約で定めた人に承継されます。子どもがいない人が自分の甥、姪に遺したいという場合は家族信託に自分の意思を反映させられます。認知症になってからどのような生活を送りたいのか、といったことも含めてご家族で話し合っておくことが大切です」信託銀行などの金融機関では、認知症になってもお金の取引ができるサービスが次々と登場している。【三菱UFJ信託銀行】〈商品名・つかえて安心〉:200万円以上預けると、認知症になった本人に代わって代理人がスマートフォンのアプリを使いお金を下ろせる。使い込みを防ぐために、事前登録をした別の家族にもアプリで知らせる。〈商品名・みらいのまもり〉:1,000万円以上預けると「有料老人ホームなどの入居一時金」「1件あたり10万円以上の医療費」についてのみ払い出しができる。現金での払い出しはできない。【みずほ信託銀行】〈商品名・認知症サポート信託〉:500万円以上預けると、認知症になったときに介護費などを、直接銀行が支払ってくれたり、立て替え分を本人の口座に振り込んでくれたりする。【三井住友信託銀行】〈商品名・安心サポート信託〉:金銭信託型を選び3,000万円以上預けると、老人ホームの入居費用などの支払いを代行してくれる。本人の生活費や孫の教育費用など、用途は柔軟に対応している。「判断能力が低下したとき、高齢者施設への費用の振り込みをするタイプもあるように、用途が限られているものもあるので、親の目的に合うのかどうか、代理人になる子どもと一緒によく相談してから契約したほうがいいでしょう」また、認知症に備える保険といえば、認知症と診断されたときに一時金がもらえるタイプと、徘徊中などでのケガなどに対して給付金が支払われるタイプがある。「認知症になったときに給付金がもらえるタイプは若い人が将来に備えるのであれば保険料が安いのですが、高齢者が加入すると高いことがあります。他人にケガをさせたり、物を壊したりして法的な賠償責任を負った場合などに補償される『個人賠償責任保険』に加入しておくと安心です」「個人賠償責任保険」はクレジットカードに付帯して、数百円程度で加入できるものもあるが、最近の自治体では、認知症高齢者が事故を起こした場合の賠償金を自治体が肩代わりする救済制度を導入している。■個人賠償責任保険を導入している主な自治体〈青森県むつ市〉:「むつ市認知症SOSネットワーク(おかえりネット)」の登録者〈福島県田村市〉:「高齢者おかえり支援事業」の登録者〈神奈川県大和市〉:「はいかい高齢者等SOSネットワーク」の登録者〈東京都中野区〉:在宅で生活している65歳以上など〈愛知県大府市〉:「おおぶ・あったか見守りネットワーク」の登録者〈愛知県刈谷市〉:「行方不明高齢者等SOSネットワーク事業」の登録者〈福岡県久留米市〉:「久留米市高齢者あんしん登録制度」の登録者で、日常生活自立度2a以上など〈佐賀県吉野ヶ里町〉:「吉野ヶ里町認知症見守り台帳事業」の登録者で、日常生活自立度2a以上など〈大分県豊後大野市〉:「豊後大野市徘徊高齢者等SOSネットワーク」の登録者で、日常生活自立度2a以上などこうした制度は全国に広がっているので、親が住む自治体の制度を確認してみよう。
2021年06月23日“人生100年時代”を迎え、多くの人が長生きできるようになったのはありがたいが、“長生きリスク”が伴うことになる。特に気をつけたいのは認知症だ。’25年には、高齢者のじつに5人に1人にあたる約700万人が認知症を発症するともいわれ、年々増える傾向にあるという。介護が必要になり、長生きするほど老後のお金はかかってくる。家族や本人が認知症を発症するとその費用はさらに大きくなり、同時に認知症にかかった人の資産が凍結するといった事態も生じることになる。こうした“認知症になったときに直面するお金のリスク”について、一度きちんと考えて、いざというときに慌てることのないようにしておきたい。■「資産の凍結」を事前に防ぐ判断能力が低下してくると、お金の管理が難しくなり、財布やキャッシュカードを紛失しては、「盗まれた」と思い込むようになったり、訪問販売で不要な商品を買ってしまったり、必要のない改修工事を受けてしまうなど、「お金のトラブル」が増えてくる。