11月、新国立劇場・中劇場にて『ブエノスアイレス午前零時』が上演される。演出を担当する行定勲と、原作者の藤沢周に話を訊いた。『ブエノスアイレス午前零時』チケット情報1998年に芥川賞を受賞した小説『ブエノスアイレス午前零時』を、行定は刊行当初から映画にしたいと熱望していた。「藤沢さんの描くハードボイルドな、ちょっと距離を置いて社会を見つめる視線というのは、僕の思う非常に〈映画的なるもの〉なんです。静かだけれど、つねに凶暴」と藤沢作品の魅力を語る行定。ノートを新しくするたび、今後実現させたい企画の筆頭に『ブエノスアイレス午前零時』の名はあり続けたのだという。これが舞台化に向けて大きく舵を切ったきっかけは、主演である森田剛からのラブコールだった。「行定さんの演出で舞台をやりたい」という森田の想いを行定はふたつ返事で受け入れた。そして彼に似合う作品を考えるうち、15年もの間温め続けていたタイトルが浮かんだ。「森田くんに、現実に縛られた男を演じてほしかった。そういう男が奥底にあるものを出す瞬間を演じたら、彼はすごく輝くんじゃないかと思ったんです。そのときに『ようやくあの作品ができる』と感じた」長年行定から映画化の構想を聞き続けていた藤沢は、そのキャスティングに最初は驚いたのだとか。それもそのはず、原作に描かれているカザマという男は、森田の風貌と決して似ているとはいいがたいのだ。しかし制作発表の場で森田と会い、彼がカザマを演じることに深く納得したという藤沢。「森田さんは静かなのに、心の中に刃を抱えている感じがする。彼に演じてもらうカザマは、静謐な男だけれど実は奥底でパッションが燃えている。ぴったりですよ」。原作者である藤沢は、行定の手による舞台化に全幅の信頼を置いている。「行定さんの映画って、たとえラブストーリーでもそのなかに冷酷なものや毒を孕んでいる。それが僕に共鳴する部分があるんです。『ブエノスアイレス午前零時』もいろんな読み方ができる小説ですが、書き手の核を確実に掴み取ってくださっている」。行定も「どう演出するか、いまの時点ではまったくわからない」と言いつつ、自信をのぞかせる。「藤沢さんの小説は、10年以上経ってもまったく色あせない。それは僕が映画をつくるときに目指しているところです。いくつか演劇に携わってきたけれど、こうして企画の段階から携わるのは初めての経験。プレッシャーはあります。でも、原作を初めて読んだ時の初期衝動のまま、この世界を描き出せれば」。果たして、行定によってこの作品がどのような形で立ち現れるのか、期待が募る。舞台は11月28日(金)から12月21日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場、12月25日(木)から29日(月)まで大阪・シアターBRAVA!で上演。チケットの一般発売は10月4日(土)午前10時より。取材・文/釣木文恵
2014年09月30日『悪人』『横道世之介』の吉田修一による原作を、初共演の鈴木京香と高良健吾を迎えて行定勲が監督する連続ドラマW「平成猿蟹合戦図」。行定監督が初の連続TVドラマに挑む本作から、萩原聖人や高岡早紀、さらに中原丈雄、石橋蓮司といった実力派、さらに福田彩乃、マキタスポーツなど個性派が揃ったオールキャストの情報が解禁。中でも福田さんが、彼女に当て書きされたというホステス役でこれまでにないセクシーな姿を披露していることが明らかとなった。舞台は東京・歌舞伎町。ひき逃げ事件を目撃したバーテンダー・浜本純平(高良健吾)は逮捕された男と現場にいた男が別の人物だと気づく。どうやら真犯人は世界的チェロ奏者の湊圭司(萩原聖人)で、彼の兄が罪をかぶっているらしい。純平は一攫千金を狙い、弟分のホスト・真島朋生(浅香航大)と共に、湊をゆすることに。だが、そこへ立ちはだかったのが、湊の敏腕マネージャー・園夕子(鈴木京香)。その存在感に圧倒された純平たちはあっさり降参。一方で、夕子もみんなから愛されている純平のキャラクターに興味を持ち始める。まったく別の世界で生きてきた2人の意図せぬ出会いは、周囲の人間を次々に“復讐”という名の大騒動へと巻き込んでいき――。文字どおり平成の“猿蟹合戦”となる復讐劇を描く本作で、福田さんが演じるのは、朋生の妻でホステスの美月。朋生を追って、息子の瑛太とともに長崎から上京してくるという役どころだ。今回、公開された劇中ビジュアルのように、普段はなかなか見られないセクシーな姿も披露しているという。「わたしが演じる美月が、“モノマネホステス”!?という驚きから始まりました」と初めて脚本を読んだときの感想を話す福田さん。「展開も速く、パズルを解いていくような復讐劇で、とても気持ちがよかったです」と当時をふり返る。また、行定監督との初タッグとなった現場は「とても刺激的でした!あと冬でとにかく寒かったです(笑)」というが、「空き時間には『ものまね教えて~』とおちゃめな一面もあり、とても楽しい現場でした」と行定監督の素顔を明かす。さらに、視聴者へ向けて「どうやって復讐を展開していくのか、最後まで目が離せなくなる出来事が次々と起こっていきます。誰が蟹で誰が猿なのか。観たらきっと『早くこの猿を木から落としてやりたいっ!』と、うずうずして、たまらなくなると思います。一人一人が愛おしく、若者たちが、臼や蜂と集まって世の中を変えようと懸命に生きる様は、まさに“平成猿蟹合戦図”!ぜひ楽しみにしていてください!」と、見どころを語ってくれた。<土曜オリジナルドラマ>連続ドラマW「平成猿蟹合戦図」はWOWOWにて11月15日(土)夜10時より毎週土曜放送(全6回)。(text:cinemacafe.net)
2014年09月01日「天才」。もうすぐ10歳を迎える少女について多くの人がそう口にする。間違ってはいない。芦田愛菜があふれんばかりの才能を持っていることは事実だろう。だが彼女の素晴らしさを才能なんて言葉だけで片付けてはいけない。撮影前、愛菜ちゃんは何度も、何度も、何度も繰り返し台本を読む。そうすることでセリフを覚えるのはもちろん、その中で新たな発見をし、役柄への理解を深めていくという。才能ではなく努力を積み重ね、愛菜ちゃんは役柄を作り上げていく。ドラマ「Mother」や「明日、ママがいない」では、その涙やいたいけな表情で観る者の心を鷲掴みにしたが、まもなく公開する『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』では、過去の作品とはまた違った表情を見せてくれる。映画化もされた『きいろいゾウ』など独特の作風が人気を集める作家・西加奈子の「円卓」を行定勲監督が映画化。ちょっぴり風変わりな小学3年生の“こっこ”こと琴子の家庭や学校での日々を中心に、彼女を取り巻くクラスメイトや大人たちの姿をも切り取ってゆく。“他人と違うこと”を一番「かっこええ」ことと捉えるなど、独特の視点や感性を持った少女・こっこ。愛菜ちゃんはこの主人公をどのような視点で見ているのか?「やっぱり、変わってるな、とは思います。普通、夏休みの自由研究を『蚊の研究(※そのために彼女は延々と蚊に腕の血を吸わせる)』にしようとか思わないし…(笑)。でも私も、決してこっこちゃんのように人と同じことが大嫌いというわけじゃないけど、人と違うことをしてみたいって気持ちは分からないでもないです。何にでも興味を持って、いつも疑問を抱いてるっていうことはいつも忘れないようにしました。好奇心いっぱいっていうところは似てるかも」。そんな、小学3年生にしてパンキッシュとも言える魅力を持ったこっこちゃんは当然、外見も奇抜!目玉や脳みそ、セミなどをかたどった髪留め、左右で少しズレて非対称の髪型など、普段の愛菜ちゃんなら「絶対にしない(笑)!」というファッションでスクリーンに登場する。「最初はビックリしました。『何で、机の上に目玉が乗ってるんだろう…?』って(苦笑)。髪もズレてるし、前髪もオンザ(=オンザ眉毛/眉毛の上で前髪を切り揃えた状態)だし。こんな格好している自分を見たことがなかったので、不思議な気持ちでした」。ちなみに本作のこっこは関西弁を話す。現在は東京暮らしで標準語での演技の印象が強いが、愛菜ちゃんは元々、兵庫出身の関西弁“ネイティブ”だが…。「関西出身なんですけど、忘れかけていたところもあったので、関西に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんに確認しました」。こっこちゃんのみならず、お隣に住む友人で吃音にコンプレックスを持っていたが、それをこっこから「かっこええ!」と言われて自信を持つぽっさん(伊藤秀優)を始め、個性的な子どもたちが数多く登場する。撮影現場でも同世代の子たちと話をする時間がたくさんあった。「たわいもないことばかり話してました。学校のこととか、自由研究どうしよう?とか。この映画の撮影も夏だったので、(宿題を抱えるこっこたちと)重なりました。夏休みの宿題は…頑張ってやりました!自由研究は世界一高い山のある国とか、長い河のある国とか、No.1を持っている国をまとめたのと、丸い地球儀のジグソーパズルを作りました。No.1の国の国旗を描くんですけど、細かい模様があったり、鳥とかいろんな文字が(国旗に)ある国もあって、大変なんですよ!」。タイトルの通り、こっこ家で家族と円卓を囲むシーンは見ていて心温まるが、愛菜ちゃんは演じていて楽しいだけでなく、かなり大変だったよう。「円卓を囲んでワイワイお食事するシーンは一番楽しいんですけど、みなさん、アドリブがすごくて…。八嶋(智人/父親役)さんと羽野(晶紀/母親役)さんがムードメーカーなんですが、アドリブも多くて『次、何を言われるんだろう?』ってドキドキしてました。そのシーンではこっこは、あまり家族と喋らなくていいキャラクターだったので助かりましたけど。テストで『お隣さんからジャガイモもらったよ』だったのが、本番で『人参』になったり…(笑)。『えー!?(ジャガイモのつもりで)考えてたのに!』とか(苦笑)」。全編を通じて目立つのは、眉間にしわを寄せ、いろんなことへの怒りや不満を正直に表したこっこの表情。さらに顔だけでなく言葉でも、、時に「うっさい、ボケ!」とクラスの男子たちを一喝し、父親に向かってこっそりと「黙れ、平社員」と毒づくなど、意外にも愛菜ちゃん、“ダークヒロイン”ぶりが板について似合っている。愛菜ちゃんはお芝居をすることを楽しんでいる。「自分じゃない誰かになりきれるというのが楽しいです」と笑顔で語る。そう、彼女は“ありのままの子どもらしい姿”や“素の自分”をカメラの前で出しているわけではない。台本を繰り返し読み、監督の指示を聞き、考えた上で作り上げた、自分とは全く違うキャラクターを自然に演じているのだ。“子役”ではなく“女優”――映画はこっこの姿を通じて、大人たちに多くのことを問いかけるが、それは女優・芦田愛菜の姿とも重なる。こっこはジャポニカ学習帳に気になった言葉や初めて知ることなどを書き留めていくが、愛菜ちゃん自身のお気に入りの言葉は?「好きな言葉は“努力”です」。この言葉に芦田愛菜の凄さが詰まっている。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:円卓 ~こっこ、ひと夏のイマジン~ 2014年6月21日より全国にて公開(C) 2014『円卓』製作委員会
