サードウェーブデジノスは5日、NVIDIAが提唱するVRデバイス向けのPCやグラフィックスカードの認定プログラム「GeForce GTX VR Ready」対応のハイスペックPCを発表し、PCショップ「ドスパラ」で販売を開始した。価格は税別149,980円から。「GeForce GTX VR Ready」は、VR(Virtual Reality)対応のヘッドマウントディスプレイなどを快適に動作可能なPCやグラフィックスカードをNVIDIAが認定するプログラム。「Oculus Rift」製品版の推奨スペックであるNVIDIA Geforce GTX 970以上を搭載したPCやグラフィックスカードが対象となり、「GeForce GTX VR Ready」に認定された製品にはそれを示すバッジをパッケージなどに表示する。「GeForce GTX VR Ready」対応PC「GALLERIA XF」の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-6700(3.4GHz)、メモリが8GB PC4-17000、ストレージが2TB SATA3 HDD、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 970 4GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、OSがWindows 10 Home 64bit。本構成の価格は税別149,980円から。上位モデル「GALLERIA ZI」の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-6700K(4.0GHz)、メモリが16GB PC4-17000、ストレージが250GB SSD + 2TB SATA3 HDD、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 980 Ti 6GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、OSがWindows 10 Home 64bit。本構成の価格は税別239,980円から。
2016年02月05日米Appleが仮想現実(VR)とそれに関連したインタフェース分野の専門家を雇い入れたことが話題になっている。現在のところ、AppleがVRを活用して何を目指しているのかは不明な部分が多いが、HoloLensを発表したMicrosoftをはじめとして、ライバルとされるFacebookやGoogleはVRや拡張現実(AR)の研究開発を進めており、Appleもまた自社のデバイスやサービスを絡めた何らかの取り組みを水面下で進めていると考えられる。同件は、Wall Street Journalが報じている。今回Appleに参加したのはDoug Bowman氏で、同氏は米ヴァージニア工科大学(Virginia Tech)のヒューマン・コンピュータ・インテラクション・センター(Center for Human-Computer Interaction)でコンピュータサイエンスの教授を勤めている。Bowman氏の経歴や成果は3D Interaction Groupのページにまとめられているが、VRの世界でどのようにユーザーが活動し、フィードバックを得るのかといった手法についての数々の研究プロジェクトに携わっている。例えば、WSJでも触れられている「Llamas vs. Kiwis」のYouTube動画を見ると、その一端がわかるだろう。もともとはFinancial Timesが報じていたもので、後にAppleがWSJに対してBowman氏雇用の事実を認めた。ただ、同氏がAppleに参加したこと以上の情報の提供については断っており、その背景などは不明だ。また、Bowman氏のヴァージニア工科大学名義のメールアドレスも「2016年8月まで休暇」との返信があるのみで、本人に接触できなかったようだ。ただ前述のように、ライバル各社は単にスマートフォンやタブレットの情報画面の中で情報表示が完結することなく、より生活に密着した形で情報にアクセスできたり、あるいは画面タッチやキーボード/マウスといった従来の限定的な操作インタフェースだけでなく、より自然な形でユーザーがコンピュータの世界にアクセスできる手段を模索している。現在のところ、Apple自身はOculusのような没入型のヘッドギアデバイスや、MicrosoftのHoloLens、GoogleのGoogle Glassといった装着型のデバイスを出しておらず、どのような形でユーザーとデバイス、そしてサービスを結びつけるのか不明だが、そのあたりも含めて新しい可能性を模索していくのだと考えられる。なおWSJによれば、Appleは昨年2015年5月にドイツでAR技術を開発するMetaioという企業を買収しているなど、過去に少なからずVRやARへの道筋を示す動きを見せている。今回は業界の著名研究者を引き入れた形だが、今後も買収やリクルーティング活動は続くとみられ、数年先の動向や新サービスに思いを馳せつつ、ウォッチしていると面白いかもしれない。
2016年01月26日パルコが運営するクラウドファンディングサービス「BOOSTER(ブースター)」では、最新のバーチャルリアリティ技術(VR)を使って360°全方位から映像を楽しめるショートアニメ制作プロジェクト『日本発!360°ショートアニメ「博士と万有引力のりんご」バーチャルリアリティ制作プロジェクト』の資金支援を募っている。募集期間は3月14日まで。目標額は125万円。同プロジェクトは、専用のゴーグルを装着して映像を見ることで、CGで作られた360°の仮想世界に入り込んでいるかのような感覚を得られる技術である「VR」を使ったショートアニメを制作するというもの。VRを使った企画事例はまだ少なく、同社によればショートアニメ制作はこれが日本で初めての試みとのことだ。プロジェクトオーナーのCHAORU氏は「日本のVR文化の発展に貢献する」という夢を叶えるため少しでも良い作品を作りたいという想いから、クラウドファンディングにチャレンジするという。また、今回制作されるショートアニメ「博士と万有引力のりんご」は、ニュートンの万有引力の法則発見のエピソードをモチーフにしたファンタジー作品。完成したコンテンツは、スマートフォンを専用ゴーグルに差し込むだけで、いつでもどこでも気軽に楽しめるアプリとして公開される予定だ。専用ゴーグルには、プラスチックで出来たしっかりとした筐体のものと、簡易的に組み立てることができる紙製のものがあり、専用アプリをダウンロードしたり、YouTubeの対応コンテンツを見たりすることでVRを体験できるということだ。なお、プロジェクトへの支援者に対するリターン(対価設定)として、3,000円がオリジナルアートブックまたはオリジナルアクセサリーの贈呈、5,000円がそれに加えて完成特別体験会への招待、1万円がさらにオリジナルVRゴーグル&クレジットが加わり、2万円ではディレクター直筆のイラストボードの贈呈や特別にデザインされたスペシャルクレジットの制作が追加される。5万円ではさらに支援者の写真を元に似顔絵イラストを作成しコンテンツ内に登場し、10万円は支援者の写真を元に3Dキャラクターを作成しコンテンツ内に登場するなど、多彩なラインナップが用意されている。支援は、BOOSTER プロジェクトページにて、3月14日まで受け付けている。
