2017年8月18日 21:15
彼と急接近した「運命の日」|12星座連載小説#142~魚座 10話~
いつもの彼からは絶対に想像もつかない、絶望に打ちひしがれた翳りのある表情。
胸がズキュンとしちゃった。
『風邪引くよ?』
「いいよ、放っておいて……」
『放っておけないから言ってるの!』
私は可哀想な人に弱いの。そして、こうと決めたら自分でも驚くくらい強引になる。
彼を自宅まで連れて行って、お風呂を沸かしてあげて……。
今まで家に男の人を入れたことなんてなかったのに、アッサリ陥落。
その時、ピンときたの。この人は、きっと“未来の旦那サマ”だ……って。
結果、その通りになった。
―――コール音が鳴っている。
そして
「はい、もしもし」
安岡さんの声。
『あっ、どうも……和辻です』
「まぁ、和辻さん、どうなさったの?」
安岡さんはいつも上品で、とてもおっとりした人。
『突然すみません、確かフラワーエッセンスを学んでいらしたと思って……』
「ええ、だいぶ前ですけど、受講していましたよ」
『今回私も受けてみたいなと思いまして』
「まぁ! そうなの! お仲間ができて嬉しいわ!」
『でも、どの講座が良いかわからなくて……』
「和辻さん、それならオススメの講座があるわ! 知り合いが講師をされているの」