ずっと言葉が出なかった長男。少しずつ単語が出始めた!長男は重度の自閉症で、5歳を過ぎても言葉がなかなか出てきませんでした。焦燥感にかられて主治医の先生に相談したりもしました。Upload By シュウママ「シュウくん、今は言葉を頭の中に溜め込んでいる最中なんですよ。沢山話しかけてあげて下さい。言葉の理解が深まれば話せるようになりますよ」考えてみれば「お着替えしようね」というと自分で服を着ようとしたり、「いただきます、だよ」と言うと手を合わせたり、言葉は出ないものの、こちらの言葉を理解できてるなという場面が少しずつ見られるようになっています。そのうちきっと、喋るようになる…気持ちを切り替え、ゆったり見守るようにしました。すると7歳を過ぎたころから少しずつ単語が出るようになってきました。オウム返しや、私が指差したものを答えるだけで、まだまだ言葉でコミュニケーションできる訳ではありません。でもそれだけで十分です。やっと単語が出た長男の成長が、たまらなく嬉しかったのです。深夜に突然泣き始めた長男。起こされた私が声をかけると…深夜2時、家族全員ぐっすり眠っていた時のことです。突然耳元で叫び声がしました。何事かと思い跳ね起きます。Upload By シュウママすると布団の上で長男が足を投げ出し真っ赤な顔をして泣いていました。それはそれは大きな声です。とてつもない音量で、長男は「あ~!」と泣き叫んでいました。Upload By シュウママ赤ちゃんの頃は夜泣きがひどかったのですが、こんな風になることはここ最近ではありませんでした。とりあえず落ち着かせようと背中をさすってやりますが、長男は泣き止むどころか、どんどん音量を上げていきます。あまりの騒ぎに夫も起きてきます。初めて自分の欲求を口にした長男「どうしたの?なぜ泣いてるの?」いつも通り、答えはないだろうと思いながら、私は話しかけなさいと先生から教わった通り、つとめて冷静に長男に聞いてみました。Upload By シュウママすると、怒ったような顔をして私の顔を見つめた長男は、大声で叫びました。Upload By シュウママ思わず、私と夫は顔を見合わせました。「今、お茶って言った?」「うん、言った!」Upload By シュウママあまりの感激で、私と夫はお茶を持ってくることも忘れてしまいました。その様子を見た長男は再び「おちゃ~!」と苛立ったように大声で連呼しました。「ああ、そうかお茶、お茶ね!」と慌てて冷蔵庫からお茶を取ってくると、長男はやっと来たか!という顔をしてごくごく喉をならしながらお茶を飲みました。自分の言葉が伝わったのが嬉しかったのか、長男はどこか得意げな様子です。自閉症の子どもにとっては、言葉を話す=コミュニケーションとは限らないたかがお茶と言ったくらいで・・そう思われる方も多いでしょう。でもなぜ私と夫がこんなに感激したのかというと、それは長男が自分の欲しいものを初めて伝えた瞬間だったからです。「これは何」と聞かれて、お茶と答えることはできたでしょう。けれど喉が渇いたからお茶が欲しい、と人に伝えることは長男にとって簡単なことではありませんでした。長男に限らず自閉症の子どもは、自分の感情を明確な言葉に乗せて伝えることは非常に難しく、彼らにとって意志を言葉で伝えることは、大きな課題なのかもしれません。Upload By シュウママ長男の気持ちが言葉につながった、深夜の「お茶!」連呼事件言葉でコミュニケーションを取れないということは親はもちろん、本人にとっても辛いことです。どこか痛いのか眠たいのか、おなかが空いたのか、喉が渇いたのか、感情を推し量りつつ接するのは双方にとって大変なことです。言いたいことがうまく伝えられない、長男はずっともどかしさを抱えていたのかもしれません。けれど今、その壁をひとつ越えて長男と通じあえたのは、私達夫婦にとってとても幸せな瞬間でした。Upload By シュウママ
2017年05月31日RDI(対人関係発達指導法)とは出典 : 「RDI(対人関係発達指導法)」とは、英語のRelationship Development Interventionの略で、自閉症児の社会的活動をサポートするための療育方法です。RDIの目的は、家族へのコンサルティングを通して、子どもが非言語コミュニケーションを活用した対人関係を構築することのサポートをすることです。非言語コミュニケーションとは態度や表情など、言葉以外を使ったコミュニケーションのことを言います。RDIは1996年、アメリカの臨床心理学博士スティーブン・E・ガットステインが自閉症スペクトラム障害の療育方法として提唱しました。それまでの自閉症スペクトラムの療育方法では治療対象になっていなかった、社会性に焦点を当てた療育方法です。さらに、RDIの特徴として以下の2点が挙げられます。・困難を抱える子どもだけではなく、その家族を療育の対象としていること・療育にインターネット上のラーニングシステムや、ビデオ通話を使ったりすることRDIのラーニングシステムは、アメリカ・ヒューストンにある「RDI Connections center」というRDIの公式機関が定めているものであり、自閉症ではない子どもとその家族の行動をモデルにしています。支援を受ける家族はRDI認定のコンサルタントのガイドに従って、段階的に実践を進めていきます。「RDI認定コンサルタント」とは、アメリカにあるConnections Centerで公式認定をされたコンサルタントのことを言います。公式認定を受けるためには、Connections Centerで研修を受けた後、スーパーバイズを受けながらの臨床試験を1~1.5年ほど行いながら実力をつける必要があります。研修から臨床までがすべて英語で行われること、アメリカでしか受けられないこともあり、日本にはRDI認定コンサルタントは2017年現在で7人しかいません。 Connections CenterRDIの対象となるのはどんな人たち?出典 : はもともと自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害のある人々の対人関係上の困難を解決するために開発されたプログラムですが、最近はADHDや学習障害など、様々な要因から対人関係に困難を抱えている人々にも実践されています。「自閉症ではない子どもの行動を模倣しながら成功体験を積んでいく」という方法は、脳の発達分野や発達度の影響を受けにくいため、年齢や診断名に関係なく効果的な療育方法だと言われています。RDIの具体的な療育方法出典 : という療育方法の基本的な考え方は、「子どもがコミュニケーションをとることが楽しいと思えるような関係性の築き方を、親に考えてもらう」という内容です。親子間の非言語コミュニケーションの量と質を上げるために、自閉症ではない親子をモデルにした行動モデルの模倣をします。この行動モデルは6段階に分けられており、レベルごとに目標となる行動が決められています。例えばレベル2では、ボールを投げ合うといった、簡単な順番のあるゲームをします。ゲームをしている間、家族はガイドされた通りの表情や態度で子どもに接します。子どもは家族の態度に影響されて、物事の順番を予想することや、パートナーと協調するために自分の行動を調整することを学ぶのです。こうして家族のガイドに沿った関わりに触れながら、自らも非言語コミュニケーションを使う経験を重ねることで、子どもたちはより高いレベルの行動目標をこなせるようになっていくのです。具体的な療育の流れは以下の通りです。1. 親がRDI認定コンサルタントとのデモンストレーションやインターネット上の学習システムを通して「子どもにどう接すればいいか」を勉強する。2. 親子は別の部屋に移動して、コンサルタントから指示された簡単な遊びを始める。その間、後に自分たちの行動を客観的に評価できるようにビデオ撮影を行う。コンサルタントは遠隔でその様子を観察している。3. 録画したビデオを見ながら行動評価をして、課題特定を行う。4. コンサルタントと一緒に親子の間での非言語コミュニケーションが十分であったかを評価し、課題となる行動領域を決める。RDIがもたらす効果とは...?出典 : で期待されている効果として、「子どもたちが人と経験を共有することに喜びを感じられるようになる」ことが挙げられます。具体的な行動に起こる変化としては以下の3点が挙げられます。・非言語コミュニケーションを使った柔軟な対応ができるようになる・自分と他者の個性を認め、尊重できるようになる・人間関係を継続させるために、自分から行動を起こせるようになる例えば、「人に話しかけたいときに、どのような表情で、どのようにアイコンタクトをとるのか」「みんなで遊ぶ時はどのように順番を守るのか」など、子どもたちが社会で生きていくために必要なスキルを学んでいきます。このように、対人関係に関する成功体験をつんでいくことによって、子どもたちの中に「人と関わることって楽しい!」という気持ちが芽生えてきます。その気持ちを育てることで、コミュニケーションを単に「必要なモノ・情報を手に入れるための手段」ではなく、「自分の人生をより豊かにするための手段」として捉えられるようになっていくのです。RDIが注目されている理由の一つに、その効果の高さが挙げられます。RDI公式サイトから見ることのできる資料によると、RDI指導を1年半受けた自閉症スペクトラムの子どもたちは、「ADOS(自閉症診断観察尺度)」という尺度を用いた測定で、15人中13人が自閉症の症状が軽減したと診断され、その中でも11人は自閉症の域から外れたという研究結果もあるそうです。® Introductory Workshop Going to the Heart of Autism with Relationship Development InterventionABA、TEACCHなど...他の療育方法とのちがいは?出典 : 発達障害療育には様々な方法が存在しています。現在主流となっている支援法としては、応用行動分析(ABA)とTEACCHなどが挙げられます。この章では、その2つの支援法とRDIとの違いについて説明します。◆応用行動分析(ABA)応用行動分析学、通称「ABA」(Applied Behavior Analysis)とは、発達障害児を対象とした療育の理論と実践の体系です。人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、実社会の諸問題の解決に応用していくという考え方がベースになっています。◆TEACCHTEACCHとは、ASD(自閉症スペクトラム障害)の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムのことで、ASDの人々の自立とQOL向上を目指す包括的な「支援の枠組み」を指します。「構造化された環境で認知発達を促す訓練をする」という考え方がベースになっています。ABA、RDIは実践の体系を表すのに対して、TEACCHは支援の枠組みを指す言葉なので、役割の面では一概に比較することはできません。ABAとRDIの違いは、支援対象と教える内容にあります。まず、ABAは子どもに対して、社会生活の行動における正解を与える方法のこと。一方RDIは、家族に対してコミュニケーションの取り方をガイドする方法のことです。ABAは本人と環境にある問題を分析・指導し、RDIは「どういったかかわり方をすれば、本人がコミュニケーションに対する意欲を引き出せるか」を親に対して指導します。どれか一つの正解をだすのでなく、症状や段階に応じて組み合わせることでより個別最適化された療育が可能になるといわれています。自閉症児のためのTEACCHハンドブックRDIを受けられる場所、必要な費用や期間は?出典 : 日本にいるコンサルタントは、Connections Centerのホームページから探すことができます。RDIに関する本も出ていますが、毎年アップデートされているシステムであるため、個人で学ぶよりも専門家と協力して行うことが推奨されています。RDIにかかる費用はコンサルタントによって変わりますが、大体1時間のコンサルティングで1万円ほどが相場です。RDIは他の療育方法と比べ効果が見えづらい療育方法で、2週間に1回程度のコンサルティングを行いながら、約1~2年で効果が見えてきます。療育にかかる費用や期間は、担当するコンサルタントによって変わることが現状です。療育を受けようと思っている家族は、複数のコンサルタントを比較検討してみてもよいでしょう。 Connections Centerより、日本におけるコンサルタント一覧ページまとめ出典 : とは、対人関係において困難を持つ子どもの、生活の質を向上させることを目的とした家族向けの療育プログラムです。RDI認定コンサルタントと協力して、子どもが価値を感じられるようなコミュニケーションの取り方を学んでいきます。RDIは自発的にコミュニケーション上の最適解を見つけていく過程を大事にしているため効果が出るには1~2年ほどの時間がかかりますが、診断名や年齢に関係なく療育を受けることができます。まだ日本ではあまり浸透していない療育方法ですが、子どもが社会活動に一歩踏み出すための身近な環境作りのために、家族同士の関わり方を見直す良いきっかけとなるのではないでしょうか。取材協力:白木孝二RDI®Program Certified Consultant認定臨床心理士
2017年05月25日言葉が遅い息子…まずは自治体の「ことばの教室」に通わせようかしら?3歳になっても言葉の発達が遅い長男。もしかしたら長男にはなにかあるのかもしれないと思い始めていた頃の話です。ただ悩むよりも、この子のために何が出来るのかを考えたほうがいいのかもしれない。そんな時に知ったのが、市などで行われている「ことばの教室」の存在でした。Upload By ぽんぽん専門家の方とお話しながら言葉を促してあげれば、きっと周りに追いつく。大丈夫。やってみよう!もうすぐ3歳児健診の日。そこで具体的に相談してみよう、そう思っていました。3歳児健診で、心理士の先生のアドバイスは意外なものでした思っていた通り健診で引っかかり、心理士との面談に移りました。健診で引っかかること自体は想定内で、特になんとも思いませんでした。「心理士からことばの教室を紹介してもらおう」と思っていたのです。ところが、心理士に言われたのは意外な一言。Upload By ぽんぽん「療育へ」ということばにショックを受ける問題は言葉ではなくコミュニケーション…健診で引っかかることも、言葉の遅れを指摘されることも覚悟していたはずなのに。ショックでした。Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽん長男の場合、私と離れてコミュニケーションを取ることの大切さを学んだ方がいいとの事でした。この時点で私は「ことばの教室を飛ばして、いきなり療育を勧められた」という印象だったので、すぐにはその事実を受け止められずにいました。実験室のような冷たいイメージだった"療育"。療育…と言われてもどんなことをするのか分からず「なにかの訓練を専門家と一緒に黙々とやるのかな…」というイメージがあるだけでした。Upload By ぽんぽん療育…長男に本当に必要なんだろうか…。行かないといけないんだろうか…。そんなことを思いながら、療育先を探し見学の申し込みをしました。しかし実際は…Upload By ぽんぽん不安を感じながらも覗いてみた療育の教室。私のイメージは、いい意味で裏切られました。子ども2人につき先生が1人つくというだけで、やっていること(朝の会から体操、遊びの時間、工作、音楽、運動など)は、普通の幼稚園や保育園とほとんど変わりありません。“実験室”だなんてもってのほか。明るく賑やかな雰囲気の療育、これなら長男も楽しめそう!Upload By ぽんぽんこうして私は長男を療育へ行かせることにしました。療育に通って8カ月。長男は毎回楽しそうに出発し、帰るのを惜しんで帰ってきています。言葉も増え、落ち着き、偏食も少しずつ改善されてきたのは、療育に通ったおかげだと思います。
2017年05月20日自閉症の長男が通う療育。はじめは親子通園日は次男も一緒だったのに自閉症の長男は、3歳3ヶ月を過ぎたころ療育施設に通い始めました。その施設は、基本は長男1人で通園するのですが、週に2回ほど親子で通園する日があります。親子通園日には、私と長男が一緒にバスに乗り、療育施設で3時まで過ごし、バスで帰ってくるという日課になっていました。幼かった双子の次男も、その日は一緒に療育施設に連れて行くことになります。「お兄ちゃんの園は、お友達と上手に遊べなかったり、ごはんが一人で食べられなかったりする子ども達に、先生がやり方を教えてくれるところなんだよ。ママも先生に教えてもらうんだ。だからお兄ちゃんと一緒に行くんだよ」そう説明しておきました。すると次男はこっくり頷き、嬉しそうについてきました。Upload By シュウママ療育施設では、長男と同じクラスで特別に椅子をかしてもらい、手遊びしたり歌をうたったり……先生方も次男に細やかに気を遣ってくださいました。Upload By シュウママ私や長男、そして子ども達の輪に入れてもらい、幼稚園入園までの1年ほど、次男はそこで楽しい時間を過ごしたのです。幼稚園に通い始めた次男。長男と私が療育に行こうとすると…次の年、長男はそれまでどおり私と一緒に療育施設へ、次男は幼稚園に通い始めました。急に環境が変わったことで次男も戸惑いはあったでしょうが、初めは楽しそうに、今日遊んだお友達の名前を教えてくれたりしました。けれどある朝、私が台所でサンドイッチを作っていた時です。「わあ、サンドイッチいっぱいあるね。それ朝ごはん?」と次男が聞きます。「うん。でも半分はママのお昼ごはんだよ。今日はママ、シュウちゃんと一緒に行くからね。」そう答えると次男の顔が曇りました。Upload By シュウママ泣き出しそうな次男の顔を見て、私も胸が痛みました。「ごめんね。ママはシュウちゃんと行かなきゃいけないんだ。帰ってきたら一緒に遊ぼうね」それからというもの、長男との親子通園日になると次男は元気がなくなり、靴ひとつ履くにも時間がかかるようになりました。少しずつ次男のストレスが溜まっていくのが分かります。「ママはシュウちゃんと僕、どっちが好き?」そんな質問も投げかけてきます。どちらも好きと言う言葉は次男は望んでいないでしょう。だから私は笑顔で伝えました。「君が一番大好きだよ」すると次男はほっとしたような顔をして靴をはき、カバンを背負いました。必死で気持ちに折り合いをつけているのを感じ、見ていて辛くなったことを覚えています。「ママはやっぱりシュウちゃんの方がかわいいんだ!」次男の感情がついに爆発そうして夏休みが過ぎ、最初の登園日がやってきました。「今日はママ、お兄ちゃんの園に行くから延長保育だよ」そう言ったときです。次男は顔色を変え通園カバンを投げました。Upload By シュウママ「幼稚園に行きたくない!」真っ赤な顔で大粒の涙をこぼしながら叫びます。Upload By シュウママと言い、小さな体を震わせていました。どうしてママはシュウちゃんについていくの、僕はひとりで幼稚園に行くのに……そんな思いが抑えきれなくなったのでしょう。「シュウも普段1人でバスで通っているよ。ママが行くのは1週間に2回だけだよ」どんな言葉をかけても次男は聞こうとしませんでした。お兄ちゃんが通う園は病気の子どもたちが行くところだから、ママがつきっきりでも仕方ないんだ――頭では分かっていたと思います。けれど幼いゆえ、自分だけが一人で幼稚園に通うことを、不公平だと感じるのは無理からぬことだったかもしれません。「ママはやっぱりシュウちゃんの方がかわいいんだ!」そんな風に感じ、我慢が限界を超え爆発してしまったのでしょう。Upload By シュウママそれに加えて次男は、療育に3人で通っていた日々がとても居心地のよい記憶として残っていたのだと思います。療育のクラスの子どもたちは、まだ発する言葉も少なく穏やかです。けれど幼稚園の男の子たちは戦いごっこをし、動きも活発です。ふたつの環境を見ていた次男は自分が幼稚園の子どもたちとどう接していけばいいのか、戸惑いを覚えていたのかもしれません。きょうだい児だからこそ「君が一番」の時間をつくる次男の気持ちは分かっていたつもりですが、私自身どうすることもできません。ただ幼い子どもには、きちんと言葉にしないと愛情は伝わらないんだ、ということは実感しました。だから次男に言葉をかけるときには「必ず君が一番」と言い続けることにしよう……。そして楽しみを用意して、しゃくりあげる次男の頭をなでてやるしかすべがありませんでした。「必ず週末は一緒にお出かけするよ。大好きなドーナツ一緒に食べようね」そうすると次男は重い腰をあげ、覚悟を決めてカバンを背負いました。Upload By シュウママ幼稚園へ向かう小さな背中を見送りながら私も切なくなり「がんばれ!」と強く念じていたのを覚えています。
2017年04月27日4月の放送から新マペット「ジュリア」が登場!Upload By 発達ナビニュースアメリカの子ども向け教育番組「セサミストリート」で、今春4月の放送から自閉症のあるマペットが登場することが発表されました。自閉症のある4歳児の女の子で、名前はジュリアという設定。2015年から、NPO法人セサミワークショップによる自閉症啓発サイト「Sesame Street and Autism see amazing in all children.」の中心キャラクターとして活躍していましたが、テレビ放送への登場は初めてのこととなります。第一話のエピソードは、ビッグバードがジュリアに握手のあいさつを求めようとするところから始まります。ビッグバードのあいさつにジュリアは反応を示しません。動揺するビッグバードに対してエルモは、「ビッグバードを嫌っているのではなく、ジュリアにはジュリアなりのコミュニケーションのとり方がある」ということを伝えます。このように、他のマペットたちともさまざまなやり取りを通じて「お互いに対して理解すること」を学んでいくようです。 Street and Autism see amazing in all children.本放送でセサミストリートが伝えたいメッセージは「インクルージョン」ジュリア登場企画は、自閉症児のいる家族からの番組への要望がきっかけだったそうです。アメリカ疾病予防管理センターの調査によると、学校に通う子ども68人に1人に自閉症の症状があるという統計がでており、自閉症児との関わりは多くの子どもたちにとってより身近になってきています。そこで番組制作を行っているセサミ・ワークショップ(Sesame Workshop)は、子どもたちへの自閉症への理解促進を目的として、専門家と5年以上の協議をかさねジュリアを作り上げてきました。ジュリアをつくった番組の作家クリスティーナ・フェラーロ氏によると、今回の放送で伝えたいことは「インクルージョン」。他のお友達との違いを受け入れ共生していくというのはどういうことなのかを、人形劇によって楽しく表現していくようです。セサミストリートは放送当時から画期的な幼児教育番組だったUpload By 発達ナビニュースセサミストリートは1969年からアメリカをはじめ150カ国以上で放送されてきた長寿教育番組です。就学前児童に向けて構成されており、数字やアルファベットの学習や、様々な背景をもったキャラクターを登場させることによる情操教育など、多様な価値観や知識を楽しみながら学べるように細部まで工夫がほどこされています。当時のアメリカでは子どもたちの教育をテレビ番組で行うというのは画期的な取り組みでした。放送開始からテレビ評論家から称賛され、これまでにエミー賞を164個受賞するなど名実ともに業界から愛されてきました。また、セサミストリートが他番組と一線を画す特徴は、社会問題を取り上げ続けていることです。今回、自閉症を取り上げたようにこれまでも世界各国のあらゆる事柄をテーマにしてきました。たとえばアメリカ版では、2012年に「両親の離婚」をテーマとした特設ページを開設し、親が離婚した経験を持つ子どもたちの支援を行いました。一方、アフリカ版ではマラリアやHIV(エイズ)など、病気の知識を子どもたちの早期教育のためにわかりやすく伝えることに注力しました。このように「子どもたちが生きていくために必要な教育」を常に考え、各国の事情にあわせて番組制作が行われてきたのです。時代の変化にあわせて、子どもたちのための番組作りを心掛けてきたところが初放送から46年以上たった今も世界中から愛され続けている理由なのかもしれません。セサミの歴史 Children, Big Challenges: Divorce(小さな子どもたちの、大きな挑戦:離婚)日本での視聴は?現在、日本でのテレビ放送は行っていないようです。その代わり、セサミストリート公式Youtubeチャンネルがあるのでそちらでマペットたちを見ることができるようになっています。インターナショナル版のチャンネルでは、ジュリアとその他マペットたちの歌やショートストーリーなどがアップされているのでぜひチェックしてみてくださいね。セサミストリート オフィシャルホームページ日本版セサミチャンネルインターナショナル版セサミチャンネル
