2017年8月18日 21:15
彼と急接近した「運命の日」|12星座連載小説#142~魚座 10話~
当時、私は社会人吹奏楽団に入っていて、“和辻君”……てっちゃんもそこに所属していた。とは言っても顔見知り程度の関係で、異性として意識したことなんて全然なかった(これはてっちゃんには内緒だけどね)。
その時は、ちょうど合コンで知り合った“タケルさん”って人に、猛アタックされていたわ。あまりにも一生懸命押してくれるから、もうこの人と付き合っちゃおうかなって思ってたのよね……。
でも、その矢先のことだった。あの日はどしゃ降り雨だった。
演奏会前日、ホールの下見をした後“なんとなく”寄り道をしようと思って、普段は行かない花屋さんに向かっていた。
そしたら途中の公園で、雨の中、傘もささずに突っ立っている人が。
ジッと見てみると、知り合いの“和辻君”でビックリしちゃった。彼は、いつも冗談を言って周りを楽しませる“盛り上げ役“”で、ひょうきん者。友だちとしては良いけど、恋人としてはちょっと……という感じの人だったわ。飲み会なんかでは下ネタを連発してたしね。
そんな彼が、びしょ濡れで虚ろな目をして立っている……。私には衝撃だったわ。
心配になって声を掛けたら、彼、泣いていたの。
『あれっ、どうしたの和辻君?』
「彼女と別れて……」