アカデミー賞の前哨戦の1つである、第78回ゴールデン・グローブ賞授賞式が現地時間2月28日に開催され、『ノマドランド』がドラマ部門作品賞を受賞した。テレビの部ドラマ部門ではNetflixの「ザ・クラウン」が作品賞、主演男女優賞を独占、さらに助演女優賞も受賞、Wノミネートだった主演女優、助演女優賞の候補者を除いて全て制覇した。『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督は「つらい人生を歩んでいる全ての人々に、この作品を贈ります。さよなら、とは言いません。また会いましょう、と言います」とスピーチしたジャオ監督は監督賞も受賞。アジア系アメリカ人女性として初であり、さらに女性監督の受賞は1984年のバーブラ・ストライサンド(『愛のイエントル』)以来、2度目の快挙だ。ドラマ部門主演男優賞を受賞したのは、昨年43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)。妻のテイラー・シモーヌ・レドワードが代理で受賞した。同主演女優賞は『The United States vs. Billie Holiday』(原題)のアンドラ・デイが受賞した。助演女優賞のジョディ・フォスター(『The Mauritanian(原題)』)など、下馬評とは異なるサプライズ受賞がいくつか飛び出し、映画部門で最多6ノミネートされた『Mank/マンク』は残念ながら、無冠となった。今年はコロナ禍により、例年は1月開催の授賞式が2月末となり、さらに史上初の試みとして、ニューヨークとロサンゼルスに会場を分け、ティナ・フェイとエイミー・ポーラーが米国東西両岸から2元中継で司会を務めた。米国の東西両岸の会場のセットでティナとエイミーはオープニング・トークを実施。ティナ・フェイは授賞式直前に報道された、賞を主催する団体「ハリウッド外国人記者協会(HFPA)」の会員の人種の偏りや映画会社による豪華な接待疑惑などについて「HFPAは90人程度のインターナショナルな、黒人抜きのジャーナリストによる構成で、彼らはいい生活を求めて、毎年映画の取材旅行に出かけています」「では、ヨーロッパの変人たちが今年は何を選んだのか見てみましょう」と踏み込んだ。最初に発表になったのは映画部門の助演男優賞。昨年の助演女優賞受賞者のローラ・ダーンがプレゼンターとして、ロサンゼルスの会場であるビヴァリー・ヒルトンに登場、『Judas and the Black Messiah』(原題)のダニエル・カルーヤの受賞を発表した。自宅で待機していたダニエルがZOOMでスピーチを始めたのだが、いきなり接続が悪くて音声が聞こえない。ローラ・ダーンが「中継がうまく行かないようです」と一旦切り上げたが、ダニエルは「繋がってるよ!」と言い続けて、再び画面が戻り、スピーチすることができた。他の候補者たちもZOOMで参加し、ビル・マーレイ(『オン・ザ・ロック』)はシャンパングラスを掲げて祝福。自宅で家族や親しい人々と参加した候補者たちはいつもよりリラックスした表情。スピーチの最中も彼らが受賞者に寄り添い、時には子どもたちがハグしたり、和やかな雰囲気だった。受賞を逃した候補者のリアクションも例年より大きめ。テレビの部のドラマ部門で「ザ・クラウン」のダイアナ妃を演じたエマ・コリンの主演女優賞受賞を、同部門候補だった共演者のオリヴィア・コールマン(「ザ・クラウン」)は自分のことのように喜んでいた。セリフの大半が韓国語であることから、作品賞ではなく外国語映画賞候補になり、見事受賞を果たした『ミナリ』のリー・アイザック・チョン監督は自宅から幼い娘と一緒に参加。アメリカに移民した韓国人の一家を描く半自伝的な作品について「この子のために作りました」とスピーチ。映画について「自分たちの言葉で語ることを学ぼうとする家族の物語です。それはどのアメリカの言葉や外国の言葉よりも深い、心の言葉です」と語った。映画の部<ドラマ部門>作品賞『ノマドランド』主演女優賞アンドラ・デイ(『The United States vs. Billie Holiday』)主演男優賞チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)<コメディ・ミュージカル部門>作品賞『続ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』(Amazon Prime Video)主演女優賞ロザムンド・パイク(『I Care a Lot』)主演男優賞サシャ・バロン・コーエン(『続ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』)アニメーション作品賞『ソウルフル・ワールド』(Disney+)外国語映画賞『ミナリ』助演女優賞ジョディ・フォスター(『The Mauritanian』)助演男優賞ダニエル・カルーヤ(『Judas and the black Messiah』)脚本賞アーロン・ソーキン(『シカゴ7裁判』)監督賞クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)作曲賞『ソウルフル・ワールド』トレント・レズナー、アッティカス・ロス、ジョン・バティステ歌曲賞「lo si(Seen)」(Netflix『これからの人生』)テレビの部<ドラマ部門>作品賞「ザ・クラウン」(Netflix)主演女優賞エマ・コリン(「ザ・クラウン」)主演男優賞ジョシュ・オコナー(「ザ・クラウン」)<ミュージカル/コメディ部門>作品賞「シッツ・クリーク」主演女優賞キャサリン・オハラ(「シッツ・クリーク」)主演男優賞ジェイソン・サダイキス(「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」)<リミテッドシリーズ/テレビ映画部門>作品賞「クイーンズ・ギャンビット」(Netflix)主演女優賞アニャ・テイラー=ジョイ(「クイーンズ・ギャンビット」)主演男優賞マーク・ラファロ(「ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー」)助演女優賞ジリアン・アンダーソン(「ザ・クラウン」)助演男優賞ジョン・ボイエガ(「Small Axe」)セシル・B・デミル賞ジェーン・フォンダキャロル・バーネット賞ノーマン・リア(text:Yuki Tominaga)■関連作品:ソウルフル・ワールド 2020年12月25日よりDisney+(ディズニープラス)にて配信©2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開©2020 20th Century Studios. All rights reserved.【Netflix映画】シカゴ7裁判 2020年10月9日より全国にて公開【Netflix映画】マ・レイニーのブラックボトム 2020年12月18日よりNetflixにて配信ミナリ 2021年3月19日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開©Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24
2021年03月01日こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。今回は、 「生活費まで出し渋る困ったケチ夫、4つのタイプと対処法」 という記事に寄せられたお悩みです。記事では、困ったケチ夫に対する具体的な対応についてお話ししましたが、今回は「家計に対する考え方がケチ夫とかみ合わず苦労している」という方からのお悩みです。■質問:家計負担は半々なのに家事は丸投げで嫌味だらけのケチ夫自宅でネイルサロンを営んでいます。家のローンや光熱費は夫が負担し、私は学費、食費、雑費、夫の酒代、子どもの習いごと代、スマホ代を出してます。私もかなり家計を負担しているにもかかわらず、夫は家事を手伝いすらしないことに正直腹が立ちます。また、以前は他の場所で店舗を借りてネイルサロンを開いていたせいか、夫から「今は自宅で営業しているんだから、家賃も光熱費もかからずボロ儲けだろ?」と嫌味を言われます。息子と娘がおり、特に娘に夫は甘く何でも買い与えていますが、私に対してはお金を使いたくないみたいです。その気持ちが悲しいです。■回答:見えにくい家計負担「変動費」を見て見ぬフリする「固定費だけ夫」家計の管理方法はご家庭の事情によってさまざまあるかと思います。夫婦共に収入がある場合、大きく分けると以下の3つのパターンに分けられるでしょう。1.全額一方負担型:生活は夫の収入でやりくりし、妻の収入は貯金や旅行にまわすなどのパターン2.共通財布型:夫婦それぞれ同額を生活費として出しあい、それ以外は自由に使うパターン3.項目別負担型:住宅ローンや保険などの固定費は夫が、食費などの変動費は妻が負担するなどのパターンどのパターンを選択してもメリット・デメリットはあります。中でも、3.の項目別負担型は、一方が食費や雑費などの変動費を担当するケースが多く、毎月の金額が一定していないため、良くも悪くも夫婦間で不公平感が出やすいかもしれませんね。ご相談を拝読するとご相談者様の場合はまさにこれに当てはまっています。食費や子ども関連の費用などは、節約したり工夫して浮かせたりもできますし、逆に注力したいものにお金をかけるなどある程度調整することが可能です。そういった変動費は、どうしても家族の生活を切り盛りしている側(多くは妻)が負担することになってしまうでしょう。そこで問題なのが、変動費は金額が一定しないため把握しづらく、また形で残るものばかりではないので、負担していない側(多くは夫)は「家計にこれだけかかっているんだ」というコスト意識を持ちづらいことです。ご相談者様の夫は住宅ローンや光熱費を負担しているとのことですね。これらの費用はだいたい毎月の金額が決まっている固定費なので、夫は「自分はちゃんと家計負担を担っている」という意識を持ちやすいと思われます。その反面、ご相談者様が負担している変動費については金額含め十分に把握できておらず、家計の全体像が見えていないから家事も手伝っていないということなのかもしれません。■ケチ夫「妻は金銭的余裕がある」の思い込みを家計透明化ではっきり否定 ご相談者様は以前、店舗を借りてネイルサロンを営業していたけれど、今はご自宅で開業しているとのことですね。もしかすると夫はご相談に書かれている言葉どおり「今までの家賃や光熱費分、妻の収入はアップして余裕があるのだろう」と勝手に思いこんでいるのかもしれません。もしそうだとしたら、「妻は収入に余裕があるんだから、もし欲しいものがあれば自分が買ってあげなくても妻自ら買うだろう。それならば自分の収入からは娘が欲しいものを買ってあげよう」と夫は思っていて、結果、娘さんには何でも買い与えてしまっていることも考えられます。それがご相談者様から見ると、娘さんには甘いのに「自分にはお金を使いたくないのだ」と映るのではないでしょうか。今のご相談者様のお悩みは、夫婦お互いが相手の現在の実収入を把握していないことにより、その使い方に意識のズレがあり、家事負担といった生活全般の悪影響を及ぼしていることでしょう。きれいごと抜きでお話ししますと、夫婦に限らず、相手に対する自分の気持ちは、以下の2つで伝わる場合が多いと思います。・どれだけ手間ひまをかけたか?・どれだけお金をかけたか?「手間ひま」か「お金」のどちらかで気持ちを伝えているとしたら、もしかすると夫は「自分はこれだけ家計を負担しているのだから、家事の手伝いなどの手間はかけなくていいだろう」と軽く考えているのかもしれません。もうすぐ年度が変わり、お子様たちも進学進級を迎えるでしょう。それにともない習いごとを増やしたり減らしたり、スマホのプラン変更など、家計に大きな変動が起こる時期ですね。いい機会なので一度、家計全体金額を明らかにしてみてはいかがでしょうか。その金額をもとに夫と話し合い、再度負担額を決め直してみましょう。もし夫のほうの負担額を少なくするなら、その分家事を担当してもらうなど要求しやすくなるでしょう。■家計負担パターンを変更するメリット・デメリットちなみにご相談者様の家計負担パターンは項目別負担型 でしたが、もし他のパターンに変更した場合のメリット・デメリットをここで考えてみます。生活は一方の収入でやりくりし、もう一方の収入は貯金などにまわす「全額一方負担型」に変更する場合は、家計を負担するほうに十分な安定収入があることが条件になります。ご相談者様が自営業なので、夫がほとんどの家計を負担してくれれば、今ご相談者様が抱えている「自分にお金を使ってくれない」と感じる悲しさは和らぐでしょう。その代わり、家事の手伝いなどはさらに夫に頼みづらくなるデメリットが生じるでしょう。夫婦それぞれ同額を生活費として出しあい、それ以外は自由に使う「共通財布型」に変更した場合、お互いの収入額にあまり大きな差がないようであれば、負担額が明確になるので不公平感は少なくなるでしょう。ただし、将来に備えた貯蓄も含めて負担額を決めておくことや、金額が大きいものを買うときは2人で相談するなどのルールを決めておいたほうがいいかもしれません。ものを選ぶときの価値観が夫と違う場合はもめることが多くなりそうなので、面倒であってもこまめに夫婦で確認したり相談したりするといいですね。夫婦でも、普段はあまり話す機会がない「お金のこと」。しかし、家庭生活を営むうえで避けて通れない重要課題です。結婚生活が長くなれば親を含めた家族にも変化がありますし、今後お互いの仕事や収入の状況が変わることもあるでしょう。たまに家計のすり合わせをする時間を持つことは、夫と円満な関係を保つのにも有効ですよ。これからも皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2021年02月28日ミドルエイジの先輩たちが「自分らしい生き方」に至るまでーー古澤瑛子さん特別支援学校卒業後、飲食店やレンタルビデオチェーンでの勤務を経て、現在はアパレル企業で勤務する古澤瑛子さん(以下、アコさん)。約1年前に実家を離れ、発達障害や知的障害のある人たちが共に暮らす「グループホーム」で生活しています。先天性の遺伝子疾患・ウィリアムズ症候群とADHDのあるアコさんの良き理解者であり、子どもの療育やグループホーム運営を長年続けている「一般社団法人発達障がいのためのハッピーライフ研究会」の高見澤千佐先生と共に、幼少期から現在に至るまでをお話しいただきました。Upload By 鈴木悠平生まれつき心臓が弱く両親は心配していた。先生と出会い、療育でたくさんの経験を――お二人とも、今日はよろしくお願いします。はじめに、アコさんの幼少期のころのお話や、先生との出会いについてお聞かせください。古澤瑛子さん(以下、アコ):活発で、外で遊ぶのが好きな子でした。親からは「すぐどこかへ行っちゃう」って心配されていたみたいです。高見澤先生のところには、4歳から療育に通っています。会ったときからすぐ仲良くなって(笑)、そこからずっと、お世話になっています。Upload By 鈴木悠平高見澤千佐先生(以下、高見澤):ウィリアムズ症候群の特徴で、アコさんは生まれつき心臓が弱いのもあって、お母さんはものすごく緊張感を持って彼女を育てておられたんです。転んで怪我して入院するんじゃないか、なにかあったら死んじゃうんじゃないかって、どこかに連れていくのもすごく慎重で。わたしはいろんな子を見てきたプロなんで、まぁお母さんそんなに緊張しないで、と(笑)。アコさん本人も、わたしと相性が合ったらしく最初っからすごくなついてくれたし、自分で学んで覚えていく力はすごくある子だなと思ったので、どこにでも連れて行って、とにかくいろんなことを体験してもらいました。アコ:はい、いっぱい体験しました!先生のところでは合宿もあって、しょっちゅうお泊まりにも行ってましたね。高見澤:うちの療育にはだいたいいつも50人ぐらいが来ていて、半分が知的障害、半分が発達障害のある子どもたちです。基本的には幼児のときから通ってもらって、二十歳以降の自立を見据えて、一人ひとり課題に取り組んでもらっています。勉強だけでなく、言語療法や運動療法まで、その子がそのとき必要なことを、という感じですね。彼女は、手先の不器用さがあったり、気がものすごく散りやすかったりして、小さいときは集中して取り組むのがなかなか大変だったんですけど、うまくいかなくて泣くことはあっても、次の日にはいつもニコニコで現れて「先生、会いたかったー!」って(笑)。いつも明るいよねー。アコ:今でも先生にベッタリですね(笑)。みんな一緒に過ごしていたはずなのに、「障害がある」というだけで扱いが変わるーー保育園や学校などでの、集団生活はいかがでしたか?アコ:保育園のときは、遊具にうまく登れなくて、運動会の競技に参加できないと言われて…高見澤:運動会で、はしごを登って鐘をカーンって叩く種目があるんですが、参加を遠慮してほしいって園から親御さんに言われたことがあったんですよ。Upload By 鈴木悠平ーーそんなことが…高見澤:でも、わたしが園に行ってコツを教えたら10分でできるようになったんだよね!アコ:はい!先生にコツを教わったらすぐできました。高見澤:運動会当日もバッチリできて、みんなに大拍手をもらったよね。やっぱり当時はまだまだ、「障害があるとみんなと同じことはできないんじゃないか」というような偏見が強くて、本人も「それはおかしいんじゃないか」っていうのはすごく感じ取っていました。アコ:小学校に入ってからも、途中までは楽しく過ごせていたんですが、6年生のときにクラスメイトに思いっきり蹴り飛ばされて、それがすごく辛くて、不登校になっちゃったんです。高見澤:心臓が悪いっていうことは、本人は普段からいろんな人に言ってたんです。それなのに胸を蹴られたっていうのがものすごいショックだったみたいで。アコ:はい、ほんと怖かったし、友達に蹴られたっていうのがショックでした。知らなかったんならともかく、知ってるのにどうしてこんなひどいことするのって。高見澤:障害のある子が疎外感を経験しやすいのがこの時期で、やっぱり難しいですね。だいたい4年生ぐらいまでは、みんなフランクに、障害がある子もない子も一緒に遊んでたりするんですけど、思春期に入りかけると違いを気にするようになって、仲良しグループがつくられるときに障害のある子が仲間はずれにされやすいんですよ。今までは「一緒においで」って言われたのが、急に「え、なんでお前来んの」って言われたりして、そこで本人も違いを自覚して、寂しい思いをすることになる。うちの療育でも、不登校を経験したことのある人は多いです。アコ:そのまま、中学校は3年間ずっと不登校で、先生のところに毎日通ってお世話になっていました。Upload By 鈴木悠平高見澤:フリースクールとして、うちへの出席を学校の出席扱いにしてもらって、そのまま卒業ですね。―中学卒業後は、特別支援学校の高等部に通われたとお聞きしました。通常の高校か特別支援学校か、進学先はどのようにして決めましたか?アコ:やっぱりいじめられたときの印象がずっと残っていて、学校行くこと自体がすごく怖くなってしまっていたんです。でも母親は、やっぱり高校は出てほしいと言うので、先生に相談に乗ってもらいました。高見澤:うちのフリースクールに通ったあと、高校進学せずにそのまま就職できている人もいっぱいいるんですけど、彼女の場合は、お母さんがものすごく思いつめられていてね。「中学校を不登校にさせてしまったから、せめて高校だけでも」って。ただ、アコさんは漢字や英語を書くのがどうしても難しくて、その状態で入れる高校の選択肢が当時はほとんどなかったんです。だったら、就職に向けた訓練もできるし、特別支援学校の高等部が良いだろうと。本人はそういった特別支援学級・特別支援学校的なところをそれまで経験していなかったので、入学当初はかなりびっくりしていましたね。――3年ぶりの学校で、はじめての特別支援学校というと、不安や緊張も大きかったと思います。アコ:もうほんと、毎日泣いてましたね。怖い!行きたくない!って。高見澤:うちの療育にも来ていた彼女の親友が1学年上にいたのが救いで、ほぼ彼女に会うために学校に行ってたようなもんだよね。その分、その子が卒業するときは大変で(笑)。アコ:あまりにショックで「わたしも姉さんと一緒に卒業する!置いてかないで!」って大泣きしてましたね(笑)。高見澤:卒業式、本人よりこの子の方が泣いてたっていうね。働いてお金を稼ぐ。