2017年04月23日4月1日の自閉症啓発デーに合わせ、Appleがワークショップを企画Upload By 発達ナビニュースAppleでは、4月2日の世界自閉症啓発デーをきっかけとして、自閉症啓発のさまざまなイベントを世界各地で行っています。Apple表参道でも、自閉症の方などへの”アクセシビリティ”をテーマにしたワークショップが行われました。アクセシビリティとは、年齢や身体障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できることをいいます。最近は学校の学習でも使われることがあるiPadですが、実は発達障害の各特性に合わせたさまざまなアクセシビリティの機能が搭載されているのです。Appleはテクノロジーについてこう掲げています。「テクノロジーはすべての人が使いやすいものであるべきだと、私たちは信じています。」多くのApple製品にアクセシビリティに配慮した機能が付いているのは、こうした考えによるものなのでしょう。今回の記事では、このアクセシビリティにフォーカスを当てた、Apple表参道でのワークショップの様子をお伝えします!障害のある方にも使いやすい!今日から使えるアクセシビリティ機能をご紹介Upload By 発達ナビニュース今回のワークショップには小学校や特別支援学級の先生などの3名が参加されました。Appleのワークショップでは、参加者に合わせて内容やテーマを柔軟に変えているとのことで、今回はiPadやiPhoneの学習支援の機能についてフォーカスした内容になっていました。紹介されていた機能の一部をここでも紹介します!Upload By 発達ナビニュース「アクセスガイド」とは、特定のアプリを集中して使用したり、学習したりするのを助ける機能です。指定したアプリから別のアプリへの移動できなくしたり、画面上の指定した範囲のタップを無効にしたりすることができます。また、アプリの利用時間制限を行うことも可能です。たとえば、誤操作しやすいボタンが表示される部分へのタップを無効にしたり、切り替えが苦手なお子さんのためにはじめから時間制限を設定しておいたりするような使い方ができます。この機能に対して参加者の先生方からは、アプリの中の機能を制限したり、意図しないページに移動してしまうことを防ぐことができるので、活用したいとの声が上がっていました。Upload By 発達ナビニュース「VoiceOver」や「スピーチ」といった機能は、聴覚から情報を得やすい人向けの機能です。VoiceOverは、タップした位置の情報を音声で読み上げてくれます。操作ガイドのように、音声でタップした場所の詳細を教えてくれるのです。スピーチは、表示されている画面全体を読み上げてくれるほか、読み上げている部分を単語レベルでハイライト表示することもできます。聴覚優位の特性を持っていたり、ディスレクシアのある子どもにとっては、耳からの情報のほうがより理解しやすいこともあります。また、ADHD傾向のある子どもの場合、本などを読んでいるうちに集中力を失ってしまうこともあります。VoiceOverやスピーチは、そうした特性のある子どもの学習支援にも適した機能かもしれません。さらに、一部の電子書籍やPDFなどの文書でも読み上げが可能とのこと。紙の本では、目で文字を追ったり、じっとして集中力を維持する必要がありますが、読み上げの機能を使えばより楽に情報をキャッチしやすくなりますね。Upload By 発達ナビニュースこちらはアクセシビリティの機能ではなく、iPhoneやiPadのブラウザー、Safariの機能です。Webページを閲覧中に出てきたわからない言葉を選択して、「調べる」や「辞書」を選ぶと、言葉の意味をすぐに調べることができます。漢字が苦手な子でも、すぐに自分で調べることができるので、学習意欲も向上するかもしれません。Upload By 発達ナビニュースこちらもSafariの機能です。Webページには画像やバナーなどが多数挿入され、発達障害の特性がある人には、読みにくく写ることも考えられます。そんなときに使えるのがSafariの「リーダー」機能。この機能を使うと、テキストが整理されて表示されます。シンプルな画面で文字を読むことができるので、内容に集中することができます。Upload By 発達ナビニュース参加された先生方は実際にiPadを操作して、紹介された機能を試しながら熱心にメモを取られていました。学習サポートや支援に使える!参加した方の感想Upload By 発達ナビニュースワークショップに参加した小学校教諭の男性は、読み上げ機能が英語の学習に活用できそうと話してくれました。また、この先生の学校では、すでに1人1台のiPadが導入されているそうです。小学校で英語の授業が始まったこともあり、英語の発音などを教える際の大きな助けになるのではないかとおっしゃっていました。また、肢体に障害がある子どもや、知的障害がある子どものサポートをされている女性の方は、iPadなどを使うことで、子どもの積極性を引き出すことができると話してくださいました。たとえば、あるアプリの機能をカスタマイズして、ボタンをタップすると音楽が流れるようにすると、子どもたちは「もっとやりたい!」と強い興味と積極性を持ってくれると語ってくれました。ICT機器の活用で、発達障害の子どもたちの可能性が大きく広がる!Upload By 発達ナビニュースiPadやiPhoneをはじめとするさまざまなICTデバイスは、障害のある人の可能性をさらに広げることができます。たとえば、教科書や本を読むのが苦手だった子でも、今回紹介した機能を使って学習を進めたり、世界の最新情報を得たりすることもできるようになります。また、楽器を演奏できなくても、AppleのSkoogというデバイスを使えば簡単な手の動きで作曲をすることもできるそうです。 Skoog 2.0触知性ミュージックインターフェイス - Apple(日本)他にもAppleでは、普段から視覚に障害のある方のワークショップなどを行っており、今後もこういった取り組みを続けてゆくそうです。このようなアクセシビリティに配慮されたデバイスが増え、その使い方・有用性を伝える活動が続くことで、「障害のない社会」にまた一歩近づいてゆくのではないでしょうか。撮影: Junichi Takahashi
2017年04月21日同じ「ADHD」の2人。でもその特徴は全然違っていて…Upload By モビゾウADHDの息子は集団療育に通っています。そこでの息子の相方は、同じADHDの診断がついた男の子です。ところが、2人の特性は全然違っていて、「本当にこの子たち同じ診断名で良いの?」と思うほどなのです。ADHDとはAttention Deficit Hyperactivity Disorder の略です。日本語では「注意欠如・多動性障害」となります。ところが、うちの息子はどちらかというと「多動性障害」の部分だけが強く出ています。たとえば、終始ワサワサと動き回り、おしゃべりも止まらず、相手の指示をジッと待つことが苦手です。それに対し、一緒にセッションを受けている相方の男の子は、どちらかというと「注意欠如」のほうが強く出ているように見えます。どうやら先生の呼びかけに対して注意を向けることが難しいようで、セッション中も終始先生から「○○くん、こっちを見てね」と声をかけてもらっています。はたから見たら、2人は対極的です。大騒ぎで落ち着きのないうちの息子と、静かなんだけどもなかなか先生の問いかけに反応をしない相方の子。最初は息子の落ち着きのなさがどうしても悪目立ちしていました。それを見た私は、相方の子は大人しく、手がかからない子なんだろうなと思ったりもしました。しかし、相方の男の子の親御さんに話を聞くと、違う悩みがあることがわかりました。注意欠如の特性が強い子は、ボーっとしていて車にひかれかけてしまったり、幼稚園の課題中も別のことをぼんやりと考えていて注意されてしまったりするそうなのです。同じADHDの子供を持つ親でも、こんなに悩みの種類が違うのかと実感した瞬間でした。正反対の2人を上手にまとめる、先生の「技」とはUpload By モビゾウ「ADHD」といっても、持っている特性によってこれだけ違うのです。こんな全く違った子どもたちをまとめる療育の先生たちの苦労は、察して余りあるものがあります!衝動性がなかなか抑えられないことに加えて、「1番こだわり」がある息子。そして、注意欠陥でどうしてもぼんやりしてしまう相方の男の子。この2人で一緒にセッションをやると、どうしても息子が優先されてしまうことになります。先生が「次はこれをやりましょう。」と言うと、息子は先生の指示を遮って「やるやるやるやる!!ぼくぼくぼく!」と飛んでいこうとします。かたや、相方の男の子はぼんやりとして外を眺めていて、先生の指示が入っていません。普通にやっていたら、なんでも息子がやることになってしまいます。しかし先生方は、息子の衝動性を抑えつつ、相方くんの注意も惹きつける離れ業でセッションを進めてくれます。療育の先生は、「やるやるやるやる!!!」と大騒ぎする息子に、オブザーバー(観察者)の役を与えます。「今回はあなたは相方くんの作業を見て、どんなところが素敵だったか、最後に先生に教える係だよ」と。発達障害の子どもというのは、「待ちなさい」「やめなさい」と言っても納得しないことがあります。そういう時はこのように、何かしらの役割を与えてみるとうまくいくこともあります。先生はこれを実践して、息子と相方くんを上手にハンドリングしてくれているようです。まさにプロにしか為せないセッションだと思います。このようにADHDや発達障害と一口で言っても、一人ひとりの特性は全く違います。私は息子と相方くんを絶妙のテクニックでコントロールする療育現場の先生を見ながら、教育現場での先生方の大変さに思いを馳せずにはいられませんでした。大切なのは、「発達障害」でひとくくりにしないこと。出典 : 息子と相方くんの、特性の全く違う「ADHDっ子」のちぐはぐな掛け合いを見ていて思ったことがあります。それは、「発達障害児」というくくりで子どもを見てはいけないということです。どの子も、何らかの困難を抱えている子どもではあります。けれども、「発達障害児はこういうもの」とくくってしまうことは決して出来ないのだと感じます。「ADHDという障害があるからこの支援をする」といった杓子定規にとらわれた考え方では、サポートとして不十分。この子はこの子。診断名にかかわらず、その子にとって必要な支援をすることが大切だということを忘れてはいけないと思いました。また、様々なタイプの発達障害児を支援していかなければならない現場の先生方の大変さにも思いを馳せるようになりました。両親の側からもできることとして、その子の特性をまとめたレポートを作ってお渡しするなどすれば、先生方もよりスムーズにサポートを行うことができるのではないかと思っています。
2017年04月06日療育帰りの長男を待つバス停で、話しかけてきた少女3年前、バスで療育から帰ってくる長男を待っていたときのことです。私と次男は、同じ施設に通う子のお母さんと3人でバス停で立ち話をしていました。Upload By シュウママそこへ一人の少女が近づいてきました。少女は中学生くらいでしょうか――私たちに向かって話しかけようとしているのに、目はどこか遠くを見て小さな体をぶるぶると震わせています。特別支援学校の制服を着ているその少女は知的障害があるようでした。彼女の額には汗がにじんで、ひどく焦っているように見えました。ぎゅっと結んだ手の中には何かが握られている様子……。彼女は私達のそばに来ると握った拳を開きました。Upload By シュウママ少女が拾った落し物に困惑見るとその手のひらには、小さなカラーゴムが乗っていました。Upload By シュウママおそらく子どもが落としたものでしょう。ラメが入っているのかキラキラと光っていますが、人の足に何度も踏まれたのか全体に汚れ、古ぼけていました。彼女は一生懸命言葉を探すように、ゆっくり、ゆっくりした口調で言いました。Upload By シュウママこんなものを……とっさに私は言葉に詰まり、何と返していいかわかりませんでした。金銭の入った財布ではないし、真新しい手袋や綺麗なハンカチですらない。カラーゴム一つを落し物として持って行ったって、おまわりさんが相手にするはずがないでしょう。そして私自身、古びたゴムを宝物のように扱う彼女に「かわいそうに……。この子は交番に持っていくものとそうでないものの区別がつかないんだな」という同情を感じました。そのくせおまわりさんが「そんなもの持ってくる必要ないよ」と心無い一言をもしこの子にかけたなら、この子はひどく傷つくだろう、そんな傲慢な心配まで頭をよぎりました。知的障害の人たちに対して、かわいそう、という上から目線の感情が自分の中にありながら、一方で他者がその人たちを傷つけることに憤るという矛盾したものが存在していたのです。「届けなくていいよ」と言おうと思った瞬間、一緒にいたママ友は「届けなくていいよ、そのまま地面に置いたままでいいんだよ」出来るだけ優しい口調で言ってこの場をしのごうかと思った時です。一緒にいたお母さんが、すっと手を差し出したのです。そして彼女が握り締めたカラーゴムを、壊れ物を扱うようにそっと受け取ったのです。そして優しい口調で言いました。Upload By シュウママ私達は市役所前のバス停で話していたのです。そのお母さんは「必ず届けるからね。安心してね」とにこっと笑いかけました。それを聞いた少女はほっとしたようにこわばっていた表情を崩し、笑顔で何度も頭を下げて走り去って行きました。Upload By シュウママUpload By シュウママ一部始終を見ていた5歳の次男も、「ゴム落とした人早く見つかるといいね」そう言ってニコニコと私に微笑みかけました。この時私は、親として恥ずかしい姿をわが子に見せなくて良かったと思いました。「障害は一人ひとりの個性」そう思ってきたはずなのに、残っていた哀れむ気持ち出典 : もし私が「そのまま地面においておけばいいよ」と少女に言ったなら、どうなっていたか。少女はこのゴムは取るに足らないものなんだと恥ずかしく思ったかもしれません。勇気をふり絞って話しかけたのに突き放された気持ちがしたかもしれません。私自身が彼女の優しい心を傷つける当事者になるところだったのです。彼女にとって、地面に落とされたものが財布であれ古いカラーゴムであれそんなものは関係なく、失くした人が困っているだろうと必死な思いで私達に託そうとしたのです。その思いを汲み取らず、次男の前で、長男と同じ知的障害のある少女の優しい心を置き去りにしようとしたことは本当に恥ずかしいことだと思いました。わが子の自閉症が分かってから特に、障害は一人ひとりの個性であり決して恥ずかしいことではない、そう思ってきました。けれど自分の中にもやはり、障害のある子を哀れむ気持ちが残っていたことに気付かされたのです。あの時、少女に話しかけられ、とっさに言葉につまった私とは対照的に、一緒にいたお母さんはとても自然でした。当たり前に人として訊ねられたことに人として向き合って答えた、ただそれだけのことだったのです。ただそれだけのことがいかに大変なことか。障害者への偏見をなくそう、障害者と健常者の垣根をなくそう、そのことを意識した時点で、私の心の中にすでに大きな壁をつくっていた……。そのことに気付かされたできごとでした。
2017年04月06日世界自閉症啓発デーとは?出典 : 月2日は世界自閉症啓発デーです。2007年12月18日にひらかれた国連総会において、カタールのモーザ妃殿下の提案により決議され、毎年4月2日を世界自閉症啓発デーにすることが世界共通で定められました。世界自閉症啓発デーは、自閉症に関する理解を深め、自閉症のことについて知ることで、自閉症のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日なのです。さらに日本では、4月2日から4月8日を発達障害啓発週間と決められています。その目的のもと、日本を含め世界中でさまざまなイベントが行われます。この記事では、2017年に行われる世界自閉症啓発デーのおすすめイベントをご紹介します!ぜひ、世界自閉症啓発デーのイベントに参加し、一人ひとりが自閉症について理解し、行動する日にしませんか?世界中を青い光でつなごう!ライト・イット・アップ・ブルーUpload By 発達ナビニュースライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)は世界自閉症啓発デーに合わせて、世界中のランドマークや名所旧跡を青色でライトアップするイベントで、近年日本での認知度も上がっています。なぜ青いライトアップなのでしょうか?青色は「癒し」や「希望」をあらわすとして、世界自閉症啓発デーのシンボルカラーなのです。自閉症はわかりにくい障害と言われています。また障害を知らない人がいることで、誤解を受けたりうまくいかないことに直面することもあります。そんな彼らの存在に気づいてほしいという願いから始まったのがこの青いライトアップなのです。ニューヨークに本拠地のある世界最大の自閉症支援団体「Autism Speaks」が2010年にはじめて以来、日本でもNPO法人あっとオーティズムが呼びかけライトアップだけではなく、さまざまな取り組みが各地で行われています。2016年は7大陸157ヶ国がライト・イット・アップ・ブルーに参加しました。日本でも169ヶ所でライトアップが行われました。今年は、さらに会場が増え、日本国内200ヶ所以上でライトアップされる予定です。以下におすすめの会場をご紹介します!※以下イベントの画像は過去のイメージです。実際のものとは異なる場合があります。 It Up Blue Japan - NPO法人あっとオーティズムUpload By 発達ナビニュース大阪市の象徴となっているのが、大阪城天守閣。豊臣秀吉が作った大阪城を復元したもので、登録有形文化財にも指定されています。公園は桜の名所としても有名で、当日は桜と青く染まるお城の共演が見られるかも!?大阪では大阪城天守閣のほかにも通天閣・天保山大観覧車のブルーライトアップが実施されます。【内容】ライトアップ・啓発ウォーキング【所在地】大阪市中央区大阪城1-1【日時】ライトアップ:2017年4月2日(日)日没~23:00(一部~22:00)、啓発ウォーキング:2017年4月9日(日)9:30集合(要事前申し込み)【問合せ】大阪自閉スペクトラム症協会(電話:06-4862-4144)一般社団法人大阪自閉スペクトラム症協会Upload By 発達ナビニュース神戸の景色を360度楽しめるモザイク観覧車。 観覧車に乗って青く照らされた神戸の夜景を楽しむのもおすすめです。【内容】ライトアップ【所在地】兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目51−27【日時】2017年4月2日(日)00分、30分からそれぞれ3分間のライトアップ【問合せ】LIUB Japan 2017 実行委員会(メール:world.happy.mamas@gmail.com)神戸ハーバーランドモザイク大観覧車Upload By 発達ナビニュース世界自閉症啓発デー日本実行委員会主催のイベントで、いつもは赤い東京タワーのライティングが青くなります。ライトアップのほか、日本自閉症協会等の関係団体により組織された「東京タワーブルーライトアップ実行委員会」によるワークショップなども行われます。【内容】東京タワー・ライト・イット・アップ・ブルー【所在地】港区芝公園4-2-8東京タワー【日時】2017年4月2日(日)15:15 ~18:15各種イベント、18:15 ~18:30点灯式、18:30 ~22:00ライトアップ世界自閉症啓発デー日本実行委員会Upload By 発達ナビニュース日本で初めて飛行場ができた街「所沢」のランドマークである日本初国産プロペラ旅客機YS-11をライトアップして啓発活動を行っています。ステージでは楽器やダンス、ジャズなどの演奏も。【内容】ライトアップ・ブルーデコレーション・演奏会【所在地】埼玉県所沢市並木2丁目航空公園駅東口駅前広場【日時】2017年4月2日(日)15:50 ~19:30ステージイベント、18:00 ~18:10点灯式、18:00 ~20:00ライトアップ【問合せ】Light it up blue所沢実行委員ライト・イット・アップ・ブルー所沢Upload By 発達ナビニュース備中国分寺の五重塔は吉備路のシンボルとして親しまれています。ライトアップは発達障害啓発週間に合わせ4月2日~8日まで行われます。【内容】ライトアップ【所在地】岡山県総社市備中国分寺 五重塔【日時】2017年4月2日(日)~8日(土)日没~22:00Upload By 発達ナビニュース1995年にユネスコの世界遺産に登録された五箇山の合掌造りの集落が青く幻想的にライトアップされます。当日は自閉症体験や講演なども予定されています。【内容】ライトアップ&ワークショップ【日時】2017年4月2日(日)19:15~21:00【問合せ】NGOダイバーシティとやま(メール:t-asj@tym-ariso.org)ダイバーシティとやま自閉症のことをもっと知りたい!シンポジウム&イベント出典 : シンポジウムや講演会で自閉症についての知識を深めましょう。一緒に盛り上がれる参加型のイベントもご紹介します。4月8日ですが、世界自閉症啓発デー2017・シンポジウムが開催されます。『たいせつなことを あなたに きちんとつたえたい ~発達障害のこと~』をテーマに「地域作りのリーダーの思い」、「効果的な伝え方の工夫(マスメディア)」、「身近な人の理解」の3つのシンポジウムが行われます。【日時】 2017年4月8日(土)10:00 ~16:20【会場】東京都千代田区霞が関3-3-2全社協・灘尾ホール(新霞が関ビル内)【参加】要事前申し込み世界自閉症啓発デー日本実行委員会<公式サイト>自閉症啓発活動の一環として柔術の練習会とプロファイターとの交流会が開催されます。バルト選手や格闘技イベント「RIZIN」のファイターと体を動かすプログラムが行われます。【日時】2017年4月2日(日) 14時00分(13時30分開場)〜16時30分【会場】中央区立 総合スポーツセンター 第1武道場【参加費】大人1,000円子ども(高校生以下)500円「みんなで青いものを身につけて街に出よう!」がイベントのテーマ。青い服や帽子、小物などを身につけて、Warm Blue キャンペーン賛同イベントへ出かけませんか?東京を中心にさまざまな参加型のイベントが行われます。希少なブルーカーと、ブルーでデコレーションされた世界の名車、バイクなどが街を駆け抜けるBlue Car Driveは4/2の13:00に渋谷区役所仮庁舎からスタートし、青山、東京タワーをめざして走ります。4月2日の14:00~は伊藤忠青山アートスクエア、東京タワーには、プロのカメラマンがみんなをかっこよく撮影してくれるフォトスポットが設置されます。「東京タワー」「伊藤忠青山アートスクエア」「渋谷区役所仮庁舎」「神南小学校」「渋谷モディ裏通り」「渋谷ミライラボ」のうち、3ヶ所をまわってスタンプを押してもらうとオリジナルブルーグッズがもらえるスタンプラリーも。伊藤忠青山アートスクエアでは4月3月11日~4月5日まで「今年はコラボだ! MAZEKOZE ART 3」も開催中。障害のある作家のアート作品とファッションメーカーや企業がコラボした商品、デザインの原画などを展示します。このほかにも3月中旬から東京各地で様々な関連イベントがあります。詳細は以下の公式サイトをご確認ください。 Blue 2017今年はコラボだ! MAZEKOZE Art 3お住まいの地域ではどんなイベントがある?検索はコチラ出典 : 日本各地で様々なイベントがあります。お住まいの地域でどんなイベントがあるか調べてみましょう。ライトアップイベント|世界自閉症啓発デー公式サイト自治体啓発イベント|世界自閉症啓発デー公式サイト年 ブルーライトアップする施設とLight It Up Blueキャンペーン参加施設のご紹介ひとりでも、お家にいても参加できることはある?出典 : 「お子さんが小さくてイベントへの参加はハードルが高い」「近くでイベントがやっていない」なんて人もいらっしゃるのではないでしょうか?そんな方に、一人でも家にいてもできる世界啓発デーへの参加方法をご提案します!・青いものを身につけようまずは世界自閉症啓発デーのテーマカラーである青いものを身につけることからはじめてみませんか?・自閉症について理解を深めてみよう世界自閉症啓発デーの一番の目的は、自閉症について思いをはせ、知ろうとすること。自閉症についての本や記事を読んだり、映画のDVDを見たりして家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?・ツイッター・フェイスブックで世界とつながろう世界最大の自閉症支援団体Autism Speaksが、TwitterとFacebookのプロフィール写真に世界自閉症啓発デーのデザインをいれるサービスをしています。利用してみてください。 Speaks Light It Up Blue Frame / Autism Speaks・発達ナビのアンケートに参加しよう発達ナビでも世界自閉症啓発デーに向けて、アンケートを実施しています。4月2日には、身の回りの青いものを写真にとって発達ナビのタイムラインに投稿してみませんか?発達ナビみんなのアンケートまとめ出典 : 自閉症は、外見からはわかりにくいこともあり、未だに「心を閉ざしている」「親の育て方のせい」「後天的な病気」などといった誤解や偏ったイメージを受けることが少なくありません。また、自閉症のある人はコミュニケーションをとるのが苦手であったり、こだわりがあったり、いつもと違うことが苦手であったりといった特性があります。またこの特性も一人ひとり違うため、誤解されたり、困ってしまう場面もあるようです。でも、このような自閉症の人の困りごとは、周りの人が自閉症について理解し、接し方や環境調整といった工夫をすることで減らせるのです。世界自閉症啓発デーを機会に、自閉症のことをより多くの人に知ってもらい、一人ひとりが自閉症について思いをはせるきっかけをつくれるとよいですね。なにか一つ青いものを身につけるだけでも、青く彩られた美しい街を見に行くだけでもよいのです。自閉症のある人もない人も、全ての人が暮らしやすい世界になることを願って、2017年の4月2日のイベントに参加してみませんか?