2014年06月20日タワーレコードは4日、同社の意見広告シリーズ「NO MUSIC, NO LIFE?」として、冨田勲、Lamp、MAN WITH A MISSION、憂歌兄弟の4組がそれぞれ登場する最新ポスターを発表した。Lamp、MAN WITH A MISSIONのポスターは同日より、冨田勲、憂歌兄弟のポスターは2月15日より、タワーレコード全店およびTOWERmini店頭にて順次掲出される。今回発表されたのは、宮沢賢治の世界を音で描く『イーハトーヴ交響曲』に初音ミクを起用したことでも話題になった作曲家/シンセサイザー奏者の冨田勲氏をはじめ、気鋭の3人組バンド「Lamp」、全米デビューも決定したロックバンド「MAN WITH A MISSION」、伝説のブルースバンド「憂歌団」の木村充揮と内田勘太郎による音楽ユニット「憂歌兄弟」の4組がそれぞれ登場するポスター。いずれも店頭にて掲出されるほか、各アーティストが3月に発売する最新作を同店にて購入すると、抽選でそのアーティストのポスターが当たる応募ハガキがもらえるとのこと。なお、タワーレコード・オンライン内の「『NO MUSIC, NO LIFE?』ポスターギャラリー」では、今回のメイキングレポートやインタビュー&メイキングムービーも順次公開される予定(MAN WITH A MISSIONは除く)。さらに、Lampのポスター出演を記念したコラボTシャツ「151 Lamp NO MUSIC, NO LIFE. T-shirt」もタワーレコード・オンラインにて発売される。全5サイズ展開で価格は3,150円。発売日は3月31日(2月25日より予約開始)。
2014年02月04日関ジャニ∞の丸山隆平が、行定勲監督の最新作で、子役・芦田愛菜の初単独主演映画『円卓』(2014年6月公開)に出演することが12日、明らかになった。同作は、大阪を舞台に芦田愛菜演じる偏屈な小学3年生・琴子(こっこ)のひと夏の成長を描いた物語。「うるさい! ぼけ!」などすごみのある関西弁が特徴の役柄で、芦田がこれまでに見せたことがない一面を披露することでも話題を集めている。行定監督は、芦田の新境地とも言えるこの役柄を「ある種ダークヒロイン」と捉え、「芦田愛菜がいるからこの企画はやれるなと思いました」と語っていた。丸山が演じるのは、琴子の担任教師・ジビキ先生。頼りなさそうに見えながらも、いつも子どもたちを温かく見守り、時には真剣に子どもたちと真正面から向き合う熱い心の持ち主で、30人の小学3年生を束ねる。教壇に立った丸山は、関西弁でホームルームや国語の授業を子どもたちと同じ目線で進め、生徒役の子どもからも「本当の先生みたい」「こんな先生に教わりたい」など称賛の声が上がった。本作が初の小学校教師役となる丸山は、「絶妙な人間らしさやだらしのなさを、衣装や髪形など、監督をはじめとするスタッフの方々に演出していただきました」と振り返り、役作りについて「初めてひげを生やしてみました」と明かした。また、初の行定組にも「自分の中にあるものを、繊細にすくい上げてくださってる様に感じました。撮影現場は楽しく、『っかぁ~っ、生きてるなぁ~っ!』という感覚で、もっと長い時間ご一緒したかったです」と語り、「今年30歳になる今、この作品に出会える事ができて本当に幸せです」と感激のコメントを寄せた。(C)2014『円卓』製作委員会
2013年11月13日2014年公開の行定勲監督の最新作『円卓』で芦田愛菜が初の映画単独主演を務めることが発表され、25日にロケ地の大阪で製作発表会見が行われた。その他の写真本作は西加奈子原作の同名小説を映画化するもので、大家族に見守られながらいつも不平不満ばかりで、少し孤独に憧れている小学三年生の琴子(こっこ)が悩み、考えながら成長してく姿を描くという。芦田が演じる琴子は口が悪く偏屈で「うるさい!ぼけ!」と毒づく個性的なキャラクターだ。芦田は兵庫県出身だが、これまでは標準語での演技が多く、関西弁を喋る役は初。芦田は「(関西弁を忘れかけていたが)お母さんやお父さんに教えてもらったり、関西に住んでいるお祖父ちゃんやお祖母ちゃんに確認しながら台詞を練習した。今では撮影がない時でも関西弁なので、ずっとこっこちゃんの気持ちでいられて楽しい」と、早くも琴子になりきっている様子だ。行定監督は「芦田愛菜がいるからこの企画はやれるなと思った。(この主役は)ある種ダークヒロイン。表情豊かでおもしろい。バイタリティで勝負しなくちゃならないところがあるんで、もう愛菜ちゃんしかいないなと」と起用理由を説明。撮影は7月中旬から大阪各所で行われており、8月中旬からは東京のスタジオにて“円卓”のある室内の撮影をする予定。映画は12月に完成予定で、来年に全国公開される。『円卓』2014年全国公開
2013年07月26日直木賞作家・井上荒野氏の同名小説を映画化した恋愛群像劇『つやのよる 愛に関わった、女たちの物語』の完成披露試写会が8日、都内で行われ、主演を務める阿部寛をはじめ、共演する小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、忽那汐里、大竹しのぶ、メガホンを執る行定勲監督が舞台あいさつに立った。その他の写真恋愛に対して奔放な妻“艶(つや)”に翻弄されながら、愛を貫く主人公・松生春二(阿部)をはじめ、かつて夫や恋人が艶と関係をもった女性たちがそれぞれの“愛”を追い求める大人のラブストーリー。豪華キャスト陣が初めて顔を揃えたこの日、阿部は「皆さんが惜しげもなく、台本をしのぐ芝居をされている。そこまで見せていいのか…という驚きと爽快さを感じるほど」と女優たちの熱演に圧倒されていた。一方、女優陣も作品への思い入れは格別で「大人の恋愛アンサンブルで、日本にはあまりない作品」(小泉)、「男女のかわいさとおかしさが詰まったすてきな作品」(野波)、「普段とは違った役者さんの顔が見られるのは映画ならでは。特に阿部さんとママチャリに乗れたのがいい思い出」(風吹)、「(年齢的に)男女の愛については、計り知れない部分も多いが、大先輩が集う作品に携われるのはうれしいこと」(忽那)と熱のこもったアピール。また、主人公の前妻を演じる大竹は「離婚した夫を思い続けるという、自分とはかけ離れている」と自身の役柄を語り、笑いを誘っていた。そんな豪華キャストを前に、行定監督は「愛という形にできない曖昧なものを描く上で、ここにいるキャストの方々は絶対必要だった」と明言。女優陣への演出については「登場人物の心理や精神状態、表情はすべてお任せした」といい、「女性がもつ怖さと美しさを目の当たりにし、自分がいかに女性のことをわかっていないか、改めて勉強になった」と振り返っていた。『つやのよる 愛に関わった、女たちの物語』1月26日(土)全国ロードショー
2013年01月09日映画『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』の完成披露試写会が1月8日(火)、夕方の会見に続いて都内劇場で行われ、主演の阿部寛、小泉今日子、風吹ジュン、野波麻帆、忽那汐里、大竹しのぶ、行定勲監督が登壇した。井上荒野の小説を原作に、恋に自由奔放な女性・艶の引力に引き込まれていき、自らの“愛”に向かい合うことになる一人の男と6人の女たちの姿を描く本作。小泉さんが演じた環希には“愛を闘う女”というコピーがつけられているが、小泉さんは「私も愛を闘ったことがある気がしますが、勝ったことがないので(笑)、映画の中ではスカッとした気分を味わうことができました」とニッコリ。大竹さんは、かつて艶に夫を取られたが夫や艶のことを憎めずにいまも思い続ける女性を演じたが「自分とはかけ離れた女性(笑)」と分析し笑いを誘った。「どういうことなのかと心境を辿ってみました。“想う”ってことだけで人は幸せになれるんだなと感じましたし、男と女っておかしくて哀しくて、愛を欲しがっているものなんだと分かりました」としみじみと語った。野波さんは「信頼する行定監督の下でガツンと脱いでます!大きいお尻がスクリーンいっぱいに映ると思います。新年早々すみませんが(苦笑)」と語る。初共演となった岸谷五朗と3回に及ぶ濡れ場を披露しているが、そのときの様子について「岸谷さんとはほぼ『初めまして』でそういうシーンで最初は恥ずかしかったんですが、ニップレスとか(体を隠すための)そういうものをしていると人間じゃない気がしてきたんです。深夜に及んだこともあって、岸谷さんが素っ裸で隣で寝ていたりもして(笑)、ドンと構えていてくださったので身を預ける感じでした」と明かした。風吹さんはそんな野波さんのヌードについて「立派でした!日本の女性は育ったな、頼もしいなと思いながら見てました」と惜しみない称賛を送っていた。“肉体”に関しては阿部さんもおよそ10キロの減量に挑戦。撮影の少し前までシェイクスピア作品の舞台で共演していた大竹さんは「会ったら別人のようになってて、『阿部ちゃんどこ?』って感じで、現場に入った瞬間に感動しました」とその変わりようを証言する。阿部さんは「大竹さんが『大丈夫?』と心配してくださったので、この役作りは成功したなと嬉しかったです」と述懐。舞台では婚約者、今回は離婚した夫と妻という関係性だったが、もし次に共演するなら?という問いに大竹さんは「今度は幸せな夫婦…いや、私が捨てる役で」と語り劇場は笑いに包まれた。メガホンを握った行定監督は「原作を読んで『ほかの人にやらせたくない』と思いました。これまでいくつか群像劇を作ってきましたが、新しい形の群像劇、そしてある意味で新しいラブストーリーができたと思います」と胸を張って作品を送り出した。『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は1月26日(土)より公開。SPECIAL『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』(text:cinemacafe.net)■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開(C) 2013「つやのよる」製作委員会