2016年01月15日NVIDIAはこのほど、VR(Virtual Reality)対応のヘッドマウントディスプレイなどを快適に動作可能なPCやグラフィックスカードを認定するプログラム「VR-Ready」を発表した。対応製品には「GeForce GTX VR Readyバッジ」を表示し、VR製品が動作することを示すという。VRコンテンツを快適に視聴するには、左右の目に対して1枚ずつのディスプレイを高いフレームレートで動作させる必要がある。そのため、VR製品を駆動させるシステムにも高いスペックが要求される。例えば1月7日(日本時間)から予約を開始したヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」製品版では、コンテンツの再生に必要な解像度とフレームレートは、2.160×1,200ドット(両目合わせて)/90fpsで、CPUがIntel Core i5-4590以上、メモリが8GB以上、GPUがNVIDIA Geforce GTX 970以上またはAMD Radeon R9 290以上のシステムが推奨動作環境として定められている。ただ、ユーザーにとって、個々の製品におけるスペックや性能を把握するのは大変だとして、NVIDIAがPCメーカーやカードベンダ協力し、VR製品を動作可能な製品に「GeForce GTX VR Readyバッジ」を表示することで、VR対応製品だということがすぐに分かるようになる。NVIDIAでは、同社製GPUが採用するMaxwellアーキテクチャや、ドライバ、開発者向けソフトウェア・ツールであるNVIDIA GameWorks VR、NVIDIA DesignWorks VRを組み合わせることで、高いパフォーマンスと低遅延のVR体験が得られるとしている。「VR-Ready」プログラムには、DELL(Alienware)、AcerといったPCメーカーやGIGABYTE、ELSA、MSIといったパーツメーカーなど数多くの企業が参加を予定する。日本からもG-TuneやGALLERIA、G-GEAR、LEVEL∞といったゲーミングBTOブランドが名を連ねている。なお、同様の認定プログラムは米Oculus VRでも「Oculus Ready PC program」として提供予定で、こちらも2016年から開始するという。
2016年01月07日Facebook傘下の米Oculus VRは1月4日(現地時間)、VR(バーチャルリアリティ)ヘッドセット「Oculus Rift」の予約受付を太平洋時間(PT)の1月6日午前8時(日本時間: 1月7日午前1時)に開始すると発表した。OculusのWebページでは、予約開始までのカウントダウン表示が始まっている。Oculus Riftは、2013年にリリースされた開発向けキットの段階で海外のPCゲームベンダーが自社タイトルを対応させ、E3などゲームイベントで高く評価されたことで注目を集めた。開発版に比べて製品版は軽量で快適に装着できるようにデザインが改良されており、メガネの使用も可能。VR環境の臨場感を引き出すVRオーディオシステムが統合されている。Oculus VRはMicrosoftとパートナーシップを結んでおり、Xbox Oneワイヤレスコントローラが公式コントローラとしてOculus Riftに同梱され、またXbox Oneからゲーム映像をストリーミングして遊べるようになる。Oculus Riftには「Lucky’s Tale」がバンドルされ、また予約者には「CCP’s EVE: Valkyrie」も無料提供することをOculusチームは明かしたが、4日時点で価格や発売日は不明。予約受付開始と共に、注文に必要な情報を公開するという。また、1月6日の午後6時(PT)からOculus創設者のPalmer Luckey氏がRedditのAMA(質問ある?)に登場する。
2016年01月05日ピクセラは22日、360度のパノラマVR動画を体験できるスマートフォンアプリ「パノミル」を公開した。App Store、Google Playよりダウンロードでき価格は無料。「パノミル」は、ピクセラが管理・運営するクラウド上のサーバーに公開された360度パノラマ動画をインターネット経由で受信し、視聴できるアプリ。スマートフォンのジャイロセンサーを利用することで、端末を向けた方向の映像を上下左右360度視聴可能だ。iOS版では、アーニス・サウンド・テクノロジーズ製の立体音響にも対応しており、ヘッドフォンやイヤフォンを装着すれば観ている映像の方向に連動して、音の聞こえてくる向きや距離が変化する。対応しているのは、iOS 9以降を搭載するiPhone 5s以降、iPad Air/Air 2、iPad mini 2以降。Androidは、バージョン4.2以降を搭載する端末。
2015年12月22日三菱地所ホームは、2016年1月16日より、同社が出展する住宅展示場のすべてのモデルハウス(18カ所)に、高画質バーチャルリアリティー(VR)技術を活用した「没入体験型」営業ツールを導入すると発表した。すべてのモデルハウスにヘッドマウントディスプレイとタブレット端末を整備し、来場した顧客に、自身の動きに連動し周囲全方向の画像を見ることができるVR環境で、室内空間もリアルに体感してもらう。これにより、住宅展示場の複数のモデルハウスに来場する時間的負荷軽減だけでなく、自宅の設計段階においては、ホームギャラリーのVR画像を参考として、スケール感やインテリアテイストのイメージを実感することが可能になるという。同社では今後、自宅の設計段階(注文住宅・リフォーム)において、そのプランをVR画像化させ、図面やCGパースでは表現が難しい空間構成やインテリアテイストをリアルに体感できる営業ツールの整備を検討していくという。
2015年12月21日サムスン電子は、VRヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」を18日に発売する。前モデルにあたる「Gear VR Innovator Edition」がVRソフト開発者など向けだったのに対し、一般ユーザーをターゲットにしたモデルとなっている。家電量販店やAmazon.co.jpで販売される。ビックカメラ.COMでの価格は税別13,800円。「Gear VR」は、360度のVRを96度の視野で鑑賞できるヘッドマウントディスプレイ。顔の接地面にはスエードのフェイスフォームを採用し、メガネをかけたままでも装着できる。。本体には9軸センサーを搭載。頭部の動きを正確にトラッキングすることが可能で、乗り物酔いのような「VR酔い」にかかりにくいという。前モデルからの変更点として、本体右側面のタッチ面を拡大し、凹凸処理を施したタッチパッドを搭載した。コンテンツは、ゲームや映画、スポーツ、アーティストのライブなど100を超えるアプリを用意している。サイズ/重量は、幅約201.9mm×高さ約116.4mm×奥行き約92.6mm/約318g。対応端末は、Galaxy Note5(日本未発売)/Galaxy S6 edge+(日本未発売)/Galaxy S6/Galaxy S6 edge。カラーバリエーションは、Frost Whiteのみ。