2017年03月31日世界自閉症啓発デーとは出典 : 世界自閉症啓発デーは2007年12月18日にひらかれた国連総会において、カタール国のシェイカ・モーザ・ビント・ナサ・アル・ミスネッド首長妃殿下の提案により決議された記念日です。毎年4月2日を世界自閉症啓発デーにすることが世界共通で定められました。さらに日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間と決められています。世界自閉症啓発デーにはそれぞれの加盟国が、自閉症のある子どもについて、家族や社会全体の理解が進むように意識啓発の取り組みを行うことなどが求められています。現在、日本には自閉症についての偏ったイメージやあいまいな情報が数多く存在しています。自閉症は脳機能の発達の仕方が少し異なることから生じる発達障害です。「心を閉ざす」病気ではありませんし、育児の方法や環境など後天的な原因で生じるものでもありません。自閉症のある子どもは一見ふしぎな行動をとることや、感覚が過敏なことがあります。そのため、育てにくさがあり、適切な接し方が難しい場合があります。また周囲の子が自閉症について知らないために、自閉症の子独特の行動や感性を必要以上に避けてしまうことも少なくありません。しかし周囲の自閉症についての理解や支援が十分であれば、自閉症であっても住みやすい環境で障害をあまり感じずに生活することができます。大人のなかでも、実は自閉症であるのにそのことに気づいていない人がいます。そのため、必要な支援を受けられず、自閉症の二次障害であるうつや不安障害などの精神疾患にかかる人も多くいます。世界自閉症啓発デーは、自閉症に関する理解を深めたり、自閉症のことについて知ったりすることで、自閉症のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。世界自閉症啓発デーに行われる「ライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)」とは出典 : 世界自閉症啓発デーのシンボルカラーは青色です。青色は「癒し」や「希望」をあらわすと言われています。ライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)は世界自閉症啓発デーに合わせて、世界中のランドマークや名所旧跡を青色でライトアップするイベントです。ライト・イット・アップ・ブルーはニューヨークに本拠地のある世界最大の自閉症支援団体「Autism Speaks」が2010年にはじめたのが起源です。ライトアップだけではなく、さまざまな取り組みが行われています。現在では、誰でも参加できる活動として世界中に広がっています。2016年は7大陸157ヶ国がライト・イット・アップ・ブルーに参加しました。日本でも169ヶ所でライトアップが行われました。今年は、日本国内192ヶ所でライトアップされる予定です。ライトアップの様子を2分程度の動画で紹介します。世界自閉症啓発デーを自閉症について理解を深める日にしよう出典 : 世界自閉症啓発デーは自閉症についての理解を深め、世界に広く知ってもらうことを目的にしています。ぜひ、世界自閉症啓発デーをきっかけに、記事や書籍を読んで自閉症に関する知識を得たり、自閉症を描いた映画を見たり、自閉症の理解を深めてはいかがでしょうか。この章では自閉症について説明します。自閉症は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴が発達段階で現れると言われています。自閉症の原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、先天的な脳機能の偏りであると考えられています。親の育て方や接し方、愛情不足によって自閉症になるのではないことが医学的にわかっています。また、自閉症の根本的な治療は現在のところできませんが、親や周りの人が環境を整えたり、接し方を変えたりすることで、症状や困りごとを緩和できる場合も多いと言われています。もともと自閉症は、広汎性発達障害という発達障害カテゴリーの一つと分類され、知的発達の遅れを伴うカナー症候群や、知的発達の遅れのないアスペルガー症候群などとは区別されていました。しかし近年は自閉症とアスペルガー症候群などは明確に区別することができないのではないかということから、これまで広汎性発達障害のサブカテゴリーとして分類されてきたいくつかの発達障害をまとめて、「自閉症スペクトラム(ASD)」と呼ばれるようになったり、診断されたりするようになりました。◇社会性・対人関係自閉症の人は、会話の途中に目線を合わせることや相手の身ぶりや表情から心情を読み取ることが苦手な場合があります。そのため、周囲から空気が読めないと思われたり、他人に興味がないように見られたりする傾向があります。雰囲気のわずかな変化を察したり、比喩やたとえを理解したりすることが苦手なので、自閉症のある子に対してはあいまいな表現を避けてはっきりとわかりやすい言葉だと伝わりやすくなります。◇コミュニケーションや言葉の発達の遅れ言葉を習得するのが遅い場合があったり、たとえや皮肉を理解できず言葉通りの意味を受け取ってしまったりすることもあります。ほかにも、自分の話したいことを話してしまうなどの行為がみられることもあります。相手に自分の気持ちがうまく伝わらず、もどかしい思いをしてしまうこともありますが、本人が理解しやすく伝えやすい方法を工夫すれば、コミュニケーションが取りやすくなります。周りの人もあいまいな表現を避けたり、絵や写真などの視覚的な表現をすることで伝わりやすくなる場合もあります。◇行動と興味の偏り行動と興味に偏りがあり、毎日決まった行動をとることを好む傾向があります。予定外のできごとや初めての経験に対して嫌悪感を抱くことがあります。その一方で、自閉症の人は自分の興味のあることに熱中する傾向もあります。自分の興味のある物事をとことん調べ、深く専門的な知識を活かして活躍している人も少なくありません。自閉症のある人が困っている具体的な事例をいくつか紹介します。自閉症の症状は幅広く、全員が同じ症状を発症するわけではありません。◇いつもどおりじゃないことに対して強い不安にかられる自閉症のある子どもは、自分のおもちゃがいつもの場所においてなかったり、授業を受ける教室が普段と異なったりすることに対して不安に感じます。誰でも、いきなり言葉が通じない見知らぬ土地で一人になったら先行きがわからず不安になると思います。自閉症のある子どもは、想像することが苦手なため些細に思われることでも今後の見通しがつかず不安に思ってしまいます。この不安を取り除くために、自閉症の子が見通しがたてられるように絵や写真を使って今後の流れを示すといいでしょう。◇感覚過敏たとえば、味覚過敏がある場合、特定の味付けや食材を食べると砂やゴムを食べているように感じてしまうこともあります。聴覚障害だと、人ごみでのざわつきが耳元で楽器を鳴らされているように感じて耳をふさいでしまう人もいます。感覚過敏のもとを減らしたり避けたり、落ち着くことができるスペースを確保すると、感覚過敏のある人が生活しやすくなります。周りの人は、自分とは感覚の受け取り方や物事の感じ方が違うことがあると理解することが大切です。◇全身運動が苦手自閉症の子は、脳からの指令がうまく手足に伝わらず、不器用になってしまうことがあります。テレビで見たスポーツ選手のうごきをその場ですぐ再現できないように、自閉症の子は座る・歩く・走るなどの動作がうまくできないことがあります。自閉症のある子ども一人ひとりにあわせて、療育を行ったり発達課題を設定したりすることが大切です。世界自閉症啓発デーに参加してみよう世界自閉症啓発デーへの参加の仕方をいくつか紹介します。出典 : 出典 : ライト・イット・アップ・ブルーでライトアップされた施設を見に行ったり、自閉症のシンポジウムに参加したり、各地域で行われているイベントに参加したりしましょう。各地域でのライトアップ予定地は以下のサイトから確認できます。世界自閉症デーライトアップ施設一覧/世界自閉症啓発デー日本実行委員会各地域自治体の啓発取り組みは以下のサイトから確認できます。世界自閉症啓発デー自治体の活動/世界自閉症啓発デー日本実行委員会出典 : 月2日に青い服を着たり、ネクタイを青にしたり、アクセサリーでワンポイント青を取り入れたりしましょう。SNSのプロフィール写真に青色のフレームを付けるなどもいいかもしれません。世界最大の自閉症支援団体Autism Speaksが、TwitterとFacebookのプロフィール写真に世界自閉症啓発デーのデザインをいれるサービスをしています。利用してみてください。 Speaks Light It Up Blue Frame / Autism Speaksメッセージを募集しているイベントもあります。応援や共感の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。NPO法人あっとオーティズムのサイト上では、セルフィサインをダウンロードすることができます。印刷して、署名するだけですので気軽に参加してみてください。セルフィサイン/NPO法人あっとオーティズムUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン世界自閉症啓発デー日本実行委員会の公式サイトでは、応援メッセージを募集しています。以下のサイトで、過去の応援メッセージを見たり、応援メッセージを投稿したりすることができます。応援メッセージ/世界自閉症啓発デー日本実行委員会4月2日~8日は発達障害啓発週間でもあります出典 : 日本では4月2日から4月8日までは発達障害啓発週間とされています。この発達障害には自閉症以外の障害も含まれています。たとえば、学習障害(LD)やADHD(注意欠陥・多動性障害)があります。自閉症を含む広汎性発達障害と学習障害、ADHDの複数の傾向がある人も多くいます。発達障害かどうかは明確に線引きできるものでなく、グレーゾーンの方も多くいらっしゃいます。そのため、発達障害の診断を受けていない人のなかにも発達障害の特徴的な行動や思考のくせが見られることは珍しくありません。まとめ出典 : 近年、発達障害への正しい理解が進んだり社会的関心が向けられたりし始めましたが、まだまだ十分だとは言えません。自閉症がどのような障害で、どのようなことに気をつけるべきかを理解するまでは時間がかかるかもしれません。また、自閉症のある人の特性や困りごとは個々に違います。しかし自閉症について知ったり身近に感じたりする中で、自閉症のある人一人ひとりのことを考え、一緒に過ごしていくことができれば、自閉症のある人もない人も、生きやすい世界になっていくかもしれません。世界自閉症啓発デーを通して、自閉症をはじめ発達障害への自分自身の理解を深めたり、発達障害の認知の輪を広げていきましょう。
2017年03月27日療育センターを舞台にした演劇、「わたしの、領分」わたしの、領分療育センターを舞台に、発達障害がある子どもにかかわる「心理士」の視点で描く、演劇『わたしの、領分』。2年前の初演で好評を博し、このたび再演が決定しました(3/28~4/2 東京・下北沢/小劇場楽園)。LITALICO発達ナビでは、公演に先立って、演出の松澤くれはさんにインタビューを行いました。Upload By 平澤晴花(発達ナビ編集部)松澤 くれは(まつざわ くれは)脚本家・演出家。1986年、富山県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。演劇ユニット<火遊び>代表。芥川賞作家・中村文則氏『掏摸[スリ]』の舞台化にはじまり、『殺人鬼フジコの衝動』『天帝のはしたなき果実』『くるぐる使い』など、人気小説の舞台版を手がける。オリジナル作品では「あなたとわたしが[We]に近づく物語」をテーマに、言葉で分かり合おうとしながらも分かり合えないことを受け入れる、人間の生き方を一貫して描く。現実のような生々しい会話劇で、観客の日常につながるラストシーンを目指している。大学院を卒業し、都内の療育センターに配属されたばかりの心理士・萩野は、発達障害児を中心に面談を行っている。「いつか治りますよね?」「うちの子を障害者にする気か!」 親たちは口々に言いながら、救いを求める眼差しを彼女へ向ける。認識の齟齬から生じる軋轢に悩みつつも、萩野は実直に、進むべき道を探してゆく。ある日。定期面談を終えたはずの青年が、センターにやってくる。勤務先での生活を嬉々として語る彼に、まとわりつく悪意の存在。青年が起こした傷害事件は社会を巻き込んだ「自閉症をめぐる問題」 へと発展し、偏見と差別が膨らみ続けるなか、萩野は一人「こころ」と対峙する。世界のあいまいさを許容して生きるための。はるかから、わたしの物語。療育センターの心理士が紡ぐストーリー誕生のきっかけ出典 : 編集部(以下、編):はじめまして。今回療育センターを舞台にしたお芝居『わたしの、領分』再演ということで、ぜひお話を伺えたらと思います。まずはじめに、このお芝居を作るそもそものきっかけは何だったのでしょう。松澤くれはさん(以下、松):もともと、僕の知り合いに療育センター勤めの心理士がいたんです。その人から現場サイドの悩みや葛藤を知る機会がありました。そのときはじめて「支援する側にも葛藤や悩みがある」ということを知りました。療育施設という場所には常々舞台として関心があったのですが、そこでの話というと、既存のものはどうしても親御さんや子ども当人からの視点で描かれがちで。療育施設には心理士さんもいます。知人の話を聞いて「心理士の視点から書きあげることで新しい作品がつくれるんじゃないか」と思ったのです。もともと僕は作品を創るときに「視点を変える」ということにこだわってきました。別な角度、いわゆるニッチな視点ですね。うちが手掛けた他の作品でも、例えばオリンピックを描く時、ドーピング商品を選手に売るバイヤー視点でつくるなど取り組んできました。視点を変えて紡ぎだすことによって、新しい問題提起が何かみえてくるのではないかとは常に考えて素材を選んでいます。今回の作品の着想もその範疇(はんちゅう)で生まれました。「当事者意識」の境界線は?発達障害の子どもとその周縁をどう描いてゆくのか出典 : 編:既存のイメージから視点を変えて芝居を紡ぎ出すということですが、今回、療育センターの職員と発達障害の子どもという題材の中で、どのようなテーマを持たれていたのでしょうか。松:「当事者意識」というものに対する興味関心です。「当事者」という言葉はよく使われますが、一体、どこからどこまでが当事者なんだろう、と。たとえば発達障害のある本人がいて、その親御さんまでが当事者なのか、それとも支援にかかわるすべての人もふくめるのか…。実際、劇中でも「あなたに足りないのは当事者意識だ」というシーンがあるんですが、じゃあ、あなたはどうなんですか?と、問い返すこともできる。何があれば「当事者だ」と言えるのか…心の持ち方なのか、血が繋がってることなのか、本当は誰も定義できないからこそ、難しいのだと思います。本人がどれだけ相手を思って行動しても、「いや、あなたは部外者だ」と言われてしまえばそれまで、何もできないというもどかしさがある。その、定めきれない「当事者意識」の境界線を作品で描くには、なるべく広く関係性を作るべきだと思ったんです。子どもと子どもの親がいて、民間のセラピスト、センターの人、ドクター、心理士の夫、などなど。自分は当事者なのか?と悩みながらも相手にかかわっていく、あるいは、この人は当事者ではないと相手に思いながらも頼っている、この状態やそんな関係性そのものを描きたいと思ったのです。編:なるほど…では、劇中の登場人物たちがその人なりの「当事者性」を追求していくような形で物語が進んでいくのでしょうか?松:いえ、自分が当事者と思っているか思ってないかは、バラバラに設定しています。それぞれのシーンで、観る人が「『当事者』というものを考えることに直面する」ように演出しています。たとえば、「息子を障害者にするつもりか!」「あなたに足りないのは当事者意識だ」といった台詞を聞いたときに、ハッとする人もいるかもしれないし、疑問を持つ人もいるかもしれない。観る人それぞれが考える余地を残して、シーンを描いています。編:「これが当事者だ」と答えを出すというより、当事者性そのものを”考える”ために劇がすすむようにしているということですね。松:そうですね。基本的に答えを出したり作り手のメッセージを出していくタイプの劇は作っていないんです。登場人物の悩みそのものを持ち込み、悩みと悩みがぶつかり葛藤がおきる、人間関係のうまくいかなさ、その場面をそのまま提示していこうと。その中で、互いに争わず、妥協ではない前向きな折り合いをつけるにはどうするか、今この瞬間の現実の悩みをどうするかを、描いていきたいと思っています。そもそも80分の劇で人間の悩みなんて簡単に解決できないとも思っていますしね。稽古中、セリフにつまづいて黙ってしまう役者を褒めます。その訳は…Upload By 平澤晴花(発達ナビ編集部)編:役者さんとは普段どのようなコミュニケーションをとりながら稽古をしているのですか?松:「嘘はつかないでほしい」と、まず最初に言っています。セリフがあるからって言わないでほしい、言えないのに言わないでほしいと言っています。セリフを覚えてないわけでなく、うまく出なかった。そんな時には立ち止まって、なぜ出なかったのかを考えてほしいと伝えています。なんでその演技ができないのかということを考えてほしいんです。とりあえずで無理やり話を進めないで、セリフを言うきっかけを探してほしいって言っています。ピンとこないセリフがあったら、じゃあ今どんな気持ちになっているのかを共有して前段階から演技を考えていきます。なるべくお互いにごまかさない、その代わり稽古なんだから失敗していきましょうと。そう伝えると、ホントにセリフ言わない人も出てくるんですよ。そこからは、この人物がセリフを言う動機はどこにあるのか、どれくらいのイメージを持ってやっているのか、お互いのイメージをすり合わせるようにして進めていきます。編:松澤さんが今のような演出スタイルをとることになったきっかけはなんですか?松:そうですね。人はそれぞれ違う、という意識がそうさせたかもしれません。自分と他者という違いに少しずつ気付いてきた時期があって。昔は男主人公でやっていましたが、一挙手一投足が気になりすぎてしまって、役者にも細かく指摘し過ぎてしまうんですね。だんだん、「このままじゃ駄目だ」と思うようになって、女主人公の芝居にチャレンジしたんです。そしたら、女性のしぐさに対してなかなか想像が及ばず、わからないことだらけだったんです。そこで気づいたんです。そもそも演出家も役者も、芝居に挑むバックボーンが違うし、みんなバラバラの意思や体を持っているのだということに。でもそれは、一緒に芝居を作っていく上では、実は大した問題ではないんですよね。大事なのは同じ目標を持って、ひとつのことに向かうこと。そこに至るまでに各々が違う役割を全うすればいいだけ。そこから今のような演出スタイルや、役者とのコミュニケーション方法が築かれていきました。編:人はみんなバラバラで、違った意思を持っている。当たり前のことなのに、人はつい自分の信念や、一般的な社会通念にとらわれてしまう…発達障害のある人の中には、そんな周囲からのプレッシャーに苦しんでいる人も少なくないと思います。演出家、役者、監修者、一人ひとりの「ちがい」を前提として芝居をつくりあげていくスタイルは、きっとこのテーマにぴったりの手法なのだと感じました。自分のフィルターは、視点が異なる他者との密なかかわりで、外していけるUpload By 平澤晴花(発達ナビ編集部)編:今回の作品の話に戻りますが、創作していくうえで、松澤さんの築いたスタイルはどう生かされましたか?役者さんにとっては、発達障害のことや心理士の仕事は未知の世界でしょうし、イメージしにくいところからのスタートだと思うのですが。松:初演の稽古の際、きっかけになったできごとがあります。くまさんがいて、うさぎさんがいて、箱にビー玉を入れるという、子どもへの発達検査のシーンでのことです。最初は、検査で子どもが間違えてしまったことで生じた、発達障害の可能性に対して、両親が失望するという台本にしていたのです。しかし、父親役の役者の意見からは「間違えてしまった子どものことは、僕には正常に見えた。子どもだから複雑な指示に従えないのは当たり前だと思います」といったのです。そこで活路が見えました。こうなるから、こうとこだわらず、なるべく自分のフィルターをはずして、バラバラにして組み立てていくようにしたんです。実際に演じる役者さん、監修をしてくれた心理士、自分と視点が異なる他者の視点を取り入れていくことで、リアリティが生まれていきました。そんななかで、たとえば観客席の最後列から聞くと声が聞き取れない役なども出てきました。登場人物のテンションもそれぞれ違うので、役ごとにバラツキをもたせたのです。普通のお芝居だと、なるべくはっきり、後ろまで声が通るようにしますよね。でも今回、それをやらなかった。あと、余談ですがうちは円陣も組みません。そしたら同じテンションになっちゃうから。それではリアリティを消してしまいます。そこまですると演出がバラバラに見えることもあるかもしれません。しかし、現実では同じテンションはありえないんです。揃えてしまうことではリアリティは生み出せないことになります。なるべく誰かのペースに巻き込まれないでと、役者には言ってます。ストーリーばかりを勝手に進めないようにと。正しいと思ってなくても言ってほしい。自信のなさでもいいので、なるべく決めつけずに進めてほしい。だから達成感がない芝居だと役者から言われることもあるんですけどね(笑)。伝わりにくい「生きにくさ」の正体。観客に「いたたまれない…」と思わせる、ぎりぎりの表現を生み出すには出典 : 編:テーマにかかげてある「生きにくさ」を身体表現と会話劇で繰り広げるのは大変だと思いますが、どういう点で苦労しましたか?松:一般的には芝居って筋書きが決まっているものなので、稽古すればできるようになるじゃないですか。出来不出来はともかく、とりあえずストーリーは追えると思うんですよ。でも、それだけでは安定してしまう。だからぎりぎりを攻めてほしいと、役者さんに伝え続けました。セリフをとちってほしいというわけではないんですが、ぎりぎりまで忘れているんだけどぽろっとセリフが出てくる、それぐらいの状態でいてほしいと。そこでリアリティがでてくるので。矛盾と戦い続けることで出来るようになっていくことですよね。稽古していることを稽古していないことのようにやること。100回練習したことをはじめてやるかのようにやる。「生きにくさ」とは、「うまくいかなさ」ですからね。たとえば、ここで突然御二方(発達ナビ編集部員)に怒られたとするじゃないですか。インタビュー受けなきゃよかったな、早く帰りたいなぁ、言ったこと間違ってたのかなという気持ちになって、ここにいにくくなると思うんです。「いたたまれなさ」です。そのあり様をそのまま舞台上に、その気持ちで立ってもらいたいと思っています。やっぱりお芝居って、自分の出番で自信を持って体を大きく動かしてセリフをバシッということができるほうが気持ちいいんですよ。自分も役者だったんでわかるんです。そっちのほうがある種の安心感があるというか。でも目指すのはそっちじゃない。ここ全然うまくいってない、相手との掛け合いがうまくいってない、っていうときほど「今日よかったですね」って僕は言いますし、逆に役者が「今日は調子いいぞ」と思っているときほど駄目で、「今日は予定調和でした」と言いますね。演劇によっていろいろなジャンルがあるので、秒単位で筋書きが決まってるようなものでこういうことをやるのは駄目ですが、「わたしの、領分」のようにありのままを見せるような芝居では、その人自身がちゃんと傷ついてその場にいたくないという気持ちになることが大切だと思ってます。心のどこかで本当に「ここにいたくない」と思うことが大事なんです。そういうところが身体表現の大事なところなんじゃないかと思います。いるとき、いなくちゃいけないときの境目を分けてふるまうことも大事です。いなくていいときはすぐ舞台上から去ることも大切ですね。編:戸惑うお客さんもいるんでしょうね。松:芝居に親しんできた人は斬新にみえるらしいですね。現代口語演劇の延長線でやってきているので、それに親しんでいる人は受け入れられると思います。アンケートで、「私がいつも観ている帝国劇場より声がでてない」とか(笑)、「結論がない、結論を出せ」といわれることもあります。もともとある価値観を変えることはなかなかむずかしいし、それこそ多様性を認めろというのも押しつけでありエゴでもあります。でもこういう人がいるんだということを知るというのはいいと思っています。登場人物にどこか自分と共通した変なところが見えてくるといいと思います。たとえば、作中に登場する心理士も変な人が多くて、ちょっとずれてるところを持っていることが多いように描きました。登場人物の荻野もシャーペンのカチカチする音がきらいで、年の離れたドクターにおもわず切れてしまうことがあったり。それをお客さんもみて「ここわかる」「ここわからない」と自分の中にもある変わったところと重ねながら観てもらえたらと考えています。相模原殺傷事件の匿名報道への憤り。少しずつ歩き続けようと、すぐ再演を決めたUpload 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平澤晴花(発達ナビ編集部)編:少し話を社会的な事象の時系列から掘り下げて、作品の真相に迫っていきたいと思います。2015年に初演があって、その後、相模原障害者施設殺傷事件がありました。そして今2017年に再演することになったわけですが、松澤さんの中であの事件は偶然の重なりといえますか?どう事件を咀嚼して再演するにいたったのでしょうか?松:誤解を恐れずに言うと…ついに起きたかと思ったんですね、相模原は。ヘイトスピーチや優生思想が最近増えており、それに賛同する人が増え一定の共感を得てしまい社会に浸透しつつあったところでこの事件が起きました。その中での匿名報道、やっぱりそうなったかと思いました。遺族に配慮した、と言って19名全員の被害者名を警察が伏せたというのがそのような社会になってしまっていることの表れで。伏せざるを得ないのが社会の在り方なんだなと思いました。19名全員の遺族が出さないでくれといったわけではないのに、とっさにそのような判断がくだってしまうという。そこには顔がないと思うんですよ。命を奪われて、そのあとに冥福を祈るというときに「個」をはく奪されてしまう。被害者たちは、19という数字になってしまう。まだそういう社会なんだ、平気でそういう判断を下して「悲惨な事件でしたね」という感想で終わってしまう。その近くにいた人だけが解決しないまま問題意識を持っている状態になってしまう。それで、すぐ再演を決めたんですが、再演を決めた後もすぐに批判されたんですよ。「あなたが芝居して何が変わるんですか?」「お金儲けしたいだけでしょ」と言われて。そこに当事者意識の違いを感じました。被害者じゃなければ語れないのであれば、何も変わらないと思うんですよ。結局見て見ぬ振りを続けていく、ひどい事件が起きたね、終わり、にするわけにはいかない。何よりああいう犯人を出さないようにするためにも、あまり議論が尽くされない中での匿名報道などにも待ったをかけるように働きかけていかないといけないんじゃないかと思ったんですよね。そこで再演に関してですが、まず相模原事件が起きたあとに設定を変えたんです。現実に起きた事件をないがしろにできないので、名前は出してないのですがその事件の後だとわかるようにしています。なので時系列は2016年にしました。あとは、ラストシーンを変えました。初演を見た人はびっくりするくらいの全く別物になると思います。まったく見え方が変わるはずです。タイトルも変えたんです。「わたしの、領分。」だったのを「。」をとったり。この違いからこの作品の意味がわかってもらえたらと思います。初演は、立ち止まることが大事、というイメージでしたが、再演は、少しずつでいいから歩き続けよう、というイメージにしています。これは初演から2年たって変わった心境と思ってもらえるといいかもしれません。編:これまでお話を聞いていて、松澤さんが手掛けるお芝居は、非日常の娯楽というよりは、むしろ日常の延長の中にある芝居というような印象を受けます…松:芝居のラストシーンがお客さんの日常につながっていってほしいんですね。家に帰った時にじわじわ効いてきてほしい。演劇は新しい視点をお客さんにあたえることができると思ってます。芝居をみて、「心理士っていう仕事があるんだ」くらいの感想でもいい。あるいは、街中で発達障害かもしれないなという人を見かけたら、見て見ぬふりではなく「あ、昨日のお芝居で…」と思い出してもらえるなら嬉しい、ほんの一歩でもいいので、今まで自分の中になかったものを受け入れるキャパシティが広がれば、と願います。日常忙しい親御さんにも、肩の力を抜いて楽しんでもらいたい出典 : 編:発達ナビは発達が気になるお子さんの保護者の方向けメディアです。何か直接伝えたいことはありますか?松:ここで今、取り立てて伝えたいことはないんですよね。というのも、この芝居は終わる物語ではないので、メッセージも答えもないありのままのものなので。親御さんたちは、ご自分やお子さんに引きつけて見られる部分もあるとは思いますが、一方でまた別のお話、別の人生であると、少し離れて肩の力をぬいてみてもらえたらと思います。こういう生き方もあるんだ、こういう人もいるんだ、というふうに感じ取ってもらえたらいいなと思ってます。編:普段育児に忙しくしている方々も、少し肩の荷をおろせる時間になるといいですね。松:そこまで言い切れるかどうかはわからないんですが、きっと日常で悩みやご負担も多いと思うので、普段なかなか自分のことにかまえずにいるなかで、演劇を純粋に物語として見てもらい楽しんでもらえたらと思います。心理士と親御さんの面談シーンを第三者として見るってのもあまりないと思うので。編:本当に楽しみな舞台ですね。本日はお話ありがとうございました!インターネットを通じて様々なプロジェクトへの活動サポート・寄付ができるクラウドファンディングのプラットフォーム「CAMPFIRE」にて、「わたしの、領分」の公演規模拡大、地方公演の実施に向けた資金を募るプロジェクトを実施中です!わたしの、領分クラウドファウンディングUpload By 平澤晴花(発達ナビ編集部)わたしの、領分松澤くれはプロデュース『わたしの、領分』2017年3月28日(火)~4月2日(日)@小劇場 楽園作・演出松澤くれは出演者善知鳥いお岡村いずみ江幡朋子尾﨑菜奈倉冨尚人今駒ちひろ野下真歩早山可奈子坂内陽向宮川智司柴田淳(ブラックエレベータ)室田渓人(劇団チャリT企画)濱田龍司(ペテカン)スタッフ舞台監督:吉倉優喜舞台美術:小林裕介音響:葉暮呉一郎照明:タカハシカオリ小道具:定塚由里香宣伝美術:イラスト…谷川千佳/デザイン…milieu design制作:森永たえこ協力:特定非営利活動法人アートシアター株式会社アイビー・ウィーウォーターブルー株式会社大沢事務所株式会社スチール・ウッド・ガーデン株式会社パワー・ライズ(有)No.9UTYリベルタ(五十音順)製作:「わたしの、領分」製作委員会公演日程2017年3月28日(火)~4月2日(日)タイムテーブル3/28(火)19:303/29(水)19:303/30(木) 15:0019:303/31(金)19:304/1 (土) 14:0018:004/2 (日) 13:0017:00※上演時間は約80分を予定しています。※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は30分前からです。※開演10分前までにお越しいただけない場合、キャンセル扱いとなる場合がございます。チケット前売り4,000円 / 当日券4,300円(全席自由席・日時指定)お問い合わせpro.watashi@gmail.com050-5319-3493(森永)
