編集部:学研キッズネット編集部お手紙体験を通して、世代を超えた交流が実現2019年3月7日(木)、神奈川県藤沢市にある「ココファン藤沢SST」で、高齢者と保育園児たちがお手紙体験をしながら交流する、世代間を越えた新しい取り組み、学研ココファン×郵便局「はじめてのおてがみ」が開催されました。ココファン藤沢SSTは、保育園が併設されたサービス付き高齢者向け住宅。毎月、高齢者と園児が歌を披露しあうなど、「多世代交流」を行っています。さらに、保育園では郵便局の“お手紙ごっこ遊び”支援キットを使用して、日常的にお手紙ごっこ遊びをしているそう。今回は、高齢者と園児がお手紙交換を行うという、ほっこりするワークショップにおじゃましてきました。ココファン藤沢SSTでは、高齢者と保育園児の交流が盛んに行われているお手玉やあやとりで仲良くなってから、お手紙体験朝、1Fの交流ホールには、約10名の高齢者の方々と20名の園児たちが集合。それぞれがソファや椅子に座り、グループに分かれました。そして、高齢者の方々がお手玉やあやとりを園児たちに教え、レクリエーションが開始。手を取り合い遊んでいると世代の壁も一瞬でなくなり、ひとつにまとまったアットホームな空間が生まれました。園児たちが遊びを覚え、「お婆ちゃんすごい!」「もっと見せて」と歓声が。一方、高齢者の方々も「覚えるのが早いねぇ」「上手じょうず」と、目を細めながら見守る優しい眼差しが印象的です。分からないことは素直に聞き、優しく教えてもらい、うまくできたら褒められる。当たり前だけれど難しくなった、核家族化が進んでいる現在のコミュニケーション問題が、この空間では解消されていました。手を取り合いながら、あやとりを体験ふたつのお手玉を使って、仲良くコミュニケーションそして、15分ほどしてお互い打ち解け合うと、いよいよお手紙体験へ。この時間では、手紙の書き方を学びます。園児たちは、マーカーや色鉛筆などを使って、お手玉やあやとりを教えてくれたお婆ちゃんの似顔絵を。高齢者の方々は、平仮名で書いたメッセージに似顔絵を添えたりして、それぞれが、手紙に想いをしたためました。「上手に描けたね」と一所懸命に書いた手紙は、最後に切手を貼って、2つのポストに投函。「ありがとうございました!」と挨拶をして、ここで高齢者の方々はそれぞれの部屋に戻りました。はじめてのお手紙、上手に書けました!ひ孫さんへの手紙のように、1枚1枚、心を込めて書かれていました手紙を出すときは、切手も忘れずに「どれだけ入っているかな?」手紙をポストに投函人形劇で郵便局の仕事や郵便の仕組みをお勉強高齢者の方々とお別れした後、園児たちはソファに移動し、先生の「どうやって手紙が届くか知っている人?」という質問に元気よく手を挙げ、「ポストに入れる!」「電車!」などハキハキ大きな声で返答。その後、郵便局の仕事を紹介する人形劇を観覧しました。質問に対し、「ハーイ!」と元気よく手を挙げる園児たち人形劇の物語は、主人公の女の子まーちゃんが、お正月に祖父母の家へ行き、公園に連れて行ってもらったお礼の手紙を出すところから始まる。そして「集荷」「消印」「仕分け」「配達」を経て、一週間後に祖父母から返事が届くという手紙の旅を追うストーリー。郵便局の仕事と、手紙が届く郵便の仕組みを学びました。登場する郵便局の乗り物や、仕事、仕組みを真剣に見る園児たち。赤い郵便車やオートバイに、「あー知ってる!」と目をキラキラ輝かせ、仕事の場面では「ハンコ押したい!」など、郵便局の仕事に興味津々。みんな楽しそうに郵便について学んでいました。手作りの人形劇。郵便の仕組みをしっかりお勉強いよいよ手紙を回収して配達へ!そして、いよいよ実演。先ほど学んだことを思い出しながら、高齢者の方々に手紙を届けます。園児たちは、「しゅうか」「けしいん」「しわけ」「はいたつ」と、4つのグループ分けしたバッジを胸に付け、先ほどポストに投函した手紙を高齢者の方々へと届けます。まずは、しゅうか係が2つのポストから手紙を回収。郵便マークがデザインされた青い郵便バッグに手紙を入れて、郵便局となるセミナールームへ。しゅうか係がポストを開けると、たくさんの手紙が出てきました回収した手紙は、郵便バッグにしっかりと入れよう集荷された手紙は、「郵便でーす」と、けしいん係にバトンタッチ。日本郵便のキャラクター「ぽすくま」のイラストがあしらわれたかわいい消印スタンプを手に、1枚1枚ていねいにポンポンと消印を押しました。切手の上に消印スタンプを押すのが、けしいん係のお仕事「ぽすくま」がデザインされた、かわいい消印次に「お願いします!」と任されたのは、しわけ係。手紙に書かれた部屋番号やクラス名ごとに、それぞれ決められた場所に分けてまとめます。表や裏をひっくり返しながら、手紙に書かれた宛先をしっかり確認。お互いの手をクロスさせながら決められた場所に仕分け、間違えたらダメと、真剣な眼差しが印象的でした。「これはアッチ」と、お互いの手をクロスさせる、しわけ係手紙に書かれた部屋番号ごとに、しっかりと仕分け最後は、まだかまだかとウズウズ待っていた、はいたつ係の出番。部屋ごとに分けられた手紙を、郵便バッグに収納。インターホンで「はじめてのおてがみ」に参加したお婆ちゃんの部屋番号を押し、「お手紙でーす!」と元気よく伝えました。エレベーターで降りて出てきたお婆ちゃんに、大切な手紙を手渡し。「よくできたね。ありがとう!」と、お礼の言葉をもらってミッションが終了しました。部屋番号を押してお婆ちゃんを呼ぶ、はいたつ係無事にお婆ちゃんへ手紙を届けられました。読んでね!大役を任された園児たちは、達成感に満ち溢れ「またやりたい」と楽しみながら、郵便の仕組みも学べたようです。ワークショップを終え、参加された高齢者の方々は、「ひ孫のようなかわいい子たちと触れ合うことで、子どものころに戻ったような気分になりました。普段は、お手玉やあやとりはやらないけれど、不思議と昔を思い出して手が動きました。カラダが覚えているんですね」と、園児たちとの交流を楽しんだご様子。一方、園児たちも「お手紙をもらえて嬉しかったし、楽しかった~。またやりたい!」と目をキラキラ輝かせていました。そして、イベント終了後にスタッフの元を訪れ、「また遊びたいからはがきをください」とお願いに。はがきだけでなく、切手や郵便バッグ、消印スタンプなどをプレゼントされ喜んでいました。高齢者の方もたくさんのかわいい手紙にニコニコ新しいコミュニティーは、各世代にメリットがある温かい場所高齢者と保育園児が、一緒にお手紙体験や郵便局の仕事を学びながら、触れ合いコミュニケーションを深めていく。学研ココファン×郵便局による、新しいコミュニティーは心温まる場所でした。最後は、お婆ちゃんから届いた手紙を読んで、手紙の温かさを学んだ1日となりました2時間弱と短い時間でしたが、このワークショップを通して、園児たちは、手紙のやり取りの楽しさや郵便の仕組みを知ることができた、かけがえのない体験となったでしょう。さらに興味が深まるだけでなく、お年寄りをいたわる気持ちやマナーや挨拶が学べたはず。そして高齢者の方々は、笑顔が増え脳の活性化にもつながり、届いた手紙で元気が出たと思います。また、園児の保護者の方々も自分たちより上の世代から、普段忘れてしまいがちな“しつけ”をしてもらえるという、三者三様のメリットがある取り組みだと感じました。学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年03月27日昨今外国人労働者の受け入れが進んでいます。日本の少子高齢化を補う意味で今後さらに進められていくものと思われますが、トラブルも多くなりつつあるようです。 外国人の元彼が妊娠後帰国20代女性のBさんもトラブルに巻き込まれた1人。外国人留学生だったA氏と恋愛関係になり交際していた彼女は、ある日妊娠が発覚。Bさんは結婚を考えていましたが、元々遊び相手としてしか考えていなかったA氏は、その事実を告げられると逃げるように帰国してしまいました。裏切られたBさんは中絶を決意しますが、納得できない気持ちでいっぱい。A氏の所在地は把握しているとのことで、損害賠償を検討していますが、国をまたぐ形となっているだけに請求できるかどうか不安に思っているそうです。Bさんは損害賠償を請求することができるのか。虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士にお聞きました。 損害賠償を請求することは可能?齋藤弁護士:「日本法では、金銭債務の義務履行値は債権者の現在の住所地とする民法484条の規定を根拠として、日本の裁判所において審理を求めることは可能です。ただし、実際に手続を継続していき、債務名義という判決で勝訴を得るのは極めて困難です。理由は、領事館を通す、外務省を通す、など、手続に時間がかかってしまいますし、費用対効果を得られる請求なのかどうかの判断が必要になります。ただし、ご指摘の事情ですと、認知ですとか、養育費ですとか、子の将来にわたる重要事項が問題になっていますので、あきらめる必要はないかと考えられます。慰謝料請求を根拠とせず、認知・養育費の問題と整理してみるべきではないでしょうか」 外国人との交際はリスクもある国際結婚は今後増えていくものと思われますが、国をまたぐことになるだけに、「法的リスク」も存在することは間違いありません。そのことを理解したうえで交際したほうがよいかもしれませんね。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。) *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)外国人彼氏が妊娠発覚で国外逃亡︎損害賠償は請求できるはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。外国人彼氏が妊娠発覚で国外逃亡‼︎損害賠償は請求できる⁉️はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年01月28日「人生100年時代」といったテーマで、マスコミが高齢化を取りあげ、世間も関心を持つようになりました。高齢単身者の住まいについても注目が集まっています。住宅を所有したほうがよいか、賃貸のほうがよいか論議がすでに行われていますが、今回は、高齢になったときに持ち家の方がよいケースについて考えます。■ 1. 今、高齢単身者の住宅事情は?【IWJ】Image Works Japan / PIXTA(ピクスタ)総務省統計局・平成25年住宅土地調査によると、高齢者(65歳以上)がいる世帯のうち、高齢単身世帯は26.5%。さらに、高齢単身世帯のうち、33.9%は賃貸住宅に居住しています。1-1高齢単身者の賃貸需要と供給はアンバランスまちゃー / PIXTA(ピクスタ)今後、賃貸住宅の需要の多くを支える単独世帯が増加傾向にあります。国立社会保障・人口問題研究所による予測では、2035年の単独世帯(一人暮らしの人)の数は、2015年を100とすると、愛知では110.9、大阪では103.9、東京では103.6、福岡では100.3です。このことから、単独世帯における高齢者構成比は増加し、高齢単身世帯の賃貸需要も増えるといえます。1-2 大家さんは住宅を貸したがらないfreeangle / PIXTA(ピクスタ)高齢単身世帯の賃貸需要が増えてもそれに伴う供給がうまくいかないのが現状です。大家さんは次のことを懸念し、高齢単身者に住居を貸し渋っています。年金収入のみで家賃が払えないのではないか身内が高齢者ばかりで、連帯保証人がいない室内で孤独死する可能性が、若者よりも高いごみ置き場まで歩くのが億劫で、部屋や共用部に溜め込み不衛生になるこれらの理由から、高齢者に住宅を貸したがっていない大家さんが多く、高齢単身者の賃貸住宅の需要と供給のバランスは崩れているのです。■ 2.高齢単身者で持ち家を所有するメリットは?住宅を所有する高齢単身者のメリットと、さらにお得に住む方法を考えてみましょう。2-1 寿命が長くなると、持ち家の方が安く済むEKAKI / PIXTA(ピクスタ)35歳で4,000万円の家を30年ローン、金利1%、頭金、ボーナス返済なしで買ったとします。月の返済は129,000円で65歳には完済します。固定資産税などを考慮しない、純粋な家賃返済の返済金額は4,644万円です。一方、35歳から65歳まで月10万円の賃貸に住み、65歳から90歳まで8万円の賃貸に住んだとします。更新料や初期費用を考慮しない、家賃のみの合計金額は6,000万円です。長生きすればするほど、賃貸は費用が掛かります。持ち家は、支払いが終われば自分の資産になり、売却することもできます。売却の際は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例」が適用になりますので節税も可能です。2-2 住み替えのリスクがないおおたま / PIXTA(ピクスタ)高齢になると、バリアフリーに変更するなど、改修することも考えられます。賃貸の場合は、基本的に入居者都合での大掛かりな工事は認められないので、使い勝手が悪くなったら、住み替えしなくてはなりません。しかし、1-2で述べたような理由で、次の住まいが見つからない可能性があります。持ち家の場合は、自分の家なので、工事は自由です。マンションの場合も、規約による制約はありますが、賃借よりも自由度が高くなります。住宅ローンの審査に通り、支払いさえすれば、無収入でも住み続けることができます。2-3 メリットを多くするためのポイントはPIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)メリットを享受するためには、物件選びの際に次のことが必要です。都心でアクセスの良いところ、駅から近い物件を選ぶ大規模マンションのほうが共用部分のグレードが高く、資産価値が上がる可能性があるタワーマンションの上層階は下層階と評価額は同じでも、資産性は高くなるこれらの条件を満たす物件なら、資産価値が上がり、売却や相続の際に有利となります。■ 3.住宅を買うべきでない場合はこんなケース以上のように高齢単身者が家を持つメリットはたくさんありますが、下記のような人は、住宅購入のメリットが少なくなる可能性があります。該当する人は、デメリットを理解したうえで購入するかどうか判断すべきです。3-1 住宅ローンの返済が65歳以上まであるkai / PIXTA(ピクスタ)多くの人が65歳以上になると給与が減る、仕事に就かないなどの理由で、それまでに比べ、年収が目減りします。今までと同じ金額の住宅ローンを支払うことは、家計の負担になります。そのために、住宅ローンが65歳までに返済できる計画が難しい人は、住宅購入を再検討すべきです。3-2 自宅用に50平方メートル以下の物件を検討しているfreeangle / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン控除を受ける際、「延床面積、または専有面積が50平米以上」という要件があります。単身用のマンションを買う場合、この要件に引っかかり、控除を受けられない物件が意外に多くあるので注意が必要です。面積は登記事項証明書に記載されている広さで判断します。50平米未満ですと、登録免許税などのほか税制でも要件から外れるものがいくつかあります。購入するなら50平米以上の物件をおすすめします。3-3 住宅ローンを利用予定だが勤務年数が短いGraphs / PIXTA(ピクスタ)勤務年数が短い人は、審査で落とされる場合があります。また、希望融資額よりも少ない額しか融資されない場合もあります。結婚している人ならペアローンなどで融資を増額できますが、単身の人は、自分の所得のみで判断してもらうため、融資増額の可能性は少なくなってしまいます。現金で補てんする方法もありますが、無計画に現金を充てるのは危険です。あと数年、賃貸や実家に住んでから購入することも視野に入れ、もう一度考えましょう。■ 4.まとめYNS / PIXTA(ピクスタ)寿命が延びるということは、その分、住まいにかかる費用も増えることを意味します。費用面から考えて、若いときから持ち家に住む方が安価な場合も出てきます。高齢になったときの資金返済計画やリフォーム計画を考えて、自分に合っている住まいはどちらか、もう一度考えてみましょう。
