2022年3月31日 20:00
「虐待を多く受けたし、今も1人で外出できません」ブラジル人トランスジェンダー俳優の現実
と考えながら演じていたら、撮影が終わっても涙が止まらなくなってしまいました。そのときに、トランスジェンダーの人たちにとっては、家族や親しい人が家にいて安心して暮らせることがものすごく重要だと改めて感じたのです。
性の多様性については、もっと議論していくべき
―この作品を通して、心境の変化を感じることもあったのではないですか?
ティエッサさんすごく変わりましたね。撮影を終えたあとはヴァレンティナと自分を区別するのが難しくなってしまい、セラピーに通ったこともありましたが、それによって自分のことをより理解できるようになりました。
実生活では母親が不在なので、大きくなっていたのは母親に対する感情。この作品に出演したことをきっかけに、母親を探してみようと考えるまでになったのです。残念ながらすでに私が小さい頃に亡くなっていたということが判明しましたが、そういった大切なプロセスを経験することができました。
―背景にはそんな思いも抱えていらっしゃったんですね。
ティエッサさんはもともとYouTuberとして活動していたということですが、きっかけは?
ティエッサさん以前働いていた職場のなかにトランスジェンダー嫌悪の女性上司がいて、非常につらい思いをしていたので、仕事を辞めることになりました。