「旅は素晴らしい一瞬一瞬をかき集める、その繰り返し」韓国のベストセラー作家イ・ビョンリュル氏インタビュー
――旅をしながら思い浮かんだ細やかな心情や、その時の風景などが綴られた文章が見事な日本語として翻訳されています。訳者の張銀英さんはイ・ビョンリュルさんのこの書籍を翻訳するにあたってどのような点を大切にされましたか?
張銀英さん原文がもともと素晴らしくて、最初に読んだ時から惹かれました。写真と文章に魅力を感じましたし、ビョンリュル先生の何事も深く考えるマインドと、一方ではユーモラスさも感じられて、そのバランスが素晴らしいんですよね。私はひとり旅をしたことはないんですけど憧れは持っていて、そんな私がビョンリュル先生の旅の本を読んでいて感じるのは、先生はひとりが好きだけど、人も好きなんですよね。相反する気持ちを、旅をすることでバランスを取っているんだと思います。特別なエピソードがなくても、普段の気持ちを旅することで振り返ったり、旅の思い出を反芻して、そこからなにかの答えを導き出して生きる力を得ている、というのは私の想像ですが、先生の本を読みながらそういうものを私も感じるんです。私も感じた想いがみなさんにも伝われば幸いです。中には日本語には訳しにくい韓国語特有の表現もあって、これはどの言語であっても翻訳で直面する問題ではあるんですが、特に韓国では「死ぬほど」