お笑い芸人・東京03の第20回単独公演『不自然体』が、7月4日(水)、東京・新国立劇場 中劇場で開幕。そこで記念すべき20回目の公演を間近に控えた、東京03の飯塚悟志、角田晃広、豊本明長に話を聞いた。【チケット情報はコチラ】約4か月をかけ、全国12都市で27公演を行う東京03の3人。中には同じネタを何度もやることに“飽き”を感じる芸人もいるが、どうやら彼らは違うらしい。「ネタをやるのは単純に楽しいですし、特に単独の場合、今自分たちが1番面白い!と思っているものを新ネタとして披露出来るわけですからね。そこはより多くの人に観てもらいたいって気持ちの方が強いです」(飯塚)。「僕はどっちかっていうと役者気質なので(笑)、飽きるってことはまずありません。地方によっても、回によっても反応が違いますし。それも含めて楽しめちゃいますね」(角田)。「ちょっと飽きて、また面白くなってみたいな周期が、ネタ毎にそれぞれあるんですよ。今回であれば7本ネタがあって、常にそのうちのなにかは面白い。つまり公演中飽きることはないんです」(豊本)。ネタづくりの段階では相当難航したようだが、公演初日を直前に控えた今、3人はその仕上がり具合について「かなりいい」と自信をのぞかせる。「今回は『不自然体』ってタイトルとの絡みもうまくいったと思います。不自然な状況も多いですし、不自然な人も多く出てきますし」(飯塚)。「いい感じに不自然だと思いますね。まぁコントって、どれも不自然っちゃ不自然なんですけど(笑)」(角田)。「確かにね。自然だとコントとして成立しないかも(笑)」(豊本)。「つまりは万能でいいタイトルだと思いますよ」(飯塚)。すでに7月の東京公演は完売しているが、新たに東京・ガーデンホールでの追加公演6回が決定。10月13日(土)には各地でライブビューイングも行われる。「角ちゃんは過去、ライブビューイングで全敗していますからね(笑)」(飯塚)。「そう、絶対間違えるんですよ。せりふが飛んだり、噛んだり。大画面で大勢の人が見ていると思うと、ドキドキしちゃうんです。俺、プレッシャーに弱いんで!」(角田)。「ハハハハ、だせえな!」(飯塚)。「先に間違えてくれるので、こっちとしてはありがたいですけどね」(豊本)。「まぁ20回目の単独ですし、今回も派手に決めますよ!」(角田)。「すげぇ困るんだよな~、それ宣言されちゃうと」(飯塚)。「テロですよ、テロ(笑)」(豊本)。取材・文:野上瑠美子《追加公演チケット販売スケジュール》詳細は下記チケットリンクをご確認ください・いち早プレリザーブ:7月17日(火)12:00~7月22日(日)23:59・プレリザーブ:7月20日(金)12:00~7月25日(水)23:59・一般販売:8月4日(土)10:00~《東京03オフィシャルアプリ" TOKYO03 Company"》第20回単独公演「不自然体」開催期間中は、入会キャンペーンを実施中!詳細は公式HPをご確認ください。
2018年07月04日ノーベル賞作家ユージン・オニールの初期の傑作『アンナ・クリスティ』を、栗山民也が演出。タイトルロールのアンナ・クリスティを、舞台出演は13年ぶりとなる篠原涼子が演じる。【チケット情報はこちら】2005年の『天保十二年のシェイクスピア』(蜷川幸雄演出)以来、舞台から遠ざかっていた篠原。実力派として数々の作品に出演してきた彼女だが、舞台に関しては「自信がなくてやれなかった」と切り出す。「役の心情としては同じかもしれませんが、すべての角度から見られてしまう隙のなさであったり、アップがない分、体全体で表現しないといけない部分であったり。それらすべてを意識して2時間近く見せる舞台というのは、ものすごくパワーが必要なものだと思うんです。それでも自分の中に刺激的なスパイスを含めていきたい。さらに沸き立つような大切な何かを見つけたい。そんな思いから、この舞台をやらせていただくことを決めました」物語はアンナという女性が、15年ぶりに船乗りの父クリスと再会するところから始まる。幼いころに親戚から虐待され、さらに娼婦となり身も心も傷ついたアンナは、自らの過去を隠し、父に助けを求めにきたのだ。「すごくかわいそうな人だと思います。ものすごく寂しがり屋ですし、でもその寂しさを人に見られたくないと思っている。強がってここまで生きてきたのかなって。でもすごく情が深くて、愛に飢えていて…。だからこそ彼女が人を愛した時に、ものすごく深い愛情を注げるのだと思います」アンナと父の乗る船に、命からがら助けられたのが火夫のマット。その存在が、アンナを大きく変えていく。「マットはすごく熱い人なんですよね。会った瞬間に“好きだ、結婚しよう!”って言ってしまえるような。常にポーンと投げ捨てられ、物のように扱われていたアンナのことを、心の底からマットは愛してくれる。彼が向ける強い眼差しに、アンナはすごく惹かれたんだと思います。でもそれだけ好きで、大切な、そして不器用な人だからこそ、騙すような真似は出来ない。そう考えたアンナは身を引こうとするわけですが…」マットを演じるのは、役柄同様の熱さをもつ佐藤隆太。「佐藤さんご自身ものすごく熱い方ですし、作品に対してもとても熱意を注いでいらっしゃる。マットになり切っている感じがするので、私も早く追いつかなきゃいけないですね」アンナという未知なる役を通し、篠原がどんな新たな1面を見せてくれるのか。その幕開けを待ちたい。舞台『アンナ・クリスティ』は7月13日(金)から29日(日)まで東京・よみうり大手町ホール、8月3日(金)から5日(日)まで、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは現在発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年06月29日「おかあさんといっしょ」(NHK Eテレ)の第11代うたのお兄さんを卒業後、歌手としてはもちろん、バラエティにラジオ、声優、ドラマと多方面で活躍中の横山だいすけ。そんな彼が「間違いなく横山だいすけの真ん中にあるもの」と言い切るのが、全国各地で公演を行ってきた『だいすけお兄さんの世界迷作劇場』だ。昨年は10万人以上を動員。その大人気ツアーの第2弾が早くも決定した。「だいすけお兄さんの世界迷作劇場2018-19」チケット情報卒業後、初となったツアーを振り返り、横山はしみじみとこう語る。「もう感謝しかないですね。当初は思っていたポイントで笑いが起きない、なんてこともありましたが、それでも一公演一公演大切にやっていく中で、だんだん笑いが起きるようになったり、大きな声で応援をしてくれたり、涙しながら喜んでくれたり。赤ちゃんのような存在だった迷作劇場をここまで大きく育ててくれたのは、観に来てくれたお客さんの力だと思います」冒頭でも触れたように、横山のこの1年の活躍には目を見張るものがある。そんな多忙を極める中でも、彼が全国を駆け回ってこられたパワーの源とは、いったいどんなところにあるのだろうか。「やっぱり好きなんですよね。歌が好きで、子供が好きで、こういう活動をしていく中でお客さんの目の輝きを見た時に、幸せだなって感じてしまう。つまりこれこそが自分の生き方だと思いますし、自分が人生をかけてやる意味があることなんだろうなと。だからこうして第2弾として再出発出来ることは、僕にとってこれ以上ない喜びです」卒業後のさまざまな経験が、横山の新たな魅力に繋がっていることは言うまでもない。だからこそ今回の第2弾の内容が気になるところだが…。「構成はこれまでと同じで1部がミュージカル、2部がレビューショーです。前回は『ピーターパン』を題材にしましたが、今回は…『桃太郎』!『世界迷作劇場』って言うわりには、もう日本に戻っちゃうんですけど(笑)。ただ誰もが知っているお話をちょっとコミカルに、こんなことあるの!?ってものにするのが、迷作劇場ならではの面白さ。さらに今回は、笑いの要素もパワーアップしていけたらいいなと思っています!」家族連れだけでなく、実は幅広い世代の人々が足を運んでいる『世界迷作劇場』。それは横山のこんな想いに、多くの観客が魅了され、共鳴しているからだろう。「迷作劇場での1時間が、夢のような時間になったらいいなと思いますし、そこから元気や楽しさを充電してもらえたらなって。そしてただ面白おかしいだけじゃない、何か人の心に寄り添えるあたたかさみたいなものを感じてもらえたら、すごく嬉しいなと思います」西日本公演は、7月21日(土)の大阪・エブノ泉の森ホール 大ホール公演を皮切りに各地で開催。チケットは発売中。8月からは東日本公演も開催。チケットは6月17日(日)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、6月17日(日)9:30までプリセール実施中。取材・文:野上瑠美子
2018年06月13日仕事人間の市民課長・渡辺勘治が、胃がんを患ったことを機に、自らの人生を見つめ直していく黒澤明監督の傑作『生きる』。その初ミュージカル化が決定し、市原隼人が渡辺の息子・光男役でミュージカル初出演を果たす。【チケット情報はこちら】20代前半、ブロードウェイでミュージカルに興味をもちつつも、自らにはむかないとこれまでオファーを断ってきたという市原。今回そんな彼の背中を押したのが…。「30歳を超えたころ、自分が守りに入ったなと感じる瞬間があったんです。その時、すごく悔しくて、寂しくて、自分は何をやっているんだろうと。そこからもっと何かを掴みにいきたいという欲が出てきて。ただ実を言うと、これも1度はお断りしているんです。でも“俺また守りに入った!”と気づいて、追いかけるようにやることを決めました」その初ミュージカル作品が『生きる』であったことは、「素直に嬉しい」と市原は顔をほころばせる。「内容とは反するかもしれませんが、僕は見ていてとても興奮するんですよね。すべての人物が生き生きとしていて、映る世界がすべて楽しそうで、どの場面を見ても生活感や人間味が溢れんばかり。さらに一生懸命愛情を込めて息子を育て、その幸せを大切にし続けた父の想いが、胸の奥まで突き刺さってきて…。さらに今回はミュージカルということで、メロディという表現方法がより人の感情を動かすのだと、事前のワークショップを通して学びました」光男の父・勘治をWキャストで演じるのは、市村正親と鹿賀丈史のふたり。「それぞれ違う生き方をしてこられた方々だというのはすぐに感じられましたし、きっと出来上がる舞台もまったく違うものになると思います。ただ根本にあるものはおふたりとも同じで、ずっと何かを大事にし続ける、守り続けるものがあって、しかもその守り方がとても優しい。あと市村さんはとにかく楽しい方です。気がついたら市村ワールドに引き込まれていて、ずっと居たくなるほど(笑)。鹿賀さんは言葉は少ないですが、現場のすべてを見られている、とても真摯な方という印象です」市原にとってターニングポイントになりそうな舞台だが、観る者にとっても忘れられない感動の1作となりそうだ。「老若男女問わず、気軽に楽しめる舞台だと思います。それでありながら、生きることがより楽しく、より深くなる舞台。この機会を逃すのは本当にもったいないと思いますので、ぜひ劇場に遊びにいらしてください」ミュージカル「生きる」は10月8日(月・祝) から28(日)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットの一般発売は6月9日(土)午前10時より。なお、現在、プリセールを実施中。受付は6月8日(金)午後11時59分まで。取材・文:野上瑠美子
