私はしのくんと二人で出かけるのが怖かったしのくんは4歳半ごろまで我慢が苦手で、じっとすることが難しかったので、しのくんとお出かけするには覚悟が必要でした。基本的に家族3人でお出かけするようにしていましたが、夫も仕事があるため、いつも3人でお出かけできるわけではありませんでした。なので、しのくんと二人きりでのお出かけは「私一人で大丈夫か!?」と不安になってしまい、いつも怖かったのを覚えています。Upload By keiko私は常に「しのくんが言うことを聞いてくれなかったらどうしよう?」「走っていってしまったらどうしよう?」「駄々をこねたらどうしよう?」「ムリに連れて帰ることになったら、私一人で大丈夫だろうか?」と心配していました。せっかく楽しくお出かけしているのに、私はいつも気が気じゃなく、「もしも〇〇なことが起こったら?」と想像しては怖がっていました。お出かけ前はいつも緊張していたUpload By keikoお出かけのときは、しのくんが脱走しないように、いつもぎゅっと手を握りしめます。また、服装や持ち物にも気を配り、走りやすい靴と服に、両手が空くリュック。すぐにお金を払えるよう、財布はショルダーバックに入れておくなど工夫していました。それでも、しっかりと握っていたはずの手を振りほどかれて逃げられることはしょっちゅうで、両手を空けるためにリュックを背負っていても、買い物した荷物を手に持っているときに限って、しのくんが駄々をこねだし、両手に荷物と暴れるしのくんを抱き抱えて帰る羽目になったこともありました。とにかく、家を出てから、無事に家に帰るまで気を抜くことができません。そして、どんなに準備をして気を張っていても、やっぱり心配していた事態は避けられないものです。ある夏の日も、やはり事件は起きたある夏の日、デパートの広場でお祭りイベントをやっていたので、しのくんと二人で行ってみることにしました。ヨーヨーや的当て、スーパーボールすくいなど、楽しいゲームができる出店にテンションが上がるしのくん。夢中になって遊んでいる様子を見て、私は「また帰るときに駄々をこねそうだな…。」と不安になりました。ひとしきり遊んで、しのくんが満足した頃合いを見計らってなんとか帰ろうとしたそのとき…タイミング悪く、デパートの広場の仕掛け噴水が動き始めたのです。Upload By keikoUpload By keiko仕掛け噴水を見たしのくんは、テンションが最高潮に!握っていた私の手を素早く振りほどき、仕掛け噴水めがけて一直線。あっという間にびしょ濡れになってしまいました…。こうなったらもう家に帰るどころではありません。しのくんが仕掛け噴水から離れようとしないため、最終的には私も一緒にびしょ濡れになり、ヘトヘトになったころ、ようやく家に帰りました。Upload By keiko4歳9ヶ月になった現在は変わった?4歳9ヶ月になった現在は、少しずつ自分の感情をコントロールできるようになって、我慢できる場面が増えてきたように感じます。今でも外出先で手を離すのは不安ですが、いきなり走り出すとか、駄々をこねて帰らないということは減ってきたので、しのくんと二人きりでお出かけするのが怖いという感情も少なくなってきました。これからは、勇気を出してもっといろんなところにお出かけして、しのくんにたくさんの経験をさせてあげたいなと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)母子二人でのお出かけにまつわるエピソードありがとうございます。似たような心境、似たような展開に見舞われた保護者の方も多いのではないでしょうか。噴水で母子ともどもずぶぬれになったのは大変でしたね。あぁどうしてこんなタイミングで…!なんなんだ、今日はコントなのか…?と頭の中で自分の声が響くようなとき、不思議とありますよね。しのくんの成長に伴って、ひやひやしながらお出かけすることが減ってきたのは何よりです。成長ののちに、大変だったこともちょっとほほえましく語れる思い出として振り返れる日が来るといいなぁと思います。
2023年01月18日本人への障害告知以前コラムでも書きましたが、娘は中学2年生のときに主治医から障害の本人告知を受けています。告知は・娘自身が「自分の障害について知りたい」と思った・本人に“居場所”があり、精神的に落ち着いている・告知後、支援者(学校関係者)のフォロー体制ができていることを医師が確認したうえで行われました。そのおかげで娘は障害告知をポジティブに受けとめることができました。障害告知から6年後に、再告知その後、娘は高等特別支援学校を卒業し、特例子会社(※)に就職しました。そして20才になったある日、娘は再び私に「自分の診断名を知りたい」と言いました。私は娘に、中2のときに告知を受けているのになぜまた聞きたいのか尋ねました。娘は「診断名は知ってるけど、自分の障害の詳しい種類と程度を知りたい」と言いました。SNS上でも発達障害に関する情報や当事者として発信する人も多くなってきていましたし、娘もそういったものを見て何かしら思うところがあったのかもしれないと、このとき私は思いました。(※)特例子会社は、「障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社」のことです。【参考】厚生労働省特例子会社制度の概要Upload By 荒木まち子娘は社会人になってからは一人で通院をしていました。何か親が医師に伝えたいことがあるときは、手紙を書き娘から医師に渡してもらっていました。私は医師に『娘が自分の障害名や障害の程度を知りたがっている』旨の手紙を書きました。医師は中学生のときから娘を診ているので娘のことはよく分かっています。二度目の告知は通常診療とは別枠で予約を取り、親同伴で行われることになりました。一度目の告知のときは前回の告知のときは、娘と親がそれぞれ感じている“本人の長所と短所”を事前に書き出しました。・真面目で一生懸命。我慢強い・常識を学び、言われたことは直したいと考え努力している・ルーチンに強く、さぼらない・興味や関心が深く狭い。技術や知識は多い・自分から気持ちを伝えることは、落ち着いてるとできる・会話は苦手で、相手の言葉に不安になることがある・新しいことや状況の変化・変更に対して臨機応変に対応することが苦手これらのことを一緒に振り返りながら医師が娘の『特性』を文字に起こして障害の説明をしました。本人の理解力に合った言葉選びと文字を書きながらの説明は、視覚優位の娘にはとても有効な方法です。医師からは『これからどのようにして周りの人たちに助けを求めていくのが良いか』のアドバイスもありました。2度目の障害告知では二度目の障害の説明でも、事前に本人と親で『娘の長所と短所と思われることの書き出し』をしました。その内容は6年前とほとんど違いはありませんでしたが、新たに“自分のことばで相談を持ち掛けるのは、ハードルが高い。相談してくれる人が向いてくれたら話せる。自分から働きかけることが苦手”が加わりました。娘は自らに主治医に「自閉症」「発達障害」「アスペルガー症候群」「ADHD」の違いや「自分は何に当てはまるのか」「障害の重さはどの程度なのか」などを質問しました。娘の質問に対し、主治医は図を書きながら娘に分かるように説明をしました。そして診断名は大事な個人情報だということも娘に伝えました。娘をとりまく環境の変化私は当初、再度自分の障害についての説明を望んだ娘の心境がよく分かりませんでした。でも娘と医師のやり取りを見ているうちに、娘が“学生”から“社会人”になったことが大きく影響しているのだと感じました。『学生』でなくなると、選択の自由度が増し、煩わしいもの、嫌なことを避けることもできます。学生時代は限られていた交友関係や活動範囲を広げることが可能です。一方で、自ら行動を起こさなければ人間関係は希薄になりがちです。周りの人は本人の意思を尊重します。そして自身の行動には責任が伴なってきます。そんな中で娘が自分の障害を再確認したいと思うのは自然なことだったのかもしれません。これからも親は子どもが何歳になっても親ということには変わりありません。そして子どもに障害があると、子どもを守りたいという気持ちはことさら大きくなります。でも自分の障害を理解しようとしている娘の姿を見て、私は彼女を一人の大人としてもっと尊重し、対等なスタンスで接していくべきなのだろうと感じました。これからも人生の節目やターニングポイントを迎えるたびに、娘は自身の障害についていろいろと考えることでしょう。そしてそのとき、私もまた新たな気付きを得るのだと思います。いつになるか分かりませんが、そのときまで体も心も頭も(笑)元気でいたいものです。執筆/荒木まち子(監修:鈴木先生より)そもそも自閉スペクトラム症を「障害」ととらえずに「特性」ととらえればいいのです。特性を知ることで今後の人生や生き方に役立てればいいと思います。重要なのは会社や周りの人たちがその特性を理解してくれるかどうかです。理解してくれることによって優しく丁寧に具体的に肯定文で話してくれれば、娘さんにとって生きやすい社会になります。最近はSNSなどでさまざまな情報が飛び交っております。重要なのは信頼のできる主治医と向き合って自分独自の特性を正確に知り、どういう対策を取ったらいいか知っておくことです。そしてそれを理解してくれる仲間を増やすことです。
2023年01月17日臨月に行ったノンストレステストでひっかかった娘には重度の知的障害や身体障害があります。言葉はほとんど話すことはできません。発達の遅れは感じていたものの、2歳直前で障害があると診断されるまでは、そんなに重い障害があるとは思ってもいませんでした。妊娠中は、後期になるまではとても順調でした。ですが、臨月になり、ノンストレステストを行ったところ、いつまでたっても胎児が起きないのです。通常は、おなかの中の赤ちゃんは20分おきくらいで起きたり寝たりしているそうなのですが、ずっと寝ている状態とのこと。ほかの妊婦さんが30分ほどでテストを終えていくのに、私だけ3時間たっても終わりませんでした。産院の先生はなんども超音波で胎児の様子を見ては「脳もあるし、身体に異常は見当たらない。なんでだろう」と頭をひねらせていました。大学病院に紹介状を書くか迷っていた様子でしたが、予定より2週間ほど早く陣痛が来て、紹介する間もなくかかりつけの産院で出産することになりました。出生後すぐチアノーゼに出産時も、上の子の時とは違いました。生まれてすぐ一声泣いたものの、そのあとはぐったり…胸に抱かせてもらった娘の顔色がだんだん悪くなるのを見て、私は「先生、この子おかしいです!」と叫びました。スタッフが慌てて血中酸素濃度をチェックすると、とても低い数値。あわてて酸素ボックスの中に入れられました。ですが翌日になると落ち着いたので、予定通り3日ほどで退院となりました。Upload By ユーザー体験談泣かない、手がかからない、乳児時代その後は特に問題はないように見えた娘ですが、上の子と比較して違ったのは「泣かない」ということでした。上の子がとにかく泣いてずっと抱っこをしていて大変だったのに、娘は寝かせておいたらずっと寝ているし、泣いてアピールすることもほとんどありませんでした。出産祝いに来てくれたママ友に、「こんなに手がかからないなんて、なんか変じゃない?」と言って「楽なのに心配するなんて、心配しすぎだよ」と言われたのを覚えています。今思えば、自己主張するほど脳も発達してなければ、泣くために必要な身体の力も未熟だったのだろうと思います。Upload By ユーザー体験談4ヶ月を過ぎたころから発達の遅れが目立ち始めた首すわりまでは順調だったのですが、そこから先はつまづきました。寝返りしない、ハイハイしない、座れない、伝い歩きしない…7ヶ月健診で要観察、9ヶ月健診のときにもお座りが安定しない娘をみて、産院の先生に子ども病院を紹介されました。上の子のときを思い返せば、9ヶ月ではしっかり座り、座ったまま体をひねったり、両手でおもちゃで遊んだりしていたし、ずりばいやつかまり立ちもしていました。人見知りも始まっていました。娘は人見知りをすることもありませんでした。原因不明の発達遅延といわれて子ども病院にはかかったものの、原因不明の発達遅延と言われただけ。発達センターを紹介され、1歳になるころから、PT(理学療法)を受けることになりました。センターの先生は、おそらく一目見て娘の障害に気づいていたのでしょう。その後、同じ自治体に娘と同じ障害がある子が複数いると分かりましたし、そうした子どもたちはみんな、就学前はこのセンターに通っていたからです。ですが、立場もあるからでしょう、障害名について口にすることはなく、「ウォーカーをつくって歩行練習をしたほうがいいと思います。障害者手帳をつくれば、公費でつくれるので手帳をつくりませんか?」と提案されました。おそらく、歩行に困難がある障害だから、はやめにウォーカーをつくってリハビリを始めたほうがいいと考えてくださったのだろうと思います。1歳半健診で感じた周りの子どもとの違い1歳半健診にもいったものの、ハイハイもせず、模倣もせず、もちろん積み木もつめず。「おかあさんが髪をとかしていたら、それをまねしますか?」といわれ、1歳半の子どもってそんなことできるんだっけ、と思ったのを覚えています。そうした模倣をするようになったのは、娘の場合は小学校に入ってからでした。健診で、すでに発達センターに通っていることを伝えると、それならと特に要観察の指示もありませんでした。てんかん発作が診断のきっかけに結局、障害が分かったのは、1歳半を過ぎたころにてんかん発作を起こしたことがきっかけでした。地域の中堅病院にしばらく入院し、その後主治医になったのが、ある大学病院から月に何回か来ている脳神経の専門の先生で、その先生は脳波をみて娘の障害に気づき、大学病院への転院手続きをしてくださったのです。大学病院での遺伝子検査の結果、先天性の希少疾患があることが分かりました。Upload By ユーザー体験談3歳児健診はパス、大学病院での配慮がうれしくて3歳児健診には、娘を連れては行きませんでした。障害も分かっていたし、すでに毎月大学病院で見ていただいていたからです。役所に電話したら、「大学病院で毎月見ていただいているなら大丈夫ですよ」と言われました。定期通院のときに、看護師さんに「3歳児健診は行くのやめたんです」と伝えると、いつも計測している身長体重に加えて、詳しく計測をしてくれ、母子手帳に記載してくれたのがとてもうれしかったです。Upload By ユーザー体験談障害告知はつらかったけれど生後1ヶ月くらいから感じていた「何か気になる」というカンは、結局当たっていました。わが家の場合、てんかん発作で入院した病院に、娘の障害に詳しい先生がきていたことから、早めに障害を見つけてもらうことができました。障害が分かったときはその重度さに落ち込みもしましたが、今は早く見つけてくださった先生に感謝しています。あれから10年以上経ちましたが、私たち家族は娘を中心に幸せに暮らしています。イラスト/にれエピソード参考/あき(監修:鈴木先生より)1歳までは運動面での発達が主なので、遅れのあるお子さんはとりあえず「運動発達遅滞」という病名で定期的にフォローしながら病因検索をしていきます。この時点で一般の小児科医から神経専門の小児科医のいる病院へ紹介されるのが普通です。娘さんは運動発達を遅らせることで親にイエローカードを出していたのです。それをいち早く察知するために乳幼児健診(基本コラム「0歳児健診」参照)があります。早めに診断するメリットとしてさまざまな合併症に対する検査・診断・治療が早くできることが挙げられます。1%程度の病気の面は主治医が診るので家族のみなさんは残り99%の健康的な娘さんのできるところを見て伸ばしてあげてください。
2023年01月07日「病院利用」にまつわる発達ナビライターの体験談をご紹介!にれさんの娘のまゆみちゃんは、自閉スペクトラム症と知的障害があります。多動のため一瞬たりとも目の離せない状態での病院受診は緊張の連続。少しでもストレスなく受診できるよう、にれさんが大切にしている4つのことを教えていただきました。ぼさ子さんの息子ほぺろう君は、知的障害(知的発達症)と自閉スペクトラム症があります。病院でのほぺろう君の泣き暴れを抑えるのは至難の業!やがて泣き暴れを抑えるのではなく「いかにスムーズに受診を終えるか」という考え方に変わっていき、情報を集め、工夫するようになったそうです。丸山さとこさんの息子コウ君は中学1年生。ASDとADHDがあります。コウ君はADHD治療薬を服用しているため、定期的に発達外来のある病院へ通っているのですが、普段はおしゃべりなのになぜか『診察室で医師と会話できない状態』になってしまうのだそうです。5年後にはコウ君も成人。いずれ1人で診察を受けるようになることを考え、丸山さんはスクールカウンセラーに相談してみることにしました。みんさんの息子P君が2歳のとき、『体を硬直させながら震える』という症状があったそうです。発達障害の原因として、てんかんなどほかの疾患が隠れていないか調べるために病院を受診。その結果、検査入院をすることになり…。親子とも大変だった入院のエピソードです。吉田いらこさんの小学6年生の長女ゆいちゃんは、軽度知的障害・場面緘黙・ASDの診断をされています。ゆいちゃんの特性には、「他人と会話するのが苦手だったり先の見通しを立てないと不安になってしまう」というものがあります。病院ではいつもちょっとした苦労があるそうで…。さいごに今回の「病院利用」特集では、発達ナビライターの方々から非常に多くの体験談をお寄せいただきました。共感できるエピソードも多かったのではないでしょうか。発達ナビでは来月も引き続き、病院利用に関する体験談を公開予定です。発達ナビライターのみなさんの悲喜こもごものエピソード、どうぞご期待ください!