2013年01月08日ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。没後60年にも近づこうという今をもってなお、神格化された人気を持つカリスマ指揮者。彼はまた、第2次世界大戦後、ナチスへの協力を指摘され、さまざまな批判の矢面に立った人物でもあった。『テイキング サイド』チケット情報来年2月1日(金)から東京・天王洲 銀河劇場で開幕するストレート・プレイ『テイキングサイド』は、フルトヴェングラーの戦争責任をアメリカの将校が厳しく追及する濃密な会話劇である。平幹二朗のフルトヴェングラーと、筧利夫のアメリカ将校・アーノルドが演技の火花を散らし、演出を映画監督・行定勲が束ねる注目の舞台。このほど銀座にて、この舞台に関するユニークなトークイベントが行なわれたのでレポートする。出演者は、演出家・行定勲と、幻冬舎新書「カラヤンとフルトヴェングラー」の著者・中川右介。フルトヴェングラーという人物をどう捉えるか、ふたりの話が始まる。行定勲は言う。「女にもてて女好き。政治状況の読みは音痴、矛盾を抱えた性格」。続いて、中川「人間は単純に割り切れないが、その点、フルトヴェングラーは、矛盾のかたまり、と割り切れる稀有な人。怪物的な魅力。周囲は迷惑だったろう。フルトヴェングラーは亡命の選択肢もあったが、ドイツにとどまったからこそ、今、音源も豊富にある。外から見ればナチの宣伝塔でも、ユダヤ人の芸術家をたくさん助けもした。優先すべきなのは政治なのか、それとも芸術なのかは、むずかしいテーマ」。イベントでは、とある映像が紹介された。演奏後、フルトヴェングラーがナチスの宣伝相ゲッベルスと握手をしていることで有名な、1942年のベートーヴェン第九のラスト数分とカーテンコールの映像だった。ヒトラーの誕生日を祝うコンサートである。「他のスケジュールを入れて逃げようとしていたコンサートだが、外堀を埋められてしまう。いやいや演奏しているはずなのに、終わってみると、フルトヴェングラーが残した第九の演奏でも1、2を争う熱演」との中川の解説に、「相当なバカ。手を抜けばいいのに。純粋に音楽の天才なんでしょうね。全力を尽くしてしまう」と苦笑する行定。会場からも笑いが漏れる。舞台への抱負を語る行定が、イベントを締めくくった。「芝居のタイトル「テイキングサイド」は「立場の選択」というような意味。脚本家のロナルド・ハーウッドはユダヤ系。父母の体験からナチには反感があったが、そればかりではない。劇中に、筧利夫のアーノルド少佐とは別の、若いアメリカ人将校が登場する。彼は、フルトヴェングラーの音楽の洗礼を受けていて、芸術と政治、どちらの立場を選ぶべきかもがく。演劇ファンにも、フルトヴェングラーのファンにも、興味を持って観てもらえるはず」。公演は、2013年2月1日(金)から2月11日(月)まで、東京・天王洲 銀河劇場にて。チケットは発売中。
2012年12月28日主演最新作『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』の公開を控えた俳優の阿部寛が22日、東京・早稲田大学で行われた“特別講義イベント”にメガホンを執った行定勲監督とともに出席した。本作で愛に翻弄される男を演じた阿部は「狂気なくらいやらなきゃいけない」という意気込みから、撮影前には行定監督に対し「11キロ減量します」と宣言。「目標は、健康で筋張った筋肉を持った江頭2:50さん。(江頭は)動いて痩せている肉体なので、食べないで走ったりして落としました」と有言実行で役作りに臨んだと語った。その他の写真阿部と行定監督が初タッグを組み、直木賞作家・井上荒野氏の同名小説を映画化したラブストーリー。恋愛に対して奔放な“艶(つや)”の存在によって自身の人生と恋愛を見つめなおす男と女性たちの姿を繊細な表現で描き出す。阿部寛が艶の夫役で主演を務め、小泉今日子、真木よう子、野波麻帆、風吹ジュン、大竹しのぶら豪華女優陣が共演する。阿部は印象に残った女優として、大竹の名前を挙げ、「嫌な顔をすると思っていたシーンで、力の抜けた“意外な”演技を見せてくれた。それが大竹さんの演技なんだと思った時に、すごさを理解した」と明かした。また、中央大学理工学部を卒業している阿部にとって、早稲田大学を訪ねるのはこれが初めて。最初は「きれいな女性が多い」とご機嫌だったが、「理工学部は、ほとんど男子校のようなものだったから、女子大に(サークルの)勧誘とかに行くと、ほとんど早大に取られてしまって(笑)。少しだけ悪意を抱いていました」とジョークを飛ばし、“宿敵”早大生たちの笑いを誘っていた。『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』2013年1月26日(土)全国ロードショー
2012年12月25日映画『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』の公開を記念して12月22日(土)、早稲田大学・大隈記念講堂にて主演の阿部寛、行定勲監督、同校で恋愛学を教える森川友義教授、同じく同校で映画人の育成に取り組む安藤紘平教授によるトークセッションが開催。学生600人からの質問に答えながら愛についての講義が行われた。松生はかつて妻子を捨てて一緒になった艶(つや)がまもなく亡くなろうとしている中で、恋に奔放な彼女がこれまでに関係を持った男たちに彼女の現状を伝えることを決意する。松生の連絡を受けた男たちの恋人や妻、また松生自身がかつて捨てた妻子らの人生に艶の存在は少しずつ影響を及ぼすことになるが…。恋愛学の権威と称され、ドラマ「結婚できない」に登場する大学教授のモデルでもある森川教授は、映画の中の艶がどのような女性であるかについて「まず第一に男性遍歴が多く見かけがよい。第二に恋を求める女性であり脳内伝達物質のドーパミンが多い。第三に性欲が強く男性ホルモンのテストステロンが多い」と学術的・科学的に分析する。すると、数々のラブストーリーを手がけ“恋愛映画のマエストロ”と称される行定監督は「カッコ悪いし、この言い方はやめてくれって思ってます」と苦笑いしつつ、森川教授の分析については「僕は艶はそんなに美人ではないと思ってます。美人じゃないけど、何故か惹かれるタイプの女性だと思う」と真っ向から反対意見を語る。恋愛に一家言を持つ2人の講義は初っ端からヒートアップ。すかさず森川教授が「艶は(劇中で)即決即断してる。短時間で男を惹きつけるのはある程度の見かけの持ち主」とデータから反論すれば、行定監督は「事件史を見ても悪女は美人じゃないことが多い」と語るなど、それぞれのアプローチで艶の人物像について考察を重ねる。艶と彼女の夫・松生の関係についても森川教授は「2人の結びつきは弱いと思います。松生は内向的なタイプ。素敵な女性と駆け落ちすることができて彼女のことが好きでたまらないけど、艶はそうでもない状態。夫婦間はセックスレスで松生は若いときの恋愛経験が少ない」という見方を語る。阿部さんは講義の冒頭はこっそり会場の後ろの席で監督と森川教授の話を聞いており、松生に関する分析が話題に上ったところで学生たちの間を通って登壇。改めて自身が演じた松生について「あまりに過激なものを与えてくれる女性が現れたことで、(理性が)狂ってしまったんだと思う」と語り、看病に勤しむ松生のスタンス、そして彼が映画の最後に漏らすある言葉について「愛しきった感、やりきった感として艶に送った言葉なのかなと思います」と独自の考えを明かした。さらに松生を含め、劇中の男たちについて「見ててかわいく思える。弱くて女々しくて愛らしい」とシンパシーを口にする阿部さん。行定監督は10代から60代までの女優陣をそれぞれ演出して「若い人の方が恋愛に対してドライなのが伝わってくる。風吹(ジュン)さんや大竹(しのぶ)さんの方がウェットなんです」と世代による恋愛観の違いについて語り、これには森川教授も「我々の時代は1回の恋愛が重くて貴重だったのが、いまは取り換え可能になっている。3組に1組が離婚する時代」と同意を示した。ちなみに阿部さんは早稲田大学に足を運ぶのはこれが初めて。自身は中央大学理工学部を卒業しているが「ほぼ男子で、女子短大に勧誘に行っても早稲田か東大にほとんど取られてて、『そりゃ勝てねーか…』と悪意を抱いてました」と告白。この日も壇上から客席を見渡し「キレイな人が多いですね」とついつい女性に目が行ってしまうよう?自身が体験したのとは違う大学生たちの様子を羨ましそうに眺めていた。『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年1月26日(土)より全国にて公開。■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2013「つやのよる」製作委員会