2018年06月08日特攻隊に志願した四兄弟の姿を描く舞台『大きな虹のあとで~不動四兄弟~』。芸能事務所・研音の若手俳優の熱演が光り、初演から1年という早さでの再演が実現した。そこで引き続きの登板となる市川知宏と入江甚儀、さらに今回からの参加となる上杉柊平、瀬戸利樹の4人に話を聞いた。【チケット情報はこちら】初演時について、「やり切った感がある」、「みんなで一致団結して完走した」と振り返る市川と入江。“戦争”という不幸な歴史を背景に、当時の若者たちの夢と青春の日々を懸命に生き抜いた彼らにとって、この作品は忘れ得ぬ1本になっているよう。「今まで観た舞台の中で1番、感動しました」と話すのは、観客のひとりだったという瀬戸。また上杉は演出家からの「戦争ってものを考える足がかりにしたい」という言葉に触れ、「大きな責任を背負ったなと実感しています」と気を張る。2年連続の上演になったことには、「再演をやる意味が絶対にある作品だと思います」と市川。入江は「僕らの熱や伝えたいっていう必死さが、この作品の評価に繋がった気がします」と分析する。「やっぱりわかりやすさだと思います。すごくシンプルかつストレートに、みんなの想いが舞台から伝わってきましたから」とは上杉。瀬戸も「若い人たちに戦争というものを知ってもらうためにも、僕ら世代がやるということが大事だと思います」と力を込める。4人はそれぞれ、長男の月を市川が、次男の空を上杉が、三男の大地を入江が、四男の草太を瀬戸が演じる。市川は「再演から参加のふたりをしっかり見守りつつ、月としては初演でのことはすべて取っ払って、ゼロからつくり上げる気持ちで取り組みたいです」と意気込む。入江は「舞台表現としてさらにしっかり伝わる方法を探っていきたいです」と述べ、「空がいたということをしっかり残せるような取り組みをしていきたいです」とは上杉。瀬戸は末っ子らしく「3人におんぶになって…」と笑みを浮かべつつ、「そこで受けたものを100パーセントお客さんに返していけるよう頑張ります」と続ける。舞台に対してハードルを感じている人も多い中、「ぜひ気軽な気持ちで観に来ていただけたら」と上杉。入江も「自信をもって言いますが、この夏の舞台の中で1番美男美女が出ている作品です!」と笑ったあと、姿勢を正し「ただ観終わったあとには必ず何かが残る作品になっています。ぜひ観に来てください」と力強い口調でアピールした。公演は8月3日(金)から7日(火)まで、東京・シアターサンモールにて。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年06月05日名作映画『レインマン』の、日本で3度目となる舞台化が決定。今回は2008年に発表されたロンドンのウエスト・エンド版の翻訳上演となり、上演台本と演出を松井周が務め、サヴァン症候群の兄・レイモンドを椎名桔平が演じる。【チケット情報はこちら】松井は自身が主宰する劇団“サンプル”を今年再始動させるほか、俳優としても活躍する多才な人物。今回オファーを受けた決め手として松井は、脚本の面白さを第一に挙げる。「すごく練られたホンで、人と人が会話している楽しさが、そのまんま作品になっているんですよね。だから上演台本を書くうえでもあまり変えられなくて。ただライブ感のある会話にはしたかったので、しゃべりやすい、思わず言ってしまうような言葉には変えています。そういった無意識というか、登場人物たちが無防備に過ごしている感じを、うまく舞台に上げられたらいいですね」レイモンド役の椎名は、2006年、2007年の鈴木勝秀演出版で、ともに弟のチャーリー役として出演。それだけに松井は「共犯者になって欲しいというか、一緒にこの舞台をつくっていければ」と椎名への期待感を滲ませる。一方椎名は「レイモンドが難役なのは、過去に目の前で見てきたわけですから…」と苦笑い。「ただ僕が(当時レイモンドを演じた)橋爪功さんと同じうまみを出せるかといえば、そこでは勝負出来ない。だから例えばこの人がこういう心理状態にある時、体をどう作動させているかなど、ひとつひとつ自分の中で消化していくことで、自ずとこの役の動きや話し方といったものが生まれていくんじゃないかと思います」と、新たなレイモンド役に臨む心境を明かした。そんな椎名の言葉に、「今の話を聞いて、ご一緒するのがさらに楽しみになりました」と松井。「やっぱりその人がそうなってしまう理由というのは、誰かの模倣ではなく、その体の、心の中にあるわけですからね。それがお客さんにとっても一番強い表現になるはずなので」と語ると、椎名も「やはり、そういった役への深い探求が出来るのが舞台の稽古であり、とても贅沢な時間。優れた演出家の方に、“それは違うぞ”とかいろいろ言われるのは、役者にとっては大きな喜びでもありますから」と笑う。すると松井も「そこは僕も一緒に楽しみたいですね」と、これから始まる稽古の充実ぶりを予感させ、さらに「その中でお客さんがグッと惹きつけられるような、濃密な空間をつくっていけたらと思います」と抱負を述べた。公演は7月20日(金)より、東京・新国立劇場中劇場にて。その後、静岡、福岡、大阪、宮城、愛知を巡演する。取材・文:野上瑠美子
2018年05月30日名作ミュージカル『ピーターパン』の中でも、とりわけ人気の高いキャラクター・フック船長。38年目を迎える今年、そのフック船長役に抜擢されたのが、DA PUMPのヴォーカリストであり、近年では舞台出演にも意欲的なISSAだ。【チケット情報はこちら】舞台に立つことは「楽しみでしかない」と語るISSA。中でも彼を奮い立たせるのが、ちょっと変わった、非現実的な役どころだ。「この面白い役がどうすればより面白くなるのか。それを考えるのがまずはすごく楽しいですね。だから今回フック船長役にお声がけいただけたことは、単純に嬉しくて。ちょうど『ロッキー・ホラー・ショー』(2017年)をやっていた時で、共演者の古田(新太)の兄さんやROLLYさん、武田真治さんも皆フック経験者。そんな先輩たちの歴史に泥を塗らないよう、そして自分が呼ばれた意味をちゃんと提示出来るよう、新しいフックをつくっていけたらと思います」この取材の直前に行われていたのが、チラシ用のビジュアル撮影。フック船長になった自らの姿を見てISSAは…。「なんか面白いぞ、意外とイケてるぞって思いましたね。自分の中での最低ラインは見えたというか。これまでイメージしていたそれぞれのパーツが、ある枠におさまって、ビジュアル的にはひとつのキャラクターとして出来上がった感じ。あとはここから密度を上げていって、よりよいものにしていけたらなと。ただ強くて傲慢なだけじゃない、怖かったり、孤独だったり、コミカルだったり…。ちょっと妖艶でつかみどころのない感じになれば、それが自分らしいフックになる気がします。…って自らハードルを上げていますが(笑)、そうやって突き進んでいく方が自分には性に合っているんです」ISSAの話にもあったように、これまで数々の個性派俳優によって演じられてきたフック船長。その中でも今回のISSAは、“最も歌えて、最も踊れる”フック船長として期待されている。「やっぱり自分にお声がけいただいた理由っていうのは、そういうところにあると思うんです。だからその期待にはしっかり応えていきたいなと。特に役によって声の色が変わるのは、自分の面白い武器。フックならこんな感じっていうのは、きっと今回もやりながら掴めていくでしょうし、それは自分自身すごく楽しみで。ヴォーカリストとしての経験を生かしつつ、その声色をしっかりとフックの体のいち部分にしていく。そして完璧な歌声、ダンスをお客さまにお届けすることが、僕の定めだと思っています」青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』は、7月21日(土)から8月1日(水)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、大阪、金沢、名古屋でも上演する。チケットは現在発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年05月30日日本初演から今年で38年目を迎える名作ミュージカル『ピーターパン』。気鋭の演出家・藤田俊太郎のもと、10代目ピーターパンの吉柳咲良が、昨年に引き続きこの大役を任されることになった。【チケット情報はこちら】初代の榊原郁恵を筆頭に、笹本玲奈や高畑充希など、そうそうたる面々によって演じられてきたピーターパン。昨年、そんな夢の大舞台に立った日々を、吉柳はこう振り返る。「あの夏の経験はとても大きかったと思います。自分の中で確実に何かが変わったというか…。なによりも、私はお芝居をすることが好きなんだなって、気付かされました。キラキラした目で観てくれている子がいたり、フライングをした時に『すごーい!』って声が聞こえてきたりすると、本当に嬉しくて!この世界に入らなければ味わえなかった感覚だと思いますし、まさに夢が叶った瞬間でした」演じるピーターパンについて吉柳は、「本当に生意気な男の子」と笑いつつも、「羨ましいところもある」と続ける。「とても素直に、はっきりと気持ちを伝えられるところは、すごく羨ましいなと思います。とにかくすべてにおいて真っすぐ過ぎるくらい真っすぐですし、嘘がない。そこは私と違うところなので、演じるのがすごく難しかったです。ただ、私のひとつ年下の弟が、本当に生意気で、まさにピーター(笑)。小さかったころの弟の姿が、役づくりをする上でとても役に立ちました」ピーターの役づくりを助けた人物がもうひとり。「演出の藤田さんって、ピーターっぽいところがあるんです(笑)。真っすぐに夢を見ている感じとか。藤田さんから“こうしたらもっとピーターっぽくないですか?”とか言われると、“絶対にそうだと思います!”みたいな(笑)。藤田さんを見ていればピーターがわかるというか、藤田さん自身がまさにピーターみたいだなと思います」そんな藤田の手を借りつつ、2年目の吉柳ピーターは、さらに高い空へと舞い上がる。「去年を越えなきゃいけない、というプレッシャーはありますが、前回演じてすごく楽しかった気持ちとか、今までレッスンをしてついた自信、さらに忘れられない小さいころの気持ちを大事にしながら、また新しいピーターをつくっていくことが出来たらなと思っています。そして“次のピーターになりたい!”って思ってもらえるような、みんなにとっての憧れのピーターを演じられればいいなと思います」。青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』は、7月21日(土)から8月1日(水)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、大阪、金沢、名古屋でも上演する。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年05月25日芸能事務所オスカープロモーション所属の若手俳優らによって結成された、男性エンターテインメント集団“男劇団 青山表参道X”。その旗揚げ公演『SHIRO TORA ~beyond the time~』が、6月14日(木)より東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoで開幕する。そこでリーダーの栗山航と、飯島寛騎、西銘駿の3人に話を聞いた。【チケット情報はこちら】男劇団のメンバーは総勢30人。それぞれ個性はバラバラで、それこそが男劇団の強みだという。そこで3人がお互いをどう見ているのか聞いてみると、「寛騎はクールの裏にあるお茶目さが素敵」と栗山。飯島は「西銘くんは自分でも言っていますけど、まさに“ハッピー野郎”(笑)。とにかく周りを明るく、元気にしてくれます。まぁ僕は真似しようとは思いませんけど」と笑う。西銘は「栗山くんはまさにリーダーになるべくして生まれてきた人。この30人を任せられるのは栗山くんだけです!」と絶大なる信頼を寄せる。そんな彼らの旗揚げ公演は、廃部の危機に立たされた演劇部員の前に白虎隊が現れて…というタイムスリップもの。西銘は脚本を読んだ瞬間に、「これは面白い、伝説になる!」と確信したという。