2022年12月30日PTSDと発達障害の関連性とは?PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、つらい出来事がトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。ADHDの症状の中にはPTSDの症状と似ている点があったり、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの中にはPTSDだと診断されなくとも、こころの傷によって苦しんでいる場合もあります。※この文章を読んで、自分のトラウマがよみがえってきたり、気持ちがつらくなった場合には、一旦画面を閉じましょう。可能であればゆっくりと深呼吸をして、今が安全であることを確認しましょう。気持ちが落ち着いたら、また再開してくださいね。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンADHDとPTSDの類似性ADHD(注意欠如・多動性障害)とPTSDの症状には、実は似ている点が多くあると言われています。ADHDのある子どもは、不注意、多動性、衝動性の特性があります。ADHDのある子どもに見られる行動として、・大人しく座っていられない・すぐにかんしゃくを起こす・診察中に突然、病室から飛び出すといったことがあります。ですが、PTSDの症状としても、これらと似たような症状が見られることがあります。そのため、子どもの行動から、その原因がADHDの特性によるものなのかPTSDの症状として出ているものなのかを区別することは、専門家であっても難しい場合があります。ADHDとPTSDを正しく見分けるためには、子どもの過去にどのようなことがあったのかや生育歴・発達歴の情報が大切になってきます。子どもと一番長い時間を過ごしてきたのは、医師や専門家、学校の先生ではなく家族です。少しでも気になる出来事があったり、ある日を境に急にADHDと思われるような症状・傾向が見られるようになったと感じたときは、医師に伝えるといいでしょう。自閉スペクトラム症とトラウマ自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもは、その特性から、苦しんでいることがあります。「タイムスリップ現象」と呼ばれる症状が自閉スペクトラム症のある子どもに多くみられます。タイムスリップ現象とは過去の楽しかったことやつらかった出来事を突然思い出す症状です。この現象が起こりやすいという面から、ASDのある子どもは、(楽しい記憶のみでなく)過去にいじめや暴力を受けたときのつらい記憶について急に思い出し、まるで今その経験をしているかのように振る舞ってしまうことがあります。自閉スペクトラム症のある子どもが、フラッシュバックまたはネガティブな記憶のタイムスリップ現象に関して抱えている問題には、・トラウマになるような経験をしやすい・自分の身体に起こっていることを説明することが難しい・気持ちの切り替えやコントロールが難しいといったことが要因として挙げられます。自閉スペクトラム症のある子どもは、定型発達の子どもに比べるとストレスを感じやすい環境で生活していることが多くあります。感覚過敏のある子どもにとっては、普段の教室にいるだけでもストレスがたまっていくことが珍しくありません。また、うまく友人との関係性が構築できないという苦痛や、安心できるルーティンが崩される苦痛を受けやすいことなども挙げられます。自閉スペクトラム症のある子どもにとって、自分の身体で起きていることを正確に周囲に伝えることは困難を伴うことが多いです。子どもからのSOSがなく、親や学校の先生であっても、子どもがタイムスリップ現象で困っていることに気づけないことがあります。過去にいじめられたり、人間関係でうまくいかなかったりしたことを克服したように見えても、子どもが未だにその経験によって苦しんでいることもあります。自閉スペクトラム症のある子どもはパニックや癇癪、フリーズ(どうすればいいのか混乱してしまい、体と思考が凍りつく)を起こしやすかったり、気持ちの切り替えがうまくいかない傾向にあります。自閉スペクトラム症のある子どもが次のような行動をとったときには、トラウマが関連している可能性があるので、子どもに最近なにかあったか聞いてみるといいでしょう。・新たに、攻撃的・破壊的な行動をするようになったとき・夜、寝られなくなるなどの身体に変化が起きたとき・社会性、コミュニケーションにおいて、症状が悪化したとき・常同行動が増えたとき常同行動とは、手をひらひらしたり、体を揺らしたり、奇声を上げるなど、一見無目的に同じ行動を繰り返すことです。参考:友田 明美、杉山 登志郎、谷池 雅子/編集『子どものPTSD-診断と治療-』(診断と治療社、2014年)自閉スペクトラム症のある子どものPTSD予防のために自閉スペクトラム症のある子どもは、トラウマになるような経験をすることが多いと言われています。PTSDを予防するためには、大人子どもを問わず「安全な環境をつくること」「安全な人間関係をつくること」「自分に対するコントロール能力を回復すること」などが大事だと言われています。保護者が傍にいて安心できる環境を作ったり、家族や周りの人が心配し守っているということをきちんと伝えてあげることが、子どもが相談しやすい環境や安心へとつながります。また、なるべくそれまでの生活のパターンを変えずに、規則正しい生活を心がけて、自分に対するコントロール能力を回復するのを助けてあげることも重要です。イラスト/カタバミ参考:心の外傷とその対応|厚生労働省
2022年12月28日発達障害のある子ども2人との生活はへこたれそうになることの連続で…わが家の長男と次男には発達障害があります。私は、2人の特性である多動、衝動性、過集中、注意散漫に幾度となくへこたれそうになった経験があります。長男と次男は、特性によりそれぞれ話しかけてもなかなか反応がないことが多く、年齢も3歳差で比較的歳が近かったためか、仮に長男が反応したとしても次男が次の行動の妨げになってしまうことがよくありました。声色を変えたり伝え方を簡潔にしても、なかなか思うようにいきません。たとえば「お風呂に入るよ」と伝えてようやく行動にうつるまで20回(約1時間…)は声かけをしていたと記憶しています。気持ちが落ち込んでいたある日、私の我慢に限界が来て…忘れられない経験があります。当時長男は小4で、次男は小1で、2人とも通常学級に在籍していました。次男はまさに小1の壁にぶち当たっていたころです。次男は当時学校生活になじめず毎日学校と連絡を取り合う日々でした。ある日いつものように私は、放課後担任の先生から「次男が癇癪(かんしゃく)を起こした背景」を聞かされ、落ち込んだ状態で学校から帰宅しました。Upload By スガカズUpload By スガカズ私は2人の心を傷つけたくはありませんでしたし、自分自身を嫌いになってほしくはありませんでした。ですが、学校生活を送る上でどうしても「普通」と比べざるをえない状況に陥ることが頻繁にあり、そのたびに「私がやっていることは無意味なのではないか?」「(何を言っても聞く耳を持たないのなら)2人は別に私がいてもいなくても変わらないのではないか?」と感じながら子育てをしていました。そんな毎日が続き、私自身なんとかギリギリの状態を保ったまま日々過ごしていましたが、ある日ついに我慢ができず、2人を感情的に(泣きながら)怒鳴りつけてしまいました。すると、それまでこちらを向くことはなかった2人が、申し訳なさそうな顔をして、「ごめんなさい」と言いました。次男も、いつもなら癇癪(かんしゃく)を起こすことが多いのですが、この日は謝ってきました。しばらく時間が経つと、私はだんだんと子どもたちに申し訳なくなってきました。「親が感情的に『あなたは、こんなことができない』『私はあなたに傷つけられた』と言ってはいけないはずなのに、つい言ってしまった」「親は子どもの前で泣いてはいけないのではないか?」と後悔しました。どうすればいいのか自分自身悩みましたが、時間をおいてから2人に「ごめんね。お母さん実は我慢しすぎちゃったみたい」と謝りハグしました。気持ちを数値化、予告、話し方を変えるUpload By スガカズUpload By スガカズその後、「感情任せで怒鳴る」結果にならないように試行錯誤することにしました。誰だって怒りたくはありませんが、その日の状況によって怒ってしまうことがあります。私は当時、「怒ってはいけない」と自分に強く言い聞かせていたのですが、この一件から強く怒ってしまったあとは素直に謝って、こちら側の気持ちを伝えたり、「そろそろ怒りそうだぞ」とあらかじめ子どもたちに予告しておくようになりました。もし怒ってしまったときは、怒ったあとにハグして仲直り。それから子どもたちに「親でも怒ることがあるし、泣くこともある。なにをしてもいいわけではない」ことを伝えるようしました。執筆/スガカズ(監修:初川先生より)感情的に怒ってしまったこと、そのことへの逡巡する思いのシェアをありがとうございます。同じようなことになって悩んでいらっしゃる保護者の方は多いのではないでしょうか。子育てというものは、理屈や理論、理想通りにはなかなかならないですね(私も子育て中ですが、心の底からそう思います)。私の尊敬する先生は「子育てはあきらめのプロセス」と語ってらしたし、心理士の仲間内では「まさか自分が子どもにこんなに怒る日が来るとは思わなかった(こんなに怒ったり悲しんだりする自分が、自分という人間の中にいるとは思ってもみなかった)」という話が出たり、みなさん多かれ少なかれこうした葛藤に見舞われるように感じます。頭では分かっているのに、できない。子どもとはいえ、自分とは違う人間なのだから期待しすぎてはいけない。分かってはいるけれど、なかなか難しいのですよね。まずお伝えしたいのは、今回のように怒って泣いてしまうほどになるということは、スガカズさんがとてもとても頑張っていらしたからだということです。学校からの連絡(これ、なかなかつらいですよね)を受け、頑張っているのにどうにもうまくいかない、自分だけが一人で頑張っているような気がする。そうした思いが生まれる際は、おそらく、頑張りすぎて無理が生じており、ゆとりがなくなっている・視野が狭くなっているサインです。もしそういう心境になられたら、カウンセラーや信頼できるお友達など、話を聞いてもらいたいと思う人に胸の内を聞いてもらうことをおすすめします。具体的に何も解決しなかったとしても、心の空き容量は増えます。ゆとりが生まれたら、また頑張ろうと思えます。そして、今回のように、お子さんにわーっと怒ってしまった場合。私はスガカズさんの取られた対応で良いと思います。落ち着いてから謝る。怒りすぎたことを謝る。スガカズさんのされたように「お母さん、我慢しすぎちゃったみたい」など、理由を説明して謝る。そこに尽きます。もちろん、そこまで感情的に怒らずに済むならそれにこしたことはありません。そして、いくら感情的になったとはいえ、超えてはいけない線(暴力をふるってしまう、食事を与えないなど)もあります。そこには気を付けていただきたいですが、しかし、感情的にわーっと怒ってしまう、泣いてしまうことも時にはあると思います。それは、子育てという営み、家族としてともに生活をするという営みが、決してきれいなだけのものではないからです。親密な関係性の中では、常に理知的に過ごすというのは困難です。それは若いころの友達関係や恋人関係を振り返っていただければ思い当たることがあるかと思いますが、つい感情的になる、言いすぎてしまう、へそを曲げてしまう。そういうことが親密な関係性ではどうしても出てきがちです。大事なのは、そのあとで、そうして時々感情的になったとしても、その関係性を修復し、共に過ごす生活を営み続けるということです。怒りすぎてしまったと思ったら謝る、そしてまたそこからやり直す。そのこと自体も、大事なことだと私は感じています。きれいなドライな子育てなんて、ないのではないでしょうか。ただ、繰り返しますが、むやみに感情を爆発させてもお子さんに負荷がかかり、場合によっては情緒不安定になる可能性もあります。そこで出てくるのが工夫です。スガカズさんのされた、怒り度合いを点数化して伝わりやすいようにする、口調を変えてみる。とても良い工夫だと思います。そうして、保護者の方ご自身の感情の手綱を取りつつ、なくてもよい“爆発”を抑えつつ、そしてなにより、共に生活をする間柄として気持ちの良い関係性を一緒に作ってゆく。そうした営み自体が、悲喜こもごもになるとは思いますが、充実した試行錯誤、子育ての醍醐味となられることを願います。
2022年12月27日知的障害の「繰り返し行動」に焦点を当てたヘラルボニー新プロジェクト「ROUTINE RECORDS」、金沢21世紀美術館にて開催Upload By 発達ナビニュース2022年10月1日(土)〜2023年3月21日(火・祝)に、金沢21世紀美術館デザインギャラリーにて、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」 の新プロジェクト「ROUTINE RECORDS」が開催されます。このプロジェクトは、金沢21世紀美術館デザインギャラリーを作品展示の場としてだけでなく、調査・ 研究・実験の場として開くことを目的に2017年より始動した〈lab.〉シリーズの第5弾となっています。「ROUTINE RECORDS」は、金沢市内の特別支援学校や福祉施設、他県の福祉施設に通う知的障害のある人が習慣的に繰り返す、日常の行動(ルーティン)から生まれる音を音楽として届ける試みです。繰り返し行動(ルーティン)を行う知的障害のある人々を「ルーティナー」と呼び、その日常から生まれる様々な音について、多角的に知ることができるような構成になっています。会場では、日常のさまざまなルーティンが生み出す「音」や「言葉」を聞くことができる視聴コーナーや、ルーティン音をもとにプロの音楽家が作成した楽曲の視聴、実際にルーティンによって生まれた音から音楽を制作できるDJ体験ブースなどが設けられており、日常の音が音楽となるプロセスを体験することができます。また、特設WEBサイトでも、ルーティンから生まれた音などの一部が公開されます。繰り返し行動が生み出す「音」という新たな視点から、多様な背景を持つ他者への理解を深める良い機会となるのではないでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「ROUTINE RECORDS」の公式サイトに遷移します。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「金沢21世紀美術館」の公式サイトに遷移します。<詳細>【期間】:2022年10月1日(土)〜2023年3月21日(火・祝)/10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)【会場】:金沢21世紀美術館 デザインギャラリー【料金】:無料【休場日】:月曜日(10月10日、31日、1月2日、9日は開場)、10月11日(火)、11月1日(火)、12月29日(木)〜1月1日(日)、1月4日(水)、10日(火)【主催】:金沢21世紀美術館「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」12月17日(土)~横浜赤レンガ倉庫にて開催Upload By 発達ナビニュース2022年12月17日(土)~2023年1月15日(日)に横浜赤レンガ倉庫1号館2Fスペースにて、「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」が開催されます。リトさんはADHD当事者でもあり、その特性の一つである「過集中」を前向きに生かすため、2020 年より独学で葉っぱ切り絵の制作を始め、現在TwitterやInstagramなどで人気を博しています。本展は、「森の入口」から始まり、第1章「森の一日」、第2章「森の一年」、第3章「森の仲間たち」、第4章「森のパーティーにご招待」、第5章「葉っぱ切り絵ができるまで」とそれぞれのテーマごとに素敵な世界観を楽しめる構成となっています。さらに12月17日(土)~25日(日)には、第4章「森のパーティーにご招待」がクリスマスムード一色になるクリスマス限定企画も予定されています。ADHDの診断を受けてから、発達障害の情報を発信し理解を広めたいと、試行錯誤を繰り返してきたリトさん。ADHDの特性はネガティブに受け取られてしまうこともありますが、得意を活かすことで可能性が広がることもたくさんあるでしょう。リトさんだからこそ生み出せる素敵な葉っぱ切り絵の世界をこの機会にぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」の公式サイトに遷移します。<詳細>【会場】: 横浜赤レンガ倉庫1号館 2Fスペース【会期】: 2022年12月17日(土)~2023年1月15日(日)【時間】:12月25日(日)まで: 10:30~20:00(最終入場19:30)12月26日(月)から: 10:30~18:00(最終入場17:30)【料金】:前売券:大人(中学生以上)1,200円/子ども500円当日券:大人(中学生以上)1,500円/子ども800円※2歳未満の乳幼児は無料。※障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料。【主催】: ドリームスタジオ【共催】: 横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団]【協力】: 講談社チケット購入はこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトから、eplusの「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」チケット購入ページに遷移します。金子書房主催のオンラインセミナー「発達性ディスレクシアのアセスメントと支援」1月29日(日)に開催Upload By 発達ナビニュース発達性ディスレクシアは、学習障害/限局性学習症の中で、文字を読むことに困難があるタイプを指します。ディスレクシアは、文字を音と結びつける「音韻処理」や、文字の形を認識したり語句のまとまりを認識し意味と結びつける「視覚的な処理」などに必要な脳の部位に何らかの機能障害や偏りがあると考えられています。今回は、ディスレクシアの音韻的側面に焦点を当て、アセスメントで行うべき音韻意識課題、子どもの実態に合わせた支援、配慮すべき子どもの心理面などを通して、発達性ディスレクシアがある子どもの理解と支援について学べるセミナーになっています。講師は、北里大学教授であり言語聴覚士である石坂郁代先生です。ディスレクシアについて、ディスレクシアの支援について理解を深める良い機会になるのではないでしょうか。<詳細>【日時】:2023年1月29日 (日)14:00~16:00【場所】:オンライン【講師】:石坂郁代先生(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科言語聴覚療法学専攻教授/言語聴覚士)【料金】:リアルタイム視聴のみ3,000円/リアルタイム視聴+録画視聴(配信期限あり)4,000円【主催】:金子書房申し込みはこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトから、peatixの「発達性ディスレクシアのアセスメントと支援」チケット購入ページに遷移します。11⽉14⽇(⽉)~12⽉25⽇(日)、「セレオ」「nonowa」のクリスマスビジュアルを福祉施設が制作Upload By 発達ナビニュース2022年11⽉14⽇(⽉)~12⽉25⽇(⽇)、JR中央線コミュニティデザイン運営の商業施設「セレオ」「nonowa」9店舗にて、「想造楽⼯(そうぞうがっこう)」と、⼋王⼦・⽴川の福祉施設が制作したクリスマスビジュアルデザインが使用されます。福祉施設の利用者34名が描いた絵が、エントランスや装飾物、販促物に使用されています。「想造楽⼯(そうぞうがっこう)」は、「枠を超える創造を⼀緒に」をスローガンに、株式会社ニューモアが企画運営する事業です。