2012年12月22日阿部寛を主演に迎えて贈る、大人の恋愛マエストロ・行定勲監督の最新作『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』。このほど、女の本音と男の本性が浮き彫りにする本作の長尺のダイジェスト映像が到着した。男と女の関係性を濃厚に描いた文体で、女性から圧倒的な支持を受けている人気作家・井上荒野の小説を映画化。数々の男たちと不貞を重ねるひとりの女性・艶(つや)とその夫・松生を始め、彼女を巡る愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛など男女の5つのドラマが巧みに絡み合っていく本作。今回届いた映像では、阿部さん扮する艶(つや)の夫・松生が、彼女と関係を持ってきた男たちに彼女が死の際に立っていることを告げる電話をかけて回るシーンを中心に、艶という女をめぐる22人の男と女たちの本音と本性を浮き彫りにしていく。本作に参加する小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶら豪華女優陣が、動揺し、誘惑し、問いかけ…そして自らが愛した男たちの本性を知っていく。この男女関係において最も残酷な瞬間を、美しい映像で淡々と切り取っていく行定監督の手腕にも驚かされるが、それにも増してこれまでに見たこともないような女優たちのふとした表情には、何か見てはいけないものを見てしまったような思いにハっとさせられることだろう。『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年1月26日(土)より全国にて公開。※こちらの予告編はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2013「つやのよる」製作委員会
2012年12月14日スタジオジブリが高畑勲監督と宮崎駿監督の最新作を2013年夏に、公開することがこのたび明らかとなった。1988年に『火垂るの墓』(高畑勲監督)と『となりのトトロ』(宮崎駿監督)の2本立て興行以来、25年ぶりに顔を揃え、スタジオジブリ初となる長編映画の2作同日公開となる。高畑勲監督による『ホーホケキョとなりの山田くん』以来、14年ぶりの作品は「竹取物語」を題材にした『かぐや姫の物語』。そして、宮崎駿監督による『崖の上のポニョ』以来、5年ぶりの作品は『風立ちぬ』となる。『かぐや姫の物語』、『風立ちぬ』は2013年夏、全国にて公開。■関連作品:かぐや姫の物語 2013年夏、全国にて公開© 2013 畑事務所・GNDHDDTK風立ちぬ 2013年夏、全国にて公開© 2013 二馬力・GNDHDDTK
2012年12月13日行定勲監督が8日、都内の書店で最新作『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』の公開を前に、本作の主題歌「ま、いいや」を書き下ろした人気バンド“クレイジーケンバンド”の横山剣とともにトークショーを行った。行定監督は「主人公の心に潜って、気持ちを言っちゃったよというタイトル。愛し抜く男の歌詞で、剣さんらしさが出ている。まるで映画の後日談みたいだし、まさに“いいね”」と横山のキメ文句で楽曲を絶賛していた。その他の画像行定監督が直木賞作家・井上荒野氏の同名小説を映画化したラブストーリー。恋愛に対して奔放な“艶(つや)”の存在によって自身の人生と恋愛を見つめなおす男と女性たちの姿を繊細な表現で描き出す。阿部寛が艶の夫役で主演を務め、小泉今日子、真木よう子、野波麻帆、風吹ジュン、大竹しのぶら豪華女優陣が共演する。阿部とは初タッグとなる行定監督は「妻を愛し抜く姿はこっけいに見えると同時に、狂気を感じさせる。こんな表情するんだというカットがたくさんあるし、『テルマエ・ロマエ』の後で、これを観るとまったく違う」と阿部に対し惜しみない賛辞。横山も「途中までは情けないけど、最後はワイルドでタフな男なんじゃないかと思わせる。うまく言えないけどジェットな感じ」と“らしい”言い回しで主人公の魅力を語った。トークは次第に“大人の男の本音”へと流れ、「いい女の条件? コンプレックスを持った女性が大好き。歯並びを気にしている女性とかすごくいいですよ。だから(歯を)矯正して、堂々としゃべるようになるとガックリくる」(行定監督)、「女性に甘えたい願望、ありますね。それに得体のしれない女性の神秘性というものにも惹かれる」(横山)と映画同様、ディープな恋愛談義を繰り広げていた。『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』2013年1月26日(土)全国ロードショー
2012年12月10日映画『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』の行定勲監督と主題歌を手がける「クレイジーケンバンド」の横山剣が12月8日(土)、東京・代官山の「蔦屋書店」にて行われたトークセッションに出席。“男の恋愛”について語り合った。井上荒野の小説「つやのよる」を阿部寛、小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶら豪華キャストで実写化。自由奔放な妻・艶(つや)の最期に際し、夫の松生は彼女が過去に関係したと思われる男たちに連絡を取るが、そのことが彼らのそばで生きる女たちの人生に少しずつ影響を与えていくことに…。行定監督は「映画には幸運な主題歌と幸運じゃない主題歌があって、『何でこんな曲が?』というのもありますが、それは“政治”で決まったもの(笑)」といきなり不穏な発言。その上で言葉で説明するのが難しい“あいまいな”ラブストーリーである本作に関して、クレイジーケンバンドの主題歌起用の提案が意外にあっさりと通ったことを明かす。「剣さんの歌には男心を女に語らせたりする深いドメスティックな言葉がある。今回は映画に寄り添うというこれまでにない試みもやってもらった」と満足そうに語った。横山さんは映画のラスト近くで阿部さんが見せる表情を見て、「その瞬間にダーッとそれがトリガー(引き金)となって楽曲が押し出されてきて、歌詞も7割~8割できた」とふり返る。行定監督はこのシーンの撮影について「真夜中にクタクタの中で撮りました。阿部寛がこれまでにない顔をして『このためにオレは撮ってたんだ!』と思った」と述懐。横山さんが書き上げた楽曲「ま、いいや」についても、「普通は『ま、いいや』って歌詞は出てこない(笑)。松生(阿部さん)の気持ちに潜って書かれた愛し抜く男の歌詞。歌詞自体が映画の後日談のようで何故か爽快な気持ちになる」と絶賛した。ここから話題は男の恋、大人の愛をテーマに進行。横山さんは劇中に登場する女性キャラクターの中で、大竹さんが演じたかつて松生に捨てられた元妻の早千子が最も好みだと言明。自分を捨てた夫への思いをいまだに持ち続け、夫を奪った憎いはずの女・艶の病室に足を運ぶ早千子がとる驚きの行動について「男にはない、ちょっと理解できないような、理解できるような……涙が出てくるような不思議な体験でした」と語る。原作にはないこのシーンを取り入れた行定監督は「大竹さんの芝居が神秘的です」とうなずいた。また、横山さんは阿部さんが演じた松生について「最初は女に振り回されて情けない奴と思ってたけど、途中で価値観がひっくり返ってワイルドでタフな奴だと感じた」と共感を示す。これを受けて行定監督は「男は振り回されている方が、(付き合いが)長続きするものかもしれない。イニシアティブを取ったら飽きてしまうから」と分析。さらに「男はいろんな女性を愛したいもの。女性はずっと愛されたいでしょうが。男性の浮気に気づいてても黙っている女性がいますが、彼女がたまに(気づいているような)サインを送ると男は汗をかく(苦笑)。そういう“恐怖”を感じさせる女から男は逃れられずに長続きするんじゃないでしょうか?」とも。横山さんも「そんな気がしてきました」と同意していた。さらに“いい女”の要素について行定監督が「コンプレックスを持っている女が大好き」と告白。「巨乳よりも貧乳の女性。整形するということは決して良いことではない。みんな同じ顔になっていってしまう。芸術は10%の人しか分からないものが後になって価値が出たりするもの」と語ると、横山さんが激しく同意し「何で女の人はそこが分からないのかな…?」と不思議そう。いい男に関しても同様に横山さんは「フェチを含めて自分にしか分からない、自分の目盛りを持っている男がカッコいいと思う。人がどう思おうと、10%がカーッとなるような特化しているものがいい」と持論を展開し、会場につめかけたファンを沸かせていた。クレイジーケンバンドによる主題歌「ま、いいや」は2013年1月23日(水)発売、映画『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は1月26日(土)より全国にて公開。■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2013「つやのよる」製作委員会
2012年12月09日男と女の関係性を濃厚に描いた文体で、女性から圧倒的な支持を受けている人気作家・井上荒野の小説を、行定勲監督が映画化した『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』が来年1月26日(土)より公開となる。これに先駆け、女性から高い支持を集めるプレゼントサイト「Amaze」の協力を得て、女性800人を対象に“心と性の本音”に迫る公開記念緊急アンケートを実施、その驚愕の結果が明らかとなった。数々の男たちと不貞を重ねるひとりの女性・艶(つや)とその夫・松生を始め、彼女を巡る愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛など男女の5つのドラマが巧みに絡み合っていく本作。本作で描かれるのは、男女の情事を通して見えてくる“心と性の本音”。今回のアンケートでは対象者を「パートナーあり」と「パートナーなし」の2パターンに分けて募集。今回、参加してくれた800名の女性に「異性との関係を持ちたいですか?」と質問したところ、「パートナーなし」の女性の場合は実に46%、「パートナーあり」の場合は35%の女性たちが「YES」と回答。なんと3人に1人が、パートナーがいながら、ほかの異性との関係を欲しているという実態が明らかになった。この原因を探るため、「パートナーあり」の女性たちに、「現在のパートナーに満足していますか?」と聞いたところ、不満足(※満足度80%以下)の回答が57%を占めた。満足していない理由について聞いてみると、「性格」を挙げたのは全体の45%、さらに次に多い理由として「会話」や「収入」、「SEX」とまさに女性たちの本音が浮き彫りとなる結果が…。そして、極めつけに「パートナーあり」、「パートナーなし」の両方の女性たちに対して、「衝動的に一夜限りの関係をもった経験がありますか?」と聞いたところ、なんと全体の41%の女性が「YES」と回答!5人に2人が“一夜限りの関係”を経験をしていたことが明らかとなった。男性にとってはかなり衝撃的な結果が明らかとなった今回のアンケート。あなたはこの結果、どう受け止める?『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年1月26日(土)より全国にて公開。『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』公式サイトでは、「男と女の恋愛Wiki」も募集中。(※)■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2013「つやのよる」製作委員会
