2021年3月25日 19:30
「小津安二郎から常に学んでいる」日本の巨匠がドイツの名匠に与えた影響
そのなかでも僕にとって重要な作品は、小津安二郎の『晩春』。父と娘の関係を描いた物語で、特に自転車に乗って海に向かっていくシーンが非常に印象的な映画です。この作品は今回に限らず、僕が映画を作る際にはほぼ毎回観るようにしています。
―それはどういった理由からでしょうか?
監督以前『東ベルリンから来た女』という作品を撮るときにも、キャストたちと一緒に観ましたが、『晩春』からは古いものと新しいものが共存した世界をたくさん学べるからです。
たとえば、アメリカが戦勝国であることがわかるような英語の標識が映されているいっぽうで、がんばって生きて行こうとする若い世代や父と娘という日本の家族についても描かれていますよね。そのバランスが絶妙なので、僕は映画を撮る前に観るようにしている作品のひとつです。
いつの時代でも共感できるものは愛
―非常に興味深いです。監督はこれまでの作品も今回も愛についての物語を描いているとコメントされていますが、映画で愛を描きたいと思う理由について教えてください。
監督愛にはいろいろな愛があって、時代によっても異なるところはありますが、それでも共通しているところがあるので、いつの時代でも誰もが共感できるものだと感じているからです。