福祉作業施設に通う障害のある⽅の絵にデザインのアレンジを加えることで、商業デザインへの展開を行っています。 現時点で全国6カ所の福祉施設とパートナー事業所として提携し、これまでに企業や⾃治体などと77件のコラボレーシ ョンをしました。今回の企画では、パートナー事業所である2カ所の福祉施設、就労継続⽀援 B型事業所「しあわせのたね」(八王子市)、多機能型事業所「ワークセンターまことくらぶ」(⽴川市)と絵の制作を⾏いました。2ヶ所の福祉施設利⽤者の⽅々の描いたクリスマスイラストを円形に並べ、リースのように⾒⽴てたデザインになっているそうです。クリスマスの買い物と共に、個性的で可愛らしいイラストを楽しんでみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「想造楽工」の公式サイトに遷移します。<詳細>【期間】:2022年11⽉14⽇(⽉)~12⽉25⽇(⽇)【場所】:セレオ各店舗、nonowa各店舗●セレオ⼋王⼦、セレオ相模原、セレオ⻄⼋王⼦、Dila拝島、セレオ甲府:11/14(⽉)〜12/25(⽇)●セレオ国分寺:11/18(⾦)〜12/25(⽇)●nonowa東⼩⾦井、nonowa武蔵⼩⾦井、nonowa国⽴:11/28(⽉)〜12/25(⽇)「セレオ」「nonowa」総合トップページ※クリックすると、発達ナビのサイトから、JR中央線コミュニティデザイン「セレオ」「nonowa」の総合トップページに遷移します。JTBデータサービス、障害のある方の作品を使用したJTBトラベルギフト「チャレンジド・デザイン」カードを販売Upload By 発達ナビニュース障害のある方の作品を使用したJTBトラベルギフト「チャレンジド・デザイン」カードが2022年11月16日(水)より発売されました。デザインは、「旅行」「贈り物」「ダイバーシティ」をテーマとする3種類があり、使用場面などに合わせて自由に選ぶことができるようになっています。JTBトラベルギフト(カード型旅行券)は、全国のJTBグループ店舗、JTB Webサイトで旅行代金の支払いに利用できるカードです。使用後も記念として手元に残すことができます。㈱JTBデータサービス(JTBグループ)は、障害がある方々が継続して自立できる仕組みの実現を目標に、一般就労をめざす障害者と社会をつなぐための取り組みとして、「チャレンジド・デザイン」カードを発売しました。大切な人への贈り物として、また自分へのご褒美として、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、JTBデータサービス「チャレンジド・デザインカード」の詳細ページに遷移します。<販売価格>●「チャレンジド・デザイン」カード料金:2,200円(消費税込み)●旅行券面額<ご希望の購入金額をチャージ>:3,000円~500,000円●送料:770円(消費税込み)LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年12月14日長男と次男はADHD。外出先で迷子になることが多くて…わが家には4人の子どもがいますが、そのうち上2人(長男、次男)には発達障害があります。小学校低学年くらいまでは、長男次男2人とも外出先で迷子になることが珍しくありませんでした。迷子になる子どもが1人なら多少は探しやすいのかもしれませんが、2人が同時に別々の場所で迷子になってしまうなんてこともありました。Upload By スガカズ特にショッピングモールなどの大型施設で迷子になることが多かったです。だいたいは、親(私)が買い物をしているとき。長男も次男も、コミュニケーション自体はできますし、口頭指示も伝わるので、私は「お母さんは今買い物しているから、お母さんの近くに絶対にいてね」と伝えます。そのときは「わかった」と、子どもたちも答えます。しばらく無事に行動しているのですが、不思議と、私自身が一瞬気をぬいたとき(買うものを選んでいる)にいなくなります。長男はお目当てのものを見つけると急にいなくなるため、次男より先にいなくなることが多いです。そのとき次男には、「ここ(見通しのよい場所などを選んで)で待っていてね」と伝えてその場に残し、私は下の子たち(当時2歳と1歳)と一緒に長男を探します(次男を連れていくと、次男が歩き疲れて機嫌が悪くなり、長男を探すどころではなくなります)。しばらくして次男の様子を見に行くと…。次男もいなくなっており、思わず私はその場に立ちすくんでしまうのでした…。迷子になったとわかったときの長男と次男、それぞれの反応はUpload By スガカズ迷子になりやすい長男と次男でしたが、迷子になったときのそれぞれの行動は違っていました。長男は、他人に対して好意的なので、施設の従業員に声をかけることもあります。次男はふらりとその場から離れ、結果迷子になることが多かったのですが、本人は迷子になったことが不本意のようで「家族が自分をおいてどこかに行ってしまったのでは」といった感覚になるようで、見つかったときに怒っていることが多かったです。また、知らない大人が苦手なので、人通りのある場所を離れ、死角に潜んでいるので、見つけることが難しいということもありました。迷子にならないための対策Upload By スガカズ大きな施設に行くときは、「迷子になった場合の集合場所」を決めておくことにしました。よく行く施設なら、お気に入りのコーナーで集合すれば、比較的早く見つかりやすいです。また、トイレはほとんどの施設で迷わずたどり着けるよう工夫がされていることに気づいたため、慣れない施設にいく場合は、迷子になったらトイレで集合するように話しました。それでも入れ違いになったり、集合場所への行き方がわからない、本人が聞いていなかったなど、別の問題で集合場所で再会することは難しかったです。長男中3、次男小6になった現在は…Upload By スガカズそんな2人も現在は長男は中3、次男は小6になり、多動や衝動性は目立たなくなりましたし、仮に家族とはぐれたとしても「この辺で出会えそうだな」と、家族の行動パターンを理解できるようになったため、すぐに見つけることができます。また、自宅からそう遠くない場所であれば、自力で帰宅することもできます。頻繁に迷子になった当時の話をすると、2人とも首をかしげています。そんな反応をされると、「あのときの大変だった記憶は気のせいだったのではないか?」と感じてしまいます。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)キャラクターによる迷子パターンの違いが特徴的ですね。また、年齢が上がったあとの「家族がお互いの行動パターンを想像できるようになる」ことはとても大事ですね。それだけでもすごい能力だと思います。当の本人たちが昔のことをあまり覚えていないのはご愛敬ですが、でも覚えていて傷になっているよりは健全に育ってくれていると言えるのかもしれません。
2022年11月29日自閉スペクトラム症のある娘の病院受診、準備は前日から自閉スペクトラム症と知的障害の診断を受けている娘のまゆみは、身体の一部に生まれつきの赤アザがあります。痛みなどの症状はありませんが、傷あとが残ってしまう可能性があるため、3ヶ月に一度のレーザー治療を受けています。問題になるのが、元気いっぱいフルパワー状態の娘を連れての病院受診。どの場面を切り取っても困りごとの連続で、受診日が近くなると母の心に緊張が走り始めます。Upload By にれ今回は、わが家の病院受診の際の事前準備と、それでも起こる困りごとについてご紹介したいと思います。前日から当日の朝、まゆみが落ち着いているときに、病院へ行くことを繰り返し伝えます。Upload By にれ自閉スペクトラム症のある子どもへの対応でよく言われるのが、「見通しが立たないと不安になるため、予定を本人にきちんと伝える」というもの。4歳半の現在、まゆみは言葉での意思疎通が難しいため理解できているかは分かりませんが、事前に伝えておくことで心構えができるかもしれない・今は分からなくても伝え続けていたらいつか分かるかもしれないと思い、事前に告知しています。病院に到着するも困りごとの連続でまゆみに事前に病院に行くことを伝え、病院へ向かいます。まずまゆみは、車の窓から病院が見えた時点で大泣きします。もう何回も治療のために病院に来ているため、まゆみ自身も「行かなくてはいけない」との意識があるらしく泣きながらエントランスまで歩いてくれますが、広々としたホールに入ると走り出さずにいられません。受付の機械を操作する間にも手を振りほどいて飛び出してしまいます。「走りません、歩きます。病院には具合の悪い人がいっぱいいるから、静かにね」と伝えますが、ほとんど収まりません。病院の受付のために専用の機械に向かいます。今にもどこか行ってしまいそうなまゆみ。仕方ないので、まゆみには機械と私の間に入ってもらい、両ヒザでまゆみを挟んで逃げ出さないようにガードしつつ、受付を済ませます。Upload By にれ長丁場の待合室。いろいろな「時間つぶしグッズ」を持参して受付を済ませ、待合室に到着します。病院での困りごとの中でも長丁場になる場面です。予約をしていても呼ばれるまでに早くて20分。問診のあと、患部に薬剤を塗ってからレーザー照射まで30分を置かなくてはいけないので、トータルで1時間近く待合室で過ごすことになります。まゆみは活発で動き回るタイプなので、放っておくと走り回ったり、ソファの上で飛び跳ねたりしてしまいます。ここでも「走らないよ。ママと座ろうね」と伝えますが、聞こえていないような顔。そこで、あらかじめ興味を引くような時間つぶしグッズを用意しておきます。わが家では以下のようなものが主流です。Upload By にれ【病院の待ち時間に役立つグッズ】・シールブック・マグネットブック・手遊びに便利な色とりどりのシアー素材の布・プリントアウトした家族写真特に家族写真は、人にあまり関心のなさそうなまゆみも興味を示すので、家族への愛着も深まって待合の時間つぶしにもなるという一石二鳥のアイテムです。スマホ画面で見せてもいいのですが、まゆみの場合はスマホを前にするとアプリや動画を見たがってしまうので、デジタルメディアを緊急時の最終手段にしておきたい考えのわが家はプリントした画像を見せています。これらもしばらくは楽しんでくれますが、そのうち飽きて席を立ってしまうので、私も一緒に立ち上がって歩きます。多動傾向のある子にとってずっと同じ姿勢でいるのはつらいだろうと思ってのことですが、周りの方々に迷惑をかけないよう手はしっかりとホールド。お世話になっている病院は廊下と一体型の待合室なので散歩する感覚で歩くことができますが、待合の小さな病院などではトイレへ行ったりすることで気分を変えることも。とにかく身体を動かして呼ばれるのを待ちます。それでもやはり不安なのか、待っているうちパニックになってしまうことがあります。こうなると移動も抱っこも拒否するので本人が落ち着くのを待つしかありません。院内で騒いでしまい申し訳なくなりますが、本人も自分で自分を励まそうとしているのか、涙と鼻水まみれの顔を真っ赤にしながら「がんばろー!がんばろー!」と全身を硬直させて叫んでいるのを見ると私も涙が出そうになります。いよいよ処置室へ。じっとできない娘の診察はなかなか困難長い待ち時間が終わり、いよいよ処置室に入ります。処置中、母親は室外待機となるので、ドアの向こうのまゆみの叫び声を聞きながら待つのみとなります。レーザーを受ける際はじっとしていないといけないのですが、まゆみが動き出してしまいそうになるので看護士さんが三人がかりで押さえているそうです。ハラハラしますが、できることがないので出てくるのをひたすら待ちます。まゆみの診察時の困難として・指示に従えない・自分の症状を上手く伝えられない・じっとできないなどがあります。アザ治療は行う処置が決まっているのでまだよいのですが、これが何かほかの体調の問題だったらもっと困るだろうな…といつも怖くなります。レーザー治療も、本当は押さえつけたり拘束せずに済めばよいのですが、3ヶ月に一度で流れ作業のように進んでいく大きな病院での治療なので、先生との信頼関係を築いていくのも難しく感じています。Upload By にれ数分でドアが開いて大泣きのまゆみが飛び出してくるので、しっかり抱きとめて思いっきり褒めるのが恒例になっています。まゆみも母親の存在に安心するのか、次第に落ち着いてくるので、なだめながら医師の話を聞き、会計へ向かいます。受付と同様、まゆみをホールドしつつ手早く会計処理します。会計が上がってくるまで時間がかかりそうなときは、売店へ行ってお菓子を買ってあげるなどご褒美タイムにしています。病院がつらい記憶ばかりになると次回にも響いてくるので、全体を通してなるべく楽しく過ごさせたり、うれしいことがあったりするように工夫しています。自閉スペクトラム症のある娘の受診で大切にしている4つのこと以上が、わが家における定期受診の流れです。どの場面を切り取っても内心では汗だくになっていますが、治療を始めたころに比べるとかなりスムーズに処置を受けられるようになりました。大事なことは、準備をしっかりとしておいて子どものペースに巻き込まれないことだと思います。また、あらかじめ障害があることを伝えておくと病院側も相応の準備をしてくれるので、私は初めてかかる病院には必ず伝えるようにしています。・本人に事前に伝える・時間つぶしのための綿密な準備・病院側の協力・つらい記憶ばかりが残らないような工夫(次回の受診に備えて)自閉スペクトラム症のある娘の受診には、この4つが大切だと感じています。困りごとの紹介がメインになってしまいましたが、少しでもお子さんの受診を控えてお困りの方のお役に立てればうれしいです。どの保護者さんもお子さんも、診察を乗り切った後はクタクタになっていると思います。病院を受診した日は、ご自分のこともお子さんのことも大げさなくらいに褒めてほしいと私は思っています。執筆/にれ(監修:三木先生より)ご本人もお母さんもよく頑張っておられますね。いろんな方法を用意して時間を乗り切る工夫をされているのは素晴らしいと思います。また記事でも記載のあるとおり病院との連携も大事な準備の一つです。最近では対応を嫌がられることは少ないと思いますので(というか嫌がるところは願い下げでOKです)、頼んでみましょう。
2022年11月28日2022年11月25日、タレントの小森純さんが、24時間で投稿が削除されるInstagramのストーリーズを更新。約5年住んでいた自宅に欠陥があったことを明かしました。欠陥住宅だと判明した小森純やたら目にするコバエが気になり、小森さんが同月上旬に業者を呼ぶと、キッチン下の床が腐りきっていたことが判明。ほかにも、トイレや洗面台などの水回りが詰まりやすかったことや、カビの発生…など数多くの問題があったようです。さらには、配管の傾きが本来と違うため、改めて工事することに。今の自宅からは離れ、いったん仮住まいをすることになったものの、小森さんは不安を隠せない様子です。仮住まいになる事で小学校の送り、迎えが出てくるかも。習い事が遠くなり1人では行けない。息子達が毎日遊びに行ってる公園が遠くなってしまい、友達と簡単に遊びに行けなくなる。仮住まいはマンションが濃厚になってますので、走り回る足音や、息子達の遊び声、注意しながら気にしながらの生活になる。赤ちゃんの泣き声も敏感な方がいるかもしれないので、今以上に気にかけて生活をすることになる。マンションに駐車場や駐輪場が空いているのか…ETC…jun.komori1122ーより引用今後の生活を考えると、小森さんは不安でいっぱいでした。家の中は、点検のためタイルを一度剝がした跡などが…。不安でいっぱいな小森さんでしたが、息子さんの言葉に心が救われたといいます。昨日タイルを剝がしたままで、取り急ぎ隠してる感じ。次男がこれを見て、何何?カッコいい!どうしてこんなにカッコよくしたの?って。まじで色々辛くて泣けるのに、前向きな息子に心救われる。jun.komori1122ーより引用息子さんは、普段の自宅と様子が違うことが、かえって魅力的に感じたのです。自分が住んでいる自宅に問題が起きると、誰しも不安を抱えてしまうもの。そんな時に、子供らしい息子さんの発想に、小森さんは心が少し軽くなったようです。【ネットの声】・辛い時でしょうが、息子さんの言葉を聞くと少しだけ笑いがこぼれたのではないでしょうか…。・息子さんたちのためにも、1日でも早く自宅が直ってほしいですね。・もし自分の家に小森さんのような問題が発生していたら…考えただけでも恐ろしいです。2022年10月27日には、第3子が生まれるなど、小森さん一家に新たな家族が誕生したばかり。そんな時に、住んでいた自宅に欠陥があることが分かると、今後の生活に不安を抱えるのも無理はありません。家族のためにも、1日でも早く小森さんの自宅が直ることを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年11月25日スポーツ整体、パーソナルトレーニングを行うスポーツセラピーすぽると(所在地:京都市山科区、代表:松田 多朗)は、家でスポーツ障害の予防ができる「ママパパセラピスト養成コース」の受講をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて2022年10月31日(月)まで募集します。「CAMPFIRE」クラウドファンディングサイト ママパパセラピスト養成コース■開始背景当施設ではサラリーマンの利用を想定して夜間21:00~23:00の営業を完全予約で開始したところ、スポーツをしている小中高校生の利用が圧倒的に多く、施術者一人では手に負えなくなり、お母さんやお父さんにケアの方法を教えちゃえということから、スポーツ障害予防の施術方法を伝える事業「ジュニアスポーツゼミ」を開始しました。■特徴*障害やケガの予防スポーツ障害やケガはそもそも筋疲労の蓄積から起こることが多いため、練習や試合後にケアやストレッチをすることが重要。*精神的サポート親子でスキンシップを取ることで会話も増えることが多く、精神的な安定にもつながる。*パフォーマンスアップケガや障害の予防だけでなく、カラダの使い方やストレッチの方法も伝えるので姿勢や柔軟性の向上によりパフォーマンスアップも見込める。■リターンについて5,000円 :オンライン個別セミナー(カラダや脳の使い方をオンラインで約90分の講義)30,000円:ママパパセラピスト養成コース受講(手技やストレッチの方法を実践)50,000円:2人以上のチームや団体でママパパセラピスト養成コース受講※その他オリジナルグッズの提供も有り■プロジェクト概要プロジェクト名: ジュニアアスリートのケアの方法を全国のママに伝授したい期間 : 2022年10月31日(月)23:59までURL : ■会社概要屋号 : スポーツセラピーすぽると代表者 : 松田 多朗所在地 : 〒607-8258 京都市山科区小野西浦6-1 シャトー竹村1設立 : 2009年7月事業内容: スポーツ整体、パーソナルトレーニング、運動療法URL : https://ジュニアスポーツゼミ.com( )【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】スポーツセラピーすぽるとTEL:075-574-4976 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月28日もしコウが「学校に行きたくない」と言い出したらどうする?Upload By 丸山さとこ息子のコウは小学4年生で診断を受けましたが、3歳児健診の時点で神経発達症(発達障害)の可能性は指摘されていました。そのころはASDの可能性が高いと言われており、実際に保育園での様子などを見ていると、社会性の低さを感じることはしばしばありました。小学校に入学してから人間関係などのトラブルが起こりそうな予感もあったため、小学校入学前には「もしコウが『学校に行きたくない』と言い出したらどうする?」と不登校についての話し合いを夫としていました。「学校に行きたくない」とコウが言うときは、まずは理由を聞いて対応するように努めています。ですが、「難しい状況が長く続くなどして見通しが持てないようであれば、コウの心身の状態を見つつ不登校を選ぶ可能性はあるだろう」と、夫と私は考えました。学校に通うことで得られるものは、大雑把に分けて二つあると思います。一つは学習の機会。