家に拡張の余地を残す鉄、木、コンクリート。マテリアルの力強さが際立つ家
海野さんはカラダが住まいに合ってくるとおっしゃっていたそう。
「たとえばバタンと大きな音を立てて閉まるドアを、音を立てないように仕様変更する必要はなくて、自然と音を立てない所作が身についてくると。ほんとうにその通りで、今では意識しなくても後ろ手にドアを押さえながら閉めるようになりました。人が家に馴染むものなのだなと感慨深いです」
家は作って終わりではない。竣工時がピークな建物はつまらない。藩さん一家がこの家にかかわって育て、育てられることで、唯一無二の素晴らしい住まいに成長していく。
広々とした開放感のあるバスルーム。
脱衣所は広々とした防水の畳敷き! 旅館でゆっくり過ごしているような気分を味わえる。「長女はここでストレッチを楽しんでいるようです」
トイレには扉がない。必要に応じてカーテンを使う。「僕はトイレで考え事がはかどるので、トイレもひとつの部屋のように作りました。
"気"が他の空間と繋がるように完全に仕切らず、風通しの良い空間にしています」
2階のトイレも部屋仕様。リビングと壁の間のスリットを通して繋がっている。「来客が使うことを考えて、2階にはちゃんと扉があります」
(建築家クレジット)
藩邸
設計海野健三/海建築家工房
所在地東京都渋谷区
構造鉄骨造
規模地上3階
延床面積199.57㎡