2019年7月6日 19:00
女性の脳はスポンジ素材!? 偉人達の「トンデモ女性観」を描いた絵本
柚木麻子さんや山内マリコさんなどの小説はまさにそう。
瀧井:村田沙耶香さんや松田青子さんも、ジェンダー問題にとても敏感です。『問題だらけの女性たち』は、松田さんが海外の書店で見つけて自ら翻訳した絵本なのですが、19世紀の女性たちがどう見られていたか、皮肉たっぷりに書いています。たとえば女性の脳はスポンジみたいな素材だったとかビックリな内容で、しかも錚々たる偉人男性が女性差別的な発言をしているんです。だけどそれを切々と訴えるのではなく、ユーモラスにかわいらしく表現しているところに、しなやかさを感じます。
意識のアップデートが新しい世界を広げる。
瀧井:世界中にある同じような問題を知るという意味で、最近の注目作は『三つ編み』です。インドとイタリアとカナダの3人の女性の物語なのですが、途中で読むのがつらくなるくらい過酷で…。
三浦:イタリアの女性は家業で人毛のカツラを作っていて、カナダの女性は弁護士で、がんになって髪を失ってしまう。インドの女性は不可触民で財産がないから、自分の髪しか神様に奉納できるものがない。3人の人生が女性の象徴である髪で結び合わされていくのがよかった。職場でパワハラに遭うカナダの女性が、日本人の境遇と一番近いかもしれない。