もう一つは他者と関わり社会性を育む機会です。小学校の時間割や教科書を見ると、小学生は本当に忙しいなと感じます。これだけの密度を家庭で再現したら、バトルに次ぐバトルで生傷が絶えない毎日になりそうなのでそこはあきらめるとして、近いものを用意することはできるかと考え、いくつか案を用意しました。学校に行かないことを選んだとしたら?まず、学習は通信教育(タブレット学習アプリ)と簡単なドリルを利用すると、親子共々負担が少なく続けやすいのではないかと考えました。通信教育であれば全教科通塾するより費用が抑えられます。授業動画は停止したり繰り返し視聴したりすることが可能なため、コウもマイペースに理解を進められそうです。Upload By 丸山さとこ候補としていたいくつかのタブレット学習アプリでは、回答の答え合わせが自動で行なわれるのもよい点だなと思いました。私もコウも負担が減りますし、答え合わせのミスもなくなります。また、コウは視線を往復させて物を見たりノートに字を書いたりすることが苦手なのですが、その点でもタブレット学習は助けになると感じました。苦手なことをさせようとすると毎日バトルが絶えなくなるだろうことは予想がついたので、学習に関してはとにかく『コウも私も無理なく、できる範囲で』をモットーに進めていこうと思いました。もしコウと私に余力があれば、通信教育と合わせて1教科だけ個別指導の塾に行くのもよいかと思い、数か所で体験授業を利用してみました。自習室がある塾の場合は、手の空いている先生がいらっしゃれば質問もできるため、自宅学習で分からなかったことも聞けるのがよいなと思いました。比較的手段が数多く用意されている学習機会に比べると、『同世代の子どもの中でコミュニケーションなど社会性を学ぶ機会』は用意するのが難しいなと感じました。集団の中にいたとしても、集団塾のような環境では横の繋がりが生まれにくいかもしれません。かといって、テーブルゲームなどを通じてコミュニケーションを学ぶ場のようなものは通える範囲にありませんでした。そのため、コウが好きなことの中で比較的ほかの子どもとの関わりも生まれそうな、プログラミング教室や英語教室を候補としました。Upload By 丸山さとこまた、『登下校での徒歩移動や体育の授業がなくなることで運動不足になるのではないか』と思ったことから、当時通っていたスイミングスクールも継続して通うとよいのではないかという話になりました。もし「同級生に会うから嫌だ」ということであれば、やや遠方のスイミングスクールに週1で通おう…と決めました。定期的に通える習い事の場を用意することで、私とコウが離れる時間を持つことも大事だろうなと思っていたのもあります。Upload By 丸山さとこまた、社会科見学や家庭科などの主要5教科以外の学習や体験については、レジャー施設やイベント会場へ行くほか、家事の手伝いをするなど日常生活を通じて補うことにしました。優先したいことは何だろう?私は小学生のころ、いじめやからかいなどのトラブルにより学校へ行くのがつらいときがありました。両親はそんな私を見て「しばらく学校お休みする?」と言ってくれましたが、「学校は行くものだから」と言って通い続けました。当時の私は登校することの苦しさと同時に、学校を休むことへの不安も抱えていました。「もし休んだとしてその間の学習はどうする?休んでいる間に問題が解決する手立てもないのに休んで、事態は良い方に変わるのかな…」という不安や疑問を解消できないまま不登校を選ぶことは、そのときの私にはできませんでした。Upload By 丸山さとこそのため、コウが学校生活でつらそうなときには『しばらく学校お休みしてみる?』の提案ができるよう、「安心して学校を休むための対処」について大まかに案を出しておきたいなと考えています。それらの案が、親子共に安心材料になればいいなと思います。コウは小学校中学年のころに行き渋りが続いたことがありました。朝からあまりにも暗い顔をしてぐったりしている日は、「熱はありませんが疲れが溜まっているようなので、今日は休養させたいと思います」と学校に電話してお休みすることもありました。そうしてたまに休んだりしつつもゆるっと登校を続けたコウは、現在中学生になりました。今のところ「中学は楽しい!」と言い毎日元気に通っていますが、いつ調子を崩すか分からないなと思っています。場合によっては『元気だけど学校は合わないので行きたくない』というケースもあるかもしれません。Upload By 丸山さとこ学習アプリ・習い事・体験施設・家事など、『不登校を選んだとき』を想定して候補にあげた活動は学校に通いながら行えるものがほとんどです。そのため、学校に通っていた今までの間にもいくつか生活に取り入れています。今後コウが不登校を選んだ際は、学校に通わない日常を「今の生活の延長上にあるもの」として移行していけるといいなと思います。そして、もしその選択が「学校に通えないほどコウが疲れた結果」なのだとしたら、まずはゆっくり休むことを優先できたらいいのかな?と思っています。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)不登校のお子さんのほとんどは音に対する不安があります。特に自閉スペクトラム症で音過敏のあるお子さんは教室がうるさいとそこにいるだけで苦痛なのです。学校の先生と相談してイヤーマフや耳栓など音に対する工夫をするといいときもあります。さらに喘息・アトピー性皮膚炎のようなアレルギーや、朝起き不良・立ち眩み・車酔いなどの症状がある起立性調節障害を併存している場合は不登校になる率が高くなります。これらは投薬によってコントロールできるのでかかりつけ医に相談して早めに対処することをおすすめします。自閉スペクトラム症に対して先生や生徒が無理解だと学校へ行く楽しみがなくなるばかりか、いじめのターゲットにもなりうるので、校長先生や教育委員会とも連携して早めの対策が必要です。不登校の初期はなるべく行かせるようにしますが、慢性的になった場合は無理やり行かせずオンラインや習い事でサポートし、できるだけ学習をおろそかにしない工夫が必要となります。高校へ入学できて最終的に自立・就職できればいいわけですから…。
2022年09月21日「娘は話せるようにならないの?」娘に先天性の重度障害があると宣告されて「一生意味のある言葉を話せるようにはならないでしょう」「歩けるようになるかも分かりません」大学病院で、娘に先天性の重度障害があると宣告されたのは、2歳になる少し前のことでした。突然の診断に、母である私はなかなか受け入れることができませんでした。そのころの娘は、地域の保育園に通っていました。障害が分かったころに思ったことの一つに「運動会に出るのが嫌だな」ということがありました。娘の通っていた保育園は、一人ひとりに見せ場をつくるとても素敵な運動会を行う園でした。それゆえに、上手く歩けるようになるかも分からない娘が、たくさんの保護者の前で見世物にされるような気持ちになってしまったからです。Upload By ユーザー体験談保育園でのあたたかい対応。だんだんと心に変化がそんな否定的な気持ちになっていた私ですが、障害が分かったあとも、保育園で分け隔てなくあたたかく育てていただいている中で少しずつ思いが変わってきました。同じ疾患のお友達の中には「運動会に出ないでほしい」「遠足には連れていけない」と園から拒否されてしまうとか、幼稚園などでは「階段を一人で登れない子どもは受け入れられません」と入園自体拒否されてしまったという話しを聞くこともありましたが、娘の通っていた園は「どうすれば娘も一緒に参加できるか」を考えて遠足や宿泊学習の行き先も調整してくれました。例えば、園では幼児クラスになると山登りに行くのが恒例でしたが、山道を歩くのが難しい娘のことを考えて、ケーブルカーのある山に行き先を変えてくれたので、車いすでも参加できました。クラスのお友達とは山頂で待ち合わせて一緒にお弁当を食べたり散策ができました。睡眠障害があるので宿泊学習はいけないのではないか、と思っていたのですが「お母さんは付き添わないで大丈夫です」と断言され、安心して預けることができました。時には、担任の先生の何気ない「娘には無理だろう」という考えが前提の行動に対して、ほかの保護者が保護者会で問題提起をするなど…ママ友たちにも恵まれました。意味のある言葉は話せず喃語だけの娘に対し、仲良しのお友達は、娘が「ままままま」というと「ままままま」と逆模倣をしてくれ、なんだか楽しいらしく笑いあっていたりもしました。特別支援学校に入学後は、発語自体あまりしなくなってしまいましたので、保育園時代、逆模倣をしてくれるお友達に恵まれていたころが一番宇宙語を話していた気がします。Upload By ユーザー体験談数年前の気持ちが嘘のように。年長になった娘の運動会を見て娘の障害が分かって4年、年長さんの運動会のときは、数年前に「運動会に出したくない」と思っていたことが嘘のように楽しみにしている私がいました。リレーに出場するのは(歩行が安定しないので)難しい娘には、「白と赤のバトンを第1走者に渡す」係を与えてくれ、娘が渡したのを合図にリレーがスタートするという演出!年長組の徒競走は100メートル走のコーナーありのコースなのですが、娘は特別に50メートル走の直線コースにしてもらい、(一度自分の回は走り終えたあと)一緒に走りたいと言ってくれたクラスメート数名と走り(歩き)、一緒にゴール。観客の保護者からも園児からも盛大な拍手をもらい、ニコニコの娘の姿が輝いて見えました。Upload By ユーザー体験談現在の気持ちと支えになった園長先生の言葉今は、すっかり図太くなった私。障害が分かってすぐのいちばん落ち込んでいた時期に、たくさんの人が支えてくれ、一緒に育ててくれたからこそ、闇におちることなくすぐに浮上し、ゆっくりだけど愛しい娘の成長を味わえるようになったのだと思います。保育園の園長先生に言われた「一緒に育てていきたい」という言葉。勤務先の人事の人から言われた「私たちは〇〇さん(私)の応援団です」という言葉。そして、言葉だけでなく、行動でも実践し、支えてくれたこと。その恩に報いるよう、これからも前向きに、そして人に役立つことをしながら生きていきたいな、と日々思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/taekoエピソード参考/あっきー(監修:井上先生より)医師から診断を告げられたことはとてもショックだったと思います。しかし、園の先生方を中心にさまざまな配慮や工夫の中で子どもさんの可能性を引き出してくれたことがクラスメイトの関わり方にも周りの保護者たちにもそして何より親御さんたちに前向きな気持ちと勇気を与えてくれたのだと感じました。子どもの障害をどう捉えるかによって周りの人たちが大きく変わっていくことを実感されてこられたのだと思います。娘さんがクラスにおられたことが娘さん自身にも、そして周りの子どもたちにもお互いに大きな成長に繋がったのではないでしょうか。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは新たに「パートナー(夫婦関係)」「進学、受験」などを追加しました!その他「祖父母や親戚関係(帰省含)」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」「自傷」「学習」「不登校」なども引き続き募集中です。パートナーなどとの意見の相違、受験や進学での予期せぬトラブル、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年09月18日静かな多動Upload By まる息子リュウの発達障害が分かったころから「これは多動なんだな」と思うような動きが見えてきた。座っていられない、大人の静止を聞かずに動き回る、興味の移り変わりが激しく次から次へと興味の対象に向かって動いてしまう。「多動」というとドタバタと足音うるさく走り回ったりするイメージがあったが、息子は静かにフラフラといなくなる。言葉も遅く穏やかな息子は周りからも「静かな多動」と言われてており、「気づいたらいなくなっているので気をつけています」と保育園から言われたことも。初めての新幹線Upload By まる電車や新幹線が大好きな息子。新幹線に乗せてあげたい!と思い、友人親子と新幹線に乗って旅行に行くことになった。ただ多動なことが分かっているのでポータブルDVDやお菓子、ちょっとしたおもちゃなどたくさんアイテムを持参して行くことにした。新幹線のホームに着き、息子はうれしそうに行き来する新幹線を眺める。今まで新幹線は見るだけで乗ったことはなかったので、しばらくして到着した新幹線に「これに乗るよ」と伝え乗り込むととてもうれしそうな顔をしたことが印象的だった。新幹線に乗り込みそこから到着まで約3時間。思っていたより大変だった。その3時間、ほとんど座席に座っていられず歩き回りデッキで過ごすことになったのだ。お菓子もすぐに食べ尽くされ、お気に入りのDVDもおもちゃも興味なし、座席に戻ってもすぐに抜け出してしまう。座席横の通路をひたすらウロウロするのもほかの人に迷惑なのであまり人が来ないデッキにいるのは良かったのだが、移動時間が長かったので付き添っていた私がぐったりしてしまった。私は旅行好きなので全国いろんなところに連れて行きたいけど、飛行機に乗れるのはまだ先だなと実感した。ホームでグルグルUpload By まる息子は現在4歳。休みのたびに電車を見に駅に連れて行くのだが、駅のホームでもひたすら歩き回っている。1ヶ所でじっくり見ることはなく、ちょっと座ったと思えば歩き出し、自動販売機に興味をもったと思えば到着した電車に喜び、反対方向へ歩いたり、階段を登って別のホームへ行ったり「こっちーこっちー」と電車に乗りたいと訴えたり。私としては電車を見たいならベンチに座ってゆっくり見ればいいのに…と思うが仕方なくついて回っている。特に目的がないときは息子が行きたい方向へ電車に乗って行ってみることもよくある。このように飽きるのが早いので、少し電車を見たら電車に乗る → 降りる → また電車を見る → 駅を出るなどと忙しない(ただ息子自ら駅から出たいというのは行き慣れている駅のみ)。1日一緒に出かけると息子について回るのでヘトヘトになってしまう。目的地へGO!Upload By まるところが最近、ちゃんとそれに目的があることが分かった。よく行く数駅先の駅で改札を出て、どこに行くのかと思いながらついて行くと好きなアイスやさんに向かっていってお店の前でうれしそうにしていたり、じぃじの住んでいる駅に降りて自分でじぃじの家の前まで迷わずに行き入りたいと言ったり(仕事で不在だったので会えず、息子は泣いていた)。乗り換えもあるなかなか遠い駅に息子の先導で連れて行かれて、まさかと思ったらたまに行くお店の電車の模型を見たかったようでちゃんとたどり着いたことも。途中でいろいろと寄り道はするけども、息子なりに好きなものにたどり着く道順が分かっているようだ。多動の息子と出かけると一瞬目を離した隙にいなくなるし、ママの買い物に付き合うことがものすごくイヤなようで逃げ回ってしまい、ゆっくり買い物もできずイライラすることも多い。でも息子がきっちり乗り換えをして目的の駅で降り、自ら方向を決めて歩きたどり着いた先に「あっ、これが目的だったのか…」というものがあると息子の「好き」が分かってうれしくなる。それまであっち行くこっち行くと散々振り回されて疲れていても、よくここまでの道を覚えていたね、そんなに好きなんだねと笑顔になってしまう。執筆/まる(監修:藤井先生より)「静かな多動」の動きの中には、リュウさんの目的があったことに気がついたのですね。まるさんが、リュウさんのペースを大事にしながら、見守ってきたからこその発見ですね。一日中お出かけするとヘトヘトになるとのこと、リュウさんの好きを大事にしながらも、まるさんが無理しすぎないように、第三者(療育やクリニックや園など)とも連携しながら、リュウさんの成長を見守っていけるといいですね。リュウさんの「好き」を一緒に楽しむことがこれからもできますように。
2022年08月26日小学生の息子は、夏休み明けは毎年行き渋りUpload By かなしろにゃんこ。わが家のADHDと広汎性発達障害(ASD)のある息子リュウ太は、小4〜小6のころ、夕方から夜にかけて「学校行きたくない…」と言うことがありました。2学期がスタートすると調子が悪くなるんです!夏休みは暇すぎて7月下旬には「早く学校行きたーい」と言っているのですが、いざ夏休みが終わり学校がはじまると夏の疲れや、生活サイクルをなかなか戻せないせいか朝から気分が憂うつそうでした。9月は暑いし授業だるいし嫌だよね…って気持ちは分かるんですが、「行きたくない」「お腹痛い」と毎日朝から言われると私も悩んでしまいます。小3のころから朝は腹痛、夜は不眠に…Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、小学校の3年のころから クラスメイトからいやがらせをされるなど、精神的な悩みがあると腹痛を起こしていました(それがきっかけで児童精神科のクリニックを受診し、発達検査をすることになりました)。2学期がはじまり、学校からは特に報告がなかったのですが、朝の腹痛や行き渋りは、特性によるトラブルなどによって精神的に悩んでいるのかも…と思いました。過去にも調子がイマイチのまま登校するとイライラしてしまったり、人間関係のトラブルが勃発することがあったので、多分夏休み明けのこのときも、口に出さないだけで何かしら苦しんでいたかもしれません。Upload By かなしろにゃんこ。毎日学校から帰るとリュウ太は学校のグチを言い、精神的に苦しそうでした。少しでも穏やかな時間をつくったほうがよいと思い、行くのを嫌がっていた算数の塾をやめて夕方はゆっくり過ごせるようにしました。それでも夜になるとなかなか眠れないことがあり、好きなDVDをボーっと眺めながら眠るようになりました。楽しんで観ているという感じではなくボンヤリと力なく見ているので心配になりました。ある日、寝坊して小学校に大遅刻!Upload By かなしろにゃんこ。そんな、あるとき私もリュウ太も大寝坊してしまい、気がついたら2時間目の授業が始まる時間!「大変!急いで学校に送り出さなきゃ」と慌てていたら担任の先生から電話がありました。寝坊したことを報告すると先生は「慌てなくていいですよ、最近リュウ太くん調子悪そうだったので、体調がイマイチなときはゆっくり来てください」と言ってくださいました。なんだかホッとしたのを今でも覚えています。私が電話を切ると横でリュウ太は「遅刻だね、3時間目からでいいかな」と行く気をみせていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。大遅刻してもいいじゃないか「休みたい」と言うかと思ったのですが、意外にも調子がよさそうな感じでした。遅刻の際は、保護者同伴で登校となるのですが、一緒に学校に行く間も機嫌がいいリュウ太。普段よりゆっくり起床すると調子がいいのかな?と思いました。私は、夜に仕事をすることもよくあり、朝起きられずそのあとも何度か大寝坊するというダメ母だったのですが、そんな日はリュウ太の機嫌がいいことに気がつきました。反省しつつも、リュウ太の機嫌がいいと(遅刻したっていいか…朝からきちんと登校しない日があってもいいよね)と母は思ってしまうのでした(笑)。Upload By かなしろにゃんこ。そのあとも私たち親子は月に1度は大寝坊し、3時間目から登校することがありました。もうひらきなおって堂々と遅刻です(笑)。学校行事がある前日は「明日は音楽祭が○時からあるので遅刻しないようにしてください」と先生に念を押されて、気を引き締めて起床して乗り切ることができました。リュウ太自身も遅刻して教室に入るのが恥ずかしいというタイプではなく「オカンが寝坊した!」と思いっきり母親のせいにして、すまして途中参加していました。こうして、「大遅刻をしてもいいじゃないか」というわが家のルールを導入してからは、リュウ太の行き渋りが少なくなり、卒業まで乗り切れたのでした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)リュウ太さんにとって遅刻したことの理由が「お母さんが寝坊したから」というのは、先生にもクラスメイトにも言いやすい理由だったのかもしれませんね。夏休みなど長い休暇明けは、生活のリズムが元に戻りにくかったり、環境が変化することから疲れを感じやすくなるお子さんが多いようです。遅刻や欠席は少ないに越したことはないのですが、体調の悪いときには、遅れていったり、途中で保健室で休んだり、早退など適度に休むことで体調を整えるという選択肢も使い、休みが連続しないようにできるとよいと思います。
