2017年7月14日 21:15
気になる「あの人」にまた会える…|12星座連載小説#119~獅子座11話~
丁寧にタクシーの運ちゃんに頭を下げる尾田ちゃん。思えばこの子は、会社立ち上げ当初から、ずっとアタシの面倒をみてくれていた。
大変な時期は励ましてくれて、上手くいっている時は「調子に乗っちゃダメよ」って諌めてくれたっけな……。
『尾田ちゃん』
「何?」
『……ありがとう』
「何言ってんのよ、早く帰って寝なさい! ……それじゃあね」
二軒目に行きたい気持ちをグッと堪えて、そのまま帰宅する。
タクシーから見える、夜の街灯りがキラキラと眩しい。
恋愛ねぇ、ガラじゃないんだよなぁ……。
木村さんのことは気になるけど、こっからどうやって進めたら良いのか、分かんないのよね。
なんでもスパッて決めるタイプなのに、珍しくクヨクヨグズグズしている。
―――自宅に到着。
カードで支払いを済ませて、領収証を運ちゃんから受け取る。千鳥足でエントランスへ。
バッグからキーケースを取り出して、オートロックを解除する。ついでにスマホもチェック。
尾田ちゃんからLINEが入っている。
「真利子、お疲れ。ちゃんと帰れた?」
「今日、お店に来て下さった菜摘ちゃんのお母様にお礼の連絡を入れておいたから、明日あなたからも連絡しておいて」