2018年12月13日子どもの習いごとのコーチ、担任の先生など、子どもの指導役が「年の近い男性」であることは意外に多いものです。男性指導者には、女性と違った視点や接し方などがあり、子ども、特に男の子にとってはメリットがたくさんありますよね。けれど、心理カウンセラーとしてお仕事をしていると「子どもの男性指導者」との付き合い方でトラブルを抱えてしまう事例もちらほら聞こえてきます。その内容は「向こうからアプローチされて困っている」といったものから、反対に「会うたびにときめいてしまう自分がいる」といったものまでいろいろです。もしも当事者になってしまったら、どうすればいいのでしょうか?今回は、子どもの男性指導者とのほどよくうまい付き合い方について考えていきます。■男性指導者と子どものママ「え、こんなことが?」トラブル事例子どもの指導をしてくれる男性と、子どものお母さん。その2人の間で生まれるトラブルにはどんなものがあるのでしょうか。例えば、子どもをサッカークラブに通わせていれば、子どもと指導者との関係を良好に保つために、コーチに対して親しみのある接し方をするのは自然なことですよね。しかし、あるときコーチから「今日もおキレイでしたね」といった内容のメールが届いたらどうでしょう。子どもの先生だからとやさしく接していたことで「もしかして俺に気があるのかも」と勘違いされ、好意をもたれてしまうことも現実にあります。なかにはコーチからのアピールが露骨すぎて「あのママ、先生にえこひいきされているわよ」とあらぬウワサを保護者のなかでたてられてしまうケースもあるようです。 反対に、一生懸命指導してくれる熱意あるコーチの姿に、子どものママが好意を抱いてしまうこともあります。子どもの習い事を見に来ているつもりが、ついついコーチの姿を目で追うようになってしまった…。このような事例も少なくありません。では、こうしたトラブルやお悩みには、どう対処すれば良いのでしょう。■大炎上?「男性指導者とのトラブル」子どもを巻き込まないためには?男性指導者と自分との間でこれ以上の問題が起こらないようにするためにはどうしたらいいのか? まずは指導者からアプローチされている場合について考えていきましょう。このパターンはメールや電話など、相手からなにかしらのアピールをされている状況が多いことと思います。普通に考えれば無視すればよいだけ…ですが、子どもの指導者という立場の人を無下もなく拒否してしまうのは、母親として躊躇(ちゅうちょ)してしまうでしょう。では、どうすればいいのか。それにはいくつかの対処法が考えられます。例えば、以下のような対処が有効です。・メールの返信は、ほかのママたちもアドレスに加え、一斉送信にする。・2人っきりでは話さないようにする。・質問があるときは、ほかの保護者と一緒に直接聞きにいく。・必要のないプライベートなことは話題に出さない。・相手のプライベートについて聞かない。男性指導者からのアプローチには、上記のような具体的な行動が効果的です。メール連絡や質問などは第三者にも開示して、2人きりの話にならないようにしたり、プライベートな話題は出さないようにしたり…。こうした行動はすぐにでもトライしやすいと思います。では反対に、自分が相手に好意を持ってしまったときはどうしたらいいのでしょうか。この場合は、自分の気持ちが指導者に、あるいは周囲にもれないようにすることがとても大事です。好きな人がそばにいると意識しなくても目で追ってしまう…のは誰しも経験のあることではないでしょうか。こうなるのはごく自然なことですが、好意というものは客観視するのがなかなか難しいもので、自覚はなくても周囲に気づかれてしまう恐れがあります。周囲に気づかれ、あらぬウワサをたてられないためには、相手と極力接触しないことです。子どもではなく、指導者を見ている視線は必ず誰かに気づかれる。そう意識しておくだけで、気持ちは引き締まるでしょう。また、指導者に会うときだけ化粧が変わる、見た目を気づかうなどの行動も他人から見ると「あれ?」と思わせる変化となります。その点も注意するようにしましょう。■トラブル予防! 男性指導者との「線引き」向こうから「おや?」と思える不審なアプローチがあったときに頭に浮かぶのは、自分の返答次第で子どもに不利益が起きるかもしれない…といった不安ではないでしょうか。その不安がよぎるからハッキリとした拒絶の言葉を伝えること、行動することがためらわれてしまうものです。けれど、こうしたトラブルは抱える時間が長いほど心を憂鬱(ゆううつ)に、トラブルも大きくなりがちです。難しいかもしれませんが、子どものことはいったん横に置いておき、早めに「線引き」をすることが大切です。もし、どうしても身動きがとれないと思ったときは、心から信頼できるほかの保護者に相談してみるのもいいでしょう。フタを開けてみたら、実はほかの保護者にも男性指導者から猛烈アピールがあった…なんてことも少なくありません。「なんだ、私だけじゃなかったのか」とホッとして、ほかの保護者と共同戦線がはれる場合も。さらに、習いごとの送迎をお願いしたり、試合を一緒に見に行ったりと、夫に顔を出してもらうのも効果を発揮します。教え子のママに近づこうとする男性指導者の場合、夫という存在を目にすると気持ちがなえ、アピール行動がおさまることもあるようです。一方、ママが男性指導者に、本気で好意を持ってしまったケース。そこで一度、立ち止まって考えてほしいのが、今の生活をすべてなくしても一緒にいたいと思えるのかどうかということです。これをじっくり自問してみましょう。指導者という立場のため、相手のことが現実以上に美化されて見えていないでしょうか? 今の生活になにかしらの不満があり、相手は自分を別の世界に連れていってくれる王子様のように思ってはいないでしょうか? 気持ちをフラットにして、じっくり考える時間を持ってみると、本当の自分の気持ちが見えてくるかもしれませんね。ただ、指導者の存在が自分の活力となっている場合は、その気持ちを持ち続けるのは、決して悪いことではないと私は思います。元気な人と接すると、自分も元気になってきますよね。例えば、手の届かないアイドルに憧れるように、日常にちょっとしたうるおいを与えてくれる存在ととらえるなら、それもまたアリなのかもしれません。
2018年10月07日できれば避けて通りたいママ友トラブルですが、巻き込まれてしまったときにはどのように対処すればいいのでしょうか。経験者の先輩ママに話を聞いてみました!誰にでも平等に用意された落とし穴高校1年生、小学6年生の男の子がいる美帆さん(40代・仮名)の場合。「長男が幼稚園に入園して、ママ友が欲しかった私は、積極的に声をかけてあるグループと仲良くなったんです。でも、毎日のように続くランチ会にある日突然誘われなくなり、さらに皆から無視されるようになりました。失言があったらしいのですが、聞いても教えてくれなかったのでナゾのまま。でも、今ならわかります。特に理由はないけど、たまったストレスのはけ口に新参者の自分が選ばれてしまっただけだと」「私の場合は、PTAの役員がきっかけでした」と話すのは、大学1年の女の子がいる和美さん(仮名・50代)。「ミスをしてしまって。謝ったけどぜんぜん許してくれなくて、次第に吊るし上げのようなイジメに発展していきました。小学校はPTAが盛んで、疲れが溜まってきていた時期でした。誰でもいいからストレスをぶつけたいと思ったときに私がタイミングよくミスをしたのがきっかけだったと思います」違う世界のドアを開けてみたら…では、どのようにして乗り越えたのでしょうか。「一日中ママ友のことばかり考えていたときに次男の妊娠が分かり、しっかりしなきゃと自分に活を入れました。長男の育児と次男を無事に出産することだけに集中してるうちに、話したことのないママたちに話しかけられるようになって。彼女たちとは今でもよく会っています」と美帆さん。「任期をなんとか終えて仕事を始めたら、そっちで気の合う友人が出来て、PTAのママたちはどうでもよくなっていきました(笑)」なるほど。母は強しですね。たとえ落とし穴に落ちてしまったとしても、どこかにドアは見つかるもの。子どものためにも、笑顔を忘れずにいたいものです。PHOTO/Fotolia
2018年09月07日高齢化社会によって、年配の方の生活を助けるアイテムがとても増えた今日この頃。ついに大人気のイケアからサポート機能を意識した新シリーズ、「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」が登場しました。ブランドイメージ通り、シンプルでスタイリッシュなデザインはそのままに高齢者への配慮が温かいアイテム達は必見です!今回はその新シリーズ「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」をご紹介。■ あらゆる人が快適に使用できる思いやりが溢れるアイテム揃い!このシリーズの「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」という名前は、スウェーデン語で「思いやりがある」という意味。あらゆる人が快適に使用できるように考えられた、使う人に優しいシリーズです。高齢化社会が急速に進むなか、確かに高齢者に優しいアイテムが増えてはきたものの、まだまだ種類が少ない・高額・デザイン性が低くなりがち……などの懸念材料は多いものでした。今回の新シリーズでイケアが目指したのは、デザイン性と機能性を兼ね備えたアイテムばかり。開発に人間工学の専門家や作業療法士・介護業界の研究者たちが関わっており、ケアする側とされる側両方の視点で作られているので加齢を気にせず自立した生活を支えてくれます。■ カトラリーからクッションまで。デザイン性と機能性を兼ね備えたアイテムばかり!では、アイテムを具体的にご紹介していきます。●キャップオープナー¥149(税込)12㎝シリコンゴム製まずその値段に驚きます! シンプルで使いやすそうなデザインがグッド!高齢者に限らず、1人暮らしの女性などにも嬉しいアイテムですよね。●腰当てクッション¥1,999(税込)幅18㎝×長さ45㎝×高さ7㎝カバー洗濯可能マジックテープで家の椅子に簡単に付けられ、腰痛持ちの筆者にとってもすごく魅力的です!●プレート 滑り止め付き¥399(税込)20㎝強化ガラス製底にシリコンゴムが付いていて安定感があります。また、縁が高めに作られているのでスプーンなどの使用が完璧でない方も取りやすい仕様になっています。この他にも滑りにくいランチョンマットなどがあり、高齢者はもちろん小さなお子さんのいるお家にもとってもオススメ!いかがでしたか?たとえ些細に思えても、サポートの必要な方達からするとやはり嬉しい工夫が光る「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」シリーズ。ご紹介したアイテムは一部なので、カラー・サイズ違いから他のアイテムまで気になる方はぜひHPもチェックしてみてくださいね!【参考】※サポート機能に優れた思いやりシリーズ 「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」を発表※IKEA公式HP