するとすかさず飯島が、「伝説になるか、ならないかは、僕ら次第だから」と冷静にひと言。さらに栗山が「いや、僕と寛騎次第かな。西銘は関係ない(笑)」と続けると、真に受けた西銘は「うんうん、ふたりとも頑張って!」と突如ファン目線に。そんな西銘の天然ぶりに、栗山も飯島も笑いが止まらない。役どころは主人公であり、演劇部部長の小野田陽斗を飯島が、栗山と西銘が白虎隊の安達藤三郎、伊東悌次郎をそれぞれ演じる。「白虎隊がタイムスリップして現代の高校生に憑りつく、というちょっと変わったストーリーです。僕は寛騎に憑りつくことになるので、ふたりは一心同体の間柄。僕らがしっかり繋がって、物語をどんどん進めていければ、自然といい作品になると思います」と栗山。飯島も「栗山くんといろいろ話し合って、役を深めていきたいです」と意気込む。一方、「僕は気を抜いてもいいキャラなので~」と西銘。その瞬間、「みんな気抜いちゃダメ!」と栗山にツッコまれる。芝居はもちろん、歌にダンスに殺陣にと、メンバーそれぞれの持ち味が存分に生かされるであろう本作。主役を任された飯島は、「プレッシャーは大きいですが、お客さんに楽しかった、観てよかったと言ってもらえるような舞台にしなければ!」と奮起する。彼らの“伝説”の幕開けは、もう間もなくだ。公演は6月17日(日)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年05月17日映画『スリー・ビルボード』の脚本・監督としても注目される、マーティン・マクドナーの最新舞台『ハングマン』がついに日本上陸。『ウィー・トーマス』(2003、2006年)など過去4度マクドナー作品を手がけてきた長塚圭史が演出を、小川絵梨子が翻訳を手がける。5月12日・13日の埼玉公演を経て、5月16日、東京・世田谷パブリックシアターにて東京公演が開幕した。【チケット情報はこちら】物語は1963年のイングランドにある刑務所から始まる。殺人犯のヘネシーのもとへとやって来た、“ハングマン=絞首刑執行人”であるハリー。しかし冤罪を主張するヘネシーに、「せめてピアポイントを呼べ!」とライバル視しているハングマンの名前を挙げられたハリーは、逆上し強引に刑を執行してしまう。そして死刑制度が廃止となった2年後。ハリーが営むパブに、ムーニーというどこか怪しげな男がやって来て…。マクドナーらしい、乾いた笑いと驚くほどの残酷さが同居した本作。物語の主な舞台となるハリーのパブは、そんな空気に満ち満ちている。ハリーはハングマン時代のプライドを大いに引きずり、常連客は常に酒に溺れ、その中には警部の姿まで。そんな彼らにとっての怠惰な日常は、ムーニーという男の出現により崩れ去る。しかもそれが暴力的な恐怖ではなく、ただじんわりと、しかしはっきりと不気味であるということが、とにかく恐ろしい。この舞台のカギを握るムーニー役だが、今回演じた大東駿介は、これまでのベストアクトと言える出来栄え。一見するとただの好青年だが、ちょっとした言葉のトーン、目線、流暢な話しぶりなどに、裏の顔が見え隠れする。また田中哲司演じる傲慢で不器用なハリー、初舞台の富田望生演じる内気な“周囲いわく暗い”ハリーの娘、シャーリーも強い印象を残す。ほかにもキャスト陣には演劇界の個性派がこれでもかとズラリ。一分の隙もない劇空間を生み出している。開幕直前にはマスコミ向けの囲み取材が行われ、田中、秋山菜津子、大東、富田、羽場裕一、長塚が登場。長塚は作品について、「マクドナーの戯曲の中でも一番激しい、毒々しい作品」と表現。見どころを聞かれた田中は、「あるんですよ、すごいのが…」と言葉を濁す。「予測不能な、すさまじい展開をしていくので、見どころを言っちゃうともったいない」と続ける長塚の顔には、はっきりとした自信が伺えた。長塚の言葉通り、まさに“すさまじい展開”を見せていく本作。観る者のモラルが試される2時間45分だ。東京公演は5月27日(日)まで。その後、愛知、京都、福岡を周る。取材・文:野上瑠美子
2018年05月17日東京と大阪のビオトープ(BIOTOP)では、写真家・野上眞宏の写真展「BLUE: Tokyo 1968-1972」を開催する。5月19日から30日まで東京・白金台のBIOTOPで、6月15日から26日まで大阪・南堀江のBIOTOP OSAKAで開催。本展は、1947年に東京に生まれ、1974年に単身渡米後、30年以上をアメリカで過ごした野上が、渡米前の21歳から25歳の間に撮影したモノクロ作品を展示。本展のために、2014年に発表されたiPad写真集アプリ『Snapshot Diary』収録の4,000枚点以上の膨大な写真から、約40作品を野上本人がセレクトした。展覧会タイトル「BLUE」は、野上が好んで聴いていたジョニ・ミッチェルのアルバム名より、60年代末から70年代初めの東京で、将来の不安を抱えながら青春時代を過ごしていた彼の当時の心境を表現している。その沈んだ気分とは裏腹に、渡米前の若き野上が、何かに急き立てられるように写真で日々記録していた1968年から1972年の光景が写し取られている。銀座、原宿、表参道、渋谷、六本木の街、そして、「はっぴいえんど」をはじめとする、ミュージシャンやさまざまなジャンルのアーティスト、友人たちの姿は、どれもが魅力に溢れ、当時のカルチャーシーンが、ここに鮮やかに、そして静かに伝えられる。本展の開催を記念し、イベント初日の5月19日の17時より、BIOTOP3階の「irving place(アーヴィングプレイス)」にて、野上眞宏と音楽家・細野晴臣のスペシャルトークショーを開催。同じ高校、大学に通い、旧友である2人が、写真展のテーマでもある1968年から1972年の東京のさまざまなシーンとともに当時のエピソードを振り返る。また、野上の作品からデザインしたTシャツ4種(各8,000円)を、ビオトープの限定商品として数量限定で展開。さらに、展示作品を含む約190点のモノクロ写真で構成された、新たな編集による新刊写真集『BLUE: Tokyo 1968-1972』(4,800円)を、BIOTOPにて先行発売する。【展覧会情報】野上眞宏 写真展「BLUE: Tokyo 1968-1972」会期:5月19日~5月30日会場:BIOTOP住所:東京都港区白金台4-6-44時間:11:00〜20:00会期:6月15日~6月26日会場:BIOTOP OSAKA住所:大阪府大阪市西区南堀江1-16-1 1/2/4階時間:11:00〜21:00【書籍情報】『BLUE: Tokyo 1968-1972』発行:OsirisB4判変型(23×24 cm)/ハードカバー/上製本/204ページ発売日:6月1日 ※5月19日よりBIOTOP店頭でのみ先行発売価格:4,800円
2018年05月17日『大人は、かく戦えり』や『ART』で知られるフランス人作家、ヤスミナ・レザの最新作となる舞台『大人のけんかが終わるまで』が日本初上陸。演出に上村聡史、上演台本に岩松了を迎え上演される。そこで7月の開幕を前に製作発表が行われ、出演者の鈴木京香、北村有起哉、板谷由夏、藤井隆、麻実れいの5人が登壇した。【チケット情報はこちら】不倫中のアンドレアとボリスが偶然レストランで出くわしたのは、ボリスの妻の親友のフランソワーズ。彼女の内縁の夫エリックと、その母親イヴォンヌとともに5人で食事をすることになるのだが、徐々にそれぞれの不満があふれ出し…。会見ではまず、欠席の上村からのコメントが披露された。本作について上村は、「相当面倒くさい大人たちのけんかになることが予想されます」と前置きした上で、「ですがそれは失われてしまった青春を取り戻すかのような狂乱のセレモニーのようで、ある美しさも兼ね備えた作品になるかと思います」と解説。上村の骨太な演出により、フランス発の大人のコメディがどう仕上がるのか、期待は高まる。続いてキャスト陣の挨拶へ。アンドレア役の鈴木は、上演台本を読み終わった時のことを「大人って切ないなって、ちょっと胸がキュンとしたんです」と振り返り、「本当にいいお話ですし、すべての大人の方に観ていただきたいです」とアピールする。一方ボリス役の北村は、「読みながら吹き出してしまうくらい楽しいホン」と笑い、「これをどこまで攻め、どこまで安定したところで皆さんとやれるのか、本当に楽しみです」と抱負を語る。フランソワーズ役の板谷は、これが2本目の舞台。緊張の面持ちながら「裸で飛び込みたい」と切り出し、「あまり脳みそで考えず、体で感じたまま先輩方についていきたいです」と意気込む。エリック役の藤井は、「皆さんとの稽古を存分に楽しませていただいて、それでお客さまに笑っていただけたら、こんなに幸せなことはありません」と期待で胸をふくらませる。そしてまだらボケのイヴォンヌを演じる麻実は、「周りの仲間に“こういうお役をいただいたのよ”と話したら、“あなたは何もつくらず、そのままやればいい”と言われたんです」とクスリ。会場の笑いを誘っていた。また会見の後半には、心理テストをもとにしたキャストの“けんか力”を発表。けんか上級者から初心者までの4タイプのうち、北村以外の4人は中級者。唯一の初心者と診断された北村は、「お手柔らかにお願いします」と苦笑いを浮かべていた。舞台『大人のけんかが終わるまで』は6月30日(土)・7月1日(日)に東京・シアター1010で行われるプレビュー公演を皮切りに、全国各地を巡演。取材・文:野上瑠美子
2018年05月11日ROLLYとバイオリニストの中西俊博との出会いをきっかけに、これまで青山円形劇場で8度にわたり行われてきたコンサートが5年ぶりに復活。「横浜フランス月間2018関連プログラム」の一環として、“パリ”をテーマにしたコンサートを開催する。そこでROLLYに現在の心境を訊いた。【チケット情報はこちら】中西との出会いは2004年の舞台『ア・ラ・カルト』での共演だが、すでにROLLYは20代の時、あるロックギタリストのソロアルバムで中西の演奏を耳にしていたという。「当時からものすごくアグレッシブなプレイをする人だなと思っていたんです。バイオリンなんですけど、ロックギターの要素もあるというか。中西さんって他の音楽家の方にはない自由な発想がありますし、意外とダークな一面もある。特に僕とやる時は、中西さんの怪奇な部分をやりたい放題に出してもらっているというか(笑)。僕もそういう人とはウマが合いますし、長続きするんですよね」「怪しくてちょっと笑えるものが好き」と話すROLLYだけあり、パリはパリでもイメージするのは地下墓地のカタコンベ。さらにそれぞれの楽曲でも、一筋縄ではいかないストーリーが語られていく。「例えばハチャトゥリアン作曲の『仮面舞踏会』は、切り裂きジャックの女版の話です。19世紀のパリの街で、夜な夜な顔の皮を剥がれた女の死体が発見されるのですが、その犯人というのがものすごく醜い女。水滴がぴちょんぴちょんと落ちているような地下室で、その剥いできた美しい女の顔の皮を自分の顔につけているという…。あとチャイコフスキー作曲の『花のワルツ』は、カルーセルという男が女装して舞踏会に潜入し、玉の輿に乗ろうと企む話。7分間のすさまじい人間ドラマで、まるで松本清張の『砂の器』みたいな感じです(笑)」そんな渾身のナンバーの数々を、中西を始めとする4人のバンドメンバーと、アルフォンヌこと羽田謙治のパフォーマンスによって表現するコンサート。ティム・バートン映画のような、気持ち悪くて、かわいくて、ポップな世界が好みの人には、たまらないコンサートになるだろう。ただひとつ気をつけなければいけないのが…。「僕のコンサートを観てしまうと、もう一生後に戻ることは出来ないということです。今後『花のワルツ』を聴く度に、あのストーリーが流れてしまうので(笑)。つまり人生が変わってしまう、それくらいの覚悟をもって来ていただきたいなと。