親元を離れて暮らす。自分がどう生きるかを「選べる」ことがとても幸せ――それでは、特別支援学校卒業後の就労についてお聞かせください。アコ:卒業して最初に働いたのは喫茶店です。お客さんの注文を取ったり、飲み物や料理を運んだり、それから清掃とか。高見澤:最初は福祉的就労でしばらく働いたんです。わたしも見に行ったんですが、アコさんはお客さんに合わせて話すのが得意で、「雨ひどかったですねー」とか「今日何になさいますか?」とか、常連さんともすぐ仲良くなって、楽しくやっていましたね。参考: LITALICO仕事ナビ 福祉的就労とはどんな働き方なの?一般就労との違いなどについても説明しますアコ:そのあとに、障害者雇用での就職先をいくつか見に行って、次に就職したのがレンタルビデオチェーンの店舗の仕事です。何年か経ってから、そこが一度障害者雇用を終了するということで辞めなくちゃいけなくなったんですが、就労支援センターに通っている間に今の会社の人が見学に来て、それで就職が決まりました。そこから7年間、今の会社で働いてます。――今のお仕事が一番長いんですね。若い世代に人気のアパレルブランドの、渋谷の店舗で働かれているとお聞きしました。具体的にはどんな業務を担当されているんですか。アコ:わたしの担当は主に倉庫の業務ですね。スペインから送られてきた洋服を出して、輸送用のハンガーから店舗用のハンガーに入れ替えて…という感じで、お店に出る前の商品を整える仕事です。――へええ、なるほど。普段なかなか見られない、バックヤードでのお仕事、興味深いです。仕事の中で、やりがいや楽しさを感じる場面はありますか?アコ:仕事のやりがいは、ええと、そうですね…やっぱり働いてお給料をもらえるのが。Upload By 鈴木悠平高見澤:仕事の内容というか、お金だよねぇあなたは(笑)。アコ:はい、まさにお金ですね(笑)!――シンプルな答え(笑)。働いて稼いだお金は何に使うんですか?アコ:お金を貯めて自分のほしいものをひとつずつ買っています!こないだはiPhoneも買ったし、次はApple Watchとか、Bluetoothのイヤホンを買いたいなって。高見澤:あとは食だよね。グループホームではお昼ごはんの提供はないので、ご実家からお弁当を持って行くことが多かったんですけど、せっかく毎日渋谷に通勤してるんだしということで、「ランチを自分のお金で食べる」という念願を叶えて、いろいろ好きなもの食べて楽しそうですよ。毎日、わたしが仕事で忙しい中、お昼になると「先生、今日はポークチョップです!」「今日は中華♡」とかって写真が送られてきて(笑)。アコ:ふふふ(笑)。高見澤:なかなか攻撃力のある「飯テロ」をしてくるんですよ(笑)。アコ:でも今はApple Watchを買うために節約モードに入ってて…今日もカップ麺でした。高見澤:耐え忍んでますね(笑)。でもほんとに、お金は楽しいみたいだね。アコ:楽しいですね。なんか、初めてなんですよ。ケータイを自分で選んで変えられるとか。――自分でお金を稼いで、自分で使いみちを選べる。アコ:そうそう、それは本当に感動しましたね。高見澤:やっぱりお家にいる間は、全部親御さんがやってくださっていたんでね。このグループホームの個室の家具やカーテン、彼女は全部自分で決めたんですよ。いろんなお店を回って、毎回店員さんに詳しく説明してもらって、すっごく悩んで決めてって、もう大変で(笑)。「わたし、カーテン選んでいいんですか!?」ってすごく感動しててね。Upload By 鈴木悠平アコ:実家にいるときは、そんなことをやらせてもらえなかったんですよ。高見澤:毎月、給料が入ってきたら「これがあなたのお給料です。どう使おうか」って、テーブルの上に出すんですよ。グループホームに生活費として入れる額をよけて、残りの中で「この中からあなたは今月いくら貯金したい?」「お昼にいくら使いたい?」「何かほしいものありますか?」って、毎回やるんだよね。アコ:はい、そうです。先生と一緒にやってます。高見澤:彼女、すごい悩んで吟味するので、いつも2時間から3時間かかりますよ(笑)。でも、自分でお金の使い方を決めるっていうのはほんとに楽しいみたいですね。やっぱりどうしても親御さんがいると心配しちゃって「あなたのお小遣いはこれね」「だけどそれは買っちゃダメ」とか「ほしいんだったらお母さん買ってくるから」ってなっちゃってたので。アコ:そうですね。お金以外でも、「どこどこ行ってくるよー」って外出するときも「1人で行かないで」って親が心配してついてくるというパターンがほとんどで。――ご両親も心配ゆえなのでしょうけど、アコさんにとって「自分で決める」機会を持てたのは、大きな変化だったんですね。グループホームでの日々の暮らしについても教えていただけますか。高見澤:ここは男性2人女性2人の、彼女を含めて4人で暮らしています。朝晩は食事の提供があって、昼はそれぞれ。この人はごはんが何より楽しみで、「今日の夕飯なんですかー!」って仕事からもルンルンで帰ってくるよね(笑)。アコ:はい!もう、ごはん大好きで!高見澤:共有スペースの掃除や片付けは、4人で分担決めてやってます。で、各自の部屋は、自分で掃除なんだよね。アコ:はい、やってます。掃除も洗濯もやっぱり、実家で親がいると頼りっぱなしというか…自分も甘えが出ちゃうので、それもなくしたかったんですよ。自分の部屋を持って一人暮らししつつ、みんなと一緒に家事をして、気持ちや思い出を分かち合えるっていうのが、すごく嬉しいですね。――なるほど、食事付きのシェアハウスみたいな感じですね。楽しそうです。高見澤:区が募集をかけるようなグループホームだと、知らない人同士で入居して、あんまり交流がなくて、というかたちになることも少なくないんです。わたしが運営しているグループホームは、それまで療育に来ている人たちが入るので、だいたいが顔見知りですね。月に1回ぐらいは、みんなで焼肉屋に行ったりとかしてますよ。――いいですねえ。高見澤:もちろん中には、グループホームの共同生活で、まわりにどう接していいかわからなくて困っちゃう人もいるんですが、彼女はそういうときにすごく自然に声をかけてくれてね。最初は黙ってた子が、気づいたら「あ、おはようアキコ」「今日また夜、会おうね」って言って会社に行くようになってたりね。お互い影響し合っていい感じに変化していくんですよ。アッコムードの力だなって(笑)。アコ:ふふふ(笑)。高見澤:彼女のこのキャラクターが、家では「お節介」って言われがちだったんですよ。「あんたそんな他人のことはいいから、自分のことやんなさい」っていっつも言われてたんだけど。ここではそのお節介が、すごくうまく作用してるんだなって思います。わたしはずっと、自分が大好き高見澤:ご両親との関係や、お互いが願うことのギャップの話もいろいろしてきましたが、彼女のずっと変わらない、素敵だな、美しいなって思うところが、すごく自分のことを愛していることなんですね。ウィリアムズ症候群は先天性の疾患で、本人も割と早くからそのことを理解していたんです。どうしても、障害のある子を産んだ親御さんは思いつめやすくなる面はあって、彼女のお母さんも「ウィリアムズに産んじゃってごめんね」って思っていた時期があったんです。わたしも彼女本人がどう思っているか少し心配していたので、療育に通ってしばらくしてから「ウィリアムズ嫌だ?」って聞いたことがあったんですけど、「いや、わたしは自分のこと大好きだから、ウィリアムズに生まれてよかった」って、あっさりでした。それ、今でも言うよね?アコ:はい、言いますね、ずっと言ってます(笑)。自分のことは、好きですね、ふふ。お母さんに「産んでごめんね」って直接言われたときにも、「いや、わたしはウィリアムズに生まれて嬉しいなって思ってるよ」って。Upload By 鈴木悠平――自分を大好きでい続けられるって、素敵です。きっとお母さんもアコさんにそう言われて楽になったと思います。高見澤:ほんと、ずっと言ってるよね。ウィリアムズ症候群の親の会があるんですけど、「わたしもそこに入って、後輩と会いたい」って言うぐらいで。親の会は親じゃないと入れないって言ったら悔しがってましたね(笑)。アコ:なんで本人は入れないの、行きたいじゃん、みたいな(笑)。――最後に、進学や就職、将来の生活について、不安や悩みのある若い読者に向けてメッセージをお願いします。アコ:そうですね…やっぱり、楽しく暮らしてほしいなっていうのが一番ですね。落ち込んだり、学校行けなくなったりとか、そういうこともあるけど、将来もあるし、前向きに生きていってほしいなっていうか。発達障害でも知的障害でも、ウィリアムズでも、好きなことをやったり、恋人をつくったり、いろんな幸せを感じて生きていけばいいじゃないかって、わたしは思っているんです。――アコさんにとっての、高見澤先生や、特別支援学校が一緒だった先輩、ここで一緒に過ごす友達みたいな、一緒に幸せを分かち合える存在をつくっていけるといいですよね。アコ:そうですね。ほんとに大事な存在です。嬉しいです。高見澤:ずっと朝から晩まで、けらっけら笑って生きてるよね。アコ:もうけらっけらけらっけら、ずっと笑ってます(笑)。――アコさんのように、いじめや不登校を経験している子もいると思います。そうした時期を経験して大人になったアコさんから、なにか伝えたいことがあれば。アコ:いじめられたときはとにかく、1人で抱え込まないでほしいなって思いますね。わたしもつらかったですけど、相談できる人が1人でも2人でも増えるといいなって。高見澤:あんたそんなこと言うようになったの、すごいね。はっはっは(笑)。アコ:わたしも抱え込んでたときがあったんですよ(笑)!高見澤:抱え込んでたって、毎日のようにわたしとワーワーワーワー言ってたじゃん(笑)。アコ:だから!抱え込んじゃってたからそうやって先生に相談したんじゃないですか(笑)。Upload By 鈴木悠平先天性の遺伝子疾患を抱え、両親に心配されたり、学校でのいじめや不登校を経験しながらも、ずっと「自分が大好き」だと語り、周りとも明るく活発にかかわりながら生きているアコさん。インタビュアーの私も、アコさんのお話を聞いているだけで明るい気持ちにしてもらいました。アコさん自身の明るい性格もさることながら、高見澤先生やグループホームの同居人をはじめ、日常を分かち合える大切な人たちの存在が、きっとものすごく大きなエネルギーになっているのだろうな、とも感じました。実家暮らしでも一人暮らしでもない、「グループホーム」という選択肢も、ぜひ読者のみなさんに参考にしていただければ幸いです。取材・文:鈴木悠平編集:佐藤はるか撮影:鈴木江実子LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年02月28日Twitterやnoteで子育てに関する『気付き』を発信している、保育者のきしもとたかひろさん。連載コラム『大人になってもできないことだらけです。』では、子育てにまつわる悩みや子供の温かいエピソードなど、親や保育者をはじめ多くの人の心を癒します。「つらい環境でも耐え忍べば報われる」という意味を持つ『石の上にも三年』という、ことわざ。ですが、長く続けることよりも難しいのは…。第12回『石の上にも、三日坊主。』始めることと続けることって、どちらが難しいんだろう。興味を示したけれど輪に入らずに、あそびに参加しない子がいる。そのあそびに興味がないのかといえばそうではなく、観戦しながら一緒に楽しんでいるので仲が悪いというわけでもない。むしろやりたそうにはしているけれど、誘ってみると「やったことないから」と断られる。「教えるよ」と声をかけても頑(かたく)なで、あまりしつこく誘うと逆に離れてしまうので、一歩を踏み出すきっかけを見逃さないように見守るくらいしかできない。保護者の方にお話しすると、家では興味深げにそのあそびについて話しているらしい。やってみたい気持ちはあるようだ。じゃあ、なんでやらないんだろう。やってみたいのにやらない。どうしてだろうって考えてみる。無理にそのあそびをさせたいわけではない。したいならしたらいいし、したくないならしなくていい。「見ているだけ」も、その人の楽しみ方だ。サッカーをしたことがなくても観戦は楽しめるし、経験者よりも劣っているということもない。実際にプレーしている人と見ている人、そこに優劣はないのだから。ただ、なにかが足枷になっていて一歩を踏み出せないのであれば、その足枷を外してあげたいなと思う。もちろん、その子と自分は違う人間だし場面も違うから、正しい答えが出るとは限らない。けれど、分かるわけないからといって開き直ってしまったら、分からないままだ。想像したり思いを馳せたりしていれば、すこしでもなにかのヒントが見つかるかもしれない。5年くらい前、友人に誘われてボルダリングを始めた。室内の壁に打ち付けられた、岩のでっぱりやくぼみを模した“ホールド”というものを登っていくスポーツクライミングと呼ばれるものだ。初日はペットボトルの蓋も開けられないくらい腕がパンパンになったんだけど、何度か通っていると筋肉痛も心地よく感じるようになり、日ごとに登れるようになっていった。競技自体も楽しいんだけれど、目に見えて自分の成長が感じられるのも嬉しかった。大人になってのびしろを感じる機会って少ないもんね。ある程度技術がついてきたあたりから、初めは見えなかった面白さを感じるようになってきて、一層楽しめるようになった。そのものの本質的な面白さがわかるまでには時間かかる。あそびもスポーツも仕事も同様だろう。時間をかけてこそ見えてくるものは確かにあるよね。三日坊主という言葉がある。物事が続かないことを揶揄(やゆ)する言葉だ。逆に、辛抱強くいればうまくいくかもしれないという意味として、石の上にも三年ということわざがある。初めは冷たい石の上でも、長く座り続ければいずれ温かくなるということだ。継続は力なりというように、三日で辞めるより続けられた方がきっといい。途中で投げ出さずに粘り強くやり抜くことって、何かを成し遂げるためだけではなく、楽しむためにもとても大切なことだろう。子どもたちにも、やり始めたことは途中で投げ出さずにやり抜いてほしいと思う。今は面白さを感じなくても、続けていれば楽しくなってくるよって。根気強く続けた先に見える面白さや追求することの楽しさを知ってほしい。壁にぶち当たっても乗り越えてほしい。そのときに味わう達成感は格別だ。けれど、と少し考えてみる。何気なく腰掛けて、なんとなく座っていただけなら三年座っていられるかもしれない。けれど、あらかじめ石が温かくなるまでは何年もかかりますよ、と言われていたら、そんな石には座らないんじゃないだろうか。どうしても座らなきゃいけない状況はあるかもしれない。そんな人にとっては、「いつか温かくなるかもしれない」という見通しがあれば安心する。だけど、それは座り続けるための理由ではなく、あくまでも我慢を続けるための慰めだ。そうやってやっとのことで温まったお尻に感じるのは、きっと達成感ではなく、辛かったことから解放された安堵だろう。少し走ってみようかなと思ったときに、遠くにあるゴールにたどり着くまで走り続けないといけないとしたら、ましてや、周りのみんなはその道のりを悠々と走っているのを見たら「今回はやめておこうかな」と、スタートを切ることさえしないんじゃないか。そうしたら、そのまま「興味はあるけれどやっていないリスト」に追加されることになる。続けたら花が咲き、実がなるかもしれないけれど、そもそも始めなかったら芽さえも出ない。なんとなく始めてみて、一歩ずつ進んで、気づいたら遠くまで来ていた。座っていたらいつの間にか温くなっていた。それくらいでいいのなら、最初の一歩も気軽に踏み出せそうな気がする。どうして僕はその面白さを知れるくらい続けられたんだろう、と考えた時に思うのは、同じように下手くそな友人がいたからではないだろうか、ということ。もちろん、上手い人に憧れて鍛錬して上達する人もいるだろうけれど、自尊心の低い僕の場合は、周りの人たちが板チョコのような薄さのホールドを掴んで身軽に登っているのを見て、憧れよりも惨めさを感じた。僕だけが、バナナみたいなデカいホールドに不格好にしがみ付いている。身軽さなんて微塵もなく、ナマケモノのように壁にへばりついて腕をプルプルさせたあげく引力に負けてマットの上に落下する。初心者なんだから当たり前だし、恥ずかしがって楽しめないのはもったいない。そんなこと分かっているけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。だから僕は、慣れるまではひとりで行けなかった。一緒に通う、同じタイミングで始めた同じように下手くそな友人がいたから、その恥ずかしさが紛れていた。自分より下手だから安心できるのではない。「失敗しても大丈夫だ」と思えるから安心できるのだ。持つべきものは偉そうに教えてくれる熟練の友ではなく、共に失敗する未熟な友だった。そんなことを思い出しながら思う。興味を持ったあそびに参加しないその子は、新しいことに挑戦することが嫌というよりは、「みんなができていて自分だけできない」のが嫌なんじゃないだろうか。「失敗するかもしれない」という気持ちが足枷となっているんじゃないだろうか。なんとなく始めて、なんとなく覚えて楽しんでいる間に上達することってある。特に幼少期はそういうことが多いだろう。自分が人よりも劣っているかも、そんなことを思うとはじめの一歩は踏み出せない。大人なら子どもよりも上手にこなして「やってみなよ、教えてあげるよ」って、色んなことを教えてあげたい。けれど、未熟な友として共に失敗しながら成長していくのも良いのかもしれない。簡単に投げ出したり、逃げ出したりしないでほしい。けれど、途中で辞めることを「悪いこと」にしてしまっては、その経験はきっと「あの時も投げ出してしまったし、今回もどうせ続かないからやめておこう」になる。投げ出さないように嫌なことに耐えて育つのは、根気強さではなく我慢強さだ。根気強さや粘り強さはきっと、「もう少し続けたら面白くなるんじゃないかな」という期待のもとにあるんじゃないかな。それはきっと、与えられるものではなく、気軽に始めてたまたま続いた、そんな経験の積み重ねから生まれるんだろう。だから、途中で投げ出さずに続けてほしいなら、途中で辞めても大丈夫って思いたい。いつ立ってもいいからこそ、気負わずに安心して座り続けられるのだ。身になりかけたものを途中でやめそうになったときに「もったいないな」って思ったりもする。こんなに勉強してきたのに生かせないのはもったいないな。この資格取ったのに、別の仕事するなんてもったいないな。ここまで原稿書いたのに、ボツにするのはもったいないな。そんなことを大人になっても、いや、大人になったからこそ思ったりする。きっと、これまでそれに注いできた時間が無駄になるようで嫌なんだと思う。けれど、これまでの時間はこれまでの時間で、これからの時間はこれからの時間だ。ちなみに、これまで注ぎ込んだものを無駄にしたくない!という思いで損をすることが分かっていてもそれを続けてしまうことを、コンコルド効果っていうらしい。博打好きの同僚が教えてくれた。博打と一緒にするなよ、と思うけれど、同時に納得もしてしまう。未来のためにやってきたことを間違いにしないために、これからを犠牲にしているならそれは、未来ではなく過去のために生きているということになる。きっと誰だって、失敗するのは嫌だ。けれど、それが失敗じゃないとしたらどうだろう。「やるなら途中で投げ出しちゃダメだよ」「どうせ続かないんだからやめときなよ」って言葉は減るかもしれない。飽きたなら途中で辞めればいい。しんどければ逃げればいい。簡単に投げ出せばいい。そんなことを言葉にするのは憚られるけれど、それが許されるなら、大人も子どもも、少し肩の荷が降りるような気がする。甘いんじゃないだろうか。その子のためにならないんじゃないだろうか、と思ってしまうかもしれない。途中で辞めてしまう子を見て、歯痒い気持ちになるかもしれない。けれどそれは失敗じゃないし、無駄なんかじゃないとすれば、育んでいるものに目を向けられる。新しいことに挑戦できた。別のことに興味を持てた。できない自分を受け入れられた。全部大成功だ。何にも見つからなくても、自分の気持ちに正直になれた、無理しなかった、だけでも十分だ。それを失敗にしなければ、次の挑戦ができるかもしれない。気軽に、なんとなく興味を持って、なんとなく始められるかもしれない。そんな一歩が積み重なって、気づいた頃にどこか遠くまで来ているかもしれない。もちろん、どこにも辿り着かないかもしれないけれど、それはそれでいいじゃない。活発な子に育ってほしいなら、元気がなくてもいいよって言ってみる。なんでも食べる子に育ってほしいなら、無理して食べなくてもいいよって言ってみる。強い子になって欲しいなら、泣いてもいいよって言ってみる。今と未来は地続きだけれど、今のこの時間を、未来の何かにつなげるために無理しなくていい。「こんなんじゃダメだ」ではなく、「できなくても大丈夫」って安心できたなら、どこかの何かのきっかけでなんとなく「もう一歩踏み込んでみようかな」って思えるのかもしれない。余談ですがこの連載コラムは、月2本くらい書くつもりでスタートした。次第に月1本くらいのペースになっていった。1月から始まり12月にちょうど第12回の原稿を書き始めた。三日坊主の自分が月一を継続したと喜んでいたら、八割方書けたくらいで手が止まってしまい、結局予定より2ヶ月遅れた。初めは、「続けられるか分からないけれどとりあえずこの一本を」と書いていたのに、過去に積み上げたものや達成しそうな何かを見た途端、身動きが取れなくなったのだ。けれど、書いた。今までのものなんて忘れて、次のことも考えないで、目の前のことだけ考えて、ちゃんとできた。えらいな、自分。結局、ボルダリングは2年ほど続けたけれど、引っ越してアクセスが悪くなったことで足が遠のき、そのまま辞めることになった。せっかく鍛えたのだから衰えないようにと通い始めたフィットネスジムは、2、3回通って飽きてしまった。かと言って一度始めたのに途中で辞めるのもなんだかやはりダメな気がして「今月は月謝も払ったし…」と先延ばしにし続けていたら、結局1年間ほとんど通わないのに毎月月謝が引き落とされていた。これがコンコルド効果か、と無表情で納得した。始めたいけれどきっかけがない、ということもあれば、続けたいけれど途切れてしまうこともある。やめたいのにダラダラと続けていることもある。三日坊主が石の上に座っているのを想像してみる。ただの坊主なら修行っぽいけれど、三日坊主が座り続けているのならば、よほど居心地のいい石だろう。そんな石が見つかればいいなって思う。いつか見つかるかもしれないから、そんな石が見つかるまでは、少し冷たいお尻ももう少し我慢してみようかな、なんて誤魔化してみたりする。座っているのがしんどいならば、寝転んででもへばりついてでも居心地いい姿勢を見つけてやろうか。きしもとさんの記事やこれまでの連載コラムはこちら[文・構成/きしもとたかひろ]きしもとたかひろ兵庫県在住の保育者。保育論や保育業界の改善について実践・研究し、文章と絵で解説。Twitterやnoteに投稿している。⇒きしもとたかひろnote⇒きしもとたかひろTwitter