2017年03月16日次男とはちょっと違う、長男の遊び方…もしかして自閉症なの?1歳になる前の長男は、まだ自閉症だとわかっていませんでしたが、定型発達の双子の次男に比べると変わった行動をとっていました。突然テーブルに頭をゴンゴンと打ち付けたり、重ねて遊ぶコップのおもちゃを回し続けたりするのです。Upload By シュウママいずれは次男のように積み木で遊ぶようになる…私は長男の行動が気になりつつも、成長すれば変わっていくだろうと思っていました。けれど、3歳を迎える頃になっても行動に変化はありません。飽きることなく、むしろ執拗といっていいほどに繰り返される遊びに不安を抱き、私はパソコンでこの行動について検索しました。そして浮かんできたのは自閉症という文字…。思い当たることはありました。Upload By シュウママUpload By シュウママ「おいで」と長男を呼んでも目をそらされ、抱きついてくるのはいつも次男だったこと。Upload By シュウママ呼びかけに反応せず、触れることを嫌がり、たまに目があってもガラス玉のような瞳で私を見ていたこと。そこに母への甘えや愛着といった感情は一切読み取れなかったのです。3歳になってすぐ、こども病院の保健発達課を受診しました。結果自閉症であると診断され、お医者さんからは療育へ通うことをすすめられました。悲しみにくれる間もなく、市役所で療育への入園手続を済ませた時、これからどうなるのか――という不安が押し寄せてきたのを覚えています。初めてひとりで療育に行く日も、淡々としている長男。ママに甘えてくれる日は来ないのかな?Upload By シュウママ不安な気持ちを抱えたまま数ヶ月がたち、やっと療育に通えるようになりました。桜の舞う4月の入園日、どうかこの子がママと言って甘えてくれますように、そう願いました。もし言葉が出なくても、せめて嫌がることなく抱きしめさせてほしいと思いました。けれど長男は初めて一人で通園するというのに、お母さんと別れて悲しい、嫌だというそぶりも見せず、淡々とした表情でバスに乗り込みました。長男を見送りながら、そんな日がくることはないのかな……と悲しい気持ちになりました。それほど当時の長男は、感情というものがみえにくい子どもだったのです。療育に通うことで表情が少しずつ変わり始めた!けれど療育に1年2年と通ううち、長男の表情が目に見えて明るくなっていきました。ふれあい遊びという時間では、先生方は音楽に合わせて長男のお腹をくすぐったり、リラックスさせて顔や手足に触れたりします。お友達と手をつないだり人同士が《触れ合う》練習をさせていくことで、次第に長男は触られることを嫌がらなくなりました。そして少しずつ笑顔も増え、表情が豊かになっていったのです。Upload By シュウママ後追いすらしなかった長男が、初めて母の私に見せてくれた表情は…療育に通って3年目の時だったと思います。その日は親子で通園する日だったのですが、父兄の懇談会が重なっていました。私はクラスで一緒に過ごした後、長男と別れ、懇談会のあるホールへ移動しました。懇談会が終わった後、私はもう一度長男のいる教室を覗きました。給食を取りにいこうとする長男の姿が見えました。特に私の姿を探しているようには見えません。普段から私を後追いしたり求めたりしない長男です。Upload By シュウママたぶん反応しないだろうなと思いながらも、私は先生の後ろに隠れ、ぱっと現れて声をかけてみました。すると長男はビックリした顔をして突然手で顔をおおい、その場にしゃがみこみました。えっ?と思って見ていると、長男はぱっと立ち上がりました。覆っていた手をはずしたその顔には満面の笑みが浮かんでいました。Upload By シュウママこんなに嬉しそうな長男の顔をはじめて見た――そう思ったとき、長男が私の元に走りより腰にしがみついたのです。Upload By シュウママ「ママ、帰ってきてくれた。もう離れちゃだめだよ!」私にしがみつく息子の強い力を感じながら、私は初めて療育へ来たときの願いが今、叶ったのだと涙がでました。自閉症児の親だからこそ、子どもの小さな変化が大きな幸せになる長男が私に体を寄せてきたり、膝に乗って甘えたり、目に見える形として愛情を示してくれるまで、長い長い時間が流れていました。この子が自閉症でなければよかったのに、何度も何度も思いました。けれど甘えてきたり、言葉を話したりすることが生まれつきの障害ゆえ、すぐにできない子どももいるのだということを療育へ通ううちに知り、決して私は一人ではないんだと多くの親子さんとの交流の中で気付きました。そして親子通園でたくさんの子ども達を見ながら、どんどん成長して変わっていく様子も見させていただきました。そのたびに思ったのが、発達がゆっくりな子どもの初めての瞬間に立ち会えることは、とてつもなく幸せだということ。例えば「お母さん」というたった一言の言葉を投げかけてくれるそれだけでも……定型のお子さんが自然に身に付けたことを、何倍も時間をかけてできるようになったとき、ほんとうに大きな大きな喜びを運んでくれるのです。おそらく、当時の私のように感情を示さないお子さんに不安を抱えている方がいらっしゃると思います。けれどその暗闇はずっと続くわけじゃないんです。いつかその子だけにしかできない、大きなご褒美をお母さんに届けてくれる日がくるということをどうか、知っていただければと思います。
2017年02月28日我が家で役に立ったお手軽療育グッズをご紹介!出典 : 私たち夫婦が娘に家庭内療育を始めたのは、2歳半で娘に自閉症の診断がおりた後、3歳になる直前ぐらいからです。このころは、少しずつですが言葉が出てきだしたころでした。その当時の私たちは、療育に使う教材といってもどのようなものがあり、それがどこで手に入るのか全然見当もつきませんでした。そこで療育の先生から手に入りやすいグッズや簡単に自作出来る教材を幾つか教えていただき、手探りで実践してみました。実際で我が家で使用した療育グッズを紹介します。ご褒美を与えるトークンを100円ショップの磁石で簡単手作りUpload By あいちゃんパパ私の記事にたびたび登場する100円ショップ。安い上にアイデアになる商品がたくさんあります。療育を始めた当時、娘の物の名前や属性が良く分かっておらず、まずは身の回りの物の名前を教える必要がありました。最初は課題ができるたびにご褒美を与えていました。しかし、慣れてくると徐々にご褒美を減らしていく必要があります。とはいえ子どもの療育に対するモチベーションは維持していかなくてはなりません。発達障害児の療育には、子どもが好ましい行動をするたびにご褒美としてトークンを与え、あらかじめ決めておいた数だけトークンを集めることができたらご褒美を与えるトークンエコノミー法がよく使われるのですが、我が家では画像のトークンを自作しました。鉄製の平べったい筆箱と磁石を5個買ってきて、課題が1つできるたびに磁石をくっつけさせ、5個付けるとご褒美を貰えるというものです。これを作ることで、磁石をくっつける楽しさやそれがたまっていく過程が分かり易いこともあり娘のモチベーションも落ちずにすみました。また他にも100円ショップのアイテムを療育グッズとして活用していました。例えばプラスチック製の緑・黄・赤色スプーンとフォークをそれぞれ3組買って来て、同色や同形でマッチングさせたりしました。絵を模倣させるための画用紙や、マッチングに使う色違いの製品、おもちゃの積み木など、100円ショップはアイデア次第で療育グッズの宝庫です。物の名前を覚えるのに大活躍!「くもんの生活図鑑カード」シリーズ出典 : 今でこそ、インターネットでなんでもそろう時代ですが、私たちの頃はまだそこまで普及していませんでした。なので、書店などで「くもん」から出ている「やさいくだものカード」「たべものカード」「のりものカード」(くもんの生活図鑑カード)などを購入し、療育に使いました。くだものやさいカード〈1集〉 (くもんの生活図鑑カード)このくもんのカードには、カード1枚に1つの絵がまるで写真のように本物そっくりに描かれています。我が家では物の名前付け、カテゴリー分けの練習などに使いました。・名前付け・・・りんごのカードを1枚机に置いて「りんごはどれ?」→指差しさせる、「これは何?」→「りんご」と答えさせる・物の区別・・・りんご、みかんのカードを置いて「りんごはどれ?」→どちらかを選ばせる・カテゴリー分け・・・車、船、飛行機、電車のカードを置いて、「空を飛ぶものは?」と言って飛行機を選ばせる。同様に「水の上に浮かぶもの」「線路の上を走るもの」「陸を走るもの」も。また、やさいくだものカードでは全てのカードを置いて「やさいとくだものに分けて」と言う。絵がリアルなせいか、このカードでの練習で娘は徐々に物の名前とその機能を理解していきました。教材はカードでなくても本でもよいのでは?と思われるかもしれません。しかし、本だと同じページに絵が複数載っていることがあり、子どもが集中できないかもしれません。カードだと、目的の絵だけを教えることができるので分かり易いと思います。新聞の折り込みチラシを使った療育グッズ出典 : 市販の物以外にも、お金をかけなくても身近にあるもので教材を作ることが出来るものがあります。それは新聞の折り込み広告のチラシを利用したものです。広告にはモデルさん(男の人、女の人、子供、お年寄り)などの写真が載っています。これらを切り抜いて、カテゴリー分けに使いました。目的はくもんの生活図鑑カードと重なりますが、こちらは無料で作ることができます。切り抜いた人物をいっしょに混ぜておき、「男の人はどれ?」「男の人と女の人に分けて」などと言って、たくさんある中から同じ仲間に分けさせたりします。同様に、果物や野菜、肉、その他の商品などの写真を利用してカテゴリー分けの練習を行いました。カテゴリー分けの練習に生活図鑑カードとチラシの両方を使うことは、自閉症児が苦手だととされる、本質的ではない違いを無視して「同じもの」として扱う「汎化」の練習にもなりました。親が子どもといっしょに、気軽に出来る療育を!出典 : お金をかけてもかけなくても、工夫次第で療育の教材は身近にあると思います。チラシに載ってる商品が分かるようになると、今度はそのチラシを持って実際にお店に一緒に行ってみるのもいいかもしれませんね。
2017年02月25日知的障害者向けの療育手帳、発達障害の私は取得できないの?出典 : 現在、発達障害者のためだけの独自の手帳制度はありません。発達障害者のための法律は、2005年にやっと「発達障害者支援法」が施行されました。ですが手帳制度は定められていません。そのため、知的障害者に発行される療育手帳か、精神障害者保健福祉手帳がその代わりになっているというのが実情です。少し、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の制度について調べてみました。療育手帳は、1960年に施行された「知的障害者福祉法」には記述がなかったのです。1973年9月に当時の厚生省が出した通知「療育手帳制度について」に基づいて、各都道府県知事(政令指定都市の長)が知的障害と判定した人に発行するようになりました。それ以前にも独自に療育手帳を発行していた自治体もあったそうですが、1973年までは国の法律に基づいた制度ではなかったのですね。精神障害者保健福祉手帳は、1995年(平成7年)に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づいて、各都道府県知事(政令指定都市の長)が発行しています。私は、「発達障害で、実際にかなり生活や仕事で困難を感じているのになぜ療育手帳を取ることができないのか?」という疑問を抱いていました。療育手帳では受けられても、精神障害者保健福祉手帳では受けられないサービスもありますし(特に交通関係のサービスは療育手帳の方が手厚いです)。そして「それなら実際に取得のチャレンジをしてみよう」と決心したのです。大人になってから療育手帳を取るには、どんな手続きが必要?出典 : 大人になってから療育手帳を取るためには、まず市役所等の障害福祉課に申し込む必要があります。申し込んでからしばらくして日時を指定されて、市役所の職員から成育歴や現在の生活の状況などの聞き取りが 約1時間ありました。そして、「取れてB2(一番軽度)ですね。また都道府県の指定機関で検査を受けてもらうので、日時が決まったら連絡します」と言われました。役所での聞き取りから約1カ月後、都道府県の指定機関から連絡がありました。そのときに「子どもの頃のことを聞かせてほしいのでご両親に同行してもらってください」と言われました。父はもう亡くなっているので母にお願いしました。けっこうな歳なので申し訳なかったですが。しかも「そんな昔のこと覚えてない」って言われますし。けっこう不安な気持ちになりました。ちなみに親が高齢で足を運べない場合は、電話での聞き取りになるそうです。親がいない場合はどうなるんでしょうね…?検査を受けた結果は、手帳の取得は…出典 : 検査の流れは、午前中に2時間かけて私はWAIS-Ⅲを受け、その間に母は別の部屋でチェックシートに回答し、それを心理士さんが見ながら追加で質問をいろいろと受けるというものでした。WAIS-Ⅲは途中で休憩をはさみながらも2時間少々で終わりました。心理士さんはとても手慣れていて、検査のベテランという印象でしたね。お昼過ぎに母と合流し、20分間待って母と私を担当した心理士さんたちによる結果の見通しと所見の説明がありました。結果から言うと、「療育手帳の支給はできません」でした。理由はわたしのIQが100を超えていたこと、成育歴に特に問題もなく、大学に進学したことがトドメになったようです。療育手帳の審査ではふたつのことを見るそうです。1.検査でIQを計る2.成育歴で、18歳までに知的障害の状態であったかどうかどちらでもダメだったわけですね。心理士さんにズバリと聞いてみました。「私みたいな知的に問題のない発達障害の人が検査に来ることってよくあるんですか?」すると「はい、けっこう多いケースです。やはり手帳を取っていただくことはできませんが」と答えてくれました。この日も何組もの親子が検査を受けに来ていました。検査を受けに来る人はとても多く、忙しい状態が続いているそうです。WAIS-Ⅲの所見も簡単ではありましたが、説明してくれました。もう少し詳しい所見がきけるのかと思っていましたが、分析する時間もほとんどなかったでしょうし仕方がないのかなと感じました。最後に、精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービスについての案内がありました。発達障害に関する啓発パンフレットも、親子に1セットずつくれました。WAIS-Ⅲの結果レポートは、頼めば切手代だけで自宅まで郵送してもらえました。私は医師に提出するためにお願いしました。判定基準は都道府県によって異なります出典 : 療育手帳の判定基準は都道府県によってかなり異なります。甥が発達障がいのため、療育手帳の交付申請をしたが、知能指数が基準の75より1高い76であるという理由で却下された。社会生活に適応できないのに、手帳が交付されないことに納得できない。知能指数が高い発達障がい者も療育手帳の交付を受けられるようにしてほしい。私が住む県では、知能指数が高い自閉症などの発達障がい者には、交付基準に該当しないとして交付されないが、他の県や政令市では交付されている例があると聞いた。療育手帳の交付に当たっては、全国の発達障がい者が平等に手帳の交付が受けられるよう、交付基準を統一してほしい。どこに住んでいるのかによって、判定基準が大きく異なるというのは制度として大きな問題があると思いました。必要な人が手帳を取れる世の中に出典 : 今回の経験で感じたのは、「発達障害の生きづらさはIQで測れるものではないのに、どうして『実生活でどれだけ困難を感じているか』ということを考慮してくれないのだろう」というむなしさでした。そして、療育手帳の基準の地域差が公的文書で問題になっているのに、事務的に振り分けられることの理不尽さを感じました。大人の発達障害は今までほとんど理解されることはありませんでした。少しずつ社会も変わろうとはしていますが、現実としては「努力してもできない」「なまけているのではない」ということも理解されず、SOSを出したくてもうまく福祉につながれない人が多いと思うのです。発達障害が社会的に認知されるためにも、そして発達障害のために生きづらい人が顔をあげてイキイキと生きていくためにも、手帳を必要とする人には公正にスムーズに手帳が手に入る世の中になってほしいと思います。そして、発達障害者のための手帳ができることを心より願っています。
2017年02月24日ひいおじいちゃんの膝の上は、自閉症の息子の特等席子供達が冬休みに入り、普段は離れて暮らす私の実家に帰省したときのことです。ひいおじいちゃんが居間で新聞を読んでいると、自閉症のある長男がそっと寄っていきました。Upload By シュウママ言葉のあまり出ない長男は「新聞邪魔、そこは僕の場所!」といわんばかりの態度で、黙ってうっとおしそうに新聞を払いのけ、ぺたりとひいおじいちゃんの膝の上に腰をおろしました。Upload By シュウママ特等席の膝に陣取ると、長男はじっとひいおじいちゃんの顔を見ながら嬉しそうな笑顔を向けます。ひいおじいちゃんも笑って長男の頭をなでてくれます。言葉は交わさなくとも「ひいおじいちゃんは絶対、僕が膝に乗ったらいい子いい子してくれる」、そんな安心感が長男の仕草や表情から伝わってきたことを覚えています。Upload By シュウママいちばん大変な時期に、慣れない双子の育児に関わってくれたひいおじいちゃんひいおじいちゃんと双子は幼いころから深く関わってきました。8年前、低体重で生まれた長男は生まれてすぐ難病があることがわかりました。そのまま大学病院へ検査入院することになったのですが、その間双子の次男の面倒を見てくれたのがこのひいおじいちゃんだったのです。Upload By シュウママ双子ということで里帰り出産だったのですが、私は出産前2ヶ月間、切迫早産で入院していました。当時私の母が看病にあたってくれていたのですが、心臓の持病と、長男の病気の心労が重なり臥せってしまいました。そのため日中だけでも次男を見てくれれば・・と思いひいおじいちゃんを頼ったのです。戸惑いもあっただろうにそんなことはおくびにも出さず、とても献身的に見てくれました。育児経験がないにも関わらず、長男の退院後も産後の私を気遣って、オムツを替えたりミルクを飲ませたり、慣れない手つきで小さな双子に存分の愛情を注いでくれたのです。Upload By シュウママ自閉症の長男が、ひいおじいちゃんに心をひらく理由は?けれど長男がひいおじいちゃんを好きなのは、それだけが理由ではありません。自閉症特有の行動なのでしょうか、長男はコップの水をわざとこぼして、流れていく様子をじっと見ていることがあります。Upload By シュウママそんな時、私を含めて誰もが叱るけれど、ひいおじいちゃんだけは、そんな長男の様子を興味深そうに穏やかに見つめています。どんなイタズラをしても、絶対に怒らず笑顔を絶やすことがないのです。自閉症の長男も、定型発達の次男も、誰もが双子を可愛がってくれます。けれど言葉もあまり出ず、言動も幼い長男のことは、悪気なく皆赤ちゃん扱いしてしまいます。無意識ではありますが、私自身も例外ではなかったかもしれません。Upload By シュウママ本を破いたり、かんしゃくをおこしたりする長男を目の前にすればそれは無理からぬことだと思います。けれどどんな状態の長男と接しても、ひいおじいちゃんは「シュウは頭の中にたくさん言葉があるぞ。言葉が出れば気持ちも落ち着くぞ。お前はかしこいかしこい子だよ」そう言い続けてくれたのです。長男がかんしゃくをおこすのは、思いをうまく言葉にできないもどかしさゆえだということを、ひいおじいちゃんは気付いて理解してくれる唯一の人だったのでしょう。Upload By シュウママ認めて寄り添う大人の存在が、息子の心を開いてくれる自閉症の子供を持つ親御さんは、何度注意しても同じことをする、どれだけ注意しても伝わらないという葛藤があるのではないかと思います。そのうち、話しかけることにすら億劫になる、私自身がそうだったのかもしれません。けれど、どうして同じ行動を繰り返すのだろう?と子ども自身の気持ちになって考え、ほんの少しでも心に寄り添ってみれば、子どもは心を開いてくれることもあるのかもしれません。好奇心にあふれた目で自分を見てくれるひいおじいちゃんの笑顔、「シュウはかしこいよ」と投げかけてくれる優しい言葉……。ひいおじいちゃんはそのままの長男を認め、表には見えにくい長男の心の成長に気づいて接してくれている。少なくとも私には、長男はそのことをちゃんと分かっているのではないかと思うのです。だからこそ、長男はひいおじいちゃんが大好きなのかもしれません。
2017年02月16日最近、モデルで俳優の栗原類さんが自ら発達障害の告白を行うなど、テレビや新聞、インターネットで、発達障害のことがよく取り上げられるようになった。そんな中、自分の子の発達に気になることがあり、「もしかして発達障害なのでは?」と不安に思ったり、すでに診断を受けたりして、この記事をクリックした人もいるのかもしれない。わが子が発達障害と診断された場合、親が、まずはじめることは療育だ。だが、ほとんどの親は、そもそも療育という言葉すら、その時になって初めて聞くことが多いのではないだろうか?そこで今回は、『療育なんかいらない!』の著者であり、独自の理論で放課後デイサービスを展開する「アイム」の佐藤典雅さんにインタビュー。発達障害をもっと理解するために必要なことを、経験談を交えて語ってくれた。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■わが子が「発達障害」だと診断されたとき筆者の息子が自閉症スペクトラムと診断された時も、そうであった。療育の意味もよくわからないまま、「とにかく早期療育が大事」「ABA(応用行動分析学)が効果的」などと初めての情報に右往左往し、診断を受けたばかりの混乱の中、さまざまな焦りと戦いながら模索していた。そして、療育に通いはじめてからは「2歳から始めたんだから大丈夫」などという周囲の言葉に、療育に過剰な期待を持ってしまったり、療育での子どもの出来に一喜一憂してストレスを抱えてしまった苦い経験がある。だからこそ、『療育なんかいらない!』というタイトル本はとても目を引いた。しかも、著者の佐藤さんは、本場アメリカで息子さんの療育を9年間も受けてきた人だ。取材を申し込まずにはいられなかった。■「発達障害」を、ありのままを受け入れる場所を作ろう―― 佐藤さんは、自身の息子さんの自閉症の療育のために、家族でロサンゼルスに引っ越して、9年間も本格的な療育を受けています。それなのに、なぜ「療育なんかいらない」という考えに至ったのでしょうか?佐藤典雅さん(以下、佐藤さん): 息子のがっちゃんが3歳児検診で「自閉症傾向」と診断された時、僕は自閉症も療育もほとんど予備知識がありませんでした。そこで、調べていくうちに、ロサンゼルスがもっとも療育対策が進んでいるらしいということが分かったので、家族で引っ越すことに決めました。―― ロサンゼルスの療育はいかがでしたか?佐藤さん: 最初の頃は、しっかりした療育を受ければ、がっちゃんの問題行動が改善するのでは? と期待していたんだけど、がっちゃんの問題行動は一向になおらず(笑)。その様子を見て、療育とは問題行動を改善するものではないと気づいたのです。―― そこで、目標設定を変えることにしたんですね。佐藤さん: 療育によって問題行動が変わることを期待するのではなく、「わが子にとって適切な環境とは何か?」を考えるようになりました。そして、もし療育が発達障害を治すものでないならば、自身の放課後デイで療育を提供すべきではない、との結論に至りました。―― 放課後デイで療育を行うのは、もはや常識となっています。療育なしの放課後デイとは、かなり思い切った決断ですね。佐藤さん: 放課後デイを設立中、面談に訪れる高学年以上の子どもをもつ親から、「療育ではなく、この子の居場所を探しています」という言葉をよく聞くようになったのも後押しになりました。―― わが子の行動を改善する場所よりも、わが子が安心していられる居場所を求める親が多かった、ということでしょうか。佐藤さん: 子どもが小さいうちは、その子の実力や可能性が見えにくいから、親は療育に期待しがちです。さらに、今は「早期療育」の大切さが力説されているので、特に親は熱心に療育する傾向がある。―― お子さんの年齢が上がると、変わってきますか?佐藤さん: 子どもの年齢が上がるにつれて、だんだんとその子が持つ本来の力がみえてきます。そして、ある時、それは療育の問題ではない、ということに気づくのだと思います。―― 療育では解決しない部分がある、ということに気がつくと。佐藤さん: そうです。すると、次の段階として、その子のありのままを受け入れてもらえる環境が必要となる。そこで、「アイム」の放課後デイでは、発達障害のままを受け入れてくれる居場所を作ろうと思いました。そして、子どもたちが自分自身でいられる環境を、自分の感情を表現したり、引き出したりできるプログラムを用意しようと考えました。―― それでは、アメリカでの療育生活はどのような意味があったと思いますか? 佐藤さん: 一番意味があったのは、人との関りです。がっちゃんも療育で大好きなセラピストたちと時間を過ごすことを、とても楽しんでいました。そこで私は、「アイム」の放課後デイでは療育プログラムではなく、人との関わりを提供すべきだと思いました。だから、うちの採用基準は厳しいですよ(笑)。第一条件は、子どもたちから好かれるということ。どんなに人手不足でも、子どもたちと合わない人は採用しません!■療育はほどほどに。―― 私自身は息子の療育を経験して、やはり良かったと感じています。確かに、「とにかく療育でなんとかしなければ」とストレスを感じていた頃もありましたが、今では楽しい遊び場のひとつとして、そして日々の生活で困っていることなどを専門の先生に相談してアドバイスを受けられる場として、とても心強いと感じています。佐藤さん: もちろん、僕も療育のことを全否定しているわけではありません。ただ、今の療育は子どものためというより、親が納得するためにあるように感じてならないのです。療育に熱心なお母さんが一番よく言うのは、「後になって、あれをやればよかった」っていう後悔をしたくない、ということ。また、「早ければ早いほど良い」とか「どんなに遅くても4歳までに始めないと手遅れだ」などとせかされて、本来親を救うべき療育そのものが、逆に親を追い込み、療育に効果を求めるあまり、親も子どもも多大なストレスにさらされているように思えてならないのです。―― 確かに、「療育で子どもが良くなる」と過度な期待を寄せてしまうと、子どもが変わらない場合、まるで子どもと親の努力不足のように感じてしまいそうです。また、他人から「療育のおかげで成長した」などという話を聞くと、つい、わが子も療育さえ受ければ同じように伸びると思ってしまいがちですね。だけど、他の子が伸びたからといって、自分の子どもも同じようになるとは限らない。その子が持つ力も個性も障害の程度も、それぞれに違うから。佐藤さん: 僕は、人のキャパシティっていうのは子ども一人一人によって違い、療育を受ける受けないにかかわらず、それぞれの能力が伸びる器のサイズに左右されると思っています。つまり、どれだけ療育を施したところで、その効果はその子が持っている上限値を超えることはない、とういこと。―― どういうことでしょうか?佐藤さん: どんなにかけっこをがんばっても、全員がオリンピックに出られるほど早くはなれないでしょう? それと同じことです。親が、子どもが持っているキャパシティ以上の効果を療育に求めてしまうと、子どもにも親にも多大なストレスがかかってしまう。そして、本来大切なところ、「いかに人生を楽しく生きるか」ということに目がいかなくなってしまう危険がある。だから、僕は、療育はほどほどがいいと思っているんです。―― もし、佐藤さんがもう一度子育てするとしたら、もう療育はしないのでしょうか?佐藤さん: やってみて、はじめて「ああ、無理だった」ってことがわかったので、多分、何もしないのは難しいと思います。ただ、療育をするなら、2つ条件があります。―― 佐藤さんの経験から編み出した条件ですね。今悩んでいるお母さんたちにぜひお聞かせください。佐藤さん: まずひとつは、その子のストレスにならないこと。もうひとつは、家庭の金銭負担にならないこと。子どもが楽しく療育に通って、親も負担にならないならいいと思います。でも、子どもが泣いて嫌がったり、親が必死になってやるようなものじゃない。■「普通」って何だろう?―― 療育で、親は子どもの自閉行動や問題行動が良くなり、「普通」になることを期待しますよね。だけど、そもそも「普通」って何でしょうね?「私は、この子にどうなってほしいのだろうか?」そう考えると、答えに詰まってしまう時があります。 佐藤さん: 僕は、もし療育で自閉症を治したいという人がいるなら、「自閉症の何を治すんだ?」って聞きたい。―― 自閉症は治す、という種のものではないということですね。佐藤さん: それって、本人の認識、認知を変えちゃうってことですよ?「そもそも人を形成している人格って何ですか?」というレベルの話なんですよ。「何をもってあなたなんですか?」って、すごく難しい問いじゃない?放課後デイで発達障害の問題に取り組んでから、「人って何なんだろう?」ってよく考えるようになりました。発達障害ってものすごく難しいテーマだよね。佐藤さんのお話を聞いて、発達障害の子育てを描いたコミックエッセイ『母親やめてもいいですか』(山口かこ・文/文春文庫)に書かれていた、ジム・シンクレアという自閉症当事者によって書かれた詩のような一節を思い出した。自閉症は人を閉じ込める殻ではありません中に普通の子どもが隠れているわけではないのです自閉症は私が私であること、そのもの私という人格から切り離すことはできません出典: コミックエッセイ『母親やめてもいいですか』(山口かこ・文/文春文庫) 「子どもの力をできるだけ伸ばしてあげたい」―― そう思うのは、親として当然だ。ただ、「普通に近づけたい」とがんじがらめにならず、子どもをありのままに受け入れ、その子にとって居心地のいい場所を作ってあげることの大切さも、改めて思い知った。次回は、「発達障害の子育てで、療育よりも大切なことは?」を伺います。取材・文・撮影/まちとこ出版社