そして会場では心を開いて、大いに笑ってもらいたいと思います」公演は6月15日(金)から17(日)まで、神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールにて。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年05月08日ミュージカル界のトップスターたちとフルオーケストラの共演が楽しめる『ミュージカル・ミーツ・シンフォニー』。その第8弾が、6月7日(木)と8日(金)、東京・オーチャードホールにて開催される。そこで出演者のひとりであり、本シリーズへの参加は初となる柿澤勇人に話を聞いた。【チケット情報はこちら】この取材前に行われていたのが、海外からのゲストであるノーム・ルイスと柿澤の対談。ルイスは『レ・ミゼラブル25周年記念コンサート』のジャベール役で注目された、ミュージカル界のトップスターだ。「すごくお茶目で、優しくて、心のあったかい人でしたね。今やっている『メリー・ポピンズ』(※6月5日(火)まで上演中)もそうですが、考え方も文化も違う外国の方とご一緒すると、自分がいかに小さい人間だったかを思い知らされる瞬間があって…(笑)。すごく刺激になりますし、励みにもなるんです」ミュージカル経験は豊富だが、ミュージカル系のコンサートにはこれまでほとんど出演してこなかった柿澤。今回そんな彼の背中を押したのは…。「まずはフルオーケストラとやれるってことですよね。しかもブロードウェイの第一線で活躍されている大先輩方と一緒に!ノームさんとのデュエットは一生の思い出にしたいですし、そこから何かひとつでも学べたらいいなと思います」柿澤はこれまでの出演作『デス・ノート The Musical』や『紳士のための愛と殺人の手引き』のほか、今秋9月に開幕する『シティ・オブ・エンジェルズ』からのナンバーも披露する予定。「『デス・ノート』はあえて僕が演じた夜神月のではない曲を選びました。その方が自分自身楽しめるんじゃないかなと。『紳士~』の曲は、コンサートで歌うのはもちろん初めて。そもそもコンサートでの歌い方というのがまだどんなものか全然わかっていないので、『メリー・ポピンズ』の休演日にしっかり練習しようと思います!」柿澤の言葉にもあるように、今彼は名作ミュージカル『メリー・ポピンズ』のバート役として大奮闘中。役者として新たな一面を開花させている。「バートにはタップのビッグナンバーがあるので、それこそ泣きながらタップの練習をしました(笑)。ただあそこまで自分に負荷をかけて必死にやった経験っていうのは、今後何かしらに繋がっていくと思いますし、役者としてすごくいい経験をさせてもらえたなと。このコンサートもそういったもののひとつで、自分にとって次へのエネルギーになればいいなと思います」チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子■『ミュージカル・ミーツ・シンフォニー2018』6月7日(木)オーチャードホール(東京都)6月8日(金)オーチャードホール(東京都)6月9日(土)フェスティバルホール(大阪府)
2018年05月02日料理家・お弁当コンサルタントとして、テレビ番組でも活躍中の野上優佳子さんは、社会人と大学生の娘さんと小3の息子さん、3人のママ。上のお子さんの時からPTA委員を積極的に引き受けるなど、超多忙な日々にもかかわらず、「夜は11時に寝る」「朝食と夕食は子どもと一緒に食べる」など、時間にも心にも余裕があるように見えます。そんな野上さんに、子育てへの考え方や、日々の料理に込める想いを聞きました。【野上優佳子さん プロフィール】料理家・弁当コンサルタントとして各メディアで活躍。全国各地での講演を行うほか、お弁当箱などの商品開発アドバイザーも務める。30年以上お弁当を作り続け、300個以上のお弁当箱を使用した経験に基づき、日々お弁当を作る母目線での「実用性と汎用性の高いレシピと鋭い洞察」には定評がある。『マツコの知らない世界』(TBS)にお弁当テーマで最短最多出演。著書は『野上優佳子のお弁当おかずの方程式』『お弁当のセカイ』(ワニブックス)、『野上さんちの超ラクチン弁当』(学研プラス)、『夏弁』(主婦と生活社)、『悩まず作れる! おべんとうの手引き』(笠倉出版社)など。HP: Facebook: @mealinsight twitter: @nogami_y instagram: @yukakonogamis 朝食と夕食は、子どもと一緒に食べる「私は優先順位がすごくはっきりしていて、家族との時間が最優先。どんなに忙しくても体はひとつだし、1日は24時間しかないから、割り切るところは割り切っていると思います。夜11時に寝るのもそう。子どもと密に過ごせる時間って仕事人生と比べるとものすごく短い。その期間、多少仕事できる時間が減っても、後から自分の努力次第でいくらでも取り戻せると思っています。それに仕事は誰かが代わってくれても、子どもとの時間は私にしか作れない。そもそも仕事の現場であれこれいうより、子どもと一緒にブランコに乗っているほうがずっと楽しいんですよ」とほがらかに話します。そんな野上さんが忙しい暮らしの中で大切にしているのは、朝食と夕食はできるだけ家族で一緒に食べること。そして、そこでたくさんおしゃべりをすること。「毎日同じ時間に食べて、話を聞く。みんなで食べる一番の理由は、一人で食べるより楽しいから。我が家はみんなおしゃべりで、『今日は何があった?』って私から聞く前に、子どもたちが『今日こんなムカつくことがあってね~』なんて話してくれます。自分の思ったことを言語化するのって結構大事だと思うのですが、おしゃべりすると自分の言葉でちゃんと人に伝わるかの確認もできるんですよね。他人だとどう伝わるか怖くても、家族には恐怖心を持たずに話せます。でも、くだらない話がほとんどですよ。うるさいくらいしゃべって、笑いっぱなし。時間のある週末は夕食に3時間くらいかけて、おしゃべりを楽しんでいます」なんだか賑やかな野上家の食事シーンが目に浮かぶよう。大学生や社会人の娘さんたちは、いまも家で食べるごはんが大好きなのだとか。ママの手料理を囲んで “家族の時間” をなによりも大切にするイタリア人家族の食卓のようで、 野上さんご家族の “あたたかい絆” を感じます。料理は、一番子どもの負担にならない「応援」のカタチ野上さんは子育てに関するこだわりはほとんどなく、基本的に子ども任せ。「私自身、親にあれこれいわれたことはないですし、人のいうことをハイハイと聞くタイプでもなかったので」と笑います。「長女のときは、ほかの子と比べてできないことが目につくこともあったんですが、3人目にもなるとまったく気にならないんですよ。たとえばリボン結びがなかなかできなくてもいつかできると思っているし、たとえずっとできなくてもマジックテープの靴を履けばいいんじゃない、って思う。短期的な結果を求めて子どもを評価しても仕方なくて、心身ともにすこやかであればそれでよし。そのベースになるのが食事だと思っています」次女が通っていた都立高校で、入学時に校長先生からいわれたのが「親御さんにお願したいのは、ちゃんとごはんを作ってほしい」ということ。やる気のある子に「勉強しろ」とうるさくいうのは逆にマイナス。それよりも、「食事で頭脳は作られるから、おいしいお弁当をしっかり作ってください」というのが同校の考え方だったそうです。「長女の大学受験のとき、長女から唯一頼まれたのが、高3の1年間、『どんなものでもいいので、3食(お昼はお弁当)を作って “同じ時間” に出してほしい』ということだけ。勉強するにも体が資本。料理は一番子どもの負担にならない応援の仕方な気がします」野上さんが以前対談した脳科学者の方によれば、「頭のよくなる食べ物」があるのではなく、「脳のはたらきに刺激を与えるもの」を食べることが重要なのだとか。具体的には、色や食感、味にバリエーションをつけるとよいそうです。その点、調理が手軽な “パスタ” は、合わせる食材によって彩りや食感をアレンジでき、脳に刺激を与えやすい優秀な食材。脳の栄養源となるブドウ糖は摂りすぎると眠くなることがありますが、パスタなら野菜や肉と組み合わせてバランスをコントロールしやすいので、娘さんの受験のときにも重宝したそうです。お弁当は外でがんばる家族への「お守り」昔から料理をするのが大好きで、小学校5年生の誕生日プレゼントがオーブンだったという野上さん。中学時代からお弁当を作りはじめ、お弁当歴はいまや30年以上。いまでも週に3~4回お弁当を作っていますが、お弁当で一番大切にしていることは「食べる人が食べたいものを入れること」だとキッパリ。「毎朝、家族を送り出すときは、今日1日楽しく元気に過ごしてくれたらいいなと思いながら、お守りがわりみたいな気持ちでお弁当を持たせているんですよ。たとえば外で、少しイヤなことがあったときも好きなものでお腹が満たされると、ちょっと元気になって、『家に帰るまでがんばるか』くらいに思ってくれるといいなと。それに空っぽのお弁当箱を見れば、今日も元気だったんだなとわかる。少なくともごはんも喉を通らないくらいに気落ちしていたということはないんだな、ってわかって安心できます。外に出たら、イヤなこともいっぱいあるだろうから、お弁当の中身は好きなものだけ。“好き嫌い” は、お弁当に入れて子どもが一人のときにがんばらせるんじゃなくて、家族みんなで『これおいしいよ』っていいながら食べたほうが、子どもの負担にもならないんじゃないかなと思っています」片づけもカンタン! お弁当は「モバイルな食卓」野上さんはお弁当は「モバイルな食卓」だといいます。「お弁当は、家の食卓を箱に詰めて外に持っていって食べるだけのこと。お昼ってだいたい同じ時間に食べるから、場所がちがっても家族みんな同じものを食べている。家庭の食卓って他人にのぞかれないから、そうめんやパスタだけの日もあるのに、なぜか外に持っていくとなると気負っちゃう。でも本来はパスタだけのお弁当の日があってもいい。お弁当はなるべく難しくしないのが一番です」お弁当の中身はゼロから考えようとすると大変ですが、たとえば「A+B+C=弁当」だとして、「A=肉」「B=卵」「C=野菜」とさえ決めておけば、毎日食材や味付けを少し変えるだけでOK。卵焼きのような作り慣れた定番は、失敗しないしおすすめとのこと。また、毎食の料理を多めに作って次へスライドさせるのも、お弁当作りをラクにするコツだそう。「お弁当用に作ったおかずは夕飯の副菜も兼ねて多めに作ります。たとえば、ほうれん草を多めに茹でて半分はごま和えにしてお弁当に、もう半分は夕飯時にかつおぶしをかけておひたしに。夕飯のときも野菜を多めに切ったり茹でたりしておいてお弁当に使います」ちなみに野上家では、お弁当箱を自宅でも活用。留守のときに子どもたちが食べる昼食などもお弁当箱に詰めておくそうです。「蓋をあけるだけでごはんが食べられるのって、ラクじゃないですか。お弁当ってなぜか冷めてもおいしいし。平皿だと冷蔵庫に入れづらいけどお弁当なら重ねて入れられるし、洗いものが少ないから片づけもラク。家で食べるお弁当は持ち運ばないからスカスカでも大丈夫ですよ」パスタは家族の最大公約数野上家では、パスタはごはんやパンと並ぶ主食のレギュラー選手。家には必ず数種類のパスタが常備してあり、切らすことはないそうです。「パスタはみんな大好きで、本当によく食べます。週末の食事のうち1回はパスタですね。我が家は朝食に必ず温かい汁物を出すようにしているのですが、時間がない朝はスープパスタを作ることも多いですね。バリラのショートパスタもよく使いますよ。おいしくて好きというシンプルな理由です」お弁当には「食べる人が食べたいものを入れる」のが野上さんのこだわりですが、一人だけに作るわけじゃないので最大公約数で家族みんなが食べられるもの…と考えたときパスタは優秀。具だくさんのパスタにすればおかずを1品減らせるし、市販のソースを使えば時短もできるし、とても便利だそうです。