2021年02月06日ミドルエイジの先輩たちが「自分らしい生き方」に至るまでーー光武克さん予備校講師、家庭教師、「発達障害BAR The BRATs」のオーナー(現在は休業中)とYouTubeチャンネル運営、医療系アプリのコンテンツ開発と、いくつもの仕事を掛け持ちしている光武克さん。それだけ聞くと「なんでそんなに大量の仕事をこなせるの!?」と驚く人もいると思いますが、その背景には自身のADHDとASDの特性をつかみ、サバイブするためのたくさんの工夫がありました。光武さんに、現在の働き方に至るまでの経緯を聞きました。通知簿ではいつも「生活態度」を指摘される子どもだった。成績を上げることで特性をカモフラージュする生存戦略――光武さんは小さいころ、どんなお子さんだったのですか?光武克さん(以下、光武):あまり覚えていないのですが、不器用な子だったんだろうなと思います。幼少期から交流のある友人によれば、出会いは遊具から落ちて大泣きしている僕を助けたことだったそうなので(笑)、不注意かなにかで、よく怪我はしていたんでしょうね。Upload By 姫野桂光武:小学生のころは落ち着きがなく、宿題などの提出期限を守れないことも多々ありました。小学校の通知表って、学習面と生活態度の評価があるじゃないですか。生活態度の中の「基本的な生活習慣」の項目は、毎回「努力しましょう」に印がつけられていました。当時、僕はすごく動物が好きで、どうしても犬を飼いたかったんです。そうしたら、親から犬を飼う条件として「基本的な生活習慣」の改善を言い渡されて。結局犬は飼ってもらえなかったので、小学校6年間では改善できなかったんでしょうね。――勉強面はいかがでしたか?光武さんは予備校の講師もされていますし、小学生のころから勉強が得意だったのでしょうか。光武:それが、小学生のときは中の上ぐらいで、ずば抜けて成績が良いわけではなかったんです。中学校に上がってから、成績が良い方がいろいろとメリットが大きいというか…自分の不注意など、周囲から変に思われる部分が目立ちにくくなることに気づいて。「あいつは成績がいいから」と言われるキャラクターでいたほうが安全だろうということで、勉強するようになったのかもしれません。中学生のときには、親も昔通っていた、地元で有名なスパルタ英語塾にも通っていました。教科書の例文を20ページ分、つまらずに読めないと帰れないような塾だったのですが、そこで勉強したおかげで語学の道が少し開けた部分があります。高校でも英語の勉強には力を入れ、留学も経験しました。――当時、光武さん自身も、「自分は変わったところがある」という認識だったのですか?光武:自分が変わっているという自覚はたしかにありました(笑)。僕の出身地は田舎ということもあり、なかなか閉鎖的な環境だったので、自分の言動が目立ちやすい部分はあったと思います。でも、それと同時に、「周りの方がおかしい」という感覚もありましたね。なんでそんなに合理性のないことを、みんなが口を揃えて言うのかがわからない。それでも、ここは言ったらいけない場面だから言わない、といった対処をしていました。Upload By 姫野桂考古学者を目指すも、自分の特性との合わなさに挫折。予備校講師のアルバイトで見つけた適性――子どものころ、将来なりたい職業などはありましたか?光武:歴史、特に古代史が好きで、考古学者になりたいと思っていました。中高生のころは、吉村作治先生の本をよく読んでいましたね。2歳ぐらいのころ、奈良の親戚を訪ねた際にも大仏を30分ほどひたすら見つめていたそうなので、昔から古いものが好きだったようです。具体的に研究したい内容までは見えていませんでしたが、「研究」への憧れを持って大学にも進学しました。大学入学後は、古代史の研究をしたいなあと思い勉強していたのですが、やればやるほど歴史の研究に向いていないとわかってきました。歴史学の研究は緻密さが必要で、1つの資料にじっくり向き合い続けることになるんですが、それがもうしんどくて。僕のADHD特性との相性がすごく悪かったんですよね。飽きちゃうんですよ(笑)。なりたいと思っていたものに、絶望的に自分が合っていないと気づいたのが、大学2年生か3年生のときでした。これが初めての大きな挫折だったかもしれません。それから他にやりたいこともなく、このままだと就職もできそうにないしどうしようと悩んでいたのですが、当時していた予備校講師のアルバイトで、自分に向いていそうなことも見つかりました。教育の仕事って、ある面では仮説検証のような部分があると思うんです。学んだことをもとに、自分の中で仮説を立てて実践して、それがうまくいくか、つまり生徒にとって学びやすいかどうか確かめる。その一つである予備校講師の仕事は、歴史学で扱う資料と違い、生徒からすぐに反応が返ってくるじゃないですか(笑)。それがすごく面白かったし、目の前で反応を見られる環境では集中しやすくて。やったことのフィードバックがすぐに返ってくる、具体的な社会現象や人間を相手にするほうが僕には向いているのだと気づきました。そこから、社会学や教育学の本を読むようになりましたね。大学3、4年生ぐらいのことでした。Upload By 姫野桂悩んだ末、内定を辞退しフリーランスの予備校講師へ――光武さんはその後、就職活動もされていますよね。わたし自身もそうでしたが、発達障害のある方からは、「自分をよく見せなければいけない就活が苦しかった」という話を聞くことが多いです。光武さんの場合はいかがでしたかか?光武:もう、めっちゃ苦しかったです。ルールを説明してもらえれば、そのルールに従って動けるんですが、就活って「ルールは自分で考えなさい」みたいなゲームじゃないですか。エントリーシートで暗に求められていることなど、明確な指示がないものについては、要領をつかむまで苦労しました。結局、「どんなに社会が変わっても食いっぱぐれないだろう」と思った教育と医療の業界に絞って、当たり障りのないエピソードや、ウケのいい話を自分でつくり、組み合わせながら就活をしていました。でも、そもそも就職したくないという気持ちがあったので、「なぜうちの会社を受けようと思ったんですか?」と聞かれたら「そこに応募ボタンがあったから」という感じですし(笑)、「同業他社の中でなぜうちを選んだのですか?」と聞かれて、変に正直に「うーん、特に理由はないですね」と言ってしまったこともあります。そんなわけですから、最後に奇跡的に1社だけ、製薬会社から内定をもらうことしかできませんでした。――しかし、光武さんはその内定を辞退して、フリーランスの予備校講師になったんですよね。それはなぜだったのでしょうか?光武:就活の段階からグダグダで、まともに社会生活を送れる自信もなく、その会社でうまく働いていくイメージができなかったんです。そこで正社員になるという選択肢しか当時はなかったんですが、「これはベストではない、選んじゃダメなやつだ」という確信があって。かといって代替案もなく、悩むうちに時間だけが過ぎていました。そんなときに、個人事業主(フリーランス)として予備校講師をやっていくという方法もあると教えてもらったんですよ。これは乗るしかないと思い、そちらの道を選びました。――そのときのことについて、ぜひ詳しくお聞きしたいです。光武:その働き方を聞いたのは、アルバイト先の社員の方とお酒を飲んでいたときでした。ちょうど悩んでいたころ、勤めていた予備校で講師の授業力コンテストの第1回が開催されて、僕は東京都で1位を取ったんです。そこで教える力を認めてもらえたのか、部長クラスの方に、「君はプロとして、十分それで食っていけるよ」「個人事業主でやるという道があるよ」と言っていただけて。「ああ、そういう道があるんだなあ」とそこで初めて知りました。その話をきっかけに、大学生講師である「学生コーチ」から「プロコーチ」という枠に契約を切り替えてもらったのが、大学4年生の12月前後でした。一応「プロ」と名乗れるようになったことで、「これでなんとか食べていけるようになるんじゃないか」と思いましたね。あれは一つの転機だったかもしれません。だから、決して「フリーランスになりたい!」と思ってなったわけではないんです。当時はフリーランスという言葉も知りませんでしたし。今振り返ると、ずっと上司がいない状態で働いてきたのは、失敗だったなと思います。「こうすればうまくいく」という仕事のノウハウや、働く上でのメンタリティまで教えてくれる人が身近にいなかったので。20代のころの自分に、そういった「ロールモデル」になる人を、きちんと見つけたほうがいいよと言いたいですね。Upload By 姫野桂自助会での経験をきっかけに、「発達障害バー」という形態を選ぶ――フリーランスの講師として働き始めた光武さんが、その仕事を続けながらも、2018年、33歳で「発達障害BAR The BRATs」を開くまでに、仕事面ではどんなことがありましたか?光武:20代のころは、理想に燃えて講師の仕事を頑張っていました。しかし、教える仕事自体は楽しかったのですが、自分がやりたいことや興味があるものと、教育ビジネスの世界で展開されるものに、すごくギャップを感じるようになってしまい…。今はそのあたりのバランスがうまく取れるようになりましたが、当時は何よりもスコアアップが求められる受験指導に対して、嫌悪感がとても強くなってしまったんです。「予備校講師の仕事が嫌だ。一刻も早く辞めたい」とまで思っていた時期もありました。Upload By 姫野桂――それが「発達障害バー」という新たな仕事のスタートにもつながったのでしょうか。光武さんは、大人になってから発達障害の診断を受けたのですよね?光武:はい。31歳か32歳のときに、ADHD、ASDという診断を受けました。心境としては、これでようやくいろんなことの説明がつくんだなと腑に落ちた感じでした。当時、妻との関係がうまくいっていなかったので、この診断が関係改善の糸口になるかもしれないという安心が一番大きかった気がします。今ならわかりますが、なんらかの形で理由が説明できようとできまいと、嫌なものは嫌ですよね(笑)。結局、妻とは離婚に至りましたが、それも発達障害バーを始める一つのきっかけにはなりました。――人が集まる開けた場をつくることは、なかなかエネルギーが必要だと思うのですが、なぜ「バー」という形式を選んだのですか?光武:それまで、既存の発達障害当事者の自助会にも参加したことがあるんですが、自分にはちょっと肌に合わないなと感じて。そのときの経験を踏まえて考えた結果です。行ったタイミングの問題や、自助会ごとの違いもあるとは思うのですが、以前ある自助会に参加したときは、僕が求めていたような内容、例えば「プライベートの人間関係で、こんなときはどうしたらうまくいく?」「仕事のこんな場面でつまずいたときはどうしたらよかった?」といった話をする雰囲気ではなかったんです。そういった具体的なハックやプライベートな話を、もうちょっと気軽な空気で話せる場所があるといいなと思ったのが、大きなきっかけですね。僕の場合は、お酒が好きなこともあり、そういった話を友達や同僚とするときはお酒の席が多かったんです。だから、バーという形態なら、ふらっと気軽に立ち寄れて、気軽に話ができるんじゃないかと思い、発達障害バーをオープンさせました。――お店を持つことに不安はありませんでしたか?光武:めっちゃありましたよ。そもそも僕、お店を持つつもりはなかったんです。最初オープンさせたのも一時的な店舗でしたし、当初はイベント的に開催して、終わらせるつもりでした。ところが、思いのほか、お店を残してほしいという声が大きかったので。何らかの形で続けられないかと模索した結果、場所を渋谷に移して営業することになりました。(※現在は新型コロナウイルス感染症の影響で休業中)自分の特性を把握し、チームでトライアンドエラーを繰り返す――昼間は講師の仕事、夜はバーに立ちつつ、2019年からはYouTuberとしての活動も始めていますよね。最近は、さらに医療系アプリのコンテンツ開発もされていると聞きました。それだけいくつもお仕事をしていても、混乱しませんか?光武:「何曜日の何時から何時までは、どこで働く」というように、曜日や時間帯でやりことを区切った働き方をしているので、自分のADHD特性にはむしろ合っているのではないかと思いますね。適度に力が分散されて、適度に違う刺激を受けられるので。僕がこうやって働いている姿を見て、不登校だった子の大学受験の家庭教師を依頼されるなど、1つの仕事が他の仕事につながることもありますし。Upload By 姫野桂――さまざまな種類の仕事を複数並行して進めていくにあたり、何か気をつけていることがあれば教えてください。光武:僕の場合、何か作業をするときにマニュアルなどをもらっても、その中の重要なポイントがわからないとミスがすごく起きやすいんですよね。逆に言えば、作業する上での最低ラインが、要点の箇条書きでいいので示されていれば問題なくできる。齟齬が生まれるとすれば、要点の解釈ミスでしょうか。今取り組んでいるアプリのコンテンツ開発では、そのあたりがうまくクリアできています。上司となるプロジェクトマネージャーの方が、「自分も指示出しが雑になってしまうから、毎日15分、絶対にミーティングで話しましょう」と提案してくれたんです。ミーティングの場では、その都度できあがったコンテンツのよかったポイントをフィードバックしてもらったり、「この点とこの点が満たせていればOKという認識で大丈夫ですか?」とこちらから確認したりしています。おかげで、作業がすごく楽にできていますね。あとは、僕は今通院も服薬もしていなくて、どうしても脳の調子に波があるんですよ。それこそコンテンツ開発でも、まったくアイデアが浮かばず、「今日は全然書けない日だな」というときもある。それでも、「次は何時にミーティングだから、それまでにこの条件さえ満たして、何本出せればいい」というのがわかっていれば、そのときは難しかったとしても、合間の時間でパパパパッと書くこともできますよね。脳の波に乗れないときはいくら考えてもダメなので(笑)、そこで悩んでもしょうがない。書けるときに書くしかないと考えて、例えば夜中の3時とかでも、「あ、今いける」と思ったら書くようにしています。そうやって、うまーくうまーくやっていますね。――たしかに、わたしも「いける!」と思ったタイミングで書くことはありますね。光武さんの場合、講師などの1人で取り組むお仕事をされている一方で、YouTube含むバー関連のお仕事はチームで取り組んでいらっしゃいますよね。そちらの働き方についてもお聞きしたいです。光武:今一緒に働いているのは、「一緒にやりたい」と言ってくれた中から最終的にチームとして残った人たちです。「協力したい」と言ってくれる人は多かったのですが、実際にチームとしてうまく機能するかどうかは、さまざまな要素や相性がかかわってきます。その人たちとは、一緒にやる中でお互い特性を探り合っていって、「ここが嫌なのか」「こういうときはこうすれば良いのか」と、トライアンドエラーを繰り返しながら、ようやくまとまってきたところです。YouTubeの仕事は、僕は現場に行って撮影される担当で、撮影や編集などの作業は別のメンバーがやっています。僕はログインパスワードすら知らないレベルの分業体制です。――そういえば、光武さんにご連絡したときも、光武さん専用の連絡フォームから担当者の方に返信をいただきました。光武:組織として、役割がかなりきっちりと分かれているんです。それぞれが得意なことやできることをなるべく多く行い、苦手なことはなるべくそれが得意な人やできる人に任せるといったような体制になっています。Upload By 姫野桂セルフモニタリングを通して、自分の「反応」を客観的に捉えると解決策が見えてくる――紆余曲折を経て現在の働き方をされている光武さんですが、進路に悩んでいる人へ向けて、何かアドバイスがあればお願いします。光武:発達障害などの特性があると、どうしても働きにくい部分はあると思うんですよ。とくに、僕にもあるような脳の波の問題は大きいのかなと。そこに関しては、「うまくいかないときもある」という、ある程度の割り切りは必要なのかなと、個人的には思います。一番大事なのは、自分がどんな場面で、どんな「反応」をするかということを、客観的に捉えることだと思うんですよね。Upload By 姫野桂光武:僕は昔から楽器を演奏するのが好きで、トランペットとピアノを長く趣味として続けています。でも僕の場合、パニック障害のような傾向があり、特定の場面で著しく緊張して音を出せなくなることがあるんです。それがなぜ起こるのか原因がわからず、苦手意識をずっと持っていたんですが、ゆっくりセルフモニタリングをして紐解くことで、そのとき自分に何が起きているか、少しずつわかってきました。例えば、「人からどう思われるかを意識して、『ここでこういうアクションをとって、こんな風に思われたら嫌だ』という考えが起こると、肩がすごく固くなるんだ」とか。そうやって自分の状態を確認していくと、悪い流れの兆候が出始めた段階で自覚ができるので、1回楽器を置いてみたり、「今はちょっとダメです」と伝えたりして、悪化を防ぐことができるようになったんです。何かあったら一旦止まって、調子が戻ったらまた練習に参加するというプレーの仕方に変わりました。そういったセルフモニタリングと、それを受けての行動の変化は、仕事の場面でも活きる部分があると思うんです。仕事でも、ある特定の場面で同じ反応が起きるようなら、セルフモニタリングをしてみて「こうやったらうまくいった」「こういうときはこんな身体の反応がある」「こんなことが頭に浮かぶと、こんな身体の反応がある」と確かめていく。大体、仕事などで失敗しやすいケースは、どこかで考え方のクセが出ていたり、失敗するようなイメージが出てしまったりしていると思うので、そこを自覚できるようになるだけでも、かなり変わってくるのではないでしょうか。そこからさらに、「前回はこうしたらこうなったから、今度はこうしてみたらどうだろう」等と、試行錯誤し、わかったことをリスト化していくと、自分の取扱説明書になると思います。――最後に、光武さんの今後の目標を教えてください。