2012年12月07日筧利夫と平幹二朗が初共演する舞台『テイキング サイド』の製作発表が11月26日に都内で行われ、主演の筧、平をはじめ、福田沙紀、小島聖、小林隆、鈴木亮平ら共演陣、演出の行定勲が会見に出席した。『テイキング サイド』公演情報名作『ドレッサー』などでも知られる劇作家ロナルド・ハーウッドの戯曲で、第2次大戦後、ナチス党員として裁判にかけられたドイツ音楽界の巨匠、フルトヴェングラーの悲劇を描いた作品。フルトヴェングラーを平が、彼を追い詰める米軍のアーノルド少佐を筧が演じる。筧は「すばらしい芸術家を徹底的に追及する、血も涙もない男を演じます。2時間強ぐらいのお芝居になりますが、わたくし1回も引っ込みません。こんなことは初めて。今から、どこで水を飲み、どこで鼻をかめばいいのか、そのことばかりが頭の中を駆け巡っております」と笑わせながら、共演陣を見渡し「福田さん、大好きです」「小島さん、タイプです」とラブコール。続けて、「わたくしの演劇人生において、平幹二朗さんと共演する時がくるとは思いもしませんでした。人間真面目に生きていれば、本当にいいことがあるものです」と力強く語った。一方、平は「ロナルド・ハーウッドという人は、人生の一瞬を鋭く切り取りながら、とてもウェルメイドな芝居に作るのがうまい人。今回の作品でも、取調べ官もよく描かれているし、自分の生き方を貫いたことを言葉少なに訴えるフルトヴェングラーもよく描かれている。題名どおり“テイキング サイド”、あなたはどっち側の味方をするか、鋭く問い詰められていく芝居で、お客様はまるで陪審員になった気持ちで、スリリングな展開を楽しみながら、深く考えさせられる」と作品を紹介しながら、「表現者としてのフルトヴェングラーの生き方をつきつめて演じていけたら」と意気込みを語った。また、映画のみならず近年は舞台演出にも意欲的な行定勲は「脚本がすばらしくて、これだけの名優が揃ったわけですから、面白くないわけがない。後は私の演出にかかっているわけですが。自由に楽しく演出させていただけたら」と抱負を語った。舞台は2月1日(金)から東京・天王洲 銀河劇場公演を皮切りに、愛知・名鉄ホール、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティほかで上演。いずれの公演もチケット発売中。
2012年11月27日大ヒット作『テルマエ・ロマエ』の阿部寛と、『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督が初タッグを組んだ映画『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』の公開を前に、ポスター画像が公開された。その他の写真直木賞作家・井上荒野氏の同名小説『つやのよる』が原作の本作は、艶(つや)という性に奔放に生きた謎の女性と、艶を取り巻く男女の愛、生き様が描かれており、主演の阿部寛と小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶ、といった豪華女優陣が、男女の関係性を深く濃厚に演じている話題作だ。いまも映画に引っ張りだこの阿部と、豪華女優陣がどのように絡むのか気になるところだが、阿部は死期が近づいた妻に振り回される夫の松生役を、小泉、忽那、大竹ら女優陣は、“つや”の存在によって引き起こされる問題に困惑しながらも、それぞれ自分自身を見つめていく、難役を演じているという。この度解禁になったポスターのアートディレクションを担当したのは、「AKB48×美女採集」などで話題を集めたアーティスト・清川あさみ氏で、映画のアートディレクションを担当するのは初の試み。今回のポスターは、清川氏の独自の手法であるポスターそのものに直接刺繍を施す方法を用いて“つや”っぽさを表現。製作期間は、準備期間を含めて約5か月とのことで、清川氏自身の作品の中では「製作期間が長かったかな」と言っており、完成したポスターを見た行定監督は、「愛憎が入り混じった曖昧な男と女の関係を、清川あさみは俯瞰してとらえた。美しいけどダークな感じがまさに『つやのよる』を表現していて面白い」と語っている。映画『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』2013年1月26日(土)全国ロードショー
2012年11月22日ラブストーリーのマエストロ・行定勲監督が、女流作家・井上荒野の人気小説を原作に映画化した最新作『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』。主演の阿部寛を筆頭に小泉今日子や野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶら豪華女優陣の共演で話題を呼んでいる本作のポスター・ビジュアルが遂に解禁となった。数々の男たちと不貞を重ねるひとりの女性・艶(つや)とその夫・松生を始め、彼女を巡る愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛など男女の5つのドラマが巧みに絡み合っていく本作。ボックスの中にそれぞれのキャスト陣が体を収めているのが印象的な、まるでアート作品のような本ポスターのアートディレクションを担当したのは、いま話題のアーティスト・清川あさみ。清川さんは、写真に刺繍を施すという独自な手法でアートディレクションから造形作品の制作までを手がけるアーティストだ。2004年には、ベストデビュタント賞受賞、2010年にはVOCA展入賞に加え、2010年に「AKB48」のメンバーを撮った「AKB48×美女採集」(講談社刊)を発売しマスコミの注目を浴び、 2011年には全館規模で個展を開く作家としては最年少で、水戸芸術館での全館規模の個展を開催するという快挙を果たしたいま気鋭アーティストのひとりだ。実は、清川さんが映画のアートディレクションを担当するのは今回が初の試み。ポスターの製作期間は約5か月という力作だ。刺繍に使う素材も映画の内容に沿って大人っぽくも品のある素材をセレクトして、清川さんの独自のポスターそのものに直接刺繍を施す手法を用いて艶っぽさを表現したそう。清川さんはポスターについて「さまざまな渦巻く恋愛模様の中、箱を用いた撮影方法で、個々、迷いながら孤独感をもちながら、それぞれ強く生きていく前向きな姿を表現してみました」とコメント。この完成したポスターを見た行定監督は「まるでチョコレートの箱に閉じ込められた主人公たち。心露わな表情で覗かれている彼らは、きっとビターな味に違いない。愛憎が入り混じった曖昧な男と女の関係を清川あさみは俯瞰して捉えた。美しいけどダークな感じがまさに『つやのよる』を表現していて面白いと思った」と賞賛を送り、その才能に舌を巻く。キャストそれぞれが枠に入ったように見えるポスターは、映画でも描かれている“人の数だけ愛のカタチがある”とのこと、刺繍の繊細さは映画の登場人物それぞれの機微を暗に示すようにも感じ取れるデザインに仕上がっている。清川さん自身も、作品の中では「製作期間が長かったかな」と語る渾身の本ポスターは、11月23日(金・祝)より劇場に掲示される予定だ。『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年1月26日(土)より全国にて公開。■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2013「つやのよる」製作委員会
