2022年3月31日 20:00
「虐待を多く受けたし、今も1人で外出できません」ブラジル人トランスジェンダー俳優の現実
―とはいえ、演技の経験がないなかでの挑戦はいかがでしたか?
ティエッサさん一度セットに入ったら、1日中そこから出たくないと思うほど、すごくエキサイティングな経験でした。役を演じることが好きなのもわかりましたし、キャストやスタッフのみなさんともワイワイしながら過ごしていたので、仕事とは思えなかったほど。本当に毎日が楽しくて仕方がなかったです。
―劇中では、初めての演技とは思えないくらい堂々とされていましたが、不安を抱えていたところもあったのでは?
ティエッサさん実は、ひとつだけありました。それは、母親役のグタ・ストレッサーさんと初めてカメラテストでお会いしたときのこと。彼女はベテランの女優さんで、ブラジルではものすごく有名な方なので、そんな方と本当に一緒にやるんだと思ったら、ものすごくプレッシャーを感じてしまいました。でも、ご本人がとても優しい方で、いろいろなことをたくさん教えてくださったので、いまでは「お母さん」と呼んでいるほど。セットの外でも私のことを娘のように扱ってくれています。
初めてでも、自分を最大限出せるように意識した
―現場に入る前には、何か自分なりの準備もしていたのでしょうか。