2015年12月08日凸版印刷は11月18日、自治体の水害ハザードマップと連動したバーチャル・リアリティ(VR)映像により、居住地域の被災状況を仮想体験できるという防災訓練支援サービス「VRscope for ハザード」を開発したと発表した。自治体の防災イベントや小中学校の防災教育用途として、2015年11月下旬から提供を開始する。VRscopeは、スマートフォンに配信した360度パノラマの動画や静止画コンテンツを、同社が独自開発したという専用のビュワーにセットして鑑賞すると、立体感・臨場感のあるVRコンテンツを提供するもの。今回発表したサービスは、VRを用いた防災情報の可視化を研究する愛知工科大学工学部情報メディア学科の板宮朋基准教授の協力のもとで開発した。津波や高潮、豪雨などが発生した際に想定される水害を、実際の映像に重ねて見ることが可能。居住地域が被災した状況を仮想体験することで水害の被害レベルを実感でき、避難所の確認や避難ルートの検討などを促進するとしている。具体的には、ハザードマップに配置した専用マーカーをスマートフォンで読み込むことで、各地点のVR映像を表示。自治体のイベント会場や学校の他、自宅でも仮想体験が可能なため、家庭での防災意識の向上を図ることができるという。同社が提供するARアプリケーションである「AReader(エアリーダー)」がVRscope用コンテンツに対応したことで、コンテンツごとに個別アプリケーションを制作する必要が無く、360度パノラマの動画や静止画コンテンツへのアクセスが可能としている。コンテンツは同社が管理・運営するクラウド・サーバから提供するため、従来必要だった専用アプリの開発や個別の配信環境の構築が不要であり、導入負荷を大きく削減できるとのことだ。価格は、基本料金が60万円/年(登録地点は20地点まで)、VRコンテンツ制作が約100万円から。同社は同サービスを含めてVRscopeを用いたソリューションを拡販し、2017年度に約10億円の売上を目指す。
2015年11月19日米Googleは5日(現地時間)、Android用「YouTube」アプリの最新アップデートで、VR動画の再生をサポートしたと発表した。Android搭載のスマートフォンで利用でき、ダンボール型VRキット「Cardboard」と組み合わせて使用する。今回のアップデートでは、動画再生時に右下に表示されるCardboardアイコンをタップすることで、VR動画の再生が可能となった。VR動画の再生では、端末の向きに応じて360度方向で映像を視聴でき、奥行き感も適切に再現される。合わせて、通常の投稿動画も、再生時のメニュー内に新設されたCardboardアイコンをタップすることで、VR用表示が可能となった。「YouTube」アプリのアップデートではこのほか、[登録チャンネル]、[アカウント]情報をタブごとにまとめ、[ホーム]タブからアイコンのタップやスワイプ操作で手軽に遷移できる新デザインが適用されている。
2015年11月06日米Googleは12日(米国時間)、iOS/Android向けのVRアプリ「Google Cardboard」を39言語、100以上の地域に対応させたと発表した。Google Play、App Storeよりダウンロードでき価格は無料。「Google Cardboard」は、スマートフォンをVRデバイスとして利用するための専用アプリ。利用するにはダンボールなどで作られたビューアーが必要となる。2014年12月に英語版が公開され、累計1,500万ダウンロードを突破したという。新たに日本語を含む39言語をサポートし、100カ国以上で利用可能となった。加えてAndroid版のSDK「Cardboard SDK for Android」を強化。これにより低品質なセンサーを搭載したスマートフォンでも、ブレを低減させることができる。そのほか、Unity版の「Cardboard SDK for Unity」も改良され、iOSの「Metal」レンダリングや、Androidのマルチスレッドレンダリングに対応する。また、同社提供の地図アプリ「Googleストリートビュー」も、iOS/Android版ともに「Google Cardboard」に対応。ストリートビューを3D映像で楽しむことができる。
2015年10月13日韓国Samsung Electronicsは9月25日(現地時間)、一般消費者向けのVRヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」を発表した。米国での発売は11月で、価格は99ドル。日本での発売時期や価格など詳細は明らかになっていない。Gear VRは、対応するスマートフォンやタブレットを装着して、360度3Dの仮想現実(VR)コンテンツを楽しめるヘッドマウントディスプレイ。Samsung Electronicsと米Oculus VRが共同開発している。今回発表されたのは、5月に国内でも発売された開発者向けの「Gear VR Innovator Edition」に対して、一般消費者に向けたモデルだ。対応機種は「Galaxy Note 5」「Galaxy S6 edge+」「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」となる。Gear VR Innovator Editionに比べて22%軽量化し、重量は310gを実現。装着性やタッチパッドの操作性をさらに向上させたという。サイズはW201.9×D116.4×H92.6mm。視野角は96度。加速度センサーとジャイロセンサー、近接センサーを搭載する。スマートフォンやタブレットと接続するためのmicroUSB端子を持つ。カラーはフロストホワイト。
2015年09月25日Samsung Electronicsは9月25日、最新のGalaxyスマートフォンに対応するVRヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」を発表した。昨年末に発売した「Gear VR Innovator Edition」(199ドル)がVRソフト開発者やアーリーアダプタを主なターゲットにした製品だったのに対して、Gear VRはコンシューマ向けの量産モデルであり、価格は99ドル。米国で11月に発売する。コンシューマバージョンはサイズが201.9×116.4×92.6ミリで、重さは310グラム。Innovator Editionよりも22%軽く、クッションの素材が改善され装着しやすくなった。タッチパッドも改良されている。ディスプレイはSuper AMOLEDで、視野角は96度。対応するスマートフォンはGalaxy S6 edge+/S6/S6 edge、Galaxy Note 5など。Gear VRの中にこれらのスマートフォンを装着して各種VRコンテンツを楽しむ。
2015年09月25日WHITEは31日、タッチインタフェースを搭載したダンボール製のVRゴーグル「MilboxTouch」を開発したと発表した。明治大学の宮下研究室とサンメッセとの共同研究によりプロトタイプを完成させた。MilboxTouchは、明治大学・宮下研究室の「ExtensionSticker」という技術(特許出願中)を利用したVRゴーグル。ExtensionStickerは、タッチパネル外からのタッチ入力を転送可能にする技術で、導電性素材を印刷したエリアを触れることで、ユーザーは直接的にタッチパネルに触れなくとも、タッチパネルのタッチ入力やスクロール操作が可能になる。ダンボールに導電性インクを印刷するため、低いコストで大量生産できるという。MilboxTouchの今後の展開について、タッチ入力を活用したVRコンテンツの普及を図りたい考え。その具体化のために、アマナの協力のもとMilboxTouchを活用したゲームコンテンツを制作し、Milboxのサイトに一般公開するという。また、プロトタイプを、8月1日、2日開催のMaker Faire Tokyoで展示する予定。