2012年11月22日直木賞作家・井上荒野の同名小説を原作に、『世界の中心で、愛を叫ぶ』、『パレード』など群像劇の名手・行定勲監督が阿部寛を主演に迎えて贈る『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』。この上質な大人たちの愛の物語の中で、ひとり強烈な個性を放ちながら、何故か女心をくすぐるキャラクターがいるというのだ。数々の男たちと不貞を重ねるひとりの女性・艶(つや)とその夫・松生を始め、彼女を巡る愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛など男女の5つのドラマが巧みに絡み合っていく大人たちの群像劇を描き出す。小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶといった豪華女優陣の共演でも話題を集めている本作。女優陣も去ることながら、男優陣も阿部寛を始め、永山絢斗に奥田瑛二と贅沢。そんな豪華絢爛なキャスト陣が、それぞれの大人の事情を孕みながらの濃厚なドラマが展開するのだが、今回明らかとなった人物は一言で言うなら“ひきこもりの子供”。丸メガネの奥の目をしょぼつかせながらボソボソと話す、かなりの“じめっと系男子”の太田。センター分けの長髪に着流し&下駄と、その姿は劇中でも、リアルな社会においてもインパクト大!そんな一見、強烈で毛嫌いしてしまいそうなキャラクターだが、ベテラン俳優・岸谷五郎の手により愛すべき男に仕上がっているのが、また見事だ。劇中では、仕事を通じて知り合った野波麻帆演じる橋本湊に思いを寄せるが、モジモジするばかりでなかなか言い出せない。かと思えば、ある晩、賃貸契約の報告に訪れた湊に、驚愕の告白をしてみたり…と、意外なギャップを併せもった男でもある。しかし、その告白をきっかけに2人の関係は急速に発展し、湊と関係をもつほどになるのだが、この告白を含め、風貌や話し方まで、その独特の雰囲気に飲まれてしまうのか、何故か女心を激しくくすぐられてしまうようだ。さらに、元妻である艶が危篤であると連絡が入ったときに見せる、静かな表情の中に驚きや戸惑いが入り混じったシリアスな場面や、湊の職場の店先でちょこんと座り込み、湊が戻ってくるや無表情だった太田が笑顔を見せるコミカルなシーンなど、岸谷五朗が演じるからこその、不気味であり、謎でもあり、かわいらしくもある太田。女子目線では、不動産もちの資産家という部分もポイントが高いのかも?本作を観終えた頃には、あなたも“太田”という男に魅了されているはずだ。『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年1月26日(土)より全国にて公開。■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2012「つやのよる」製作委員会
2012年11月16日伝説的な指揮者として、今も世界中にファンをもつ巨匠フルトヴェングラー。その彼が第二次世界大戦下、若きスターだったカラヤンよりヒトラーに寵愛されていた事実の意味とは――。来年2月、戦後の非ナチ化裁判で被告となったフルトヴェングラーと、彼を追及する米国軍少佐アーノルドの息詰まる攻防戦を描いた快作『テイキング サイド』が上演される。2001年には映画化もされているが、今回は劇作家ロナルド・ハーウッドによる原作をそのまま舞台化。演出は、映画監督であり近年は舞台演出にも意欲的な行定勲が務める。出演は、アーノルドに筧利夫、そしてフルトヴェングラーに平幹二朗というベストキャスティングが実現した。これが初共演となる筧と平に話しを訊いた。『テイキング サイド』チケット情報「男ふたりが主役というのは、以前に演じた同じハーウッドの『ドレッサー』もそうでした。座長とその付き人の愛憎が印象的でしたが、この作品のフルトヴェングラーとアーノルドは国も考え方も違う。ただ、形こそ違うけれど、お互いの存在が強烈に関係し合っているところは似ていますね」と平。筧も「実在の人物の物語だからといって、実際にあったことをただ再現するならドキュメンタリー映画でいいわけで。何が正しいか正しくないのか、正しいと思って見ていることが、違う人から見たら別のものに見えるんじゃないか。アーノルド少佐を通してそういった微妙なところをお客さんに伝えられたら、演劇でやる意味があるのかなと思います」と語る。プライドをもって仕事に取り組み、時に冷酷ともいえる非情さでフルトヴェングラーの私生活まで暴いてゆくアーノルド。対するフルトヴェングラーにも、彼が世話をしたピアニストの未亡人でユダヤ人のタマーラ(小島聖)という存在が現れる。独裁者のもと、音楽家たちが生き延びるために払った苦難の数々が、次第に明らかになってゆく。平は「実際のフルトヴェングラーもシャイで、内省的な面があったそうです。伝説の指揮者といってもさまざまな顔がある。そこにいるだけでいかに彼の人となりを出せるか、稽古では苦しんで作っていきたいですね」と話す。平との初共演にやや緊張気味の筧については、「舞台から飛び出してきそうな迫力がある。僕も頭から食われないようにしなければ」と笑顔。また演出の行定について筧に聞くと、「一緒に仕事が出来て光栄です。舞台は映画の“引き”で撮る“長回し”と同じなので、あとは役者が芝居で“ズームアップ”の効果を見せなくちゃいけない」と意気込みを語った。最高のスタッフとキャストが集結して魅せる本作。その本番を、楽しみに待ちたい。公演は2月1日(金)から11日(月・祝)まで東京・天王洲銀河劇場にて上演。その後、愛知、静岡、大阪、広島を巡演する。チケットは一部を除き発売中。取材・文:佐藤さくら
2012年11月14日群像劇の名手・行定勲監督が、女流作家・井上荒野の人気小説を原作に映画化した最新作『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』。主演の阿部寛を筆頭に小泉今日子や野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶら豪華女優陣の共演で話題を呼んでいる本作の主題歌が、このたび横山剣率いる「クレイジーケンバンド」の描き下ろし曲「ま、いいや」に決定した。数々の男たちと不貞を重ねるひとりの女性・艶(つや)とその夫・松生を始め、彼女を巡る愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛など男女の5つのドラマが巧みに絡み合っていく本作。クレイジーケンバンドにとっては2004年の公開映画『約三十の嘘』以来、約8年ぶりの映画主題歌となるが、行定監督は常々、男の気持ちと男女の愛について歌わせたらクレイジーケンバンドの右にでるアーティストはいないと考えていたようで、「(横山)剣さんの艶のある歌声は、どうしようもない男と女の物語にぴったりだと思っていました。受けてくださると聞いたときは本当に嬉しかったです」と今回実現したコラボレーションに感動もひとしおといった様子。さらに「デモを聞いた瞬間から忘れられないフレーズで、2回目には歌える程、心を掴まれるインパクトのある曲でした」とその仕上がりに太鼓判を押している。実は今回、行定監督は作詞もボーカルの横山さんと共に執筆したそう。この件に関し、横山さんは「台本を読んだり、映画のプロトタイプを観たりした数日後、『ま、いいや』というフレーズとメロディーが一緒に出てきた。歌詞も考えるというよりは、感覚的に出てきたものだけれど、どうしても埋まらない部分が数か所あった。そこを行定監督にお願いしたところ、非常に艶のあるセクシーな響きのある楽曲に仕上がった」と大人の恋愛マエストロによる共作に満足気な様子を見せた。ひと足先に楽曲を聞いた主演の阿部さんは、「男の弱点と女の本音を、歌にした映画を彩るとてもセクシーな男の歌。作品にさらに軽妙なスパイスをふりかけてくれた剣さんに感謝しています」と喜びのコメントを寄せている。クレイジーケンバンドが現在ツアー真っ最中のため、残念ながら実現はしなかったものの、当初横山さんには主題歌のみでなく、伊豆大島の島の男かバーの店長として映画への出演依頼もあったそうだが、今回の主題歌制作で見事なコラボレーションを果たした行定監督と横山さん。果たして大人の恋愛マエストロたちは本作を彩る楽曲「ま、いいや」でどのような言葉を紡いだのだろうか?『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年1月26日(土)より全国にて公開。■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開© 2012「つやのよる」製作委員会
2012年11月14日製作段階から注目を集めている阿部寛の最新主演作『つやのよる』。直木賞作家・井上荒野の同名小説を映画化する本作は、『今度は愛妻家』などの行定勲監督と阿部との初タッグや、小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、荻野目慶子ら豪華女優陣の共演など、これまでにも多くの話題を提供してきたが、今度は阿部と元妻子役の大竹しのぶ、忽那が出会う緊張感のあるシーンの模様が解禁になった。その他の写真映画は、不貞の妻・艶に苦悩し続けてきた阿部の演じる松生が、ガンで艶が危篤状態にあることを、彼女が過去に関係した男たちに伝えにいくストーリー。総勢22人の大人の男女が入り乱れる恋愛群像劇だ。さて今回解禁になったのは、艶のいる病室で、松生と大竹が演じる元妻・早千子がニアミスをするシーン。6月下旬に撮影されたこのシーンは、南房総の「少年自然の家」を、舞台となる伊豆大島の病院に見立てて撮影。艶の病室にいる早千子に驚いた松生が、2階から駆け下りてきて病院の外の喫煙所で煙草に火をつけるが、病院のロビーにいた忽那扮する娘の麻千子がそれに気づき、声をかけるも、松生は出てきた早千子を察知してまた逃げ去ってしまうという場面だ。その一連を建物の内側からの引き、寄り、外からと行定組特有の長回しで撮影していくが、その度に阿部がダッシュで駆け下りてきて、カットの度に肩で息をしている。だが、阿部は「行定監督とは10年以上前にCMで1回だけご一緒させていただいて、映画にも出してくれないかな? って思っていたんですけど、今回やっと夢が叶いました」と充実の笑顔。「それに大竹さんとも今回初めて映像で共演できたし」。すると大竹が「でも言葉も交わしてない(笑)。それにしても変わった話よね(笑)」と本音をポロリ。それに対して忽那は「監督は大切なシーンほどテイクを重ねるから大変(笑)」と行定組の洗礼をたっぷり浴びている様子。「それに母親を初めて女性として意識し、自分もそれに近づこうとする感覚を表現するのは難しい」と語った。一方、今回デジタルでの撮影に初挑戦した行定監督は「武器を得た感じ。予算を気にせずに回せるからね」とうれしそう。「日本にはなぜロバート・アルトマン(『ショート・カッツ』)のような登場人物のアンサンブルで見せる映画がないのかな? と前から思っていた。それに、俺がずっとやってきた連作短編をこの捻じれた構造の中で1本の映画にするのは新しいと思ったんです」。聞けば聞くほど濃密で一筋縄ではいかない内容の本作、来年1月26日の公開がいまから楽しみだ。『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』2013年1月26日(土)全国ロードショー取材・文・写真:イソガイ マサト
