子育て情報『現役中学教師が思う、発達凸凹を生かす優しい社会の作り方』

2017年10月30日 11:00

現役中学教師が思う、発達凸凹を生かす優しい社会の作り方


真面目でおとなしいA君との出会い

現役中学教師が思う、発達凸凹を生かす優しい社会の作り方の画像

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017019385

「今日のノートはここまでしか書けませんでした。」

これはA君が私に、初めてかけてきた言葉です。姿勢が良く、授業中も真剣な眼差しで教師を見つめている姿がとても印象的だったけれど、いつも少し困った表情を浮かべていました。そんな彼が、書きかけのノートを持ってきて、私に訴えかけてきたのです。

ノートを見ると、黒板に書かれた内容の9割までしか写しきれていません。ですが、そもそもノート提出をその日に課したわけでも、時間内に写す事を課したわけでもないのです。

多くの生徒は、授業時間内に写し終わらなかった分は、休み時間に残りを写すか、友人のノートを借りて写します。ノートを取り終えられなかった事について許可を求めたり報告する事はないし、もちろん私自身そんな指示は出していませんでした。

中学一年生になりたてとはいえ、その判断は自分でできるはずだと思いながらも、A君の真面目さ故の行動だと思い、「大丈夫、次の時間までに写しておこうね。」と声をかけました。


数日後、「今日は全部写しきれました。」と報告してきたA君。「すごいね、頑張ったね」とその場で褒めはしましたが、私はこの時点で、何か少しおかしいな、心配だなと感じていたのです。


「ごめんなさい」が言えない、彼なりの理由

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017019414

A君について小さな違和感を抱きながらも、4月、5月は特に問題なく過ごしていましたが、6月ごろからA君の周囲をとりまく対人関係のトラブルがクラス・部活共に続出しました。

クラスでは、体育大会の種目決めの時に、何を選んでいいのか自分で決められず、あまりものの長距離走になりました。「大丈夫?」と本人に聞いたところ、「走りたかったから大丈夫」といいました。

しかし、帰宅後母親に泣きながら「たぶん、走りたくないと思います」と訴えたらしいのです。翌日学校で改めて確認すると、今度は「よく分からない」と答えました。

母親との会話からも分かるように、自分自身の感情を表現する事が極端に苦手で、意思決定ができないのです。

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