光武:ベースにあるのは、「自分自身の生活を、できる限り、もうちょっと生きやすくしたいな」ということですね。そして、自分が生きやすくなれば、多分同じようなタイプの人が生きやすくなるとも思うんです。自分より若い人に「光武ってやつがこうやってなんとなく生き延びたんだな」というのが伝わって一つのロールモデルになれば、そこを目標に頑張る人も出てくると思います。そんな人が増えれば、ちょっとずつ社会の仕組みも変わっていくかもしれません。まずは地道にコツコツ、近い感覚や考え方を持つ人を増やすのが大事なのかなと思っています。また、自分にとっての仕事は、ご飯を食べるためのツールという側面の他に、他者と関わる中で自分がやったことを残すものという側面も持つものです。「人に知られたい」というよりは、もっと自己満足に近いものなのですが、「俺はこういうことをやったんだなあ」と納得できる、形になるようなものが残せたらいいなあと思いますね。Upload By 姫野桂一見するとスーパーマンのように数々の仕事をこなしているように見える光武さんですが、その根底には発達障害ならではの特性との合致と、チームで動く仲間たちとの協力がありました。人間関係を構築することに苦手意識がある人もいるかもしれませんが、光武さんのようにトライアンドエラーを繰り返していけば、チームで動くことも可能になるのではないでしょうか。取材・文:姫野桂編集:鈴木悠平・佐藤はるか撮影:鈴木江実子LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年01月24日第75回毎日映画コンクール各賞の受賞作品と受賞者が22日、明らかになった。同賞は毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。日本映画大賞に輝いたのは、大森立嗣監督の『MOTHER マザー』。日本映画優秀賞は『アンダードッグ』(武正晴監督)が受賞し、男優主演賞の森山未來、撮影賞の西村博光、録音賞の藤丸和徳、瀬川徹夫と合わせて最多4冠を獲得した。女優主演賞には『喜劇 愛妻物語』の水川あさみが輝き、男優助演賞は『罪の声』の宇野祥平、女優助演賞は『朝が来る』の蒔田彩珠が受賞し、監督賞の河瀬直美と合わせて『朝が来る』は2冠を獲得した。また『許された子どもたち』の上村侑、『37セカンズ』の佳山明にはスポニチグランプリ新人賞が贈られる。田中絹代賞は梶芽衣子が受賞となった。脚本賞は『一度も撃ってません』の丸山昇一、美術賞は『ばるぼら』の磯見俊裕、露木恵美子、音楽賞は『ミッドナイトスワン』の渋谷慶一郎が受賞。アニメーション映画賞は『魔女見習いをさがして』(佐藤順一、鎌谷悠監督)、大藤信郎賞は『音楽』(岩井澤健治監督)、ドキュメンタリー映画賞は『れいわ一揆』(原一男監督)がそれぞれ受賞した。外国映画ベストワン賞は『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)が選ばれ、さらに特別賞は昨年亡くなった大林宣彦監督の妻であり、映画プロデューサーの大林恭子に決まった。映画ファンが選ぶTSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門は『ミッドナイトスワン』(内田英治監督)、外国映画部門は『TENETテネット』(クリストファー・ノーラン監督)が受賞した。なお、表彰式は、めぐろパーシモンホールで2月17日の開催が予定されている。○第75回毎日映画コンクール 受賞結果日本映画大賞:『MOTHER マザー』(大森立嗣監督)日本映画優秀賞:『アンダードッグ』(武正晴監督)外国映画ベストワン賞:『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)男優主演賞:森山未來『アンダードッグ』女優主演賞:水川あさみ『喜劇 愛妻物語』男優助演賞:宇野祥平『罪の声』女優助演:蒔田彩珠『朝が来る』スポニチグランプリ新人賞(男性):上村侑『許された子どもたち』スポニチグランプリ新人賞(女性):佳山明『37セカンズ』監督賞:河瀬直美『朝が来る』脚本賞:丸山昇一『一度も撃ってません』撮影賞:西村博光『アンダードッグ』美術賞:磯見俊裕、露木恵美子『ばるぼら』音楽賞:渋谷慶一郎『ミッドナイトスワン』録音賞:藤丸和徳、瀬川徹夫『アンダードッグ』アニメーション映画賞:『魔女見習いをさがして』(佐藤順一、鎌谷悠監督)大藤信郎賞:『音楽』(岩井澤健治監督)ドキュメンタリー映画賞:『れいわ一揆』(原一男監督)TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門:『ミッドナイトスワン』TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・外国映画部門:『TENETテネット』田中絹代賞:梶芽衣子特別賞:大林恭子(映画プロデューサー)
2021年01月22日指差しがない、ことばを話さない…赤ちゃんの発達で気になることはありませんか?赤ちゃんは、1歳になる前から喃語を発しはじめ、指差しなどで意志を伝えるようにもなっていきます。その後1語文を発するようになり、1語文が出るようになってから6~8カ月くらいたつと二語文を話すようになると言われています。このコラムでは、赤ちゃんのことばの発達に関するコラムについてまとめています。お子さんのことばの発達について気になったり、どんなことがいつぐらいにできるようになるのかの目安、関わり方などの参考にしていただければと思います。0歳の赤ちゃんのことばやコミュニケーションの発達に関するコラム「喃語はいつぐらいから出るもの?」と疑問、不安を感じている保護者向けのコラムです。喃語がなかなか出ない、と悩んでいる場合、どのように接したらいいかや相談先などがわかります。赤ちゃんと目が合わない気がする…。なぜ合わないのか、原因として考えられることから、赤ちゃんの視力の発達についてなどまでご紹介しているコラムです。喃語が出始めると、一語文を発する前に赤ちゃんは指差しをするようになります。ですが中にはなかなか指差しをしない場合もあります。その原因や、指差しの引き出し方、悩んだときの相談先などを解説しています。1歳~2歳の赤ちゃんの発達や1歳半健診に関するコラム1歳6か月になると、多くの自治体で1歳半健診が実施されます母子手帳には、1歳6か月ごろの発達の目安として、次のような設問が記載されています。・「ママ」「ブーブー」など意味のある言葉をいくつか話しますか・うしろから名前を呼んだとき、振り向きますかこうした発語がないと不安に感じる場合もあるでしょう。赤ちゃんのことば、コミュニケーションの発達について、言語聴覚士の監修のもと解説しているコラムです。そもそも1歳半健診ではどんなことを診ているのでしょう。1歳半健診での検査内容や目的などについて詳しく解説したコラムです。ことばの遅れが気になったら子どもが言葉を覚え、話し始める時期には個人差がありますが、おおむねの基準として、次のような状態である場合には、ことばが遅れていると判断できるといわれています。・1歳半で、意味の伴った言葉が2つ以下である場合や、簡単な指示の理解ができない場合・3歳で、「ジュース のむ」など2つの単語による言葉である「2語文」が出ていない場合我が子のことばの遅れが気になる場合、ことばの力を育むためにできることがあるのかや、どのようなところに相談をしたらいいのかについてご紹介しています。ことばやコミュニケーションの遅れの背景に、発達障害がある場合もあります。早期に気づき相談・診断を受け、適切な支援を受けることで、お子さんの能力をより発揮させ、自信を高めることにもつながります。また、二次障害などを予防しやすくなると言われています。発達障害の診断について、何歳くらいから診断が可能となるのか、などについて詳しく紹介をしています。発達ナビライターの体験コラム発達ナビでは、発達障害があるお子さんの保護者が体験エッセイを執筆しています。ことばやコミュニケーションの発達についてのエッセイコラムも多数配信しています。ことばの発達が遅かったり、コミュニケーションが難しかったお子さんとの関わり方の工夫なども紹介されています。ぜひ参考にしてみてください。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年01月16日こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。今回は、 「夫の浮気「離婚はしないけど許せない」苦しみはいつか終わる?」 という記事に寄せられたお悩みです。記事では、夫婦生活を続けていくのが第一目標なら、夫と今後共に生きる理由を再考してみてとアドバイスしました。それを読んだ「ママ友と不倫していた夫を許せずにつらい」という方からのご相談です。■質問:夫とママ友が不倫。二度としないと約束してくれるけれど信じられません夫にママ友と不倫され、毎日しんどいです。行事で会う時にママ友の態度がおかしいとは思ってましたが、同じ時期に夫は骨折で入退院をしていたので、まさかとは思いました。入院中、私は毎日仕事帰りに病院へ寄って看病を頑張っていたのに…。子どもも小さいし、許そうと思っても許せなくて、やさしく接したいのに心の中は憎悪でいっぱいで、 口を開けば夫を責めてしまいそうでうまく会話ができません。普通にしようと思うほど、 自分の態度が冷たくなり、また不倫されそうで怖いです。夫は不倫発覚後、本当に大切なものは何かわかった。これからは私を一生大切にすると言ってくれてますが、全く信じられません。一番信頼していた夫に裏切られるつらさを毎日感じていて、心から楽しめる時はまだまだきそうにありません。またどこかで不倫するんじゃないかと疑ってしまいます。そんな毎日が本当に苦痛で仕方ないです。いっそのこと、離婚した方が楽になるんじゃないかと思う日々です。夫はこれからは毎日隣で寝るようにし、毎日抱きしめて気持ちを伝えると約束してくれましたが、そんなこと言ってくれても不安しかありません。自分でもかわいくない女だと思います。どうすればいいのでしょうか?■回答:「今はやさしくできない」と夫に正直に伝えていい不倫のご相談は多くありますが、相手がママ友というのはかなり衝撃的だと思います。ご相談者様にしてみれば自分のほうが相手に近しい分、二重に裏切られたことになります。しかもその間、夫の看病もあって仕事と両立して頑張っていらしたとのこと。その状況下で不倫されていたと知ったら、言葉にならないほどの相当な精神的ダメージがあって当然です。今感じられているように「許したいが怒りが収まらない」と、思考と感情が一致しない状態は仕方がなく、やさしくできないことでご自身を責めないでくださいね。夫は反省の気持ちを態度に表すと約束しているようですが、今の状態が続くことで相談者様は夫がまた外に目を向けてしまわないかと心配されているようです。その夫を拒否してしまう気持ちを、正直に伝えてみてはいかがでしょうか。例えば「修復の努力はありがたいし自分もそうしたいと頭では思っている。でもまだ心が追い付かず、悲しさが強いのでやさしくはできない。本当に大切と思ってくれているなら、今は冷たくする自分を見守っていてほしい」というように、夫を100%否定する気持ちではないことを理解してもらえるように話してみてください。■夫だけが悪い? 身近な相手と不倫を繰り返す女性サークルクラッシャーと呼ばれる存在をご存知でしょうか?所属集団のなかで次々と恋愛関係を繰り返し、そのために集団内の人間関係を破壊してしまうタイプで、圧倒的に女性が多いようです。サークルクラッシャーの女性は一見周りに対して友好的に見えますが、心に承認欲求や自己中心的な考え、他人の優位に立ちたいという思いを抱えています。今回のご相談のように、身近なところで浮気や不倫の相手を見つけるのは、少なからず上記の性質を持っている女性が多いと思います。このような女性を見分けるのは難しいのですが、傾向としてあるのは「自分の話はしないのに、他人の家(夫)の話は聞きたがる」「夫に対する愚痴などネガティブな話に興味を持つ」ところです。なんらかの理由で関心を持った他人の夫やパートナーに対し、自分がつけ入る隙があるかチェックしていると思われます。そしてこのタイプの女性は絶妙なタイミングをはかってアプローチしてくるので、ご相談者様の夫も何かの弾みで相手につけこまれてしまったのかもしれません。そういった女性に夫が狙われてしまった場合、妻は「自分になにか非があったから夫が浮気した」と責任を感じる必要はありません。ただただ、運が悪かっただけです。自分の夫をこのような女性から遠ざけるには、よほど信頼のおける相手ではない限り、自分から夫の話はしないこと。それと同時に、不満をため込ませないように夫とのコミュニケーションも普段から大切にしましょう。しかし、夫の職場など妻の目が届かないところは対処が難しいですね。夫が職場で疲れた様子を見せたり、妻の愚痴を言ったりすれば、同じように職場のクラッシャー女性に狙われる可能性があります。そういった隙を夫が見せないように、不満は小さいうちにお互い話せるような夫婦関係を築いておけるといいですね。■夫を許したいのに許せない…期間を決めて「どうしたい?」と自問自答ご相談者様がこのままずっと苦しい状態でずっいるのは、ご自身にとってもお子さんにとっても良いことではありません。では、どうすればいいのでしょうか?心の中が夫に対する怒りと悲しみでいっぱいになっている時は、「それでも夫を信じたい」「やっぱり信じられない」という相反する気持ちが渦巻いて絡まっている状態だと思います。それならば、毎日「信じたい」「信じられない」どちらの気持ちが自分のなかで強くなるか感じてみてください。そのうえで一定期間、例えば3カ月や半年と決めて、「自分は今、どうしたいか?」を自問してみましょう。例えば、次の項目を自分自身に問いかけてみてください。・夫を信じたいのか、信じたくないのか?・信じたいならなぜ信じたいのか? まだ夫が好きだからなのか、子どもの気持ちや経済的に離婚を避けたいからなのか?・夫が好きなのだとしたら、夫にどういう対応をとってもらえれば信じられるのか?・信じたくないなら、その状態で今後、夫と一緒に生活をしていく覚悟ができるか、できないか?・同居を続けるなら、どこで信じたくない気持ちの割り切りをするか?・同居できないなら、子どもの気持ちや経済的な面をどうカバーするか? 以上の項目を、一人でノートに書いて文字として眺めて自分の気持ちを確認してみましょう。その時々で思いは揺れることがあるので、一度で結論を出すことはありません。何度か繰り返して、自分が一番納得できる状態を探ってみてください。■判断基準は「自分が笑顔でいられるかどうか」夫に対する思いはいろいろあったとしても、ママであればお子さんのことをまず一番に考えていらっしゃると思います。それは、お子さんも同じで、どういう結論となっても、ママが笑顔でいてくれることが一番なのです。相談者様は今、夫を信じるか信じないか決めかねて揺れている期間なのだと思います。どうしても夫と同じ空間にいるのがつらく笑顔になれない時は、子どもとだけ、もしくは一人でお出かけするようにしましょう。人生は長いようで短いもの。夫に対する怒りと不信のループに延々とはまりこんでいてはもったいないです。自分自身のためにもお子さんのためにも、あえて少しずつ前を向いて進んでいただけたらと思います。これからも皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2021年01月13日こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。今回は、 「うちの夫婦は仲良い? 悪い? 明暗分ける5つのチェックポイント」 という記事に寄せられたお悩みです。記事では、5つの項目において夫婦仲の良し悪しをチェックするポイントをご紹介しましたが、「別居して距離を置いたほうが夫とうまく付き合える」という方からのお話です。■質問:別居して距離を置いたほうが夫と仲良くできるのはどうして?夫とは、籍を入れたままですが、別居中です。記事にあった仲の良い夫婦のチェック項目は、全く◯がつきませんでした。やっ ぱり、夫とは離れて良かったんだと痛感しました。悲しいけれど、毎日顔を合わせず、たまにメールするくらいの今の距離のほうが、思いやりをもって相手に接することができるようになりました。■回答:離婚しないための別居が選択肢の一つになってもいいご相談者様は現在すでに別居をされていて、その結果、一緒に住んでいらしたときよりも夫に思いやりを持てるようになったことに気がついたのですね。その決断にいたるまでは、おそらくいろいろな葛藤や迷いがあったと思います。しかし、実際に距離を置いた現在、お互いに快適な状態に落ち着いたようで、まずはその点については良いご判断だったといえますね。かつて、女性にとって結婚が永久就職先であり、極端な話、それ以外には生きていく道がないかのような風潮でした。一旦結婚したら女性は夫の家族の一員となり、子どもを生み育てて生涯を共にするため、「お嫁にいく」「嫁をもらう」といわれていたのでしょう。しかし、女性が仕事をすることが普通になり、実に女性(15歳以上)の2人に1人が働いています(厚生労働省 「平成29年版働く女性の実情」 )。女性ひとりでも生活を自分で支え、経済的に自立できるようになった今、妻は「夫の家に就職する」以外の選択肢も選べるようになりました。そのため、お互いが納得し快適と感じていれば、夫婦の生活スタイルは必ずしも同居にこだわらなくてもよくなったといえるでしょう。おそらくご相談者様もそういう背景があり、夫婦を続けるために別居という選択肢を選んだのだと思います。■コロナ禍で見えてきた「夫婦別々で過ごす幸せ」夫婦の生活における快適な距離感は本来、結婚から数十年経ち、夫婦共に定年を迎え第二の人生にさしかかるころに顕在化するものです。しかし、今年はコロナ禍でいつも以上に夫婦一緒に過ごす時間が増え、今まで我慢していた夫との生活や考え方の違いが浮き彫りになり、今さら妥協したりすり合わせたりするのも難しいでしょう。夫婦によっては、夫の仕事で忙しすぎてこれまではワンオペ育児だったけれど、今は2人で家事育児を分担できうまくいくようになったケースもある一方で、これまで日中は別々であったからほど良い距離が取れていたのに、今は在宅勤務で一緒に過ごす時間が長くなり、息苦しさからギスギスして仲が悪くなったケースもあります。結婚や夫そのものに不満はなくても、生活するうえでどうしても合わないこと(例えば、朝型・夜型の生活習慣、暑がり・寒がりといった体質の違いなど)はあると思います。それをお互い主張して妥協点がみつかればいいですが、生活状況や夫の性格によっては難しい場合もあります。どちらかが我慢して相手に合わせてもいつかその不満は爆発するでしょうから、いっそのこと違いを認め合って、別々に過ごしたほうが快適ですし円満な関係を築けます。もしそのように感じていたら、今はお互いの快適な距離を模索するいい機会ととらえ、夫にいろいろと提案してみてもいいのではないでしょうか。そうはいっても、子どもがまだ小さかったり、妻の経済的自立が難しい場合、いきなり別居はハードルが高いでしょう。例えば、週末は交代で一人の時間をもつ、部屋に仕切りを立てて一人でこもる、寝室を別々にしてみるなど、夫の希望も聞きつつ手軽に試せるところから取り入れてみてください。もし、夫が常に一緒にいたがるタイプであったら、一人の時間を認めてもらうかわりに、夫とじっくり付き合う時間を別に設けます。そのときは割り切って夫にやさしく接するなど、メリハリをつけた生活がストレスを軽減させるコツです。今後、時間を経ていき、夫婦の状況や考え方も変わっていくこともあるでしょうが、現在お互いが納得のいく状態であるなら、たとえそれが一般的な夫婦像と違った暮らし方であってもいいのではないかと思います。■離婚はしない別居結婚の期限は5年が目安ご相談者様は現在の別居状態に納得はしつつも、悲しい気持ちもあると書かれています。別居にいたった直接の理由がわからないのでその悲しさが何に起因するのか、どう対応していくかお答えするのは難しいですが、この機会に「自分は結婚に何を求めているか」「夫と2人でどんな人生を過ごしたいと思っているか」を考えてみてください。そして、もし今は離婚を望んでいないのなら、別居でも夫とコミュニケーションをとる努力はして、「去る者日々に疎し」の状態にはならないように気をつけましょう。一緒に生活していなければ、相手をこれ以上嫌いになることはありませんが、必要と感じなくなる可能性は高まります。自分のためにも夫のためにも、つながりを保つために連絡はこまめにとることが大切です。ここで一つ注意して欲しいのが、別居の期間です。結婚を継続するための別居生活であっても、その期間が長くなりすぎるのは別の問題を生みます。もしどちらかが離婚を主張して裁判になった場合、別居が5年以上となると、離婚が認められやすくなるリスクがあるからです。そのため、5年の期間をめどに今後どうするかを決めてもいいかもしれません。結婚生活が長くなると、お互いの「快適」の基準や価値観の違いが表面化してきて、生活のズレが生じるのはどの夫婦にもあることです。歩み寄りが必要なときもあれば、別の人生を選択するという決断もあるでしょう。「夫婦は一緒に住むもの」「別居したら離婚するもの」といった世間の常識や周りの目など気にすることなく、自分の未来は自分で選んでいきましょう。自分にとってどんな結婚生活がベストなのか、ひとりの時間にゆっくり自分と対話してみてください。これからも皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2021年01月03日景観が素晴らしい大会島根県美郷町では「第1回 江の川エンジョイソロマラソン」を2021年2月28日(日)に開催します。高低差の少ない美郷町内江の川周回コースで景色を見ながら走るファンランイベントです。自然が豊かで懐かしい日本の風景が残る町大会が開催される美郷町へのアクセスは、車で広島より約2時間、松江より約1時間40分、広島県との県境に面した場所にありまます。世界遺産「石見銀山」が最盛期の時には、銀山街道として栄え文化史跡・遺跡スポットなどが残っています。美郷町は、自然が豊かで桜や紅葉の美しく、中国地方で最も雄大な河川「江の川(ごうのかわ)」があり、カヌー・カヤック、温泉、陶芸などを楽しむことができます。マイペースでソロマラソンを楽しもうイベントでは、江の川周囲を走るロングコース19キロ(18.7km)とショートコース10キロ(10.4km)の2種目が予定されており、参加費は、ロング:4,000円、ショート3,500円(学生2,500円)です。定員は、ロング(男・女)400名、ショート(男子・女子・学生:高校生)300名の計700名。種目ごと10秒おきに2人ずつウェーブスタートを行います。また、完走賞の発行は、ゴール直後ではなくオンライン完走証、ゴール後の計測タグの回収はしないなど、感染対策を施したしています。(画像は公式サイトより)【参考】※大会公式サイト