2012年10月10日群像劇の名手・行定勲監督が、女流作家・井上荒野の人気小説を原作に映画化した最新作『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』。主演の阿部寛と豪華な女優陣の共演で、2013年のお正月映画として早くも注目を集める本作の撮影現場から潜入に成功!阿部さんと大竹しのぶ、忽那汐里による緊迫のシーンに立ち会った。小泉今日子を始め野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶと、大物女優から人気若手女優までバラエティに富んだキャスティングが目を引く本作。数々の男たちと不貞を重ねるひとりの女性・艶(つや)とその夫・松生を始め、彼女を巡る愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛など男女の5つのドラマが巧みに絡み合っていく。撮影が行われたのは、千葉県・舘山。監督自らが「大島より、大島らしいんだよ(笑)」と満足気に語るこだわりのロケ地だ。現在も使われている歴史館を病室に見立てるため改装したもので、壁に貼られたポスター一つにしてもスタッフが用意したもので、阿部さんが「こだわりの人」と称賛する行定監督らしい徹底した仕事ぶりだ。本作で大竹さんと忽那さんが演じるのは、艶に心奪われ、その純愛に全てを捧げる男・松生に捨てられた母娘。今回のシーンの現場は、その2人が大島にあるに病院に入院中の艶を訪ねに来るという場面。その病院で大竹さん演じる母・早千子と忽那さん演じる娘・麻千子が、献身的に艶の看病をする松生に再会する。始めは自分の娘だと気づかずにいた松生も、「幸せですか?」という麻千子の意味ありげな言葉に、罪悪感から逃げ出してしまう。この重要なシーン、行定監督は少ないセリフの中でそれぞれの葛藤を見せるため、セリフの言い回しからカメラのアングルまで微調整を繰り返し、何度もテイクを重ねていた。3人のキャストたちも、撮影と撮影の合間もこの静かな緊張感に言葉少なげだ。しかし、その誰もが行定組に参加できたことに喜んでいるようだ。「集中する現場なんだって思ったし、一歩も言い訳できないっていうか、すごくやり甲斐があるし、楽しいですよ。10年以上前に、CMでご一緒させて頂いたんですけど、ずっと何かやらせてもらえないかなって思ってたんです。今回、その夢が叶った。お声がかかってすごく嬉しかったです」(阿部さん)、「言葉よりも感覚的なものを追及される方なんだと感じました。監督が目指すものに近づけるために、ワンシーンの中で一つの課題をクリアしたかと思うと、また違う課題がどんどん出てくる感じです(笑)」(忽那さん)と、「こだわり」という言葉が行定組初参加の2人の口をつく。しかし、過去に『遠くの空に消えた』で監督の“こだわり”を体験している大竹さん曰く「今回はスムーズな方(笑)」なんだとか。最後に、それぞれが演じる役柄について聞いてみると、「(松生は)純粋に艶を愛している男。艶という女性は色んな男たちに行き会っていく。それをずっと後ろから一身に追いかけていって、とても可愛らしい人物に思えます」と語る一方で、役作りのためにボロボロに心も体もヤツれたその姿は痛々しくすらあり、その裏にある壮絶な役づくりを想像しないわけにはいかない。そして娘・麻千子&母・早千子役の2人は、「松生を前にした母の、“女”としての部分を見届けないといけない複雑さと、大人になろうとしてもなれない葛藤を抱いた役だと思います。松生には憎しみを抱いている」と忽那さんが真摯に語ったかと思えば、大竹さんは「(早千子は女として)理解できない!捨てた男を許すなんて、絶対頭おかしいよね」と笑い、流石は大女優の余裕を見せていた。センチメンタルに、しかし生々しく男と女を描くその現場には、行定作品の独特の雰囲気が流れていた。今回のパートを含め5つの男女のドラマが展開するこの『つやのよる』。彼らがたどり着く先は、いったいどこなのだろうか?『つやのよるある愛に関わった、女たちの物語』は2013年新春、全国にて公開。■関連作品:つやのよるある愛に関わった、女たちの物語 2013年1月26日より全国にて公開
2012年10月10日今年で34回目を迎える映画祭「PFFぴあフィルムフェスティバル」が、18日から28日まで東京国立近代美術館フィルムセンターで開催。そのメインプログラムにあたり、世界最大級の自主映画コンペティションである「PFFアワード2012」の表彰式が28日に行われ、最終審査員を務めた高橋伴明監督、行定勲監督、写真家の川内倫子氏、俳優の新井浩文、映画プロデューサーの川村元気氏が各賞を発表した。その他の情報グランプリに輝いたのは、鶴岡慧子監督の『くじらのまち』。仲良し高校生男女3人組のすれ違う心の揺れを瑞々しく描いた青春群像劇の本作は、グランプリに加えてジェムストーン賞(日活賞)も受賞し見事2冠を達成した。鶴岡監督は「まるで不意打ちのような感じ。本当に光栄ですし、仲間と一緒に(壇上に)立つことができて胸がいっぱいです。ここにいるみんなの後押しがなければ、映画は完成しなかった」と受賞の喜びをかみしめた。最終審査員を代表し、グランプリを発表した新井は「自分にとって、自主映画かどうかはどうでもよくて、とにかく作品として面白いかどうかで判断させてもらった。まあ、どの作品も鼻で笑っちゃう部分があったが、『くじらのまち』はそれが一番少なかった」と辛口な総評で、参加者にエールをおくった。本年度は522作品のエントリーから、16作品を選出し、グランプリをはじめ各賞を競い合った。受賞結果は以下の通り(年齢はすべて撮影当時)。最終審査員の選ぶ3賞5作品およびPFFパートナーズの選ぶ3賞受賞者は、第24回PFFスカラシップへの挑戦権が得られる。グランプリを受賞した『くじらのまち』は第25回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門にて招待上映される予定になっている。【最終審査員が選ぶ3賞】●グランプリ『くじらのまち』 鶴岡慧子監督/23歳/長野県出身●準グランプリ『魅力の人間』 二ノ宮隆太郎監督/25歳/神奈川県出身●審査員特別賞『あん、あん、あん』 イノウエ カナ監督/22歳/京都府出身『故郷の詩』 嶺豪一監督/22歳/熊本県出身『stayチューン』 伊藤智之監督/26歳/千葉県出身【PFFパートナーズが選ぶ3賞】●エンタテインメント賞(ホリプロ賞)『かしこい狗は、吠えずに笑う』 渡部亮平監督/24歳/愛媛県出身●ジェムストーン賞(日活賞)『くじらのまち』 鶴岡慧子監督/23歳/長野県出身●映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)『かしこい狗は、吠えずに笑う』 渡部亮平監督/24歳/愛媛県出身【特別設置】●日本映画ペンクラブ賞『Please Please Me』 青石太郎監督/22歳/東京都出身取材・文・写真:内田 涼
2012年09月28日世界的に活躍する作曲家・冨田勲の新制作「イーハトーヴ」交響曲・世界初演公演の制作発表が8月27日に都内で開催。ヴァーチャルシンガー、初音ミクの出演が発表された。冨田勲新制作交響曲「イーハトーヴ」世界初演の公演情報冨田勲は、シンセサイザーの可能性にいち早く着目するなど、独創的な音楽技法を追求し続け、特に電子音楽の分野で世界的評価を得てきた。1974年よりビルボード・クラシカルアルバムチャート連続第1位(『月の光』、『展覧会の絵』、『惑星』)を獲得。日本人として初めてグラミー賞4部門にノミネートされるなど、音楽シーンの最先端を歩んできた。今年80歳を迎えた世界的巨匠が新制作する「イーハトーヴ」は、構想に10余年をかけた大作。『注文の多い料理店』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『雨にも負けず』など、宮沢賢治の作品を題材にして、人間や自然を超越した宇宙的な力を音楽で描くという壮大なものだ。今回の制作発表でのビッグニュースは、何といってもヴァーチャルシンガー、初音ミクの起用だろう。作曲者自身の熱烈オファーにより実現したという驚きのコラボ。PC用の音声合成ソフトの一種である初音ミクが、冨田勲の交響曲の中でどのように登場するのか。記者会見では『注文の多い料理店』を題材にした楽曲「猫のレストラン」を例にあげて、構想の一端が明かされた。「料理店(山猫軒)の中に人は出てこない。声だけはどこかから聞こえてくるけれど、ボーイの案内もない。色々な部屋に通されて、結局は自分たちが食われるということ分かる。逃げ出そうとしたけれど逃げられない。そこで、突然サーカスみたいな音楽とともに初音ミクが出てきて『わたしは初音ミク、かりそめのボディ』と歌うんです。ミクロの世界、パソコンの中にしかいられないミクが、もうあなた方も出られないんですよ、と暗示する訳です」他にも『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』などの楽曲の重要なポイントで登場するという。「異次元からきた、何者か分からないもの、宮沢賢治の世界観を表現するには初音ミクしかないんです」と、起用の理由を冨田勲は熱く語った。これまでの初音ミクのコンサートといえば、事前にCGで作成したミクのパフォーマンス動画に合わせて、バンドやコーラスが演奏するというスタイル。今回は逆に、大友直人の指揮、日本フィルハーモニー交響楽団と合唱団の総勢300名の演奏に合わせて、初音ミクがライブで歌い、踊るという新しい試みになる。「技術的なハードルが高いですが、目処は立ってきました。電子音楽の歴史に残る冨田先生と初音ミクのコラボは、非常に野心的な試みです」と、初音ミクを手がけるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之も意気込みを語る。冨田勲新制作交響曲「イーハトーヴ」世界初演は、11月23日(金・祝)に東京オペラシティ コンサートホール(東京都)で開催。チケットは発売中。