「わが子に食べさせたいものをお客様にも」の信念のもと、パスタを作り続けて140年以上の「バリラ」は、イタリアNo.1のパスタブランドです。こだわりのデュラム小麦と独自の製造方法により、誰もがおいしいアルデンテに仕上げることができます。ロング&ショートパスタのほか、着色料・保存料が無添加のパスタソース(計5種)も人気。安心安全なパスタソースは、未開封状態で1.5年以上も保存が可能。忙しいママにおすすめのストック食材です。 「バリラ」の魅力はこちら >> ピクニックや運動会に! カンタンで家族が喜ぶ「パスタ弁当」新年度が始まって約一ヶ月経ち、大人も子どもも “疲れ” が出てくる時期。そこで、新しい環境でがんばる家族へ “応援” の気持ちを込めて作りたい、野上さん考案のパスタ弁当をご紹介します。おでかけが気持ちのよいこの季節、カンタンでおいしいパスタ弁当を持って、青空の下でリフレッシュしてみませんか?今回使うのは、「バリラ」のショートパスタ “トロフィエ” 。細いのでソースが絡みやすく、使いやすいパスタです。トロフィー型だからゲン担ぎにもなるので、運動会のお弁当にもいいですね。応援の気持ちを込めるのにぴったり! 毎日のお弁当に使えるアレンジもいろいろ教えてもらいました。「ひき肉だけで簡単! 即席ボロネーゼ」(調理時間:約20分)子どもたちにも大人気なミートソースは、イタリア名で「ボロネーゼ」。「バリラ」のパスタソース “ナポレターナ” を使えば、味わい深いボロネーゼをあっというまに作ることができます。ナポレターナにはイタリア産100%トマトをベースに、既にいろいろな野菜が入っているので、ひき肉を加えるだけでOK。お肉を少し形が残るように炒めると、ミートボール風になって子どもも大喜び。お弁当に入れるときは、牛ひき肉など脂が少なめのものを選ぶと、冷めても油が白浮きしづらくおいしく仕上がります。【材料】(2~3人前)・ 「バリラ」トロフィエ ……250g(即席ボロネーゼソース)・ 「バリラ」ナポレターナ ……1.5カップ・牛ひき肉……250g・玉ねぎ……1/2個 ※・セロリ……10cm分 ※・オリーブ油……大さじ1/2・赤ワイン……大さじ1(料理酒でも可)・水……大さじ1・塩……小さじ1.5※玉ねぎとセロリなしで、牛ひき肉だけでも十分おいしくいただけます。お好みでご調整ください。【作り方】1)玉ねぎとセロリをみじん切りにする。2)フライパンにオリーブ油と 1) を入れて火にかける。軽く炒めたら牛肉を入れ、軽く表面を押さえながら焼き色をつける。しっかり焼き色がついたらひっくり返して、両面焼いたら、ひき肉を木べらで大きく切り分ける。3)赤ワインと水を入れて、沸騰したらソースを加える。再沸騰したら弱火で蓋をして8分煮る。塩で味を整える。4)トロフィエを塩(分量外)を入れたお湯で茹でる。茹であがったら水分をしっかり切って 3) のフライパンに入れてソースを絡ませて、盛り付ける。【さらにアレンジ!】「即席ボロネーゼソース」の活用法・冷蔵で3~4日保存可能。冷凍保存なら密封できる保存袋に入れて2週間程・卵と混ぜてオムレツに。一口サイズに切ればお弁当のおかずにも・焼いたナスやズッキーニを混ぜ、チーズをのせて焼けばグラタンに!【同時にもう1品!】トロフィエを多めに茹でて「春野菜のパスタ」を本場イタリアのリグーリア州では、トロフィエにジェノベーゼとジャガイモ、インゲンを合わせるのが伝統的な食べ方。トロフィエを鍋から上げる前に春野菜を加えて一緒に茹で上げ、バリラの ペーストジェノベーゼ と和えれば本格的な味わいの「春野菜のパスタ」が完成。※今回はブロッコリー、インゲン、スナップえんどう、アスパラガスを茹で上げる40秒前に追加。ペーストジェノベーゼは火にかけると変色するので加熱は避け、使用するペーストジェノベーゼの分量の約10%のゆで汁を加えて溶いてから、パスタと和えるとよい。もう1品、2品もすぐ作れる!パスタソースで時短&アレンジ料理 「バリラ」のパスタソース は、着色料・保存料が無添加なのに、保存期間は1.5年以上(未開封状態で)と、多忙なママにおすすめのストック食材。家庭で作るソースと同じ工程で作られており、既に煮込む手間が省けているので時短調理に大活躍します。おすすめのアレンジ例を野上さんに教えていただきました。「ナポレターナはミネストローネにすると、コンソメなしでもコクのあるおいしい仕上がりに。ペーストジェノベーゼはポテサラに入れても美味。ポモドーロはシンプルなトマトソースなので、チキンのトマト煮込みなど、幅広く使えます」・ミネストローネ:(上)キャベツ、玉ねぎ、セロリ、にんじん、インゲン、ベーコンをさいの目切りにして、フライパンまたは鍋でオリーブ油と一緒に軽く炒めたら水とナポレターナを加え、5分沸騰させて塩で味を整え、熱々のうちにスープジャーへ。3時間ほど経てばおいしいスープに!(鍋で作るなら沸騰した後すぐ弱火にして20分煮る)。・ジェノバ風ポテサラ:(弁当内 上)塩もみしたキュウリと茹でたジャガイモに、ペーストジェノベーゼとレモン果汁を加えて混ぜる。お好みでゆで卵を加えても。・チキンのトマト煮:(弁当内 右)鶏もも肉は余分な脂をそぎ取り、オリーブ油を薄く敷いたフライパンに皮目を下にして並べ、表面に軽く塩こしょうをして、蓋をして中火で3分加熱。皮目にしっかり焼き色がついたらひっくり返して、蓋をしてさらに2分、弱火で加熱。ポモドーロソースを加えてとろみがつくまで軽く煮詰める。【こんなに便利!】パスタソースのアレンジ事例▼ ナポレターナ の活用法・オムライスのベースに・パンに塗ってベーコンや玉ねぎ、チーズをのせてピザトーストに・野菜を混ぜたごはんの上にのせてドリアに・コロッケにつけるソースがわりに▼ ペーストジェノベーゼ の活用法・新じゃが、ゆで卵、キュウリとあえてサラダに・ひよこ豆または大豆の水煮をペーストにして混ぜ、フムス風ディップに・肉や魚のグリルのソースとして・レモンや酢と混ぜて即席ドレッシングに▼ ポモドーロ の活用法・お肉に添えて・オムライス用チキンライスの味付けに・ツナ缶とポモドーロを電子レンジで温めて即席ミートソース(ツナ版)に行楽のお弁当というと作るのが大変なイメージがあるかもしれませんが、パスタなら作るのもカンタンだし、子どもも大人も大好き! 外でも食べやすく、カラフルで見栄えもする…といいことづくめです。気分も上がるおいしい“応援パスタ弁当” と一緒に、家族で春を楽しんでみませんか。 「バリラ」商品とその他のレシピはこちら! 「バリラ」Facebookページはこちら! [PR] バリラジャパン 取材・文/古屋江美子 撮影/貝塚純一
2018年04月27日竹中直人と生瀬勝久による演劇ユニット“竹生企画”の第3弾『火星の二人』が、4月10日、東京・シアタークリエで開幕。その本番直前、マスコミ向けのフォトコールが行われ、竹中と生瀬、さらにヒロインの上白石萌音が現在の心境を語った。【チケット情報はこちら】物語は竹中演じる朝尾の家に、生瀬演じる志波が訪れたところから始まる。そこには朝尾の妻・素美(高橋ひとみ)と息子の正哉(池岡亮介)、その彼女のさやか(上白石)の姿も。実は朝尾はある事故から奇跡的に生還し、志波はその話を聞きたいとやって来たのだ。だがそんな志波自身も、同じ事故のもうひとりの生き残りであることがわかり…。生瀬の声がけに竹中が応じ、2011年に始動した竹生企画。その大きな魅力は、やはり個性派俳優ふたりの濃密なやり取りを、生の舞台で堪能出来るという点だろう。シャイな竹中は照れつつも、「生瀬くんと僕が絡んでいるだけで、それはもう見どころと言えるんじゃないかな」と自信を覗かせ、生瀬も「大河ドラマと『Shall we ダンス?』と『シコふんじゃった。』の竹中さんと、『トリック』と『ごくせん』の僕がやるわけですから(笑)」と、この組み合わせがいかに贅沢であるかをアピールする。そんな強力なふたりに挟まれた上白石は、本作への参加を「ものすごく嬉しい」と胸躍らせながらも、稽古中は「毎日落ち込んで家に帰っていた」と振り返る。「スポーツ選手の競技を見ていると、自分にも出来そうって思う瞬間がありますよね。それと同じで、共演者の皆さんがすごく自然にやられるので、私もすぐに出来るものだと思っていたら全然出来なくて…。でも本当に毎日楽しくて、学ぶことが多すぎて、溢れてしまいそうな稽古場でした」と充実の表情を浮かべる。また本作は、全国15か所を巡る大規模なツアーを敢行。その中のひとつである鹿児島は上白石の故郷であり、かつて習い事の発表会でも立ったことのある、思い出深い舞台だという。それだけに「わっぜ嬉しいです!」と鹿児島の方言を用いて喜びを表現。そんな上白石に、竹中と生瀬は「いいねー」とメロメロの様子だった。過去の2作同様、作・演出を手がけるのは倉持裕。竹中とのタッグはすでに6作目となるが、本作はその竹中に「また新たな、すごい倉持裕の世界を感じた」と言わしめるほどの仕上がり。また生瀬も「新しい倉持ワールドが出来たと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください」と、その出来栄えのよさに胸を張った。舞台『火星の二人』は25日(水)まで東京・シアタークリエで上演。その後、全国を巡演。取材・文:野上瑠美子
2018年04月13日大倉孝二とブルー&スカイによる演劇コンビネーション“ジョンソン&ジャクソン”(以下J&J)。その新作『ニューレッスン』の上演が決定した。そこでゲストのいとうせいこう、池谷のぶえにも参加してもらい、新作の構想を聞いた。【そのほかの画像はこちら】今回2年ぶりの新作上演にあたって、大倉は「少人数で、原点に立ち戻ってやりたい」と考えるようになったという。加えてブルーには「そろそろ日本一くだらない芝居をつくりたい」という願望も。そこで白羽の矢が立ったのが、いとうと池谷だ。「嬉しいのと怖いのと両方ですね。ただせいこうさんと4人という意味では、(プレッシャー的な)怖さの方が上回るかな。私、せいこうさんには絶対に嫌われたくないので…」(池谷)。「嫌わないよ!僕はずっとJ&Jに出たかったんですよ。今まで芝居ってほぼシティボーイズとしかしてこなかったから。ただ池谷さん同様、4人と言われた時のプレッシャーったらなかったですけどね」(いとう)少数精鋭だからこそ、トライしたいつくり方がある。「物語にとらわれる気はないので、断片的なアイデアをいくらでもぶち込んでいけるものにしていきたいですね」(大倉)。「例えばせいこうさんには“それは浅はかだよ”とか、池谷さんには“それ前もやってたよ”とか言って欲しい。その上で何か新しいものを見つけられたらいいですね」(ブルー)タイトルはまずブルーが“レッスン”を、大倉が“ニュー”を提案し決定。その内容とは?「ストーリーを考えようって気がまずないんですけど(笑)。ただ誰かしらが、何かしらを教える話にはなるかなと(笑)」(大倉)、「教えるのか、教えないのか」(ブルー)、「教えないこともあるのね(笑)。それがニューなんだ?」(いとう)、「それ、ちょっとドキドキしますね(笑)」(池谷)今回のタイトルには、大倉とブルーの「ふたりの先輩から学びたい。くだらないことの研究会がしたい」という思いも込められている。さらにブルーは「レッスンものの最高傑作にしたい!」と宣言。ほかの3人の苦笑いを見て、「レッスンコメディかな」と言い直すも、「レッスンものがいいよ。そもそもそんなものないんだから(笑)」といとうのツッコミが。すでにこのやり取り自体、ネタになりそうな4人。そんな彼らが本気を出した時、舞台上にどんな見たことのない笑いが広がるのか。この舞台はきっと事件になる。公演は6月21日(木) から7月1日(日)に東京・CBGKシブゲキ!!、7月6日(金)から8日(日)まで大阪ABCホールにて上演。なお、一般発売に先がけて、プレリザーブを実施中。受付は4月9日(月)午前11時まで。取材・文:野上瑠美子