2017年02月10日療育センターとは?出典 : 療育センターとは、一般的に障害のある子どもに対して、それぞれに合った治療・教育を行う場所のことを言います。しかし療育センターの定義は法律や制度で定められていないため、明確な定義がなく、指し示す施設もさまざまです。そもそも療育とは、「治療」と「保育・教育」を合わせた言葉です。障害のあるお子さんが社会的に自立できるように、専門的な教育支援プログラムを通してトレーニングをしていきます。しかし療育と一口に言ってもさまざまなのは、一人ひとりに合うように「治療の方法」や「保育・教育の方法」に多くのスタイルがあるからです。そのため「××療育センター」「××総合療育センター」と名前がついている施設であっても、どのような支援を行っているのかやどんな機能を持った施設かは、施設によって異なります。また、いくつかの機能の施設を併設した複合施設であることもあります。お子さんに合った支援をしてくれる場所を見つけることが大切なのです。この記事では、療育センターの中でも多く見られる障害児通所支援・障害児入所支援にあてはまる施設について、ご紹介します。「療育センター」といっても機能と果たす役割はざまざまです出典 : 「療育センター」とひとことでいっても、実際は児童福祉法で定められる施設のどれかに当てはまる場合がほとんどです。児童福祉法は、障害のある子どもが住んでいる地域で療育や支援を受けやすくするために設けられました。2012年に改正された児童福祉法において、障害のある子どもに対する支援は、主に障害児通所支援と障害児入所支援があります。また「療育センター」の中には、いくつかの機能が同じ施設に集まっている場合もあります。以下に、児童福祉法における各施設の役割について詳しくまとめました。<障害児通所支援>・児童発達支援(児童発達支援センター・児童発達支援事業所)日常生活の自立支援や機能訓練、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供するといった支援を行います。・医療型児童発達支援(医療型児童発達支援センター)児童発達支援の役割に加えて、医療を提供します。・放課後デイサービス6~18歳の就学児童(※場合によって20歳まで)が通います。授業の終了後や学校が休みの日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進などを目的とした多様なプログラムを設けています。・保育所等訪問支援専門知識を持つ児童指導員や保育士、理学療法士などが、障害のある児童が通う保育園・幼稚園を訪問します。障害のある子どもや保育園・幼稚園のスタッフに対し、集団生活に適応するための支援や支援方法の指導を行います。<障害児入所支援>・福祉型障害児入所施設児童福祉法改正前の知的障害児施設支援、盲ろうあ児施設支援、肢体不自由児施設支援、重症心身障害児施設支援にあたります。主に対象とする障害以外の場合でも、その障害に応じた適切な支援を提供します。・医療型障害児入所施設福祉型障害児入所施設の機能に加え、医療を提供します。療育センターは、「医療型児童発達支援」や「医療型障害児入所施設」にあてはまる施設が一般的であり、加えて「児童発達支援」の通園クラスが設けられている場合も多いです。また「児童発達支援」のみなど「医療型」の機能を持たない施設や、放課後等デイサービスといった機能を併せ持つ施設もあります。この支援の施設だから良い、というわけではなく、お子さんに合った施設を見つけることが大切です。利用を検討している施設がどどの支援にあてはまるのか、どんな療育を行っているのかなど、あらかじめ知っておく必要があるでしょう。お住まいの地域の「療育センター」が実際はどの機能を持っているかは、各施設のホームページなどで確認してみてください。参考:障害児及び障害児支援の現状|厚生労働省療育センターを利用できる対象って?出典 : 療育センターを利用できる対象者は、実際は施設が児童福祉法で定められている各支援のどれに該当するかによって異なります。つまりどの支援を受けるかによって違いがあります。また児童福祉法にあてはまるサービスは、療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていない場合でも、受給者証を持っていれば利用できます。受給者証とは、児童福祉法に基づく支援・サービスを利用するために必要となる証明書です。受給者証をもらう流れやかかる費用などについては、記事の後半でご紹介します。医療型児童発達支援、医療型障害児入所施設を利用できる対象者は、以下の通りです。・医療型児童発達支援上肢、下肢又は体幹の機能の障害(肢体不自由)があり、理学療法等の機能訓練または医学的管理下での支援が必要と認められた、知的障害児(自閉症児)、肢体不自由児、重症心身障害児が対象です。・医療型障害児入所施設施設等に入所して、保護、日常生活の指導、自活に必要な知識技能の付与及び治療を行うことが必要と認められた子どもが対象です。また、療育センターにおいて、児童発達支援や放課後等デイサービスなどのサービスを利用する際の対象も、児童福祉法に基づきます。・児童発達支援身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)が対象です。具体的には乳幼児健診などで療育の必要があると認められた場合や、保育園や幼稚園に通っているが併せて障害の特性に合った専門的な療育・訓練が必要と認められた場合などがあります。・放課後等デイサービス身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある就学児童(発達障害児を含む)が対象です。ただし引き続きサービスを受けなければその福祉を損なう恐れがある場合は、満20歳に達するまで利用可能です。療育センターで受けられるサービスって?出典 : ◇診療診療部門では、小児科、児童精神科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、小児科などの外来診療を受けることができます。さらに医師による診察後、個別あるいは集団での療育が行われます。個別療育では、言語療法、作業療法、理学療法、心理指導などが行われます。医師の判断に基づき、子どもの発達評価がされ、一人ひとりにあった支援につなげます。一方で、集団の場合は親子遊びなども行われます。さらに個別療育指導の一環として、子どもの発達状態や療育方針などに関する相談活動や、保護者向けの療育講座などがあります。◇通園通園の場合は主にグループでの療育活動が行われます。子どもだけ通園する場合と親子通園があり、親子通園は親が参観する場合や親子で活動する場合などさまざまです。・子どもだけのグループ活動「ごっこ遊び」や「粘土遊び」といったテーマ遊び、「リズム運動」などのプログラムがあります。集団ならではのお互いの刺激や喜びを体験しながら、一人ひとりの発達を促すことが狙いです。・親子グループの活動「親子遊び」「親子体操」などがプログラムにあります。集団での活動を通して発達を促す他に、保護者が子どもの発達を促す関わり方を学ぶことができます。ダウン症など、障害が早くに分かっている場合には、早期からの日常的な発達促進の働きかけが有効であることから、親子グループの中で、発達を促す遊びや訓練を行います。さらに家庭生活の中でも、それを活用し継続して行い、発達を促していきます。・保護者のグループ活動親子通園において、子どもが療育の場やスタッフに慣れてきた段階で、並行して保護者のグループ活動も行われます。また子どものみの通園の場合でも、定期的に保護者のグループ活動を催すことがあります。集団活動での取り組みや個々の子ども発達確認、療育方針の確認などを療育スタッフから保護者に伝えるのみならず、保護者間のコミュニケーションを促し、共感しながら学び合うという役割があります。出典 : ◇診療小児科、神経科、リハビリテーション科、外科、歯科など各専門の医師が、入所している子どもの診療や外来診療を行っています。また入所する際には、リハビリテーションセンターや小児科の受診、ソーシャルワーカーとの面談などを必須としているところもあるようです。◇入所一人ひとりの身体機能の改善を目的に、理学療法や作業療法、言語療法など、お子さんの状態に応じたリハビリテーションを受けることができます。さらに、血液・心電図・脳波などの検査が受けられる、人工呼吸器などの医療機器が備わっている施設もあります。施設での生活はリハビリの時間のほか、発達のレベルに合わせたクラスでの活動、散歩の時間なども設けられています。日ごろの活動以外に、季節ごとに行事がある施設もあるようです。規則正しい集団生活と子ども同士の関わりによって、社会性を身につけることができます。さらに医療型障害児入所施設には、親子入所、社会的入所などの入所タイプが設けられている場合があります。それぞれ入所期間や目的が異なります。・親子入所短期間、保護者と子どもが一緒に入所します。対象児童は、障害児入所施設への入所対象である児童のうち、低年齢(おおむね2歳~6歳)であり、かつ、親とともに短期間入所させることにより療育効果が得られると認められる児童です。リハビリなど必要な療育を行い、あわせて、家庭に復帰した後においてもスムーズな療育ができるように、保護者に対して指導をしてくれます。・社会的入所家庭の事情により長期的な在宅生活が困難な場合や、家族の病気や出産などによって一定期間在宅が困難な場合に入所することを言います。◇地域療育支援重度の障害があるお子さんを持つご家庭に対し、必要な医療や訓練、指導といった療育相談をはじめとして経済問題や家族問題など、相談支援を行っています。また施設によっては、訪問による健康診断を行っている場合もあります。出典 : 療育センターの相談窓口では、生活、家庭、教育など総合的な援助を提供してくれるソーシャルワーカーに相談できます。就園・就学や福祉サービスについて、子育ての悩み、家庭環境のことなど幅広く相談できます。さらに療育センターの利用を検討している際でも、相談窓口を利用できます。療育センターの利用についてや療育方針などについて、聞いてみるとよいでしょう。日常における子どもの関わり方、障害の捉え方や対応の仕方、保育・教育の場の選択など、あらゆる相談に対応する場となっているのです。また療育センターにおいて、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用する場合は、以下の関連記事を参考にしてみてください。療育センターを利用する流れ出典 : 乳幼児検診などに心身の障害あるいはその可能性が見つかった場合、保健センターにおいて、発達の見極めのための療育相談や経過観察が行われます。その後、障害や発達の遅れなどが明らかになったときに、専門病院の受診や療育センターの利用へと繋がっていきます。また、通常の保育所・幼稚園に通っている際に、障害や発達の遅れがだんだんと明らかになってくる場合もあります。このケースは、保育所や幼稚園の巡回心理・発達相談や、保健センター・保健所の療育相談などの利用後、専門医療機関や療育センターを利用するという流れになります。療育センターを利用する際の手続きは、児童福祉法における障害児通所支援と障害児入所支援で異なります。例えば、児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービスを利用する場合は障害児通所支援、医療型障害児入所施設を利用する場合は障害児通所支援の手続きになります。◇利用相談療育センターを利用する際は、はじめに利用相談をしましょう。療育センターでどのようなサービスを受けるかによって、相談窓口が異なります。・障害児通所支援障害児通所支援の相談窓口はお住まいの市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所等となります。・障害児入所支援障害児入所支援の相談窓口はお住まいの地域の児童相談所となります。しかし障害児入所施設の利用に迷う場合は、まずはお住まいの市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所などに相談するのがよいでしょう。◇施設見学・相談実際に利用したい療育センターに足を運び、施設利用について相談してみましょう。施設によっては障害児施設利用計画案を作成してくれる場合があります。◇申請書等の提出療育センターを利用するためには、受給者証が必要です。受給者証には、児童発達支援や放課後等デイサービスといった通所支援を受けるために必要な通所受給者証と、施設に入所して支援を受ける入所支援を受けるための入所受給者証の2種類があります。受給者証取得のため、障害児通所・入所給付費支給の申請を行いましょう。必要な書類は、市区町村によって異なるため、事前に確認することが必要です。・障害児通所支援市区町村の福祉担当窓口にて、障害児通所給付費支給の申請を行います。・障害児入所支援お住まいの地域の児童相談所にて 障害児入所給付費支給の申請を行います。◇調査・審査支給の有無やサービス内容の決定のために聞き取り調査(ヒアリング)を受けましょう。障害の種類や程度をもとに、要件を満たしているかどうか、また子どもに必要だと考えられる適切なサービスの量や内容について検討されます。・障害児通所支援…市区町村の支給担当窓口によって検討されます。・障害児入所支援…児童相談所の担当者によって検討されます。◇受給者証の交付支給が決定したら、「通所受給者証」・「入所受給者証」が交付されます。・障害児通所支援「通所受給者証」が発行されます。・障害児入所支援福祉型と医療型は交付される受給者証が異なります。福祉型:「入所受給者証」医療型:「障害児施設医療受給者証」「入所受給者証」受給者証の取得方法や障害児施設給付制度などについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。出典 : 各施設によって、療育プラン検討の流れは少しずつ異なります。ここでは療育を受けるまでの流れの例をご紹介します。1.ソーシャルワーカーとの面談日常生活で困っていることがあれば、具体的に伝えるようにしましょう。2.医師による診察診断名を知りたいときは、ここで聞きましょう。総合病院の診療を紹介してもらうケースもあります。3.発達検査・知能検査実際の行動やコミュニケーションも観察して、発達の特性を見ます。お子さんの特性に基づいた関わり方の相談をすることもできます。4.療育方針の検討ソーシャルワーカーが幼稚園や保育園を巡回訪問し、日ごろのお子さんの様子を見てくれます。これまでの流れをもとに、療育プランが検討されます。療育センターの施設利用にかかる費用と減免措置出典 : 受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが受けられます。障害児施設給付制度は、児童福祉法に基づき、障害児通所給付費あるいは障害児入所給付費として国と自治体から利用料の9割が給付されることにより、自己負担1割でサービスを受けることができる制度です。負担額は世帯の収入によって変わり、サービスが受けられる日数もこの受給者証に上限が記載されています。月ごとの利用者負担額には上限があり、その上限額を超えて自己負担をすることはありません。その上限額は前年度の所得によって4つの区分があります。・生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円・市町村民税課税世帯(前年度の年間所得がおおむね890万円以下の世帯): 通所施設、ホームヘルプ利用の場合4,600円、入所施設利用の場合9,300円・上記以外(前年度の年間所得がおおむね890万円以上の世帯): 37,200円出典:障害児の利用者負担|厚生労働省・多子軽減措置児童通所事業利用児童の未就学の兄・姉が、幼稚園等に通っている、もしくは児童通所支援を利用している場合、保護者が支払う利用者負担額が軽減されます。・その他の減免措置医療型入所施設を利用する場合は医療型や食費の減免があり、通所施設を利用する場合は食費の負担が軽減されます。さらに、自治体によっては独自の助成金がある場合もありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。参考:多子軽減制度の対象範囲の拡大について|中野区まとめ出典 : 「療育センター」という名前がついている施設でも、役割はさまざまです。療育センターの利用を検討している際は、「児童福祉法のどの支援にあてはまる施設なのか」「その支援を受けるための対象・手続き・費用」などを把握することが大切です。また療育センターの相談窓口は、施設を検討している際も利用することができます。お子さんの発達に気になる点がある、あるいは子育てに悩みがあるときなど、気軽に相談してみてください。療育センターや関連する制度について正しく理解することで、さまざまな役割を持つ施設の中から、お子さんに合った療育をしてくれる場所を見つけられるでしょう。参考:米山 岳廣、鳥海 順子、宮川 三平/著「病児と障害児の保育―基礎と実際」2008年文化書房博文社/刊
2017年01月31日重度の自閉症と持病のある長男の通院。ほっと一息つけたのはタクシーの中でした重度の自閉症があり、生まれつき肝臓と心臓に疾患を持つ長男は、赤ちゃんの頃から小児病院へ通っていました。車の運転ができない私は、双子の次男も連れて、双子ベビーカーを押しつつミルクとオムツの入った大きなバッグを背負い、電車に揺られて最寄りの駅へ。駅から病院まではタクシーで息を切らしながら通院していました。Upload By シュウママこの頃は双子の育児と長男の闘病で、精神的にも肉体的にも辛い時期でした。会計を済ませて病院から出ると、疲労感で頭もぼんやりしています。そのままタクシー乗り場に向かうと、利用者が少ないためか、たいてい同じタクシーが停車していました。何度か通院するうちに、自然と一人の運転手さんのタクシーに乗ることが多くなり、顔なじみになりました。白いあごひげを垂らしたこの初老の運転手さんが、ベビーカーを畳んだり泣いている双子をあやしたり……Upload By シュウママとりわけ心を配ってくださったことで疲れがほぐれ、温かい気持ちで家路につくことができたのです。病院へ通う回数を重ねるうち、次第に運転手さんとの交流も増えていきました。「会うたびに大きくなりますね」そう言って双子に微笑みかけてくださる、その温かい人柄にどれほど心が救われたことでしょう。立派なひげの運転手さんはサンタクロース!?でも長男の反応は…Upload By シュウママ子どもたちが3歳になったころのある日、私はこの運転手さんが白い見事に長いあごひげをたくわえているのを見てこっそり「運転手さん、本当はサンタクロースなんだよ」と子どもたちに耳打ちしました。次男は目を丸くし、タクシーの客席から感嘆の眼差しをおくっていましたが、言葉の理解が遅れていた長男は反応せず、いつもどおり窓の外を眺めていました。Upload By シュウママ長男にはまだわからないかな、と思いましたが、雪がパラパラと降る夕刻、寒さに震えながら病院を出た時、変わらず待っていてくれるこの運転手さんの存在は私たちにとって本物のサンタさんのようだったのです。病院の移転で、運転手さんとはもう会えなくなってしまう子どもたちが8歳になる今年、長男の通っている病院は、老朽化が進んでいることもあり移転になります。昨年の12月、最後の通院の日は雨が降っていました。病院を出ると、ぽつんと1台だけ停まったタクシーが目に留まり、長男と共に走りよりました。そこにはいつものように、サンタの運転手さんがいてくれたのでした。Upload By シュウママ「雨で滑るから足元に気をつけてください」と細やかな気遣いをしてくださり、最後の通院日にこのやさしい運転手さんに会えてよかった、と嬉しくなりました。帰りの車の中、私は運転手さんにこの7年間お世話になったことにお礼を言いました。すると運転手さんは照れくさそうに微笑まれながら、もう今年でタクシー運転手は引退することを話してくれました。病院は変わってもどこかでまた、偶然乗り合わせることもあるかもしれない-そう思っていたのに……もうこの運転手さんと会うことはないのだとわかると一抹の淋しさがあり、タクシーの中はいつもと違う雰囲気に包まれていました。今まで運転手さんに関心がないと思っていたのに…。長男の心に届いていたもの自宅に到着すると運転手さんもタクシーから降りて下さり、私は最後のお別れの挨拶を交わしました。Upload By シュウママその時のことです。車内ではずっと黙って窓の外を見ていた長男が突然、ありったけの大声を出したのです。Upload By シュウママとても驚きました。重度の自閉症である長男が、今日で最後だという私と運転手さんの会話を理解しているとは正直思っていなかったから。まして今まで自分から他人に声をかけたり、お礼の言葉を言う事は今まで一度としてありませんでした。あるいはいつもと違う悲しい空気を察したのかも知れませんが、必死に声を振りしぼった長男の姿には、今まで助けてくれた人への感謝の気持ちが滲んでいました。本当はずっと、抱き上げてくださった手や、優しい言葉が長男の心に届いていたのでしょうか。私は目頭が熱くなりました。運転手さんも驚いたように長男を見つめ、バイバイと小さく手を振ってくださいました。あの瞬間、一生懸命思いを伝えた長男の必死な姿を、私はずっと忘れないだろうなと思います。
2017年01月27日息子に療育を受けさせたい!しかし、立ちはだかったのは年齢の壁だった出典 : 皆さんは、お子さんがいくつのときに療育を始めましたか?早期療育という言葉も最近は耳にしますが、早期とは一体いつからを指すのでしょうか?わが子にいち早く療育を受けさせたかった私は、療育の施設探しに奮闘しました。今回はそのエピソードをご紹介いたします。息子は2歳で自閉症スペクトラムと診断を受けましたが、以前から気がかりなことがたくさんありました。衝動性があり声をかけるのですが、見向きもせずあっという間にどこかへ走っていきます。常に動き回る息子からは目が離せません。睡眠も不安定で、常に2, 3時間寝ては起きるを繰り返していました。息子と接するたびに何かが違う…と感じていました。そして、やっと取れた療育センターでの受診日。センターでは医師から、「自閉症スペクトラム障害」「ADHD(仮)」と診断を受けたのです。診断後に療育センターから伝えられたのは、・1対1の個別療育は行っていない・集団療育は行っているが、最低でも年少さんから・低年齢すぎると発達に個人差があり、似た特性を持つお子さんだけでグループを作ることが難しいこうした理由から「2歳では療育に参加できない」ということでした。施設を探しては電話をかけ、断られる日々出典 : 診断を受けたのに何もしないで待つなんて…私たち夫婦にはできませんでした。「療育センターがダメなら民間で探してみよう!」と、意識を変えました。とにかく少しでも早く療育を受けさせてあげたい。この一心で、我が家の療育機関探しがスタートしたのです。そんなとき、別の地域に住む友人から自治体によっては2歳からでも受け入れしている施設があると聞き、インターネットで探したり電話をかけたりしました。しかし、自治体が運営している施設の情報は、その自治区の住民でないと教えてもらえなかったのです。民間施設も探しましたが…私たちの居住区から近い場所にはありませんでした。また、区役所から事業所一覧表を貰う機会もありましたが、頂いた時点で掲載してある情報は2年前と古く、しかも電話番号と施設名しか載っていないため、1件ごとに電話をかける必要がありとても大変でした。電話をかけるたび、「え?2歳?2歳じゃちょっと…」というところや「居住区の方が優先です。」と早々に断られてしまうこともあったのです。受け入れてくれる施設をやっと見つけたけれど…出典 : やっと受け入れてくれそうな施設を見付けて見学に行っても、子どもへの接し方が厳しく「無理やり何かをさせる」「怒鳴って言い聞かせる」といった現場を目にしてしまうこともありました。ある事業所へ体験指導に参加したときのことです。息子は高い場所に上るのが好きで、その日もテーブルの上によじ登ろうとしました。その瞬間、先生が息子の目の前でテーブルを叩いたのです。その後、息子は委縮していました。また、衝動的にあちこち歩き回ろうとすると、手を強くつないで目的地まで引きずるようにして連れて行きました。「無理矢理で強引なやり方に見えるかもしれませんが、このタイプのお子さんにとって重要なのは、大人に従わせること。主導権は常に大人にあるのだとうえつけることが必要になります。」と、職員の方は説明していました。この方針を聞き、素人の親目線から感じた率直な気持ちは、「安心して息子を預けることができない事業所はやめよう」というものでした。やっと見つかった、息子に合った療育先出典 : その後も諦めず、インターネットで検索する日々が続きました。そんなとき、ある施設を見つけて電話したところ、「会ってお子さんの様子を見てみたい」とのこと。2歳になったばかりだと伝えると「2歳でも療育は開始することができるんですよ。衝動性があっても、お子さん側に寄り添った対応をしてあげることができます。」と言われ、安心したのを覚えています。やっと息子を安心して預けられる施設を見つけた!そう実感しました。安心して利用できる療育先を見つけるまでとても大変でしたが、諦めずに探し続け、本当に良かったと思っています。療育は子どものためだけじゃなかった!子育ての不安をそのままにする前に出典 : 療育を受けるようになってからというもの、・意思の疎通が以前よりできるように・興味に広がりがでてきた・目の前の人の話を、以前より聞けるようになったこのような変化が見られ、自宅で息子の対処に困ることが減ってきました。息子がこうして大きな成長を遂げたのは、療育での経験が大きいと思います。施設では、息子の行動や心理面を第三者の立場で分析してくれ、対策を一緒に考えてくれます。出典 : 一方で、パートナーや親族から早期に療育を受けることを、反対されてしまうケースもあるようです。それは、子どもがまだ2歳前後で小さい場合、行動や言葉の発達にもまだ個性が表れにくく、「もう少し様子を見よう…」と判断する方も多いからなのだと思います。また、「この子は他の子とちょっと違う…」そうした小さな違和感は、常に側にいる母親なら気付くかもしれませんが、普段あまり関わりの無い家族では、なかなか気付けずに「気のせいだよ」と一蹴されることも少なくありません。この場合、子どもと母親だけが取り残され、子どもは適切な支援が受けられず、母親も味方がおらず孤独に苦しむのではないでしょうか?でも、子どもや私たち親の笑顔が増えれば、家族みんなの暮らしが安定できるのではないかと思います。価値観の違う周囲の理解を得ることは簡単ではありませんが、子どものためにも親御さんの笑顔のためにも、不安な場合は相談だけでもしてみてはいかがでしょうか?
