2019年9月26日 20:50
どん底の生活苦から…貧困男子、出会いが生んだ奇跡の復活劇
―本作は、監督が実際に駅でピアノを弾く青年を見かけたことがきっかけということですが、もともとクラシック音楽やピアノを題材にした映画を考えていたのか、それともその青年との出会いが始まりですか?
監督以前から、クラシック音楽を題材にした映画を作りたいという思いはありました。ただ、それをどういう切り口で描けばいいかと悩んでいたこともあり、なかなか脚本にできずにいたんです。
ところがある日、駅に置かれているピアノでショパンのワルツを弾いているクラシックとは無縁そうな青年の演奏を偶然聞き、強い感動を覚えました。そのときに、「実はこの青年はピアノのレッスンを受けるお金もなければ、ピアノも持っていないかもしれない」と想像するようになり、そこからこの作品の出発点を見つけることができたのです。
―クラシック音楽の素晴らしさはどんなところだと思いますか?
監督僕が思うクラシック音楽の持っている力というのは、感情を呼び起こす力のこと。つまり、ただ力強いという意味での“力”ではなく、ひとつの音符が人を感動させたり、感情を喚起させたりする力があるということです。
たとえば、全く知らない人間がひとつのコンサートホールに1万人いるとして、同じ音符で同じように喜びや悲しみを感じることができるというのは、音楽の持つすごさだと思っています。