2022年08月16日GID(Gender Identity Disorder/性同一性障害)をテーマにした劇団「トランス☆プロジェクト」(代表:月嶋紫乃)は、2022年8月27日(土)・28日(日)、ABCホール(場所:大阪府大阪市)にて、『桃源の門にて』を、2日間4公演を行います。今回の『桃源の門にて』は、劇団「トランス☆プロジェクト」の大阪初公演となります。チラシ表劇団「トランス☆プロジェクト」は、1998年よりトランスジェンダーの当事者と非当事者が一緒になって舞台を作る劇団で、トランスジェンダーとはLGBTQのTにあたります。今回の『桃源の門にて』は、GIDをテーマとしたファンタジー作品で、子どもから大人まで楽しめる作品となっています。また、劇団「トランス☆プロジェクト」代表である月嶋紫乃は、大阪市出身で、関西地域で知名度の高いラジオ番組のアシスタントを務めていたことがあり、大阪凱旋公演でもあります。【公演概要】『桃源の門にて』 トランス☆プロジェクトが大阪にやって来る!公演日時:2022年8月27日(土) 15:00/19:002022年8月28日(日) 12:00/15:00※受付は開演の60分前、開場は開演30分前※上演時間は約60分を予定公演場所:ABCホール〒553-8503 大阪市福島区福島1丁目1番30号阪神本線「福島駅」から徒歩5分Tel 06-6451-6573<あらすじ>「かわいい服を着なさい」とお母さんはいう。そんな時、変身がにがてな、たぬきのポンとであう。そんな2人のまえに魔女があらわれる。ひらけば願いがかなうと言われている「桃源の門」をさがして、ルイとポンの旅がはじまった。<キャスト・スタッフ>脚本・演出 :井原一樹出演 :月嶋紫乃、冴瑪悠、鈴未、岩崎珠緒、大井克弘、長瀬稚葉、工藤祥馬舞台監督 :和田秀憲照明 :山岡茉友子(K-Plan)音響 :白石安紀(石丸組)歌唱指導 :椎名竜仁振付 :chica作曲 :J編曲・音源制作:坂本尚史撮影 :東山高志(アートはみんなのもの)制作 :ぬくいえり(eriishiroBa)、林一輝 (eriishiroBa)票券 :伊波ルナ協力 :大上貴摩瑳、佐倉しおり、永田寛、山口勇、りんりん、マイラ、磯部加代、河内千春、夢野未来、草間諒太(順不同)企画・制作 :トランス☆プロジェクト<チケット料金>全席指定席販売中一般前売券:3,000円一般当日券:3,300円学生割引券:1,000円(大学生以下)未就学児 :無料ぺア割 :2名様 6,000円 → 5,000円※ぺア割は前売券のみの販売となります。リピーター様限定!割引チケット:一般 1,500円/学生 500円※劇場受付でお買い求めいただけます。前回ご鑑賞されたチケットの半券を受付で提示ください。<チケット販売]>カンフェティチケットセンター◎電話予約はフリーダイヤルにて賜わります。0120-240-540(受付時間 平日10:00~18:00)◎WEB予約はURLまたは二次元コードよりお進みください。 ・電話、WEBでご予約いただきましたチケットは、全国のセブン-イレブンで発券が可能です。(1枚毎に発券手数料がかかります)・WEB予約の場合、カンフェティの会員登録が必要です。チラシ裏【トランス☆プロジェクトとは】1998年に埼玉医科大学で性別適合手術(いわゆる性転換手術)が認められたことをきっかけに、代表の月嶋がGID(性同一性障害)当事者と非当事者の両方に呼びかけ、1998年5月に団体を設立。LGBTQに関する演劇上演や大学などで講演を行っており、小・中・高の学校等でも行い、大変好評を得ています。良い演劇、感動的な劇の公演企画は多々あると思われますが、こうした「性の違和感」という障害に関して、劇を通して大人の方も、小中学生等にわかりやすく伝える事業は、稀有でありとても価値のある事業であると自負しております。昨今、弱年齢の自殺がニュースなどでも取り上げられ、自ら命を断つ子供たちの中には性的マイノリティであることが原因という例もあげられています。基本的人権にも関わる「性の違和感」という障害と戦う当事者にとって、自分の心の性でいられる場を獲得することは非常に重要です。すべての人が自分を認め、他人を認める為には価値観の多様性が必要です。そうした大切な事への気づきのきっかけになる作品創りを目指し、観客・パフォーマーが楽しみながらも自分のことに思い至るような普遍性を持った作品となるように取り組んでいます。YouTube : HP アメブロ : Twitter : メールアドレス: info_transproject@yahoo.co.jp なお、今回の公演及びトランス☆プロジェクトの活動に関して、香港を中心にオンラインとハイブリッドで開催する「アート・インクルージョン・多様性の世界の祭典」(共同主催:あーとはみんなのもの(日本)、CCCD 社區文化發展中心(香港))のシンポジウムにて発表いたします。「アート・インクルージョン・多様性の世界の祭典」は、2022年度日本万国博覧会記念基金事業に採択されています。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年08月05日息子の発達障害、誰に伝えてる?むっくんが発達障害の診断を受けて5年半ほど経ちました。現在、むっくんの家族や親戚はみんな診断があることを知っています。祖父母などよく会う家族には診断がついたことは早々に伝えました。また、年に数回会う親戚にも徐々に伝えていきました。発達障害について、知識のある人もいますし、発達障害をよく知らない人もいますが「そうなんだねー」くらいの反応で、伝えたことで何かもやっとすることを言われたり、関係にしこりが残るようなやり取りを経験したことは私にはありません。また親戚で集まると、つい「学校どう?」なんて話題が出てしまうので、不登校を選んだことも早々に家族にも親戚にも伝えました。こちらも「そういう選択もありだよね~」という反応で何か言われることはなく、私もむっくんも心地よく過ごすことができています。私と家族や親戚はもともと信頼関係がしっかりできていましたし、親戚にはユニークな人が多く、価値観が多様な人も多いことをこれまでの付き合いから知っていたので、私は安心して息子のことをみんなに話すことができたのだと思います。Upload By ウチノコどんなふうに伝えた?私は発達障害のことを他者に話すとき、診断名だけ伝えても大切なことは伝わらないと考えています。なぜなら診断名が同じでも特性のあらわれ方は人それぞれ異なっているからです。発達障害の知識がある人にだって、診断名だけ伝えてもむっくんのことは何も伝わりません。そのためむっくんのことを他者に説明するとき、私はむっくんの行動に対して【むっくんの具体的な特性】【その背景についての私なりの解釈】【これから行う対処とその理由】を順序だてて説明するようにしています。小さなころの話ですが、いくつか例をあげてみると…祖父母の家で走り回って部屋や押し入れなどを確認したがったときは…【具体的な特性】この子はとっても好奇心旺盛でいろいろ気になりがちでね、でもその背景には分からないことや知らないものに対して不安を感じやすいっていう理由があるの。【私なりの解釈】おばけやしきって仕掛けが分からないと怖いけど、どこで何がでてくるか分かったら不安も和らぐでしょ?そんなふうに、自分の不安を和らげたくて動き回って、見えない引き出しや押し入れの中を確認して安心しようとしているんだと思う。【対処とその理由】しばらく確認したら安心できて落ち着くと思うから、今は見守らせてもらえると助かります。いとこなどと遊ぶうちに楽しくなりすぎて興奮から癇癪につながりそうなときは…【具体的な特性】些細なことでも感情の振れ幅がとても大きくなるの。悲しいときはものすごく悲しいし、楽しかったら楽しすぎちゃう。【私なりの解釈】楽しすぎてハイテンションになって、あとからどっと疲れる経験ってない?そんなふうなのかなって私は考えていてね。今日は楽しすぎるを通り越して癇癪を起こしてしまいそうなんだと思う。【対処とその理由】今は自分の力だけで落ち着くことが難しいから、音や光の少ない静かな部屋に行って落ち着けるように休んでくるね。周囲の音に疲れ果ててしまったときは…【具体的な特性】とても音に敏感で、自分に必要のない音まで聞きすぎてしまうところがあるんだよね。【私なりの解釈】この部屋も話し声やテレビの音、食器の音、たくさん音があるけれど会話に集中するとほかの音って少しミュートされるでしょう?むっくんはその機能があまり働かなくて音を聞きすぎて疲れちゃうときもあって。【対処とその理由】疲れたときは静かな場所で好きなことをさせてあげるのがいいから、今日はもう家へ帰って休ませようと思うよ。Upload By ウチノコ伝わるように伝えるこれらの特性は多動衝動、易刺激性、感覚過敏などと言われる特性ですが、こういう聞きなれない言葉では伝わるものも伝わらなくなってしまうので、できるだけ日常的に使うイメージしやすい言葉で伝えるようにしています。また「自閉スペクトラム症があるから切り替えが難しい」や「ADHDがあるからじっとできない」などという、理屈を省いた伝え方では誤解や差別を生みかねないと感じていました。私の言葉を起点にそういったものが広がっていくとしたら、それはとても恐ろしいことです。だから私はできるだけ、【具体的な特性】【私なりの解釈】【対処とその理由】と言葉を尽くし、順序だてて伝えることを心がけています。実はこの伝え方は、むっくんに物事を伝えるときの言い回しなんです。むっくんに伝わりやすい言葉選びは、ほかの人にも伝わりやすい。発達障害のある子への適切な関わり方というのは、誰に対しても大正解なんだなーと感じています。さらに、人によって理解しやすい伝え方が違うこともあります。イラストの方が伝わる人、文字が伝わりやすい人。言葉だけで十分なのか、図の方が理解しやすいのか、その辺りも相手に合わせて使い分けることも意識しています。そういう見えない背景を伝えてきたことが、家族それぞれむっくんの行動について背景を考える意識を持つきっかけになり、むっくんの成長を温かく見守る今の環境をつくることにつながっているのだと思います。Upload By ウチノコ何のために伝えるのか子どもに障害があることを他者に伝えるとき、私は【何のために伝えるのか】という目的を明確にすると【何を】伝えるのか言葉にしやすくなる気がします。私の場合は、むっくんのことをみんなで見守っていく環境をつくることことが何より大切で、そのためには診断名よりもむっくん自身のことをできるだけ分かりやすく伝えることが大切でした。「どう伝えよう?」と悩んだときは「何のために伝えるのか?」という目的から考えてみると、自分なりの答えが見えてくるかもしれません。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)とても素晴らしいですね…!診断名だけでは何の説明にもならないのは本当にその通りです。診断名を聞いた人がイメージするその障害のありようがさまざまですし、実際のむっくんの様子における特性の強さの色合いもさまざまです。「何のために伝えるのか」を考えて伝える。むっくんをみんなで見守ることができる環境をつくるために伝える。そして、その伝え方は、むっくんが自分自身を理解するのに役立つ言葉と文脈で伝える。どれもとても良いと思います。お子さんの理解と周りの理解がずれないこと、お子さんでも理解できる平易な言葉で説明すること、とても大切です。何より、ウチノコさんのあたたかいまなざしが、周りの方々へと伝播しますね。それがとてもいいなぁと感じました。
2022年08月04日「先輩の口から恋バナがあふれ出てた」という話があふれ出るコウUpload By 丸山さとこ普段は「場の空気や人の気持ちを理解するのが苦手」「こだわりが強い」「人より物に対する興味が強い」などのASDの特性が目立つコウですが、ADHDの特性もいろいろとあり、ADHD治療薬を服用しています。授業中に立ち歩いたり道路に飛び出したりするようなことはなく、一見目立った多動や衝動性はありません。ですが、注意欠如や頭の中の多動はしっかりあるため、忘れ物・聞きもらし・うっかりミス・とめどないおしゃべりはかなりのもので、そんなときは『ADHDの特性もけっこうあるな~』と改めて思います。おしゃべりもウロウロするのも止まらない!帰宅直後のコウそんな彼も学校ではある程度周囲を意識して気を張って生活しているようで、その反動なのか帰宅直後はおしゃべりが止まらない状態になることがあります。そういうときは大抵動きも落ち着きがなく、右に左にウロウロしながらしゃべっています。Upload By 丸山さとこダイニングテーブルで本を読んでいた私の向かいで1.5メートル程度の距離を右に左にウロウロし続けるコウ。おしゃべりも移動も止まる気配がありません。そんな彼の姿に「めっちゃウロウロしながらしゃべるやん」とツッコミつつ、座るよう促したところ…Upload By 丸山さとこ一瞬静かになり、歩き回るのをやめてダイニングの椅子に座った彼は、Upload By 丸山さとこ椅子に座ったまま再びペラペラと話し出しました。先輩の口から恋バナがあふれ出た日、コウの口からは「今日学校であったできごと」があふれ出ていました。Upload By 丸山さとこそしてその間、床に放置され続けるリュックや帽子たち。普段は話しながら片づけを進めることもあるコウなのですが、ウロウロペラペラモードに入っているときは無目的にウロウロするだけなので、話の隙間に「片づけ始めるまで踏まないよう端に寄せておいてね」と促すようにしています。止まらないおしゃべりタイムは「特性を解放しているとき」なのかも?元々「中学生男子にしては家庭内でよく話す方だ」と言われることもあるコウですが、学校帰りに話があふれ出てくるときは、学校で抑えていた特性を解放しているときなのかもしれないなと感じることがあります。学校では興味のあることを話したくても一方的な独演会はできませんし、会話のキャッチボールをするときも「相手に伝わるかな?」と考えながら話さなくてはいけません。衝動性を刺激する要素は多くても、「今すぐ言いたい!」を我慢するシーンは家庭よりも多いだろうと思います。Upload By 丸山さとこそんなコウが家でノビノビとおしゃべりをあふれさせている間、「私は『王様の耳はロバの耳!』と叫ぶための穴のような存在になれたらいいのかな?」と思いながら、日々学校でのようすを楽しく聞かせてもらっています。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)面白いですね。おそらく学校の中であった、コウくんなりの興味関心をそそられたこと(ちょっとした興奮状態になったり、覚醒度の上がった出来事)を家で話して整理しているようですね。学校の中ではさほど多動衝動が出ていないのだとしたら、さとこさんが思われたように「特性を解放する」時間なのかもしれませんね。特に何らか反応することを求めているというよりも、話したいから聞いていてほしいというところだと思うので、「王様の耳はロバの耳」の穴のつもりで、楽しく聞くだけで十分ですね。助言や話の骨を折るような質問などすることなく、コウくんが話しやすいように聞くという役を求められているようですね。
2022年08月01日ADHDがある子どもへの薬物療法。治療にはどんな種類の薬が使われるの?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンADHDは投薬で治療できるの?薬物療法との向き合い方ADHDのある子どもへの薬物療法にはどのような薬が使われるのでしょうか。今回は「ビバンセ」「コンサータ」「ストラテラ」「インチュニブ」の用量、用法や、効き方、副作用などについて説明致します。発達障害の特性によって、家庭生活、学業、友人関係に支障をきたしてしまう…そんな子どもに対しては、さまざまな支援や医療的なケアを利用することができます。その中で、親として最も判断に迷うものに、薬物療法が挙げられるのではないでしょうか。薬物療法を始めても、「薬物療法が本当に良い決断なのか、子どものためになるのか」「副作用などでかえって子どもを苦しめてしまわないか」など、迷いや不安があるのは当然だと思います。薬物療法に対しては、さまざまな考え方や意見があります。中には判断に迷う情報もあるでしょう。薬物療法が全てを解決してくれる訳ではなく、過度な期待は禁物です。投薬を始める場合には、環境調整や本人への説明を行うことが重要で、ただ薬だけ投与しても効果は期待できません。逆に、薬を絶対に使わず本人の努力のみが求められるとしたら、それも子どもにとってつらいことになってしまう可能性もあります。不安な気持ちのまま薬物療法を進めるのではなく、疑問を解消して自分なりに「薬との向き合い方」を考えていくことが大切です。発達障害(ADHD)における薬の効き方とは発達障害に対して薬物療法はしばしば行われることですが、発達障害自体を完全に治癒させる薬物療法はありません。発達障害における薬物療法は、対症療法であると言えます。注意欠如・多動症(ADHD)の中核的な症状である多動性—衝動性、不注意に対して、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)が使用できます。また、2019年12月からは、リスデキサンフェタミン塩酸塩カプセル(ビバンセ®)が使用できるようになりました。それぞれの薬剤は、効果が出現するまでの時間や効果の強さ、効果がみられる時間の長さや作用のプロフィールが異なっており、患者さんの状況や薬物への反応性に応じて使い分けられます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンリスデキサンフェタミン塩酸塩カプセル(ビバンセ®)ビバンセとは、リスデキサンフェタミンを成分とする薬の販売名で、不注意、多動、衝動性を改善させる効果があります。6~18歳の小児を対象に、2019年3月に販売承認され、2019年12月3日より販売が開始されました。※18歳以前に服用を開始した人に限って、18歳以降も服用することが認められています。6歳未満の子どもへの安全性は確認されていません。また、現時点では、本邦における成人期の適応は取得されていません。これまでにADHDの治療薬として、中枢神経刺激薬のコンサータ、非中枢神経刺激薬のストラテラとインチュニブが販売されています。ビバンセはコンサータと同じ中枢神経刺激薬に属します。ビバンセは体内に吸収された後、アンフェタミンに変化します。このアンフェタミンがADHD症状を改善するのです。ADHDのある人は、脳内で神経に情報を伝える働きを担う神経伝達物質の作用が十分ではないと考えられています。特に、喜び、快楽に関連したドーパミンと、恐怖、驚き、興奮に関連したノルアドレナリンです。ビバンセは、神経と神経の間(シナプス間隙)における神経伝達物質のドーパミンとノルアドレナリンの働きを高める作用があるのです。参考:ドパミン|e-ヘルスネット 厚生労働省参考:ノルアドレナリン / ノルエピネフリン|e-ヘルスネット 厚生労働省ビバンセはカプセルの薬で、20mg、30mgの2種類が用意されています。通常は、30mgから服用を始め、70mgを上限として必要に応じて増量し、1日1回朝経口投与します。増量の必要があるかどうかは診察のうえで医師が判断するため、自分で増量して服用することはやめましょう。ビバンセには併用が禁止されている薬があることから、医師の診察では服用している薬を忘れずに報告してください。ビバンセは服用し始めると、初日からその効果があらわれ始めます。服用すると薬効が12時間程度続き、不注意、多動性、衝動性を改善します。●モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤セレギリン塩酸塩(エフピー)ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)●尿のpHをアルカリ化する薬剤炭酸水素ナトリウム等●尿のpHを酸性化する薬剤アスコルビン酸等●メチルフェニデート塩酸塩コンサータリタリンビバンセで特に注意が必要なの副作用は、ごくまれに生じるショック、アナフィラキシー(顔面蒼白、呼吸困難、そう痒など)などです。