そんなお金のトラブルを防ぐために大事なのが、次の「認知症になる前にやっておくべきリスト」だ。【預貯金を引き出せなくなる】→「銀行で代理人カードをつくる」銀行窓口に通帳とキャッシュカード、届出印を持参して手続きをする。約1週間で発行してもらえる。【貸金庫を開けられなくなる】→「貸金庫の代理人登録をする」貸金庫の鍵とカードキー、届出印、身分証明書を持参する。【株式を売買できなくなる】→「株式を売却しておく」金融商品は早く売却してもらう。【自動車などが売れなくなる】→「生前贈与をしておく」年110万円未満であれば、非課税で贈与できる。相続開始前の3年以内に贈与をすると相続したときに、相続税に加算されるので注意。【土地などの売買ができなくなる】→「家族信託を利用する」家族と協議し、司法書士等に信託契約書を作成してもらい、印鑑証明とともに公証役場に持参する。【クレジットカードが使えなくなる】→「家族カードを作る」加入済みのクレジットカード会社の専用サイトから手続きができる。約1週間で発行してもらえる。【公共料金を支払えなくなる】→「日常生活自立支援事業を利用する」社会福祉協議会に相談し、支援計画書を作成してもらう。利用料は1カ月で1,000〜3,000円程度。【家族が多額の賠償を支払う】→「個人賠償責任制度に加入する」物を壊した、人に危害を与えたなどの不測の事態に備えて、保険の契約またはクレジットカードの付帯サービスとして加入する。専用サイトから手続き可能。【保険金の支払いが遅れる】→「指定代理請求人を決めておく」届出書を保険証券とともに保険会社へ郵送する。手続き後、新たな保険証券が届く。子どもが親の財産を管理して、医療や介護費を支払う人もいるだろうが、基本的には裁判所などが認めた「管理権限」を子が持っていなければ、親に代わって預金を引き出すことはできない。「認知症であることが金融機関にわかると、その名義の口座は凍結されてしまいます。たとえ子どもが親の預金通帳と届出印を持って行ったとしても、金融機関の窓口では本人以外の人が預金を引き出そうとしたとき、身分証明書や委任状の提示を求められます。さらには、本人に電話をかけて『預金を下ろすのを頼んだか』といった意思を確認するケースがあるため、認知症になったら預金は引き出せないと考えたほうがいいでしょう。子どもが親のキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞き、お金を引き出す人もいらっしゃいますが、それらの行為はしてはいけないことになっています」そうアドバイスするのは、認知症高齢者などの問題に詳しい、司法書士・行政書士の元木翼さん。「管理権限」を持つためには、子どもが成年後見制度の後見人になる、あるいは家族信託で、財産の管理を任される方法がある。「すでに認知症で判断能力が失われていると、家庭裁判所が後見人を選ぶ成年後見制度の『法定後見』一択しかありません。法定後見は、家族が認知症を発症した親の銀行口座からお金を引き出そうとすると、銀行から利用するように勧められるのが一般的です。家庭裁判所に家族が申し立てすると後見人が決まり、親の判断能力に応じて、後見・保佐・補助と種類が分かれます」(元木さん・以下同)■「生前贈与」の制度が資産を守ることも後見人の主な役割は、医療機関や介護保険サービスの契約をする身上監護と、預貯金などの管理をする財産管理の2つ。「現在の制度では、家族ではなく弁護士や司法書士などの専門家が選任されやすく、その場合毎月専門家に支払う報酬が必要になってきます。また、手続きが煩雑で、財産の管理に不自由を感じる人は多く、制度の利用は伸び悩んでいるのが実情です」そのような煩わしさを解消しようと、全国銀行協会は今年に入って認知症の人の預金の引き出しを「管理権限」を持っていない家族でも一定の場合にはできるように指針を発表した。