子育て情報『正社員11年目の管理職、「不妊治療バレ」せずに続ける難しさ【中編】』

2021年3月26日 13:00

正社員11年目の管理職、「不妊治療バレ」せずに続ける難しさ【中編】

目次

・会社には言えない…仕事との両立のために選んだ職場近くのクリニック
・午前6時半に出発…通院と仕事との両立に疲弊
正社員11年目の管理職、「不妊治療バレ」せずに続ける難しさ【中編】


なかなか計画通りには進まない不妊治療。仕事をしながらの通院は、困難を極めます。治療内容によっては早退遅刻、休暇も必要になることも。仕事仲間に打ち明けられず、両立にストレスを感じる人も少なくありません。

職場には知られたくないーー。そう思って、こっそり通院した女性の物語をお届けします。ケース2、下村豊華さん(42)の場合。

31歳で結婚。
子どもができたら専業主婦を望む夫、しかし正社員で総合管理職の仕事は下村さんにとって自分の価値を認めてもらえる場所だった。34歳で稽留(けいりゅう)流産し、手術のために入院したタイミングで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され、35歳で不妊治療を開始することに。

会社には言えない…仕事との両立のために選んだ職場近くのクリニック

不妊治療のことは、会社には言わないでおこうと決めていた。というより、言える雰囲気ではなかった。

「当時の私の職場は男性の方が多くて、出産しても働いている女性が1人もいなかったんです。結婚妊娠で辞めていく女性がほとんどで、有給すら使いづらい雰囲気でした」

結婚出産で退社するのは当然、お茶汲みや電話の担当は女性が当然という旧態依然とした職場が、「不妊治療は恥ずかしい」「言ったって誰も理解してくれない」という思考回路に追い込んだ。「子どもができない体と思われるのでは」という被害妄想もあった。

会社が従業員の不妊治療を把握してないケースは多い。
厚生労働省が2017年に実施した調査(平成29年度『不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査』によると、半数以上の企業が「把握できていない」と答えた。さらに不妊治療に特化した制度がある企業はわずか19%だった。

治療もしたいが仕事もしたい。この2つの願いを叶えるため、クリニックは自宅ではなく会社に近いところを探した。

選んだクリニックは、会社のある渋谷駅から電車で20分以内の場所にあった。インターネットの口コミ評価が高く、望んでいた自然妊娠(タイミング法)に力を入れていた。多嚢胞性卵巣症候群でホルモン調整は必要だが、それ以外に問題はなく、夫側にも問題はなかった。

「可能なら人工授精ではなく自然妊娠したい」

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