2017年01月22日夫婦ではじめたネット上の小さなお店余白の美しい洗練されたウェブサイトと、そこで取り扱う家庭に溶け込むおしゃれなデザインの商品の数々。いい意味で、これまでの「療育」のイメージとは一線を画すような療育グッズを取り扱う通販サイト「tobiraco(トビラコ)」が2016年12月にオープンしました。元子育て雑誌の編集者だった平野佳代子さんが夫婦で立ち上げたサービスです。Upload By 発達ナビニュース道具で発達を応援tobiraco(トビラコ)人の話を最後まで聴けない、自分だけしゃべり続ける、自分の気持ちをうまく表現できないといった課題のあるお子さんが、遊びながらコミュニケーションを学べる「きいて・はなしてはなして・きいてトーキングゲーム」という商品や、手先が不器用で服が上手くたためないお子さんのための「たたみ方れんしゅうボード」など、生活の中で使える療育グッズを取り扱っています。Upload By 発達ナビニュースきいて・はなしてはなして・きいてトーキングゲームUpload By 発達ナビニュースたたみ方れんしゅうボードこれらのアイテムは、発達に課題のある子どものために学校や塾、そして療育の先生が考案したものを、デザインを洗練して開発したもの。店主の平野さんが前職の子育て雑誌の編集時代に出会った教材たちを、もっと広く世に伝えていきたいという想いから生まれました。これらの道具にはそれぞれにストーリーがあり、開発に至った過程や具体的な使用方法がサイト上で丁寧に説明されています。Upload By 発達ナビニュース今回発達ナビ編集部は、2016年12月に産声をあげたばかりのトビラコを運営している平野さんにお話をお伺いしてきました。トビラコ平野さんにインタビュー―12月末にトビラコをオープンしたとのことですが、どういった反響がありましたか。とあるブロガーさんがトビラコを見つけ紹介してくれたおかげで、結構な数の注文につながりました。大変有難いです。また知り合いや知り合いの知り合いの方々から、暖かいサイトだね、とか、居心地のよい部屋にいる感じがするサイトだね、などといったお言葉を頂いています。―現在はどういった商品が特に売れていますか。一番売れているのは「きいて・はなしてはなして・きいてトーキングゲーム」ですね。その次に売れているのが『「すわりかた」と「もちかた」お手本マット』です。実際にサイトオープンをしてみて想定していた以上に注文があったのは「見る目をかえる自分をはげますかえるカード(専用ウォールポケット付)」でした。かえるカードは専用ウォールポケットにこだわって特注で作ったため、値段設定が高めなのですがよく売れています。 筑波大学附属大塚特別支援学校の安部先生と一緒に開発した自己肯定感をテーマにした商品なのですが、非常にニーズがあることが分かりました。きいて・はなしてはなして・きいてトーキングゲーム「すわりかた」と「もちかた」お手本マット見る目をかえる自分をはげますかえるカード(専用ウォールポケット付)―商品開発はどのようにして行われているのですか。旦那と2人で商品開発を行っています。さまざまな先生より原案は頂いており、ずっと付き合いがありトビラコのサイトデザインもお願いしたデザイナーさんに商品のデザインをお願いしています。これまで私は教育雑誌の編集の仕事をしていたため、このような商品開発は初めてでした。パッケージ化から配送の段取り、実用新案の登録など、商品を考えてからお客様の元に届けるまでは意外と大変で、また編集の仕事とは全然違う脳の筋肉を使うため、やってから分かることも多かったです。教育雑誌の編集をしていた頃からこのような商品化の構想はありました。実際に学校や現場で使用し、お子さんにとって効果があったという数々の素晴らしい教材と出会ってきましたが、どのアイテムもデザイン面はそこまで考慮されていませんでした。そこでトビラコでは、デザインやパッケージにこだわり、買う時や使う時にわくわくし、かわいい、おしゃれと感じられるような商品づくりを目指しています。Upload By 発達ナビニュース―トビラコの商品販売の場をウェブサイトとしたことには何か理由がありますか。ウェブでトビラコを始めようと思った理由のひとつに、読み物ページを充実させたいと思ったことがあります。以前編集に携わった雑誌で発達障害に関する増刊号を出した時に、たいへん大きな反響があったんですね。ああいった情報を提供出来るように、そして誰でも自由にアクセス出来るように、トビラコの店舗はウェブショップにしました。現在は商品開発と販売に注力していますが、落ち着いたら記事ももっと充実させていきたいと思っています。また商品の紹介に関しても、情報を充実させるようにしています。原案の先生たちも道具を作るに至るいろんな思いがあったり、実際に子供が使う現場を見て言いたいことがあったりするんですね。つくった人の思いを伝えていきたいと思っています。―では今後どういった情報発信をしていきたいとお考えですか。お母さんたちのかゆいところに手が届くような、そんな情報発信をしていきたいですね。不安を煽るのではなく、見通しが立ち安心出来るような情報を発信していきたいです。専門家の先生がよくおっしゃるのは、「大変な時期はあるから悩めばいい、最終的にはなんとかなるから」ということなんですね。行政や先輩ママ、専門家の先生などのお話をもとに、具体的な情報を発信していくつもりです。―トビラコというサービス名にはどういった意味が込められているのですか。「扉を開ける子供」というイメージを込めています。音の響きがいいこともありますし、自分で扉を開けて新しい世界に行ける子になれるように、という願いを込めていますね。―今後はどういった展開をしていく予定ですか。商品に関しては、まだ点数が少ないので開発を進めていきたいです。今年もいくつか新商品の発売を企画しています。そして、今後は商品販売だけでなく、読み物ページの充実や、少人数で集まってあたたかい気持ちになれるような、そんなイベントの開催もしていきたいですね。またトビラコの活動だけでなく、書籍の編集・構成も行っています。1月18日発売の書籍『使ってみたら「できる」が増えた発達障害の子のためのすごい道具』では、筑波大学附属大塚特別支援学校の安部先生に本を書いて頂きました。「できない」は道具を使うことで解決する、というコンセプトの元、支援グッズをカタログ形式で紹介しています。トビラコの商品や、またトビラコ以外の商品も多数掲載しています。支援グッズに携わっていると、道具が役立ったことから逆に困り感の存在に気づかされることもあります。例えば龍角散の商品で「らくらく服薬ゼリー」という商品があるのですが、味覚過敏があってお薬を飲むのが苦手なお子さんはこの服薬ゼリーでお薬が飲みやすくなるんですね。そのお話を龍角散の方にしたところ、初めて聞いたとのことでした。道具を知ってもらうことで、いろんな人に困り感に気付いてもらう、社会に対してアピールするチャンスになると思っています。発達障害の子は見た目で分からない分、理解されづらい部分も大きく苦しんでいるかと思います。支援グッズを作り、多くの人に知ってもらうことで、その子たちの困り感を解消していきたい、そして理解を広げることに繋がっていけばいいなと考えています。少しでも困り感が軽減されれば…店主平野さんの想いいかがでしたでしょうか。ひとつひとつのアイテムにストーリーがあり、慈しむように愛されてうまれたトビラコの商品の数々。生活の中で使え家庭に溶け込むおしゃれなデザインの療育グッズの中から、お子さんの困り感を軽減しお気に入りになるものがあれば何よりです。その他サイトには先輩ママのコラムなども掲載されていますので、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。道具で発達を応援tobiraco(トビラコ)発達障害の子のための「すごい道具」: 使ってみたら、「できる」が増えたUpload By 発達ナビニュース
2017年01月18日バスを待つのが苦手だった、自閉症の高校生Upload By モンズースーこのお話は、自閉症の子を持つママから教えてもらったエピソードです。支援学校、福祉施設、作業所…色々な場所に通うようになると、施設のバスや公共の乗り物に乗る機会も増えると思います。乗り物以外にも待つ機会はたくさんありますよね。うちの子もそうですが、凸凹のある子たちは待つことが苦手な子も多いと思います。普段は落ち着いて待てても、気持ちや体調が不安定なときは難しいこともきっとあります。そんな時は言葉で説明するより、目で確認できる方が安心して落ち着けることもあったりしますよね。全ての場所で使える方法ではありませんが、このママのアイデアは色々なことに応用もできそうだな…と思いました。
2017年01月13日海外の介助犬は働き者!?こんなにあった、たくさんの役割出典 : 皆さんは「介助犬」と聞くと、どんな仕事をする犬を思い浮かべますか?日本だと、目の見えない人や耳の聞こえない人の手助けをする「盲導犬」や「聴導犬」が一般的な介助犬だと思います。ですが、実は海外ではさらに多様な用途で、介助犬が利用されています。以下は海外にいる介助犬の種類です。●盲導犬●聴導犬●自閉症児向け介助犬●歩行介助犬●心のサポートの介助犬●発作予知/介助犬●重度アレルギー者のためのアレルゲン探知犬この中にある「自閉症児向け介助犬」は、自閉症児の持つ感覚的な困難さを和らげ、パニック/癇癪などのときに、ケアできるように訓練された犬です。今回は、この自閉症児向け介助犬について、海外の事例をご紹介したいと思います。自閉症児向け介助犬のお仕事を、海外の事例からご紹介出典 : 「4 Paws for Ability」Autism Assistance Dog(自閉症児向け介助犬)上記URLの「4 Paws for Ability」は、子ども向け介助犬養成・派遣団体としては、アメリカ最大の組織です。リンク先には、自閉症児向け介助犬の活用事例が書かれています。●睡眠障害のある子の睡眠導入睡眠障害のある子の側で眠り、安心させます。介助犬のおかげで、長い間家族を苦しめた自閉症児の睡眠障害が改善した例があるようです。●外出時の安全確保自閉症児がふと親元から離れてしまい、それが取り返しのつかない事故につながることがあります。そんなとき、注意が必要な状況で犬は止まるようしつけられており、犬の動きに従って子どももいったん止まります。これにより、親が子どもの安全をしっかり管理することができます。また、万が一子どもが脱走してしまった場合、犬は追跡するよう訓練を受けています。●人間同士には見せない深い関わりをもたらす自閉症児は周囲の人(クラスメイトや家族)と、なかなか深い関わりができないことが多いです。しかし、不思議なことに犬が相手であれば心を開き、良い友達となることが多いのだそうです。犬は自閉症児に安らぎと信頼関係を教えてくれます。出典 : 「 The Huffington Post」Here’s How A Dog Can Help Stop An Aspergers Meltdown( アスペルガーの子を介助犬が落ち着かせている事例)また、「The Huffington Post」では癇癪を起こすアスペルガー症候群の子どもを、介助犬が落ち着かせる様子についての記事を紹介しています。過度の刺激や予期せぬ出来事などでパニックになった自閉症児が泣き止まないとき、大きなモフモフとした介助犬がパニックを起こした子どもの体に寄り添い、ときには上からギュッと圧迫します。自閉症児は身体を圧迫すると落ち着くことが多く、訓練された犬に上から圧を加えられることにより、パニックが早めに収束することがあるようです。出典 : of Having an Autism Assistance Dog(介助犬を飼うことのメリット)上記ページでは、介助犬のおかげで自閉症児の言語能力が著しい発達を見せた、という事例も紹介されています。そのため、言語療法のセッションには犬も同伴するようにしたそうです。もっと知って広まって欲しい、いろんな介助犬のこと出典 : 犬や猫を抱っこしていると癒される…とはよく言われますが、自閉症児には「癒し」以上の様々な効果が、事例として紹介されていました。自閉症児向け介助犬のことを知り、我が家でも発達障害の息子のために犬を飼い始めました。残念ながら、自宅で飼う小さな愛玩犬ですので、特別な訓練をされているわけではありません。息子が大きな声を出したり、ぎゅっと抱きついたりするのは犬にとっては少し怖いようで、息子を見るとさっさと逃げてしまいます。ただ、息子がパニックを起こしてぎゃーぎゃーと泣いているときには、どこからともなく寄ってきて、息子の顔をぺろぺろと舐め始めます。子どもはパニックを起こしているとき、とても孤独です。息子はよく言います。「みんな困っているのもわかっている、でも自分じゃパニックを止められない」と。そんなとき犬が息子に寄り添って顔を舐め続けてくれる…それだけでも、犬を飼って良かったかなと私は思っています。自閉症児向けの介助犬を普及させるためには、訓練ができる人材やノウハウが必要です。日本ではまだまだ盲導犬や聴導犬以外の介助犬についてはあまり知られていませんが、自閉症児向けに訓練された介助犬というのが広がっていったら良いなあと思います。
2017年01月12日自閉症でまだ言葉が少ない7歳の長男。ある日、双子の弟が…重度自閉症である7歳の長男は、単語をぽつりぽつりと話す程度でまだ上手く会話を交わすことはできません。親である私には、それが「自閉症」という発達障害によるものだということが分かりますが、まだ幼い双子の次男にはなかなか理解できるものではありません。ある日の夕方のことです。支援学校から帰宅し疲れて眠る長男を見ながら、次男が私に問いかけてきました。Upload By シュウママ私はきちんと話したことがなかったなと気付き、次男に長男の障害について説明することにしました。Upload By シュウママお兄ちゃんには自閉症という障害があること、上手くおしゃべりできないのはこの障害のせいで、お兄ちゃんには何の責任もないこと。でも今、お兄ちゃんは言葉が少しずつでるようになっているから、いつかいろんなおしゃべりができる日がくるかもしれないねということを話しました。「自閉症って、治せないの?」次男からの質問に思わず口から出た言葉すると次男はしばらく考え込み……Upload By シュウママ私は「生まれつき脳の働かせ方が違うんだ。だから治すことはできないんだよ」と伝えました。「もしシュウが自閉症じゃなかったら、一緒に遊んだり、お話できたかもしれないね。自閉症を治す魔法の薬があればいいのにね」私はつい、半ば愚痴のようなことを口にしてしまいました。そんな薬が出来るわけもないのに……反省していると、次男から意外な言葉が返ってきました。「もし魔法の薬があったら、10分間だけおしゃべりしたいな」Upload By シュウママ私は次男の言葉の意味がわからず「10分間だけでいいの?」と訊ねました。「お兄ちゃんとお話したり一緒に遊びたい。でも、お話するお兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないんだよ。急におしゃべりになったら、違う人みたいな気がすると思う。でも薬を飲んで10分間だけなら元に戻るでしょ。元に戻ったときにお話した言葉が頭の中に残ってて、少しずつお兄ちゃんが変わっていくならいいよ」すやすやと眠る長男の顔を見ながら次男はそう言いました。Upload By シュウママ障害児のきょうだいだからこそ、育まれていた優しさ同じときに生を受けた双子の弟は、まだ話せず、一緒に遊ぶことができないことも全部含めて「今のお兄ちゃん」として受け止めているのでしょう。そしてその気持ちは、母である私にはよく分かったのでした。障害のある子どもがいれば、親や兄弟はその子の障害が治ることを願うことが一度はあると思います。私もこの子が自閉症でなかったら良かったのに、と何度となく願ってきました。でもその思いとは別に、突然長男がすらすらと話し始めたら、まるで見知らぬ子どもを突きつけられたような感覚に襲われるのではないかとも思うのです。7歳になってはじめて「お母さん」と呼んでくれた時のこと、他の子どもより長い時間をかけたけれど、一人で洋服を着れるようになった時のこと。幼い仕草やたどたどしい口調を含めて、そんな長男の姿が消えてしまったら……。そう考えると、目の前の長男の姿が愛おしく、今の私たち家族にたくさんの幸せを見つけることができるのです。「お兄ちゃんはそのままでいいんだよ」そんな弟の声が聞こえた日Upload By シュウママ「お兄ちゃんは、お兄ちゃんのスピードでゆっくり歩けばいいんだよ、僕は待ってるから。」自閉症児の親として味わった辛さも苦しさも、また喜びも、それら全てが結びついて、私たち家族が今の長男の姿と成長を愛しく思っているのだと、気付かせてくれた次男の言葉でした。
2016年12月29日付添い登校でようやく学校に慣れてきた頃。先生が長男を褒めると…出典 : 小学校入学直後から「学校いかれへん!」となった大混乱から、私との付添い登校により少しずつ学校に慣れてきた長男。発達障害の診断を受けている長男は、ごく簡単なことでも自分の興味のあること以外は取り掛かるのにものすごくエネルギーを使います。かつ、大の「学校嫌い」のため、学校での作業はたいてい嫌々モードからのスタート。ある時、当番の仕事であるバケツの水捨て、なんとかやり終えかけたときに先生から「よくできたね」と声を掛けられました。その瞬間「もう、やらへん!」とバケツを投げ出してしまいました。先生は、どうしてだろう?と困り顔。このとき、「やはり褒められるのが苦手なんだ…」ということがハッキリわかりました。褒められても嬉しくないの?長男の本音とは出典 : 振り返ってみると小さい時から、どうも褒めた後の表情が嬉しそうではないな…という気はしていました。長男は、ときどき夕ご飯のお皿洗いをしてしてくれるのですが、その時ふと言った言葉が頭をよぎりました。「お母さんはあんまり褒めないから、ええねん。だって、お手伝いしてるっていうより、単に洗いたくなったから洗ってるだけ。面白そうだな!と思ったからやってるだけやもん」とつぶやいたのです。この言葉を思い出し、ハッとしました。「そもそも、嫌なのに何かをさせられるというのが、腕をもがれるほどつらい」という趣旨の文章を自閉症関連の本で以前目にし、もしかして長男の辛さはコレかも…と思ったからです。療育を意識した「褒める」という行為には、「この行動は望ましいから、またしなさい」という意味が含まれています。長男は何か嫌なタスクに臨むとき、なんとか嫌な気持ちを消し、「やってみたら面白いかも…」と意識をスイッチさせているようです。つまり「他人の指示」を「自分の指示」にシフトして取りかかるのです。でも、先生に褒められてしまうとそれが台無しになってしまうので「もうやめる!」と怒ってしまうようなのです。でも、つい嬉しくなっちゃうときはあるようで…出典 : でも、長男には褒められて嬉しいときもあるのです。工作で狙った以上に面白い作品が作れたとき、野菜の収穫がたくさんあったとき、クイズ番組を見ていて正解できたときなどは、「ドヤ顔」でこっちを見てきます。そんなとき、私は「腕をあげたな」「おお、いつの間に覚えたん」など、率直に感じたことをに口に出すようにしています。「やった!」「嬉しい」という気持ちを誰かと共有したいという面も持っているんだと少しホッとします。自分の動機を大切にする長男。将来に向けて親ができること出典 : 小3になった今は、少し自分を客観的にみられるようになってきて、「褒められるのが苦手」もネタとして会話できるようになりました。学校から帰ったとき、冗談めかして「いやー、今日は学校行けてえらかったね~」と言ってみると長男「もう、やめてや!」私「いやいや、褒めて伸ばすっていうのが子育て界の基本なんだよ」長男「誰がそんなん考えたん?」私「誰が考えたかわからないジョーシキになってるよ」長男「自分には、あてはまらへん」私「とはいえ、ほとんどの子どもに当てはまるから、先生はキミのことを褒めてくれるんだよ」長男「いらんわ~」私「ははは。嬉しく感じる人もいっぱいいるんだよ。キミに必要なのは、褒められても動揺しない心と身体だな」心と身体を作るためには言葉かけだけでなく、長男自身が自分の心と身体を知ることも大切かな、と思います。どんな時に動揺し、どんなときに嬉しくなるのか?動揺したときと嬉しいとき、身体はどうなるのか?イメージしておくことで、他者からの評価の言葉を適切に受け取れるのではないかと、私は考えています。「褒められるのは苦手です」という”取扱説明書”をしばらくは使いながら、その間にカラダとココロが少しずつ育っていけばいいな…と思っています。
2016年12月27日自閉症とは出典 : 自閉症(Autism)は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴があると言われています。世界保健機関(WHO)の診断基準である『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)では広汎性発達障害というカテゴリーのもと、自閉症という障害名が使われています。一方、2013年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)において自閉症という障害名は廃止され、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という名称に統合されました。そのため、今後自閉症という名称での診断は少なくなることが予想されますが、自閉症という名称は現在も一般的であり、また発達障害者支援法などの法律や文部科学省・厚生労働省などの行政でも使用されています。以上をふまえ本記事では、下記の文部科学省の定義で示されるような概念における「自閉症」についてご紹介します。自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。自閉症の原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、生まれつきの先天的な脳機能の偏りであると考えられています。親の育て方や接し方、愛情不足によって自閉症になるのではないことが医学的にわかっています。自閉症の子どもはその特性に応じた工夫が必要であり、通常の子育てとは違う自閉症の子どもに合った方法にしたほうがうまくいくこともあります。つまり、自閉症の根本的な治療は現在のところできませんが、親が周りの環境を整えたり、接し方を変えたりすることで、症状や困りごとを緩和できる場合も多いのです。ここでは自閉症の子どもが生活する上で生じる困難と、親の接し方や対処法についてまとめました。自閉症の子どもに接するときの4つの基本出典 : 感覚や考え方は主観的なものなので、親といえども子どもの感じ方を完全に理解することは難しいのではないでしょうか?自閉症のある人の中には、定型発達の人と比べて特定の感覚に過敏性や鈍さ(鈍麻)がある方が多いと言われています。また、独特の理解の仕方や受け止め方がある場合もあります。そのため、子どもが「自分とは違う感じ取り方をしているかも」ということを意識し理解することが重要です。「このくらい言わなくてもわかるだろう」「この程度の音なら我慢できるはず」と思わずに、子どもがどう感じているか、何に困っているかを想像して接するようにしましょう。自閉症の特性のひとつに言葉でのコミュニケーションが苦手、ということがあります。言葉でくどくど説明しても、子どもは混乱してしまうだけです。子どもにとってわかりやすい指示や対話の方法は一人ひとりの特性によって違います。本人が理解しやすいやり方を考え、説明して納得させてあげてください。以下は代表的な方法です。◇短い言葉で具体的に指示する「椅子に座って」「靴を履いて」など、短い言葉で具体的に伝えます。状況や理由などの説明をしたり、一度にあれこれ指示をしたりするとわかりにくくなってしまいます。シンプルなステップに分け、一つが終わってから次の指示をします。◇視覚的な方法で説明する自閉症の子どもは、耳で伝えられる情報はなかなか理解することが苦手ですが、絵や写真といった視覚的な情報は理解できることが多いようです。言葉の指示や説明に加えて、絵や写真を補助的に使用すると、言葉だけでなく視覚でも理解ができるようになります。言葉でのコミュニケーションが苦手な自閉症の子どもにとって理解しやすい環境になり、何をして欲しいのか明確にわかるようになります。予定や約束ごとなども、絵にして知らせると、理解しやすく安心できます。自閉症の子どもに教える上では「ほめる」ことが大きなポイントになります。◇スモールステップで「できた」を増やす日常生活などのできないことは少しずつ、ステップごとに教えていく方法が効果的です。まずは手順を細かくわけ、分かりやすい方法で一つひとつ説明します。やってみて、一つできたら思いっきりほめたりごほうびをあげたりします。子どもに「できたら嬉しい」「自分にもできる」ことがある、という成功体験をたくさん味わわせることがとても重要なのです。◇のぞましい行動をほめる自閉症のある子どもは相手の言葉の意図をくみ取ることが難しい場合があります。そのため「してはダメ」なことを叱るよりも、「してはいけない」ことはできるだけスルーし、「してほしい」ことをしたときにストレートな表現でほめるほうが効果的です。うまくいったことや頑張ったことがあれば、どんな小さなことでも思い切りほめます。同じことでも何度もほめることで「よい行動」が印象づけられ、定着していきます。自閉症のある子どもは変化がとても苦手です。「いつもと違う」ことに強い不安と拒否感を感じます。例えば、時間割が違う、いつもと違う道を通った、部屋の家具の位置が違うといった、ほかの人には些細に思えることでも気持ちが動揺しパニックになってしまうことがあります。◇見通しを持たせて安心させる先の見通しを立てられるように予告しましょう。これから何をするか理解し、予測できると安心して行動できます。そのためには絵などを使って子どもが分かりやすい方法で、かつその子が安心できるタイミングで伝えるようにしましょう。伝えるタイミングは直前だとパニックの原因になりますし、早すぎると意味がなくなったり、他のことが手に付かなくなったりすることもあります。◇不安からくる行動を理解する臭いを嗅いだり、くるくるまわったり、ジャンプを続けたり…。変わった行動やくせがあると、親としてはやめさせたくなりますが、その行動は不安や緊張をやわらげるためにしている場合が多いのです。無理に止めるといっそう落ち着けなくなります。危険な行動や人に大きな迷惑がかかることでなければ、落ち着くために必要であることも理解し、ある程度は容認してあげることも大切です。また、年齢とともに不安に対する適切な対処法、例えば深呼吸、散歩、音楽を聴く、ヨガをするなど、それらの行動に代わる行動として教えていくとよいでしょう。自閉症のある子どもは、何もすることがないと時間をもてあまして不安になる傾向もあります。病院の待合室や電車の中などで手持ち無沙汰を解消できるよう、絵の描けるホワイトボードやパズルなど、好きな遊びを準備しておくと落ち着いて過ごせます。自閉症の子どもの生活における7つの特性による困難と対処法出典 : 障害の無い人が日常的につかう抽象的な表現や、発言の意図を理解しにくい傾向があります。たとえば「ちょっと」や「きちんと」などがなにを指すのか、「少し」と言われてもどれくらいの程度なのかを理解することを難しく感じます。電話口で「お母さんはいますか?」と言われて「います」とだけ答えて電話を切ってしまうこともあります。電話がかかってきた意図を理解できなかったりします。また言葉をそのままうのみにしてしまうこともあります。例えばクラスメートにふざけて言われたひとことを真に受けて落ち込んでしまうこともあります。周りの人が理解している「当たり前」や「常識」を理解するのを困難に感じる人がいます。例えば、人と人との対人的距離に関して、人の領域と自分の領域の境界線を理解することを苦手とするので、過度に接近してしまったり、距離をとり過ぎたりしてしまうことがあります。また、自閉症のある子どもは、親や先生などの微妙な表情や態度から他者の気持ちを察知することが難しい傾向にあります。そのため、「周りの空気を読んで言動を調整する」ことが難しく、例えば周りが静かにしていても喋り続けてしまったり、怒られている最中でも面白いことがあれば笑ってしまうことも少なくありません。【対処法】なによりも大切なのが、指示を分かりやすく伝えることです。慣用句や代名詞、冗談などを理解するのが困難に感じる子が多いです。例えば静かにしなければいけない公共のシーンで自閉症の子は大きな声で喋り続けてしまうことがありますが、「図書館では静かに本を読みます」と具体的に言われた場合は指示に従うことができる子が多いです。