2017年10月30日 11:00
現役中学教師が思う、発達凸凹を生かす優しい社会の作り方
嫌なはずなのに、「たぶん、走りたくないと思います」と、他人の事のように言います。
彼の中で、自分の感情や気持ちと、周りの状況、求められているものが一致しないのです。彼の頭の中ですべてがバラバラになっているのではないかと思いました。
部活でのトラブルは、「ゲップ、おならなどを人前でしてしまう」といった公衆道徳が身についていないことが原因でした。それを周りの生徒から注意されると癇癪をおこしパニック状態になっていました。
「お前らなんかに言われたくない」「勉強もできひんくせに」などの暴言があり、謝罪の場を設けても、謝る事ができません。どうやら同学年の生徒に対するこだわりが相当強いらしく、自分が納得しないと行動できないところもあるようなのです。
彼が同学年の生徒に対してこだわりを持つには彼なりの理由がありました。
真面目な彼から見ると、勉強ができたり、先生の言うことをしっかり聞く生徒が常識的な生徒で、指摘してきた生徒があまり勉強ができなかったり、教師に対して反抗的だったりすると非常識な人間と判断してしまうのです。
そんな(彼にとって)非常識な人間から言われたことは非常識なことと認識され、自分の行動に非があったとしても認められないのです。
そのため、彼が同学年の生徒に対して見下したりする発言も多く、そこからのトラブルもありました。
A君の周りからはどんどん人が離れていき、いじめの対象になるような状況も発生してきました。そこで、発達に何か課題があるのではないかと、市内の学校を巡回指導しているアドバイザーの先生にみてもらう事になりました。
”伝える”方法を支援する
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10186003647
アドバイザーの先生はA君について大きく二点を指摘しました。一つ目は脳のアウトプットの機能についての問題、二つ目はA君の融通が利かない性格からくる自分ルールについてです。
まず一つ目について、どうやらA君は思考が絡むアウトプットをする事が苦手らしいのです。
覚えた事をテストで書くという単純なアウトプットはできるのですが、一度自分で考えたり、感情を交えた上で行動にうつすのが苦手な事がわかりました。
どうやら、
1. 体験→2. 考え→3. 思い→4. 話す・書く
といった一連の流れの、2と3をまとめて4にする事がうまくできないようなのです。