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。代表的な副作用は、食欲減退(79.1%),不眠 (45.3%),体重減少 (25.6%)などです。フェニデート徐放錠(コンサータ®)コンサータは、「メチルフェニデート塩酸塩」という成分の入った薬の販売名です。ADHDのある人に処方される飲み薬で、ADHDが原因であらわれる不注意、多動性、衝動性を改善させる効果があります。2007年に6歳から18歳未満の小児に対する治療薬として承認され、2013年には18歳以上の成人にも適応されるようになりました。コンサータは錠剤の薬で、18mg、27mg、36mgの3種類があります。子どもも大人も18mgから服用を始め、その人の適量となるように必要に応じて増量していくようです。なお、18歳未満の子どもでは54mg、18歳以上では72mgが服用の上限です。医師が診断のもとで、その人にとって適正な量を処方するので、自分で増量して服用することはできません。コンサータは1日1回朝に服用します。服用時間が遅くなると夜眠れなくなってしまうことがあるため、午後には服用しないように気をつけましょう。コンサータは服用し始めると、初日からその効果があらわれ始めます。服用すると薬効が12時間程度続き、不注意、多動性、衝動性を改善します。コンサータの副作用としてもっとも多かったものは食欲減退(40.8%)、続いて不眠(18.2%)、体重減少(16.4%)、動悸(12.1%)、悪心(11.7%)となります。※ビバンセとコンサータについては、いずれも医師から処方されるものですので、処方箋なしでは入手できません。特にビバンセとコンサータは流通規制がとられており、登録した医師だけが処方できるような厳しいシステムが整備されています。アトモキセチン(ストラテラ®)ストラテラは不注意、多動性、衝動性といったADHDの症状を改善するために処方される薬です。2003年にアメリカで発売開始されてから海外でも広く使用されており、日本では2009年に18歳未満の子どもに承認されました。さらに、2012年には18歳以上の成人にも承認が拡大され、幅広い年齢の人への処方が可能となっています。ただ、6歳未満の子どもへの安全性と有効性は確立されていません。ストラテラはアトモキセチン塩酸塩という成分の入った薬で、脳の前頭前野部分に多く存在する神経伝達物質「ノルアドレナリン」を活性化させる働きを持っています。脳の前頭前野部分は、順序だてた行動や、行動をコントロールする役割を果たしており、ADHDの人はこの部分に何らかの不具合があると推測されています。ストラテラはドーパミンの代謝も調節することで、症状を改善させると推測されています。また、ストラテラは薬物依存に関係する中枢神経系には作用しないために、薬への依存性は低いといわれています。ストラテラは飲み薬で、現在カプセルと液体薬剤のどちらかが処方されます。カプセルは5mg・10mg・25mg・40mgの4種類あり、医師が処方した用量になるように組み合わせることが可能です。カプセル内の物質は刺激物のためカプセルを分解することは禁止されています。そこで、まだカプセルが飲めない子どもや、カプセルが飲みづらい人には、液体薬剤(内用液)0.4%を選べるようになっています。18歳未満の子どもと18歳以上の成人では処方量や処方回数が異なります。子どもには体重に基づき決定した1日分の用量を1日2回に分けて処方される一方、成人では体重に関係なく用量が決められ1日1回もしくは2回に分けて処方されます。また、子どもも成人も少量からの服用で治療がはじまります。どのように処方されるかは、医師が診断の上で判断しますので、かかりつけの医療機関で相談してください。薬には飲んですぐ効果があらわれるものと、効果があらわれるまでに時間がかかるものがあります。ストラテラは後者のタイプで、毎日飲み続けることで効果があらわれる薬ですから、ADHD症状が改善するためには少し待つ必要があります。約2週間で不注意、多動性、衝動性の改善がみられるようになり、安定した効果が得られるまでには6~8週間ないし人によってはそれ以上かかるといわれています。なお、薬の効果があらわれれば、その効果は途切れることなく終日にわたって続くとされています。特に気をつけなければいけない副作用は、重大な副作用の肝機能障害・黄疸・肝不全・アナフィラキシーです。非常にまれなもので、先ほどご紹介した2009年に高橋道宏医師らが実施した試験でも、これらの副作用は報告されていません。しかし、どのくらいの頻度で起こるかは不明であるものの、服用する場合には念のため注意する必要があります。重大な副作用ではないものの、ストラテラを服用すると起きやすい副作用としては、悪心(31.5%)、食欲減退(19.9%)、頭痛(15.4%)、傾眠(15.8%)などが挙げられます。このような症状が出た場合でも、すぐに医師に相談しましょう。食欲がなくなる、吐き気や腹痛などといった消化器系の副作用を防ぐためには、食事直後に薬をのむなどの対策をとることも重要です。グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)インチュニブは、グアンファシン塩酸塩という薬の商品名のADHD治療薬です。グアンファシンという成分が脳の情報伝達機能を助け、ADHDの多動性、不注意、衝動性の症状を改善する効果があります。日本で製造販売が承認され、販売が開始されたのは2017年5月ですが、アメリカ、イギリス、オーストラリアでは以前からADHDの治療薬として、コンサータ、ストラテラと共に使用されてきました。インチュニブは、患者の体重、症状、薬の効き方を踏まえて飲む量を決めるので、医師の処方が必要です。また、処方される年齢は6歳~と決められており、6歳未満の患者が使用した場合の安全性、有用性はまだ確認されていません(2022年6月現在)。従来の薬とは違う作用で働くため、ストラテラやコンサータでは効果を感じられなかったり、副作用などにより継続できなかった人への効果が期待されています。ADHDの原因は解明されていませんが、脳の前頭前皮質という部分での情報伝達に問題があるとされています。中でも、シナプスという情報の送受信をする部位がうまく働かないことが原因の一つではないかといわれています。ADHDのある人の中には、後シナプス(情報を受け取る側)に伝達された情報が漏れ出てしまい、神経伝達量が減少してしまっている場合があると考えられています。インチュニブの役割は、後シナプスの情報の取りこぼしを減らすことです。インチュニブの主成分であるグアンファシンが、後シナプス中のアドレナリン受容体という物質を活性化させることで、シナプス内のHCNチャネルという穴を塞ぎ、入ってきた情報を漏れにくくさせます。インチュニブは1日1回服用する薬です。飲む量は、医師が体質、症状、薬のきき方などをもとに決めます。飲む時間帯はなるべく決まっていたほうが良いでしょう。インチュニブと併用すると、効果が変わったり、副作用が出たりする薬や食品があります。もともと服用している薬がある場合や、インチュニブを服用しながら他の薬を服用することになった場合は、主治医に相談しましょう。インチュニブの対象年齢は6歳以上です。6歳未満における有効性・安全性は確認されていません。インチュニブには、傾眠(49.8%)、起立性低血圧、頭痛などの副作用が認められています。インチュニブ服用時に特に起こりやすい副作用としては、低血圧、徐脈(心臓の拍動数が異常に減少する)、鎮静、傾眠があります。インチュニブの成分であるグアンファシンはもともと血圧を下げる薬として開発されていたこともあり、特に起立性低血圧(立ちくらみ)を生じやすい人での使用には十分な注意が必要です。まとめ子どもが一定期間薬を服用することに対して保護者の方が不安になるのは当然のことだと思います。投薬を開始するにあたって、子ども本人に薬のことをどう伝えるか、また周囲への伝え方などさまざまな悩みを抱えることと思います。子どもが発達障害とともにどのように暮らしていくか、医療とどう付き合い、利用していくのか、こういった視点の中で、自分なりの薬に対する向き合い方を考えていくことが大切です。
2022年07月30日「私のADHD、発達障害に関して話したいと思います」7月25日、自身のYouTubeチャンネルを更新し、「ADHD」であることを公表した木下優樹菜(34)。木下は、「ちゃんと自分を知ろう」と思い立ち、「ブレインクリニック」というクリニックを受診。脳の周波を検査し、専門医に相談したところ、判明したという。「脳の中が混線?こんがらがっちゃってんの。びっくりするくらい」と測定結果をカメラに見せながら、驚いた様子で語った。ADHDとは、注意欠如・多動症ともいわれる発達障害のひとつ。厚生労働省のホームページによると、「発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)」といった特性があるという。木下自身も、財布や携帯電話を頻繁に無くしていたものの、「自分の個性だと思って生きていた」と説明。一方で、19年に離婚したFUJIWAEA・藤本敏史との結婚生活に触れ「向こうがイライラしたり、イライラさせちゃった」と振り返り、動画の終盤には「あ、じゃあこういう風にしてあげたらいいのかって、寄り添う気持ちを少しでも持っていただけたらなって」とADHDに悩む人たちへの理解を求めた。この告白に、動画のコメント欄には《私もこの事についてずっと悩んでてADHDって優樹菜ちゃんが公表してくれたから、今度安心して検査受けれそうです!ありがとうございます》《とても勇気づけられました!繰り返し見てます》とポジティブな姿勢を称賛する声が相次いで寄せられた。そのいっぽう、疑問を抱く人もいたようだ。ADHDに悩む当事者は言う。「確かに、ADHDは脳の特性上、落ち着きがなかったり、ミスが多かったりと、さまざまな要因から迷惑をかけやすい傾向にあります。周囲や社会の理解度は上がるべきですが、ADHDを理由にすべての迷惑が許容されるわけではありません。迷惑をかけやすいからこそ、ADHD当事者の多くは服薬や工夫を通して自責の元、真っ当な社会生活を送れるように努力をしています。今回の木下さんの動画は、周囲に『寄り添う気持ちを持ってほしい』と理解と許容を求めるだけで、木下さん自身が『相手をイライラさせてしまう』などの現象をどう改善するかは言及されていませんでした。努力しないまま迷惑を許容してほしい、という主張は同じ当事者としては賛同できません」(ADHD当事者)今月にはロンドンブーツ1号2号・田村淳(48)のYouTubeチャンネルへの出演に際してのやり取りを巡り、賛否を巻き起こしていた木下。またもや論争を招く結果となってしまったようだ。
2022年07月27日二次障害にならないように「二次障害にならないように」私はたびたびこの言葉を投げかけられました。医師から、支援員さんから、療育先から、発達障害に関する本から。発達について学ぶたびにこの言葉はついて回りました。子どもが小さなころはもっともだと思っていました。だって子どもには幸せでいてほしいから。大人になって手を離れたあとも、できる限り幸せを感じながら生きていってほしいから。「二次障害」なんて響きだけでも恐ろしい。ならずにすむならなってほしくない。そのために私にできることを頑張ろうと、ずっとそう思ってやってきました。それでも思うようにいかない育児。学んで、工夫して、自分の感情をコントロールして、頑張って頑張って頑張って。だけど、やっぱり声を荒げずはいられない日もあります。心無い言葉を浴びせてしまうことだって、不適切なかかわりと分かった上で、それをせずにいられない瞬間もあります。周囲の無理解から子を身を挺して守ったきたつもりだけど、どんなに頑張ってもどうにもできないこともありました。Upload By ウチノコ私は成長していく息子の中に「傷」が隠れていることを知っています。私がつけたかもしれない、私が守れなかったからかもしれない「傷」です。いつからか「二次障害にならないように」と言われるたびに、私は苦痛を感じるようになりました。まるでそうなったら「おしまい」と言われているようで、そうなったらどうしようという不安が膨らんでしまいます。私の努力が足らないのだと。私の学びが足りないのだと。親なのに子どもを不幸にするのかと。お前は親失格だと。そんなふうにその言葉を受け止めてしまいます。だって私が「適切なかかわり」通りにできていないことを一番よく知っているのは、私自身だからです。二次障害の中へ息子は小1の秋から不登校を選びました。不登校は資料によっては「二次障害」に分類されることもある状態です。そして私自身も若いころに鬱や適応障害の経験があります。その根底にたくさんの理由がありました。その中には生まれ育った環境に起因する認知の歪みもあったと思います。周囲の不適切なかかわりもあったと思います。もし、私に発達障害の診断があれば、私はきっと「二次障害を起こしている人」というカテゴリーに含まれるのでしょう。二次障害にならないように頑張ってきたけれど。気づけば私たちは二次障害の中にいたのです。Upload By ウチノコ昔、私が鬱と診断されたとき。悩むし、苦しいし、生きることがつらくて仕方なくなったこともありました。そして今も息子とのことを悩みながら、日々試行錯誤しています。どちらも「もがく」という表現がしっくりくる時間のように感じています。それでも、その日を境に「おしまい」になんてなりませんでした。楽しいことも幸せなことも変わらずたくさんありました。そして、それと真摯に向き合う中でたくさんの「気づき」を得ることができています。苦しいこともあるけれど、充実した大切な時間だとも感じています。息子と私が、私たちらしくあるためにどうしても必要で通らないといけない時間のようにも思うのです。通り過ぎたと思うから、そう言えるのかもしれません。だけど、あの時間を私は後悔していません。あのおかげで、自分の生きづらさに気がつけました。生き方を変えることができました。少々のことは乗り越えられる力を得ることができました。そして今、息子との不登校生活に悩みもあるけれど、そんな悩みも吹き飛ぶくらい楽しいことがたくさんあります。そう思えるのも、若いころに苦しんだ時間があったからだと思っています。幸せにいきていくために「二次障害にならないように」この言葉に呪いを感じてしまうのは、私なりに必死で子どもと向き合っているからなのかもしれません。だけど私は「二次障害にならないように」するために発達障害を学んでいるわけではありません。適切なかかわりへの努力をしているわけではありません。愛おしい息子たちが、幸せな人生を送ることを願い、祈り、そのために自分にできることを模索するために努力しているのです。発達障害のある子は「二次障害」を起こしやすいかもしれません。だけど大切なことは「二次障害にならないこと」ではなく、この先何が起こっても、どんな目にあったとしても。たとえ二次障害を起こしたとしても。それでも幸せを感じ生きていけるように、人間としての確かな基盤を子どもともに作りあげていくことではないでしょうか?私はそろそろ「二次障害」という言葉に怯えることから卒業したいと思っています。そのために「二次障害にならないように」という言葉は「何があっても幸せに生きていくために」と、私の中で言い替えることにしています。それは、何が起ころうと子どもを愛し続け、絶対に支えていく覚悟を決めるという一つの受容の形だと思っています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)「二次障害にならないように」という言葉がウチノコさんにとっては重くのしかかる言葉と感じられることのシェアをありがとうございます。二次障害にならないように、悪い子にならないように、不登校にならないように、引きこもりにならないように…世の中にはこうした良かれと思っての言葉、留意しておく観点としての言葉はたくさんありますね。ただ、「○○しないように(○○にならないように)」という目標はあまり上手な目標設定ではありません。どうしたら○○にならないか、という方法が確立していないこともあり、ただただ委縮してしまうリスクの方が高いだろうと感じます。○○にならないようにと委縮して、必要以上に厳しいまなざしでお子さんのことを見てしまったり、ご自身を律したり、そうした展開に陥りやすい気がします。そういった意味で、「幸せに生きていくために」という目標は、あるかかわりや出来事を振り返る際に、それは幸せに近づくかどうかを体感で確かめながらやっていける視点のように感じます。二次障害の予防に関して言えば、環境に子どもの側を合わせて無理させすぎることを防ぐということが大きなポイントとしてあるでしょう。そもそも二次障害の前にある発達障害も、環境との兼ね合いで問題行動や本人・周囲の困り感が出てくるという側面も大きいですね。お子さん本人に無理を強いると、二次的に問題が現れるということです。そういう意味で、ウチノコさんがむっくんとともに、もがきながら適切なかかわりを模索されたり、環境調整されたり、それ以前に発達障害というものを学んだりすることは、まさに二次障害の予防的な手立てといえます。用意された環境に適応して生きていくことがすんなりできる人もいるのでしょうが、工夫や配慮がないとなかなか適応できないから、あるいはウチノコさんの言葉でいうところの「幸せに生きていく」ために、環境やかかわりと、お子さんのありようとのすり合わせをしていくことはどうしても模索的・探索的になります。そうした日々の模索・探索の中で、これでいいのか、無理させないようにとはいえ、もう少しできることはあるのではないか…など悩むこともあると思います。適宜、心理や教育、あるいは医療の専門家などにご相談しながら、保護者の方が「よし、これで大丈夫」と思いながらやっていけるといいなぁと思います。