2020年12月24日クリープハイプの尾崎世界観の小説『母影』が第164回芥川賞の候補作に選出された。尾崎世界観は2016年6月に初小説『祐介』を発表。自身の本名をタイトルに冠して、売れないバンドマンを主人公にした作品が話題になり、以降音楽活動と並行しながら、エッセイや対談、小説などの執筆活動を行っていた。その尾崎が初めて文芸誌「新潮」(2020年12月号)に発表した中篇小説が『母影』。今作はデビュー作『祐介』から一転、小学校低学年の少女の視点から見た世界を描いた作品となった。なお、芥川賞を含め尾崎が文学賞にノミネートされるのは初となる。同賞の選考会は2021年1月20日に行われる予定。さらに、本作品を収録した単行本『母影』が2021年1月29日に発売されることも併せて発表された。<『母影』ストーリー>私は書けないけど読めた――お母さんの秘密を。行き場のない少女は、カーテン越しに世界に触れる。小学校でも友だちをつくれず、居場所のない少女は、母親の勤めるマッサージ店の片隅で息を潜めている。お客さんの「こわれたところを直している」お母さんは、日に日に苦しそうになっていく。カーテンの向こうの母親が見えない。少女は願う。「もうこれ以上お母さんの変がどこにもいかないように」。著書詳細尾崎世界観『母影』(おもかげ)2021年1月29日発売仕様:四六判ハードカバー価格:1,300円(税別)URL: 関連リンククリープハイプ公式サイトクリープハイプYouTubeチャンネル
2020年12月18日映画芸術科学アカデミーが、第93回アカデミー賞授賞式のプロデューサーを発表した。ジェシー・コリンズ、ステイシー・シェール、スティーヴン・ソダーバーグの3人。コリンズはここ数年連続でグラミー賞、BETアワードなどの制作を担当。そのほかにも数々の授賞式やテレビ番組のプロデューサーを務め、エミー賞にノミネート経験もある。ツイッターで「このような素晴らしい機会をありがとうございます!」とアカデミーに感謝を伝えている。シェールは『エリン・ブロコビッチ』『ジャンゴ 繋がれざる者』で2度アカデミー賞作品賞にノミネートされたほか、『パルプ・フィクション』『コンテイジョン』などの多数の有名作品でプロデューサーまたは製作総指揮を務めてきた。ソダーバーグは『トラフィック』でアカデミー賞監督賞を受賞。メガホンを取った『エリン・ブロコビッチ』では、シェールとともに仕事をした。アカデミーの会長デヴィッド・ルービンとCEOのドーン・ハドソンは連名で「来るオスカーは、授賞式の可能性を再構築、そして刷新するのに素晴らしい機会です。いまの時代に直接反応を見せてくれる、夢のようなチームを結成しました」と3人を紹介している。第93回アカデミー賞授賞式は、2021年4月25日に、バーチャル開催ではなく通常通りのスタイルで開催予定。(Hiromi Kaku)
2020年12月09日40代50代 ◎ボリュームが出せる大人ショートボブ分け目をつけない前髪で額のシワや生え際の白髪カバーに◎ペタンとなる前髪のお悩みは、前髪パーマで解決できます。骨格や髪質に合わせて、顔周りにそわせて、ひし形になるようにカットをしてあるので小顔に見えて、後頭部のフォルムがキレイな大人ショートボブ◎40代50代 ◎ボリュームが出せる大人ショートボブを見る40代50代◎前髪なしの大人ひし形ショートボブフェイスラインにそわせて、前下がりのひし形なるようにカットをすると、小顔効果も出せてシルエットがキレイな大人ショートボブになれます◎分け目をつけずに自然に内巻きになるようにカットをしているのでドライヤーで根元を立ち上げるように乾かすだけの簡単スタイリングでまとまる楽ちんスタイル◎40代50代◎前髪なしの大人ひし形ショートボブを見る40代50代人気オーダーヘア1位◎ラフニュアンスなショートボブ横顔がきれいな美シルエットで無造作な軽い質感が女性らしいショートボブ◎トップからレイヤーをいれて、自然に毛流れが出るように、骨格や髪質に合わせて、後頭部に丸みが出るようにカットをしているので、襟足に沿うようにまとまる髪型に◎前下がりのラインで小顔みせに◎40代50代人気オーダーヘア1位◎ラフニュアンスなショートボブを見る首にそわせる襟足が綺麗なひし形ショートヘア辺見えみりさん風のショート☆トップからレイヤーを入れて、分け目をつけずに自然に内巻きになるようにカットをしているので、ハンドブローだけでまとまる、再現性の高い美フォルムに仕上がります。根元が立ち上がらない、ぺたんこになってしまうなどのお悩みは、トップにボリュームが出るようにはち上にポイントパーマだけかけるのもオススメです。お手入れ簡単なショートボブが人気の髪型です!首にそわせる襟足が綺麗なひし形ショートヘアを見る40代50代 白髪にも似合う◎大人ショートボブ骨格や髪質に合わせて360度、どこから見てもキレイなフォルムになるようにカットをしています。襟足にそわせる毛流れで女性らしい髪型に◎根元を立ち上げるように乾かすと、トップからふんわりボリュームが簡単に出せて艶っぽいナチュラルなショートボブで人気オーダースタイルです。ギリギリ結べるボブは暑い時期におすすめ◎40代50代 白髪にも似合う◎大人ショートボブを見る40代50代お手入れが簡単なショートボブ骨格や髪質、生え癖に合わせて、フォルムがキレイに見えるように、お手入れが楽になるようにカットをしています。後ろから、下を向きながら、ドライヤーで根元を立ち上げるようにハンドブローをすると、毛流れもボリュームアップもできて簡単にセットができる髪型です!マイナス5歳髪に見える、艶感たっぷりのイルミナカラーお肌のトーンアップに見せらせるウォームブラウンカラーが人気です。40代50代お手入れが簡単なショートボブを見る40代50代主婦さん人気◎セットが楽なゆるふわパーマのショートボブ骨格や髪質に合わせて360度どこから見てもキレイに見えるようにカットを◎襟足をしぼるような毛流れで女性らしい丸いシルエットに◎トップからふんわりボリュームが簡単に出せるようなパーマをかければ、乾かして、ワックスをもみこむだけでウエーブが出せます。ボリュームアップでマイナス5歳髪に◎湿気や汗でペタンコになる時期におすすめ◎40代50代主婦さん人気◎セットが楽なゆるふわパーマのショートボブを見るエイジングのお悩みでお困りの方、ぜひご相談下さい!骨格や髪質、襟足の生え癖などを見させて頂き、お客様の髪の毛のお悩みに合わせたスタイルをご提案させて頂いております。カウンセリングに時間をかけていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
2020年12月08日そごう横浜のグルメイベント「第2回 芋博」が、2020年12月2日(水)から7日(月)までの期間で開催される。さつまいもスイーツが集結、そごう横浜で「第2回 芋博」今回で開催2回目を迎える「芋博」は、スイーツを中心とする様々なさつまいも料理に特化したグルメイベント。会場には実演販売も含めて24店舗が出店し、各店自慢のさつまいもグルメを披露する。個性の異なる全14品種が味わえるやきいも中でも特に注目したいのは、「よっしーのお芋屋さん」(神奈川)、「神⼾芋屋 志のもと」(兵庫)、「OIMO cafe」(埼玉)の3店舗が販売するやきいも。蜜感と甘みが強く特徴的な食感をもつ「さつまミライ」、ねっとり甘く水飴のようなコクの「シルクスイート」、上品な甘さがある希少な在来種「紅赤」など、計14種類に及ぶバリエーション豊かな銘柄のやきいもが楽しめる。定番から変わり種まで多種多様なメニューがラインナップこのほか、芋の天ぷら専門店「Tempura Motoyoshi いも」のパフェ、高級芋菓子「しみず」が提案する和のスイートポテト、焼き芋専門店「芋やす」の焼き芋サンドなど、定番から変わり種まで様々なさつまいもグルメが用意されている。開催概要「第2回 芋博」開催期間:2020年12月2日(水)~12月7日(月)会場:そごう横浜店 8階=催会場※最終日は17:00閉場。※イートインラストオーダーは閉場の1時間前まで。
2020年12月03日広井王子総合演出、少女歌劇団ミモザーヌ12月30日(水)第1回公演『Begin~始まりの歌~』のチケット販売が開始された。本舞台の第1回公演ではカバー楽曲を含む計13曲が披露される。11月15日に本格始動第1弾としてお披露目ショーケースを生配信し、ダイジェスト映像が公開中の少女歌劇団ミモザーヌ。こちらの動画では、計5曲のダイジェストを視聴できる。また、オリジナル曲である「ミモザのように」のミュージックビデオがYouTubeにて公開中。ミモザを持った少女たちが可憐に歌う内容となっている。■お披露目ショーケースダイジェスト映像■MV「ミモザのように」少女歌劇団ミモザーヌとは「少女歌劇団プロジェクト」から生まれた広井王子総合演出のレビューカンパニーであり、12歳~19歳の少女たちで結成。第1期メンバーは応募総数736名の中から14名の少女たちが選出されていて、メンバーは20歳で退団となる。グループ名である少女歌劇団ミモザーヌは花の「ミモザ」から由来。ミモザの花言葉は「感謝」のほかに「友情」「優雅」とも言われており、小さな丸い花びらがたくさん集まって可憐に咲くミモザをイメージしている。少女歌劇団mimosane. 第1回公演「Begin~始まりの歌~」チケット概要◆配信日時12月30日(水)配信開始16:00~※見逃し視聴は1月6日(水)16:00まで※別途よしもとID登録が必要購入はこちらから:
2020年12月02日ミドルエイジの先輩たちが「自分らしい生き方」に至るまでーー高梨健太郎さん都内で会社員として働く、高梨健太郎さん。働く中でのつまずきをきっかけに、ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けました。現在ではご自身の経験を活かして、就労支援のトレーナーや、タスク管理支援ツール「タスクペディア」の企画・発案といった活動もされています。今年の4月、仕事をやりやすくするための秘訣をまとめた『要領が良くないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(サンクチュアリ出版)も上梓しました。現在はいい環境で働けていると語る高梨さんですが、今の働き方にたどり着くまでには、紆余曲折があったと言います。会社員として働きつつ、「タスク管理」をテーマに就労支援も――(名刺を交換して)会社の管理部門と広報部門、リワークトレーナー、タスク管理支援ツール「タスクペディア」の広報…。高梨さんは今、4つの名刺を持って活動しているのですね。高梨健太郎さん(以下、高梨):はい。障害者雇用枠で入社した会社で、今は一般枠の社員として週5日働いています。広報部門と管理部門の業務を週4日。残り1日は、会社の業務の一環で「EXP立川」という就労移行支援事業所に行き、タスク管理に関する就労支援のプログラムをしています。わたしのタスク管理方法を元に、プログラマーの友人が開発してくれた「タスクペディア」は、EXP立川を運営する社会福祉法人SHIPから、無料でリリースされているクラウドツールです。自分が担当するプログラムでも、使っています。タスクペディア公式Upload By 姫野桂――高梨さんも診断されているADHDには、忘れ物をしやすかったり、優先順位を決めるのが苦手だったりといった、まさにタスク管理術を役立てられそうな症状もあるかと思います。高梨さんの場合は、どんな症状がありますか?高梨:段取りをつけることや整理整頓が苦手だったり、物事を忘れやすかったりします。多動性や衝動性よりも、不注意の割合が大きいですかね。会社の代表電話をとるような、誰からかかってきて、どこにつなげばいいかをすぐに考える必要があるものも、混乱してしまうので苦手です。また、叱責されると、しばらくの間、頭が真っ白になってしまうことがあります。だから、今の会社の入社面接で「配慮してほしいことはなんですか?」と聞かれた際には、「怒るのではなく、提案という形で改善点を教えてほしい」と伝えたりもしました。症状は出ていたが自覚はなく、「天真爛漫」な子ども時代――これまでお話いただいたような症状は、昔からありましたか?どんな子ども時代を送ったのでしょうか。高梨:今思えば、子どものころから症状はありました。小学1年生ぐらいのときには、とにかく片付けができなくて。学校の夏休みの前って、机の中身を空にしたり、朝顔の植木鉢を持ち帰ったりするじゃないですか。あれが嫌で仕方ありませんでした(笑)。他の子たちは毎日少しずつ持ち帰っていたのですが、わたしは最終日まで全然持ち帰らなかったので、大荷物で。それを見越していたのか、親から「とにかくなんでも全部入れて帰ってきなさい」と、ものすごく大きい袋を渡されたことがありました。当時の自分は、素直に「うん、わかったー!」と荷物を詰め込んで持ち帰り、褒めてもらっていましたね。自分の中ではすごく楽しい、笑える思い出として印象に残っています。とにかく不器用で、人より行動が遅く、必ず1回は失敗するような子どもだったのですが…親の理解があったんでしょうね。あまり怒られることがなかったからか、「天真爛漫」と言われるような性格でした。この「できなさ」は何なのか?行き当たった「発達障害」という言葉――小さいころから発達障害の特性は出ていたものの、それにひどく悩まされることはなかったのですね。高梨:はい。本格的に困り始めたのは、20代後半になってからです。大学を卒業後、司法書士を目指して勉強する中で、実務経験を積もうと司法書士事務所でアルバイトを始めたのですが、面白いくらい仕事ができなかったんです(笑)。Upload By 姫野桂――具体的には、どのような業務を担当していたのでしょうか?高梨:「補助者」というポジションで、事務作業や法務局へ書類を持っていくおつかいなどをしていました。仕事としては簡単ですが、責任重大な内容ですね。うまくできないながらも数ヶ月働いていたある日、所長である司法書士の先生にクビを言い渡されてしまって。職場に迷惑をかけているのはわかっていましたが、人並み程度だと思っていたので、ものすごくショックでした。――高梨さんからすると、本当に突然の出来事ですものね。衝撃は大きそうです。高梨:それでも、回復はなかなか早かったんです。落ち込みはしましたが、「こんなこともあるだろう」ぐらいに捉えていたので、次のアルバイトを始めました。今度は不動産会社でのアルバイトだったのですが、またしても仕事がうまくいかず、ミスばかり。そのときに、「あれ、何かおかしいな」と思い始めました。そんなときに、不意に「死にたい」という言葉がこぼれてしまったことがあって。「今、自分なんて言った⁉」と驚き、メンタルがすごく落ち込んでいるんだなあと気づきました。もともと、一部の人間関係でやりづらい状況だったこともあり、そのアルバイトは辞めさせてもらいました。――自分の特性に関わることでそこまで落ち込んだのは、初めてだったのですね。そこから、どのようにして診断を受けるに至ったのでしょうか?高梨:「何かおかしいかも」と思ってからは、自分が一体何者なのか、どういう状態なのかが知りたくて、「仕事できない」や「仕事忘れるミス」といったワードで検索していました。そこでようやく「発達障害」という言葉にたどり着いたんです。そこから、都内の精神保健福祉センターや、発達障害専門の支援機関に行って相談し、紹介してもらったクリニックで、晴れてADHDの診断をもらいました(笑)。30歳手前のことですね。期待に応えたいと頑張りすぎてしまい、二度の休職Upload By 姫野桂――診断を受けたときの心境を教えてください。高梨:自分の努力不足ではなかったのだと、それはもう安心しました。でも、職場での経験から、完全に自信を失ってもいました。あるとき、喫茶店でアイスコーヒーを頼んだら、ちゃんとアイスコーヒーが出てくることにすごく感動しちゃったんですよ。オーダーを間違いなく取り、厨房に伝え、作られたコーヒーを正しい席に運ぶ……。そういう、一般的にはできて当たり前だと思われているようなことが、きちんとおこなわれている。当時の自分には、そんなこととてもできる気がしなかったんです。それでも、自分で仕事をして収入を得ていきたいと悩んでいたときに、クリニックのソーシャルワーカーさんと話す機会がありました。そこで初めて、障害者雇用や合理的配慮というものを知り、障害があっても安心して働ける場所があるとわかって。「ああ、自分でも働けるかもしれない」と、すごく嬉しかったというか…安堵したのを覚えています。――ソーシャルワーカーさんと話したことで、障害者雇用という選択肢が見つかったのですね。その後、IT企業の総務として、障害者雇用で入社したとのことですが、実際に合理的配慮は受けられたと感じますか?高梨:とくに最初のほうは、配慮があったと思います。具体的には二つあり、一つは苦手な電話対応を、最初の3ヶ月はしなくてもいいように調整してもらえたこと。もう一つは、同じ部署の先輩社員が、関わり方を考えてくれたように感じたことです。先輩の机には、「精神障害の人と働く方法」といった内容の本が置いてあったんですよ。「ああ、この人は勉強してくれているのだな」と、すごく嬉しかったです。やりとりをするときにも、言い回しを工夫してくれているように感じました。その会社には5年勤めましたが、だんだんと1人あたりの仕事が多くなり…。結果として、十分な合理的配慮を受けるのが難しい状況になりました。実は、途中で障害者手帳の更新を忘れ、雇用枠も障害者雇用から一般雇用に切り替えることになったのですが、「こんな自分を採用してくれたのだから、頑張って働いて恩返ししなくては」という思いで、わたしもすごく頑張ってしまって。毎日終電帰りのようなときもありました。Upload By 姫野桂――それは、心身ともにすごくハードそうですね…。高梨:気持ちではまだ頑張れると思っていましたが、4年目後半ぐらいには体が追いつかなくなりましたね。