2020年1月11日 20:00
「公認不倫」も“8割のおしゃべり”から? 漫画編集者・上村晶の仕事論
「個人と個人の話で収束することもできるけど、個人が依って立つ社会という視点を入れたいと思うようになりました。年をとったからだと思います(笑)。『1122』では、既存の夫婦観への息苦しさやセックスレスの悩みを取り上げていますが、そうした社会にある悩みを物語にすることで、解決とはいかないまでも、読んだ人が一回シミュレーションができますよね。悩んでいる人の糸口になるかもしれないし、悩んでいる人に目を向け、理解するきっかけになることもできると思うんです」
本が売れないいまの時代にも明るい可能性はたくさんあると言う。
「電子発の作品も当たり前に生まれ、漫画のアプリも増えています。スマホの中でこんなに読んでいる人がいる、潜在的読者はたくさんいると思うと、やっぱり物語というものが欲されているんだなと。それはすごく心強いことです。発表の仕方や形態は変わっても、物語はなくならないんじゃないかということは、確信しています」
うえむら・あきらフリーランス漫画編集者1974年11月8日生まれ、広島県出身。
太田出版に入社し、雑誌『マンガ・エロティクス・エフ』の編集長を務める。その後、2014年に独立してフリーランスの編集者となる。