感性に響くものを少しずつ加えて思い描いた空間を自ら造る未完のミニマムハウス
と捉え、大らかに寄り添っている。
Mさんが早速手掛けたことは、1階、2階の壁に漆喰を塗ること。引き渡し前の週末2回を要し、一人でやり遂げた。入居後すぐには、キッチンの壁に着手。『サンワカンパニー』で見つけたイタリア製のタイルを自ら貼り付けた。その後も、階段の手すりを明るい色のタモ集成材とステンレス金具から濃いめのウォールナットと黒いアイアン金具の組み合わせに変更したり、階段脇のラワンベニヤの上にオーク材を重ねて貼ったりなど、自分のペースでカスタマイズしている。
「イメージに合うものがなかったのでずっと付けていなかった」というロフトにつながるハシゴは、デザイン性に富んだハシゴとやっと出会い、住み始めて数年後に取り付けた。気に入るものがなければ妥協せずに探し続けるのがMさん流である。
2階の壁は、「より落ちついた雰囲気にしたかった」と当初の白い漆喰からグレーに塗り替えられている。また、“居候”とMさんが呼ぶ、猫のニビちゃんが置物を落として割ってしまったという玄関タイルも、昨年新たに貼り替えた。すでに2回目のマイナーチェンジが始まっている。
住まわれて10年。「引き渡した時の仕上げはほぼないです」