2015年07月31日米Oculus VRは6月11日(現地時間)、米サンフランシスコでプレスイベントを開催し、VRヘッドセット「Oculus Rift」の製品版の実機を初披露した。製品版にはXbox Oneワイヤレスコントローラを同梱し、「Oculus Touch」というVR専用コントローラも提供する。製品版のRiftシステムは、VRヘッドセットとトラッキングセンサーの組み合わせで使用する。ユーザーの前に置いたトラッキングセンサーがVRヘッドセットからのIR LED信号を読み取って、ユーザーの動きをVRに反映させる。トラッキングセンサーは付属のスタンドで机の上などに立てられ、また標準的な1/4-20マウントで三脚などに固定できる。VRヘッドセット本体は軽量化とデザインの改良によって、開発版よりも快適な装着感を実現しているという。ワンサイズだが、ユーザーごとに頭にフィットするようにストラップで調整でき、メガネの使用も可能。VR環境の臨場感を引き出すVRオーディオシステムが統合されており、ヘッドフォンの接続などセットアップの手間なくすぐに使用できる。VRオーディオヘッドフォンは取り外すことができ、ユーザー自身のヘッドフォンとも組み合わせられる。OculusはMicrosoftとパートナーシップを結び、多くのユーザーがすでに慣れ親しんでいるXbox Oneワイヤレスコントローラを公式コントローラとしてRiftに同梱。Xbox Oneゲームをストリーミングプレイで楽しめるようにする。さらにOculusは、Oculus Touchコントローラを通じてVRヘッドセットとしてのRiftの可能性を開拓する。Oculus Touchは2つ1組のワイヤレスコントローラで、アナログスティックとサムパッド、ボタンに加えて、VRヘッドセットと同じようにモーショントラッキングをサポートし、微妙な手の動きやジェスチャーを活かしたVR体験を可能にする。Oculusは「これまでにないVRゲームとVR体験を実現する」としている。Riftの製品版は2016年第1四半期に発売される予定。Oculus VRは今年後半に予約申し込みの受け付けを開始する。
2015年06月12日フィンランドのFuturemarkは10日(現地時間)、VRシステムの性能を測定するベンチマーク「VRMark」の開発を発表した。2015年内のリリースを予定する。ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたVR(Virtual Reality)システムに対し、パフォーマンスやレイテンシ、精度などを測定するベンチマーク。写真やビデオ、ゲーム、シミュレーションなどの複数のコンテンツを通じ、スムーズで安定した高フレームレートの保持やフレーム遅延に加え、ヘッドセット内にあるセンサーの応答性、正確性なども測定。高品質なVR体験を提供する能力をテストする。VRMarkは現在開発中で、リリースは2015年内を予定。ベンチマークの開発プログラムに参加するVRシステムメーカーも募集しており、同社公式サイトで詳細を確認できる。
2015年06月11日米Googleは5月28日、米サンフランシスコにある本社で開催中の年次イベント「Google I/O」でダンボールで組み立てるVR(仮想現実)キット「Google Cardboard」の最新版を発表した。iPhoneでも使えるようになったほか、GoProとの提携によるVRカメラキット「Jump」もプレビューとして発表した。CardboardはGoogleが2014年のI/Oで発表したVRキットで、ユーザーがダンボール素材を組み立て、Androidスマートフォンを入れて使う。GoogleによるとCardboard向けのアプリは500種を数えるといい、Cardboardビューアの出荷数は100万に達したという。今年のI/0で発表した新型では、対応するスマートフォンのサイズが6インチまで拡張され、あらゆるスマートフォンで動くという大型のボタンを導入した。作成過程も簡素化し、3ステップで完了する。また、SDKでのiOS開発のサポート、月や水面下のバーチャルトリップを可能にするCardboard向け教育コンテンツ「Google Expeditions」も発表した。Googleは合わせて、VRカメラキット「Jump」のプレビューも披露した。米GoProとの協業により、GoProの「HERO4」カメラモジュールを円形に配置するリグで構成される。16のモジュールが1つのカメラのように動作し、360度の3D動画を楽しめるという。4K TV5台に相当する高解像度も特徴。Googleによると、Jumpで撮影した動画はYouTubeにアップロード、Cardboardでも観られるという。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月29日WHITEは、スマートフォンを装着することでVR体験ができる、ダンボール製ゴーグル「Milbox」の販売をAmazon.co.jpで開始した。価格は税別1,000円。「Milbox」は、ダンボール製の組み立て式VRゴーグル。二眼レンズ(サイドバイサイド)方式を採用し、スマートフォンを装着することで立体視が可能となっている。同製品の発売に合わせ、専用のビューワーアプリも公開。アプリでは、全天球パノラマ動画を二眼レンズ方式に変換し、VRコンテンツとして再生できる。また、VRコンテンツのクリエイター向けに「Milbox」の公式CGキャラクターである「九十九みる」のデータ素材がUnityおよびMMD形式で提供されている。本体のサイズ/重量は、幅約152mm×高さ約107mm×奥行き約81mm/約63g。対応するスマートフォンのサイズは高さ約147mm×幅約76mm×厚さ約8mm。Android版の専用アプリはすでに公開されているが、iOS版は近日公開予定となっている。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月26日IoT企画会社のWHITEは、ダンボール製のVRゴーグル「Milbox」(みるボックス)を日本のAmazonで販売を開始するとともに、全天球パノラマ動画から簡単にVR用コンテンツを制作できるMilbox公式アプリのAndroid版の配布、および公式CGキャラクターの提供を開始したことも合わせて発表した。「Milbox」のAmazon販売価格は1,000円。公式アプリは無料。「Milbox」は、スマートフォンを使って本格的なVR(バーチャルリアリティ)を楽しむことのできる新商品。本体の素材は丈夫で軽いダンボール製で、気軽に持ち運ぶことができる。VRは立体視が可能な二眼レンズ(サイドバイサイド)方式を採用し、没入感のあるVR体験が可能となっている。本体サイズは152×107×81(mm)、対応するスマートフォンのサイズは147×76×8(mm)。重さは63g。ちなみに、初期ロットには特製シールが同梱されているとのことだ。また、Milbox公式アプリは全天球パノラマ動画を二眼レンズ(サイドバイサイド)方式に変換して再生するビューアーで、自身で作成したものやWebサイト上にある全天球パノラマ動画から簡単にVR用コンテンツを作成することが可能だという。なお、現段階ではアンドロイド版のみ提供されており、iOS版は近日公開予定とのこと。さらに、 VRコンテンツの制作を試みるクリエイター向けに、Milboxの公式CGキャラクター「九十九みる」(つくもみる)の3Dデータの提供を開始した。データ形式はUnity形式データとMMD形式データ(素材)の2種類が用意され、すべてのクリエイターが自由に利用してコンテンツを開発できる。同キャラクターはMilbox公式サイトからダウンロードできる。