全国の銀行がどのように実施するのか、詳細が決定するのはまだ先なので、当分は「代理人カード」で対応することも考えられる。代理人カードとは、親が認知症になる前に金融機関に行くと、本人と生計を同一にする親族が使えるキャッシュカードをもう1枚作ることができる。カードの発行手数料は金融機関によって異なるが、目安は1,000〜2,000円程度。また、親が貸金庫を持っている場合でも、代理人登録をすると、出し入れが可能になる。「財産管理が自由にならなくなるのは、預金の引き出しだけではありません。認知症であると判断されると、不動産、株、自動車などの資産も本人が亡くなるまでいっさいの売買などの処分ができなくなる可能性があります」子どもに現金を残しつつ、亡くなった後の相続税を最低限にしたいのであれば、親が元気なうちに「生前贈与」の手続きを行うのが得策だ。年間110万円までの贈与であれば、贈与税が非課税となる「暦年贈与」という制度を活用するとよいだろう。「株式などの金融商品も生前贈与できますが、親には認知症になる前に売却できるものは売却し、現金化してもらったほうがいいと思います。クレジットカードも『家族カード』を発行することで子どもが使えることになりますが、元気なうちに解約しておいてもらったほうが無難でしょう」注意したいのは、生命保険や医療保険など、被保険者が親になっている場合、親が認知症になると保険金や給付金を請求できなくなり、支払いが受けられないケースもあること。配偶者や3親等以内の親族などをあらかじめ「指定代理請求人」にしておくと、いざというときに本人の代わりに請求できるようになる。日常的な金銭管理(電気・ガスなどの公共料金の支払い、預金通帳や年金の管理など)には、市区町村の社会福祉協議会で扱う「日常生活自立支援事業」が使える。専門の研修を受けた生活支援員が、金銭管理や介護などの行政サービスを利用する際の手続き、日常的な見守りを行う。利用料は1カ月で1,000〜3,000円程度と比較的安い金額で利用できる。ただし、持ち家のリフォームや自宅を売却したお金で介護施設に入りたい、といった要望が出てくると、これらでは対応しきれなくなる。特に不動産の売却は困難になることが多いそうだ。
2021年06月23日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「80歳の母は認知症になってお金に対する執着が激しくなりました。『盗まれた』とか『だまされた』などと言って周囲はヘトヘトに。昔は、お金にはサバサバしたタイプだったのに……と困惑しています」(カッコー丸さん・54・新潟県・主婦)【A】「みなさん、新刊『認知症になった蛭子さん』を買ってください!」(蛭子能収)オレは認知症のことがよくわかりませんが、(マネージャー〈以下、マ〉「いやいや……」)お金にガツガツする本性が出てきただけですよ。お金に固執するのはいけないと思って、ずっと我慢してきたんでしょうね。この人の素の姿が見えたと思って、テキトーに聞いておけばいいですよ。オレは小さいころからお金への執着心はすごくあります。(マ「“認知症になっても稼いでいたい”という思いについても書いた新刊『認知症になった蛭子さん』という本も出しました」)あれ、そうやっけ?(マ「でも、思うように売れていないんですって」)え〜、それはマズいですね……。(マ「ただ、読んでくれた人からは『介護で悩んでいたが、心が軽くなった』『蛭子さんは認知症の希望の星だ』という声が届くなど、評判はとてもいいようですよ」)そういうのはどうでもいいですけど、売れないと印税が入ってこないし、困りますね。なんとかしてください。(マ「〈テキトーに〉はい、はい、頑張りますね」)「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月24日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【レシチン】摂取すると、脳からの命令を神経に伝えるアセチルコリンが増加。