2018年05月15日女性の社会進出が促進され、結婚をする時期が遅れ、必然的に出産のタイミングも遅れてしまうことがあります。こういった理由などで、現在高齢出産は増加傾向にあるともいわれているので、特に珍しいことではなくなっているでしょう。とはいえ、実際に高齢出産をしようとなると不安は山積み。事前の情報収集が大切です。その1●経験者が語る…高齢出産・妊娠のメリットは?高齢出産には、難産や流産など、様々なリスクがあるともいわれており、悪い面ばかりが先行しがち。でも、高齢出産経験者によると、メリットもあるといいます。具体的にどんなメリットがあるかというと…。▼続きはこちら▼その2●見落としがちかも…高齢出産・妊娠の悩みとは?高齢出産をする際の悩みといえば、「子どもが無事健康に生まれてきてくれるか」、「母体も健康でいられるか」などで目がいきがち。でも、実際に出産して子育てが始めると、予想していなかった苦労にぶつかることもあります。▼続きはこちら▼その3●高齢ママが妊娠・出産をしたいと思ったら…20代で出産をすれば、第二子が欲しくなったとしても、まだまだ年齢的に余裕があります。でも、高齢で第一子を出産すると、第二子、第三子はさらなる高齢出産に。もしも、高齢ママが「子どもをもっと持ちたい」と願うようになったのなら、どうすればよいのでしょうか?▼続きはこちら▼その4●デマも多し?高齢妊娠・出産にまつわる正しい知識インターネットで「高齢出産」に関して検索してみると、様々な「メリット」「デメリット」を謳う情報が散見されます。「高齢出産をすると子宮体がんの発生率が低下する 」「高齢出産で生まれた子どもはIQが高い 」「高齢出産を体験した女性の方が長寿 」など、様々な発表がありますが本当に事実?▼続きはこちら▼その5●高齢出産や妊娠は母体にもリスクを及ぼす?高齢出産や妊娠は、胎児に様々な影響を与えるというのは有名な話ですが、母体にも様々な影響があるそうです。東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師に、母体へのリスクをお聞きしました。▼続きはこちら▼その6●高齢出産・妊娠の時 産院はどうやって選ぶべき?高齢出産や妊娠の場合、産院選びにも慎重になりますが、どうやって選ぶべきなのでしょうか?東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師は、高齢出産によって自身に健康リスクがあるかどうかがひとつのポイントと話します。▼続きはこちら▼
2018年02月28日これから高齢出産を検討している人や、今まさに高齢妊娠をしてこれから出産を控える人にとっては、どこの病院で出産するのかは、すごく気になるポイント。高齢出産の場合、どういった観点で産院を選べばよいのでしょうか? 東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師にポイントをお聞きしました。高齢出産 自分に合った産院選びは自分の体を知ることから片桐医師は、まず「高齢出産に向けて自身に健康リスクがあるかどうかがひとつのポイントです」と話します。「高齢妊娠・出産の場合、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などといった母体への健康リスクの発症が高い傾向にあります。それまでは健康だったのに、妊娠を機にこうした症状が現れることも多く、高齢妊娠の場合その確率も高いのです」(片桐医師、以下同)また、自身の両親の疾病歴とその時の発症年齢を把握しておくことも重要だと片桐医師。病気のなかには遺伝傾向の高いものも多く、自分の両親と同じ年齢になったときに同じような症状があらわれるということもあるのです。「高齢妊娠だからという理由だけで、高次医療機関を選択する必要はありませんが、今の自分の健康状態や合併症などを きちんと把握して 医療機関を選ぶようにしましょう」ハイリスクケース 増加で分娩施設が集約化 産院は減少傾向にところで、最近では「産院が減少している」という話も聞きます。出産を控える人にとって、産院の選択肢が減ることは何とも不安ですが、いったいどうして?「背景には、高齢出産が増えたことなどによって、合併症を有する ハイリスクな出産症例が増えていることが上げられます。リスクを伴う分娩には、相応の施設や設備が必要となりますので、最近では分娩取扱施設の集約化が起きていることは事実です」ちなみに、最近では産科、産婦人科という言い方ではなく、レディースクリニックという病院もあります。これらの違いについては?「産科や産婦人科など、”産”という名前が入っている病院は、妊婦を扱っている医療機関 となり、妊婦健診 や分娩を取り扱っています。 産婦人科は、産科の領域だけでなく、婦人科の領域の診療もしている医療機関です。厳密なルールはありませんが、レディースクリニックの場合は、婦人科診療に加え、美容やエイジングケアなどにかかわる診療や、 女性医療全般を 対象とした診療を行っている医療機関が多いです 。なかには、妊娠ごく初期 の診察については対応している病院もあると思います」晩婚化や高齢出産の増加。こうした社会構造の変化は、施設数の増減に大きくかかわっているものの、最近では、産院の減少も下げ止まり傾向にあると片桐医師は続けます。自分の求める医療やサービスと、医療機関の特性のバランスをよく考えて、 自分にピッタリな産院を見つけましょう。(文・団子坂ゆみ/考務店)
2018年02月27日高齢出産は卵子の老化によって、胎児に様々な影響を与える可能性が高いというのは、すでにご存じの方も少なくないでしょう。では、母体へのリスクについては? 東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師に、高齢出産によって発生する母体への健康上のリスクについて、話をお聞きしました。妊娠をきっかけに高血圧や糖尿病を発症するリスクも高齢出産における母体への健康リスクとして、よく挙げられるのが「妊娠高血圧症候群」。妊娠20週から分娩後12週までの期間で、高血圧または高血圧にたんぱく尿を伴うもので、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないものをいいます。以前は「妊娠中毒症」などとも呼ばれていました(2005年に名称変更された) 。片桐医師は、妊娠高血圧症行群も、やはり加齢によって発生するリスクは高まるといいます。人間の血管には弾力性があり、心臓から押し出される血液の圧力に応じで緩やかに拡張や収縮を繰り返しているのですが、その弾力性も加齢によって低下。すると、血管が拡がらず、血管内を流れる血の勢いは増すとともに、血圧が高まるというわけです。「その他、妊娠していない時には現れていない健康被害が妊娠によって引き起こされることがあります。妊娠糖尿病などもその一例です」(片桐医師、以下同)元々、血糖値が高くなりやすい 傾向にあり、高年齢になったら発生するかもしれない 人が、妊娠をきっかけに糖代謝異常を発症するということもあるそう で、これは20代・30代の妊婦でも起こりうることですが、年齢が高くなるほど発症リスクも高まると片桐医師は話します。高齢出産の母体リスクを減らすためには家族の既往も先々の出産を考えているなら、しかも、それが高齢出産となりそうならば、やはり、日ごろから健康的な生活を送ることを心掛けておくことが大切となりそう。しかし、健康的な生活といっても、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠時間などは想像ができますが、その他に何かできることはあるものでしょうか?「自分の両親の疾病歴を調べておくということも、重要なことです。病気には遺伝性の強いものも多く、自分の両親が病気を発症した年齢に近くなれば、自分もその病気を発症する可能性も高くなると言えます。今の自分の健康状態だけでなく、隠れた健康状態を知っておきましょう。あとは、やはり肥満は様々な生活習慣病を引き起こす要因となるとともに、妊娠合併症の原因にもつながるので注意が必要です。また『やせ』にも注意が必要です」会社の定期健康診断などで自分の血圧や血糖値を定期的に計測していれば、自身の体の変化にも気づきやすいかもしれませんが、健康である限り、自分の健康には興味が薄くなるもの。高齢出産を検討するなら、まずは、自分の今と未来の健康状態を詳しく知ることから始めましょう。(文・団子坂ゆみ/考務店)
2018年02月24日「子どもや家族に迷惑をかけたくないから、将来は高齢者施設に――。そう考えている人は多いです。しかし、そのほとんどの人たちが、実際にどのくらいの総額費用がかかるのかイメージできず、不安をかかえていらっしゃいます」 そう語るのは、『介護施設&老人ホームのさがし方・選び方』の著書もある、齋藤直路さん。そこで今回、齋藤さんにサービス付き高齢者向け住宅の月額使用料や、介護度ごとの月額介護サービス費用(介護保険自己負担額が1割の場合)を算出し、生涯の総支払額をシミュレーションしてもらった。 「介護費用は各自治体によって若干変化します。今回の設定では、首都圏のベッドタウンを想定していますが、都心部の場合はさらに1割ほど高くなることが考えられます。また、介護施設の利用料金、要介護度の変化、入居期間は、複数の施設を調査して、一般的なケースを想定しました。死亡年齢は現在の女性の平均寿命87歳よりも4~5年延びることが予想されますので、92歳(93歳の誕生日の前日)に死亡すると仮定しています」(齋藤さん) 例:82歳のCさんは、要支援2になったことをきっかけに、サービス付き高齢者向け住宅に入居。介護付き有料老人ホームなどは、月々の介護費用が定額になっているが、サービス付き高齢者向け住宅は住宅という枠組みなので、外部の介護サービスを個別に利用するしくみ。Cさんがケアマネジャーと相談しながら、リハビリなどの通所サービスを組み合わせ、3年間、要支援2を維持。その後、要介護度が上がり、89歳時点で要介護5に。寝たきりの状態が4年続き、92歳で亡くなった。 【サービス付き高齢者向け住宅での介護費用シミュレーション】 (1)要支援2の場合(82歳~84歳)介護費用の目安:約6,000円月額利用料:約16万9,000円合計:約17万5,000円 (2)要介護1の場合(85歳~86歳)介護費用の目安:約1万6,500円月額利用料:約16万9,000円合計:約18万5,500円 (3)要介護2の場合(87歳~88歳)介護費用の目安:約1万9,500円月額利用料:約16万9,000円合計:約18万8,500円 (4)要介護5の場合(89歳~92歳)介護費用の目安:約3万6,000円月額利用料:約16万9,000円合計:約20万5,000円 82歳から92歳までの11年間で合計:2,511万6,000円(内訳:17万5,000円×36カ月+18万5,500円×24カ月+18万8,500円×24カ月+20万5,000円×48カ月。※敷金は入っていません) サービス付き高齢者向け住宅は介護の基本サービスに、安否確認と、日中の見守りがある、バリアフリーの賃貸物件。“サ高住”と略される。 「入居者の30%弱が、要支援2以下。要支援や要介護認定を受けていない、自立できている人も入居可能です。外出は自由ですし、今までの生活のペースを落とさずに過ごせるので、介護付き有料老人ホームに入居するよりも、心理的なハードルは低いといえます」(齋藤さん・以下同) サ高住は国からの補助金を受けられるようになり、一気に整備が進んだという。平成28年には21万戸と、過去3年で3倍に増えているほどだ。 「安価で利用しやすい施設がある一方、医療依存度が高い利用者専用の施設も登場しています。特別養護老人ホームの入居待機のため、一時的に利用する介護度の高い人も多いです。さまざまなニーズに応えるため、サ高住はそれぞれ得意分野を持っています。その“個性”を見極めてください」 形態は賃貸物件のため、介護サービスは、外部の訪問介護事業所や通所介護事業所を利用することになる。 「徒歩1~2分圏内だったり、サ高住物件に併設している事業所を利用する人が多いです」 物件オーナーが、併設している事業所を運営しているケースが多いため、時にはトラブルも発生する。 「家賃を安く抑え、その分、併設している介護サービスで収益をカバーするというビジネスモデルが確立しています。そのためサ高住の入居者は、利用限度額の8割、9割を超えた介護サービスを契約しているケースもあります」 もちろん、必要な介護は受けなければならないが、ごく少数、すべてのサービスを自社で囲い込み、最大限利用させる事業所がある。 「サービス内容が過剰でないか、しっかりとチェックする必要がありますし、もし納得がいかなければ、ケアマネジャーに相談し、別の事業所を利用しましょう。併設の事業所を利用しなければならない決まりはないのです」
2018年01月31日「高齢ドライバーによる事故が後を絶ちません。今月9日にも、前橋市で85歳男性の運転する車に、女子高生2人がはねられ重体になるという痛ましい事故がありました。実は、交通事故による死者数自体は減っています。昨年は3,694人と、統計データのある’48年以降で、最少記録を更新しました。しかし、昨年1月から11月までに死亡事故を起こしたドライバーを年齢別にみると、65歳以上が約3割を占めます。しかも、高齢ドライバーの割合は、年々増加傾向にあるのです(警察庁)」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。「うちの親は大丈夫かしら」と心配な人も多いのでは?家族が免許を自主返納するよう勧めても、それに応じない高齢者も多く、悩みの種だという声もよく聞く。そんな免許返納に抵抗のある人も、これなら受け入れやすいかも。荻原さんが高齢者の運転を見守る保険を解説してくれた。 「三井住友海上の『GK見守るクルマの保険』は、通信機能を持つ車載器と、スマホの専用アプリを用いて保険会社とデータをやりとりし、ドライバーの運転状況を見守るというものです。たとえば、急なハンドル操作や車のふらつき、また高速道路での逆走などがあれば、『逆走していませんか』などと警告します。事故の衝撃を感知したときは、保険会社からドライバーに電話が入り、安否確認と事故の初期対応などをサポートします。アラート情報や、運転を100点満点で評価した毎月のレポートは、本人だけでなく見守る側にも送られます。特に、親と離れて暮らす子ども世代には、親のふだんの運転状況がわかるので、安心できるのではないでしょうか。自動車保険の特約として付帯しますので、特約料は月300円。年払いだと、3,480円が保険料に上乗せされます」(荻原さん・以下同) ほかにも、同様の見守り自動車保険がある。 「損保ジャパン日本興亜の『DRIVING!』は、専用のドライブレコーダーを用います。ドライブレコーダーが運転データを記録し、車間距離が短くなるなど危険を察知すると、アラート音で警告します。事故の際は、自動的に保険会社に通報し、警備会社が駆け付けます。ドライブレコーダーには画像が記録されているので、証拠としても活用できます。特約料は、月850円。年払いだと9,720円です」 政府も、高齢ドライバーの交通事故削減に向けた取り組みを始めている。すでに昨年3月から、運転免許を更新する75歳以上の人への認知症テストを強化した。さらに「80歳以上のドライバーによる交通事故の死亡者数を、’20年には200人以下にする」という目標を立て、5年ごとに見直される「高齢社会対策大綱」のなかに盛り込む方針を固めた。’16年の死亡者数は266人。約25%の削減を目指す。 「交通事故は、被害者はもちろんですが、加害者とその家族の人生も変えてしまいます。心配だと思いますが、いきなり免許返納を勧めるより、今回紹介した保険への加入や、運転レポートなどをもとに、冷静に話し合うほうが賢明かもしれません」