2018年04月03日かのジキル博士の薬がまったく効かなかったら…。そんな発想から生まれた三谷幸喜流のコメディ、『酒と涙とジキルとハイド』が4年ぶりに再演される。そこでジキル博士の婚約者イヴを再び演じるのが、近年女優としても目覚ましい活躍を見せる優香だ。【チケット情報はこちら】優香にとって本作は、“初舞台”という思い出深い作品。しかもそれが彼女の独白で始まるというのであればなおさら。「嫌でしたよ!(笑)舞台のこと何も知らないのに、最初からめちゃくちゃしゃべっているんですから。舞台って、冒頭の何分かで面白いかどうか決まるんじゃないかなと思っていて。それを“三谷さん、なんで!?”って(笑)。本当に難しかったですが、あとは楽しいシーンなので、毎回ここを乗り越えれば…と思いつつ頑張りました」そんな緊張の幕開けではあったが、出演者から自然と再演を望む声があがるほど、充実した時間を過ごしたのは確か。「本当に作品に恵まれたと思います。三谷さんみずから、“爆笑に次ぐ爆笑”とおっしゃるくらいの作品ですから。でもそれって演じる方としてはとてもハードルが高いですよね。三谷さんがあえて言うってことは、相当自信がおありだったと思いますし、私たちもそれに応えようと必死でした」三谷の言葉通り、初演時の劇場から聞こえたのは爆笑に次ぐ爆笑。その大きな要因が…。「キャラクターがそれぞれみんな愛おしいですよね。私が演じるイヴに関しても、とにかく一生懸命ですし、何とか自分の殻を破りたいと思っている。博士のこともそんなに嫌いじゃないし(笑)、見た目だって悪くないし、頭もいい。だけど刺激的じゃない!って言っているところが、またかわいらしい人だなって思います」コント番組に長年出演するなど、コメディエンヌとしても評価の高い優香。その才能は、三谷作品でも存分に発揮されている。「やっぱり“一生懸命”ってことがすごく大切だと思います。あえて笑わそうとするのではなく、その人が必死であればあるほど面白い。そして何より自分がやっていて楽しいとか、この掛け合いが気持ちいいとか、そんなふうにやれたら自然と面白いものになると思います」読者へのメッセージをお願いすると、「損はさせません!」と力強いひと言。さらに「爆笑に次ぐ爆笑です!そう三谷幸喜さんが言っていました」と続け、満面の笑みで作品をアピールしてくれた。公演は4月27日(金)から5月26日(土)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。チケット発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年04月02日『ジキル博士とハイド氏』に着想を得て、三谷幸喜が書き下ろしたコメディ『酒と涙とジキルとハイド』。その4年ぶりの再演が決定。初演に引き続き藤井隆が、ジキル博士との“ふたりひと役”をさせられる、役者のビクター役に挑む。【チケット情報はこちら】体力的にとにかくきつかったと語る藤井だが、彼が大切にしていたのが、三谷のあるひと言だ。「稽古初日に『何も残らないものにしたいんです』とおっしゃったんですよね。それってすごく難しいことだなと。本番中はお客さまに笑っていただき、非常に幸せな気分になれるのですが、やはり立ち戻るのは三谷さんのあの言葉。ちょっとでも自分がよれてしまったり、せりふを間違ってしまったりすると、何も残らなかったことにはならない気がして…。かといって毎回ベストを尽くせたとしても、また何かが残ってしまう気がして。これは本当に難しいことだなと思いました」再演が決まり、初めて初演時のDVDを見た藤井は、あることに気づいたという。「笑いました。ほんとに何も残らなかったから!(笑) 改めて三谷さんって面白いなと、すごいなと思いましたね。僕、自分を商品として客観的に見た時に、『君って何なの?』と自問自答ばかりしていたんです。芸がないから芸人でもないし、俳優でも、歌手でも、タレントでもない。自分自身の肩書きに悩まされてしまった事があったのですが、初演の時に三谷さんが、『藤井さんはコメディアンですよ』って言ってくださったんですよね。いまだに芸人とコメディアンの違いは正直わからないですけど、三谷さんにそう言っていただけたことですごく救われた気がして。そういう人に対する接し方と同じく、三谷さんって作品に対してもすごく真摯な方だと思います」藤井以外にも、片岡愛之助、優香、迫田孝也と初演時のキャストが再び集結。中でも藤井は、本作で初舞台を踏んだ優香の魅力を強く推す。「この舞台って、すごく優香さんの魅力にあふれた作品だと思うんです。もちろん愛之助さんも、迫田さんも面白い瞬間はいっぱいあります!加えて 優香さんがとにかくチャーミングなんですよね。しかも初舞台だったにも関わらず、幕開きでいきなり独白って!僕だったら絶対に嫌ですもん(笑)。でもそこを軽やかに、大奮闘なさっていた優香さんとまたご一緒出来るのがすごく嬉しくて。ぜひ読者の皆さんにも、優香さんのチャーミングな姿を劇場で、生でご覧いただきたいなと思います!」公演は4月27日(金)から5月26日(土)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。チケット発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年03月19日中村屋一門による恒例の巡業公演が、今年は春に開催。『中村勘九郎中村七之助春暁特別公演2018』として、全国12か所を回る。そこで勘九郎、七之助の父・十八代目中村勘三郎に、「3人目の倅」として目をかけられてきた中村鶴松に話を聞く。中村勘九郎中村七之助春暁特別公演2018 チケット情報「日ごろ歌舞伎を観る機会の少ない地方のお客さまにも歌舞伎に親しんでもらいたい」との趣旨のもと、2005年から毎年行われている巡業公演。鶴松は、地方ならではの触れ合いや食事を楽しみにしつつ、実は最も重責を感じる公演でもあるという。「普段あまり歌舞伎を観ない分、地方のお客さまにとってはその1回が本当に大事だと思います。そこで歌舞伎って難しいな、面白くないなと思われてしまったら、二度と足を運んでいただけないかもしれませんから。それだけに1回1回、本当に気が抜けないですね」今回予定されている演目は、『鶴亀』、『浦島』、『枕獅子』の3作品。「『鶴亀』はおめでたい踊りです。本興行ではなかなか出来ない、お弟子さんだけの演目ということで、今みんな必死に稽古に取り組んでいます。『浦島』は青年から老人への早変わりが見どころ。勘九郎さんがどう演じ分けるかにも注目していただきたいです。勘九郎さんと七之助さんの踊りの違いは、もちろん立役と女形の違いはありますが、勘九郎さんが非常にダイナミックで体のすべてに神経を行き渡らせるような感じだとすれば、七之助さんはしなやかで流れるような感じ。『枕獅子』では、傾城(=遊女)演じる七之助さんの美しい踊りを堪能していただけると思います。また僕は久しぶりの禿(=少女)役なので、どうすればかわいく見えるか(笑)、日々研究しているところです」鶴松にとって憧れの存在である勘九郎と七之助。『芸談』では、そんなふたりの素顔、仲のよさを垣間見ることが出来る。「歌舞伎役者の赤裸々なトークを聞くことってあまりないと思いますし、またお兄さんたちが話上手ですからね。これは貴重な機会になるのではないかなと。公演によってはお弟子さんに一発芸をやらせることもありますし(笑)。えっ、僕ですか!?いやいや、絶対出ないですよ!」中村屋ならではの、アットホームな雰囲気も魅力の本公演。どの演目も観やすく、歌舞伎初心者にもおすすめの内容だ。「とりあえず観てもらわないと始まらないですからね。歌舞伎ってどんなものか。まず一歩足を踏み入れて、あの迫力、感動を体験して欲しいなと思います」公演は3/17(土)の埼玉公演を皮切りに、東京、北海道、青森、山形、福島、鳥取、島根、岡山、広島、大分、神奈川と各地を巡る。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年03月13日向田邦子による同名ドラマ原作をもとに、その3年後を描くふたり芝居『家族熱』。義母の朋子をミムラが、先妻との長男・杉男を溝端淳平が演じる。ふたり芝居『家族熱』チケット情報ドラマでの共演経験を振り返り、「その時の溝端さんはコミカルさがベースながら、自然と“善意”が伝わってくる役どころを演じられていました。それが若干今回の杉男さんと共通する気がして。あっ、面白そうと思いました」とミムラ。溝端は「いつも笑顔で、柔らかいイメージのミムラさんが、朋子が秘めている女性の“業”“色気”みたいなものをどう見せてくださるのか。今からすごく楽しみです」と期待を寄せる。没後36年経った今も、衰えることがない向田作品の人気。熱烈な向田ファンのひとりでもあるミムラは、「向田さんのファンって今でも熱いですよね。『家族熱』というより“向田熱”みたいな(笑)。ただ個人的には、今まで見たことがない人がこれを機に、向田作品に興味をもってくれたらいいなと思っていて…」と、ファンならではの思いも明かす。ミムラと同様に熱烈な向田ファンであるのが、上演台本・演出を手がける合津直枝。そんなふたりの熱量に溝端は、「若干圧倒されています…」と苦笑い。だがそれだけに「すごく勉強になります」と続け、本作の魅力について、「杉男と朋子ってお互い思いはすごく強いのに、どうしてもそれを言い出すことが出来ない。そこに美しさや切なさ、もどかしさを感じますし、またそれが文学的で素敵だなと思います」と分析する。杉男が小学生の時、実母と入れ替わるように黒沼家に嫁いできた朋子。しかし杉男の父が前妻と通じていたことを知り、朋子は13年過ごした黒沼家を去ることに。本作ではその3年後、杉男の祖父の墓の前でふたりが再会するところから幕を開ける――。「彼女が黒沼家に嫁ぐ前、お墓で再会した時、さらにその先を考えなければと考えています。ストーリーの柱がとても強い分、ちゃんと生きた人をつくらないといけないと思うので」とミムラ。溝端は、「家族になる、他人になるって実はとても複雑な問題を含んでいると思うんです。でも杉男はそれには気づかず、自分の思うがままに突き進んでしまう。その浅はかゆえの姿が、逆に残酷に見えたらいいなと思います」と抱負を述べた。またミムラは「ストレートな恋愛譚にはしたくない」とも。ふたり芝居という濃密な劇空間でこそ生きる、向田作品ならではの恋愛劇がここに。公演は5月29日(火)から6月5日(火)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて上演。チケットは3月10日(土)から先着先行プリセールがスタートする。取材・文:野上瑠美子