2022年07月22日中3の夏休み、積極的に学校見学などを申し込む息子Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。中3の夏休みのこと。息子のリュウ太から聞いた進路の志望先は、自動車整備士を目指すための専修学校高等課程でした。息子は不器用などの特性があるため、細かい部品を扱う作業が向いていないのではないかと思い、親としては心配になりましたし、息子の選択に戸惑いました。そもそも私も夫もリュウ太には、普通科の高校に通ってほしいと考えていたので、最初は反対しました。しかし息子の意志は固かったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。専修学校の体験授業に参加、進路を選択するそんな息子の意思を尊重することを私たち両親も決意し、住んでいる地域近郊にある専修学校を2校見学することにしました。2校のうち比較的通いやすそうな方を選び、夏休み期間中に行われている体験授業に2度ほど参加をして「この学校にしよう!」と決めました。Upload By かなしろにゃんこ。改めて大人になった息子に、進学について聞いてみたことがあります。「あのときは『この学校に進むと職業の選択の幅が広がる』とか将来の可能性とか進学情報とか気にしてなかったから、「普通科」の高校よりも自分が今やりたいと思う部活動がある専修学校に魅力を感じていたんだよね。専修学校の部活動は車の整備士を目指す学校なだけあって、四輪部、二輪部、レーシングカート部とかがあって。車やバイクのレースができたり、楽しそうなものばかりで早く入学して体験したくてたまらなかった」と話すリュウ太。進路選択をする中3のころは、本当はまだ車の修理には興味がなくて、部活動目当てだったそうです。「父親から普通科から四大へ進んで、車関係の会社に就職する進み方を説明されたけれどイマイチ想像がつかなかった。それに自分にそんな力はないと思っていたし無理だと思い込んでた」とも話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。専修学校の授業はそんな息子は、専修学校に晴れて入学してからは同じ趣味の仲間がたくさんいて学校に通うことをとても楽しんでいました。でもその半面、実習は大変だったと言います。特にクーラーのないドッグ(工場)で排気ガスとオイルと機械にまみれて汗をかきながら受ける夏の実習は体力的にきつかったそうです。Upload By かなしろにゃんこ。そんなとき息子は「やっぱり頑張って普通科の高校に行けばよかったかな…そうしていたら友達はできたのかな?大学は行っていたのかな?」なんて頭をよぎることもあったそう。それでも「ワクワクすることにだけエネルギーを使いたい」「結局やりたいこと興味があることにしか力が動かない」という自分がいることに気づいた息子。次第に「自分は整備士の専修学校を選んでよかったのかもしれない」と思うようになったといいます。Upload By かなしろにゃんこ。そして息子は、専修学校の高等課程3年間と専門課程の2年間・計5年間を通い自動車整備士の資格を取得、卒業後に地域のカーディーラーに就職することになりました。5年間明けても暮れても行った実習のおかげで不器用も克服して細かい部品を扱えるようになりました。息子にはうっかりが多いという特性もありましたが、機械を組み上げる作業など間違いが許されないので、しっかりと順番を覚え、緊張感を持って取り組めているといいます。発達障害があっても手に職があることで就活の強みになっている気がします。自動車業界は今後電気や水素自動車にシフトしていき、整備士も新たな技術を学び直しが必要となる業種ではありますが、中3の夏が息子のターニングポイントになっていたのかもしれません。そして、専修学校に見学を決めたあのときに、息子は自分がやれることを定めていったような気がしたのでした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)子どもさんの側からすると、「好きなことだと少しぐらい苦手な活動があっても継続して頑張れる」というのは事実だと思います。とはいえ、「普通高校に進学して大学を選ぶ時点で選択した方が選択の幅が広がる」というのが一般的な親心だと思います。その中で中学を卒業して専修学校に行きたいという息子さんの希望をかなえ、応援した親御さんは、素直にすごいと思います。専修学校は、好きなことが決まっている子どもさんに関してはよい選択肢になる可能性を持っています。不器用だったり、整理整頓が苦手だったり、不注意があったとしても、好きな活動の中でだと乗り越えられることもあるでしょう。そこで知り合う同じ趣味を持つ仲間との出会いも大切な財産になったと思います。
2022年07月13日視覚支援との出合い私が初めて視覚支援を学んだのは、発達障害の勉強会でした。目で見て分かるよう、イラストなどを利用して視覚情報を使い子どもに伝えたいことを伝える。今考えてみれば成長途中の子どもは文字の理解や言語のレパートリーが少ないため、視覚情報の方が理解しやすいのは当たり前です。大人だって「百聞は一見に如かず」ということわざがあるくらいなので、情報は視覚で補助すると理解しやすいというのは当然なのですが、当時の私はそういう視点が全くなかったので、なるほど!と感動したことを覚えています。おうちでの視覚支援小さいころ、むっくんはマークが大好きでした。車のエンブレムやお店のロゴ、交通標識などにも興味を示し、記号の本が好きで色んなマークをよく覚えていました。視覚支援を知った私は、むっくんのこの特技を利用すればいいのだと思いいたり、3歳のころから外出の際はお店のロゴを使って行先を伝える工夫をするようになりました。これは診断のない弟にも有効で、子どもたちのどこへ行くのか分からない不安を和らげる効果がありました。また、むっくんはおもちゃなどについている注意書きマークにも興味を示したことから、ルールを伝えるのに使える!と導入したのが「さわっちゃダメマーク」です。家の中の危ない場所にはこの「さわっちゃダメマーク」を貼って理由を伝えておくと。ルールを守りたいタイプのむっくんは触らないように頑張ってくれていました。当時は子どもの行動に困ったな~と感じると、視覚化することで何か伝えられないかな?と考えていたように思います。Upload By ウチノコ成長と共に、家庭内の視覚支援はどんどん増えていき「朝の準備」「カレンダーでの予定表」「おもちゃ箱に写真」なかなか進まないトイトレでは「トイレにトイレマーク」も貼りました(笑)さらに、一日の出来事を思い出すことが苦手だったむっくんに、保育園での「活動メニュー表」を作って会話のきっかけにしたり。お風呂あがりの「体の拭き方」や運動会での「ダンスのふりつけ」など動作を伝えるイラストを描いて貼ったこともあります。また、私の伝えたいことはイラストを描きながら説明すると集中して話をきいてくれることもありました。わが家では診断の有無にかかわらず兄弟ともにこういったツールをたくさん使って暮らしています。Upload By ウチノコUpload By ウチノコ視覚支援に囲まれた子どもたちの今現在8歳のむっくんは文字や聴覚情報でも十分ものごとが伝わるようになりました。それでも複雑なことや、忘れやすいことは視覚情報で消えないように伝えることが鉄則です。最近では将来を見据えて、デジタル端末を使う視覚支援も増やしています。例えばスマートスピーカーの残量が表示されるタイマーは時間管理に便利ですし、忘れやすい予定はタブレットのリマインダーで通知、家族共有カレンダーを使い、自分や家族の予定を確認できるようにもしてあります。また、むっくん自身もタブレットのデジタルふせんやメモ帳を使い、忘れたくないことを自分でメモすることも増えてきました。さらに弟まで忘れないように目印を付けるなど自分から視覚支援を使おうとすることもあり、この子たちは困ったときは工夫で補えることを知っているのだなぁと感心させられています。二人とも小さいころよりも言葉で伝わりやすくなったため、つい視覚的な提示を忘れがちなのですが。何度か声かけが必要なケースは視覚支援を考えた方がいいことを忘れないように私も気を付けています。Upload By ウチノコ方法ではなく本質を伝える最近のむっくんは、自分の伝えたいことを図やイラストを描きながら説明してくれることがあります。これはまさに私がむっくんに対してやってきたことなので「この子は視覚情報と聴覚情報合わせて使う方が自分も伝えやすく、相手にも正しく伝わりやすいということを知っているのだな」と驚かされます。発達障害と診断されたことをきっかけに学んだ視覚支援。私は暮らしやすさをもとめて取り組んだに過ぎないのですが、それらが子どもたちの中に芽を出し育っているのだなぁと感じています。視覚支援の根っこにある「自分にも相手にも伝わりやすい方法を模索する」という考え方は、私の手を離れた後もきっと彼らを支え続けることになるでしょう。工夫しようとする子どもたちを見ていると、試行錯誤してきた過去の自分のことを私はちょっとだけ誇りに思えるのです。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)むっくんとの視覚支援の歴史のシェアをありがとうございます。視覚的な刺激を得意とするお子さんは多いですし、言葉が苦手なお子さんでもイラストや写真などを用いたものや目印やマークを用いて判断しやすくするものなど、とても有効ですね。聴覚的な支援は、その瞬間の注意を引くには良いのですが、その記憶の保持が難しいですね(別のことに気が向いたらすぐに忘れてしまうため、声をかけ続けなければならないことも…)。消えてしまわずに残っているという意味でもとても便利です。不注意なお子さん(大人もですが)にもとても有用です。今日園(や学校)で何があったかを話してもらうきっかけとしての絵や写真もとてもいいですね。話したくないわけではないけれど、呼び水がないと思い出しにくいこともあります。時系列で思い出すのも得意な子と苦手な子といるのではないでしょうか。ちょっとの間、覚えておくべきことを、忘れないように忘れないようにと思いながら過ごすことは、本来がんばりたいことへ注意集中が削がれている面もあります。学習場面における、机上の整理であったり、毎日の支度における物の管理であったり、そこにいちいちエネルギーをかけるのはややもったいないです。思い出す・判断するという行為は、なかなかに負担なので、そのあたりをメモやマークなどを用いて負担をショートカットすることはとても理に適っています。視覚支援のありがたみに気づいてきたお子さんは自らメモを取ったり、写真で残したりと工夫をすることも多いです。保護者の方がされてきたことは、お子さんにも受け継がれてゆく面があります。
2022年07月05日気圧や湿度の変化で体調悪化私は、天気の変化で気圧や湿度などが変わると心身に大きな影響が出ます。片頭痛、抗えない眠気や怠さ、無気力、関節痛など。幼いころのことは覚えていませんが、第二次性徴期に入って生理が来るようになるころにはすでに、天候によって調子が悪くなる感覚はありました。天気の変化によって起こる不調のことを「気象病」と言うそうです。気象病はどちらかというと女性に多いとも言われています。気象病には内分泌系や自律神経系の調節不全が関わっているため、これらの系統に困難を抱えている発達障害のある人には気象病が多いと聞いたこともあります。気象病を抱える人のうち、多くが気圧の低下に伴って症状を感じますが、気圧が下がるときには症状が出ず、上がるときに出るタイプもいます。私の眠気や怠さ、無気力は気圧が下がる雨の日によく出ますが、片頭痛はどうも気圧が上がるときに出るタイプのよう。台風や前線が過ぎかかって気圧が上がってくるととたんに発作が始まることが多くあります。症状があるときは生産性ゼロ気象病の症状が出ているときには普通の生産的な生活が送れなくなります。身体が泥袋のように重くなって昼寝するしかなくなったり、頑張って作業しようとしてもまったく頭が動かなかったり。天候という不可抗力によってその日の生産性を大きく左右されてしまうので、普通の会社勤めなどは私には無理だなと感じることがあります。気象病に対する私なりの対抗策気象病の多くは内耳にある気圧センサーのような機能の不全から来るらしいと聞いてから、気圧が変化しそうなとき、症状が出始めたときには耳を引っ張ったり揉んだり、上半身を中心にストレッチしたりして、耳周りの血行をよくするように心がけています。気のせいかもしれませんが、気象病の不調がマシになってきたように感じています。気圧の変化を知るためにアプリを参照することも。無料プランではできることが限られますが、指定した地点の気圧の変化をわかりやすい折れ線グラフで見ることができるので、とても参考になります。気象病は天気と同じで完全な予測はできず、ランダムに発生するものなので、気象病による生産性の低下は起こるものと前提したうえで、常に余裕のあるスケジュール設定をするようにも心がけています。薬もときどき服用しています。体内の水分を調整し、雨の日の頭痛に効くと言われている、五苓散(ごれいさん)という漢方薬はよく飲んでいます。天気によってめまいを感じる人が、気圧が変わりそうなときにめまい止めや酔い止めを飲む、という例を耳にしたこともあります。できる対策から試してみてITを活用して症状の出現を予測する、耳まわりの血行をよくする、薬をうまく使う、症状が出る前提でスケジュールを組むなど、気象病対策としてできることはいろいろあります。できることから無理なく対策を始めてみてはいかがでしょう。薬については、精神科の主治医やかかりつけの内科の医師に相談してみることをおすすめします。文/宇樹義子(監修者・鈴木先生より)小児科では気象病という言い方はせず、起立性調節障害(自律神経失調症)と診断されることが主流です。これは、神経発達症(発達障害)の20%に併存すると言われています。車酔い・朝起き不良・頭痛・腹痛・立ち眩みが主な症状です。小学校の高学年ごろから症状が出現し、不登校の原因の一つとして考えられています。午前中調子が悪く午後になると元気になるので傍から見るとさぼっているのではないかと誤解されやすい病気です。遺伝性もあり、どちらかの親も朝起き不良・立ち眩みや車酔いなどの症状があることが多いです。車酔いは自分で運転すればなくなるので大人になるとさほど目立たなくなります。春や秋など季節の変わり目に具合が悪くなるケースが目立ちます。クリニックでは15分くらい立たせて脈拍・血圧・心電図を測定して判定する起立テストを行います。心臓のポンプが弱く馬力がないので、ミドドリンという起立性低血圧を治すお薬で調整を行います。気象による影響のある病気で有名なのは喘息や骨折です。喘息は雨が降る直前に発作がよくおこり、骨折は雨が降ると痛くなるようです。
2022年07月02日「グレーを白にしたかった」診断はADHD、LDも大生さんは小さなころから多動や言葉の遅れがみられたが、和枝さんは大生さんの発達の遅れに気付くまでに時間を要した。離婚後、家計を支えようと、看護師の資格を取得するべくパートの仕事の傍ら看護学校にも通っていたため、育児が二の次になってしまったからだ。大生さんは頻繁に忘れ物をし、夏休みの宿題はろくに手がつけられず、外食に行けばじっとしていられず、ときに癇癪を起こしていた。小学校中学年のある日、和枝さんが連絡帳を開くと、中は真っ白だった。授業のノートも見ると、板書のメモは一行だけで終わっており、作文の文字はマス目に収まっていなかった。「どうしてできないのかが分からない」「僕なんてダメなんだ」と、家の柱に頭を打ち付けたり、自分に包丁を向けるなど、自傷行為もするようになっていった。「私もイライラしていたんです。今からでもフツウになれるんじゃないかと思って、とにかくやりなさいって、型にはめようとしていました。グレーを白にしたかったんです。でも、母親として切ないというか、大丈夫かな、ウチの子は楽しいのかなとか。毎日毎日泣いて帰ってくる大生を見て、そんなに嫌な思いして学校に行くならほかの子と一緒じゃなくてもいいかなって思ったんです」(和枝さん)Upload By 桑山 知之ほかの保護者からの指摘を受けて調べたところ、発達障害の特性が当てはまった。発達検査では全検査IQは“普通の中”。スクールカウンセラーのすすめで受診した病院で、ADHDと診断を受けた。学習障害もあった。さらに、医師から「お母さんも“抑肝散”を飲んでみてはどうか」とも提案されたという。抑肝散(ヨクカンサン)とは、精神疾患や神経疾患の補助薬として処方される漢方薬だ。「え、私?って。看護師なのでそれがどういう薬なのかわかるから、驚きました。それと同時に、子どものしんどさの導火線は私が握っているんだなっていうか。この子だけをどうにかしようと思うんじゃなくて、私もこの子のつらさに拍車をかけちゃいけないんだなと思いました」(和枝さん)Upload By 桑山 知之「死んでやる!」どん底で見つけた一筋の光大生さんは地元の公立中学で通常学級に進学したが、遅刻や早退がほとんど。教師の理解は乏しく、よく説教を受けた。クラスでは仲間外れにされ、「遅刻してきたのによく堂々と入ってこれるな」「勉強面で遅れてて終わってんな」などと言われることもあった。登校時間になると嗚咽が止まらなかったりと、休みがちになっていった。大生さんの自傷行為を防ぐため、和枝さんは家中の刃物を隠した。「死んでやる!と言って大生が自分の首を絞めていたこともありました。私も家に帰るのがつらいっていうか…。一緒に死んでもいいのかなって思ったりもしました」(和枝さん)Upload By 桑山 知之中学2年に進学したある日の夜、和枝さんは『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)でキャリアチェンジ犬のことを知る。キャリアチェンジ犬とは、身体面や性格面など何かしらの理由により介助犬に向かないと判断された犬のこと。かつて犬を飼っている知人の家に行った際、大生さんが柔らかい表情をしていたのを思い出した。「手は尽くした。これしかない」と、日本介助犬協会に問い合わせた。※介助犬…肢体不自由者の日常生活のお手伝いをする犬のこと。盲導犬、聴導犬とともに身体障害者補助犬の1つとして定められている。人懐っこい“魔法使い”がやってきたUpload By 桑山 知之10ヶ月が経ったある日、1頭のキャリアチェンジ犬とマッチングした。名前はオズ。介助犬を目指して訓練していたものの、好奇心が旺盛でほかの犬が好きな性格のため、介助犬には不向きと判断された犬だった。お試し期間として2週間、自宅で一緒に過ごすことになった。和枝さんが「オズにわかりやすいように笑顔で、感情を込めて『よしよし』ってなでるといいよ」と伝えると、大生さんは少しずつ一言添えてなでるようになった。人懐っこくいつも顔をペロペロなめるオズに、思わず大生さんにも笑顔が戻ったのだった。「大生は最初は興味なさそうだったんですけど、だんだん感情を込めてオズに接するようになったんです。大生も笑うんだ…って思ったぐらいでした」(和枝さん)Upload By 桑山 知之さらに、3個下の弟と適切な距離感がつかめずケンカが絶えなかった大生さんだが、オズを介してコミュニケーションが取れるようになった。かつて喫茶店に行くのが趣味だった和枝さんに「俺たち大丈夫だから、喫茶店に行ってきていいよ」と大生さんが言ってくれたり、最近では料理もするという。「(オズを)迎え入れてよかったです。人と違う接し方ができて楽だし、オズと散歩に行ったときに近所の人から空気感が変わったね、って声をかけてもらったり、話したりするようになりました。オズは家族です」(大生さん)Upload By 桑山 知之「最初、見学会でご家族を見たときは空気が張り詰めている感じがありました。でも、犬にはすごいパワーがあって、もたらす効果も大きいんです。その中でもオズはフレンドリーで、マイペースで、明るくて動じない性格だから尾崎さん家族に合うのかなって。オズが来たことがきっかけで変わって、本当に良かったです」(日本介助犬協会・柴原永佳さん)オズが来て半年。これまで集中力が続かず、不登校だった大生さんは自ら勉強に励み、「高校に行きたい」と言うようになった。大生さんは現在、専修学校2年生。専門課程までの5ヶ年一貫教育を経て、就職できるよう力をつけていく。「自分で働いて、自分が暮らせる分ぐらいは稼げるようになってほしい」と和枝さんは願っている。Upload By 桑山 知之Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海(監修・井上先生より)家族関係の中に動物が介在することで、共通の話題やプラスのコミュニケーションが生まれてきます。また、家族同士の関係性や価値観も変わってくるのだと思います。今回のケースでは、オズ自身の性格もさることながら、キャリアチェンジをして頑張っているオズという存在自体が、「チェンジしたい」と願う家族それぞれが自分と重ね合わせることで大きな力になったのではないかと感じました。
