シックで落ち着きのある住空間建築と自然の力で生きる力が高まる
外壁に木を使うという選択肢もあったとは思いますが、木は基本的にすごく長くもつというものではない。そういう意味では土(タイル)にするというアイデアは自然に出てきましたね」(浅利さん)
2階ダイニングから見る。食器棚の右に1階への階段、左に3階へと昇る階段がある。空間に落ち着きをもたらすためにシンメトリックにデザインされた2つの引き戸には墨汁が塗られている。
キッチンから見る。左の開口からは賃貸スペースにいたる通路に沿って植えられた緑が見える。
奥の左手に玄関扉がある。外部と同じせっ器質タイルが内部にも使われている。
張るパターンのスタディが何度も重ねられたタイルは内外で2万3千枚を使用。施工に2カ月かかったという。
レイヤーをつくる
当初の案は賃貸を1階に配して2階以上をO邸にするというものだった。しかし、Oさんの強い希望から手前にO邸、奥に賃貸という配置に。「お互いの生活音などを意識することなく機嫌よく穏やかに過ごせるように」との思いからだったが、浅利さんは「最初は奥行き方向で豊かに長く暮らすというイメージをもっていた」という。そして身体感覚としては長過ぎるので、ちょうど居心地が良くなるくらいの空間にレイヤー状に刻んでいくプランを考えていたが、敷地の前後で賃貸とスペースを分けて奥行き方向の長さが短くなってからもその考えはそのまま踏襲した。