2015年05月26日●VRには3段階の進化があるFOVE社は5月19日、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)の「FOVE」の量産に向け、Kickstarterを利用した資金調達を開始した。「FOVE」は眼を覆うように装着するHMD。微妙な目の動きを追跡することでユーザーが見ている空間を算出し、没入感の高い仮想世界を体験できる。合わせて、都内でキックオフイベントが開催された。イベントでは女優の池澤あやかさんをゲストに迎えたトークセッションが行われたほか、FOVEを使って目線でピアノを演奏する沼尻光太さんへのインタビューも実施。また、FOVEの実機を用いた体験会も開催された。ここでは、その様子をお伝えする。○VRには3段階の進化があるイベントでは、まずFOVE社の小島由香CEOが登壇し、世界的に注目を集めているバーチャルリアリティ(VR)の現状を説明した。小島氏は「VRには3段階の進化がある」とし、360度の視野角などによってユーザーが仮想現実世界の存在を現実のように感じる"プレゼンス(存在感)"の実現を第1段階、ハンドトラッキングやモーションコントローラーなどによって仮想現実世界を操作する"コントロール"の実現を第2段階と定義。「私たちが目指すのは、その次にある第3段階の"感情表現"。たとえば、見つめることでキャラクターのリアクションを得るなど、感情のやりとりができるようになる。FOVEでユーザーの感情を仮想現実世界に持ち込む手助けをしたい」と語った。小島氏によれば、第2世代の"コントロール"においてもFOVEは優位性があるそうで、「FOVEはユーザーの視線を検知する視線追跡技術(アイトラッキング)を採用することで、現在のHMDの問題点であるパララックスエラー(視差によってポインティングにずれが生じること)を解決しようとしている。シューティングゲームなどでは、マウスを使った操作よりも素早く照準を合わせられるため、より快適で自然な操作が可能になる」とコメント。ちなみに、FOVEではユーザーが注視している部分に高精度なレンダリングパワーを集中させ、見ていない部分を低解像度でレンダリングする「フォビエイテッドレンダリング」という技術も採用しており、従来に比べて6分の1程度のPCパワーですむのも特長とのこと。そのため、小島氏は「スペックの低いマシンでもVRを実現できる」とし、「近い将来、ノートPCやスマートフォンなどでもVRを楽しめるようにしていきたい」と意気込みを見せた。●池澤あやかさん興奮、ゲストがFOVEを体験!続いて、「大学時代にVRやインタラクティブデザインなどを勉強していた」という、ギーク女優の池澤あやかさんがゲストとして登壇し、実際にFOVEを装着してシューティングゲームを体験した。池澤さんは、視線の動きに合わせて敵に照準が合ったり、眼からビームが発射されたりするたびに歓声をあげ「自分が超人になった気持ち。すごいですね。これは新しい体験。視界が広くて見ている映像もとても自然です」と興奮した様子だった。これに対して、同社のロックラン・ウィルソンCTOは、「FOVEは解像度が2,560×1,440ドットと高精細で、視野も100度以上と広い。また、視線追跡技術によりユーザーが注視している部分にピントを合わせ、ほかをぼけさせることもできる。そのため、一般的なHMDよりも自然なVR体験ができる」と説明。小島氏も「今までのHMDはすべてにピントがあっていて、長時間使用していると気持ち悪くなることがあった。FOVEはそういったVR酔いが起こりにくい」とコメントした。次に、特別ゲストとして筑波大学附属桐が丘特別支援学校に在籍する沼尻光太さんが紹介され、身体にハンディキャップがある沼尻さんがFOVEを装着して目線でピアノを演奏する映像が上映された。沼尻さんは「手にあまり力が入らないため自分でグランドピアノを弾くのが難しいのですが、このような新しいテクノロジーのおかげでそれが実現できて嬉しかった」と感想を語った。●本当に画面の中に入るような感覚このあと、会場では来場者によるFOVEの体験会が行われ、筆者も実際に体験してみた。使用方法は一般的なHMDと大きな差はなく、眼を覆うように装着すればOK。今回試した試作モデルはディスプレイ部が前方に突出した形状でサイズもそれなりに大きかったが、見た目ほどの重さはなく、装着後にずり落ちてくることはなかった(ちなみに、量産モデルでは重量は400gが予定されている)。装着したら、まず視界に現れる緑色のドットを眼で追いかけることで視線検知の調整(キャリブレーション)を行う。キャリブレーションが終わったらいよいよ映像体験スタート。今回は、シューティングゲームを試したが、非常に視界が広く、視線や頭の動きに合わせて映像を表示しているためか、まるで本当に画面の中に入り込んで辺りを見渡している感じだった。また、視線検知の精度も高く、意識して視線を合わせようとしなくても、普通に敵に眼を合わせれば照準が合うため、ストレスなくゲームを楽しむことができた。短時間の体験だったため、長時間使用した場合の疲労度などは分からなかったが、数分のゲーム体験では眼が疲れることはなかった。ちなみに同社では、ゲーム以外にも医療や教育など、様々な分野での活用が考えられると見ており、前述した沼尻光太さんのピアノ演奏のように、実際に取り組み始めているプロジェクトもあるという。また、ゲームや映像に関しても、コンテンツデベロッパーと共同で準備を進めているとのことで、イベント時にVRコンテンツの配信を行うWear VR社とパートナー関係を結んだことも発表された。今後は2015年Q3に予定されている開発者キットの提供などを通じて、さらに幅広い展開を目指していく。なお、同社はKickstarterで25万ドルのクラウドファンディングを目指しており、349ドル以上の出資をした人に対してFOVE本体の特別割引先行予約を受け付けている。詳細はKickstarterの該当ページを参考にしてほしい。
2015年05月20日日本のスタートアップ企業・FOVEは19日、視線追跡技術を搭載したVRヘッドマウントディスプレイ「FOVE」の量産開始に向け、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」での資金調達を開始した。「FOVE」は、視線追跡技術と動作追跡技術を組み合わせたヘッドマウントディスプレイ(HMD)。装着者の頭と眼の動きを追うことで、映像を操作する事ができる。視線をユーザーが注視している部分にのみ集中してレンダリングを行い、その周囲の画質をあえて落とすことにより、ハイスペックPC以外でしか動かないというような状況を回避する設計を採用。いわゆるラップトップのような低スペックのPCやスマートフォンなどでも、VRを楽しむことができるようになる見通しだという。同型のディスプレイでの利用が見込まれているゲーム分野のほかにも、アバターを利用した仮想カンファレンスなどのコミュニケーション分野や健康、教育、開発分野での活用も期待されている。開発者に対しては、Unity、Unrealengine、Cryengineと互換性を持つSDKを提供予定のため、既存のVRコンテンツを同製品に対応させることもできるとのこと。Kickstarterでの資金調達目標は25万ドル。349ドル以上の出資者を対象に、ヘッドマウントディスプレイ本体の特別先行予約を受け付けている。なお、同製品の日本における会見の様子はレポート記事を参照してほしい。
2015年05月20日ガリバーは4月14日、ダックリングズと共同で、スマホアプリ「Guliver-VR」を開発したと発表した。このアプリはハコスコ製の段ボールと併用することで、海外にいながら日本のガリバー店舗をバーチャル見学できる。販促ツールとしてだけでなく、採用合同説明会でも使用するという。「Guliver-VR」では、ガリバー丸の内本社の他に、8つの支店や商品化センターの雰囲気をバーチャル空間で体感できる。このアプリの他に、ハコスコ社製の段ボールキットをスマホと併せて用いることで、より高い臨場感を味わうことも可能だ。「Guliver-VR」が開発されたきっかけは、現在9店舗ある海外店舗にあるという。特に、ニュージーランドの店舗では画像による車の直販を行っているため、日本の店舗の様子を詳しく知る必要があった。今では、海外の顧客はスマホにアプリをダウンロードすることで、安心して買い物を楽しめるとしている。販促ツールだけではなく、2016年度新卒採用700名に向けた合同説明会でも、このアプリを使用している。
