2019年5月15日 18:30
ただの黙とうが国への反逆とみなされ…戦後を生きた学生の壮絶な実話
と突然言われて、東ドイツの人たちは「自分で選んだわけではないけれど、新しい政治的体制がそういうものであれば個人よりも社会という集合体に重きを置くやり方を試してみよう」と思っていたんだ。僕はリサーチをするまでは、彼らがそんな葛藤を持ちながら向き合っていたことは知らなかったから、そういう姿を見ることができたことは一番の驚きだったよ。
ちなみに、東ドイツの題材を西ドイツ出身の監督が作ると、批判を受けることもけっこうあるんだけど、原作者のディートリッヒさんと密にコラボレーションしていったおかげか、今回はそういった声を聞くことはなかった。それだけ旧東ドイツの人たちにとっても、リアルに感じてもらえたということじゃないかな。
タイムレスなものを目指していた
―本作では、ドイツが恐ろしい過去から新しい未来に移行しようと模索する話であり、世代間にある価値観の違いといったものなどが描かれていますが、いまの時代にそういったことを描きたかったのはなぜですか?
監督すべては『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』から始まっていることでもあるけれど、どちらの作品にも共通している映画のモチーフとしては何かに対する反抗心や抗議すること。