2018年01月26日高齢者ドライバーによる交通事故がニュースでも取り上げられています。警視庁では高齢者ドライバーへ運転免許の自主返納の検討を呼びかけていますが、運転免許書は身分証明書として使っている人も多く、ごくわずかな人しか返納しないという実態もあるよう。あなたは自分が高齢者になったときどうしますか?Q.自分が「高齢者ドライバー」になったら、免許返納する?1.返納する予定 41.6%2.返納しない予定 6.9%3.わからない・どちらとも言えない 47.3%4.免許を持っていない 4.2%わからない・どちらとも言えないが47.3%がもっとも多いですが、返納する予定という人も41.6%とかなり多い結果になりました。車が必需品という地域に暮らしている人たちにとっては死活問題です。■田舎暮らしにとっては車がないと生きていけないもし車がなかったら、買い物や病院にも行くことができないという人がたくさんいました。お年寄りが一人家から出られないという生活しかできないというのも問題です。「田舎なので車がないと家から出られないです。将来、車がなくてもお年寄りに便利な社会になってるといいな〜。今は子どもたちの通学がすごく心配です」(島根県 30代女性)「田舎なので車は生活必需品。生命線といってもいいくらいです。買い物、病院、遊びに行くのもすべて車です。なので免許証返納は考えていません。呼んだらすぐ来てくれる超格安タクシーとかあれば考えるかもしれません」(埼玉県 40代男性)■誰かの命を奪ってしまう前に返納します何か起こってからでは遅いというのが返納する人の意見。誰かの命を奪ってしまってから後悔するよりは、返納して乗らないことを決める方が良いという考えのようです。「トラックに乗っているので怖さがわかるし、先のない年寄りが、先の長い若い命を奪うようなことはしたくないから返します。持ってたら絶対乗るもん」(愛媛県 40代男性)「実家の父は70歳を超えての車検時にやめさせました。赤信号でも行きそうになったり、怖いと感じたからです。なので、子どもたちに少しでも危険を感じたら言ってほしいと頼んであります。自分では判断しかねると思うので」(神奈川県 40代女性)「車は本当に便利なものだけど、使い方を誤れば凶器になるので、返納すべきだと思います」(大分県 40代男性)■お年寄りの足となる格安サービスがあれば…返納した人へのメリットなどがあれば返納を考えるという人も。多少お金がかかってもいいので、お年寄りの足となる交通サービスが充実するといいですね。「返納するといいたいところですが、今は言い切れない。最寄り駅までは車で15分、バス停まで20分、スーパーもコンビニも徒歩20分。返納した人や免許がない人に証明書を発行して、車の維持費と変わらないで利用できる格安交通手段とか作ってほしい。免許がある人は利用できなくすれば、返納する人が増えるはず」(神奈川県 30代女性)Q.自分が「高齢者ドライバー」になったら、免許返納する?アンケート回答数:4413件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年09月03日ここ数年で高齢者見守りサービスが爆発的に増えている。その理由としてあげられるのは、高齢化した親を心配する家族からのニーズが高まっていること。共働きや遠距離などの事情で、思うようなケアができない家庭も多い。 さまざまな企業で高齢者見守りサービス商品の開発が進むなか、ついに家庭用の見守りロボットが誕生!介護ロボット特区、北九州で生まれたドーナツ・ロボティクス社の小型ロボット「シナモン」だ。 「人工知能を使った会話や、監視映像などの送受信が可能です。医者や薬局、介護施設、そしてセキュリティ会社とタッグを組んで見守るネットワークサービスを進めています。また薬の飲み忘れを防止するソフトも開発し、『お薬の時間です』と話しかける機能付き。服薬の様子は録画され、日付で管理されます。家庭用はまず年明けに300台を目安に発売予定。利用しやすいように、本体とサービス料をセットにして、月々4,000〜6,000円の3年払いのようなパックでの販売になるでしょう」(代表取締役の小野泰助さん) また、認知症関連データを収集し、認知症の早期発見を可能にするリストバンド型や、徘徊対策として、足取り(移動の軌跡)やGPSの位置情報を確認できる腕時計型の機器を開発している企業もある。 機器によっては10万円を超えてしまうほど高価なものもあるが、低価格化も視野に入れた開発がなされている。“お年寄りのお家に一台は見守りロボット”なんて時代もそう遠くはないかも!?
2017年07月26日「日本の高齢化はこれからさらに加速し、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるのが2025年です。認知症患者も増加している一方で、介護職は常に不足。その溝を埋める手段のひとつが、民間の高齢者見守りサービスなんです」 そう話すのは介護ジャーナリストの小山朝子さん。高齢化社会時代はとうに過ぎ、いまや超高齢社会。来る“2025年問題”に向け、警備会社や電機メーカーも高齢者向けの見守りサービスに乗り出している。NTTデータ経営研究所の岸本純子さんによると、高齢者見守りサービスの市場規模は142億円以上とも。 「’15年に民間の見守りサービスを調べたときは120種類ほどでしたが、’16年の調査ではおそらく200以上のサービスがありました。1年で“倍増”しているといってもよいでしょう」(岸本さん) そして、今年10月からは、郵便局も全国参入を決定。全国津々浦々2万4,000局のネットワークを生かし、スタートするのが「郵便局のみまもりサービス」だ。 「’13年10月より、738の郵便局で試行してきましたが、今回は全国2万4,000局ある直営店に拡大します。試行中の旧・みまもりサービスを終了。同サービス名で8月から受付けを開始する予定です」(日本郵便担当者) もともとの構想は、新会社を立ち上げて専用のタブレット端末を開発し、各家庭に配布。安否確認に加えて、健康状態も管理できる複合サービスを予定していたが、実際には「採算ベースに乗せるのは困難」だったようだ。 「月1回、郵便局員などが訪問して生活状況の確認を行い、取り決めた連絡先にメールでお知らせする『みまもりでんわサービス』が基本プランです。オプションとして警備会社が駆けつける『駆けつけサービス』もあります」(前出・日本郵便担当者) 日程の詳細や料金等は調整中とのこと。旧サービス試行時のみまもり訪問サービスプランは月額1,980円〜だったので、目安になりそうだ。大手企業も取り組むこのサービス。親に“何かあったとき”の備えとして、知っておいて損はないだろう。
2017年07月26日*画像はイメージです:高齢者の運転する車の事故報道を見聞きする機会が増えたのではないでしょうか。よくあるのが、アクセルとペダルを踏み間違えるパターン。この操作をすると、意図せぬ暴走で惨事になることもあります。統計によれば、交通事故の総数は減っていますが、65歳以上の高齢者ドライバーによる事故の割合は増加しているようです。このデータもあり、2015年に道路交通法が改正されて75歳以上の認知症対策が免許更新時に行われ、免許返納制度も採用されました。 ■暴走が認知症による勘違いから起こったら問題は、たいていの事故が意図的な暴走運転ではなく、高齢者の勘違いから起こっていることです。もし、その高齢者に軽度の認知症が認められたとしたら、死傷者が出た場合でも罪に問われるのでしょうか?星野宏明弁護士にお訊きしました。「交通事故の加害者には、不法行為責任として、被害者に損害賠償をしなければなりません。これは民事上の責任で、たいていの方は事故に備えて任意保険に加入されていますよね。問題は刑事責任で、自動車運転過失致死傷罪に問われます」では、事故を起こした高齢者が認知症だったら?「これは認知症の進行具合によっては、刑事罰の責任能力がなく加害者本人は無罪となります。民事の場合は、運転していた加害者に監督義務者がいる場合、その人が相当の注意を尽くしていたと認められなければ、監督義務者が本人の代わりに賠償責任を負います。認知症が軽度だったり、減弱がある場合は、有罪に問われますが、執行猶予が付される場合もありえます」 ■認知症が認められたら運転させない環境を作る重度の認知症を患う高齢者が車を運転するというのは、非情に怖いことです。あげく、交通事故を起こして巻き込まれた側にとっては「そもそも、そんな人間が監督義務者が同乗していたとしても、運転させるのが間違っている」と憤りを感じるはずです。となると民事でなんとかしたいと訴えることになるのですが、星野弁護士によれば「認知症患者を介護している親族の負担と責任のバランスも考慮しなければならず、介護に疲弊していたり、運転ではいちいちどちらのペダルを踏んでいるか見るのは困難でしょう。また、高齢者が高齢者を介護することも珍しくなく、監督義務者に賠償するだけの資力がない場合もあります。単に誰かに責任を負わせればいいという問題でないのですが、それでは被害者の気持ちの持って行き場がなく、救済を図る方法の模索をしなければならないでしょう」と、現状では認知症患者に対する法や、被害者への救済が後手に回っています。ただし、「認知症でない高齢者が事故を起こせば、それはただの過失です。量刑は死亡結果や負傷結果にとどまるか、被害者の数、適用罪名等、ケースバイケース」とのこと。アクセルとブレーキの踏み間違いは若い人でもうっかりやってしまうことがあるので、慣れていることとはいえ、加齢に従って感覚も鈍くなりますのでご注意を。そして、高齢者が家族にいるなら、可能であれば運転させずに若い家族がハンドルを握る環境を作るようにしたいものです。 *取材協力弁護士:星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。Twitterアカウントはこちら)【画像】イメージです*sacco / PIXTA(ピクスタ)
2017年07月01日内閣府が行った「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年・対象は全国60歳以上の男女)で、《介護を受けたい場所》は男性の約4割、女性の約3割が“自宅”を希望している。国も’25年に向けて、病院のベッド数を15万床削減し、数十万人を自宅などで介護してもらう方向に舵を切っている。 しかし、一方で、子どもに迷惑をかけたくないという理由で、有料老人ホームや高齢者向け住宅を選ぶ人も多い。さまざまな形態が存在する高齢者施設&住宅。そんな、高齢者施設&住宅の事前に知っておくべきポイントを、『介護施設&老人ホームのさがし方・選び方』の著者で介護施設コンサルタントの齋藤直路さん、くらしとお金の学校代表理事・長沼和子さん、『後悔しない 高齢者施設・住宅の選び方』著者の岡本典子さんの3人が教えてくれた。 【1】高額なホームでも要チェック 「介護付有料老人ホームは入居一時金が0円の施設もあれば、2億円の施設もあります。多いのは500万〜2,000万円。しかし高額だから“介護のケアもいいはずだ”と思い込むのは危険です。高額なものは立地やホテル並みの建物に対する費用であることが多く、介護レベルは別問題。必ず体験入居などで事前チェックを」(齋藤さん) 自立型は元気なうちから入居でき、介護型は介護が必要になってから入居する。介護も24時間体制で、最近では看取りも可能な施設が多い。 「月の費用は、介護費用、管理費や光熱費、そのほかの生活費などを含めると最低18万〜20万円以上が必要です。ここで問題となるのは“長生きリスク”。予想以上に長生きして、月の支払いが困難になるケースも多く、場合によっては退去を言い渡されることも」(長沼さん) 【2】“入居待ち”大幅減の特養 特別養護老人ホーム(特養)は民間より費用が安く、順番待ちのイメージがあるが……。 「入居条件が65歳以上で要介護3以上と引き上げられたため、入居待ちは大幅に緩和されています」(長沼さん) 住居費、食費、雑費などを含めても、多床室なら月8万円〜、個室は月15万円〜。 【3】認知症ケアには早めの検討を 「グループホームは、自宅で生活するのが困難なレベルで要支援2以上の認知症の高齢者が生活する施設。24時間体制でスタッフが常駐していることも安心につながります。月の支払いは17万円ほどです」(長沼さん) 入居時に自力で食事や入浴ができることが前提、症状悪化の前に検討したい。なかなか空きがないといわれるが……。 「近年空きが出始めたとの報告も。まめに問い合わせるとよいでしょう」(齋藤さん) 【4】選択肢が広がったサ高住 「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、日常生活や介護に不安を抱き始めた人が、安心して暮らせるように国の補助金を一部受けて、開設された住宅です。要介護や要支援の認定を受けた人、または認定を受けていなくても60歳以上の人なら入居できます。生活相談や安否確認などの生活サービスの提供があり、建物は一定基準を満たしたバリアリーフです」(齋藤さん) 通常の賃貸物件と同じように、15万〜30万円の敷金、礼金が必要な場合が多い。月の家賃は10万円前後の物件もあるので、まとまった預貯金がなくても入居が可能。 「介護が必要になれば、サ高住に併設されている介護事業所を中心に利用するケースが多いです。家賃に介護費用は含まれておらず、利用状況によって料金が発生します」 看取りまで可能なサ高住もあり、物件数は伸びそうだ。 【5】誰にも頼れない高齢者は? 老後資金に余裕がなく、主に60歳以上で一人暮らしの要支援者を受け入れているのがケアハウスだ。 「自治体の助成があるために民間の有料老人ホームよりも安価です」(齋藤さん) また自立生活確保のため居住機能と福祉機能も併せ持つ。 「食費や管理料も含め月に7万〜15万ほど。生活相談、緊急時対応も受けられます」 これらの施設の対応は今後、変更される可能性がある。常に最新情報の確認が必要だ。