2015年04月15日スパイスボックスは4月7日、ダンボール製VRゴーグルMilbox(みるボックス)が、顧客とブランドをつなぐ広告コミュニケーションツールとしてトヨタ自動車(トヨタ)に採用されたことを発表した。Milboxは、デジタルエージェンシーとなるスパイスボックスが、VRマーケティング市場を開拓するための新製品と位置付けて開発したもの。スマートフォンに専用アプリをダウンロードしMilboxに設置することで、VR世界の疑似体験が可能となる。今回の導入では、トヨタの販売店に設置した専用のMilboxに、Toyota Safety Senseアプリをダウンロードしたスマートフォンをセットすると、トヨタが開発した衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」の機能を疑似体感することができる。2015年4月時点にて体験できるメニューは、「追突による事故に備えるプリクラッシュセーフティーシステム動作の疑似体感」と「車線逸脱による事故に備えるレーンディパーチャーアラート動作の疑似体感」の2種類。カローラ店とネッツ店(一部店舗除く)から導入を開始するという。
2015年04月08日チームラボは、モデルルームをスマートフォンとダンボール製キットを使ってバーチャル空間上で体感できるアプリ「ハコマンションVR」を開発したことを発表した。同アプリはAndroid版、iOS版ともに無償で配布され、4月4日より千葉県・船橋の新築マンション「イニシア船橋夏見」のモデルルームにて先行体験できる。「ハコマンションVR」は、モデルルーム見学時の「気軽に行きづらい」という悩みを解決すべく、バーチャル空間上で現地の雰囲気を体験できる新しい見学スタイル。同アプリをインストールしたスマートフォンをダンボール製キットにセットして覗き込むことで、その場にいながらバーチャル空間上でモデルルームを体感できるという。また、映像は、キッチンやリビングダイニングなど物件の最大の特徴となる部屋「モデルルーム」をはじめ、実際にマンションが建つ場所(最上階7F)でパノラマ空撮した「眺望」、モデルルーム内に併設されたラウンジ空間「マンションギャラリー内ラウンジ」といった3種類の空間を体験可能。向いた方向に合わせて360度の映像が画面に映し出されるので、より空間に没入できる仕組みになっている。さらに、空間内に散りばめられている「虫眼鏡」マークに視点を合わせると、その場所のこだわりポイントや特長が表示され、事前に物件の情報を直感的に把握することが可能となっている。なお、同アプリは「イニシア船橋夏見」のモデルルームにて、4月4日より先行体験できるほか、Webサイトより同マンションの資料を請求した人(先着300名)、およびモデルルーム見学に出向いた人(希望者全員)に無料で「ハコマンション VR」体験キットをプレゼントするキャンペーンを実施するということだ。なお、体験キットの発送および受け渡しは4月中旬(アプリ公開日)以降となる。
2015年04月03日既報の通り、AMDは3月26日にバーチャルリアリティ(VR)向けの技術「LiquidVR」について説明を行ったが、この際に公開された「Asynchronous Shaders」に関する詳細についてもう少し説明したいと思う。○TimeWarpとは何かまず前回はさらっと流したTime Warpについてもう少しきちんと説明しておく。Time Warpという用語そのものはOculus VRの用語であるが、AMDなども同じ意味でこの用語を使っており、すでに一般的な用語になっているかと思う。Oculus VR自身もこのTime Warpingの働きを詳細に説明した動画を公開しているが、さすがにちょっと長いのでかいつまんで要点を説明したい。Photo01は前回の記事でも紹介したLatest Data Latchのスライドだが、操作者が右に向かって振り向く場合を考えてみると、頭の回転を検知して、表示している画面を空から水面の方向に順次切り替えてゆくことになる。ただ、処理の流れが「回転検知」→「次描画位置の確定」→「CPUが描画コマンドの発行」→「GPUがレンダリング」→「出力」となるから、どうしても時間が掛かる。仮に描画が60fpsで行われているとすると、CPUが十分早いとしても回転検知→出力に1フレーム分の遅れが出る。フレームレートが60fpsであるとすれば16.67msほどで、これは人間が「ずれている」と感知できるには十分な時間である。これを解消するためには、CPU/GPUの処理能力を引き上げ、表示のフレームレートを思いっきりあげてやればいい。例えば1,000fpsとかで表示していれば、1フレームといっても遅延は1msでしかない。人間の目の認識速度は、神経の伝達速度がボトルネックになっておおむね1ms程度とされるので、よほど激しい動きでなければほとんど気にならないレベルだろう。さらにフレームレートを10,000fpsまで引き上げれば遅延は0.1msで、もうこうなると人間では遅れが認識できない。ただし、残念ながらそこまでの高速化はまだ当分の間は夢でしかないので、もう少し現実的な方法でだます必要がある。そこで、まずPost-Renderingの段階で実装されるのがTime Warpである。例えばPhoto01の頭の動きだと、目の前の画像は右から左に流れてゆく(正確に言えば左上に流れてゆく)ことになる。そこで、レンダリングが終わった映像を本来よりもやや左上に表示することで、人間の違和感をやや抑えることができる。映像そのものは正しくないのだが、ただ動きに追従して映像の表示位置が変わることで、「頭の動きに画面が追従していない」という感覚を最小限に抑えることができる。ちなみにこの技法がTime-Warpingと呼ばれているのは、ノースカロライナ大のLeonard McMillan氏/Gary Bishop氏が1995年に出した"Head-tracked stereoscopic display using image warping"や1997年の"Post-Rendering 3D Warping"といった論文が元になっているのではないかと思われる。○TimeWarpで解決できない問題に対処する「Asynchronous Time Warp」さて、これでレンダリングが十分に高速なら、動きそのもののずれは最小限に抑えられるのだが、複雑な映像になるとレンダリングが間に合わない可能性が発生する。この場合、Time Warpだけでは解決できないわけだ。例えばPhoto01のシーンでは、夕日(朝日?)から水辺の風景になるわけで、もしレンダリングが間に合わないと、頭を振っても夕日が見え続ける(というか、1フレーム遅れて水辺に切り替わる)ことになり、やはり違和感が生じてしまう。そこで、次なるアイディアとして出てきたのが「Asynchronous Time Warp」(ATW)である。これは何か? というとOculus VRのSoftware Architectを勤めるMichael Antonov氏が自身のblogで説明しているが、要するにTime Warpの後で画面を差し替える技術である。ATWを使う場合、とりあえずレンダリングが間に合わなかったら前フレームの画面にTime Warpを施して表示するが、さらににその後、レンダリングが完了した時点でVsyncを待たずに画面を差し替える形になる。もちろん映像が激しく動いているケースではそれでも遅れは目立つのだが、部分的な画面更新であればそれほど違和感がない、という仕組みである。○Asynchronous Shaders話の前提となる部分に触れた後で、話を今回のメインであるAsynchronous Shadersに移す。Asynchronous ShadersはLiquidVRに実装されている機能だが、これは先ほど説明したATWを効率的に行えるようにするための仕組みである。GCNではGPUに3種類の処理を同時に渡し、これを別々に並行して実施できる仕組みとなっている(Photo02)。実際のゲームのシーンでは、Photo03のように複数の処理が同時に動く形だが、GCNは本当にこれを並行して実施できる。