2021年3月25日 19:30
「小津安二郎から常に学んでいる」日本の巨匠がドイツの名匠に与えた影響
―確かに、愛にはそういうところがありますね。
監督ちなみに、愛を毎回描いてはいますが、僕は映画のなかでセックスシーンを描くのが好きではありません。もしかしたら、若い頃に映画館でセックスシーンのある映画を観たあとに、家で両親からそういう気配を感じて恥ずかしい思いをしたことが理由かもしれませんが……。
ただ、今回の作品では1か所だけ、そういったシーンを入れました。なぜかというと、あそこではただ2人が裸でじゃれあっているのではなく、水中というメタファーに繋がっているからです。自分でもすごくいいシーンになったと感じています。
―非常に素敵なシーンだと思うので、ぜひ注目していただきたいですね。また、主演を務めたパウラ・ベーアさんとフランツ・ロゴフスキさんのおふたりも素晴らしかったですが、現場での様子はいかがでしたか?
監督彼らとは『未来を乗り換えた男』でも仕事をしていますが、2人ともほかの俳優にはないようなやり方で演じるのが興味深いところです。
新しく飼う猫を初めて家に連れてきたときの様子を思い浮かべてほしいのですが、猫は新しい飼い主の家のなかで、居場所を探そうとしますよね?
そんなふうに、この2人は見つめ合ったり、間合いを取ったりしながら感覚的な距離感を見つけていき、お互いのことを信頼していくのです。