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0歳児の発達目安は?特徴や月齢別チェックリストなど/小児科医監修

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誕生からの1年間は一生のうちでも最も成長が著しいとき


誕生してから1歳になるまでの間、赤ちゃんは人生の間で最も急激に成長します。体重は出生時の3倍近くになり、体を自由に動かせる範囲が格段に広がります。自分だけの心の世界から、周囲との関係性が生まれます。

座る、立つ、歩くなど、体を大きく使って動かすことを「粗大運動」と言います。0歳代の赤ちゃんの粗大運動の成長は、体の上のほうから順に進んでいきます。まず首がすわり、手足の動きが活発になり、その後、寝返り、はいはい、おすわり…といった順序で進んでいきます。1歳になるころにほとんどの赤ちゃんは何かにつかまったりしながら自分で立てるようになります。

また、手指の細やかな動きである「微細運動」の成長も、はじめは腕や足をバタバタ動かすことから始まり、手のひらでつかみ、やがて指でつまむことができるようになります。


一方、視覚、聴覚など感覚器官は、胎内にいる間にほぼ完成していますが、生まれてから感覚機能は成長していきます。それと同時に、見える人の顔や聞こえる声、慣れ親しんだ匂いや感触といったことから、人やものへの愛着、好奇心といった心が成長していきます。

生まれてすぐのころには、空腹や暑い・寒いという不快感を感じたときに泣くことが多いですが、次第に抱っこしたりなどかまってもらうと笑う、思い通りにならないと怒る、といったように情緒が育っていきます。それと同時に、周りの人やものに興味を抱くことにより、「あれがほしい」と手を伸ばしたり、「あそこへ行きたい」と今できる動きでなんとか移動しようとしたりします。こうして、好奇心と体の機能の発達がお互いに促され合うことで、心と体の両方が成長していきます。

成長とともに変化する0歳代の食と睡眠


食の成長は、はじめは反射的に乳首を吸うことから始まり、胃腸の成長に伴って1回に飲める量も増え、生後5~6ヶ月ごろになり口の動き方が発達してくると、咀嚼・嚥下の練習を始めます。こうしておかゆやポタージュのようなドロドロの形状の離乳食から始まり、徐々に大きさも硬さも増してだんだんに食事が栄養源のメインとなっていきます。

睡眠は、生後すぐはまだ昼夜問わず頻繁に寝たり起きたりの周期を繰り返しますが、生後2~3ヶ月ごろになると暗くなれば眠り明るくなれば起きるというリズムができ始めます。
睡眠時間や夜泣きや寝ぐずりなど睡眠に関しては非常に個人差が大きいものですが、1歳を迎えるころまでには、多くの場合、朝起きて夜眠るというリズムがついてきます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0001.pdf
参考:保育所保育指針解説書(35ページ)|厚生労働省

月齢ごとの心身の成長


新生児から始まって2ヶ月ごとの、0歳代の赤ちゃんの一般的な成長の様子を解説します。

0歳0ヶ月(新生児期)の体・心・ことばの発達とは?


新生児といっても何もできないわけではありません。胎児のころから感覚器官は機能し始めていて、見る・聞く・匂いをかぐ・味わう・触れたものを感じるという、いわゆる五感は生後すぐから機能しています。その機能はまだ、完成されたものではありませんが、抱っこする人の顔をじっと見つめ、声や音を聞き、匂いを感じて、母乳やミルクを味わい、やさしく触られると安心します。

0歳0ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:44.0~57.4cm/女児:44.0~56.4cm
・体重
男児:2.10~5.17kg/女児:2.13~4.84kg

視力はまだ、30㎝以内のものがようやく見えるくらいで、抱っこした人の目をじっと見つめます。音は聞こえていて、ママの体や羊水を隔てて胎児の間に聞こえていた音声を覚えているとも言われています。
発することができる声としては、ほとんど泣き声や呼吸と共に反射的に出る音だけで、自分で意識して声を上げるのはもう少し後になります。笑ったような顔をすることがありますが、これは「新生児微笑」と言われる原始反射のひとつで、「うれしい・楽しい」といった感情によって表情が変わるわけではありません。

0ヶ月の間はほとんど寝たままで、手足をパタパタと動かすことはできますが、自分で体幹を動かすことはできません。「原始反射」と呼ばれる反射があり、この反射が消えていくにつれて自分で体を動かせるようになっていきます。原始反射には、吸啜反射(唇に触れたものに吸いつこうとする)、把握反射(手のひらや足の裏に触れた物を握ろうとする)、モロー反射(突然の物音などに反応して何かに抱きつこうと腕を伸ばす)などがあります。

0歳1ヶ月~0歳2ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは?