2017年04月17日*画像はイメージです:離れて暮らす実家の両親、なかには、もう父母のどちらかが亡くなって気丈に一人暮らしをされているケースも少なくないでしょう。祖父や祖母が健在の場合も、後期高齢者のみの暮らしで、心配事は尽きません。高齢者であることを利用して金を余分に巻き上げようとする業者も少なくないからです。たとえば、こんなケース。子どもが働きはじめて家を出て、退職金で終の棲家を郊外に購入したUさん夫婦。田舎に移り住んで、もう間もなく25年になろうとします。となると、家の壁など、さまざまなものが壊れ始めます。購入時からセットされていたガス給湯器が壊れ、追い焚きができなくなってしまいました。地元のガス会社に修理してもらおうと問い合わせると、若い社員がやってきて、25年前の機種で部品がなく修理できず、全交換になるとか。彼が出した見積もりは本体のみで40万円超え!クレジットカードは使えないそうです。このことを、息子さんが実家に電話した時、はじめて聞かされたそうです。「その人も若いのに難しいことをよく覚えていてね、一生懸命話してたわ」と褒めるお母さん。しかし、息子さんは激怒しました。「褒めてる場合か、そんなの詐欺じゃないか!絶対そこで買うな!」 ■息子が激怒した「悪徳なやり口」なぜ息子さんは激怒したのでしょう?実は母親は、業者から機種の説明を一切受けていませんでした。機能により、値段がだいぶ違うのです。ところが、選択肢を示さずに説明もなく前と同じ最上位機種をもっとも高価な機種を高い代金のまま値引きなしで売ろうとしていました。これも調べてみると値切り交渉で、半額近くまで値が下がることがわかりました。このように、業者が説明を怠り、高い値段で売りつけようとしたことに息子さんは激怒したのです。それを褒めるなんて、というわけです。 ■情報格差の罠を考慮した法律がある!しかし、ここで疑問が湧きます。聞かなかった母親のほうが悪いのでしょうか?星野法律事務所の弁護士、星野宏明先生にお伺いしました。「このケースでは事業者と一般消費者の情報格差がはっきりしています。このような情報格差を考慮して、一定の場合に契約取消ができる“消費者契約法”が用意されています。虚偽の事実を説明して誤信させて購入契約させている場合には、たとえ商品を提供していても刑法上の詐欺罪になるケースはあります。その他、契約取消の場合は、代金返還義務があります。ただ、この場合は虚偽の事実を説明していないので、詐欺罪には問われないでしょうが、説明不足は否めません」(星野弁護士)25年もガス給湯器を使っていれば、使っていない機能もあるはずで、ほかに安い選択肢があるとわかれば、そちらを選ぶこともできたでしょう。息子さんが電話をしなければ、その見積もりでお願いしていたようですが、事前で回避、別の良心的な業者で安く交換を済ませました。しかし、そのまま業者の見積もりだけを鵜呑みにして、後から分かったとしたら、キャンセルできるのでしょうか? ■業者に落ち度があるならば代金変換も「消費者を保護するために、訪問販売等によって契約した商品を業者に落ち度があるかどうかにかかわらず無条件解約できるのが“クーリングオフ”です。思わず契約してしまっても、あとから不要だとおもったら取り消しはできます。法律で定められた事項が書かれた契約書面(法定書面)を受け取った日を1日目として起算して、クーリング・オフ期間は8日間です。この期間内なら無条件で解約ができます。また、クーリングオフ期間を過ぎた場合でも、“不実告知”(事実と異なることを告げる、確実ではないことを確実であるように言う、リスクを告げない)など“消費者契約法”が定める取消事由があれば取消の上、代金返還が可能です」(星野弁護士)なぜ機種について一切説明をしなかったのかを業者に迫り、クーリングオフも辞さないという態度で息子さんが交渉をすることで、仮に契約していたとしても戦うことは可能でしょう。修理で済むかどうか見てもらうために業者を呼んで、その場で全交換といわれた場合はともかく、最初に「買い替えたい」と呼んだ場合はクーリングオフ適応外になる場合もあると星野弁護士は指摘します ■実際に裁判になるケースはある?「刑事事件は、詐欺罪の構成要件を満たしていれば立件もありえます。クーリングオフや契約取消代金返金だけの場合、消費者事件は金額は少ないことが多く、弁護士に相談して裁判を起こすのは費用倒れに終わることが多いので、よほど高額な被害でない限り裁判までというケースは少ないのが実情です。被害額が少額の場合、実際には消費者生活センターなどに相談して解決することも多く、妥当ともいえます」(星野弁護士)手を打つのが遅く、購入されていた場合は、あきらめずに業者と消費者センターへの交渉を。また、弁護士の知人がいれば、内容証明を出してみると悪徳業者も態度を豹変させるかもしれません。ちなみに、件の業者に改めて機種についての説明と見積もりの出し直しを電話で問い合わせたところ、例の若者は担当を外れているの一点張りで少しお待ち下さい、と下手に出てきたそうです。短期の契約営業マンだったのかもしれません。こうした営業マンは近隣に飛び込みで営業をかける場合もあり、老人家庭と見るや丸め込みにかかります。この場合は紛うことなき訪問販売ですから、誤って購入した場合はクーリングオフを! *取材対応弁護士:星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月13日こんにちは。元教習指導員の奈都木あやです。近年、高齢運転者(65歳以上)による交通事故が頻繁に取り沙汰されるようになりました。平成28年10月には横浜市で、87歳の男性が運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込みました。 この事故で、小学1年生の男児が亡くなりました。この報道に胸を痛められた方は多いはずです。子育て中の方は、わが子の身の危険をひしひしと感じられたのではないでしょうか。また、自分の親がそろそろ高齢ドライバーの域に入り、不安を抱えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。子育て世代は、被害者側の家族にも加害者側の家族にもなり得る世代 ということになります。そこで、わが子が被害者となるリスクを減らす心がけと、高齢ドライバーの家族が加害者とならないための対応をご紹介します。●高齢ドライバーの事故発生状況悲惨な事故が報道されるたびに、最近はずいぶん事故が増えたな……と感じてしまいますが、実際のところはその逆です。警視庁によると、都内の交通事故件数は年々、減っています。平成27年には、10年前の半数以下となりました。しかし、それに反して高齢ドライバーが関与した交通事故の割合は、年々高くなっています。平成27年には、10年前の約1.9倍にまで増えました。また、自動車乗車中と歩行中の事故が特に多く、7年ぶりに自動車乗車中の死者数が歩行中を上回りました(平成28年上半期)。高齢化はこれからも進む一方。平成27年のデータでは、免許保有者全体の5人に1人程度が高齢者という状態です。今後も高齢者が関与する交通事故は増えると考えられ、もはや他人事ではない状況です。●高齢ドライバーの特性と特徴的な事故●高齢ドライバーに多い運転特性・「相手が止まってくれるだろう」という判断の甘さがある・相手を発見していても、判断ミスで対応が遅れたり、ブレーキを踏まない・アクセルやブレーキの操作が遅れる・右左折時に視線を切り替える回数が少ない。そのため、進行方向を見る時間が長くなる傾向がある●高齢ドライバーに多い事故(1)バックアクセルとブレーキの踏み間違い事故はしばしば報道されています。踏み間違いは前進でもバックでも起こり得ます。しかし、前進に比べ、バックは運転が複雑になることから特に注意が必要です。ところが、子どもはバックしてくる車の後ろを平気で横切ってしまうことがあります。ブレーキの踏み間違いで店に車ごと突っ込んでいる事故の様子が報道されていたら、お子さんに見せてあげてください(強いショックを受けてしまいそうなお子さんには、簡単な図を描いて説明してあげましょう)。「もし、この車の間に挟まれたらどうかな?」と問いかけ、考えさせましょう 。バックしている自動車の後ろを平気で横切ることはできなくなるはずです。●高齢ドライバーに多い事故(2)出合い頭事故高齢ドライバーの特徴的な事故の代表ともいえるのが、“出合い頭事故”です。警察庁交通局のデータによると、85歳以上のドライバーが最も多く出合い頭事故を起こしています(平成28年中)。出合い頭事故を起こしやすい高齢ドライバーと、飛び出し事故の多い子ども。両者が見通しの悪い交差点で出あえば最悪の事態が想像できます。親子でお出かけの際は、道路と道路が交わる場所では立ち止まり、左右を確認する訓練をしておきましょう。●高齢ドライバーに多い事故(3)右折事故「右折ってなんだかドキドキする。右折のタイミングを逃すと、後ろの車からクラクションを鳴らされたり……。ようやく右折したと思ったら、横断歩道を人が歩いていてヒヤッとした」なんて経験のある方も多いのではないでしょうか。右折は対向車線を横切るため、左折以上に判断や安全確認が複雑になります 。加齢の影響が出てくるとなおさら危険は増します。交差点で横断する際は、高齢ドライバーが右折してきたら、信号が青でも止まる心の準備をしながら渡らせましょう。●危険度の高い高齢ドライバーに気づく力『運転時認知障害早期発見チェックリスト30』をご存じですか?軽度認知障害の人が運転時に表れやすい事象がまとめられています。鳥取大学医学部教授の浦上克哉さんが監修・作成されたものです。このチェックリスト項目に5つ以上該当すれば要注意 とされ、専門機関の受診をすすめています。運転者向けに作られたものですが、この項目に当てはまるドライバーを見かけたら注意した方が良さそうです。客観的にわかる項目だけをご紹介します。・曲がる際にウィンカーを出し忘れている・反対車線を走っている・車体に目立つ傷がある・駐車場のラインや、枠内に合わない停め方をしている車・急発進、急ブレーキ、急ハンドルなど、運転が荒い車・汚れがひどい車誰しも、忙しくて洗車できないときぐらいあります。また、当て逃げされて車体に傷がある、という不運なこともあるかもしれません。上記の項目に1つでも該当したからといって危険ドライバーだと判定するのは早計かもしれません。しかし、こういった傾向のドライバーを警戒する危険予測の力は必要です。日頃から、「あれは、もしかしたら危ない車かもしれないね」と親子で危険予測の訓練 をしておきましょう。●家族の対応6つ次は、家族に高齢ドライバーがいる場合、加害者とならないための対応をご紹介します。●(1)高齢者マーク(高齢運転者標識)をつける高齢者マークは、70歳以上の高齢運転者が車の前後の定められた位置につけることができます。努力義務ではありますが、つけることにより周りの車や人が配慮しやすくなります。また、お子さんにはこのマークの存在と意味を教えておきましょう。●(2)複雑な交差点を避ける高齢ドライバーは、買い物や通院など近距離での運転が多いことがわかっています。まずは、家族で危険箇所を話し合いましょう。そして、複雑な交差点を避け、見通しの良い道路を選び、安全なルートを通行するように決めておきましょう。●(3)運転前には体調を確認し、持病や服薬の状況によっては運転を控えるように促す家族の声かけが事故を未然に防ぎます。運転をするかしないかの判断を本人任せでは危険 です。●(4)運転時認知障害早期発見チェックリスト30の活用警察のホームページやインターネットの検索ですぐに出てきます。高齢者の方のプライドを傷つけないように配慮しつつ、1年に1度はチェック を行いましょう。●(5)自主返納チェックリストの結果や運転に不安が出てきたら、自主返納することが何よりの安全対策です。自主返納とは、運転免許の申請による取消しのことです。自主返納をすると、希望により『運転経歴証明書 』を交付されます。運転経歴証明書は、返納前の5年間についての運転経歴を証明するものですが、金融機関での本人確認書類としても使用することができます。また、各自治体によって対応は異なりますが、いろいろな優遇が受けられるところが多いようです。例えば、交通機関の運賃の割引、美術館や加盟店での優遇など。お住まいの自治体の状況を調べてみれば、自主返納を促しやすくなるかもしれません。●(6)高齢者の家族に助言や指導をする相談窓口の活用「自分はまだ大丈夫だ!」これが高齢ドライバーを家族に持つ方が、最も困る言葉かもしれません。かつて私が教習をしていたころも、何度か聞かされました。そのほとんどは、高齢者の方でした。運転に危うさが出てくれば、家族としては何としても自主返納をさせたいものです。「家族はあなたのことを本当に心配している」という気持ちを伝えてもダメなときは、専門機関に頼りましょう。多くの警察では、高齢者の家族からの相談を受ける窓口を設けています 。後悔する前に、まず行動です。----------高齢ドライバーによる交通事故は、完璧な自動運転システムが開発されるまでは深刻な問題です。ご家庭で、3世代にわたって真剣に話し合ってみてください。【参考文献】・『高齢者の交通事故と補償問題』堀田一吉・山野嘉朗(編著)・『わかる 身につく交通教本』一般財団法人 全日本交通安全協会(編集・発行)【参考リンク】・防ごう!高齢者の交通事故! | 警視庁()・警察白書『第3節 超高齢化社会』 | 警察庁()・やってみよう!「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」 | 警視庁()・自動車安全運転センター交通安全等に関する調査研究/特定非営利活動法人高齢者安全運転支援研究会(PDF)()・平成28年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締状況等について | 警察庁交通局(PDF)()●ライター/奈都木あや(元教習指導員)●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年03月24日「住み慣れた家で死にたい」。