捨てられるべき“愛”を「指輪」へリサイクルさせた花の都パリ。
愛が行き交う街フランス。街中では多くのカップルが抱擁やキスを交わし、それが夫婦となっても子どもの前でイチャイチャするのは当たり前だ。そんな風に愛を大切にする国だからこそ“南京錠を捨てたくない”という想いがあったのかもしれない。だが、それだけで彼らの気持ちを片づけてはならないだろう。そこにはきっと愛を大切にしなければならないという“覚悟”があったはずだ。南京錠をつけたカップルたちも、幸せなカップルなだけではなく、今はもう別れてしまっているカップルだっているだろう。そんな南京錠は、日本風にいうなれば“縁起の悪い”ものであるかもしれない。しかし、そんな南京錠から作られたリサイクル品でもフランス人が「欲しい」と思うのは、彼らが“いい愛”も“悲しい愛”もすべてが大切な“愛”であると認識しているからであろう。
失恋だっていい思い出とはよく言うが、それを受け止めるまでには時間がかかるし、受け止めきれない人もいる。でも、そんな悲しい愛も大切に“100パーセントリサイクル” できるフランス人は、すべての思い出はかけがえのないものであると私たちに示しているようだ。例えそれが自分のものではなく、他人の“愛”であったとしても。