0歳1ヶ月~0歳2ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:50.9~63.2cm/女児: 50.0~61.7cm
・体重
男児体重 3.53~7.18kg/女児体重 3.39~6.67kg

鳴き声以外に「あ~」「う~」「く~」といった声を出すようになります。「新生児微笑」ではなく、心地よいと感じるときなどに、ひとりでニコッとほほえむようになります。
少しずつ、誰かと目が合ったときにニッコリするようになっていきます。

うつぶせにすると頭をぐっと持ち上げられるようになり、その持続時間は少しずつ長くなり、やがて自分で頭の向きを変えられるようになります。仰向けに寝かせたときに、両手を握り合うようなしぐさが見られます。また、足の動きが活発になるので、掛け布団が外れてしまうこともよくあります。

0歳3ヶ月~0歳4ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは?


0歳3ヶ月~0歳4ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:57.5~68.5cm/女児:56.0~66.8cm
・体重
男児:5.12~8.72kg/女児:4.84~8.18kg

「あ~」「う~」以外にも「きゃ~」といった声も出せるようになり、いよいよ、周りの人があやすと笑うようになり、だんだん笑い声も大きくなります。

このころになると多くの赤ちゃんは首がすわるようになります。うつぶせにすると、自分で首を上げて好きな方を向くようになり、起きているときに縦抱きしても首がぐらつかなくなります。


手指を自分の意志で動かせるようになり、ラトルなど軽くて握りやすい取っ手のあるものを持たせると自分で握り、腕全体を使って振ったりするようになります。

0歳5ヶ月~0歳6ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは


0歳5ヶ月~0歳6ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:61.9~72.1cm/女児:60.1~70.4cm
・体重
男児:6.10~9.57kg/女児:5.74~9.05kg

首が動かせるようになるのに伴い、音がするほうや興味を引くもののほうを向くようになります。表情には、快・不快に対する反応だけでなく喜怒哀楽が表れるようになり、うれしいと笑い、自分が思った通りにいかないと怒り泣きし、ほめられると誇らしげな表情をすることもあります。

このころ、必ずしもではありませんが、寝返りするようになります。仰向けからうつ伏せ、またその逆に体を回転させますが、初めのうちは体の下になった腕がうまく抜けなくて泣いたりすることもあります。首と腰がさらにしっかりすわります。欲しいものがあると、その方向に手を伸ばし、届けばつかみます。


0歳7ヶ月~0歳8ヶ月のころの赤ちゃんの体・心・ことばの発達とは


0歳7ヶ月~0歳8ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:65.0~75.0cm/女児:63.1~73.2cm
・体重
男児:6.73~10.14kg/女児:6.32~9.63kg

発せられる声のバリエーションが増え、「パ」「マ」「ダ」行の発音をするようになります。いわゆる「喃語」(なんご:意味のないことば)の始まりです。繰り返すことが面白くなるころで、「いないいないばあ」などをすると喜ぶようになります。だんだん周囲の物事を覚えはじめ、知らない人に会ったり知らない場所に行ったりすると、「人見知り」「場所見知り」をし、普段一緒にいる保護者の姿が見えないと泣くこともあります。このころから、ものをなめたり嚙んだりして確認することが増えるので、誤飲には注意が必要です。

うつ伏せにすると腕の力ではいはい(ずりばい)をするようになり、自分の意志で目的のものがある場所まで移動しようとし始めます。また、支えがあれば座ることができるようになってきます(腰がすわる)。
手のひらでものを握ることができ、手に持ったものを反対の手に持ち替えることができます。

0歳9ヶ月~0歳10ヶ月のころの赤ちゃんの体・心・ことばの発達とは?


0歳9ヶ月~0歳10ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:67.4~77.4cm/女児:65.5~75.6cm
・体重
男児:7.16~10.59kg/女児:6.71~10.06kg

発音のバリエーションがさらに増え、言葉のようなまとまりのある発音をするようになります。「あー」「ママ」「まんま」「ぱっぱっ」など、保護者などに向けて呼びかけるようにもなります。周りの人のまねをするようになり、「バイバイ」と言うと手を振ることもあります。

両手と両ひざをついてはいはいできるようになり、移動の速度も増します。また、立たせたときに支えになるものがそばにあれば、そのまま立っていられるように(つかまり立ち)なる子どももいます。支えがなくても座っていることができ、座ったまま両手を自由に動かしたりおもちゃを持って遊んだりします。両手に持った積み木などのおもちゃを打ち合わせることができるようになる子どももいます。

0歳11ヶ月~1歳のころの体・心・ことばの発達とは?


