第2回 “子どもの虐待に対して、わたしたちでもできることって?”
山脇:それに、子ども家庭支援センターって、子どもを預かってくれるショートステイやトワイライトステイの窓口など、働くお母さんにとって活用しやすいサービスがいっぱいあるんですよ。登録しなきゃいけないのが面倒くさいっていう人もいますけど。費用もそんなに高くないですしね。だから、住んでいる自治体の情報を一度しっかり調べてみるといいかもしれない。
犬山:でも自治体のホームページって、見づらいんですよね……。
山脇:役所や支援センターにはリーフレットがいっぱい置いてあるので、一度行ってもらってくるのもいいと思いますよ。
緊急性のある場合はどこに連絡すればいい?
児童相談所と子ども家庭支援センターの違いとは
――厚生労働省が作った児童相談所全国共通ダイヤル189(いちはやく)はどうですか?
山脇:“いちはやく”は電話しやすい反面、実はそんなに早いわけじゃないんですよね。相談員が電話を受けた後、担当の児童相談所に連絡を入れるという流れなので、むしろ時間がかかっちゃう。
緊急性があるときは、地区の児童相談所に直接連絡したほうが確実です。児童相談所に直接来た連絡は、虐待通報として「このケースはどうしましょうか?」って、緊急受理会議をするので。そっちのほうが、よっぽど早いです。
さっき、犬山さんは「自分が連絡したせいで、その家がバラバラになったら……」と心配していたけれど、通報があったからといって、すぐに児童相談所が子どもを保護することはないですよ。たくさん調査をして、それから預かるかどうかを会議で決めるので。もちろん、その子が全身傷だらけ、アザだらけだったら、すぐ保護しますけど。
犬山:うん、たぶんそのことを知らないからハードルが高いと思うので。この知識があるといいですよね。
山脇:その一方で、今どきは子ども本人が「家でお母さんに叩かれている」とか「家に帰りたくない」って連絡をして、即、保護になるケースもあるんです。親に何か嫌なことをされると「それ虐待だから!」って騒ぐ子もけっこう増えていて(苦笑)。軽い一言で、すごいことになっちゃうよ、というのを子どもにも知ってほしいですね。
あと、児童相談所じゃなくて、子ども家庭支援センターに「気になる子がいる」って通報するのでもいいんです。支援センターには子どもを預かる機能がないので。そこにはどんどん情報を入れてもらって大丈夫。