2014年9月26日 12:56
【インタビュー】楳図かずお監督×片岡愛之助 異色のタッグが生み出した新たな「恐怖の定義」
と。
愛之助:その後「楳図かずおという漫画家の役を演じてください」と言われ、それならやらせていただきたいとお返事しました。
――美少女、女の“美”への情念、蜘蛛にへび女…映画には楳図作品の様々なモチーフが登場し、恐怖を彩る。楳図さんが考える“怖さ”とはどのようなものなのか?
楳図:単純に驚かせるだけならお化け屋敷でいいんです、やにわに何かが出てくるとたいていは驚きますから簡単です。角を曲がるとそこにいたり、トイレで下からのぞいていたり、ありえない状況で何かが現れると怖いものなんですが、そういうのばかりでは質が低くなっちゃう。今回の映画では、もっと人間性を追及したところを根拠にして怖いことが起きるようにしています。人間が持つ深い、どうしようもない、追い詰められた状況から生まれる恐怖――それは今後、ホラー界が追及していくべき恐怖だと実感しました。
――歌舞伎の世界でも「怪談」などで見られるように“恐怖”は大きな主題であり、愛之助さん自身、いくつもの怪談話に出演しているが、そんな愛之助さんの目に楳図作品の恐怖はどのように映ったのか?
愛之助:どこまでが本当で、どこからが嘘なのか?映画の中で僕が演じた“楳図かずお”にしても、経歴は本物だし、ご両親の遺影代わりに緑と赤の皿を飾ってらっしゃるのも本当なんですよ。