2020年5月6日 20:10
不安な心がスッと整う…今お家で読みたい「本とその名言たち」 #35
先の文にある、壮絶な人生の中で老師が得たこの悟りは、人生の方向を「絶対ここから北じゃないと向かえない」ではなく、「今は東に行って、次は少し南、まっすぐじゃないけど、最終的に北を目指す」という柔軟性と正しいコンパス(在り方)を持つことの大切さ。また「絶対北だと思っていたけど、実はちょっと南でも肌に合うのかもしれない」と自分の正しさにとらわれすぎないこと。老師の生き方は、全てを自分の思い通りにしたいと苦しまず、人生を的確に捉えらる方法を教えてくれます。
鈴木老師が敬愛した13世紀の禅僧 道元を生きた人として、他に江戸時代後期の僧侶、良寛が挙げられます。その人生を彼の歌とともに描いた一冊が以下です。良寛もまた、人も自分も全てを許し、受け容れるという生き方を貫いた人です。
2冊目 『風の良寛』
全てを許し、無一文で自由に生きた良寛。
良寛の時代の人々は、自然に対してはまずそれを受け入れることを考えたのであった。
自然を受け入れ、堪えがたくも堪え、自然と融和して生きる。良寛という人はそれを哲学として原理化していたのだ。
ー『風の良寛』中野孝次著(集英社)より
良寛は、僧侶であり、歌人、書道家です。