これをサポートするため、GCNでは複数のCommand Streamをサポートしており、それがどう実施されるのかはGPUに任せることができる(Photo04)。実際にこのAsynchronous Shaderを利用する事で、大幅に性能を改善できるケースがあることが示されている(Photo05)。このAsynchronous ShadersがATWとどう関係してくるかであるが、まずレンダリングが間に合わないケースでは、次のシーンのレンダリングを引き続き行いながら、現フレームのTime Warp処理を並行してGPUで行うことができる。この場合は、Time Warpを優先実行させる必要はあるだろうが、「いまのレンダリング処理を中断してTime Warpを実施し、その後でレンダリングを再開」するよりもオーバーヘッドは少ないし、「いまのレンダリングが終わってからTime Warp処理をする」よりも表示は自然になるだろう。また、これはAsynchronous Shadersとは直接関係無いが。前回紹介したDirect-to-Displayの機能を使うと、まずはTime Warpでごまかし、あとで画面を更新する際に直接フレームを更新できるので、これもATWには有益な機能となる。実際にはAMDはこの機能をACE(Asyncronous Compute Engines)と呼んでおり(Photo06)、Asynchronous Shader以外にもいくつつかの機能をまとめてGPU側で実装し、APIの形で提供しているとのことだ。加えて、現在のDirectX 11は基本的にCommand Streamが1つを想定したAPIであるが(Photo07)、DirectX12やMantle、ChronousのVulkanなどは、いずれもMulti-Thread対応のAPIになっており、複数のCommand Streamをサポートする。GCNのACEは、こうしたケースでより効率よく動作する、というのがAMDのメッセージであった。
2015年03月31日九州国立博物館と凸版印刷は、専用のVRゴーグルを用いて特別史跡「王塚古墳」のバーチャルリアリティ(VR)コンテンツが楽しめる個人向けサービスを開発、3月14日から12月31日までの期間限定で提供すると発表した。同サービスは、特設Webサイトから個人が所有するスマートフォンにVRコンテンツを配信、九州国立博物館ミュージアムショップにて数量限定で販売される専用VRゴーグルにスマートフォンを装着して鑑賞・体験できるというもの。3月16日現在、九州国立博物館で開催中の特別展示「進化する博物館III 最新技術でよみがえる九州の装飾古墳」にて、九州国立博物館と凸版印刷は、両者で共同開発した特別史跡「王塚古墳」内部を鑑賞・体験する簡易型ヘッドマウントディスプレイ用VRコンテンツを公開している。また、今回、生活者が自宅や史跡などに自由に持ち運び個人で楽しむことができる、WebGLを利用したストリーミング配信VRコンテンツを専用のVRゴーグルと合わせて開発、商品化し、同コンテンツは展示室で公開中のものと同様に、王塚古墳の石室内部を、文様を探すクイズ形式で鑑賞できる。さらに今後、個人向けサービス版のみの新機能として「フリー鑑賞モード」なども追加される予定。「パーソナル版ストリーミング配信VRコンテンツ」の配信期間は2015年3月14日(土)~12月31日(木) で、対応端末はiOS 8以上のiPhone 5/iPhone 5s/iPhone 6 (2015年3月現在) 。Android 端末は非対応で、コンテンツは専用VRゴーグル購入者のみ利用できる。「専用VRゴーグル」は、九州国立博物館ミュージアムショップで既に販売されている(1000個限定のため、販売が終了している可能性がある)。販売価格は800円(税別)。
2015年03月21日AMDは3月4日、優れたVR(バーチャルリアリティ)体験を提供する新構想の第1弾として「LiquidVR」を発表し、「LiquidVR」SDK1.0のアルファ版を登録済みの開発者にリリースした。VRにおいてユーザーに非物理的な世界を物理的に存在していると認識させるためには、ユーザーが頭を動かした時と、頭部を動かした位置から新たなイメージを目にするまでの時間、つまり動作から表示までのレイテンシー(遅延)を解決する必要がある。「LiquidVR」は、ハードウェア・アクセラレーションによるタイムワープ技術により、1フレームのレンダリング後にユーザーの頭部位置の情報を活用する。イメージをワープし、新しいイメージをVRヘッドセットに送信することで、ユーザーが頭部の向きを変えた時点からスクリーンに表示されるまでのレイテンシーを効果的に最小化できるという。また、リアルタイムに近い早さでデータをまとめることで頭部装着ディスプレイのヘッドトラッキング・データを可能な限り早くGPUに送ることができるプログラミング・メカニズムを採用し、レイテンシーを排除する。このほか、複数のGPUを並列動作させ、GPUごとにプロセスを割り当てることでVRアプリケーションのフレームレートを改善する技術を採用。それぞれのGPUが片目で見たイメージをレンダリングし、その出力を組み合わせて1枚のステレオ3Dイメージにすることができる。AMDは「コンテンツ、快適性および互換性はAMDのVRへの取り組みの要であり、今回発表した『LiquidVR』は、これらの3分野に大きな進歩をもたらします。『LiquidVR』により、当社はエコシステムと協力してVRにおけるいくつかの課題を解決し、VRコンテンツ開発者が優れた新しい体験を実現するための手段を提供します」とコメントした。
2015年03月04日メガハウスは、スマートフォンをセットして手軽にVR(バーチャルリアリティ)映像が楽しめる「BotsNew(ボッツニュー)」を発表した。4月上旬より全国の玩具店や雑貨店、ネット通販などで販売する。価格は税別2,760円。「BotsNew」は、スマートフォンでVR(バーチャルリアリティ)映像を楽しめる製品。専用アプリをインストールしたスマートフォンをセットし、本体のレンズ部分からスマートフォンの画面をのぞきこむようにして使う。スマートフォンのジャイロ機能を使用しており、頭の動きに追従して観ている映像が動く。また、眼鏡をかけたままの使用も可能だ。専用Webサイトにて、BotsNew用のVRコンテンツが提供される。例として、秋葉原のビルの間を駆け抜ける高速ジェットコースター体験「秋葉原ジェットコースター」、様々な男性・女性と至近距離で過ごす妄想デート体験「ドッキドキ!妄想デート」、360度美女に囲まれる夢の体験「囲まれちゃうシリーズ」、ドアを開けるとそこは別世界、日常では体験できない場所にワープする「ハコでもドア」などを予定している。対応OSは、iOSおよびAndroid。画面サイズは4~6型のスマートフォン。本体サイズは約W142×D85×H110mm、重さは約104g。