2018年03月09日人気アクションゲーム“戦国BASARA”の舞台化シリーズ第14弾、「斬劇『戦国BASARA』第六天魔王」が、間もなく開幕。そこで明智光秀役として新たに参加する、瀬戸祐介に話を聞いた。斬劇「戦国BASARA」第六天魔王 チケット情報舞台版は初演から観ており、それを機にゲームも始めたという瀬戸。それだけに本作への出演は、「単純に嬉しかったですし、気合いが入りましたね」と意欲をみなぎらせる。しかもそれが、明智光秀という大役であればなおさら。「初演の時もすごく印象に残る役だったので、正直驚きました。しかもこれまで谷口(賢志)さんが7年もの間やられてきた役ですから。僕が真似しようとしても出来ないと思うので、演出のヨリコ(ジュン)さんや殺陣師の方と一緒に、また新たな光秀をつくっていけたらと思います」瀬戸本人も「バサラといえば殺陣」と言い切るほど、そのダイナミックなアクションシーンが大きな魅力のひとつ。『刀剣乱舞』シリーズへの出演など、殺陣経験も豊富な瀬戸だが、この役はひと筋縄ではいかないよう。「光秀の武器は刀ではなく、でっかくて重い鎌ふたつですからね。“殺陣素人”どころか“殺陣赤ちゃん”みたいな(笑)。ただ刀では出せないようなダイナミックさ、ひと振りのカッコよさは鎌ならではだと思うので、いかに速く、いかに美しく振れるかっていうのを意識していけたらと思います」物語の舞台は群雄割拠の戦国時代。“第六天魔王”こと織田信長による恐怖支配を打破すべく、伊達政宗、真田幸村らが戦いを挑んでいく。「今回面白いのは、1幕と2幕で内容がまったく違うこと。だから2本立て感覚で、1作で2倍楽しむことが出来ると思います。また光秀自身のドラマもしっかりと描かれていて。だから僕の頑張り次第では、ただのイヤな奴ってことではなく、ちょっと切ない感じにも映るんじゃないかなと。不器用な奴というか、愛されるキャラにもなれそうな気がします」さまざまな作品で存在感を発揮してきた瀬戸だが、バサラでの光秀役は、そんな彼をさらに大きく成長させてくれそうだ。「新しいジャンルの役ですし、自分にとっても大きな挑戦だと思います。またひとつ自分の引き出しを増やせるような役になるんじゃないかなと。とりあえず一番の課題はやっぱり鎌。最近ちょっと仲良くなれてきたかな、LINE交換出来たかなってくらいなので(笑)。これからもっと密に連絡取り合って、『瀬戸の光秀もいいよね』って言われるようなものを目指していきたいと思います」舞台は3月2日(金)から11日(日)までAiiA 2.5 Theater Tokyoでの東京公演の後、3月16日(金)から18日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演する。チケットはいずれも発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年02月27日ロバート・ルイス・スティーブンソンの名作『ジキル博士とハイド氏』をもとに、三谷幸喜が生み出した珠玉のコメディ『酒と涙とジキルとハイド』。その4年ぶりの再演が決定、そこで初演に引き続きジキル博士を演じる片岡愛之助に話を聞いた。舞台『酒と涙とジキルとハイド』チケット情報ジキル博士が開発した、人間の人格を善と悪のふたつに分けてしまう新薬。しかしその薬がまったく効かないことに気づいたジキルは、役者のビクターにハイドを演じさせ、“ふたりひと役”の替え玉作戦で乗り切ろうとするのだが…。「当たり前ですが、僕らが想像していた『ジキル博士とハイド氏』とはまったく違うものでした(笑)。ただジキルもビクターも、そしてジキルの婚約者イヴも、みんなそれぞれ真剣に生きているだけなんですよね。そして演じる僕らが真剣にやればやるほど、その人を一生懸命に生き抜くほど、作品としてはより面白くなっていく。だから僕にとっては初のコメディでしたが、スッと役に入ることが出来て…。それこそまさに三谷さんのホンの力だと思います」。今回の再演では愛之助だけでなく、ビクター役の藤井隆、イヴ役の優香も再登板。息の合ったやり取りがまた期待出来そうだ。「藤井さん演じるハイドは…、思い出しただけでも笑っちゃうくらい(笑)。常にエンジンが温まっているような、すぐレッドゾーンみたいなキャラをつくられていて、本当天才的に面白い方ですね。優香さんは前回が初舞台でしたが、志村(けん)さんのところでコントはずいぶんなさっていますから。さらにこの4年間で、それぞれみんな積み上げてきたものがあるでしょうし。そこでどういった化学反応が起こるのか、僕自身とても楽しみです」。奇しくも東京では、ミュージカル版の王道『ジキル&ハイド』がこのひと月前に上演されており…。「そうなんですよ!だからそちらをご覧になった方は、たぶんビックリすると思います。本当に突拍子もない、これまでの『ジキル博士とハイド氏』のイメージをぶち壊すような作品ですから(笑)。でもとにかく一度は観に来ていただきたいですね。それでどう違うのか。同じ題材でここまで異なるものが書けるのか。そのすごさをぜひ感じ取っていただけたらと思います」。なお本作は、東京公演に先駆け台湾での上演も決定。自身初の海外公演に、「ワクワクしています」と愛之助も胸躍らせる。4年という歳月と、台湾での経験が、この舞台をさらなる高みへと引き上げてくれるはずだ。『酒と涙とジキルとハイド』は4月27日(金)から5月26日(土)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて。東京公演のチケットは現在発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年01月29日ドラマ「コウノドリ」「毒島ゆり子のせきらら日記」などを手がけた矢島弘一が、脚本、演出、主宰の三役を兼ねる“劇団マハロ”。その第20回公演『明日、泣けない女/昨日、甘えた男』が、1月18日、東京芸術劇場 シアターウエストで開幕した。東京マハロ チケット情報舞台は昆布漁を主産業とする北海道のある町。携帯電話からは日々、北朝鮮のミサイル発射のアラームが鳴り響いている。昆布漁師を父に持つ鈴子は、自らがセックス依存症であることに悩んでいた。そんなある日、町にセックス依存症の治療のための施設をつくる話が持ち上がる。それと同時に、鈴子と同じ悩みを抱える女性ふたりが東京からやって来て…。LGBTや不妊症、いじめなど、現代社会における多様な問題をテーマに掲げてきた東京マハロ。今回彼らが取り上げたのは、なかなか顕在化することがない、女性のセックス依存症という問題だ。本作に登場する女性たちは、幼いころに施設で育った、夫に浮気された、強姦されたなど、依存症に至った理由はさまざま。なかでも主人公・鈴子はある病気が原因となっており、そのどうしようもないやるせなさを思うと、非常に心が痛い。それぞれの事情を抱えつつ、何とか依存症と向き合おうとする女性たち。それとは対照的なのが、閉鎖的なコミュニティのなかで暮らし、自分には関係ない、わからないとして向き合おうとしない男性たちだ。さらに鈴子を追い詰めるのは、同じ女性でありつつ、前時代的な考えを持つ町長や、自らの幸せにしか興味がない自分と同い年の義母。そんな彼女自身も、「依存症が治ったら、みんな私から離れていっちゃうかも…」と、治療に対する後ろ向きな考えを拭い去ることが出来ない。鈴子を演じたのは、劇団員でこれが初の主演となる西野優希。決して容貌に恵まれているわけではない彼女だが、それが逆にセックスに救いを求めてしまう女性像をリアルに体現する。また本作で初舞台を踏んだのが、AKB48の加藤玲奈。鈴子の父と再婚した茉莉花を演じ、いわゆる“イマドキな女の子”のなかに、いきなり“母”になってしまった女性の揺らぎを繊細に見せた。依存症になった理由はさまざまだが、彼女たちに共通するのは、“愛されたい”という強い思い。それは決してセックス依存症だけに限ったことではなく、完全に満たされている人も多くはないだろう。そのなかで人はどう生きていくのか、そんなことを考えるきっかけを、本作は与えてくれる。公演は1月27日(土)まで。取材・文:野上瑠美子
2018年01月19日ミュージカル『三銃士』(2011年)の三銃士役(アトス・アラミス・ポルトス)での共演をきっかけに、橋本さとし、石井一孝、岸祐二の3人が結成したユニット“Mon STARS”。彼らの3度目となるコンサートが、2018年2月20日(火)から22日(木)まで、東京・Bunkamura オーチャードホールで開催される。【チケット情報はこちら】コンサート初日の2月20日(火)には、初のミニアルバム『Lights and Shadows』をリリース。橋本のソロ曲『クリスタルの天使』(『三銃士』より)や、岸のソロ曲『ブイ・ドイ』(『ミス・サイゴン』より)、『レ・ミゼラブル』の名曲『Bring Him Home』など、全6曲が収録されており、これらがコンサートの中心ナンバーとなる予定だ。特にMon STARSらしさが光るのが、石井のソロ曲となるQUEENの「The Show Must Go On」。「実は僕ら3人ともハードロックが大好きだし、心からリスペクトしているのに、今まであまり歌ってこなくて……」と橋本が切り出すと、岸も「ドラマチックで舞台人の僕らにはぴったり。本番前に必ず聴く曲のひとつです」と続ける。フレディ・マーキュリーを敬愛する石井も、「Mon STARSの個性として打ち出せる一曲。ぜひ僕たちの熱いQUEENを体感してください!」と語気を強める。また3人が「名曲生まれちゃいました」と自画自賛するのが、アルバムタイトルにもなっているオリジナルの新曲「Lights and Shadows」。作曲を担当した石井は、「お客さんがペンライトを振ってくれるようなミドルバラードにしたくて」と曲に込めた思いを明かす。作詞を旧知の森雪之丞に依頼し、「こいつら悩みのないおじさんたちやなって思われがちですけど(笑)、僕たちにもちゃんと大人の生きざまと言えるような“影”があるんだっていうのを見せたくて」と語るのは橋本。ゲスト陣には「他力本願爆裂」と3人が笑うほど、豪華な顔ぶれがそろった。『三銃士』で主人公のダルタニャンを演じた井上芳雄(21日)のほか、小西遼生・壮一帆(20日)、中川晃教(22日)が日替わりで出演する。岸が「ゲストの人たちが普段見せないような姿も見せられたら」と語るように、意外な組み合わせが楽しめるのも、Mon STARSのコンサートならではと言えそうだ。リーダーの橋本は、「3人ともバラバラなのに、それが不思議と一致する。そこで生まれる唯一無二の奇跡的なエネルギー」とMon STARSを表現する。そのエネルギーを最大限に感じられる場所こそ、彼らの主戦場である生のステージ。彼らの熱い魂と魅惑の歌声、さらにたっぷりの笑いを会場で堪能しよう。取材・文:野上瑠美子
2018年01月09日石原さとみが4年ぶりに出演する舞台として話題の『密やかな結晶』。原作は小川洋子の同名小説で、次々とモノが消滅していく島で生きる人々の、日常と葛藤が描かれる。そこで石原演じる“わたし”と生活を共にし、彼女を支える“おじいさん”役に抜擢されたのが、村上虹郎だ。舞台『密やかな結晶』チケット情報2015年の初舞台以降、年に1本のペースで舞台に立ち続けている村上。映像作品の印象が強い村上だが、舞台にかける思いは強い。「映像作品は、今後それが残っていくことを前提につくられていると思うんです。でも舞台は、今やらなきゃいけない、今やりたいことを、今観てもらいたいからつくっている。その空間を演者と観客が共有しているわけで。舞台は生ものなので映像とは全然違うもの。僕が今おじいさん役を演じられるのも、舞台ならではだと思います」。そう、この作品で村上が演じるのは、原作では“おじいさん”そのものとして描かれている人物。しかしこの舞台では、20歳前後の容姿を保ったままの“おじいさん”として登場することになる。「すごいテーマがきた!という感じでした(笑)。(演出の)鄭(義信)さんにお会いしていない段階でこの役をいただいたので、どういうことなんだろう?と考えているところです(笑)。過去に舞台で僕が演じた役は、どれも跳ねているイメージなんです。すごく危ういというか、舞台上にいたら目に止めてもらえる役。でも今回はどちらかというと“見守る”役。今までとまったく違う分、超楽しみではありますね」。そんな新境地ともいえる役どころに対し、村上はどのようにアプローチしていくつもりなのだろうか。「今まで演じてきた役に比べて、アプローチの道がたくさんあり過ぎて…。ただ共演者の皆さんの中には、僕より年上の男性がたくさんいらっしゃるので、まずはその方々がどう思っているのかを聞くことが、おじいさんを演じる上では一番リアルかなと思っています。その筆頭にいるのが鄭さんですね」。わたしとおじいさんの生活は、R氏という男性の登場、さらに秘密警察の介入によって大きく揺らいでいくことになる。「構造としてはすごくシンプルな話だと思います。ただすべてが抽象的で、秘密警察の正体も、モノが消滅していく理由もわからないまま。だから人によって受け取り方はさまざまだろうなと思います。でもこれだけは確実に言えます。この舞台は絶対に面白くなります!」舞台『密やかな結晶』は2月2日(金)から2月25日(日)まで、東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケットは現在発売中。また2月22日(木)18:30に追加公演が決定。追加公演のチケットは12月23日(土・祝)午前10時より一般発売。取材・文:野上瑠美子