何をしてほしいか、どのように行動すべきかを明確に伝えてあげましょう。また、命令形で指示を出されると、そういうトーンで言われてなかったとしても、怒られているのではないかと感じ、不安に思う子もいます。たとえば「はやくお風呂に入りなさい」という言葉を提案的な意味合いで言ったとしても、本人は怒られているのだと感じてしまうこともあります。「5分後にはお風呂に入リましょう」などと、できるだけ本人に誤解を与えない言葉を使って会話をするように心がけましょう。自閉症の子は、自分の中で決めたルールを守ろうとしたり、物事に強いこだわりを持っていることが多いです。自閉症の子どもの中には、急な変化を苦手とする子が多く、日々同じルーティンで物事を行ったり、自分のこだわりで物事をやり遂げることに安心感を感じます。「決まったルールは必ず守らなくてはいけない」という思いがある子が多く、柔軟に状況に合わせて行動することが難しい場合があります。【対処法】自閉症のない人たちのなかでは、ルールは例外的には破られることもある、という認識が共有されやすいですが、自閉症の子の場合、そのような意識ができていないことが多いです。この「例外がある」ということを理解してもらうためには、関わる人のことを安心して信頼できる状況が必要です。この関係性を大切にしながら「例外」の変化に対して安心感が持てるようにしていきましょう。全ての自閉症の子に共通して言えるわけではないですが、感覚過敏のある子どもが多いといわれています。感覚過敏には様々な種類があり、五感以外にも重力や回転を感じ取る「前庭感覚」や、筋肉や関節に関係する「固有感覚」などが敏感な場合もあります。感覚過敏の症状はさまざまですが、よく見られる症状として、特定の音を嫌がったり、触られるのを嫌がったり、特定のにおいを過度に嫌がったり、逆に好んだりするなどが挙げられます。赤ちゃんの頃に抱っこを嫌がったり、手をつなぐと拒否したりする行動も見られたりします。このような症状は、感覚過敏の1つの触覚過敏の可能性があります。また、感覚過敏は1つの感覚だけでなく、複数の感覚に生じることもあります。【対処法】上記のような行動がみられた時には、感覚過敏である可能性があることをまず知りましょう。その場合、環境調整を行ったり、個人的に防ぐ手立てを用いたりします。例えば聴覚過敏であればイヤーマフなどで音を遮断できるようにして、嫌な刺激を減らしましょう。人とコミュニケーションを取るのを苦手と感じる子がいます。上で述べたように人の表情から感情を理解することが難しいということにも関わってくるのですが、表情やジェスチャーを使ったコミュニケーションや、会話がうまくできない子もいます。また言葉をなかなか話さなかったり、同じことを何度も発言したり、会話が一方通行になりがちな傾向があります。これに付随して、あまり他の人に興味を示さないというのも自閉症の子の特徴です。そのため交友関係を広げにくいことがあります。【対処法】音声のコミュニケーションを苦手としても、とても素敵な文章を書いてくれたり、論理的であったりすることが多いです。言葉にすることを苦手にする子が多いので、言葉の代替となるものをみつけてあげるのもよいと思います。例えば、絵カードや、ICT機器などです。また、言葉をあまり発さないからと言って伝えたいことがないわけではありません。親が子どもの感情によくアンテナを張り、気持ちの変化などに気付いてあげるようにしましょう。出典 : 自閉症のある子どもは、いきなり大声をあげたり感情が爆発してコントロールができなくなることがあります。周囲からは急にパニックを起こしたようにみえますが、原因の多くは強い不安や緊張、興奮といったストレスです。パニックが強くなると頭を打ち付けたりたたいたり、腕をかむなどの自傷行為に至ることもあります。【対処法】パニックが起きたらおさまるまでしばらく見守ってあげましょう。頭を壁に激しくぶつけるなどして危険な場合は壁にクッションを当てるなどしてけがをしないようにします。自閉症の子は強いこだわりを持っている子が多いので、自分の落ち着けるスペースを決めている場合は、そこに連れて行きます。しばらくして落ち着いたらおもちゃなど子どもの好きな物を出して、気分が切り替えられるようにします。パニックを起こす要因として、なにか原因が背景にあるはずです。落ち着いたら「なぜパニックになってしまったんだろう」と本人の気持ちを探り、日頃から本人をよく観察し、パニックを起こさなくても済むように環境調整をするなど、対応するように心がけましょう。そもそも自閉症のある子どもは自分が「困っている状況」だということが理解できず、パニックになったり固まってしまう場合もあります。自閉症のある子どもは自分ではうまくできず、困る場面が多くあります。ですが、コミュニケーションをとるのが苦手です。そこで、困ったことや、できないことがあったときに、子ども自身が自分でサインを出して助けを求められるようになることがとても大切です。【対処法】まずは子どもに「いらいらする」「どうしたらいいのかわからない」「涙が出る」など、自分の感覚や感情がどんなときに「困っている状況」なのかを教えます。そして困った状況になったら誰に助けを求めればいいかを教えます。「どうしたらいいのですか?」「わからないので教えてください」など、具体的になんと言えばよいかも説明するとよいでしょう。自閉症の子どもは時間的な見通しを持つことがとても苦手です。一方で予測できない変化を嫌うため、わかりやすい見通しがないととても不安になります。わかりやすいスケジュールなどがあるとスムーズに動けることが多いです。【対処法】◇時間を把握するためには?自閉症の子どもの中には時間の感覚を理解することに困難さを持っている場合があります。ですから1日のスケジュールを見やすいところに貼り、何時に何をするのかを目で見て確認できるようにします。慣れるまでは大変かもしれませんが、慣れてしまえば自分から行動することができるようになります。時計が読める子どもには、時計を使い説明すると、本人も理解しやすくなります。個人差があるので本人に合った方法を探る必要がありますが、本人がわかりやすい方法を選んでください。◇夢中になるとやめることができない夢中になっている時に何かをやめさせるのは難しいですが、何かを始める前に「始める時間」と「終わる時間」を決めておきましょう。そうすると終わりの時間がはっきりしていますので、やめさせる時にパニックになりづらくなります。視覚的に残り時間が表示されるタイマーなどを使うとよいでしょう。◇睡眠障害を軽減させるには?自閉症の子どもの中には睡眠障害に陥ってしまう子もいます。生活リズムが崩れている場合、急に戻すことは家族や本人にも負担がかかってしまいますので、焦らずにゆっくり正常に戻していくことが大切です。昼間に沢山遊ばせる、体を使った遊びをするなどし、夜になったら眠たくなるように生活のリズムを整えていきましょう。自閉症の子どもに接する際に注意するべきこと出典 : ◇感情的に怒らないこちらが感情的になると、いつもと違うできごとに不安を感じ、混乱させてしまい逆効果になってしまいます。何かを伝えたい時は、冷静に短い言葉で簡潔に伝えることを心がけてください。できるだけ否定的な言葉は使わず、「○○してほしい」「○○しましょう」と言い換えるようにしましょう。感情的に怒りたくなる気持ちもわかりますが、自閉症の子どもにとっては、どうして怒られているのか理解することが難しく、パニックになってしまう場合もあります。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますし、その間は周囲の大人が何を言っても聞く耳を持つことができません。しかし、ゆっくり感情的にならず説明すると、理解しやすくなります。◇好きな行動を始めたら途中で邪魔しない自閉症の子どもは1つのことに夢中になると、周りが見えず没頭する傾向があります。夢中になっている時に邪魔されることは、子どもにとっては急に予定変更をされることと同じです。自閉症の子どもが何か行動を始めた時に邪魔をしてしまうと、何が起こったか理解ができずにパニックになってしまいます。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますので、本人も周りの大人も体力を消耗してしまいます。その行動をやめてほしい時は、やめる時間をあらかじめ子どもと決めておくか、終わったタイミングで注意するようにしましょう。自閉症の子どもと接するときは、上記のようなことを少し気をつけるだけでお互いに生活を送るのが楽になります。自閉症のある子どもの子育てに悩んだら出典 : 子どもの接し方を変えるだけで改善できることはたくさんあります。ですが、子育てをしていると、悩むことやつらいことがあるのは当然です。最初からうまくいくことばかりではありませんし、周囲に気を使ったり、子どもの様子に気を配ったり、体力的にも精神的にも毎日へとへとになるパパママも少なくないでしょう。これでいいのか、子育てに自信がなくなることもあるでしょう。そんな時は、誰かに相談したり頼ったりしましょう。公的支援をはじめ、さまざまなサポートがあります。◇専門機関に相談する地域の子育て支援センターや児童発達支援センター、児童相談所などでは、子どものことや子育てについて、気軽に相談ができます。必要があれば医療機関や療育施設などの専門家を紹介してくれます。また児童精神科や小児神経科に相談したり、療育を受けることで、子どもの特性がわかり、対処法を教えてもらえます。◇親の会に参加する自閉症の家族を対象とした家族会やサポートグループが全国にあります。親の会は障害のある子どもを持つ親同士がつながり、障害について学んだり情報交換をしていく活動です。また、発達ナビのQ&Aコーナーやコミュニティでも、子育ての悩みを相談することができます。同じ経験をした人の話を聞いたり、具体的なアドバイスを聞いたりすれば、見通しがもてるでしょう。誰かにつらい気持ちを話すだけでも、気持ちが楽になり、一人で悩みを抱え込まずにすみます。◇ペアレントトレーニングを受けるペアレントトレーニングとは、親が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する、パパ・ママ向けのプログラムです。子どもをのばすほめ方、環境調整の仕方、指示の出し方、行動の教え方などを具体的に学べます。◇意識的に休息をとるがんばりすぎて、余裕がなくなっているときは、リフレッシュが必要です。育児を軽減するサポートを利用するなどして、自分の時間をつくりましょう。児童発達支援、放課後等デイサービスの中には預かり型の支援サービスもあります。また、障害児を受け入れているファミリーサポートもあります。一時的預かりのサービスを行っている地域もあります。地域の福祉相談窓口などで相談してみてください。あなたの子育てに関する疑問や悩みを質問してみましょう!|発達ナビQ&A地域の児童発達支援・放課後デイサービスを検索|発達ナビ地域情報まとめUpload By 発達障害のキホン自閉症がどのような障害で、どのようなことに気をつけるべきかを理解するまでは大変かもしれません。しかし一緒に過ごしていくうちに、その子の癖や特徴をつかむことができ、子育てにおいて気をつけた方がいいことがより見えてくるはずです。あまり難しく考えずに、その子に合った接し方をするように心がけましょう。どんな時にパニックになるのか、こういう時に友達に手を出していたなど、きっとパターンがあり、理由があります。本人も、周囲に迷惑をかけるぐらいの大きな問題行動を起こしている時は、精神的に不安定になっていることが多く、ストレスを抱えています。その理由とパターンをしっかり把握し、対処が解れば問題行動はなくなります。子育てをしていく中で、目指したいのはその子に合った方法を見つけ、その子が自立した生活ができるようにサポートをすることです。スモールステップで成功体験を積みながら、親子で向き合っていきましょう。
2016年12月11日自閉症ってどんな障害なの?出典 : 自閉症(Autism)は先天的な発達障害のひとつで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴が発達段階で現れると言われています。自閉症の人が登場する映画は、洋画・邦画問わずたくさんあります。自閉症がある主人公や登場人物が、物語のカギを握っていることもしばしばです。今回は、自閉症の人が登場・活躍するハリウッド映画やドキュメンタリー映画、日本ではあまり知られていない話題作をご紹介します。自閉症の人と周りの人々のふれあいを描く映画3作品最初に紹介する3作品は、自閉症のある人物と、偶然であった周囲の人々の関係を描いた映画です。オススメ映画1: 『ぼくはうみがみたくなりました』出典 : 自閉症の青年と看護女学生が繰り広げる心温まるロードムービー。看護学校に通う女子大生、明日美は学校をやめようか悩んでいた。一人でドライブに出た道中、ある青年と出会い、彼を海へと誘う。青年は自分の名前も教えてくれないし、一言もしゃべらない。はじめは退屈に感じていた明日美だったが、だんだん彼のことを、自閉症のことを理解していく。企画・原作・脚本の山下久仁明さんは、自閉症の息子を事故で亡くしています。この作品は「もっと自閉症のことを知ってほしい」という思いからできた自主製作映画で、全国の様々な場所で上映会が開催されました。特に自閉症の青年・浅野淳一を演じる伊藤祐貴(現在は改名して伊藤祐輝)さんの演技は非常に高く評価されています。自閉症について知識がある人も無い人も,ぜみ見てほしい作品です。この作品で自閉症に対する知識や理解が深まるというよりも,自分は人としてどう生きていこうかと考える機会になると思います。自閉症、発達障害というと、正しく理解してもらえず、誤解されがちな障害である。その障害のことを紹介しつつ、当事者の生きにくさ、支援者の苦労、偏見・差別、そられを、よくここまでまとめて作品にできたなと思う。監督: 福田是久出演: 大塚ちひろ、伊藤祐貴DVD参考価格: ¥4,104ぼくはうみがみたくなりました[DVD](Amazon)映画「ぼくはうみがみたくなりました」製作実行委員会オススメ映画2: 『スノーケーキを君に』出典 : アレックスは旅の途中、ヒッチハイカーのビビアンと出会う。アレックスはビビアンの人懐こさとユーモアに次第に心を開き始めるが、突然現れた雪上車が彼らの車に激突し、ビビアンは即死。罪悪感に苛まれるアレックスは、彼女の家族へ訃報を直接伝えに行くことにする。辿り着いた小さな町の実家には、娘の訃報に大した動揺も見せない自閉症の母親リンダだけがいた。日常を支えていた娘を失ったリンダが気に掛かり、アレックスはビビアンの葬儀の日まで町に滞在することを決意する。偶然関わり合った人たちが、お互いに心を癒し合いながら生と死を見つめ直していく。暗い過去を持つ主人公のアレックスが、リンダや周囲の人たちとかかわりながら成長していきます。最初は分かり合えなかったアレックスとリンダですが、アレックスは次第にリンダの感性を理解し始め、リンダも次第にアレックスを受け入れていく様子が素敵に描かれています。日本では劇場上映されていなかったため知名度は低いですが、とても心温まる作品です。監督: マーク・エバンス出演: アラン・リックマン, シガニー・ウィーバー, スコット・ウィックマンDVD参考価格: ¥3,000(輸入版・英語のみ)スノーケーキを君に[DVD](Amazon)オススメ映画3: 『ミリィ少年は空を飛んだ』出典 : 歳のミリィは、最愛の父を事故で亡くし、田舎町の小さな家に引っ越してきた。隣の家には、両親を事故で亡くした自閉症の少年エリックが住んでいた。学校からも社会からものけ者にされるエリックの友達になって欲しいと頼まれたミリィは、彼の心を開こうとするが…。少年と少女の心のふれあいが描かれたファンタジー映画です。80年代を代表するような青春映画として高く評価されています。自閉症について詳細に描かれているわけではありませんが、エリック少年の不思議な力や非日常的で美しい世界観、魅力的な登場人物たちに心癒されます。心閉ざしてしまった少年の、シリアスなストーリーの部分もあるけれど、優しい愛で接した少女とのふれあいが奇跡を呼ぶ。デリケートで、とてもきれいなファンタジー映画で、優れた作品だと思います。私にとって忘れがたい映画です。現代が忘れがちな大切なこと、優しく見る人に伝えてくると思います。監督: ニック・キャッスル出演: ルーシー・ディーキンズ, ジェイ・アンダーウッドDVD参考価格: ¥2,945ミリィ少年は空を飛んだ[DVD](Amazon)自閉症の子どもとその家族の絆を描いた、心温まる3作品次に紹介するのは、自閉症のある人物とその家族の関係を描いた3つの映画です。親子関係やきょうだい関係、また親族間での葛藤と歩みが描かれます。オススメ映画4: 『海洋天堂』出典 : 水族館で働くシンチョンは、泳ぐことが大好きな息子のターフーを男手ひとつで育ててきた。ある日、シンチョンはガンに冒され、余命がわずかであることを知らされる。残された時間で、自分が亡きあともターフーが一人で生きていける術を見つけなければならない。施設探しに奔走し、買い物の仕方やバスの乗り方などひとつひとつ息子に教えるシンチョン。そして最後に、息子にあることを伝える決意をする。障害のあるお子さんをもつ方であれば、誰でも心配する「親亡きあと」の問題について、真剣に向き合った作品です。監督のシュエ・シャオルー氏は、14年間自閉症支援施設でのボランティア活動をしており、このときの体験が元になっている映画です。自閉症の息子がいる父親役シンチョンを演じるのは、世界的アクションスターであるジェット・リー氏。脚本を読んでノーギャラでの出演を申し出るほどこの作品に感銘を受けたそうで、本作品ではアクションを封印して出演しています。私の住む地域では上映していなかったので、車で3時間もかかる映画館まで観に行った映画です。とても淡々と進んでいくストーリーですが、親の愛がたくさん詰まった物語でした。監督が14年間も自閉症の施設でボランティアをしていたというだけあって、ウソのない映画だったと思います。父親役のジェット・リーさんも、息子役の俳優さんもとても素晴らしかったです。私の子も、さらに重度の知的障がいを併せ持つ自閉症ですが、夫は、あの息子役の人は本当の自閉症なの?そんなハズはないよね、演技なんかできないものね。というほど違和感なく観る事ができました。親亡き後、障がいを持つ子の親がだれしも心配している事です。障がい者に関わっている人、少しでも興味がある人すべての人に観ていただきたいと思います。監督: シュエ・シャオルー出演: ジェット・リー, ウェン・ジャン, グイ・ルンメイ, ジュー・ユアンユアン, ドン・ヨンDVD参考価格: ¥4,104海洋天堂[DVD](Amazon)海洋天堂公式HPオススメ映画5: 『星の国から孫二人~「自閉症」児の贈りもの~』5年前に夫に先立たれた、作家の太田弓子は自分一人の人生を満喫し始めたばかり。しかし、娘・陽子の子どもである孫のかおるに自閉症の疑いがあるとの診断が降りる。動揺しつつも弓子は「かおるは、よその子とは違うかも知れないけど、発想は豊かだし…。あの子は星の国から来た子どもなのよ。」と、陽子を励ます。だが、陽子の義母の「こんな子はうちの血筋にはいない」という言葉は、これからの葛藤の日々を予感させるのに十分だった…。自閉症と言う見た目には分かりにくい障害について、家族や学校、地域の人々にどう理解してもらえるのか…障害のある子どものいる家族の視点から、その葛藤がよく描かれています。自閉症のお子さんがいる保護者の方なら共感できるシーンは多いのではないでしょうか。とても考えさせられた映画に思います。素晴しい作品に感動する反面、理解ある家族・地域がどれくらいいるかと思うと、大変苦労が多い現実に考えさせられます。自閉症ばかりでなく、地域の中で、子供が成長していく。人々の目で、子供を見守り、育てて行く事が大切と考えさせられました。監督: 槙坪夛鶴子出演: 馬渕晴子, 加藤忍, 比留間由哲, ミョンジュDVD参考価格: ¥15,000企画制作「パオ」(有)星の国から孫二人~「自閉症」児の贈りもの~オススメ映画6: 『くちびるに歌を』出典 : 舞台は長崎県の離島にある中五島中学校。産休に入る音楽教師の代わりに、数年ぶりに故郷に帰ってきたのは、美人な元ピアニストの柏木ユリ。嫌々合唱部の顧問になった柏木は、もともと女子だけだった合唱部に男子を入部させ、さらに混声での全国コンクール出場を決めてしまい、合唱部は大混乱に。柏木は、責任感の強い部長のナズナや、引っ込み思案だが合唱に魅せられた男子部員のサトルなど、15歳の生徒たちが人には言えない悩みを抱えており、みんなが一つになれる合唱に救いを求めていたことを知る。シンガーソングライターのアンジェラ・アキさんの楽曲「手紙~拝啓 15の君へ~」がモチーフになっている作品です。中学生の合唱部員たちはそれぞれさまざまな悩みを抱えています。男子部員の1人、サトルには自閉症の兄がいます。兄のことを思う気持ちがありながら、自分ができないことをどこかで兄のせいにしてしまう、15歳の少年の葛藤が繊細に描かれています。自閉症の兄役を演じているのは、ロックバンド「黒猫チェルシー」のボーカルである渡辺大知さんです。彼は役作りのために、実際に施設に行って自閉症の方たちと一緒にご飯を食べたり、仕事をしたり、遊んだりしたそうです。彼の演技やサトルと心を通わせるシーンは必見です。映画のテーマは人生の困難さです。15歳の少年少女たちが主人公で、少年は自閉症の兄を持ち、大切に思いつつも兄のせいで自分のしたいことができなくなっていると考えています。また、少女は大好きな母を病気で亡くし、父には捨てられています。それぞれに人生の困難を抱えていますが、演技やカメラで語られるその困難に対する感情が絶妙で、そしてとても自然に感じました。皆、真っ直ぐで一生懸命で、可愛い子たち!人一倍熱心なナズナは、家庭にある問題が…。透き通るような美声を持つ内気な男子、桑原。彼と自閉症の兄のサブエピソードが感動に一役買っている。自分が生まれてきた理由と兄への思いを綴った十五年後の自分へ宛てた手紙には、目頭が…。監督: 三木孝浩出演: 新垣結衣, 木村文乃, 桐谷健太, 恒松祐里, 下田翔大DVD参考価格: ¥4,104くちびるに歌を[DVD](Amazon)映画「くちびるに歌を」公式HPありのままの姿の自閉症を映し出す、ドキュメンタリー映画3作品次に紹介するのは、実際の事例をもとにしたドキュメンタリー映画3作品です。自閉症者を取り巻く日常の現実が描かれ、私たちの胸を打ちます。オススメ映画7: 『ちづる』出典 : 立教大学現代心理学部映像身体学科の赤﨑正和が、自身の卒業制作として撮影した作品。重度の知的障害と自閉症をもった赤﨑監督自身の妹・千鶴とその母を1年に渡り撮り続けた、みずみずしくも優しい家族の物語。最も身近な存在でありながら正面から向き合えなかった妹にカメラで対話した監督は、映画を撮り終える頃、家族との新しい関係を築きあげている自分に気づく。もともとは卒業制作として、担当教授や親しい友人たちだけに見てもらうために撮影された作品でした。しかし学内の上映会で大変な評判を呼び、立教大学の友人たちが「上映委員会」を結成。担当教授であり、映画監督・ドキュメンタリー作家である池谷薫さんの後押しもあって劇場公開に至りました。カメラの前でいつも通り天真爛漫にはしゃいだり、落ち込んだりと、ありのままの姿を見せてくれる千鶴さん。カメラを回しているのがお兄さんだからこそ、千鶴さんの素敵な表情が映し出されているのでしょう。これは“知的障がいと自閉症をもつ妹”の映画でもありますし、亡きご主人もふくめた、あるひとつの家族の物語でもあります。また、正和さんというひとりの青年の成長を(まるで、偶然のように)刻印した映画でもあると思いましたし、母親であり、ひとりの女性である久美さんの映画でもあると強く思いました。監督: 赤﨑正和DVD参考価格: ¥4,104ちづる[DVD](Amazon)ちづる公式HPオススメ映画8: 『彼女の名はサビーヌ』出典 : 女優サンドリーヌ・ボネールの初監督作品。自閉症でありながら、正確な診断を受けることなく、長期にわたる不適切なケアをうけた自身の妹に起きてしまった悲劇を公にした、心を揺さぶるドキュメンタリー。25年の歳月をかけて撮影された映像は、過去の生き生きとした若かりし頃の妹と、入院期間を経て施設に暮らす現在の彼女の「変化」を容赦なく見せつける。美しいサビーヌが年月を経て変わり果てていく過程には衝撃を受けます。監督のサンドリーヌは、この映画の目的を、「自閉症者のケアの現状について、公の機関に訴えること。少なくともその実態に目を向けてもらうこと」だと語っています。悲壮感をあえて排除し、淡々と「自閉症者と一緒に過ごす時間」を描かれた本作品は、第60回カンヌ国際映画祭監督週間に出品され、国際批評家連盟賞を受賞しました。監督のサンドリーヌが、「家族」としてだけでなく「監督」として妹を撮り続けたからこそ、この思いは果たされたといえるでしょう。自閉症の実妹を長年追ったドキュメンタリーである。今のサビーヌの不安に満ちたまなざしが印象的である。自傷や他害を繰り返し、過剰投薬の影響で太り、よだれを垂らし、不安定なままで日々を送るしかないサビーヌ。 彼女自身を含め、誰も解消できないところまで追い込まれてしまった状態を、見るしかない。多分、それしかできない。 いちばん苦しいのはサビーヌなのだ。 安定や穏やかさから遠く離れ、一度あったものを失い続けることはどんな状態であれつらいことだ。自閉症本人による手記が多々あり、自閉症をテーマにした映画も増えてきたが、これは下手な感動なんか呼ばないと思った。サビーヌの眼差しを通じて、こちらがどうすればよいのかを突きつけられる。そのために必死にこちらが受け取る必要がある。フランスは日本よりもはるかに手厚い福祉がある国だと勝手に思い込んでいましたが、この記録映画を観て、何も知らない自分を恥じました。本当に良い医療とは、福祉とは何なのだろうか、たとえ自分の親族や知人にサビーヌのような人がいないとしても、自分はどう考え、どう行動してゆけばよいのだろうか、などと、時に辛く重い気持ちになりながら最後まで観ました。監督: サンドリーヌ・ボネール出演: サビーヌ・ボネールDVD参考価格: ¥4,104彼女の名はサビーヌ[DVD](Amazon)オススメ映画9: 『able エイブル』出典 : アリゾナに住むキャサリンとマーク夫妻は、知的発達障害のある日本の少年2人をホストファミリーとして受け入れ、数カ月間、一緒に暮らすことを決めた。19才のゲン・ワタナベはダウン症、17才のジュン・タカハシは自閉症である。キャサリンとマークには、ほとんど障がいについての知識がない。果たして本当に2人と暮らしていけるのだろうか…。2人の少年が、言語も文化も違う異国の地で奮闘する様は、障害のある人々が持つ可能性を私たちに教えてくれます。ユーモアのある魅力的な2人の個性が映し出されています。「当初、小栗(監督)は、障がい者への注目を集めるために、たとえば映画『レインマン』のダスティン・ホフマンのように数を覚えることに際立った才能がある、また障がい者でありながら100メートルを10秒で走る抜ける、といった「出来る=able」が一目でわかるような登場人物を配した方がいいのではないかと逡巡したという。しかし、最終的に、小栗は、無口でどこも特別には見えないゲンとジュンを選んだ。誰か特別な障がい者の物語ではなく、どこにでもいる、でもそれぞれに特別な個性を持った少年の「可能性=able」の物語がこうして生まれた」監督:小栗 謙一出演:渡辺 元,高橋 淳, キャサリン・ルビ,マーク・ルビDVD参考価格:¥2,000 エイブル[DVD](Amazon)の会公式HP自閉症の人物の成長・活躍にハラハラドキドキする!2作品最後に紹介する2作品は、自閉症のある少年や青年本人の変化や成長にスポットを当てた映画です。オススメ映画10: 『マーキュリー・ライジング』出典 : ブルース・ウィリス主演のサスペンス・アクション。自閉症のある少年サイモンはある日偶然、国家の極秘コードを解読してしまう。事実を知った国家安全保障局にサイモンは命を狙われるが、ブルースウィリス演じるFBI捜査官アートが彼を守りながらともに逃亡する。アートはこの事件の背後にある大きな陰謀を嗅ぎ取るが…。この物語に登場する少年サイモンは、サヴァン症候群と言われる特性があり、人並み外れた高い認知能力を持っています。サイモン役を演じているマイコ・ヒューズの演技は、「本当に自閉症の子どもが演じているのではないか」と話題になるほどでした。自閉症に理解のある方が見ても納得のいく演技だと思います。自閉症についてもとても丁寧に説明されていて、かつハラハラドキドキしながら楽しく見ることのできる映画です。自閉症の小児は、情緒が内向的であり情緒不安定であるが、サヴァンとしてある種の特殊な能力を秘めていることは、他の映画でもよく描かれているが、サイモン役のマイコー・ヒューズ君の演技は、迫真に迫っており、天性の演技力を感じた。監督: ハロルド・ベッカー出演: ブルース・ウィリス, アレック・ボールドウィン, マイコ・ヒューズ, チ・マクブライド, キム・ディケンズDVD参考価格: ¥1,543マーキュリー・ライジング[DVD](Amazon)オススメ映画11: 『マラソン』出典 : 実話が元になっている韓国映画。主人公のチョウォンは、自閉症がある19歳の青年。走ることに何よりも喜びを感じている。母親のキョンスクは、チョウォンの走りの才能を伸ばそうと、かつての有名ランナーにコーチを依頼する。フルマラソン完走を目指すチョウォンと、それを必死に支える母親との感動ストーリー。母親ギョンスクの子育てには賛否両論ありますが、自閉症それ自体に加えて、自閉症の子どもを育てる大変さがとてもリアルに描かれています。息子に対して過保護になったり、逆に打ちひしがれてこりごりになったりする母親の様子が丁寧に描かれています。日本でも、この作品を原作としたTBS系テレビドラマ「感動ドラマ特別企画マラソン」(主演:二宮和也)が2007年に放映されました。冒頭で、医者が「自閉症は病気ではなく障害です」なぁんて正しいことを言う。しかも「自閉症児は意志の疎通が図れない」「だから家族が疲れます」と正確なことを言う。ちゃんと解った監督が作った映画です。だから、『治る』物語ではなく、『克服する』物語が展開します。・・・(中略)・・・主軸となるのは、母子の物語。というか、むしろ主人公は、この母親なのかもしれない。母親は、息子より1日後に逝くのが願い。しかし、その想いが息子を過保護にしたり、必要以上に物事を強いたり...。監督:チョン・ユンチョル出演:チョ・スンウ, キム・ミスク, イ・ギヨン, ペク・ソンヒョン, アン・ネサンDVD参考価格:¥4,104マラソン[DVD](Amazon)まとめ出典 : いかがでしたか?ひとくちに「自閉症」といっても症状や特徴は一様ではなく、また歩む人生も人それぞれであることが、映画で描かれる自閉症の人の姿を通して分かります。また、「天才児」というイメージで語られることもあるこの障害ですが、ドキュメンタリー作品は私たちに、世間のイメージとはまた違った自閉症の一面を伝えてくれます。映画を通して、自閉症の存在をもっと身近に感じたり、自閉症の人とその家族、周りの人々が抱える葛藤に共感したりと、新しい発見をしてみてはいかがでしょうか。
