2020年5月6日 20:10
不安な心がスッと整う…今お家で読みたい「本とその名言たち」 #35
良寛が愛した厳しくも豊かな自然。そのただ与え続けるという生きざまを、一本の木から触れることが出来る本があります。
3冊目 『おおきな木』
どこまでも与え、生命力や豊かさ、喜びにある木の生きざま。
そこで おとこは えだを きりはらい じぶんの いえを たてるため みんな もっていって しまった。きは それで うれしかった。
ー『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン作・絵 本田錦一郎訳(篠崎書林)
男が少年、青年、老人と成長していく過程で、木はただただ男の幸せを願って、冠を作るための葉、よじ登るための幹、恋人と愛を語らうための木陰、売ってお金にするための美味しいりんご、家を建てるための枝、ついには旅に向かう男の舟のためにと身を投げ出して、その幹を与えます。自分の命を削ってまで、男の幸せを一心に願った、木からは母性愛を見ますが、それで木は幸せだったのでしょうか? 与え続ける木から、鈴木俊隆や良寛が実践しようとした無私の愛による大きな力と豊かさを感じ、心が洗われる一冊です。
土居彩
©福元卓也(Botanic Green)
編集者。東京の薪割り暮らしをイラストとともに綴るブログ『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。