2021年9月2日 19:00
「日本の折り紙から着想を得た」ギリシャの新鋭女性監督が語る制作秘話
しかも、タクシードライバーの夫は、自分の稼ぎで家族を養っていることにプライドを持っているような人。妻が仕事をしていないことが彼の自慢でもあるんです。
でも、彼女のなかにあったのは、いまの生活にどこか閉じ込められているような感覚。だからこそ、ニコスと一緒に何かを作りたいという思いが込み上げてくるんですよね。そんな2人がお互いにインスピレーションを与え合ったからこそ、いままでしたくてもできなかったことに向き合い、新たな一歩を踏み出すことができるようになるのです。この映画は、ニコスだけでなく、オルガが自分自身に力を与えるストーリーでもあると言えると思います。
―本作には年齢や性、移民に対する差別が背景としてありますが、実際どこの社会にもさまざまな差別が根深くあると思います。社会学者でもある監督から見て、こういう社会を変えるために必要なのはどんなことだと感じていますか?
監督まず人間の住む社会において、いままで差別が存在しなかったことはないのではないでしょうか。
しかも、差別というのは本当にいろいろなものがあり、時代によっても変わってきたと思います。
たとえばそれは階級だったり、経済的な状況だったり、教育だったり。