0歳11ヶ月~1歳のころの身長と体重は以下が目安となっています。
・身長
男児:69.4~79.6cm/女児:67.4~77.8cm
・体重
男児:7.51~11.04kg/女児:7.02~10.48kg

ことばの意味を理解して単語をひとつ言えるようになる子どもも多いです。欲しいものや自分がしてほしいこと・いやなことなど、自己主張がハッキリしてきます。自分で食べ物をつかんで口に運ぶこともします(つかみ食べ)。

座った状態から、近くにつかまれるものがあれば自力で立ち上がることができるようになり、1歳が近づくと何もつかまらなくても立てるようになり、はじめの一歩を踏み出す子どももいます。手のひらでものを握るだけでなく指先の動きもコントロールでき始め、小さいものを人差し指と親指で挟んでつまむことができるようになります。

0歳児の発達目安は?特徴や月齢別チェックリストなど/小児科医監修

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発達に遅れがある? 通院の目安や、保護者ができること


心も体も、発達・成長には個人差が大きくあります。上記のような発達段階の目安通りに進まなくても、その子どものペースでだんだんにできることが増えていけば問題はないと言われています。

0歳代では、1ヶ月健診、3~4ヶ月健診、6~7ヶ月健診、9~10ヶ月健診があり、区や市町村の自治体主体で実施されます。このときに、身長・体重の計測、心と体の発達・成長を確認します。著しく発達・成長が遅れている場合や、成長曲線からはみ出して体重や身長が推移している場合などには、相談することができます。

発達に遅れがあると感じたら――専門家に相談する目安


もし、誕生した時点で先天性の疾患があることが分かっている場合などは、かかりつけ医と相談しながらその子どもの成長ペースを見守りましょう。特に疾患はなくても、早産児(妊娠39週未満で生まれること)の場合には、発達・成長は遅れることがあります。発達障害に関しては、0歳代ではまだ診断はつけられませんが、笑わない、泣き止まないなど、気になることがあれば健診を機会に相談したり、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。

http://www.rehab.go.jp/ddis/aware/baby/check/
参考:健診での気づき|国立障害者リハビリテーションセンター

かかりやすい病気とは?発達の遅れなどとの関係は?


生後4~6ヶ月ごろまでは、胎内にいたあいだに母親からもらった免疫物質(免疫グロブリン:IgG)のおかげで、母親が免疫をもっている伝染病には感染しないと言われています。ただそれは万全ではなく、百日咳や結核など、新生児期からかかる病気もあります。そのために、生後3~4ヶ月のころから、三種混合ワクチンやBCGなどの予防接種がすすめられています。

また、感染症以外にも、先天的な疾患がある場合もあります。妊娠中や誕生後すぐに分かる場合もありますが、成長とともに分かってくることも少なくありません。ミルクや母乳の飲み方が少ない、吐き戻しが多いといったことや、抱っこしたときにまったく目が合わないなど、なんとなくおかしいということから気づくケースもあります。その場合には、出産した産院を通して小児科医に相談したり、あるいはかかりつけの小児科医や病院に相談してみましょう。

特に生後半年くらいまでの間に心配なのは乳幼児突然死症候群(SIDS)です。原因は解明されていませんが、SIDSを避けるには赤ちゃんの呼吸を妨げない環境の工夫が大切とされています。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000500775.pdf
参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|厚生労働省
https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page000412.html
参考:白河市 保健福祉部こども支援課

家庭でできること、健診での気づき


初めて育児をする場合は、子どもの様子が「なんとなくおかしい」と気づけないのではと不安になるかもしれません。そのような場合は、乳幼児健康診断(乳幼児健診)を活用しましょう。

乳幼児健診は、できるか・できないかで評価をする場ではありません。赤ちゃんの今の状態を客観的にみることが目的です。もし、成長や発達に遅れが見られた場合、早い段階から専門家に相談することが大切です。専門家とは、保健師、小児科医、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士、あるいは小児神経専門医、児童精神科医などであり、その窓口となる大事な機会が、乳幼児健診です。健診などで相談し、支援が必要な場合、支援につながることが、子どもにとっても育てる保護者にとっても大事なことです。

まとめ


0歳代の1年間で、赤ちゃんは自分の意志で体を動かせるようになり、周りの人との関係性も学習していきます。表情が豊かになり、褒められるとうれしいという感情が芽生えます。ただ、この記事で紹介した時期別の発達・成長は、あくまでも目安です。周りと比べすぎず、その子の成長のペースを見守りましょう。

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