2015年03月02日KDDIと伊勢丹新宿店は2月11日~16日の期間、共同で「DIGITAL LIFE STYLE 2015 TOKYO」を開催している。「スマホVR」やその場で自分のイメージに合わせたウェアのオーダーができる特別企画など、ファッションとデジタルを掛けあわせたO2Oイベントを行っている。イベントでは、ウォークラリーを行っており、参加者は伊勢丹新宿本店の1階と2階、3階、au SHINJUKUに設置されたチェックポイントを回る。専用のウォークラリーカードにNFCタグが埋め込まれており、全てをタッチすることで、プレゼントを提供するという仕組みだ。○スマホVRとは?スマホVRは、スマートフォンで実現するVR(バーチャルリアリティ)のことで、代表的なものにGoogle Cardboardなどが存在する。今回、「SHINJUKU Jump&Shopping」で提供される「ハコスコ」は、Cardboardとは異なって3D立体視はできないものの、伊勢丹のフロア間や屋上、au SHINJUKUなどを行き来でき、臨場感溢れる映像体験を楽しめる。イベントでは、ハコスコのINFOBAR限定デザインVer.を用意しており、ウォークラリーで全てのチェックポイントを回ったユーザーにプレゼントする。体験コーナーは伊勢丹新宿本店2階に用意されており、同じ階ではINFOBAR A03の各色に合わせたカクテルの提供も行われている。カクテルを飲める場所は携帯電話の使用が禁止されていたが、カクテルの味を集中して楽しんでもらうための配慮だろうか。○世界に1つのウェア作成も続く伊勢丹新宿本店の3階では「Wearable INFOBAR Pattern Generator」と題した最新テクノロジーを駆使したウェアのオーダー企画を用意。話題のメディアアーティスト 真鍋 大度氏が率いる「rhizomatiks」が開発したアプリケーションでスマートフォンやその場で撮影した写真を、INFOBARの各色に模したモザイクデザインへ変換。変換したデザインは、パリコレで発表を行うなど世界からも注目を集めるデザイナー 森永邦彦氏が手がける「アンリアレイジ」のTシャツやセーターに仕上げるという。このウェアにはとある仕掛けがあり、紫外線に当たると色が浮き出るフォトクロミックと呼ばれる特殊プリント加工が行われている。なお、その場でデザインの作成・注文はできるものの、引き渡しは約3カ月かかるとしている。○デジタルとファッションの融合という狙いファッションとデジタルという組み合わせは、ここのところ注目を集めており、今年の春に登場する予定の「Apple Watch」もファッション誌などに取り上げられるケースが多く見られるなど、トレンド中のトレンドと言ってもよい。INFOBARシリーズは、2003年に登場してから12年目の人気モデル。以前より、この「ファッションとデジタル」について取り組みを進めているプロダクトの一つだが、今回のイベントはどのような意図で行ったのだろうか。KDDI 商品統括本部 プロダクト企画本部 プロダクト企画1部の砂原 哲氏は、INFOBARを「ファッションの価値を持つ携帯電話。人と違うものが欲しいんだけど、一緒のものを持ちたいという感覚を持つ人に」という"感覚"で持ってもらえるような携帯電話であると語る。普段から使う携帯電話だからこそ、どのように生活へ溶け込むか。生活に溶けこむからこそ、ファッションとして、そして"オシャレ"が集まる百貨店とのコラボレーションに至った。「デジタルから洋服に繋げたい」という伊勢丹と、単発のイベントを行ってもなかなか気軽に入れない携帯キャリアショップという両社が手を組むことで、双方のユーザーの導線をつなぎ合わせようという狙いがあるわけだ。「携帯電話は生活必需品。だから、伊勢丹とやるのは必然ですし、INFOBARの初期もBEAMSと組んだりやったりとファッションを意識していました」(砂原氏)最後に砂原氏は、デジタルとファッションの組み合わせをINFOBAR A03に重ねあわせて語ってくれた。「携帯電話でデザインを打ち出したいという気持ちはいつも持っているのですが、普段はおざなりになってしまっている部分がある。au design projectで出したneonなど、充電中でも携帯電話が生活に溶け込んでいるという世界は作れるのですが、スマートフォンになってから、サボってしまっている部分がある。だから今回のINFOBAR A03では、充電している時もサボらないように専用の充電台を作りました。もっとこうした取り組みを通して、プロダクトを美しくでるのではないかと考えています」(砂原氏)
2015年02月12日テレビやWebなどのメディアで紹介され、ちょっとした話題となっているVRボックスをご存知だろうか。3D動画コンテンツやVR(バーチャルリアリティ)コンテンツが簡単に楽しめる、視聴用のヘッドセットだ。ハイホーでは、同社のSIMサービス「hi-ho LTE typeD」の契約者に、この「VRボックス」を提供するキャンペーンを12月1日より開始している。今回、このハイホーの「VRボックス」を入手し、実際に遊んでみたので、その様子とともに、「hi-ho LTE typeD」について改めて紹介したい。○VRボックスとは?プレゼントキャンペーンは、前述の通り、「hi-ho LTE typeD」シリーズの各コースに新規で申し込んだ利用者を対象に実施するもの。対象者には、これまで提供されていた初月の月額利用料無料特典に加えて、1契約につき1台のVRボックスが提供される。さて同キャンペーンで提供されるVRボックスだが、いったい何ができるのかというと、まずYouTubeやニコニコ動画などの3D動画コンテンツが楽しめる。さらに、Google PlayやApp Storeで提供されているVR向けのアプリをインストールすることで、ライブ映像やゲームなどのコンテンツが利用できる。なお利用するには、スマートフォンが必須となる。スマートフォンを持っていない利用者でも、12月1日から提供を開始したhi-hoスマホ第2弾「hi-ho LTE typeD ミニマムスタート with ZenFone 5 【LTE】」または、8月1日から提供しているhi-hoスマホ第1弾「hi-ho LTE typeD ミニマムスタート with G2 mini 【LTE】」を利用することで、VRボックスを楽しむ環境が揃うことになる。格安SIMサービスの代表格とも言えるhi-hoのサービス。例えばhi-ho LTE typeD ミニマムスタートでは、通信容量2GB/月のサービスが月額933円(税込1,008円)で利用できる。大手キャリアの提供する料金プランに比べて、非常にリーズナブルな料金で利用できるのが魅力となっている。○さっそくVRボックスで遊んでみた筆者の手元にもこのVRボックスが届いたので、早速組み立ててみた。説明書によれば、4つの部品で組み立てていくらしい。部品は発泡PEシート製で、とても頑丈な印象だ。穴に足を差し込んで、ひとつひとつパーツを組み合わせること約5分。お手製VRボックスが完成した。使い方はいたって簡単で、VRボックスの背面にスマートフォンを設置するだけ。4.7インチのiPhone/ Androidスマートフォンなら、ほぼジャストフィットという大きさだ。さて、VRボックスが完成したところでGoogle謹製のアプリ「Cardboard」でオススメされた、いくつかのアプリで実際に遊んでみることにした。まず、とあるアーティストのライブ映像を体験してみた。こちらの映像は、VRボックスの角度を変えることで見える映像も変化する趣向。左を向けばアーティストがピアノで弾き語りしており、右を向けばギタリストが演奏しているといった具合だ。実際にライブ会場に赴き、辺りをキョロキョロしているかのような錯覚にとらわれた。続いて、VRアプリケーションを試してみた。「Lanterns for Google Cardboard」は、中国の山村に漂うランタンの様子を再現したもの。綺麗な夜景と自然の音に心が癒やされる。一方、「Roller Coaster VR」はスリルあふれるジェットコースターをモチーフにしたもの。VRボックスならではの臨場感が体験できることだろう。***VRボックスは、これまでのスマートフォン向け周辺機器にはない、ユニークなガジェットだ。本稿で紹介した通り、3D動画やVRコンテンツが、気軽に楽しめる。キャンペーンで無料提供されるガジェットではあるが、作りもしっかりしているので、長く使えそうな点もポイントだ。VRボックスプレゼントキャンペーンは、2014年12月1日から2015年1月12日まで。現在、格安SIMサービスの契約を検討している人は、この機会に「hi-ho LTE typeD」を選択し、「VRボックス」で楽しんでみてはいかがだろうか。
2014年12月25日