アルコールに弱いのに毎日お酒を飲んだり、乗り換えが嫌で、電車で600円のところをタクシーで12,000円払って帰ったりするようになってしまい、ある日「ああ、もうこれはダメだ」と思って休職。その後そのまま退職しました。退職後は、半年で障害者雇用と一般雇用、合わせて250社程度の採用試験を受けまして。有名な不動産会社の一般雇用で、クローズ(障害を伝えずに就職すること)で入社することを決めました。――半年で250社ですか!最終的に一般雇用を選んだのは、何か理由があったのでしょうか?高梨:そもそも内定をいただいた企業が一般雇用のみだったのですが、妻との結婚を、その時点で決めていたからというのもあります。妻も働いていましたし、わたしがADHDだということは伝えていたので、障害者雇用について何か言われたわけではありません。ただ、出産や育児などでもし私だけの給料で生活することになったら、比較的給料が低い障害者雇用では難しいのではないかと思ったんですよ。――経済的な面での判断もあったのですね。クローズで働くとなると、特性由来で苦手なことについて、理由を説明するのが難しく、大変なこともありそうです。高梨:そうなんです。しかも、主任という立場を任せていただいたので、「主任なのに、なんでできないんだろう」と周りから思われているのではないかと苦しくなり…。1社目と同じような流れで、また休職してしまいました。4ヶ月後、復職したときには、自分にほとほと愛想が尽きていました。でも、今思えば、それが転機になったような気もしているんです。できない自分も受け入れた先に、タスク管理術があった高梨:自分で言うのもなんですが、わたしは勉強が得意で、偏差値の高い大学を卒業しました。そこでの優秀な同期たちがどんどん出世していくのを見て、自分も同じはずだとこれまでは思っていたんですね。だから、失敗することがあっても「そんなはずはない」「自分はできる」と考えていたのですが…。2回の休職を経て、「いや、やっぱり自分ダメなんじゃない⁉️」と思い始めたんです。できるはずだと思って頑張っては、しんどい思いをするのを繰り返して、やっとできない自分も受け入れられたんだと思います。それと同時に考えたのが、忘れたりミスをしたりするなら、そうじゃない自分になろうとあがくのではなく、忘れない・ミスが起きない環境をつくることで、このままの自分でなんとかやれないか、ということです。――自分を変えるのではなく、周りの環境を整える。発想の転換があったんですね。高梨:そうなんです。復職直後は時間の余裕もあったので、勉強も兼ねて、自分ができないことをカバーする仕組みをExcelでつくっていきました。例えば、段取りがその場でうまく組めないのなら、あらかじめ組んでおいて、実行するときにチェックすればいいようにする。先送りするなら、やることを細かい手順に分けて、全てに締め切りを入れ、「今日はこれだけやればいい」とハードルを下げるようにする。いつも仕事のことを考えてしまうなら、自分と相手、どちらが作業中なのかわかるようにしておいて、自分が担当でない期間は安心して忘れられるようにする。そんなことを考えながら、どういう仕事があって、いつ発生して、いつ締切で、次に何をやるのか、見るだけですぐに状況がわかる表をつくりました。Upload By 姫野桂Upload By 姫野桂――たしかに、ここまで可視化すると、頭の中を整理できそうです。高梨:作成当時、我ながら傑作だと思いました(笑)。そして、同じようなことをしている人がいないか検索してみたところ、初めて「タスク管理」という言葉に行き着きました。そのとき、わたしはすごく希望を感じたんです。自分の特性をカバーできる方法論を突き詰めていったら、仕事ができると言われるビジネスパーソンが活用する「GTD(Getting Things Done)」という手法とそっくりだった。ADHDのわたしも、自分がエリートだと思っていたビジネスパーソンも、仕事を効率化する上でやっていることは一緒なんだ、と。このときの表を改善して、クラウド上で使えるようにしたのが、タスクペディアです。Upload By 姫野桂高梨:タスクペディアは、誰でも無料で、パソコンからもスマートフォンからも使えるように開発してもらいました。Excelだと、使える環境が限られるじゃないですか。必要な人が気軽に使えて、仕事がうまくいったとか、仕事が見つかったという話が聞ければ嬉しいなと思って、クラウド化してもらい、2018年にリリースしました。――そのような背景でタスクペディアはつくられていたのですね。タスク管理ができるようになってから、仕事のしやすさは変わりましたか?高梨:それはもう、劇的に変わりました。ただ、自分にとってのタスク管理の目的は、仕事ができるようになることそのものではありません。タスク管理をして、無理なく仕事を進められるようになった結果として、落ち着いて仕事ができるようになる。その気持ちの安定が、自分にとっては目的だったのかなあと思います。挫折経験もむしろアリ。背伸びはせず、考え方を変えてみるUpload By 姫野桂――2社目への復職後、転職を経て、現在の職場は3社目ですよね。今の高梨さんからは、とても充実した日々を送られている印象を受けます。高梨:たしかに、幸せだなと感じることは多いです。途中でまたしても障害者手帳の更新を忘れてしまい(笑)、障害者雇用から一般雇用への変更はありましたが、現職は勤続6年目になりました。すごくいい環境で働かせてもらえていると感じます。わたしの感覚では、自分の特性を受け入れて、苦手なことをカバーできたら、その時点ですごく幸せだと思うんですよ。そのタイミングで、自分の強みにも目を向けやすくなりますし。それに加えて自分は今、これまでの経験すべてを、人に役立つ活動へと還元できているように感じるんです。就労移行支援事業所でのプログラムもそうですし、本の出版もそうです。無料でおこなっている活動もありますが、それが巡り巡って勤め先の新たな仕事につながり、会社の利益に貢献できたりもします。このような活動は、すべて自分のしくじり、もっと言うならばADHDの特性が元になっているんですよね。そう考えると、挫折体験って普通はあまりしたくないものかもしれませんが、得るものもあるんじゃないかと思えます。――特性についてのポジティブな捉え方も発見されたのですね。高梨さんは、仕事で苦手と向き合いながら、ご自身の特性を受け入れていったかと思います。自分の特性や診断に悩む子どもたちに、何か伝えたいことはありますか?高梨:そうですね…。「背伸びしなくていいんじゃないかな」と伝えたいです。苦手なことについて、ある程度の努力でカバーできるのならカバーしたほうがいいという考え方もあるとは思うのですが、どうしてもカバーが難しかったり、努力すればできるけれど、代わりに体を壊してしまったりする場合もあると思うんです。そんなときは、別の考え方をする手もあります。背伸びせずに、「あ、これできないんだ」と、自分を少し離れたところから見て、「じゃあ、どうする?」と、直接カバーする以外の対策を練るだとか。自分1人で対策を考えていると、できない自分を認めたくない気持ちも襲ってくるかもしれないので、客観的に見てくれる、頼れる存在がいるとすごくいいですよね。わたしも、妻や家族、担当医や支援機関の方など、たくさんの人に話を聞きました。似たような悩みを持つ同志と、ファミレスで9時間ぐらい話して、励まし合っていたこともあります。苦手なことに対して、自分だけで・直接取り組む以外の方法も、ぜひ試してみてほしいですね。Upload By 姫野桂仕事を始めてから発達障害の特性に悩まされ、一時は休職し、転職も複数回経験した高梨さん。「できなさ」にふさぎ込むのでなく、そんな自分も受け入れて発想を転換し、苦手をカバーする方法を身につけました。高梨さんの場合は、タスク管理術を身に付けたことで自分らしさを取り戻したのではないか――彼の笑顔を見て、そう感じました。何かにつまずいた際は、どうすれば自分らしくいられるか、自分のよさを発揮できるかを考えてみると、少し違う見方ができるようになりそうです。取材・文:姫野桂編集:鈴木悠平・佐藤はるか撮影:鈴木江実子
2020年11月25日親が元気なうちに早めに実家をたたむことにしたわが家。母は私の家から車で10分ほどのところにあるアパートに引っ越し、母の第二(?)の人生が始まりました。とはいえ、どういうふうに暮らしていくかは手探り状態。母が暇にならないように、引っ越ししてきたことを後悔しないようにと、私はなんだかんだと会いにいき、母は母で不安を見せないように気をつかい、お互いに距離を計りかねていました。母は今までずっと仕事をしてきたので、仕事のない状態に慣れていませんでした。アルバイトを始めてからは、自由な時間は減りましたが、生活にメリハリができ生き生きとして見えるようになりました。まだ現役で働いているということが今の母にとって大きな自信になっている気がします。<つづく>
2020年11月19日順位やタイムを競わないファンラン「オンライン横浜マラソン(第2回)」は、2020年12月1日(火)~12月14日(月)に開催されます。同イベントは、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった「横浜マラソン2020」を受け開催したオンラインマラソン(第1回)続くものです。参加賞のスポーツ手袋を付けて走ろうイベント種目は、フルマラソン、ハーフマラソン、10kmがあり、自分の体力に応じて種目を選択することができます。走るコースは自由で、エントリーした距離を大会期間中に走り切れば完走となります。何日かけて走っても大丈夫なので、初心者におすすめです。参加費は、2,500円(3種目ども同額)、参加賞にはスポーツ手袋が貰えます。また、参加者の中から抽選で特別賞をプレゼントが予定されています。完走賞には、完走者全員に「デジタル完走証」が送られます。速さは競わずおしゃべりしながら走るオンラインマラソンでは、特別企画としてフォトコンテストが開催されます。タイムや順位を競わないイベントなので、素敵な写真を撮りながら、好きな時間と場所でランニングを楽しんでみるのも良いかもしれません。(画像は公式サイトより)【参考】※大会公式サイト
2020年11月12日Twitterやnoteで子育てに関する『気付き』を発信している、保育者のきしもとたかひろさん。連載コラム『大人になってもできないことだらけです。』では、子育てにまつわる悩みや子供の温かいエピソードなど、親や保育者をはじめ多くの人の心を癒します。まだ感情のコントロールが苦手で、癇癪(かんしゃく)を起こしてしまう子どもたち。他人の苦しみや欲求は、どうすれば理解できるのでしょうか。第10回『同情するならお湯をくれ。』「怒りたくて怒ってるんじゃないよ」と言われて「なら怒らなければいいじゃないか」と思ったことがあるのは僕だけではないだろう。学校からの帰り道、歩きながらノートを広げている子がいた。「危ないからノートしまって歩きなよ」と声をかけると「だってー」と返してきた。「危ないことは危ないからやめてね」と口答えを制した。理由があろうと危ないことは危ないのだ。しばらく歩いたところでお茶を飲みながら、またノートを広げていた。「しまっときって言うたやろー!」と少し語調を強めると、注意されて落ち込むというよりも楽しみを邪魔されたというような表情をした。心配していることを伝えるつもりで言い訳のように「怪我したらあかんからな。ほんで、暑いから水分しっかり取ってな」と言うと「だから飲んでてんやん」と言い返してきた。なんだかやけに反抗的だなと思いながら視線を落とすと、広げたノートに地図のようなものが書かれているのが見えた。スタートらしき場所には「がっこう」と記されており、路線図のようにいくつかの四角を線で繋げていて、ところどころに手書きの星マークがつけられていた。双六のようにも見える。「なに見てたの?」と、指摘としてではなく興味本位で尋ねた。「帰り道に暑くてお茶飲まなあかんから、飲むポイントを書いてんねん、いまここ」と言って[学校]と[学童]の間にあるチェックポイントの一つを指した。「真夏の水分補給」も子ども達に指導している交通ルールと同じく大切なことだ。それを自分たちで工夫して実践できるようにしていることに感心しながらも「いいことやけど、危ないからノート広げて歩くのはやめような」と伝えた。しばらくしてから、「おもろいなあ」とそのノートのことを思い出していた。自分たちで相談して書いたんだろうか。決められためんどくさいことも、あそびに昇華してるなんてすごいじゃないか。「いいことやけど」ってなんやねん。ただただめっちゃおもしろいやん。「いいことや」って取ってつけたように言ったけど、あの子たちには「怒られた」ってことだけが残っているんじゃないかと少し後悔した。自分で自分に「怒りたくて怒ったんちゃうねん」と言い訳した。「なら怒らなければいいじゃないか」と子どもの頃のぼくが顔を出す。危ないことは危ないからやめてもらわなきゃいけない。けれど、もっとほかに伝え方があったんじゃないか、間違いを指摘することをそんなに焦らなくてもいったん話を聞くことくらいはできたんじゃないか、と何度も考えていた。思い通りにいかないときに癇癪を起こしてしまう子がいる。諭すように話したり、思いに寄り添うように声をかけたりしてみても全く応じることはなく、言葉をかければかけるほど興奮したり、脱力して床に寝そべり駄々をこねたりする。腫れものを触るように接していき、癇癪玉が爆発したら最後「鎮まりたまえ!」と災難が過ぎ去るのを待つようになだめ、根負けして思い通りにさせるか、そうでなければ開き直って強引に言うことを聞かせるしかない。その子は好きなあそびを中断されるたびに駄々をこねた。みんなで遊んでいるときには機嫌よく過ごしているけれど、終わってしまったり中断されると手をつけられなくなっていた。ある日、その子は好きなあそびをせずに一人で過ごしていた。ひとりでのんびり過ごしているのかといえばそうではなく、かと言って別のあそびに夢中になっている訳でもなさそうで、あえてそのあそびから離れているように見えた。何かあったのか尋ねてみると、その子は少し黙ってから「もう、ああなるの嫌やねん」と小さく言った。「ああなるの」とは「キーーーッ!」ってなること、つまり「癇癪を起こしてしまうこと」だ。「思い通りにいかないことがあったら癇癪を起こす子」ぼくはそんな風にその子のことを見ていた。思い通りにいかないことを押し通そうとする姿は、半ばわがままにも見えた。その子にも制御ができないのだ、とそのときに初めて気が付いた。本人が苦しんでいるなんて思ってもいなかった。癇癪を起こさないようにしたり、それを鎮める方法を話し合いもした。けれど、それは「その子がしんどいから」ではなく、「僕たちがしんどいから」やっていた。その子が癇癪と戦っているのに、僕とも戦わなきゃいけないなんてそりゃあしんどい。僕には見守るか支えるしかできなかったのだ。もしかしたら、わがままな姿や怠慢に見える姿が、ただ気に食わなかったのかもしれない。誰も困りはしないのに何故だか許せない、そんな感情ってあるんだよね。その子が感情をコントロールできなくて、うまく表現できなくて苦しんでいるかもしれない。それを分かっていても、それでもやっぱり「自分の言う通りにしたいだけじゃないか」とか「ただのわがままなのではないか?」と感じてしまう自分がいる。考えてみれば、その子が癇癪を起こさずに言うことを聞いて欲しい、と望んでいる僕の考えも、自分の思い通りにしたいというわがままだよね。僕たちはなんで、人がわがままに振る舞っていたりサボっているように見えたりするのが許せないんだろう。たとえば危険があるとか誰かの迷惑になるとかなら分かるけれど、誰に迷惑をかけるわけでもないのに、手を抜いていたりサボっていたりズルをしていたりすると許せない。気に食わないな、と思うだけなら勝手だけれど、「その子のためにならない」というもっともらしい理由をつけて厳しくしてしまうこともある。親を甘やかしたらいけないという価値観も、保育や教育の業界から聞こえてきたりする。「気に食わない」だけで批判するのは理不尽だって誰でも分かるけれど、それが「教育」とか「当たり前」という仮面を被ってたら、そういうものなのかもと思ってしまう。しんどい人は救われるどころかさらに追い込まれていく。しんどいのなら、甘えてもいいんじゃないのかな。なんで、甘えたり手を抜いたりすることが許せなくなってしまうんだろう。あ、例えば、狩りで生きてきた時代には、サボってしまったら生死に関わるから本能的に「サボるのは許せない」と感じるのかもしれないな。とか適当なことを考えてみたけれど、「サボりたい」「休みたい」も生きるために必要な心の声じゃないか。「何個しんどかったら帰れるんですか?」中学校に勤めている友人が、保健室で生徒に聞かれたらしい。熱は無いけれどアトピーの調子が悪いし具合もよくないので帰りたい。けれど、サボりだと思われて帰らせてもらえないとのこと。甘やかしてクセになってもいけないし、だからって子どものしんどさに寄り添えないのもつらいものだ。僕は子どもの頃からアトピーなんだけれど、痒いとか痛いとかだけでなく、向けられる視線やかけられる言葉に傷付いたり、自分は頑張りたいのに頑張れないしんどさもある。学童でも身体が痒くて目の前の宿題に集中できない子がいて、それを見て「集中力がないな」と思ってしまいそうになる。けれど、絶対に「集中しなよ」と声をかけることはしない。だって、集中できるならしてるもんね。痒いから集中できなくて、集中できないからまたイライラして掻いちゃって、終わりが見えなくてボーッとしてしまうんだ。荒れた肌は見た目も良くないし、フケが服についたりするから清潔感がないとか言われる。清潔にしていないとすぐに悪化するから、一度来た服を洗わずに着ることはないしシーツだってしょっちゅう洗う。その辺の清潔感のあるイケメンよりも、きっと清潔であることを心がけているけれど、見た目の清潔感は伴わない。食生活が良くないんじゃないかとか生活習慣が悪いんだよって言われることもある。怠慢だから、サボっているからだよと病気をその人のせいにしたがる。しんどくてエネルギーを使いすぎて、いつもなら容易にできることが、ガス欠でできないこともある。当たり前にできるべきことができていないから、またやっぱりサボってるって思われる。その人のしんどさはその人にしか分からない。同じ痛みでも、平気な人もいれば、動けないくらい苦しむ人もいる。その人にしかその苦しみはわからない、という至極当たり前のことを忘れて、苦しむ人が弱いのだと、それを悪いことのようにしてしまう。忍耐力が足りない?みんな我慢してる?その事実があったとしても、それでしんどさはなくならないのに。病気に限らない。健康でも、その時の環境や状況でしんどい人はきっとたくさんいる。家族がケガをしたり、飼っている猫が病気だったり、失恋したり、推しが引退したり。病気だからとか障害だからとかではなくて、なにもなくてもそのしんどさに目を向けていたい。「そんなことくらいで」なんて他人が言っちゃいけないんだよね。みんなは大丈夫なのに自分がしんどくても、「そんなことくらいで」って自分で思ってしまうことも、もうやめたい。みんなしんどいことは嫌なはずだよ。そのしんどさから逃げたり解放されることを望んだりするのって悪いことじゃないはず。みんながしんどくなくて、みんながサボれる社会の方が断然生きやすいやんか。「なぜしんどいか」なんて関係なくて、そこにしんどさがあるのなら、それをまずは解消したい。甘えてなにがいけないんだろう。弱くてなにがいけないんだろう。教育というモノを言い訳に、育てるという名目のもとに、その子のしんどさを否定してはいないだろうか。まっとうに生きる。勤勉に生きる。それが幸せになるためではなく、ちゃんとした大人として見られるためなのであれば、もうそれにならなくてもいいやって思うの。ちゃんとした大人、を目指すなら、人のしんどさを自分の尺度で測らずに、想像したり寄り添える大人でありたいと思う。「正しいこと」よりも先に「生きやすいこと」を大事にしてみようよって思う。他人が大切にしているものを否定しないのと同じように、他人のしんどさを否定しない。それができたならきっと、自分の大切にしているものもしんどいことも、自分で否定しないでよくなるんだと思う。子どもの育ちを見守る立場である僕が、こんな風にサボることを肯定したら、それで不安になる人もいるかもしれない。けれど、ぼくははっきりと言いたい。一個でも十分しんどいよ。みんながしんどくないことでも君がしんどいのならしんどいんだよ。休んでいいんだよ。手を抜いていいんだよ。苦しみを我慢して厳しくされた分だけ辛抱強くはなるかもしれない。けれど、その分相手にもその強さを求めてしまうのであれば、自分のしんどさに気づいて誰かに甘えられるほうが、その誰かもまた誰かに甘えていけるほうが、みんながしんどくないんじゃないかな。少なくとも、相手には相手のしんどさがあることを知れるから、強さを求めて追い込んだり傷付けたりすることは減るだろう。みんなが強いことを望んで傷つけ合うよりも、弱さを認め合って支え合えたら。甘いと言われようと、僕はそうありたいと思うのだ。余談ですが別の日の帰り道に、「泥棒って、ご飯食べてるんかなあ」と尋ねてきた。不意に問われたその意図が分からなかったので、なるべく断定するような答えにならないように「どうやろうなあ」と返すと「食べてないんやったら、カップラーメンにお湯入れてあげたいわ」とその子は言った。ただカップラーメンをあげたい、ではなく「お湯入れてあげたい」という具体的な優しさが、哀れみとか同情ではなくその子の本当の思いであることを感じさせた。「泥棒ってお金ないんやろ、だからカップラーメンに」と繰り返す。生まれながらに悪い人、ではなく、お金がないから悪いことをしてしまう。そんなふうに考えられる人がどれだけいるだろう。悪い人の代名詞である泥棒だけれど、その子にとっての泥棒は悪い人ではなく困っている人なのだ。犯罪を犯すのはその人のせいで、貧乏なのは自己責任だと叩かれるこの社会で、この子は泥棒のカップラーメンにお湯を入れてあげたいと言っている。それを聞いてぼくが抱いた感情を、なぜだろう、うまく言い表せられない。考えを巡らせすぎたのだろうか、「あーーー」と叫んで「あかん、ほんまに泥棒にお金配りたくなってきた」と泣きそうな顔で呟いた。もしぼくが泥棒なら、って少し想像したら、泥棒でもないぼくが何故か救われたような気持ちになった理由が分かった気がした。ぼくが泥棒だったなら。きっと、そのもらったお金でカップラーメンを買うだろう。ビールを飲んだり美味しいお肉も食べたいけれど、餃子やお寿司も食べに行きたいけれど、でもきっとカップラーメンを買うだろう。そして、その子がお湯を入れてくれるのを待つのだ。きしもとさんの記事やこれまでの連載コラムはこちら[文・構成/きしもとたかひろ]きしもとたかひろ兵庫県在住の保育者。保育論や保育業界の改善について実践・研究し、文章と絵で解説。Twitterやnoteに投稿している。⇒きしもとたかひろnote⇒きしもとたかひろTwitter