2017年12月22日松本零士の代表作『銀河鉄道999』が、『銀河鉄道999~GALAXY OPERA~』として舞台化。2018年初夏、東京、北九州、大阪で上演される。その開幕を前に、原作・総監修も務める松本、星野鉄郎役の中川晃教、メーテル役のハルカ、クイーン・エメラルダス役の凰稀かなめ、車掌役のお宮の松によるトークショーが開催された。舞台『銀河鉄道999~GALAXY OPERA~』チケット情報『銀河鉄道999』とは、1977年に連載開始されたSF漫画。その後はテレビアニメ化、劇場アニメ化もされるほど人気を博した。物語の舞台は、裕福な人々が機械化人となり、永遠の命を手に入れた未来世界。母親を殺した機械伯爵への復讐を誓い、銀河鉄道999号に乗り込んだ鉄郎と、謎の美女メーテルとの旅の行方を描く。まず中川が「松本先生の作品からは“音楽”が聴こえてくるんです」と、松本作品と音楽の関連性について切り出すと、松本は子供のころからさまざまな音楽に慣れ親しんできたエピソードを披露。「私は音楽を聴くと、それが頭の中で映像になるんです」と語り、自らの作品と音楽が切り離せないものだと明かした。『~GALAXY OPERA~』という副題にもあるように、この舞台版でも大きな役割を担うことになる音楽。共にシンガーソングライターとして活躍する中川とハルカ、宝塚歌劇団六代目宙組トップスターの凰稀の歌声が、この劇世界を美しく彩っていくことは間違いない。一方「お宮さんは…」という中川の振りに、お宮の松が「何にもない!この汚い声で何で車掌に選ばれちゃったんだろう!?」と自虐的に切り返すと、会場はドッと笑いに包まれた。メーテル役に大抜擢されたハルカからは、メーテルの女性像についての質問が。「先生が今までに出会われた恋人なのか、理想の女性なのか、母親なのか…?」との問いに、「全部が混じっていますね」と松本。続く「厳しくも強い、そして相手のプライドを傷つけない女性」との言葉に、ハルカは「そういう女性を演じられるよう精進したい」と意気込んだ。また作中の宇宙銃などは、松本が過去実際に目にしてきたものがモデルになっているとの話も。すると凰稀からは「舞台上の小道具もすべて漫画と同じサイズになっています。そんなところにも注目してもらえたら」と、コアなファンにはたまらない裏話も聞かれた。今なお多くの人々を魅了する、愛と友情と冒険の物語。その舞台版で座長の中川は、「明日からもまた頑張ろうと思えるエンターテインメント」を目指す。その完成形がいかなるものか、来夏の開幕が待ち望まれる。公演は6月23日(土)から30日(土)まで東京・明治座にて。その後、北九州、大阪を巡演。取材・文:野上瑠美子
2017年12月06日『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)で、歴代最長の9年間にわたり“歌のお兄さん”を務め上げた横山だいすけ。現在は、ミュージカルコンサートツアー『だいすけお兄さんの世界迷作劇場 2017-18』で全国を巡回するほか、ドラマやバラエティなど多方面で活躍している。来春には、自身最大規模となる『横山だいすけ Family Live 2018 in 大阪城ホール』を敢行。本公演のゲストとして、鈴木福の出演が決定。今回は横山と鈴木福にライブを前にした心境を聞いた。【チケット情報はこちら】大阪城ホールといえば、1万人以上を収容する関西最大級のホール。『おかあさんといっしょ』時代に何度もその舞台に立ったことがある横山も、決定の知らせを聞いた時はさすがに足が震えたという。「本当ビックリしましたよ。“えっ、お、大阪城ホール!?”って(笑)。しかもこのライブでは、今まで僕がやってきたものとはまた違う、真逆からのアプローチに挑戦してみようと思っています。これまでの僕が優しい、あたたかい歌を届ける役割だったとすれば、今回目指すのはもう少し総合的なエンターテナー。“コンサート”よりも“フェス”に近い、日常では経験出来ないような躍動感あふれる空間にしたいと思っています」自ら「どちらかといえば“妖精”的な立ち位置にいたので」と笑うほど、歌のお兄さん時代はその存在自体が謎に包まれていた横山。しかし今回のライブでは、等身大の、生の横山だいすけの魅力を存分に堪能することが出来そうだ。さらに……。「製作チームにはまず、『エルビス・プレスリーみたいな感じで』と言われたんです(笑)。最初は横山だいすけとプレスリーって全然違うところにいると思ったんですが、もしかしたらものすごく面白い掛け合わせかもしれないなと。今はそういったいろいろなアイデアを、みんなで出し合っている段階。それが受け入れられるかは正直わかりませんが、横山だいすけの新たな魅力を十分に感じてもらえるような、そんなライブにしたいなと思っています」さらにライブを盛り上げるのがゲストの存在。鈴木福は、「だいすけお兄さんのことは幼稚園のころに見ていて、ずっと明るくていつも面白いなと思っていました。今回、だいすけお兄さんには歌についていろいろ教えてもらいたいですし、何より一緒に歌えるのがすごく楽しみです!」と目を輝かせる。すると横山も「うんうん、一緒に楽しもう!僕らが楽しめば、きっと観ているお客さんにもその楽しさは伝わっていくと思うから」と満面の笑みを浮かべた。公演は2018年4月14日(土)・15日(日)。なお、ぴあでは『横山だいすけ Family Live 2018 in 大阪城ホール』の先行抽選プレリザーブを実施中。受付は12月13日(水)午前11時まで。取材・文:野上瑠美子■横山だいすけ Family Live 2018 in 大阪城ホール日時:2018年4月14日(土)開演11:00~/15:00~4月15日(日)開演11:00~/15:00~会場:大阪城ホール(大阪府)
2017年12月05日傑作小説を原作に、作詞家レスリー・ブリカッスと作曲家フランク・ワイルドホーンが生み出した、世界的大ヒットミュージカル『ジキル&ハイド』。日本でもその人気は高く、2001年の初演以降、今回でなんと7度目の上演を数える。そこで新たにエマ役に抜擢された宮澤エマに話を聞いた。ミュージカル「ジキル&ハイド」チケット情報近年ミュージカル女優として大活躍中の宮澤。そんな彼女にとってもこれだけの名作、さらにジキル博士&ハイド氏役の石丸幹二との共演は、大きなプレッシャーだという。「正直とてもビックリしました。歴史ある作品の一員にしていただけることはとても嬉しいのですが、やはりお客さまの期待値も高い作品だと思うので…。しかもミュージカル界のスターである石丸さんとの共演ですから。石丸さんって歌がうまいというのを超越した、違う次元にいらっしゃる方だと思うんです。そういった方と一緒に歌わせていただく以上、そのレベルに見合ったものをお届けしなくてはいけないなと思っています」。宮澤演じるエマは、ジキルの婚約者であり、彼を深い愛情で包み込む心優しい女性。「エマ役が決まった時に、『ぴったりだとは思うけど、ある意味この作品の中で一番難しい役だよね』ということをよく言われました。エマはあまりキャラクターのない、いわゆる“お嬢様”に思われがちですが、実はとても強い女性。何があってもジキルを愛し続ける、その強さはいったいどこからくるのか。そして外見の可憐さと内面の強さ、そのギャップをいかに表現していけばいいのか。非常に難しい課題ではありますが、前回、前々回とエマ役をやられた笹本玲奈さんがルーシー役で出演されるので、いろいろ指導していただけたらなと思っています」。一線を越えてしまったジキルにも、揺るぎない愛を捧げるエマ。さらにハイドに翻弄されていく娼婦のルーシー。果たしてこの物語は、今の観客に何を訴えかけるのか。「いろいろな要素が詰め込まれたミュージカルだと思います。人が人を信じ続ける強さや美しさ。いけないとわかっていても人を愛してしまう刹那。――そういった人の生きざまみたいなものを見せられる作品なのかなと。そしてエマがリアルで、魅力的であればあるほど、物語が持つパワーみたいなものをしっかりとお客さまに伝えられるのではと思っています。決して安いチケットではありませんが、次の日から考え方が変わるような経験が出来る作品だと思いますので、ぜひ劇場へ足をお運びください」。公演は、2018年3月3日(土)から18日(日)まで東京国際フォーラム ホールC、3月24日(土)・25日(日)は愛知県芸術劇場 大ホール、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。東京・大阪公演のチケットは発売中。愛知公演は12月9日(土)一般発売開始。取材・文:野上瑠美子
2017年11月24日「東洲斎写楽は女だった…?」という大胆な切り口から、江戸・寛政の世で活躍する芸術家たちの奮闘を追ったミュージカル『戯伝写楽 2018』。8年ぶりの再演を前に、作の中島かずき、初演に続き主役の斎藤十郎兵衛を演じる橋本さとしに話を聞いた。ミュージカル『戯伝写楽 2018』チケット情報中島が「クリエイターの話は書いていて楽しいですし、結構気に入っている作品」と自負する本作。1997年まで劇団☆新感線の劇団員だった橋本も、「やっぱりどの作家よりも自分の気持ちを分かっていただいていますよね。言葉ではなく、セリフの中で会話してきてくれる感じ」と、本作に対する思い入れの強さを滲ませる。そんな橋本演じる十郎兵衛とは、写楽の正体ではないかとも言われる男。中島は「誰かをフォローすることで輝くような役をさとしにやらせたら面白いと思って」と語り、それが自身にとっても新たな挑戦だったと明かす。再演に当たり、新演出として河原雅彦が担当する。中島は「ちょっとアングラな感じになったら面白い。前回が宝塚フレーバーだったら、今回は小劇場フレーバーに」と笑うと、橋本も「リーダー(=河原)は人間描写がかなり細かいので、一人ひとりのキャラクターがもっと明確になるのでは」と期待する。また初参加の中川翔子が、ただ絵を描くことを求め、十郎兵衛と組むおせいを演じる。中島は「やっぱりオタク気質の子ですからね。写楽にも通じる、ある種クレイジーな部分を見せてくれるのでは」と分析。一方橋本は「天真爛漫に見えて意外とウェットな、影のある女優さん。その影がおせいちゃんにも反映されていくのでは」と予想する。初参加組には壮一帆や村井國夫らキャストのほか、新感線でもおなじみの森雪之丞が作詞に名を連ねる。「色を重ね刷りしていく浮世絵のように、初演とは違う色が入ることで、また全然違った絵になっていくんじゃないかな。……とうまいことを言ってみました(笑)」との中島のたとえに、「さすが!」と感心しきりの橋本だった。ちなみに本作と同時期に新感線では『髑髏城の七人 Season月』を上演中。こちらの≪下弦の月≫には、ストレートプレイ版『戯伝写楽』で十郎兵衛役だった宮野真守が主演を務めている。その不思議な縁に、「2作品をはしごするのもいいですね」と橋本。さらに「(髑髏城の舞台の)関東平野から江戸の町へ。つまり江戸が出来る話から江戸の熟成期の話へ」と得意げな顔を見せると、中島から「うまいね!」とのお褒めの言葉が聞かれた。公演は2018年1月12日(金)から28日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは抽選先行プレリザーブを受付中。取材・文:野上瑠美子
2017年10月27日