2017年7月13日 21:15
31歳、このまま寂しい人生はイヤ|12星座連載小説#118~獅子座10話~
「で、連絡先は交換したんだよね?」
『い、いやぁ、それが……』
「は? あんた、連絡先知らないの? 何しに行ったのよ、もう!」
尾田ちゃんが納得のいかない表情をして、プンプンしている。冷静そうに見えて、意外と熱くなるんだよな……コイツ。
『いや、完全に知らないってワケじゃないよ。横浜の“アヴァンス”っていう事務所で働いてるってことは知ってる』
「横浜? ねぇ、それって!」
コクンとうなづく。
「すごい偶然じゃない!!今日お店にいらした女の子のお母さんが話していた弁護士さんでしょ!? ……ええと、確か」
『木村。木村秀一。』
「そう! その先生! やったじゃない、真利子! あんた“持ってる”わよ」
それはそう、なんだけど。ここからどうやって繋げればいいのか分からない。
「ねぇ、真利子」
突然、尾田ちゃんが真剣な顔になる。眼鏡の奥の瞳が光る。
「あなた、仕事に関しては天才的な手腕と、図々しいほど気の強さを発揮するくせに、恋愛となると全然ダメじゃない」
図星だ。ちょっとムッとする。
「原因、なんだと思う?」
『原因?』
尾田ちゃんからの想定外の言葉に、つい聞き返してしまった。