記憶力低下や物忘れの予防に効果がある。また脳の神経細胞が集中する白質の代謝を促進し、脳の神経細胞のネットワークが強化されるという。大豆、ウナギ、鶏レバー、ピーナツなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できます。サケは塩サケや切り身のサーモンなど、お好きなものを選んで調理してみてください」サケを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■認知症撃退オールスターが勢ぞろい!「サケのおにぎり」〈材料〉・塩サケ(切り身)…3切れ・ご飯…おにぎり6個分・じゃこ…60グラム・白ごま…小さじ1〈作り方〉(1)フライパンで、じゃこと白ごまを軽くいる。(2)塩サケはグリルで焼き、ほぐしておく。皮の部分はみじん切りにしておく。(3)ボウルにご飯を入れ、(1)と(2)を加えて、よく混ぜる。(4)おにぎりにして完成。じゃこと白ごまを炒めることで風味がUP。塩サケだけでは塩分が足りない場合は、適量の塩をまぶして。■小松菜のビタミン&カルシウムで脳を活性化「サケと小松菜の味噌チーズ焼き」〈材料〉・サケ(生切り身)…3切れ・小松菜…6株・エリンギ…3本・にんにく…1かけ・とろけるチーズ…3枚・A(白味噌、酒、みりん…各大さじ3)〈作り方〉(1)サケは2つに切る。(2)小松菜は4センチ大にそろえて切る。エリンギは短冊切り、にんにくはスライスにする。(3)Aを入れた耐熱皿に小松菜を敷き、エリンギをのせ、にんにくを散らす。(4)(3)の上にのせたサケにチーズを重ね、オーブントースターで10分間焼く。(5)サケに火が通り、チーズが溶けたら完成。味噌とチーズが絶妙にマッチ。オーブントースターはサケに火が通ったかを確認しながら、こまめに時間設定して。■大豆のレシチンが脳の神経細胞を強化「サケと大豆のトマト煮」〈材料〉・サケ(切り身)…300グラム・大豆(水煮)…1袋・玉ねぎ…1個・にんにく…1かけ・パセリ…1本・水煮トマト…1缶・油…適量・A(砂糖…大さじ1、コンソメ顆粒…小さじ1、ケチャップ…大さじ2)・オリーブオイル…適量・小麦粉…大さじ3・塩、こしょう…各少々〈作り方〉(1)一口大に切ったサケに軽く塩をふり、小麦粉をはたいて、油を熱したフライパンで両面を焼く。(2)玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。(3)鍋にオリーブオイルを熱し、(2)を入れてしんなりしたら、トマト缶とAを入れ、軽く煮詰める。(4)(3)に(1)と大豆を加え、塩、こしょうで味を調え、ひと煮立ちさせる。(5)(4)を器に盛り、葉の部分だけみじん切りにしたパセリを散らして完成。脳の栄養素といわれるレシチンが豊富な大豆やサケと相性抜群のトマトを使い、おしゃれなイタリアンに。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の2つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、タコは入手しやすいボイルした足でもOK」タコを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■チーズのカルシウムが脳の伝達能力UP「タコのカナッペ」〈材料〉・タコ(ボイル)…150グラム・クリームチーズ…150グラム・クラッカー…15枚・わさび、白ごま…各少々〈作り方〉(1)タコは一口大にスライスしておく。(2)15枚のクラッカーにクリームチーズ(1枚につき10グラム程度)を塗る。(3)(2)にタコをのせ、お好みでわさびと白ごまを散らして完成。クリームチーズのカルシウムが脳の伝達経路を活性化。わさびが苦手な人はのせなくてもおいしくいただけます。■きくらげでプラズマローゲンの効果を増強「タコときくらげの春雨ピリ辛サラダ」〈材料〉・タコ(ボイル)…90グラム・きくらげ…6枚・春雨…60グラム・きゅうり…1本・A(砂糖、しょうゆ、酢…各大さじ1、ごま油…大さじ1/2、ラー油…適量)〈作り方〉(1)きくらげは水で戻し、沸騰したお湯で30秒ゆでてから千切りにする。