2022年06月28日理科と社会のプリントをやりたがらない息子Upload By かなしろにゃんこ。ADHDのある息子のリュウ太は、”気がのらないことは意地でもやりたくない”というところがありました。特に小学校の「せいかつ」の科目が苦手で、自分から学ぼうとしませんでした。担任の先生からは、「授業中は絵を描いたり工作をしたりして自由時間のように過ごしていますよ」との報告もありました。小3になり「理科」「社会」の勉強が始まると、ますます興味をなくすリュウ太。プリントをやらなかったりノートを取らなかったりするので、どこまで理解できているのか母には分からず、心配になっていました。リュウ太はもしかしたら1、活字を読むことが面倒くさい?2、問題の意味が分からないこのどちらもあるのではないかと考えました。Upload By かなしろにゃんこ。(ならば、学校のプリントよりも簡単な問題集をつくってみたら学んでくれるかも?)と思った私は、その日から夜なべしてプリント制作をスタートさせました。社会では、小学3年生から地図記号を勉強しますが、地図記号に出てくる港や果樹園、灯台や工場など、リュウ太は実際に見たことがなくて記号と想像が一致しなかったのかもしれません。そこで、「港はなにをするところ?」「果樹園はなにをつくるところ?」というようなイラストと関連性がある文字を線でつなぐオリジナルの問題プリントをつくりました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太が苦手に思っている理科や社会という科目でしたが、線つなぎのオリジナル問題は、問題文も短く簡単で、「楽しい!」とよろこんでやってくれました。学校から帰ると毎日、母がつくった問題プリントをやる息子。「お母さんのプリントおもしろいからもっとやりたい」とまで言ってくれて感激しました。教科書を見ながら息子のレベルに合わせた問題を考えるのは時間がかかり寝不足になりましたが、息子が楽しんでくれることがうれしくて、調子にのって毎日つくっていました(笑)。線つなぎや図で表してある問題ができるということは、(アレ?リュウ太は理科や社会に興味がないわけじゃないのかも!)と気がつきました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。しかし、夜なべの無理が続いたことで疲れがたまり、わずか2ヶ月で母の自作プリント制作は終了となりました。ちゃんちゃん☆(泣)楽しんでできる問題集なら、たくさんやりたいという意欲が息子にあることが分かっただけでもヨシとしました。今から10年くらい前のエピソードです。そのころから発達障害がある子のための知育教材や学習教材はあったと思うのですが、私自身はその存在を知らずにいたためにいらぬ努力をしてしまいました。でも、息子が苦手な科目の全てができないわけではないこと、何ができないのか知ることを考えるきっかけになった気がします。Upload By かなしろにゃんこ。そんな息子でしたが、16歳から20歳まで車の整備士になる学校に通っているときに電気や機械系を学んだので、理科や社会の苦手はある程度克服したのではないかと思います。母の見立てですが、そうであってほしいと願うのでした(笑)。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くんの興味関心の持ちにくい科目へ、自作の問題・プリントを作成されたとのこと、すごいですね…! 問いと答えが一対一対応の問題(線つなぎ)であること、読み・書きの負担が少ないことなど、お子さんの好みを把握されているからこそうまく機能したのだと感じました。生活科や理科、社会などは、活動的な内容が多く、多くのお子さんが興味を持ちやすいと思われている面はあります。ただ、発達的な特性を強くお持ちのお子さんの中には、そうした科目を苦手とするお子さんもいます。特に、生活科は、その時間で何をやるのかの予告があまりなされないことが多かったり、何が「正解」なのか分からなかったり(「自由にやってみよう」といった指示が苦手/観察と言われても、見たままを絵や言葉で描写するのはなかなか難しく、取り組む前に心が折れそうになるなど)、苦手なお子さんにとっては、なかなかつき合いづらい科目かもしれません。知識インストール型の方が得意なお子さんや、答えが一つでありそれを選ぶ(当てる)方が取り組みやすいお子さんには、かなしろさんのようなサポートをきっかけに興味関心を持ちやすくなることもあるように感じました。たしかに今はさまざまな教材が市販されていたり、ネットでダウンロード可能であったりもしますね。ともあれ、お子さんの特性・好みを見極めて、教科の学習との橋渡しとすること。素敵なサポートだなと感じます。
2022年06月27日SSRIはどんな薬?適応となる症状は?SSRIとはSelective Serotonin Reuptake Inhibitor(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の頭文字をとったもので、こだわり行動、うつ、不安障害、場面緘黙、潔癖症などの症状緩和に使われる薬剤です。発達障害のある子どもには、「自分が一番にならないと気が済まない」「方法や手順などに自分の中での確固としたルールがあり、状況に合わせて柔軟に変更することができない」「一つのことに集中しすぎて周囲が見えなくなる」と、いった特性が見られることがあります。これが「こだわり行動」といわれるものです。不安障害は、突然理由もなく激しい不安に襲われ、心臓がドキドキしたり、めまいがしてふらふらしたり、呼吸が苦しくなってしまうといった症状で、パニック障害とも呼ばれます。場面緘黙とは、家族などとは問題なくおしゃべりできるのに、幼稚園や学校など特定の場所になると話せなくなってしまう症状です。ただ、一口に「こだわり行動」と言っても、その程度はさまざまです。環境を整えたり、周囲が発達障害の特性を理解して接することで、生活に支障がない程度に改善できることも多いでしょう。その一方で、こだわり行動や突発的な不安からイライラが募り、自分や他者への暴力的な衝動に駆られたり、外に出られなくなったり、といった問題がある場合には、薬の力を借りて症状を緩和させることも選択肢の一つです。SSRI(フルボキサミン)の投薬の適応となる症状には、ほかにも強迫性障害、潔癖症などが挙げられます。強迫性障害は、「十分に洗ったのに、くり返し手を洗い続ける」「持ち物がなくなっていないか、何度も確認してしまう」「服が少しでも汚れると、全部着替えないと気が済まない」といった行動となってあらわれます。また潔癖症があると、人が使ったものがどうしても触れなかったり、手指が汚れるのが嫌で手づかみで食べることができない、といった困りごとがでてきます。SSRI(フルボキサミン)の効果・効能は?SSRIには、脳内の神経間でセロトニンという神経伝達物質の再取り込みを阻害する効果があります。セロトニンには心のバランスを整えてくれる働きがあることから、「幸せホルモン」の異名でも知られています。セロトニンが不足すると、気分が落ち込んだり、不安を感じたりしやすくなると言われています。SSRIは、セロトニンの再取り込みをしにくくすることで、脳内のセロトニンの量を安定させ、気持ちを穏やかにする働きをします。SSRIにはいくつかの種類がありますが、本記事ではこだわり行動、うつ、不安障害、強迫性障害などに使われる「フルボキサミン」について見ていきましょう。SSRI(フルボキサミン)は、日本では「ルボックス」「デプロメール」の商品名で販売されている錠剤です。また、「トーワ」の商品名で、ジェネリック薬も出ています。いずれも8歳以上の小児の強迫性障害にも使用が認められています。SSRI(フルボキサミン)の用法・用量は?SSRI(フルボキサミン)の錠剤には、25mgのもの、50mgのもの、75mgのものの3種があります。8歳以上の子どもがSSRI(フルボキサミン)を服用する場合は、1日1回、就寝前に25mgの錠剤1錠からスタートします。1週間以上継続したのちに、朝に25mg1錠、就寝前に25mg1錠、合計50mgに増やします。薬の量は、年齢や症状に応じて医師が判断し、1日合計150mgを超えない範囲で増減します。ただ、増量する場合は、1週間以上の間隔を開け、1回ごとの増量は25mgまでに留めるように推奨されています。医師は、必要最小限の服用で効果が出るよう、慎重に経過を観察しながら処方量を調節します。自己判断で勝手に薬の量や回数を増やしたり、減らしたりしないことが大事です。副作用の心配はない?子どもへのSSRI(フルボキサミン)の投与で最も懸念される副作用は、自殺念慮、自殺企図があらわれる可能性です。24歳以下の患者に投与した場合に、リスクが増加することが報告されています。子どもがSSRI(フルボキサミン)を使う場合、保護者は自殺念慮や自殺企図があらわれる可能性についてきちんと知っておくことが重要です。そして、担当医と緊密に連絡を取り合いながら、経過を見守ることが大切です。自殺念慮、自殺企図のほかに、下記のような副作用があらわれることもあります。・眠気・吐き気・悪心・口の渇き・便秘・めまい・ふらつきまた、投薬を急に中止したり、急激に減らしたりすると、頭痛や吐き気、めまい、不安感、不眠、集中力の低下などがあらわれることも報告されています。服用を止めるときにも、徐々に減量していくなど、医師の指導に基づいて慎重に行いましょう。親子で抱え込まずに、医師に相談をASDなどの発達障害による特性は、個人差も大きいものです。また、成長するにつれて、特性が変化していくことも大いにあります。ただ、強いこだわりや不安、過度の潔癖症などによって、日常生活に困難を抱えている場合は、薬によって症状を緩和していくことも検討したい選択肢の1つです。困りごとを抱えたままでは、強いストレスにさらされ続けることになったり、失敗や挫折が続くことで自己肯定感が低下たりすることが考えられます。そうした状態が長く続くことで、身体的不調、うつ症状、不登校やひきこもり、暴力といった二次的な問題に発展してしまうこともあります。笑顔で過ごせる時間を増やしていくためにも、家庭のなかだけで抱え込まずに、医師や専門家に相談することが大切です。 そして、投薬をする場合は、副作用のリスクなどもしっかり理解したうえで、医師と手を取り合いながら適切な服用をしていくことが重要です。参考:日本薬局方 フルボキサミンマレイン酸塩錠|ニプロ株式会社医療用医薬品 フルボキサミンマレイン酸塩|KEGG データベース
2022年06月26日友達と遊んでいると、塾の予定をど忘れする中2息子Upload By かなしろにゃんこ。息子は、中2のとき運動部からパソコン部に転部しました。部活動は週3で、部活のない日は友達とぶらぶら遊び歩くか、何人か遊びに来てわが家でゲーム三昧。「今日は7時から塾だよ」と声をかけても、ウッカリ屋の息子は遊んでいるうちにスッカリ忘れてしまい塾に行かないことがよくありました。たとえテスト前であっても、テスト勉強はせずにそんな調子。塾をさぼったり、テスト勉強をやらなかったりと母と子の争いが過熱していました。そんなある日、「塾をさぼるな」「塾の授業料を無駄にするな」と私が言ったことから親子ケンカに発展してしまいました。「わざとじゃないよ、本当に忘れちゃうんだ」と言う息子に対して、「絶対わざとさぼっている!」と私が疑ってしまうことで親子ケンカとなったのです。息子にとっては、本当にわざとではないのに怒られたことが腹立たしかったのだと思います。息子はケンカしたまま「出かけてくる」と言って自転車でどこかに行ってしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。家を飛び出したきり、息子がなかなか帰って来ないそのうちお腹を空かせて帰ってくるだろうと思って、私はいつものように夕飯をつくって待っていました。しかし、夜の8時になっても、9時になっても帰ってきません…。(図々しく友達の家にお邪魔してちゃっかり夕飯をごちそうになっているかもしれない)と思った私は、お友達の家に電話をしてみました。しかしどのお家でも「来ていない」と言います。Upload By かなしろにゃんこ。今まで息子は、門限を破ってどんなに遅くなったとしても夜の8時には帰って来ていたので、段々心配になってきました。お金も持っていないだろうからお腹がすいていても何も食べていないはず…。このころは私のスマートフォンを塾に行くときだけ持たせていましたが、それ以外のときは持たせてはいませんでした。連絡する手段がない息子。(そういえば公衆電話の使い方を教えてなかったわ…)(事故にでもあったのかな?)などと考えながら息子の帰りを待っていました。夜の11時ごろようやく帰宅した息子Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。何も連絡がないまま夜の11時になろうとしたとき、外でガタン!と自転車のスタンド音がして「ただいま~」と機嫌よく息子が帰ってきました。「こんな時間まで何してたのよー!」と怒ってやろうと思っていましたが、無事に帰ってきたことで怒るよりもホッとした私は「お風呂入ってご飯食べなさい」と言ってしまいました。夜遅くまでどうしていたのか聞くと、「遠くに行きたくなって、自転車で走っていたら市外に入ってしまったから、そのまま行けるところまで行こうとして、自宅から22キロも離れた場所まで行ってしまった」と息子は答えました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。「夜でも店の看板が明るくて人もいっぱいいて楽しかった」と、キラキラした街に感動してウロウロ見て回っていたら帰りが遅くなっちゃったということでした。走っているうちにケンカのことは忘れて、自転車で走ることが楽しくなってしまったんだとか。Upload By かなしろにゃんこ。息子に改めてこのときのことを聞いてみると「最初はムシャクシャして走るんだけど、そのうちに行きたい場所の目標ができて楽しくなってきたんだよね。オレ、時間とか距離の逆算ができないから、このまま行っちゃうと家に帰るまでにすごい疲れるのは想像できてなくってドンドン走っていっちゃった」と言っていました。ただ“放っておいてほしい”という思いもあったので、途中で(これは、帰るのが大変そうだ)と気づいても家に連絡して居場所を伝えたいという気持ちにはなれなかったと言うのです。無事でよかったことと、特性でどうしようもない部分を攻めすぎたことで遠くまで自転車で走らせてしまったことを反省したのでした。反抗期の子の接し方は難しいけれど、心配した出来事があって愛情を再確認するものだと知りました。その後も何度か同じように息子は、親子ケンカの末に自転車で遠くまで行ってしまうことがありました。そういう日は、帰ってくると疲れ果てていて、とっても大人しくなります。たまっていたイライラが程よく抜けるのでしょうか。気性が荒い息子も穏やかになるのでした。今思うと好奇心のまま突っ走り知らない土地で刺激を得て心のパワーチャージをしていたのかもしれません。ちなみに塾は、中3になると受験の意識が芽生えてきたのかあまりさぼらずに行けるようになったのでした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)思春期になり、自分の価値観もはっきりしてくると主張も強くなり親の考えと対立することも多くなってくると思います。お互いが感情的になってしまわないよう、ほどよい距離を保ちクールダウンをはかるという対策がありますが、なかなか難しいものです。感情的に対立しているときには子どもを納得させることは難しいので、「うーん、そうかぁ」「それは、なかなか難しいなぁ」「どうしたらいいと思う?」など子どもの困った気持ちに寄り添いつつ、すぐに答えを出さずに一緒に悩みながら言葉がけをするとお互い少し冷静になれるかもしれません。
2022年06月15日子どもの不器用さ、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)かも?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。一つひとつの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、単に不器用だから、で済まされる場合も少なくありません。そんな発達性協調運動症について、年齢別の困りごとや発達障害との関連性、支援機関や家庭でのサポート方法などを専門家の解説とともにまとめてご紹介します。発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)ってどんな障害?そもそも協調運動とは?粗大運動、微細運動の基本的な解説から、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)のある子どもの年齢別の困りごとなどを詳しく解説します!発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因は?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因や、限局性学習症(学習障害)、自閉スペクトラム症、ADHDなどの発達障害との併存の関連性などを解説。診断基準ごとの違いなどの詳しい説明も。子どもの不器用さが気になったらどこへ相談したらいい?子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、どのような施設に相談に行けばいい?相談場所はもちろん、支援が受けられる機関を紹介します。遊びの中で取り入れられる、家庭で簡単にできるサポート方法なども!まとめ発達性協調運動症のある子どもは一見「ただの不器用」と思われがちです。しかし、見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。子どもに発達性協調運動症があるのかどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。
2022年06月12日幼いころのゆいの様子を思い返してUpload By 吉田いらこ幼いころのゆいは素直で大人しく、いわゆる育てやすい子でした。就学前までは子育てで特に大きな苦労を感じたことはありません。ただ、ゆいは勉強の苦手な子ではありました。年中のころから幼児向けのコースもある学習塾に通わせていたのですが、小学校1年生のころに本人がどうしても辞めたいというので退会させたことがあります。続けていけなくなったのは、ちょうどそのころから塾の勉強の内容が幼児向けの簡単なものからお勉強系に切り替わったからだと思います。この塾のシステムは、できない問題があればずっと同じところを繰り返し、理解し、解けるまで次に進むことはできません。ゆいは算数のある一ヶ所でつまずき、ずっとその問題を繰り返し解くことがつらかったようです。このときは辞めさせることをとても悩みました。勉強を嫌がるのは甘えではないのか、それを許していいのか…と。結局、ゆいがとてもつらそうにしているのがかわいそうになって辞めさせてしまいました。それに、まだ低学年だし勉強は無理にさせなくてもいいやとも思っていたのです。今思えば、このころに軽度知的障害の予兆に気づいていればできたこともあっただろうなと感じます。小学校三年生、テストの点数はいつも低く…Upload By 吉田いらこ小学3年生あたりから「この子は勉強が本当に苦手だなあ」と感じることが増えました。小学校で実施される小テストやカラープリントの点数がとても低かったのです。ゆいはいつも点数の低いテストを申し訳なさそうに私に見せてくるので、私は「次頑張ったらいいよ」「ほら、ここは○が多いじゃない」と数少ない、できていたところに目を向けてほめるようにしていました。内心では「この内容だったら、ほかの子は高得点を取っているのでは…?」と思いましたが、成績が悪いことをわが子に注意するのはかなり抵抗がありました。さらに勉強を嫌いになってしまうかもしれないと思い怖かったのです。きっといつか、勉強の大切さがわかったときには自主的に始めるだろう…と楽観視していました。かといって、ゆいに勉強に興味を持たせられるような効果のある声かけもしていなかったので申し訳なく思っています。小学校4年生のある日のことUpload By 吉田いらこそして何も解決しないまま小学四年生になったある日、担任の先生から呼び出しがありました。教室に入ると担任の先生と支援担当の先生がいて、ゆいの学校での状況を教えてくれました。ゆいは勉強についていくのがとても難しそうだということ。必死で板書を書き写そうとしているが間に合わず、授業を理解する以前の状態だということ。そして最後に、一度専門機関で発達の検査をしてみてはと言われました。そのときは「ああ、とうとうか…」と感じました。なんとなくそのままにしてきたことをはっきり指摘されたような気がしました。現在のゆいは…その後小学校5年生で新版K式発達検査を受けた結果、療育手帳(B2)が申請できると伝えられました。つまり、軽度知的障害があるということです。ゆいの場合は、学年が上がって勉強につまずき始めたことがきっかけで障害があることが発覚しました。ただ、こうやって第三者に指摘されない限り、家族だけではなんとなくそのままにしていただろうと考えています。学校の先生方に指摘された当時はショックを受けましたが、そのおかげでいろいろな対応を進めることができたので今では感謝しています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)「子どもに知的障害があるかもしれない」という発想は、普通に子育てをしていてはなかなか浮かんでこないものです。ただ一方で、気づかずに一般的な勉強方法を繰り返していては、本人にとってつらいだけのこともあります。特性に気づいて最適な方法に出会えると、少しずつ前に進めて良いですね。
2022年06月03日