そう望む高齢者は、全体の約55%にものぼる。国が病院での入院期間を短くし、在宅で療養するようにシフトしていることもあり、在宅介護の延長で親を看取るケースが増え始めてもいる。だが現在、日本では7割以上が病院で亡くなっている。看取るための情報が不足しているのだ。 「高齢者は年を取るにつれていろんなところが悪くなり、病院に頻繁に連れていくのが次第に大変になります。全身を診察してもらえる24時間対応の訪問診療医(在宅療養支援診療所)を見つけて“かかりつけ医”になってもらえば、終末期を迎えたときでも自宅で看取ることが可能です」 こう語るのは『おひとりさまの介護はじめ55話』(築地書館)などの著者で、ノンフィクションライターの中澤まゆみさんだ。在宅医療とは、患者が通院できなくなったとき、自宅を訪問して施す医療のこと。医師による訪問診療のほか、訪問看護、訪問薬剤師などが「かかりつけ医」を中心にチームを組めば、そのとき必要な医療を提供することができる。 「最後まで自宅」をかなえるための最初のステップは、在宅での療養生活を支援してくれる医師を見つけることだ。 「入院しているときに退院をうながされたら、病院内の医療連携室・相談室を訪ねましょう。医療ソーシャルワーカーが退院後の生活について相談に乗ってくれます。そこで、地域の在宅医も紹介してもらえます。医師を決めるポイントは、1.自宅の近くで24時間対応してくれること。2.緩和ケアや看取りの経験があるかどうかです。持病に対応してくれるのかも確認しましょう」(中澤さん・以下同) 入院していなくても、通院が困難になり始めたら在宅医療の導入を考えたい。役所の介護保険課や地域包括支援センター、介護をすでに受けていればケアマネジャー、地域の保健所、医師会でも、訪問診療を行う医師の情報を聞くことができる。 かかりつけ医を決めたら、第2ステップは「要介護認定」の再審査だ。在宅だけの看取りを家族だけで行うのは困難。介護保険での在宅サービスを使うため、ケアマネジャーに新たにケアプランを作成してもらおう。自宅で療養するための介護ベッドなど、福祉用具をあらかじめ相談しておくとスムーズに家に戻れる。 第3ステップは、訪問看護師を見つけること。訪問看護師は医療部のある病院、在宅医のいる医療機関、訪問看護ステーションで探すことができる。いずれも在宅の活動に違いはなく、医師の指示書に基づく医療処置のほかに、痛みのコントロールなどのターミナルケアや病状の観察のほか、入浴、食事、排泄の介助をしてくれる。 「訪問診療の医師と看護師が見つかれば、看取りまでかなりのことが自宅でできます」
2017年02月15日日本やアメリカをはじめ、先進国での少子高齢化や格差社会問題は、目立った解決策もないままズルズルと悪化しているようだ…。そんな中、全米一非営利団体が多いと言われる街、オレゴン州ポートランドで、貧しさや孤独を抱える人たちが家族のようにつながる、希望に満ちた「新しいたな家族の形」を発見した。画期的な少子高齢化や格差社会問題の打開策となりうるのでは。
2017年01月30日全国で高齢者ドライバーによる重大事故が相次いでいます。警察庁では高齢者を対象にした講習会の開催や、免許の自主返納を促すなどして事故防止に努めている状況です。運転能力の落ちた高齢者の皆さんについては免許を返納させるべきだとの声もありますが、自動車を持っていないと生活が成り立たないという人も多い現状があります。したがって、強制的に返納を迫るわけにもいかないのです。高齢化社会を迎えるなかで、日本が突きつけられている課題といえます。現在国は1997年に高齢者による事故を未然に防ぐことを目的に、75歳以上のドライバーに対し高齢者マークをつけるよう促していることは、皆さんご存知のとおりです。しかし、つけない場合違反になるのか否かについては、努力義務だったような気もしますし、義務だったような記憶もあります。一体、どちらなのでしょうか? Q.高齢者マークの使用は義務ですか?つけないとどんな罰則がありますか?*画像はイメージです:努力義務ですので、罰則はありません!高齢者マークは2008年6月1日から75歳以上のドライバーを対象に義務化されましたが、そのデザインが枯れ葉を連想させることなどから法律が見直されることになりました。そして2009年、70歳以上を対象にした「努力義務」に再変更になっています。したがって、現在は仮に高齢者マークをつけなかったとしても、罰則を受けることはありません。ただし、事故を防ぐ意味でもマークをつけることが望ましいのは間違いありません。70歳以上のドライバーは、なるべくつけるようにしてください。 *記事監修弁護士:小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*freeangle / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月01日質問:初産が高齢出産になる場合、具体的にどのようなリスクが高くなるのでしょうか?28歳女性です。パートナーがいますが、結婚はしていません。お互いの人生設計の関係で、結婚・出産できるのは2年後以降になりそうです。ある研究結果で初産が30歳を超えるとリスクが高くなると聞きましたが、高齢出産になる場合、具体的にどのようなリスクが高くなるのでしょうか?また、安全に健康な赤ちゃんを産むために、生活面などで注意して行えることはありますでしょうか?海外在住:かれん1986さん(28)回答:「高齢出産」についてお答えします。――「高齢出産」で想定されるリスク高齢出産に関するご質問ですね。高齢出産の定義は諸説あります。1993年以前の日本では、30歳以上の初産婦を高齢出産とする考え方が主流でしたが、WHO(世界保健機関)の定義などと足並みをそろえる形で、現在は医学的な高齢出産は35歳以上での初産とされていることが多いため、35歳以上の出産としてお話しさせていただきます。もちろん個人差は大きいですが、女性の一生のうち、10代の後半から30代の前半までが妊娠と出産の能力の最盛期と考えられています。30代後半以降は徐々に子宮や卵巣の機能が低下し、妊娠そのものが成立しにくくなると考えられています。また、一旦妊娠が成立しても流産率がやや高いことも知られており、全妊娠における自然流産率が1割から1割5分といわれているのに対し、35歳以上の妊娠では約2割が自然流産に終わるといわれています。加齢とともに流産が増加する原因としては、卵子が老化していることや、卵子の老化によって胎児に先天的な染色体などの異常が増えることが挙げられるでしょう。また、よくいわれるように、妊婦さんが高齢である場合、生まれてくる赤ちゃんのダウン症のリスクが上がります。25歳未満の出産では2,000例に1例、35歳では300例に1例、40歳では100例に1例と上がって行きます。これは高齢出産のリスクとしてよく話題になる点です。加えて、母体側の心配として、高血圧やむくみ、たんぱく尿といった症状が出る「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)」にかかりやすくなるといわれています。これは症状によっては管理のために入院を要するほど、お母さんと赤ちゃんにとって心配な状態です。<将来の出産に備えて生活面での注意点は?>高齢出産のリスクとなる点をお話ししましたが、全ての妊娠・出産にはリスクが伴いますし、年齢にかかわらず大多数の妊婦さんが元気な赤ちゃんを産んでいるわけですから、必要以上に心配をされることはないと思います。また、今からできる生活上の注意点についてですが、高齢出産に備えるために特別な注意というものはありませんが、禁煙を守る、野菜や果物を含め栄養バランスの取れた食生活を心がける、定期的な運動習慣を身につける、十分な睡眠とストレス解消の機会を持つ、といったことは大切だと思います。ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:高齢出産には脳血管疾患のリスクがあると聞き、妊娠・出産に不安を抱えています。昨年結婚をし、妊娠を計画しています。予定通りならば高齢出産の枠に入るかと思いますが、高齢出産には妊娠高血圧症による脳血管疾患のリスクがあると聞き、妊娠・出産に不安を抱えています。出産の際に脳血管疾患を患った場合の危険性や、どのくらいの入院と通院が必要となるのか、また、出産時の脳血管疾患に備えて、今からできる生活改善法などがありましたら教えてください。島根県:pinohinaさん(35)回答:高齢出産時の脳血管疾患のリスクについてお答えします。――妊娠と脳血管障害の関係ご結婚、おめでとうございます。高齢出産になると、心配の種はつきませんよね。妊娠・出産は、女性の身体にとても負担がかかるものです。ご相談者さまのおっしゃるとおり、高齢出産では、「妊娠高血圧症候群」になるリスクが上がり、また、妊娠そのものが脳血管障害の危険因子となってしまいます。若い女性に脳血管障害が起こる頻度は、妊娠により、非妊時と比べて1.5倍の発症を見る、という報告があります。原因としては、以下が挙げられます。妊娠による血液量の増加、心拍出量の増加妊娠によるホルモン作用(血管拡張、血管壁の変化など)妊娠による凝固系の亢進脳血管障害が起きる妊産婦は1万人に1人程度といわれています。出産の際に脳血管疾患を患った場合の危険性、とのことですが、母体の死亡率は9~38%とかなりの高確率になります。また、脳血管疾患を乗り切っても、まひ、言語障害などの後遺症が残る割合は、40~63%とこれもまた高い確率で見られます。どのくらいの入院、通院になるのかは、発症した状態によってまったく異なるので、何とも言えません。<「妊娠高血圧症候群」の予防>妊娠高血圧症候群を防ぐポイントとしては、以下のことに気をつけましょう。■塩分を控えるこれは、普通の高血圧症の方の食事療法にもなりますね。スパイスを効かせるなどして、塩分を減らしても、食事を楽しめる工夫をしましょう。■ストレスを解消するストレスがたまると、交感神経が緊張して、血圧が上がる傾向があります。妊娠しているときは、心配でストレスがたまることが多いでしょうが、ストレスを解消する方法を見つけて、リラックスした妊婦生活を送れるようにしましょう。■体重に気をつける体重の増えすぎには気をつけましょう。健診を忘れずに受けることで、体重増加の制御になります。高齢出産では、リスクが伴うことが多く、心配になることも多いと思います。健診をしっかり定期的に受け、かかりつけの産婦人科医の指示に従うようにしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日こんにちは、ライターの齋藤惠です。高齢者ドライバーによる交通事故が年々増えていて、深刻な問題と化しています。最悪の場合は死亡者も出ているので、小さい子どもを持つパパママの中にはわが子が危険な目に遭うことを不安視する方も多いはず。事故を未然に防ぐための対策として最も理想的なのが、高齢者が免許証を返納する ことですが、個人個人の事情もあり返納を強制するわけにもいかないようです。ではどうすればよいのでしょうか?●自治体が工夫して自主返納をサポート中私たちだって車が必要な生活環境にも関わらず、ある日急に運転できなくなってしまってはとても不便です。安全のためとはいえ免許証を返納すれば交通手段がなくなり、生活に支障をきたす高齢者もたくさんいるでしょう。そんな高齢者ドライバーの不安を解消することで自主返納を促そうという自治体が、独自でサポート制度のアイデアを打ち出しています。例えば東京都であれば、返納した後に協賛企業の割引 が受けられます。具体的にはホテルや飲食店などの料金が割引になったり、信用金庫で優待金利の定期預金を利用できたり、自動車教習所でクオカードなどがもらえるといった特典がたくさんあります。また、美術館の入館料が割引されることもあるようです。特典によって生活が便利になれば、積極的に返納しようと考える高齢者も増えそうですね。●バス・タクシーの乗りあいで地域交流のメリットもさらに、多くの自治体で実施しているのが、バスの無料券やタクシーの乗りあい割引 などです。運転ができないことで高齢者が困ってしまうであろう交通の便を確保することによって、自主返納者を順調に伸ばしている自治体が見受けられます。各自治体によってサービスの内容は異なりますが、タクシーを1人で利用するよりも2人以上で利用する方がより割引率が高くなったり、複数人が希望することで最寄りのスーパーまで送迎してくれる専用バスがあったりなど、高齢者が各々1人で行動するのではなく複数で行動できるような工夫が見られます。運営側の効率を重視した特典なのかもしれませんが、孤独になりがちな高齢者のコミュニケーション増加と地域間での交流の活性化も見込めるようで、相乗効果の高い特典としても評価されているようです。●地域で支え合う姿勢が大切! 私たちも協力を老いによる体の不便を感じず何気なく生活している私たちにとって、高齢者ドライバーによる事故はどこか他人事で「高齢になったら運転しなければいい」と一概に思いがちです。しかし、交通が不便な環境で生活している人や、通院している人、遠くまで買い物へ行かざるを得ない人など、高齢者ドライバーにもさまざまな事情が存在することを忘れてはいけません。自治体も以前からアイデアを凝らして免許返納を促進する対策を講じていますが、まだまだ事故発生率は高いままなのが現状のようです。そこで、自治体にすべてをまかせるのではなく、「地域の安全は自分たちで守る」という姿勢を強めるのはいかがでしょうか?例えば、自分が買い物へ行くついでに近所の高齢者を誘ってみたり、代わりに品物を買ってきてあげたりする こともできます。また、高齢者の中にはネットを利用していない人もたくさんいます。お得な特典が受けられることを知らないまま返納を躊躇している人もいるかもしれません。「困ったときはお互いさま」の精神で、個人同士が協力できる社会になればより安心して子育てなどもできますよね。【参考リンク】・運転免許の自主返納をサポート | 警視庁()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/ゆみ
