2016年3月22日 21:00
仕事、家族、愛…人生を考えさせてくれるイタリア映画のススメ
、トラブルメーカーだが憎めず、何も事情を知らないままに時折、誰より優しく主人公に寄り添うアメリカ人スター俳優、そして、元教師の凛とした厳しさと深い愛情を併せ持った母親。全ての人物が問題や悩みを抱えつつ、それぞれの日常を生きている――そう気づかされるだけで、ほんの少しだけかもしれませんが、心がフッと軽くなります。
■それぞれが辿り着く、“人生の真理”
そして最後に紹介するのは『グランドフィナーレ』。こちらは、『グレート・ビューティ/追憶のローマ』がアカデミー賞外国語作品賞に輝いた、イタリアの40代の監督パオロ・ソレンティーノがメガホンを握っていますが、伊・仏・スイス・英合作です。主な舞台となっているのは、スイスにある、セレブや老後を過ごす金持ちが集う高級リゾートホテルです。
老境に差し掛かった引退を表明している世界的指揮者の主人公を演じるのは『ダークナイト』シリーズの“名執事”アルフレッドでおなじみのマイケル・ケイン。その友人であり、彼と毎日のように尿の出の悪さを嘆き合い、不健康自慢をする仲である老映画監督をハーヴェイ・カイテルが演じています。
前の2作よりも、さらに人生の時計の針を進めて、主人公が老境に達し、己の死に向き合う年齢になっていますが、その歳になってもなお、生きることの意味を問い、人生を懸けて愛情を捧げてきたものの存在に悶え、葛藤します。