知能指数(IQ)とは?知能指数の定義や知能検査の種類、知能指数の値と疾患・障害の関係は?
藤永保・森永良子/著『子育ての発達心理学』において、以下のような例が挙げられています。
ADHDの子どもの中にはWISC-III検査で低学年からの高い評価をされる者も少なくないが、就学前は境界領域の知能レベルを示すものは多い。これらのADHDの多くはADHDがコントロールされるにしたがって境界領域知能から平均範囲、あるいは高機能に入っていく例もある。したがってADHDを伴う知的境界領域児は経過観察が必要である。ADHDは刺激に過反応する傾向があり、適切な刺激をインプットすることが困難である。このタイプのADHDではADHDへのコントロールの発達が認知の発達、社会的適応に影響を与える。
(藤永保・森永良子/著『子育ての発達心理学』2005年大修館書店/刊p.178より引用)
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しかし、知能指数が「境界領域」と測定されたり、発達障害の傾向がある子どもであっても、家族や社会の支援により社会的自立に向けた力をつけていくことが可能です。
成長が遅れがちな部分だけに焦点を当てるのではなく、持っている能力を評価し、伸ばしていく支援が大切です。
知能指数を調べることは、障害の有無を見極める上でどのように扱われるのか
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10367004286
知能指数だけでは疾患・障害の確定診断をすることはできません。ですが知能検査の結果は、疾患・障害の識別や、治療の効果測定、障害のリスクの予想などの指標の一つとして活用されます。
◇自閉症スペクトラム障害
自閉症スペクトラム障害とは対人コミュニケーションに困難さがあり、限定された行動、興味、反復行動がある障害です。
知的障害を伴わない自閉症スペクトラム障害では、知能検査の言語性IQが正常範囲であるにもかかわらず、日常生活では適切なコミュニケーション行動が難しいといった場合が多いです。このような子どもはITPA(言語学習能力診断検査)において、「ことばの類推」「ことばの表現」「文の構成」といった項目の点数が低くなる傾向があります。
◇注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDは不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)