2016年12月12日高齢の運転者による自動車事故が相次いでいます。10月28日には神奈川県横浜市で87歳の男性が運転する軽トラが、小学生の集団登校の列に突っ込んむ事故が発生。11月12日には東京都立川市の病院の駐車場でも、83歳の女性が運転する乗用車が男女2人を死亡させる事故が起きました。認知症の検査義務や、免許証自主返納の際に各自治体で企業や団体からの特典をつけたりといった施策もスタートしていますが、なかなか効果はあげられていないのが現状のようです。そこで、現在の「道路交通法」が抱えている問題点を振り替えるとともに、来年3月に施行が予定されている改正内容のポイントを解説したいと思います。*画像はイメージです:.「道路交通法」の本来の目的とは道路交通法は、道路での危険を防止し、交通が安全かつスムーズになるようにし、道路での交通が原因となるトラブルを防止するために定められている法律です。高齢の運転者が自動車を運転することによって生じる危険を防止するためのルールもこの道路交通法で定められおり、高齢運転者による痛ましい事件が世間で起き続けているためか、年を追うごとに厳しく改正されています。 2.現行の高齢運転者対策の問題点現行の高齢運転者対策は、75歳以上の高齢運転者について、運転免許の更新の際に認知機能検査を行って、認知機能の程度に応じて2時間30分の高齢者講習を受けてもらうというものです。現行法ですと、認知機能検査の結果、仮に認知症の恐れありと判断されても、信号無視などの一定の違反行為をしない限り、医師の診断を受けさせられることもないし、免許が取り消されたり停止されることもなく運転できることになります。また、認知機能検査は運転免許更新時だけですので、次回免許を更新する時まで3年間位何事もなければ運転できることになります。 3.近く強化が予定されている高齢運転者対策来年、平成29年3月12日から改正道路交通法が施行されますが、以下の点で高齢運転者対策が強化されています。①認知機能検査の実施時期免許更新時だけでなく、信号無視や逆走といった一定の交通違反を犯した場合についても実施されることになりました(臨時認知機能検査)。認知機能の低下が伺われるような事情がある場合にも検査を実施することによって、高齢運転者の認知機能の低下を早期に発見し、認知機能低下による事故を未然に防ぐためです。②認知症の恐れがある高齢者は医師の診断書の提出が義務化認知機能検査の結果、認知症の恐れがありとされた高齢者は、臨時適性検査を受けるか医師の診断書を提出しなければならず、医師の診断で認知症と判断された場合、免許が取り消されたり停止されたりすることになりました。これは、認知症の高齢者を早期に発見し、認知症の高齢者による事故を未然に防ぐためです。これまでは認知症の恐れがあるだけでは医師の診断が義務付られているわけではありませんでした。③高齢者講習の内容を充実免許更新の際の高齢者講習について、認知症の恐れがある高齢者や認知機能が低下している恐れがある高齢者には個別指導1時間を加えた計3時間の高齢者講習(高度化講習)を実施し、認知機能が低下している恐れのない高齢者については計2時間の高齢者講習(合理化講習)を実施することになりました。高齢者講習の合理化になります。認知症の恐れがある人や認知機能の低下の恐れがある人への個別指導を行うことによって、事故を未然に防ぐためです。 以上のように、来年さらに高齢運転者対策が強化されるわけですが、これでも高齢運転者による事故が完全に防げるとも思えません。今後、高齢者が増えていくことを考えると、高齢者の運転の自由に対する不当な制約にならないように配慮する必要はありますが、抜本的な対策を早期に実施して欲しいところです。 *著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月17日こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。近年では珍しくなくなった高齢出産ですが、高齢ママたちの姿が若いママたちや子育てを終えている同年代ママたちなどの目に、実際のところどう見えているのかを知っておくと、ママ友との付き合いで失敗しません。若いママたち、子育てを終えた同年代ママのほか、産婦人科医、世の中のパパたちがどう見ているのか、聞いてみました。●若いママには理解が難しい地域の母子プレイグループに参加していた3人のママ(20代〜30代前半)に話を伺いました。その結果、「子どもと一緒に遊べないのでは?」「子どもの成長を見届けられないかも」「学校でいじめられるかも」などといった、子どもサイドに立った意見が目立ちました。高齢になっても子どもが欲しいと思う気持ちや実際に産むことが可能であるという事実は認められても、現実的な子育て面でトラブルが発生しやすい状況がある以上、手放しで歓迎できない というわけです。若いママたちの懸念は、高齢ママたちも同じように感じています。その上で熟慮を重ねて出産を決意しているはず。でも、そこまでは若いママには想像することも理解することも難しいようです。そのため、『親の(高齢であっても)子どもが欲しいという勝手な思いから生まれた子どもがかわいそう』というニュアンスの発言が出てくることがあるのです。●同年代ママにとっては希望であり不安でもある30代後半以降のママたちにとって高齢ママの存在は、「え、今から出産?」という驚きと、「母体は大丈夫なの?」という心配 と、「子どものためにはどうなんだろう?」という疑問 、「私もまだ産めるのかしら」という希望 など、いろいろな思いが交錯するようです。知人が45歳で初産を控えているという45歳の2児のママは、『どう声をかけていいかわからない』と言います。『何を言っても、ひょっとしたら傷つけるかも、嫌味に聞こえるかも、とか考えてしまう』そうです。同じく、30代後半で初産を迎えた現在40代前半のママも、『私の年齢でも高齢出産のリスクが心配だった。より高齢のママを見ると、いろんな意味ですごいな と思う』と言葉を選ぶようにして話してくれました。●パパたちの目にはどう映っているのか?子どもを望んでいるパパたちにとって、高齢ママの姿は希望です。子どもに恵まれなかった40代の男性Tさんは、『同年代かそれ以上の親が小さな子どもを連れているのを見ると、正直羨ましい』と言います。『ただ同時に、祖父母のようにも見えてしまうし、定年退職までに大学を卒業させてやれないから、ウチは40歳を境に不妊治療をやめた』そうです。彼のようなパパにとっては、高齢ママやそのパパの姿は、自分は越えられなかった壁を越えた羨ましい存在 に映るようです。では、そのほかの若い世代や子育て真っ最中、子育てを終えたパパはどうでしょうか?『無理しているように見える』と言うのは20代パパの意見。『他人事ながらそんな年齢で産んで大丈夫なのか?と思う』と答えてくれたのは、30代のパパ。もう一人50代のパパからは、『子どもが欲しい気持ちは理解できるが、将来を考えると無謀な気もする 』という言葉が返ってきました。●産婦人科医たちの意見は?医療の進歩や中年域の女性たちの元気さから、高齢出産は確かに可能になってきました。ただし、産婦人科医によると、『女性は年齢を重ねるほどに、妊娠に異常が起こる割合も増加する』として、安易に高齢出産を勧めることはできない と警鐘を鳴らしています。ダウン症児の生まれる確率の増加、難産や死産の確率も30代前半までとそれ以降とでは大きな違いがあるのが現実です。だからこそ、高齢出産を乗り越えた高齢ママに対する祝福の気持ちと同時に、安易に「高齢出産も大丈夫よ!」と発言しがちである現状に対して不安を感じてもいるそうです。●まとめとして高齢ママたちの多くは、それぞれの選択の前に多くの熟慮や研究を重ねて、その結果出産に到達しています。でも、出産前の部分は周囲には見えません。だからこそ、いろんな意味で「大丈夫なの?」という不安や心配の眼差しを向けられがちです。これが、ママ友関係に影響を与え、声をかけることも、会話の内容にも遠慮が生まれてしっくりこないという状況を導き出しているのでしょう。高齢ママ側としては、周囲が自分を戸惑いがちに見ている理由を知っておくことで、一定の距離感を受け入れることも、たとえば自分の経験をある程度話すことなどでその距離を縮めることも可能なのではないでしょうか。【参考リンク】・高齢初産(高齢出産)について | 中央クリニック()●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2016年11月04日「後妻業」は普段聞きなれない言葉かもしれません。そもそも「後妻」というのは、妻と死別または離婚した男が後に迎えた妻のことで、後妻業というのは、資産家の独身老人男性の後妻になって財産を奪う女性のことを指します。もちろん日本語として後妻業という言葉があるわけではありませんが、黒川博行氏が、小説『後妻業』と発表し、またその実写版が映画『後妻業の女』として公開されたことから、そういった女性の生きざまを描いたため広く認知される言葉となりました。○後妻業は犯罪じゃないの?それでは、愛情もなく、遺産を目当てに結婚することは犯罪なのでしょうか? 結論から申し上げると、残念ながら遺産目当てで結婚すること自体は犯罪ではありません。これに対して家族や相続人は、遺産目当てであるのを隠して結婚しているのだから詐欺だと言いたくなるでしょう。しかしながら、そもそも、遺産目当てというのは言い換えれば相手の経済力に好意を抱くことともいえます。ルックスに好意を抱いて結婚することや、性格に好意を抱いて結婚することが許されるのですから、経済力に好意を抱いて結婚しても何ら問題ないでしょう。ただし、後妻が夫を保険金目的で殺害などすると、殺人罪が成立し犯罪となってしまいます。これは当然ですね。○財産を守るためには後妻業の女の場合、「公正証書遺言」を作成し、遺産のほとんどを自分が受け取れるようにします。こうした事態を防ぐためには、周囲の家族が普段から密に本人と接触をしてコミュニケーションをとり、後妻の相続分が多くならないように遺言書を作成してもらうことが必要です。もっとも、その前提として、妻が後妻業であることを夫に気づいてもらうことが必要ですが、うまくコントロールされているでしょうから実際は難しいかもしれません。○まとめ映画、『後妻業の女』が話題になり、相続について関心が高まっています。しかし、後妻業かどうかの判断は難しいですし、後妻の内心なんて分かることの方が少ないでしょう。やはり、後妻がいるいないに関わらず、親子・兄弟などの家族とは日頃からコミュニケーションをとっておくと、家族のピンチに早く気づけるでしょうね。岩沙 好幸(いわさ よしゆき)弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。
2016年09月20日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。超高齢化社会を迎え、全国のママさんパパさんの御両親もおじい様おばあ様も多くはお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。筆者も自分の親は二人とも他界したものの、妻の方はおかげさまで父親が90歳、母親が87歳とまだまだ元気に毎日を過ごしています。ところで、そのように元気な今のわが国の高齢者の人たちですが、実は“これだけは絶対に気をつけなければならない深刻な健康上のリスク” があることをご存じでしょうか。絶対に回避しなければいけないこと、それは“転ぶこと”なのです。定期的な一般健診もがん検診も血液検査ももちろん大切ではありますが、それ以上に“転ばないこと”こそが高齢者にとっては極めて大事なことなのです。どうしてでしょうか。●転んで入院生活に入ることで、医療の手にかかる状態から抜け出せなくなる傾向がある高齢者の多くは1つや2つの持病は持っています。それでも“一病息災”“二病息災”といった感じで明るく前向きに過ごすことで、病気に打ち勝ちながら生きているというのが本当のところです。実際、厚生労働省のホームページによると、日本人の場合男性の2人に1人、女性の3人に1人はがんにかかるそうです。しかし、積極的に適切な治療を受けることによって多くのがん患者は命までは落とさないですむようになってきました。また、がんではない病気なら高齢者のほとんどが何かしら持っていますが、“気にし過ぎない”で日常生活を続けることで、“医療過多”にならずに健康な生活を保っているという面もあります。ところが、ひとたび転んでしまい、特に大腿骨を折ってしまう と人生終盤の様相が全く違うものになってきてしまいます。手術をしなければ骨はつながりませんから寝たきりになってしまいますし、手術をしたらしたで高齢者にはさまざまなリスクが伴うものであり、入院生活に入ることによって病院側が“細かいことも見逃してくれなくなる”ため、さまざまなリスクが表面化し、“医療の手にかかる状態から抜け出せなくなる”傾向があるのです。●昨日まで何でも自分でやっていた人が、転んでしまうとわずか数か月で帰らぬ人になることも都内の総合病院の整形外科に勤務するある医師によると、高齢者が大腿骨頸部骨折に代表されるような外科的手術を伴う入院生活に入ることによる主なリスクは次のようなものです。(a)感染のリスク(b)麻酔のリスク(c)再骨折・脱臼のリスク(d)痛み・しびれ等の残存(e)歩行・移動能力の低下ないし喪失(f)内科的疾患の出現(g)認知症の出現(h)せん妄の出現(40代男性/都内総合病院整形外科勤務、整形外科医師)また、これは正確な統計がとれていることではないため、あくまでも個人的な談話として聞いた話ですが、『大腿骨頸部の骨折で入院・手術をした後期高齢者の人で半年以内で死亡する人の割合は実は一般の人がイメージしている数字よりもっと多い』と仰る整形外科の医師(60代男性/都内整形外科クリニック院長)もいるほどなのです。現実に筆者の母親はそれまで何でも自分ですることができていたのに、1月下旬に自宅の自分の部屋で転んで大腿骨頸部を骨折し、入院・手術してからというもの、日に日に全身の状態が低下 していき、5月下旬には帰らぬ人となりました。