2020年10月27日11月4日~10日、伊勢丹新宿店で第8回目となる国内最大規模の香りの祭典「サロン ド パルファン」を開催いたします。■会期:11月4日(水)~10日(火)■会場:伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ、本館1・2階 化粧品、地下2階 ビューティアポセカリー、伊勢丹会館・ビューティーパーク 2今回は混雑分散のため催物場を使わず、本館1階 ザ・ステージのほかは通常のコスメカウンターやプロモーションスペースでご紹介いたします(一部対象外のブランドがございます)。今年から一部を除く全国の三越伊勢丹グループ店舗で開催いたします。ぜひご注目ください。~三越伊勢丹グループの開催店舗~■11月11日(水)~24日(火):日本橋三越本店■11月11日(水)~12月1日(火 ):丸井今井札幌本店、札幌三越■11月18日(水)~24日(火):銀座三越■11月18日(水)~12月1日(火):新潟伊勢丹■11月25日(水)~12月8日(火):岩田屋本店、福岡三越■12月2日(水)~8日(火):ジェイアール京都伊勢丹*上記店舗以外でも一部お取り扱いがございます。今年の注目ポップアップ企画!<ゲラン>1828年パリに創業したフレグランスメゾン<ゲラン>。オートパフューマリーと言われる限定フレグランスをご紹介するほか、選び抜いた香り、ボトル、リボンの色が選べ、刻印もできる「カラー ビー ボトル」をパーソナライズできるサービスも。*お渡しは後日となります。<メゾン フランシス クルジャン><メゾン フランシス クルジャン>が贈る、パリの雰囲気あふれるクリスマス。ホリデーシーズンに向けた生産数量限定品のほか、サロン ド パルファンだけの限定品もご用意します。<クリスチャン ルブタン>クリスチャン・ルブタンのファンタスティックな世界観とリアルな思い出や夢にインスパイアされ、旅で訪れた場所、文化、出会った人々にインスピレーションを得てつくられた「ルビワールド フレグランスコレクション」を伊勢丹新宿店先行でご紹介します。体験スペース:本館1階 ザ・ステージ フレグランススペシャリストによるカウンセリングもザ・ステージでは、香りの世界が持つ奥深さやカウンセリング、デジタルツールを体験いただけます。視覚と嗅覚で楽しみながら、自分と向き合い、そして自分に合った香りと出会える場です。予約制 「フレグランススペシャリストによるカウンセリング」フレグランススペシャリストが、ブランドの枠を超えてお一人おひとりに似合う香りを提案します。・実施日時:11月4日(水)~10日(火)各日11時~5時45分・参加費 :無料・定員 :各回1人・所要時間:約30分・ご予約・お問い合わせ:伊勢丹新宿店 本館1階 化粧品/フレグランス 03-3352-1111 大代表<ゲラン> マインドセントデジタルデバイスを活用して、香りを提案するコンサルテーション。視覚的な情報やイメージに左右されることなく、脳波を読み取ることで、感情と嗅覚の動きを計測し、お一人おひとりにおすすめの香りをご提案します。*混雑時はお待ちいただく場合があります。パルファム ソムリエールによるデジタルコンサルテーション香りのプロフェッショナル「パルファム ソムリエール」がデジタルデバイスを使用して、お一人おひとりに合わせた香り選びをお手伝いします。*混雑時はお待ちいただく場合があります。*コンサルテーション対象ブランドの詳細は係員におたずねください。「日本フレグランス大賞 2020 ご紹介」日本フレグランス協会が毎年開催している「日本フレグランス大賞」。会場では2020年の受賞作品をご紹介します。有識者による審査会を経た受賞作品の数々をぜひチェックしてみてください。伊勢丹新宿店期間限定ブランドのご紹介<クヴォン・デ・ミニム>フランス発のフレグランスブランド。世界的に有名な調香師ジャン=クロード・エレナ氏が監修。植物原料にフォーカスして、フランスで継承されてきた高級フレグランスの製法により香料を抽出しています。ナチュラリティにこだわった、洗練されたラインナップです。<エディット>1905年に東京で創業した朱肉ブランド・日光印により立ち上げられました。フレグランスと捺印はともにアイデンティティを印す文化である、という哲学に基づいたコレクション。一つとして同じものがない職人仕立ての容器や日光印が長年使用してきた香り、素材、仕様、デザインモチーフをモダンに用いた無類のフレグランスです。限定品のご紹介11月4日(水) 伊勢丹新宿店・meeco限定&生産数量限定発売<フレデリック マル>ラグジュアリーパルファムのオーソリティともいえる<フレデリック マル>が誇る代表作を、ブランド20周年を記念した美しいボトルでご紹介します。左:ムスク ラバジュール〈20ans記念ボトル〉 3万4,100円(100mL)右:ポートレイト オブ ア レディー〈20ans記念ボトル〉 4万6,200円(100mL)三越伊勢丹グループ限定&生産数量限定品<ゲラン>過去の<ゲラン>の香りを復刻したフレグランスとして登場。ローズ、アイリス、バニラがキーとなったオリエンタル フローラルの香り。イニシアル(オーデパルファン)3万6,960円(125mL/オリジナルアトマイザー付)*11月4日伊勢丹新宿店先行発売/取り扱い店舗が限られます。また、店舗により発売日が異なります。詳しくは特設サイトをご覧ください。11月4日(水) 三越伊勢丹グループ限定&生産数量限定発売<ジョー マローン ロンドン>洋梨の官能的なみずみずしさを白いフリージアのブーケでやさしく包んだ、ブランド人気No.1の香りが三越伊勢丹限定ボトルで登場します。イングリッシュ ペアー & フリージア コロン 1万8,480円(100mL)*価格はすべて税込です。*イベントの内容は、都合により変更または中止となる場合がございます。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年10月22日今回から数回に分けて、私の実家をたたんだ話をお届けしてみたいと思います。3~4年前のこと。いろいろあって、実家でひとり暮らす実母を私の家の近くに呼び寄せることになりました。実家は土地ごと処分することが決まり、壮大な「店舗付き一軒家・片付け大作戦」がスタート! 週に1〜2回、車で1時間ほどの実家へ通う、なかなか大変な日々が始まりました。「あなたにお任せするから、いるものといらないものを分別して!」そう言われて私目線でいるものといらないものを分けたのに、後から母が全部引っ張り出して分別するので無駄な1日になりました……。キッチンは母にとって「城」! 一度も使ってなくても大事に取っている思い出の食器などもあり、私の主観でより分けるのは不可能でした。こだわりのある部分は本人に任せるのが一番! そう悟って、急ぎではない、どうでも良さそうなところから片付けることにしました。
2020年10月08日こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。今回は、 「夫の浮気『離婚はしないけど許せない』苦しみはいつか終わる?」 という記事に寄せられたお悩みです。記事では、時間をかけて自分の気持ちと向き合うことについてお話しさせていただきました。しかし、浮気がバレて反省する夫ならまだマシ。うちの夫は「あえて浮気相手を見せびらかすタイプ」という方からのお悩み相談です。■質問:浮気を悪びれもせず、不倫相手を見せびらかす夫が理解できない…主人は小さいながら会社の社長をしています。 数年前から浮気をしており、何度か話し合 いもしましたがうやむやにされ、いつも逆ギレをされて終わります。先日わかったことなのですが、その浮気相手を会社の従業員の家に連れて行って、会わせているようです。主人は何を考えているのか…。■回答:「浮気は男の甲斐性」と勘違いしている夫妻に浮気がバレていてもやめることなく、そのうえ浮気相手を従業員といった第三者に会わせるという夫の行動は理解しがたいですよね。ご相談者だけではなく、このご相談をお読みになった女性の大多数は強い憤りを感じたのではないでしょうか。日本では1898年(明治31年)の戸籍法により「妾」の字が消されるまで、妻以外の女性を妾として公認し、男性が生活全般の面倒を見る風潮があったようです。しかし、法が改定されたからといっていきなり「妾」、いわゆる不倫関係の立場の女性がいなくなったわけではありません。令和の世になっても、金銭的に余裕のある男性がそういった関係、いわゆる「愛人関係」を続けている人もいます。そんな古い考えがいまだに残っていること自体なげかわしいですが、「浮気している」イコール「男の甲斐性」と解釈する男性は少なからず存在するように感じます。特にオーナー企業の社長にはそういうタイプが多く、ご相談者の夫もその一人かもしれません。実際、浮気相手には何かとお金がかかることは事実なので、男性にとっては「自分にはそれぐらいの余裕があるんだぞ」と、お金回りがいいことを他人に周知させる手っ取り早い手段になっているかもしれませんね。■「自分はすごい」と思いたい、思われたい男性の気持ちご相談者の夫は会社社長とのことですから、組織を引っ張る統率力や事業を推進する決断力などを備えていて「こうなりたい、こうありたい」という願望を実現するエネルギーを持っている男性なのだと思います。社長に限らず、組織で上に立ちたい、トップになりたいという強いエネルギーの持ち主であればあるほど、周囲が反対したとしても自分の意思や欲求をかなえることには貪欲です。しかも、男性は多かれ少なかれ誰でも「自分はすごい!」と密かに思っていて、周りからもそう思われたいという願望があります。強い上昇エネルギーを持つ男性は特にその気持ちが強いため、仕事も頑張りますし、それを誇示するために「こんなきれいな女性とも付き合えるんだ」と周囲に自慢したくなるのかもしれません。私はかつて秘書の仕事をしていた頃、ある大企業の社長から「男が仕事で成功したら、だいたい一度はお酒、女性、ギャンブル、もしくはお金がかかる趣味にハマる。熱中しすぎてそこで人生を棒にふる人も多いが、その時期を抜けたらまた仕事のステージを上げて頑張るものだ」と言われたことがあります。ご相談者の夫は今まさにその時期にいて、周りに対して見栄を張りたい思いもあるのかもしれませんね。■妻を傷つける浮気見せびらかし見栄っ張り夫への対応では、そんな浮気相手を見せびらかす見栄っ張り夫に対して妻はどう対応すればいいのでしょうか?ご相談を寄せてくださった元記事が 「夫の浮気『離婚はしないけど許せない』苦しみはいつか終わる?」 でしたので、ご相談者は今すぐ離婚したいとは考えていないと仮定して、気持ちを平静に保つためのお話をしたいと思います。今までのカウンセリング事例からの推測ですが、ご相談者の夫は、妻と浮気相手は同じ女性であっても、全くの別物として認識しているように思います。少し前に、共演女優との不倫騒動が報じられた俳優がインタビューで「奥さんと恋人、どちらが好きですか?」と問われ、明確な答えを返さなかったことで、さらにバッシングされたことがありました。それについて「本当は『好きなのは恋人ですが、大切なのは妻です』と答えたかったのではないか」と書かれた記事もありましたが、ご相談者の夫もそのように思われているように感じます。それはある意味、妻の心を傷つけるものですが、まずは自分と浮気相手は立っている場所が違い、大切に思われていることは認識し気持ちを整えましょう。そうは言っても浮気する夫に対して不快な気持ちがなくなるわけではないので、夫の行動を詮索したり、会社に関わることは避け、あえて距離を置いた方がいいかもしれません(もし離婚が視野に入っている場合は、証拠集めのために逆にしっかり見張ったほうがいいです)。浮気相手を連れ歩くタイプの男性は、その女性に対する感情は、ずっと欲しいと思っていた高級車や時計に近い感覚だと思います。それらが手に入ったら使いたいし、人に見せたいと思うでしょう。そして周囲にオープンにしているということは、夫は離婚の意志はない証です(あるなら後々のトラブルを回避するためにもひっそりと付き合うでしょう)。それを浮気相手の女性も心得ているので、自分にメリットがなくなれば離れていきます。実際の相談事例を振り返っても、経営者の場合は事業が傾いてくると浮気相手と別れています。浮気できるということは仕事が順調であるともいえます(もちろん例外もありますが…)。見せびらかし見栄っ張り夫は、浮気するからといって必ずしも妻が嫌いとか、不満があるわけではないケースが多いようです。これも芸能人ニュースですが、美人女優を妻に持ち、子どもにも恵まれた芸人が「六本木トイレ不倫」を報じられました。しかし、報道によると、彼はよく家族とも出かけていて、妻のことを愛していると語っていました。実情はわかりませんが、今も離婚していないということは、妻や子どもを大切にしていたのだと思います。男性は結局、居心地の良い場所に帰ります。ご相談者の夫が自宅に帰ってきているのなら、ご相談者含めた「家庭」は彼にとって必要で大切な場なのだと思います。ご相談者が夫に対して呆れるようなお気持ちになるのも理解できます。それを認めて我慢するというのではなく、少し視点を変えて現状をとらえると気持ちが軽くなることもあります。その中で自分の幸せの軸をどこに持つのか、ゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。これからも皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2020年09月25日うるおいにこだわったスキンケアブランド株式会社グラフィコが企画・販売を手掛ける「スキンピース」の「スキンピースファミリーUVスプレー/UVジェル」が「第14回キッズデザイン賞」を受賞した。同ブランドは、ベナン共和国産のシアバターや食品由来成分をベースに、「うるおい」にこだわったスキンケアブランドだ。家族で使えるスキンケアラインとして「スキンピースファミリー」シリーズを展開。UVスプレー・UVジェル・UVミルクは累計出荷数100万個を突破した。今回、同シリーズのUVスプレーとUVジェルが「第14回キッズデザイン賞」の「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」を受賞。原料のシアバターは、ベナンのシアバター産業を支援し、輸入。購入すると、ベナン産業が活発になり、「自立」と「子どもたちの幸せ」につながる。無添加・食品由来成分で安心日焼け防止効果は、UVスプレー「SPF50 PA+++」、UVジェル「SPF35 PA+++」だ。また、安心の無添加・食品由来成分で製造。シアバターをはじめ天然由来の保湿成分配合で、肌にしっかりうるおいをあたえる。サラサラみずみずしい使い心地でべたつく肌や動き回る子どもにも塗りやすい。さらに、虫が嫌がるハーブの香りをプラス。日中、日焼け防止効果と合わせて快適に過ごせる。白くなりにくく、石鹸で簡単に落とせる。(画像はプレスリリースより)【参考】※グラフィコニュースリリース
