2022年3月17日 20:00
なりたい私のはずなのに…「他人がうらやましい」と思った時の対処法
「わ〜みんな久しぶりだね」
笑顔であいさつを返すが、目がついマユリに引き寄せられてしまう。
マユリ。希子と同じく四国から有名私大にやってきて、垢抜けようと必死でがんばった同志だ。就職も協力しあって二人とも大手メーカーからの内定をもぎとった。当然、マユリは第一線で働いていると思ったのだが。
目の前のマユリは、メイクもせず、髪をひとつに束ねてなんだか地味。じっと見つめてしまった。
「おばさんっぽくなってびっくりしたでしょ」
マユリが、困ったような顔で笑う。
「ええっ、そんなことないない…」
急いで言い訳。
「4年前に結婚したって話はしたよね。今は1歳と3歳の息子がいて。毎日あわただしくってさ」
そういえば、そうだった。仕事が忙しくって「今度詳しく聞かせて」と言ったきり、近況を聞けていなかった。
「夫は茨城の人で、地元で空手の先生をしているの。時間はあるから家のこともしてくれるし、地元だから義理の両親もいるし、なんとかなってるって感じかな。とはいえ、第一線で働くのは諦めたけどね…」
ポツポツ話すマユリは、10年前と違って野暮ったい。
地元量販店で買ったかのような服。
それなのになんだか自信がある笑顔。