2017年7月27日 21:15
「突然のキス」に不機嫌になる男|12星座連載小説#127~天秤座 10話~
主任も、
「サイト販売担当者も必要かしらね……梱包や発送、メッセージのやり取りなんかも今後、増えてきたら手間だしね」
なんてことを言っている。
私……、薫さんのお陰で、夢中になれた。
薫さんと親しくなれば、もっと何か“違う自分”を見つけていけると思っていたのに。
―――気がついた。
私、恋をしていたんだ―――。
いつから……?
期待したり、呆れたり、感謝したり、悲しかったり……。こんなに私の感情を振り回すなんて。
薫さん……
大人しそうな外見に反して、頑ななこだわり。
優秀で仕事ができるのに、女性慣れしていない。
なんだろう、このアンバランス……。
これまで私が関わってきた、どんなオトコとも違っている。
『……頑張ってみようかな』
つい声に出た。
私、変わりたい……!
『あの、主任!』
「どうしたの?佐々木さん」
『私、サイト販売担当、やらせて頂けないでしょうか?』
「え……でも、お給料変わらないから仕事量が増えて大変よ」
『いいんです。私、やってみたくって』
カッコをつけずに、どんな小さいことにも一生懸命な薫さん。私も、そんな薫さんみたいになりたいと思った。