2020年09月07日河瀨直美監督を審査員長に迎え、2017年に発表された第1回木下グループ新人監督賞で、241本の中から栄えあるグランプリに選ばれた作品『AWAKE』が12月に公開されることが決定した。本作は、2015年に実際に行われ、当時ネットユーザーや将棋ファンの間でかなりの物議を醸した棋士VSコンピュータの対局(※)に着想を得て、これまで乃木坂46のMVや短編映画で実績を積んできた40歳の俊英・山田篤宏監督が書き下ろした完全オリジナルストーリー。天才に敗れ棋士になる夢をあきらめた主人公が冴えない大学生活を送っていたある日、ふとしたことで出会ったAI将棋のプログラミングに新たな夢を見出し、かつてのライバルと再戦を果たす青春物語となっている。主演を務めるのは、2021年NHK大河ドラマ『青天を衝け』での主演が決定している俳優・吉沢亮。日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した『キングダム』の二役など、たぐい稀な演技力で観客を魅了してきた吉沢が、内気で周囲との関わりを持つのが苦手な青年・英一役の複雑な感情の変化を見事に表現。吉沢からは「素晴らしいスタッフ、キャストの皆さんと少しずつ形にして行く時間はとても幸せで、個人的に今まで出演した作品の中で一番好きです」というコメントが届いており、さらに本作への期待が高まる。共演には、31歳にして芸歴30年を誇る若手実力派・若葉竜也、映画・ドラマ・舞台と幅広いジャンルで活躍する落合モトキ、昨年第92回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞を受賞し注目が集まる寛一郎。さらに、馬場ふみか、川島潤哉、永岡佑、森矢カンナ、中村まことら、確かな実力を持つ面々が顔を揃える。※2015年4月11日に行われた将棋電王戦FINAL第5局、棋士VS“AWAKE”戦。開始からわずか49分、21手という異例のスピード決着となった。将棋プログラム・AWAKEの開発者は、元奨励会員という経歴の持ち主。また、棋士の手がコンピュータの習性をついたものであったことから、当時ネットユーザーや将棋ファンの間で物議を醸した。【吉沢亮】とにかく脚本の面白さにやられました。素晴らしいスタッフ、キャストの皆さんと少しずつ形にして行く時間はとても幸せで、個人的に今まで出演した作品の中で一番好きです。将棋以外何もなかった男が、仲間との出会いや衝突、ライバルとの再会を通して、沢山の大切な物を見つけて行く青春ストーリー。勝ち負けにこだわるのか、勝ち方や負け方の誠実さ、美しさにこだわるのか。とても素敵な映画になったと思います。【若葉竜也】将棋に「まぐれ」や「運」での勝利は⼀切なく、⼰の実⼒だけで闘う棋⼠という⽅々に、昔からすごく惹かれていたので、オファーを頂いて、嬉しかった反⾯、⼤きなプレッシャーもありました。棋⼠から滲み出る勝負師の緊張感や、独特な異物感、将棋盤の前での振舞い、そして、駒を操る美しい⼿。将棋の駒も触った事がない⼀介の俳優が体現するのは、並⼤抵の事ではない、と強く感じました。将棋を題材にした映画と聞くと退屈で静かでTHE 邦画と⾔うイメージがあるかもしれませんが、ドエンタメです。将棋のルールがわからない⽅でも楽しんでいただけます。なぜなら将棋のルールがわからない⼈も制作スタッフの中にいて、意⾒を聞きながら撮影したので。そして、⽭盾するかもしれませんが、個⼈的には、将棋映画ではなく、最⾼の⻘春映画だとおもっています。期待してください。【落合モトキ】「うわ!これは頭がキレッキレの役だなぁ、専門用語多めだな~」というのが最初の感想(笑)主演の吉沢さんは是非共演してみたかった役者さんでしたし、周りのキャストの方も実力のある役者さん達ばかりでしたので、これは頑張らないとなと(笑)監督がどんな絵を撮るのか非常に楽しみでしたし、この作品は早くみんなに観てほしい!と台本を読みながらクランクインを待ちわびていました。僕の勝手な偏見で将棋は年配の方が趣味でやっている物という古風な先入観がありまして。。。しかし最近では藤井(聡太)さんのタイトル獲得最年少記録更新の話題もあり、若い方も将棋を目にする機会が多いかと思います。人間と人工知能どちらが強いのか!?誰もが疑問に思うこの題材をエンターテイメントとして面白く描いている作品だと思います。AWAKEにかける男達の情熱を見て楽しんで頂けたら!【寛一郎】AI将棋対天才棋士というのは、今までの将棋映画とは一味違う、少し突飛な設定だなという印象を持ちました。その中で葛藤や苦悩などをうまくエンターテイメントとして落とし込んだ作品になってると思いますし、脚本を読んだ印象でした。吉沢さんと若葉さんの鬩ぎ合いは勿論のこと、その狭間にいる人間やそれによって動かされる人間もうまく描かれてると思います。【馬場ふみか】私自身これまで全く将棋というものに触れてこなかったので、こんな世界があるんだなと驚きました。将棋がとても注目されている今、私もこれをきっかけに将棋についてすこしでも知ることができるんだなとわくわくしました。とても緊張感のある対局のシーンはもちろん見どころです。私も実際に見ていてぐっと集中して前のめりになってしまいました。ただ、将棋だけでなくそれぞれの成長していく姿もぜひ見ていただきたいです。【森矢カンナ】きっと前世からの因縁なのかまたは友情なのか、(主人公とライバルの)二人の強い結びつきを感じました。そして将棋を詳しく知らない私でもおもしろくて、一気に読み進めた脚本でした。影があるから光がある。情熱をもって向き合うことの美しさ、勝ちという一つを求め続ける二人の目を、是非映画を観て感じてほしいです。【山田篤宏監督】「長かったなー」というのが率直な気持ちです。自分のせいが大半なんですが、もっと早くここ(デビュー)までたどり着ける気でいました。あとは、楽しんで観てもらえるかが期待半分、怖さ半分。そして、撮影決定したときもそうだったんですが、実際公開するその日まで、何が起こるかはわからないので全く気は抜かないぞと思っています。吉沢さんは高い演技力はもちろんですが、陰陽どちらの引き出しもお持ちで、本作のキャラクターとしては陰の方の魅力を作り上げてもらえると思ったこと(がキャスティングの決め手)です。若葉さんは台詞がかなり少ない役でもあるので、逆にちょっとした表情や仕草、そして雰囲気で、若手プロ棋士としての圧倒的なリアリティを実現できる、その力に賭けました。将棋の対局を元にした話ではありますが、「将棋が一切わからなくても楽しめる」よう、すごく工夫しました。将棋ファンもそうでない人も楽しんで頂ければありがたいです。『AWAKE』2020年12月、新宿武蔵野館ほか全国にて公開
2020年08月12日今に始まったことではないんですが、時々私の年齢を理由に失礼な態度を取る人に出会うことがあります。いわゆる「おばさん扱い」です(この連載ではステキなBBAになることを目標にしていますが、決して人からBBAと呼ばれたいわけではないので……)。ただ年齢が若いというだけの相手や、無礼な年上の男性に、なぜ見下げられなければならないのか? 冷静に考えれば謎なんですが、つい自衛のために「私おばさんなんで〜」と自分から先にへりくだって(?)しまったり、傷ついていないフリをしたりすることもしばしば……。解決策ではないんですが、私なりの対処法・気持ちの持ちようは、「アホはほっとけ!」と「これは『ふるい』」です。私のことをよく知りもせず、おばさん扱いしたりおかしなことを言ってきたりする人はスルー一択! もうこれはどうしようもないので、捨て忘れた生ごみを見るような目で見てあげます。一方で、年齢に関係なく好意的に接してくれる人ももちろんいます。一回り下でも二回り下でも、礼儀正しく、かつ友だちのように付き合ってくれる人たちが数人いて、そういう人たちは大事にしたいなーと私も思っています。で、これって「ふるい」みたいなものだなと最近思いました。薄く広くなった人間関係の、どのあたりをすくい取って大事にしていくかを決めるいいきっかけとポジティブに捉えるようにしています。とはいえ、無駄におばさん扱いされないよう自分を磨き続けるのは大前提。健康的で清潔感のある身だしなみ、好奇心、ユーモア、何より笑顔! この4つは、いくつになっても大切だなーと実感している今日このごろです。
2020年08月06日9月12日(土)から東京・国立映画アーカイブにて開催される「第42回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」のオープニング作品と第25回目のPFFスカラシップ作品の上映が発表された。オープニングには、石井裕也監督の最新作『生きちゃった』を世界最速上映。ぴあフィルムフェスティバルのメインプログラムである自主映画のコンペティション・PFFアワード2007『剥き出しにっぽん』でグランプリを受賞し、第19回PFFスカラシップの権利を獲得し制作された『川の底からこんにちは』で第53回ブルーリボン賞監督賞、『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀監督賞を史上最年少で受賞した石井裕也監督のプロデュースによる本作は、アジアの俊英が集う国際プロジェクト「B2B (Back to Basics) A Love Supreme(原点回帰。至上の愛)」の1作で、仲野太賀、大島優子、若葉竜也演じる3人の幼馴染が、ある出来事をきっかけに、想像もしなかった未来に飲み込まれていく姿を描き出す。上映は、映画祭初日の9月12日(土)。終映後には、石井監督、出演の仲野、若葉他キャストによる時間たっぷりのトークを予定している。「PFFアワード」の受賞監督からオリジナル企画を募り、毎年1名が権利を獲得する「PFFスカラシップ」。PFFが製作から劇場公開までをプロデュースし、これまでに、石井監督の他、園子温、橋口亮輔、矢口史靖、熊切和嘉、李相日、荻上直子、内田けんじなど、第一線で活躍する監督たちの商業映画デビュー作を世に送り出してきたPFFアワードの第25回目では、自身の人生経験を活かし、リアルな家族関係をシニカル且つコミカルに描いた『食卓』で、「PFFアワード2016」グランプリを獲得し、バンクーバー国際映画祭に正式出品された新星・小松孝監督の『猫と塩、または砂糖』が選ばれた。本作でもシニカルでオフビートなユーモアを活かし、「幸せ」とは何かを模索する家族の物語を撮り上げる。お披露目上映は、9月24日(木)。上映前に、小松 孝監督、出演の田村健太郎、宮崎美子、吉田凜音、諏訪太朗による舞台挨拶を予定している。●石井裕也監督からのコメントコロナはもちろんですが、仮にコロナがなくても大変な世の中です。困ったり悩んだりしたら原点に立ち返る必要があると思うのですが、僕にとっての原点は自主映画でありPFFです。映画を愛するPFFファンの皆さんと共に、これからの映画や生き方について真面目に改めて考えるきっかけにするために、新作の世界初上映をPFFでやってもらうことにしました。この場所でなら、きっと映画についての本当の話ができると思うからです。『生きちゃった』は、衝動と魂だけで撮ったほとんど自主映画のような映画です。僕にとっての原点回帰の映画だからこそ、PFFで上映できることに深い意義と喜びを感じています。ですがそれ以上に、若い作り手たちの情熱と観客の方々のために、無事に映画祭が開催されることを心から願っています。●小松孝監督からのコメント折しもこのコロナ禍の中、『経済と人命が同じ天秤にある』という『常識』の一面にハッとした方も多いのではないでしょうか。そんな理不尽で窮屈な社会にはうんざりだという価値観の主人公・一郎を中心に、幸か不幸か『常識』から逸脱した2家族5人の『幸せのベクトル探し』の模様を、悲哀とユーモアを込めて描きました。とても素晴らしいキャスト陣に恵まれて、魅力的に立ち上がった登場人物達。そして、多肉植物や小物ガジェットや主題歌を担当してくれた『NILKLY』など、僕の好きなものを詰め込んだ一軒家を、ぜひ覗き見て頂けたら幸いです。映画祭「第42回ぴあフィルムフェスティバル」【会期】2020年9月12日(土)から26日(土)まで※月曜休館【会場】国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)★映画祭チケットは、8月15日(土)よりチケットぴあにて発売開始
2020年08月03日こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。今回は、 「『専業主婦はいいよな』夫の言葉にイライラ…プチモラハラ夫、どうすれば?」 という記事に寄せられたお悩みです。記事では、「専業主婦っていいよな」という不用意なプチモラハラ発言に対してどう対処すればいいかについてご紹介しました。しかし、記事のアドバイス通り夫に対して笑顔を切り返しているものの、毎日のこととなるとつらくモヤモヤする妻からお悩みのご相談が寄せられました。■質問:夫のプチモラハラに笑顔で切り返すのも限界に…病気を機に退職し、専業主婦になってから 「『専業主婦はいいよな』夫の言葉にイライラ…プチモラハラ夫、どうすれば?」 記事と全く同じ状況になり、ストレスで胃がおかしくなりました。記事での先生からのアドバイスで少し気が楽になりましたが、笑顔で切り返してはいるものの、やはり毎日のように「ずっと子どもと一緒に家にいられていいよなー」と言われるとモヤモヤします…。■回答:夫の嫌味の裏にある感情は「妻への甘え」「ずっと子どもと一緒に家にいられていいよなー」と毎日のように言う夫。そう言われても、妻はどうリアクションすればいいのか困りますよね。病気をきっかけに退職なさったということですから、体調を整えるために専業主婦の道を選ばれたのだと思います。しかし、それでストレスがたまってしまうのでは元も子もありません。アメリカの心理学者 アブラハム・マズローが提唱した「人間の欲求階層説」というものがあります。人間の欲求には以下のように5段階あり、1の低い階層の欲求が満たされると、2、3…と、高次の欲求に向かっていきます。1.生理的欲求(生きたい)2.安全の欲求(生命を安定維持したい3.所属と愛の欲求(社会や仲間に受け入れられたい4.承認の欲求(価値がある存在と認められたい)5.自己実現の欲求(自分らしく生きたい)出典:産業能率大学出版部 A.H.マズロー著 人間性の心理学 改訂新版)日本のような社会が成熟している環境であれば、1と2は満たされていて当たり前なので、人々は3以上の欲求に目が向いているのが日常でした。しかし、今回の新型コロナウイルス流行は「2.安全の欲求」を脅かすものであり、多くの人が今まで経験したことのない精神的な不安を抱えているのではないかと思います。もしかするとあなたの夫は、「仕事のため外出する=感染(生命)の危機にさらされる」という恐怖、心配を強く持ってしまったのかもしれません。または、夫はもともと仕事や人間関係など外の世界に不安や不満を抱えていて、それが新型コロナウイルス流行への不安から顕在化してしまい、あなたへの嫌味という形に変えてはき出されている可能性もあります。もし夫が、これまでは日常的にあなたに対して不満や攻撃的な感情を持っていなかったのであれば、この嫌味は「妻なら聞いてくれるはず」という甘えから生まれた、不安解消の八つ当たりかもしれません。■「仕事をしていない自分には価値がない」という思い込みが潜んでいる?さらに、あなた自身の心の声にも耳を傾けてみましょう。病気を機に退職なさったとのことですが、もしかすると「仕事を辞めた専業主婦の自分、お金を稼いでいない自分は、社会的に価値がない」と心のどこかで感じていませんか?そのため、夫からの「ずっと子どもと一緒に家にいられていいよなー」の言葉に傷ついているにもかかわらず、我慢して何も言い返せずにいるのではないでしょうか。オックスフォード大学の研究者が発表した論文「10年後になくなる職業」(原文:Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne 「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」 )は日本でも大きな話題を呼びました。それに付随して、いろいろな立場から述べられた記事が多くありますので、一度は目にしたことがあるのではないかと思います。その中で「将来も残る仕事」の一つとしてよく挙げられているのが「人の命や感情に働きかける仕事、人と情感を交流させる仕事」です。育児はそのスキルを磨くのに最適な仕事といえます。人間の著しい成長を見守ることができるのは貴重な体験です。自分の今後の仕事にも何らかの形でつながるかもしれない良い機会ととらえ、この時間には価値があり、子育てをしている自分自身の価値も認めてあげましょう。子育ては大変なことも多いですが、そうやってどっぷりと子どもと過ごす時間を楽しんでいただきたいと思います。■夫の嫌味から逃げず、真っ向から向き合う夫の嫌味が甘えや八つ当たりであると理解しても、あなたがじっと我慢する必要はありません。それこそ、精神衛生上良くないことでしょう。「ずっと子どもと一緒に家にいられていいよなー」と言われたら真顔で「それ本気で言っている?」と聞き返してみましょう。そして、「仕事を辞めてでも本当に毎日子どもと一緒に家にいたい?」と夫に確認します。夫がしどろもどろになったり、「そんなことをしたら生活できないだろう」などとはぐらかすようなら、「冗談でもそのような言い方をされると傷つく」ときちんと伝えてもいいと思います。または「子どもと一緒に家にいるのが楽だと思っているのなら、あなたもそうしたいよね。それなら私も何か社会の役に立てそうなことがないか探してくるから、その間子どもと家にいてね」と伝えて、休日に子どもをお任せして出かけましょう。ハローワークで仕事を検索してみたり、興味が持てそうな資格はないか図書館で調べてみたり、ボランティアの登録をしたり、今できることを探してみてはいかがでしょうか。また、仕事や学習、ボランティア活動ではなくても、子どもの園・学校の役員や町内会の地域活動を夫のかわりに引き受けて、無理のない範囲で外に出かけていき、夫に子どもと過ごす時間を持ってもらうのもいいと思います。どんな形であってもいいので、今自分にできることを精一杯やりつつ、夫の不安な気持ちも理解して「一緒に頑張ろうね」という思いを伝えていけば、嫌味も少なくなってくるのではないでしょうか。夫の言葉をそのまま受け止めて自分を追い込まず、リラックスできるように少しずつ行動してみましょう。これからも皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。
2020年07月31日第72回エミー賞のノミネーションが発表された。放送局・動画配信サービス別の結果としては「Netflix」が最多160ノミネーションを獲得し、首位に立った。この数字はエミー賞史上、最多。昨年は「HBO」が137でトップだったが、今年は107ノミネーションで「Netflix」に大きく差を付けられ2位に沈んだ。動画配信サービスに参入して間もない「Disney+」は19、「Apple TV+」は18、コンテンツは全て10分未満の短編であるというユニークな試みを行う「Quibi」も10ノミネーションと健闘。番組別では「ウォッチメン」(26)、「マーベラス・ミセス・メイゼル」(20)、「オザークへようこそ」(18)、「キング・オブ・メディア」(18)、「マンダロリアン」(15)、「シッツ・クリーク」(15)、「サタデー・ナイト・ライブ」(15)、「ザ・クラウン」(13)が上位に。ここ数年、賞レースで必ず話題に上る「俳優部門の候補者が白人ばかり」という問題も、エミー賞では解消されつつあるようだ。「Variety」誌によると、今年のエミー賞の演技部門では黒人の候補者は102人中35人で、34.3パーセントを占めているという。例としては主演男優賞(ドラマ)のスターリング・K・ブラウン(「THIS IS US」)やビリー・ポーター(「POSE/ポーズ」)ら常連や、エミー賞ノミネートが初となる主演女優賞(ドラマ)のゼンデイヤ(「ユーフォリア/EUPHORIA」)など。第72回エミー賞は9月20日(現地時間)に放送予定。司会はジミー・キンメルが務める。(Hiromi Kaku)
2020年07月29日俳優・神木隆之介が、デビュー25周年記念プロジェクト第1弾として、本日6月18日にYouTubeチャンネル「リュウチューブ」を開設したことが分かった。初回は本日、その後も毎週配信していく予定。5月19日に迎えた27歳の誕生日に、デビュー25周年記念プロジェクトの始動を発表した神木さん。同チャンネルでは、都内某所に設けた神木さんの“秘密基地”から、神木さん本人が関心を持つ様々なトピックスをテーマに、等身大でナチュラルな姿を配信していくという。記念すべき第1回目の配信は、なんと本日20時!YouTube初心者の神木さんは「まず、何からすれば…」という状態になりつつも、チャンネル開設にあたって最低限必要な“チャンネルアート”を神木さん自らデザインを手掛けてみたり、公私ともに親しい佐藤健からのお祝いコメントが公開されたり。佐藤さんといえば、3月18日に自身の公式YouTubeを開設し、すでに登録者数は186万人。初回配信の「たけてれ」をはじめ、神木さんプロデュースの「TAKERU NO PLAN DRIVE」、最近では大好きな謎解き動画を配信し話題に。「TAKERU NO PLAN DRIVE」でも2人の仲良しな様子が映し出されていたが、神木さんのプライベートを昔からよく知る佐藤さんは「今まで隠してきた神木の素の部分を見せるんでしょ?大幅なプラン変更ですか?」と言いつつ、「アクセル全開で、普段の神木を見せていってほしい」と今後の配信に期待を寄せるコメントが配信される。なお、第2回目以降の配信では、マニアックな趣味の部分や様々なことに挑戦する企画、ファンとのつながりを意識した企画やゲストを迎える企画など、毎週木曜日20時に配信していく予定だ。(cinemacafe.net)
2020年06月18日梅雨入りして湿気や汗で髪の毛がまとまらないこの頃……! おしゃれな人は上手なまとめ髪アレンジでこんな時期でも快適にファッションを楽しんでいるみたい。素敵なまとめ髪アレンジのママたちを参考に、梅雨のおしゃれも楽しもう!スタイリッシュなポニーテールを革紐でアレンジ野口みきさんオールバック&低めの位置でモードなポニーテールに、細めの革紐を巻きつけてさらにスタイリッシュにアレンジ。すっきりとした顔周りに、ストーンモチーフのピアスも好相性。全身コーディネート:ランダムシルエットの技ありポニーテール江本佳苗さんポニーテールをさらに細かくゴムで結んだラーメンマンヘアを、ランダムに引き出して個性的なシルエットを形成。ゴムを隠すように巻いた紐や、重ね付けした金ピンでさらに今どきに。全身コーディネート:パーマが映えるラフな低めおだんごりささん赤味がかったブラウンとパーマのカールが外国風な雰囲気のこなれ感を演出。低めの位置でラフに結んだおだんごや、顔周りのおくれ毛など簡単だけど抜け感のあるバランスがお見事。全身コーディネート:爽やかさ満点のすっきりトップおだんごみなみさん湿気も暑さもへっちゃらなオールバックおだんごで潔くすっきりとまとめ。あえてラフなくずし方をせず、タイトめに仕上げることで爽やかさも上昇させつつ、後頭部はきっちりさせないのがグッドバランス。全身コーディネート:/Toshiyuki Tanaka
2020年06月16日