(2)春雨は沸騰したお湯で5分間ゆでて、水気を切っておく。(3)タコはぶつ切り、きゅうりはタテ半分に切りスライスする。(4)サラダボウルに(1)(2)(3)を入れ、よく混ぜたAをかけて完成。きくらげに含まれるビタミンDがタコのプラズマローゲンをさらに補強。ラー油の量で好みの辛さに調節して。■えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸をチャージ「タコとオイルサーディンのくるみあえ」〈材料〉・タコ(刺身用)…150グラム・オイルサーディン…1缶・セロリ…1本・くるみ(ロースト)…30グラム・A(えごまオイル…100ミリリットル、ワインビネガー…大さじ4、塩、こしょう…各少々)〈作り方〉(1)タコはぶつ切り、セロリはスジを除きスライス、くるみは粗みじん切りにする。(2)Aをすべて合わせ、くるみを入れて、よく混ぜる。(3)タコとセロリ、油を切ったオイルサーディンを皿に盛りつけ、(2)であえて完成。えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸を重点的に補給。タコはボイルしたものを使ってもOK。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【ヨウ素】認知機能が低下する原因の一つである、甲状腺ホルモンの異常を抑えるとされる。おもに海藻類に含まれるため、献立に一品は海藻類を加えるとよいとされている。代表的なものとして、のり、ワカメ、ヒジキ、メカブなどが挙げられる。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、ホタテは新鮮な刺身用がおすすめ」ホタテを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■ビタミンDの王様・しらすとのW効果「ホタテしらす丼」〈材料〉・ご飯…3杯分・ホタテ(刺身用)…6個・釜揚げしらす…100グラム・青しそ…6枚・卵黄…3個分・しょうゆ…適量〈作り方〉(1)ホタテは2〜3個にぶつ切りにする。(2)器に盛ったご飯の上に、青しそ、しらす、ホタテの順で盛りつける。(3)卵黄を中央にのせて完成。卵黄のビタミンB群と、青しそに含まれる血管の老化を防ぐβカロテンが合わせて取れるスペシャル丼。■ビタミンB、C、Eを漏れなくカバー「ホタテのマリネ」〈材料〉・ホタテ(刺身用)…9個・アサリ…9個・パプリカ黄色、赤色、玉ねぎ、レモン…各1/2個・クレソン…4〜5本・酒…大さじ2・A(オリーブオイル、ワインビネガー…各大さじ4、塩…少々)〈作り方〉(1)ホタテを2〜3枚にスライスする。(2)レモンはくし切り、玉ねぎ、パプリカは薄切りにしておく。(3)砂抜きしたアサリを小鍋で酒蒸しにし、汁とともに冷ましておく。(4)(3)から汁を取り出しAと混ぜる。(5)(1)(2)と(3)のアサリ、クレソンをざっくりあえ、(4)をかけてさらにあえてから、冷蔵庫で30分ほど冷やして完成。アサリだけでなく、ハマグリやムール貝などを加えると、よりうま味が濃厚になり、認知症予防にも効果的。■ヨウ素たっぷりのヒジキを薄味で堪能「ホタテとヒジキの煮物」〈材料〉・ベビーホタテ(ボイル)…12個・乾燥ヒジキ…20グラム・にんじん…1/3本・こんにゃく…1/2枚・だし汁…300ミリリットル・A(しょうゆ…大さじ2、砂糖…大さじ1、酒…大さじ1、みりん…大さじ2)・油…適量〈作り方〉(1)乾燥ヒジキを水で戻しておく。(2)にんじん、こんにゃくは細めの短冊切りにする。(3)鍋に油を中火で熱し、にんじん、ヒジキ、こんにゃくの順で入れて炒める。(4)にんじんがしんなりしたら、ホタテとだし汁、Aを加える。(5)弱火で、汁けがなくなるまで炒め煮して完成。