2016年3月22日 21:00
仕事、家族、愛…人生を考えさせてくれるイタリア映画のススメ
という怒りを皮肉交じりに表しています。イタリアと日本の思わぬ共通点に新鮮な驚きを感じつつ、セレーナの奮闘に溜飲を下げていただければ!
■誰もが経験する“親との別れ”
続いて2本目に紹介するのはイタリアを代表する名監督ナンニ・モレッティが、自身の母を失った経験を基に描いた家族の物語『母よ、』。日本でも絶賛された『息子の部屋』では、突然、息子が事故死してしまい、その喪失に対峙する家族の姿を描いたモレッティですが、本作は多くの人が、やがては向き合わなくてはいけない親との別れを切り取ります。
親の死を見送ることを“人生経験”などと言うのは不謹慎ですが、親が亡くなってから初めて知ること、気づかされることのなんと多いことか!40代で3大国際映画祭を制覇した名匠が主人公の女性映画監督に自らを重ね合わせながら、いつも目の前にいてくれた母親が消えてしまうかもしれない恐怖や己の無力感、そんな状況でも消えることなく当たり前に目の前にある仕事や日常、逆に自分が親という立場になっての娘との関係の難しさ、もどかしさなどが丁寧に綴られます。主人公だけでなく、脇の登場人物たちも魅力的!母の介護のため、実は仕事を辞めていた兄(モレッティ監督自身が演じています!)