●高齢者は“転んだら最後”のつもりで周囲は細心の注意を~意外と見落しがちな注意点~おじいちゃんおばあちゃんに、いつまでも転ばずに元気で過ごしていただくために、周囲は“転ばせてしまったら最後”くらいのつもりで細心の注意を払う必要があります。もちろん皆さんそのつもりでやってはいるのですが、より一層ということです。そこでこのコラムでは、普通の健康な大人だと「そんなものが転倒リスクになるの?」と思うような、意外と見落しがちな転倒リスクについて触れて、しめくくりたいと思います。●(1)薬の服用状況に注意を高齢者の多くは多種類の薬を服用しており、その中には副作用としてフラつきや眠気、ぼうっとするなどの症状をもたらすものも多く存在します。それらの副作用が出ているときの歩行は、高齢者にはさせないように気をつけるべきです。●(2)靴下やスリッパは履かない方がいい靴下やスリッパは、滑り止め付きのものを常に履く習慣ができている場合を除いて、履かない方がいい かもしれません。裸足に慣れましょう。冬の寒い日に履かないと耐えられないと仰るのであれば、むしろ布団から出ずに休んでいることをおすすめいたします。●(3)日常の細かな整理整頓に無頓着になった方がいいその人のパーソナリティもあるので一概には言えませんが、日常の細かな整理整頓に伴う動き には多くのリスクが潜んでいます。ほんの一例ではありますが、几帳面だった筆者の母は滑り止めの付いていない“あったか靴下”を履いた状態でベッドのシーツを直そうとして滑って転び、わずか4か月後に帰らぬ人となりました。几帳面な高齢者に何か気になることがある様子を感じたら、何が気になるのか聞いて、できることは代わってしてあげるのがベターです。なお、(2)の裸足に慣れましょうという提案は、神奈川県で内科医院を開院する東邦彦医師もホームページで推奨していらっしゃいます。【参考リンク】・高齢者の転ばない暮らし方について | 東内科医院()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年08月09日オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空請求詐欺……高齢者を狙った振り込め詐欺は後を絶ちませんが、実は今、高齢者が高齢者を騙す『老老詐欺』 が横行しているのをご存じですか?2016年5月には62〜78歳の男5人が詐欺容疑で逮捕されたことが話題を呼びましたね。あまり聞き慣れない“老老詐欺”ですが、巷では実際に被害に遭われている方も少なくないようです。そこで今回は、“老老詐欺”の手口と対処法についてお話ししていきます。●老老詐欺の特徴老老詐欺とは、高齢者が高齢者に対して金銭などをだまし取る行為を指しますが、その特徴として、“ずさん”で“古くさい”手口が多い と言われています。普通は騙されないようなものばかりです。それではなぜ、騙されるのでしょうか。ひと言でまとめると、“高齢者は高齢者に対して警戒心が薄い” ということに原因があると思われます。“詐欺”と聞くと、大半の人は若者が高齢者を騙すといった構図を思い描く人が多いと思います。詐欺の種類として一番有名な“オレオレ詐欺”もその典型と言えますね。そのため、高齢者の間では“詐欺=若者がやるもの”という認識ができており、まさか自分と同じ高齢者が詐欺をしかけてくるなどとは露ほども思っていない のです。老老詐欺の武器となる特徴にはもう一つあります。それは“高齢者ならではの共感力”です。同じ高齢者同士だからこそ分かる悩みを深いレベルまで共有し合うことができるため、相手を信用させやすいのです。とくに高齢者は“お金”“健康”“孤独”の3つの不安が共通してあると言われていますから、そこにつけ込んでくる人も多いようです。老老詐欺の怖さ、それは詐欺をしかけてくる人間がカモとなる人間の悩みや弱みを自分のことのように理解している点にあります。●老老詐欺の手口●(1)結婚詐欺老老詐欺では、高齢者が抱えがちな“孤独”を利用して結婚詐欺も用いられます。以下では実際にあった結婚詐欺をご紹介します。数年前に妻をなくした70代の男性がシニア専用の出会い系サイトを利用していたところ、気になる女性を発見。向こうも70代ということもあり、コンタクトを取って二人はデートを頻繁に繰り返すようになりました。親密な関係になっていくにつれ、男性を結婚を意識しはじめ相手の女性にプロポーズをします。しかし、ある日女性から「親戚が倒れて入院費や生活費のために40万円ほしい」と言われ、男性は言う通りに渡してしまいます。そのことを不審に思った男性の娘が相手の女性について調べると、女性の名前や住所が全てデタラメだったことが判明 。また、他にも女性あての請求書の束が男性宅で見つかりました。普通ならこれで女性が逮捕されて終わりですが、老老詐欺の怖いところはここから。家族が男性に対して「騙されてるよ」といくら説得しても、本人は「騙されてない」の一点張り。もちろん、本人も詐欺に遭っていることは理解しているのですが、ここで詐欺を認めるとまた一人になってしまうため、孤独を恐れて詐欺を否定しているのです。高齢者の孤独につけ込んだ、非常に悪質な手口と言えます。●(2)若者とグルで老老詐欺の中には、若者とタッグを組んで行われるものもあるようです。手口は以下の通り。まず高齢者(Aさん)の住んでいる家へ若者が訪問販売に伺います。もちろん、販売する商品は100万円の布団など明らかな高額詐欺商品です。Aさんは当然商品の購入を拒否しますが、販売員はAさんが商品を落としたり傷つけたりするようにわざと仕向けます。そして、弁償代として商品の代金を要求するのです。もちろん、この段階ではAさんも拒否を続けます。すると若者が電話で上司を呼び出します。現れたのは同世代の上司(老人)。いきなり若者を怒鳴りつけ、Aさんに丁重にお詫びします。すっかりAさんの警戒心を説いた上司は、「この歳になると、腰が痛くて困りますね〜」などと“年寄りあるある”で盛り上がります 。そして完全にAさんが心を開いたときに、再度商品を勧めるのです(今度は半額くらいの値段で)。すっかり上司を信頼しているAさんは勧められるままに購入してしまいます。しかし、叱られた若者と上司はグル。Aさんはそのことに一切気づかずに詐欺の被害に遭ってしまったのです。●老老詐欺を防ぐためには老老詐欺を防ぐためには、“高齢者の詐欺師もいる” ということを認識してもらうことが重要です。高齢者の方の中には、自分と同世代というだけで仲間意識を持つ人も少なくありませんから(本来は悪いことではないのですが……)、自分の両親や祖父母にしっかりとそのことを伝えましょう。また、金銭にまつわることで少しでも不審な点があれば一旦話を止めておき、周囲に相談してもらうことも大切です。【参考リンク】・最新の手口(実音声付き) | 政府公報オンライン()●文章/パピマミ編集部
2016年07月04日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。超高齢化社会を迎えたわが国では、高齢者が人生最後の時期を住み慣れた土地や家族に囲まれた自宅で過ごしたいと望んでも、かなわないケースが増えてまいりました。国は社会保障費の抑制のために療養型病棟の削減と在宅医療システムの充実を方針に掲げて終末期医療の問題に臨んでいますが、『実際には医療型療養病床に入院している患者さんの医療区分は2と3の占める割合が毎年増加しているのが現実』(50代男性/都内医療療養型病院院長・医師)で、在宅医療では対応しきれないほどの、すぐに受けられる医療の必要性が高まっています。●日本の高齢者の多くが人生最後を病院で過ごすワケ現代のわが国の高齢者のおよそ8割は病院でなくなっています。自宅でなくなった人の割合は2010年の時点でわずか12.6%にすぎません。わが国の高齢者が終末期を過ごし、最期を迎える場として重要な役割を担っている医療型療養病床の平均入院日数は約280日と長く、死亡退院が退院全体の約3割 を占めています。それほど日本の高齢者が人生の最期を過ごす場は、“病院”が中心であるということなのです。国が「在宅中心の終末期医療」の旗印を掲げても、現実は容易にはそうなっておりません。なぜでしょうか?それは、わたしたち日本人には「まだ生きられる人を死なせてはならない」という“価値観”があるからだと、筆者は考えています。そして、まだ生きられる人を死なせないためには、医師や看護師がすぐそこにいる病院にいないことにはだめだからだと思うのです。●つきっきりの介護は、現実的に難しい筆者自身も、高齢の母親が転倒による大腿骨頸部の骨折をきっかけにあっという間に全身の健康状態が低下し病院で寝たきりになりました。そんな中でも、子どもたちや孫たちが居て、ひ孫が遊びに来る自宅に、いずれは何とか帰って来てもらいたいという希望と目標を持って、転倒から3か月ほどは努力しておりました。しかしながら、体の老化という現実はそう甘いものではありませんでした 。大腿骨頸部の骨折部位の手術には成功したものの、周辺の筋肉の委縮は老化によって進んでしまっており、車椅子に乗ろうと体をちょっと動かしただけで患部が脱臼してしまう。これではリハビリは不可能でした。入院生活のストレスからせん妄を起こし、大腸の壁が薄くなってしまっているせいで下血をし、食事を止めることによる低栄養防止のために高カロリーの栄養を点滴すれば肝機能をやられ、幾日もつづく炎症と微熱と腎機能の低下。食欲が全く湧かない。飲み込む力も弱まってくる。痰の吸引は一日に何度も必要。医師は経鼻栄養法を奨める。それでもやっぱり口から食べられるうちは口から食べさせてあげたい。日々刻々と変化する母の容態に応じて筆者も筆者の妻もきょうだいも、自分や連れ合いや子どもたちの生活のために働きながら、時間を作っては病院にいる母を訪ね、話をしたり食事の介助をしたりをつづけています。ここまでの状態の患者を在宅で看るということは不可能です 。やろうと思ったら筆者も妻もみな仕事を辞め、母の看護に専念するしかありません。そして、そのような選択をすればそう遠くないうちに今度は筆者や妻が破綻することは間違いない でしょう。わたしたちが生きている21世紀初頭の日本という社会は、ほとんどの一般庶民にとっては「生きるのがとても大変な社会」です。ごく一部の恵まれた家柄にお生まれになった方を除けば、みんな「ギリギリで生きている」というのが本当のところ なのです。そのような中にあって、いたずらに「家族の愛が大事」「在宅で家族に囲まれて暮らそう」と言わんばかりの国の方針というのは、いかがなものなのでしょうか。筆者の40年来の友人で、かつて慶應義塾大学病院の神経内科でさまざまな種類の神経性難病を羅患しながら終末期を迎えられた高齢者の人たちと臨床で向き合った医師のY君は言います。『今の日本はもう、“家族”が全て看るという時代ではないと思う。家族に甘え過ぎたら、その愛する家族が破綻してしまう。社会が全体で支えなければならない。私自身は、もし自分が年を取って医療や看護の手を離れることができない状態になったとしたら、病院や施設でプロの看護・介護を受けたいと思う。家族はたまに顔を見せに来てくれればそれでいい。寂しいが、それで十分幸せだと思わなければいけないんじゃないか。病院で自分に相い対してくれる看護師さんやヘルパーさんとのコミュニケーションを人生の楽しみとして、暮らして行こうと思うのです』(50代男性/神奈川県内市立総合病院勤務・神経内科医師)●人生の最期を病院で暮らすことになった場合の生き方はまだ生きられるのに、欧米のように経管栄養法などを施さないことで高齢者が数週間後にはこの世を去って行く社会を、“理想”としてマネるのか。欧米社会ではキリスト教的な価値観からか「そこまでして延命することは人間として自然なあり方ではない」 と捉える傾向があるようですが、わたしたち日本人は果たしてそのように割り切ることができるのか。筆者の答えは「ノー」です。『人間は、まだ生きられるのであれば最後のそのときが来るまで生きなければいけないと思うんですよ。これは“死生観”の問題ですから、「それは違うよ」と言われても反論はしません。「そうですか」と言うだけです。でも、少なくとも自分はそういった価値観に基づいて入院しているお年寄りの看護に携わっているつもりです』(30代男性/都内医療療養病床併設型総合病院勤務・看護師)これは筆者の母を看てくださっている、療養病床の男性看護師Sさんの言葉です。Sさんは明るくて気さくな方で、阪神タイガースの大ファンなのですが、巨人ファンの母と今シーズンどちらが優勝するか賭けをしているそうです(何を賭けているのかは存じませんが)。家族ではなくても血のつながりとかはなくてもSさんのような方との会話が、長くつづく入院生活のなかでどれほど母の励みになっているか、計り知れません。人生の最期を病院で暮らすことになった場合の生き方は次のようなものでありたいと、筆者は思います。・看護師さんやヘルパーさんといった、職業として自分に接してくれる人たちとのコミュニケーションを大切にし、楽しむ 。家族とは違うかもしれないが、家族とはまた違ったプロフェッショナリズムを尊重する。・家族は「時々顔を出してくれればそれでいい」と考える 。ほとんどの国民にとって、終末期医療にかかる費用はその人が受給している年金額を超えてしまっており、蓄えが十分にある世帯を除けば現実には家族が働くことによって支えています。その家族が働くのを妨げないことです。家族は時々顔を出してくれればそれでいいと考えましょう。・あまり多くのことはできないかもしれないが、残された身体機能を使ってできることだけは大いに行い、楽しむ 。飲み込む力がまだ残されているのであれば口から食事を取ることを楽しみ、見る力や聴く力があるのなら、テレビや新聞も楽しむ。疲れない程度でかまわない。・ペンを執り文字にすることはできなくても、人生を通して思うことなどを短いセンテンスでいいので考えておく 。例えば孫に「一所懸命にやれば必ず何かが得られるよ」など。旅立つ前にその言葉を聴いたら、孫にとっての宝物になることは間違いありません。【参考リンク】・入退院経路調査(平成21年) | 慢性期医療協会<PDF>()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年05月31日