2012年08月29日阿部寛の最新主演映画『つやのよる』(行定勲監督)の伊豆大島ロケの模様がついに解禁! 真木よう子、永山絢斗も参加した7月4日の島での撮影初日で早くも、阿部の俳優としてのスゴさを目の当たりにすることができた。その他の写真映画は、不貞の妻・艶に苦悩し続けてきた阿部の演じる松生が、ガンで艶が危篤状態にあることを、彼女が過去に関係した男たちに伝えにいくストーリー。だが、その日撮影されたのは、かつて艶がストーカーをしていた若い男・優(永山)とその息子が海辺で石を投げて遊んでいるところを、上の道を自転車で通りかかった松生が見つけ、彼らに石を何粒も投げて走り去るコミカルなシーン。思いきり石を投げる松生の頬がこけ、真っ黒に日焼けしている様に思わず笑ってしまう。行定監督は、「(阿部さんに)最初にお会いしたときに『何キロ痩せればいいんですかね?』ってそれが一言目で、その後、自分で『11キロだな』と言ってたんです。そしたら撮影初日から目がギラついていて、俺の想像していた松生像を身体で凌駕していたんだよね」と教えてくれる。だが減量することだけで、クソ真面目で、真っ直ぐ妻のことだけを思っている松生像を作り上げたわけではない。それが分かったのは、阿部のちょっとした行動から。石を投げた後、自転車で緩やかな坂を猛スピードで駆け下りていく一連を例によって何テイクも撮ったのだが、普通はスタッフがスタート位置まで戻す自転車に阿部が跨り、上り坂を毎回必死に漕いで上がってきたのだ。すると「松生もしょっちゅう自転車に乗っているから、痩せているけど、下半身は筋肉質じゃないのかなと思って」と阿部。永山も「以前『トリック』のスペシャルに出させてもらったことがあるんですけど、そのときの阿部さんとまた印象が違って。いまも、走り去っていくときに俺に向ける顔が毎回微妙に違うんですよ」と証言する。一方、優の恋人・百々子に扮した真木は「なぜ私が百々子なの? と思ったぐらい自分とは真逆の女性」と言いつつ、初めての行定組に充実の表情を浮かべる。「監督にずっとやりたかったと言ってもらえたし、自分の素を出さないように頑張ります」。そんな俳優陣の新たな顔が見られるのも本作の魅力。期待は高まるばかりだ。『つやのよる』2013年新春全国ロードショー取材・文・写真:イソガイ マサト
2012年08月08日独特の視点から男女、親子、友達、はたまた無関係な人々まで様々な人間模様を巧みに描き出す群像劇のマエストロ・行定勲監督の最新作『つやのよる』。先日、主演の阿部寛を始め、行定作品史上最も豪華かつ最大規模となる22人の主要キャスト陣が名を連ねている本作の撮影現場に潜入!女の業がぶつかり合う壮絶バトルに遭遇した。数々の男たちと不貞を重ねる一人の女性・艶と、その夫・松生春二を始め、彼女を巡る周りの人々の愛憎、親子の絆、欺瞞、純愛とそれぞれのドラマが展開していく群像劇。艶の夫・春二を演じる阿部さんに加え、このほどこの奔放な艶という一人の女性に困惑させられる6人の女性を演じる豪華女優陣の名が発表に!小泉今日子を始め野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶと、大物女優から人気若手女優までバラエティに富んだキャスティングが目を引く。今回潜入したのは、女のプライドが火花を散らす世にも恐ろしき修羅場のシーン。艶の従兄で彼女にとって最初の男である小説家・石田行彦の妻・環希を演じる小泉今日子と、行彦の愛人・伝馬愛子を演じる荻野目慶子が真っ向から対決するというシーンである。行定監督も「理想通りの豪華なキャスティングとなって最高です」と頬を緩ませながら、この2人については「映画の歴史を考えても面白かった!」とその配役にニヤリと含みのある笑みを浮かべる。納得がいくまでテイクを重ねる“こだわりの人”として知られる行定監督だが、そのうわさに嘘偽りがないことが確認できた。小泉さんと荻野目さんが現場に入るまでに、幾度にもわたりテスト撮影が行われ、150人ものエキストラたちへの演技指導、カメラワークの確認と本番を前に疲弊してしまうのでは…と思うほどの綿密さ。1時間半ものテスト撮影を経てようやく登場した小泉さんと荻野目さんは2人共に穏やかな表情を浮かべていたが、これから修羅場を繰り広げるとあって、その臨戦態勢のオーラに現場の空気は一瞬にしてピンっと張り詰めたものに変わった。2人が鉢合わせするのは、行彦が執筆した「つややかな獣」の授賞式パーティの場。着物姿で一見慎ましやかに見える環希と、本作の原作者・井上荒野自ら「異様な衣裳」という全身純白の愛子が対決を迎える。2人は互いに面識はないものの、その存在は知っており、互いに快く思っていないという泥沼の関係が空気からひしひしと伝わってくる。そして監督からの「スタート!」の合図。会場で挨拶を交わしながらもその裏側に毒を潜ませ言い争いを始める2人は、次第にヒートアップしていくのだが、愛子の口から明かされるのは、行彦が真に愛するのはどちらでもなく“艶”であること。「行彦に犯されてるのよ!しょっちゅう犯されてるのよ!艶の代わりに」と豹変する愛子をよそに、「少々、狂ってらっしゃる」としたり顔の環希。ついに限界を迎えた2人は、手に持った赤ワインを服に、顔に掛け合うまでに…。その赤ワインが血のようにも見えるおぞましいほどの女の業のぶつかり合いが交わされた。そこへ監督の「カット!」の声がかかり一瞬の静寂の後、拍手が沸き起こり、会場は糸が切れたように和やかな雰囲気に。行定監督もニヤリと満足気な表情を浮かべていた。その後、このシーンを監督は「『イケーッ!』と思いながら見てました(笑)」と楽しげに明かしてくれた。また、当の小泉さんも「不倫相手との対決シーンは楽しかった」といい、作品について「まさに大人のアンサンブル!こういう作品って日本にはあまりないような気がします。そして力強いキャスティング。これが面白くないわけありません!」と強くアピールした。はてさて、この修羅場の行く末は?まだ明かされていない豪華キャストの面々に期待しつつ、新たな続報を待ちたい。『つやのよる』は2013年新春、全国にて公開。■関連作品:つやのよる 2013年新春、全国にて公開
2012年07月13日阿部寛と行定勲監督のタッグで直木賞作家・井上荒野の同名小説を映画化した『つやのよる』。本作に小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶ、荻野目慶子が出演していることが明らかになった。また、6月上旬、都内某所にて小泉と荻野目による女の壮絶な“戦い”のシーンの撮影が行われ、報道陣に公開された。その他の写真自由奔放で謎めいた女性の艶(つや)と関わった人々の姿を描く群像劇で小泉は、艶の最初の男である小説家を夫に持つ女・環希を演じる。この日、撮影されたのは文学賞の受賞パーティ。環希は荻野目が演じる、夫と愛人関係にある評論家の愛子から、夫の小説が実は艶をモデルにしていると知らされる。そこから女の意地とプライドがぶつかり合い、互いにグラスの中身を相手にぶちまけ、掴み合いのケンカにまで発展する。150人ものエキストラを集めたこのシーン。原作者の井上も現場を訪れ、エキストラとして参加。数分におよぶ長回し、特にワインをぶちまけての大立ち回りは一発勝負だけに念入りにリハーサルが繰り返される。いよいよ本番、徐々にヒートアップし、ついに愛子が激高し環希にワインをかけると、それを合図にテーブルに並ぶグラスの中身を互いにかけあい、憎悪をむき出しにして取っ組み合う。行定監督の「OK」の声が響くと、一瞬の静寂ののち拍手がわき起こった。小泉は「対決シーンは楽しかった。実人生では経験したことのない、女同士の取っ組み合いというのを3回戦! 次の日、激しい筋肉痛になるほどの戦いでした(笑)」とふり返った。小泉以外の女性キャストでは、野波は艶の最初の夫の愛人、真木は艶がストーカーになってまで追い求めた男の恋人、風吹は艶の愛人だったかもしれない男の妻を演じている。また大竹と忽那は親子役で共演。阿部が演じる艶の夫・松生の前妻とその娘という役柄を演じる。錚々たる女優陣との共演に主演の阿部は「こんなに素敵な女優さんたちと映画で共演できてうれしいです」とコメント。行定監督は「複雑で曖昧な男女の物語をこの女優たちが生々しく演じています。既にそれぞれのこんな顔が観たかったというカットが撮れていますから、期待していて下さい」と自信をのぞかせる。『つやのよる』2013年新春全国ロードショー取材・文・写真:黒豆直樹
2012年07月13日主演作『テルマエ・ロマエ』が興業収入50億円を超える大ヒットとなっている阿部寛が、行定勲監督が手がける新作映画『つやのよる』に主演することが発表された。そのほかの情報『つやのよる』は直木賞受賞経験もある女流作家・井上荒野による同名小説の映画化。奔放な妻に振りまわされながらも、愛のために生きる男を主人公にした恋愛群像劇だ。癌に冒され、昏睡状態に陥った妻の艶(つや)を前にして夫・松生がひらめいたのは、彼女が関係を持った男たちにその死を知らせるということ。艶の危篤に動揺する男たち。そして見知らぬ女と、自分の夫や恋人、父親が肉体関係を持っていたことを感じ取り、困惑する女たち。総勢22名の男女が、繰り広げる人間関係の中に、恋の本音を描き出す。メガホンを執るのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』『今度は愛妻家』など数多くの恋愛ドラマを手掛けてきた行定監督。映画化に際しては、「原作を読んだ時に阿部寛さんのことが頭をよぎりました。不貞を犯す妻を真面目に実直に愛する姿がぴったりだと思ったからです。実際にお会いした阿部さんの印象はまさに私の思い描いていた通りでした。阿部さんの醸し出すユーモアが大好きです。それがこの映画のエッセンスになればいいなと思っています」とコメントしている。これを受けて阿部は「いままでやったことがない世界観の作品を存分に味わいたい。行定監督の妥協せず、まじめに作品に取り組む、その世界にどっぷりつかって楽しみたい」と意欲十分といった様子。破天荒なローマ人役で話題をさらった阿部が、愛に悩む男の姿でどのような大人の“艶”を見せてくれるのか、早くも期待が高まる。映画は現在撮影中で、7月中旬のクランクアップを予定。公開は2013年新春となる見込みだ。『つやのよる』2013年新春全国ロードショー文:渡部あきこ
2012年06月18日