2017年7月27日 21:15
「突然のキス」に不機嫌になる男|12星座連載小説#127~天秤座 10話~
キャバ嬢だった頃も、いつもオトコは私を“特別扱い”してくれたのに。
『童貞のクセに……』
“オンナとしてのプライド”を傷つけられた私は、ベッドに突っ伏す。
『呼ばなきゃ……良かった』
オンナが勇気を出して誘惑したというのに、邪険にするなんて……。
ここ最近、舞い上がっていた自分が恥ずかしい。柄にもなく、仕事なんかにも一生懸命取り組んじゃってさ……。
『バカ……』
―――その日の夜は眠れなかった。そして翌朝、私は“また”遅刻した。
前のように、けだるげな勤務態度に逆戻りだ。
せっかく仕事、楽しかったのにな……。ドキドキしていて、頑張れて、評価されたりなんかもして。
一生懸命頑張る自分は嫌いじゃない。でも、何だか必死みたいで、カッコ悪い。だからいつも、頑張らないようにしてきた。
全力を出して上手くいかないなんて、私の美学に反するから。
いつも余裕があって、オトコたちにチヤホヤされて……。幸せな結婚をして、美しいものに囲まれて……“マダム”になるのが夢。
……でも、
それで良いのかな……。
私のテンションに反して、サイトの方は好調―――。
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