認知症の要因とされる甲状腺ホルモンの分泌低下を正常に保つ、ヨウ素を含むヒジキがたっぷり取れる。味付けは薄めで。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日「父の日記には『電車を乗り間違えた』『講演の途中で話すことがわからなくなった』といった記述がだんだんと増えていきました。認知症の専門医である自分が、認知症かもしれない……という恐怖や心配は、父の心にあったと思います」そう語るのは、認知症専門医の長谷川和夫さん(92)を父に持つ、南高まりさん(59)。長谷川さんは、聖マリアンナ医科大学名誉教授で、認知症研究の第一人者。当たり前のように使われていた「痴呆症」という呼称を改めることに尽力し、認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発した人物だ。そんな長谷川さんが『僕も認知症なんです』と明かし、世間を驚かせたのは’17年10月のこと。以後も長谷川さんは、進行していく症状を受け入れながら、認知症にまつわるさまざまな情報を発信し続けている。長谷川さんの活動をサポートしている長女のまりさんは、“父の記憶に残せるように”と、『父と娘の認知症日記』(中央法規出版)を今年1月に出版。長谷川さんの日記や写真を基に、60年の歩みをまりさんの視点で綴っている。「父は国際会議や学会のために、世界中を飛び回っていました。そんな多忙な中、歯医者さんに連れていってくれるのは父の役割で、帰りに一緒に飲んだホットココアの味は今でも忘れられません」そんな優しい父の“異変”に家族が気づいたのは、’15年ごろ。「私は当時、精神保健福祉士の資格を取るために学校に通っていたんですが、それを父に話したら、すごく喜んでくれて。でも、学校の先生に『娘が通っていますからよろしくお願いします!』と電話までかけてしまったんです。よく認知症の人は感情を抑えられなくなると言いますが、父の場合も怒りっぽくなったり、反対に大げさに喜んだりすることがありましたね」講演に招かれると、長谷川さんはひとりで出かけていたが、冒頭のような“症状”を思わせる言葉が日記には増えていく。これからも元気でやっていけるのだろうか……そんな不安が的中したのは、’17年6月だった。「講演に向かう途中だった父は道に迷い転倒し、右肘を粉砕骨折してしまったんです。それでも会場に向かい、骨折していることを周囲に気づかれることなく講演をやり遂げたそうですが、私は“なぜ肝心なときに付き添っていなかったんだろう”と非常にショックを受けました」そんな大ケガを負ってもなお、まりさんが長谷川さんの活動をサポートし続けたのは、「自分が話すことで人様の役に立てることがあるはず」という強い思いが、長谷川さんにあったからだ。もし家族が、自分が、認知症になってしまったら……そんな不安を抱える人は多い。「父は認知症になる以前から、近所の『カムイ』という珈琲店に行くのが楽しみで、私もよく一緒に行きました。店主は父のことをよく理解してくださっているので、ひとりでも安心してくつろげる場所だそうなんです。そして40年以上父が通ってきた理髪店の『トリム』さんは、父がひとりで行けなくなると送迎までしてくださって。認知症になってから『支えてください』とお願いするよりも、当たり前の生活ができているころからつながりをつくっておくということが大事なんだと思います」最後に、長谷川さん自身が、こんなメッセージを寄せてくれた。「少し前まで、社会は認知症の人に対して“そっちにいればいい。僕たちはこちらで生活するから”というような囲いをつくってしまっていました。現代は、その囲いをとっぱらわないといけない時代といえるでしょう。でも、支えがあるうちは安心して生きていける。一対一で対等な関係で話ができるときは、いつでもうれしいし、楽しいんですよ」今ある絆を大切にすることで、未来への不安を振り払えるかもしれない。「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月29日