2022年6月17日 19:30
「かつての悲劇が今ウクライナで起きている」韓国の注目監督が明かす歴史の闇
そんなふうに、子どもたちの痛みに敏感だった時期に知ったのが、北朝鮮の孤児たちについて。彼らの親たちのことについてなど、いろいろと考えました。その後、脱北者の子どもたちから話を聞き、ポーランドの先生たちが持つ母性に触れるなかで、徐々に不安定な気持ちが変化していき、自然と産後うつを克服できたのだと思います。映画のなかでも“傷の連帯”という言葉を使っていますが、これらの経験こそがそれに通じているのではないかと感じました。
―残念ながら、いままさにウクライナでも同じようなことが起きています。過去の出来事を知ったことによって、現代が抱える問題を見る目線も変わりましたか?
監督そうですね。特に、子どもたちに対する見方は大きく変化したと思います。「今回の戦争でどれほどの孤児が出てしまうだろうか」と考えずにはいられないですし、多くの子どもが犠牲になったというニュースにも敏感に反応するようになりました。
ただ、もしこのドキュメンタリーを撮っていなければ、それらは見逃していたことだったかもしれません。いまではいろいろな記事を積極的に読むようになりましたし、ウクライナからの避難民の世話をしているポーランドに対して誇らしく思う気持ちもあります。