2018年3月27日 17:30
あの “美しすぎる少女” も来日! 印象派がもっと好きになる展覧会
モデルは、裕福なユダヤ人銀行家、カーン・ダンヴェール伯爵の長女イレーヌちゃん。当時8歳だったそうです。
E.G.ビュールレ財団館長のグルーアさんによると、ビュールレ氏は1949年にイレーヌさん本人からこの絵を購入したとのこと。すでに77歳になっていた彼女は、作品がビュールレ・コレクションに加わることを喜んでいたそうです。
ここからは個人的な感想ですが、ビュールレ氏は工作機械、つまり武器製造で富を築き上げた人で、戦時中はナチス・ドイツも取引相手でした。大戦を生き抜いた絵のモデル、イレーヌさんはユダヤ人であったため、当時相当な苦労をしたことは想像に難くありません。実際、彼女の娘さんは強制収容所で亡くなっています。しかも、イレーヌさんの肖像画は当時その娘さんが所有していたため、ナチス・ドイツにより略奪されてしまいました。
戦後はイレーヌさんの元に戻されましたが、そんな経緯を知ると、名画の持つ数奇な運命に複雑な思いを抱かずにはいられません。
盗まれたセザンヌも展示!
また、ポール・セザンヌの傑作《赤いチョッキの少年》も見逃せません。セザンヌが描いた肖像画のなかでも特に有名な作品です。この貴重な絵画も2008年の強盗事件で奪われた4作品に含まれていました。