2015年5月22日 21:00
【インタビュー】マリオン・コティヤール、オスカー女優もときめくダルデンヌ兄弟の魅力
とも話す。それでも、「脚本を読み始めたら、ダルデンヌ兄弟らしさがつまっていて、圧倒されました。私は喜びでいっぱいで、これはすばらしい経験になると思いました」。
――サンドラを演じ、ダルデンヌ兄弟常連俳優と共演して
そんな思いで臨んだサンドラという役柄は、これまで彼女が演じたどんなキャラクターとも違う、実在するかような「普通の女性です」と言う。「選択の余地がないだけに、物事の価値が分かっている1人の労働者です。彼女は、自分を雇っておくことに投票するより、1,000ユーロのボーナスを手にすることを選ぶ人たちの気持ちが分かっています。彼女が彼らの立場だったらどうしていたかは誰にも分からないし、映画はどの登場人物も裁いてはいない。それが彼女の強さなのです」。
「彼女はある場面では、『自分は何者でもない』とすら言います。この無力感は彼女の奥底に住み着いていますが、それは自分の仕事と、あるいは仕事がないことと折り合いをつけることができない多くの人の心にも住み着いているのです。撮影の数か月前、仕事のことで自殺した人の記事、ルポルタージュを読んでとても心を打たれました。彼らはこの無力感に耐えるよりは、それに“けりをつける”ほうを選んだのです。