2016年12月02日夫と今までにないくらいの大ゲンカをした夜のことUpload By 553kmn(こころ)我が家には自閉症の娘がいます。ある日、夫と大喧嘩をした夜のことです。いつもお互い言いたいことは言うので、喧嘩にまで発展することはほとんど無いのですが……この日はこれまでにないくらい激しい言い争いをして、「今日は絶対に口聞かない!」なんて思っていました。お互い無言を貫こうとしたそのときでした。お互い意地を張ろうとした瞬間、私たち夫婦が見たものは…Upload By 553kmn(こころ)Upload By 553kmn(こころ)自閉症の娘が、DVDを見ながら音楽に合わせて初めてジャンプをしたのです…!娘は運動発達が遅れていると言われていて、まだ走ることやジャンプができませんでした。この驚きと嬉しさを共有したくて、気がついたときには喧嘩のことをすっかり忘れて夫に「見て…!」と話かけていました。Upload By 553kmn(こころ)娘を見て夫も驚いていました。でもあの日以来、娘がジャンプをするところは1度も見ていません。あのタイミングでのジャンプ、もしかすると娘は私たちに仲直りして欲しかったのかな…。娘の成長を目撃したことをきっかけに、意外な形で夫と仲直りしたのでした。
2016年11月27日この子に一体何が起きているの?出典 : 子どもの発達が気になったとき、そして「もしかして何か障害があるのではないか」と疑い始めたとき、みなさんはどんな心境だったでしょうか?我が子に障害があると考えたくないという保護者の方もいると思いますが、私は「必要なら早く子どもをサポートしてもらえる場所に繋がりたい…」という気持ちでいっぱいでした。私の住んでいる地域では、3歳にならないと発達障害の診断は出ないということでしたが、1歳半健診を受けた際に紹介された「療育センター」で相談に乗ってもらうことにしました。療育センターと聞いても、知識のなかった当時の私には、何をする所か全くわかっていませんでした。とにかく子どもの今の状態が知りたい一心だった私。うちの子は発達に問題があるの?他の子と何か違うの?そんな気持ちが渦巻きながら、療育センターの予約日までの数ヶ月を過ごしていました。待ち遠しかった療育センターでの相談。最初に面談したのはソーシャルワーカーさんだった出典 : 初めて療育センターを訪れた日、息子は2歳になっていました。最初に話を聞いてくれたのは、ソーシャルワーカーと呼ばれる人でした。「 医師と私たちを結ぶ、『何でも屋』と思って頂きたい。」そう言われたのを覚えています。あらかじめ書いてきて下さいと貰っていた問診票や生活記録表を渡しながら、私たち親子(夫、私、息子)とワーカーさんとの4人で和やかな4者面談を行いました。生活記録表には、生まれてからの成育歴を記しました。また、問診票には睡眠が乱れていることや、偏食、衝動性でどれほど苦労しているかなど、母親目線での育てにくさを記入しました。面談では問診票の確認のほか、夫から見た息子の様子も聞かれました。そのあいだ息子は、用意されていたオモチャや私が用意していたお気に入りグッズでその場を過ごしました。面談が終わると、ワーカーさんから「それでは医師の診察になりますね」と言われました。いよいよ始まった息子の診察。医師の分析、視点の違いに驚き!出典 : その後、医師の待つ別室へと息子と入室しました。部屋に入ると医師が1人、他にもう1人女性の保健師さんがいました。医師は初めに主人と私に笑顔で挨拶をした後に、「お子さんの様子を少し拝見しますね。簡単なテストのようなものもします。」と言い、1歳半健診でやるような型はめや絵本、クレヨンでお絵かきなどをしました。検査に使う道具や絵本、絵の描いてあるカードなどは、医師が指示を出すタイミングまで、白い布に覆われた棚の中に隠してありました。整理された環境…それはまさに、子どもが落ち着いて目の前のことに集中できるよう工夫された部屋でした。こうして、検査段階から既に療育への第一歩が始まっていたのです。その後、一通り息子の課題や検査が終わり、先生が言いました。「実はドアを開けた瞬間から息子さんがどこに注目するのかを見ていました。息子さんの場合は、真っ先に物に注目していましたね。通常というと語弊があるかもしれませんが、このくらいのお子さんであれば、入る時点で周囲を警戒する子がまぁ、一般的には多いんですよ。息子さんはそうですね…人ですね。人への関心が少ないお子さんではありますね」私は、先生のこの言葉に衝撃を受けました。なぜなら、これまでの子育ての中で私が気になっていたことは、落ち着きがないとか、偏食・不眠という「目に見えて気になるところ」だけだったからです。発達の遅れというのは行動だけではなく、目に見えないこと(感受性)にも注目するのですね。やっと子育ての相談ができる…身構える私。そして下された診断名は出典 : いよいよ、医師と私たち夫婦との面談です。特に私は身構えていました。「やっとこの子に起きていることがわかる…!」この日が来るまで、何度眠れない夜を過ごし、何度涙を流したか…。医師から告げられたのは、以下でした。●注意関心の向け方に偏りがある・人より物に関心がある●発達に凸凹がある・目で見て理解する力はある(視覚優位)・意図、意味、気持ちや状況、ルールや人との距離など、見えないものをイメージする力が弱い●コミュニケーションの困難さ・相手の意図を理解してコミュニケーションする力が弱い「この、3つの観点から総称して『自閉症スペクトラム障害』と言えます。そこに交わるカタチで、様々な障害が関わってきていたりもするのですが、お子さんの場合はADHDの傾向が既にあります。ただし、未就学児に対する診断は下せないことになっていますから、ADHD(仮)と思ってください。」医師は時おり穏やかに、でも強くきっぱりと言いました。「この子にはきっと何かある…」わかってはいた。でも現実を突き付けられたショックは大きくて出典 : うちの子は自閉症スペクトラム障害なんだ…。障害と名のつく診断を貰ってしまった…。その直後、しばらく呆然としたのを覚えています。そして、気付いた時に私は泣いていました。声もなく、ポロポロ涙が止まりませんでした。主人も冷静を装いながら、私の背中を一生懸命さすってくれていました。医師は更に続けました。「診断名というのは、あくまで名前です。総称のようなもの。これから先、診断名としては一生取れることはないかもしれないけれど、息子さんはまだ小さい。これからの関わり方次第で、とても伸びるお子さんだと思いますよ。賢いのね、彼。とても賢いわ。将来が楽しみ。だから、一緒に向き合っていくお力になれればと思います。」そう締めくくりました。支えになった夫の存在。そして始まったのは新しい未来だった出典 : 「診断名としては一生取れることはないかもしれないけれど」医師のこの言葉は、悪意からではなく「大丈夫。我々もサポートします。未来をみよう!」という気持ちからだったのだと思いますが、この時の私は、この言葉だけがずっと頭から離れませんでした。主人は、滅多に動じない人ですが、流石に悲しそうな表情でした。私が感情のまま泣いてしまったことで、それをどうにかしてあげなきゃ。家族を支えなきゃ。という気持ちでいっぱいだったようです。こうして私たち家族の、療育と向き合う日々が始まるのでした。その様子は次の記事で書きたいと思いますので、宜しければお付き合いください。
2016年11月14日言葉が遅れていた長男。やっと少しずつ話し始めた!7歳になる長男は、重度の自閉症という診断を受けています。最近まで言葉がほとんど喋れなかったため、長男と意思の疎通をはかることが困難でした。Upload By シュウママ気持ちを口にしてくれない長男に、私や家族は歯がゆい思いをしていました。けれど、少しずつ指差しをしたり目線が合うようになったりするようになり、ぽつりぽつりと単語のようなものも出始めました。ある日、私の袖を引っ張り、キラキラと輝くイルミネーションを見て「きれい」と教えてくれました。次第に「ごはんを食べる前は、いただきますってするんだよ」と伝えると、手をパチンと合わせ、「いただきます」と言うなど、ごく簡単なやり取りもできるようになりました。7年もの間、私が一方的に叩き続けていた心のドア。長男がこのドアをやっと少し開け、私を招き入れてくれたように感じうれしかったです。Upload By シュウママたくさんの言葉を覚えたこと。その喜びを夫と共有したい!物の名前がわかるようになってきた長男は、身の回りの物の名前もぽつりぽつりと口にするようになりました。学校からの帰宅時「脱いだ靴下は洗濯機に入れようね」と伝えていると「せんたっき」という言葉が自然と出るようになり、「寝る前はテレビを消してね」と伝えれば「テレビ」といつの間にか口にするようになりました。単語が出てくるにつれて、私は長男がどの程度の言葉を獲得しているのか確認したくて、あちこち指差しました。「あれは何?」「それは何?」長男は「とけい」「あし」など、覚えた言葉を次々と答えてくれます。たどたどしい喋り方がまた愛おしく、何度も何度も繰り返して言わせました。Upload By シュウママそんな時、夫が仕事から帰ってきました。夫の帰宅はたいてい9時過ぎ。長男は既に寝てしまっている時間になることが多いです。そのため、夫はこの数日で長男の言葉数が増えたことを知りません。私は言葉を話す姿を見てもらいたくて、夫の前でついさっきの質問と全く同じことを長男に聞きました。「手はどこかな?」「足はどれ?」「時計はどこ?」Upload By シュウママけれど、長男は答えようとしませんでした。ただじっと私の顔を見つめています。そんな長男の姿を見た夫が言いました。Upload By シュウママはっと長男の顔を見直すと瞳は怒りにみちていました。同時にとても悲しげで、私は胸をつかれました。Upload By シュウママ幼いと思い込み、傷つけてしまった長男の気持ちわかりきったことを何度も聞かれることを、彼は小さな体で精一杯拒絶しようとしていたのです。苛立ちを言葉にして表現できないため、答えずに私を無言で睨みつけるという方法をとるしかなかったのです。彼は感情を抑えているとき、ぎゅっと小さな指を握り拳をつくります。その時も、堅く結ばれた握り拳が私の目の前にあったことを覚えています。「ボクは芸を仕込まれたサルじゃない!ボクは赤ちゃんじゃない!」そんな叫びが聞こえた気がしました。Upload By シュウママ自閉症があり発達がゆっくりだからといって、長男の感情を置き去りにすることは決して許されないことだったのです。私は反省しました。大切な長男の尊厳を踏みにじっていたんだと……。言葉が口から出ない間にも、子どもの心は育っていた行動が幼いがゆえ、私自身も長男が7歳であることを忘れてしまうことがあります。身長や体重と違い、心の成長は測ることができません。特に言葉の遅い子どもは、表出する言語が少なく判断する材料も少ない分、なかなか成長に気付けないのかもしれません。でも行動が変わっていても、言葉が喋れなくても、長男は7年分ちゃんと成長していたのです。もし、彼が本当に1歳の幼児であったなら、無邪気に親の言葉に従っていたかもしれません。でも言葉が出ない=赤ちゃんではないということを、息子の無言の抵抗が教えてくれました。7年の月日の中で長男が味わい、感じた景色は、産まれてまもない赤ちゃんのままではなく、私が思っていたよりもずっと広がりがあったのです。少なくとも、誇りという確かなものをちゃんと手にしていたのだと気付きました。「どうか、ぼくたち自閉症の子どもを幼いと思いこまないで!」彼の小さな心の叫びが、すこしでも届けばと切に願います。
2016年11月03日自閉症とは?Upload By 発達障害のキホン自閉症は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴があると言われています。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)では広汎性発達障害というカテゴリーのもと、自閉症という障害名が使われています。一方、2013年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)において自閉症という障害名は廃止され、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラムの障害名のもとに統合されました。そのため、今後自閉症という名称での診断は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害に変わっていくことが予想されますが、自閉症という名称は現在も一般的であり、また発達障害者支援法などの法律や文部科学省・厚生労働省などでも使用されています。以上をふまえ本記事では、下記の文部科学省の定義で示されるような概念における「自閉症」についてご紹介します。自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。自閉症の原因は何?出典 : 自閉症とは、様々な要因が関与して起こる先天的な脳機能障害です。自閉症の原因に関しては諸説あり、医学的にはっきりとした原因はわかっていませんが、脳や心身が発達する時期に、なんらかの先天的な遺伝的要因に加えて様々な環境要因が相互に影響し合って生じた脳機能障害が原因になると考えられています。つまり自閉症は生まれ持った障害です。よく「テレビを見過ぎたから自閉症になった」とか「親の愛情不足で自閉症になった」との話を耳にすることがありますが、誤解です。親の育て方やしつけのせいではありません。自閉症って治療できるの?出典 : 自閉症を根本的に治す薬や手術などの医療的な治療法は開発されていないため、現在自閉症を完全に治療することはできません。しかし療育や環境調整を通して接し方や伝え方を工夫することで、発達を促進したり、日常生活における本人の困りごとを解消したりすることができます。自閉症のある子がのびのび生活するためには、周囲の理解と協力が必要不可欠です。パパ・ママはまず本人の性格や特性をよく理解し、周囲にも根気よく説明して過ごしやすい環境を整えてあげましょう。幼稚園や保育園、小学校に通うようになると、コミュニケーションの困難から、自分の思いをうまく伝えられなかったり、周りから孤立してしまったりすることも考えられます。上手にコミュニケーションをはかるためにも、日頃から自分の思いをどう伝えたらよいかを教えていきましょう。また、こだわりとの付き合い方やパニックになったらどう対処したらよいかなど、落ち着いて生活する方法を一緒に考えましょう。興味や関心の高い分野を伸ばすなど、特性や強みを生かして本人の自己肯定感を高めることも重要です。自閉症の治療の判断基準は?いつから始めるべきなの?出典 : 自閉症の子どもは早ければ1歳頃から症状が出始めます。3歳頃になると「周りの子ども達と比べると話すのが遅い」「目を合わさない」などの症状がより目立ってきます。自閉症の症状は大きくわけて・社会性と対人関係の障害・コミュニケーションや言葉の発達の遅れ・行動や興味の偏りの3つがあり、それぞれの症状が3歳ぐらいまでに現れると定義されています。乳幼児健診などの時に気づかれることもありますが、見過ごされてしまうこともあります。ほかの子と比べて何か違いを感じたり気がかりなことがあれば、親が勝手に判断するのではなく、まず身近な相談できる専門機関や、かかり付けの医師に相談してみましょう。専門の医療機関を紹介してくれるかもしれません。できるだけ早期に症状に気づくことで支援につながり、適切な対応をすることで子どもの状態が大きく変わることがわかってきています。療育などの専門機関に通い始めるのは早いほうがよいと言われています。本人や家族がなんらかの困りごとに直面している場合、できるだけ早いうちからその子に合った療育や環境調整を行うことが望ましいでしょう。自閉症の方は、自分が好きなことに集中することが得意です。なので、子どもでも大人顔負けの知識を持っている子も多いですし、大人になってから仕事などで専門性を発揮する方もいます。その子に合った治療や支援を受けることは、得意分野を伸ばし、特性を活かす力を育むことにつながります。上述の通り、自閉症そのものを根本的に治療することは困難ですので、「こうなれば治療や支援は終わり」という明確な線引はありません。しかし、本人が成長するにつれて、サポートの内容や頻度を減らしても問題が起こりにくくなったり、医療機関の受診間隔が長く空けても安定してくる場合はあります。大人になると、数ヶ月に1回ぐらいのペースでの受診になったり、困りごとが軽減されれば治療や投薬の必要がなくなることもあります。自閉症の治療法・療育法Upload By 発達障害のキホン自閉症を根本的に治す薬や手術などの医療的な治療法は開発されていないため、現在自閉症を完全に治療することはできません。しかし療育や環境調整を通して接し方や伝え方を工夫することで発達を促進したり、日常生活における本人の困りごとを解消したりすることができます。また二次障害や合併症の症状を緩和させる治療を受けることもできます。自閉症の人は、それぞれ個々に合った対応法を組み合わせた支援プログラムを受けていきます。ここでは一般的な自閉症の対応法である療育法・治療法を紹介したいと思います。現時点では根本治療のための薬は開発されていませんが、自閉症そのものを治すための薬ではなく、不安障害を抑える薬や、パニックを抑える薬など、自閉症の症状を緩和するために薬が処方されることがあります。その他にも医師によって個人に合った薬を処方されますので、信頼できる医師に困っている症状を相談し、服薬で改善されるのか、それとも療育や環境調整など別の手段で改善できるのかを確認しましょう。薬の服用により特徴が緩和されている時には療育や教育の効果も上がりやすくなるとも言われています。薬物療法は医師の指示のもと用法や用量を守って服用していかなくてはいけません。薬に頼り切って多用するのは避けましょう。療育とは医療、訓練、教育、福社などの現代の科学を総動員して障害を克服し、その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ、自立に向かって育成することである。自閉症の特性に合わせてトレーニングをしたり、環境調整をすることで、困りごとを改善したり、得意なことを伸ばしたりできるのが療育です。小さいうちから療育に通うことで、精神的・身体的機能に対してある程度の効果が表れるようです。英国自閉症協会は自閉症の治療・教育の理念としてSPELL(スペル)という枠組みを示しています。■SPELLのフレームワークStructure(構造化): 自閉症の人たちに周囲の環境の意味をわかりやすく整理し伝える。時間や空間、意図の視覚化をするPositive(肯定): 子どもを肯定しほめる(自己肯定感を高める)Empathy(共感): 自閉症の特性を深く理解し、共感するLow arousal(低刺激): おだやかな刺激や環境にする(過激な刺激や興奮を避ける)Links(連携): 地域と連携し協力する自閉症の療育方法は色々ありますが、上記のような原則にのっとり進められることが多いです。|The National Autistic Society(英国自閉症協会)適切な治療やサポートを受けられない場合、自閉症の主症状とは異なる合併症状や状態を引き起こしてしまうことがあります。このような症状や状態を、一般的には「二次障害」と言うこともあります。注意すべき合併症・二次障害には以下のようなものがあります。・うつ病・不安障害・睡眠障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症など自閉症の二次障害で多いのが「不安障害」とうつ病などの「気分障害」です。不安障害とは生活の中で、常に高い不安を感じ社会生活に支障をきたす状態をいいます。自閉症の方は、感覚過敏や環境の少しの変化にも対応するのが難しく、不安を感じパニックになってしまうことがあります。また、強い失敗経験や自己肯定感の低下から、うつ病などを発症してしまうこともあります。二次障害が起こらないように生活環境を整えることは、自閉症の重要な対応法です。周りの人が本人を気にかけ、困っているときはすぐにサポートを受けられるような環境づくりをして、少しでも本人が過ごしやすいようにしましょう。接し方で大きく変わる!自閉症の子どもへの接し方のポイント出典 : 自閉症の子どもに接するときに以下のポイントに気をつけましょう。■言葉は短く具体的に伝える長く説明されたり一度にたくさん指示されたりすると混乱してしまいます。指示は短く簡潔に、子どもが理解しやすい言葉を工夫しましょう。また、「おやつよ。座って食べてね」のように一文にいくつもの指示があるとわからないこともあります。まず「座ってね」と一つ指示を出し、できてから「おやつを食べてね」と次の指示を出しましょう。■視覚的な手段を使って説明する自閉症の子どもは、耳で伝えられる情報はなかなか理解することが苦手ですが、絵や写真といった視覚的な情報は理解できることが多いようです。そうすると、言葉だけでなく視覚でも理解ができます。言葉でのコミュニケーションが苦手な自閉症の子どもにとって理解しやすい環境になり、何をして欲しいのか明確にわかるようになります。予定や約束ごとなども、絵にして知らせると、理解しやすく安心できます。■のぞましい行動をほめる自閉症のある子どもは相手の言葉の意図をくみ取ることが難しい場合があります。そのため「してはダメ」なことを叱るよりも、「してほしい」ことをしたときにストレートな表現でほめるほうが効果的です。うまくいったことや頑張ったことがあれば、どんな小さなことでも思い切りほめます。同じことでも何度もほめることで「よい行動」が印象づけられ、具体的にわかります。■大人が感情的にならない接する時に気をつけたいのが、何かを説明するときに決して怒らないということです。こちらが感情的になると、いつもと違うできごとにパニックを起こしてしまい、逆効果になってしまいます。何かを伝えたい時は、冷静さと短い言葉で完結に伝えることを心がけてください。否定的な言葉は使わず、「○○してほしい」「○○しましょう」と言い換えるようにしましょう。自閉症の子どもは接し方を工夫すると、パニックを起こすことも少なくなり、本人も家族も生活を共にするのがとても楽になります。生活のパターンを掴むまでは時間が掛かりますし、大変なことも色々あると思いますが、少しずつ問題は解決していきます。諦めずに医師に相談しアドバイスをもらいながら対処していきましょう。■スケジュールが変わるときは事前に説明する自閉症の特性として、突然の変化が苦手ということがあります。いつもと違うことやスケジュールの変更は自閉症の子どもにとってとても不安なことです。変更を伝える時には、事前に絵に書いて見せるなどして説明しましょう。本人が理解でき、見通しが持てるとパニックにならずにすみます。■何か行動を始めたら途中で邪魔しない自閉症の子どもが何か行動を始めた時に邪魔をしてしまうと、パニックになってしまいます。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますので、本人も周りの大人も体力を消耗してしまいます。その行動をやめてほしい時は、行動を始めて終わったタイミングで注意するようにしましょう。■感覚過敏に配慮する自閉症の子どもは感覚過敏がある場合も多いです。嫌がったり偏食したりしますが、単純な好き嫌いや我がままではないので、叱ったり無理強いしても解決しません。できるだけ苦手なものは避けてあげましょう。音に敏感な場合はイヤーマフなどを使用するなど、対応を考えましょう。手をつなぐことや触られることが苦手なこともありますが、決してその人が嫌いということではないことを理解して接してください。■興味・関心のあることで不安を解消し、得意なことを増やす自閉症のある子どもは、何もすることがないと時間をもてあまして不安になる傾向があります。病院の待合室や電車の中などで手持無沙汰を解消できるよう、絵の描けるホワイトボードやパズルなど、好きな遊びを準備しておくと落ち着いて過ごせます。本人に合った習い事に取り組むなど、余暇の過ごし方を教えることもことも重要です。興味・関心のあるものを増やしていくことで、本人の得意なことも増やせます。■困ったことがあれば子ども自身がヘルプ要請を出せるようにする自閉症のある子どもは自分ではうまくできず、困る場面が多くあります。ですが、コミュニケーションをとるのが苦手です。そこで、困ったことや、できないことがあったときに、自分でサインを出して助けを求められるようにすることがとても大切です。そもそも自閉症のある子どもは自分が「困っている状況」だということが理解できず、パニックになったり固まってしまう場合もあります。まずは子どもに「いらいらする」「どうしたらいいのかわからない」「涙が出る」など、自分の感覚や感情がどんなときに「困っている状況」なのかを教えます。そして困った状況になったら誰に助けを求めればいいかを教えます。「どうしたらいいのですか?」「わからないので教えてください」など、なんと言うかもできるだけ具体的に説明するとよいでしょう。まとめUpload By 発達障害のキホン自閉症は現時点では根本治療ができないので、診断をされると色々と不安になってしまうと思います。しかし、適切な対処法を身につけることで社会や生活上での困難が軽減できます。そのためには、できるだけ早期に専門機関などで専門家に相談したり、必要に応じて療育などの支援をスタートするとよいでしょう。何が得意で何が苦手なのかをはっきりすることによって、対処法が見つけられるかもしれません。一人ひとりに合わせた方法で根気よく子どもと付き合っていけば、その子の困難を克服できるでしょう。また、自閉症のある人は、ある特定の分野に非常に優れている人も多いので、得意なことを伸ばし、本人の特性をいかすこともできます。周りの人の協力を得ながら、本人がいきいきと過ごせる環境をつくるように心がけましょう。
2016年10月21日