2018年7月14日 07:00
是枝監督だけじゃない! 世界も注目する日本人映画監督は?
呉 美保
偏見などの鋭いテーマを高い演出力で表現。
「大阪芸術大学を卒業していて、山下敦弘監督や寺内康太郎監督など、新時代の映画畑の人たちが同期にいます。彼女にとって初めての商業映画監督作品となった『酒井家のしあわせ』では、原作と脚本も手がけており、その力量も評価される理由のひとつ。また、巨匠・大林宣彦監督のもとで働いていたという経歴の持ち主でもあるんです。実験的要素のある作品を撮ったりと新しいことに取り組みながらも、メッセージ性の強い商業的な作品を作り上げる大林監督のもとで学んだことが、演出面などさまざまな部分で生きているのを感じます。『そこのみにて光輝く』や『きみはいい子』のように、虐待やネグレクト、いじめなどの社会問題に光を当て、差別や偏見に対する鋭いテーマをぶっこんでいることが特徴のひとつ。ちなみに、近年では『マイナビ』をはじめ、さまざまなCMを撮っているので、知らないうちに作品を目にしている人も多いかもしれません」
『きみはいい子』(’15)
学級崩壊させてしまう教師や、親から虐待を受け、自身も子どもを虐待してしまう母親、家族を失い孤独に暮らしている老人。彼らが葛藤しながらも生きる姿を映す。